JPH0891634A - 孔版印刷機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 用紙の衝撃音を低減できる安価な孔版印刷機
を提供することを目的とする。 【構成】 定方向に回転する版胴１１と、給紙トレイ２
３に積載された用紙を給送する給送手段と、給送手段に
より給送された用紙Ｐを版胴１１に所定のタイミングで
搬送するレジストローラ対１３と、レジストローラ対１
３と給送手段との間に配置され、レジストローラ対１３
へ搬送される用紙Ｐの搬送速度を減速する減速ローラ対
３１とを具備する孔版印刷機において、用紙Ｐが減速ロ
ーラ対３１に到達した後に、減速ローラ対３１を減速さ
せつつ用紙Ｐをレジストローラ対１３に到達させる駆動
手段４０を具備する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、孔版印刷機の給紙装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】孔版印刷機は、図４に示すように、孔版
印刷機本体６０とテーブル部５０とから成る。テーブル
部５０の給紙トレイ５３の給紙上昇板５４の上に積載さ
れた用紙Ｐは、分離コロ５１と分離パット５２との間で
一枚ずつに分離されて複数の搬送ローラ対５５及び搬送
ガイド板５８によって孔版印刷機本体６０のレジストロ
ーラ対６３に送られる。

【０００３】搬送ローラ対５５は、常に回転しているの
に対し、レジストローラ対６３は、用紙Ｐの先端がそれ
に到達したときには停止していて、搬送ローラ対５５と
レジストローラ対６３との間で用紙Ｐに撓みを形成する
ようになっている。

【０００４】一方、孔版印刷機本体６０では、原稿に対
応した穿孔画像がマスタに製版され版胴６１に巻装さ
れ、版胴６１の内周面より図示しないインキ供給手段に
よりインキが供給されている。上記用紙Ｐは、レジスト
ローラ対６３により版胴６１とプレスローラ６２との間
に所定のタイミングで搬送され、プレスローラ６２によ
りマスタに押圧され、用紙Ｐにインキが転移して印刷さ
れる。印刷された用紙Ｐは、吸着搬送装置６６で吸着搬
送されて排紙トレイ６７へ排出される。なお、符号６４
は、レジスト入口ガイド板を表す。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】一般に、複写機の搬送
ローラの線速が６００ｍｍ／ｓｅｃ前後であるのに比べ
て、上記の従来の孔版印刷機の搬送ローラ対と版胴の線
速が最高で１２００ｍｍ／ｓｅｃであり、かなりの高速
なので、搬送ローラ対で送られた用紙Ｐが、停止してい
るレジストローラ対６３に衝突したときの衝撃音はかな
り大きく問題となっている。

【０００６】従って、本発明は上述したような問題点を
解決するためになされたものであり、用紙の衝撃音を低
減できる安価な孔版印刷機を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
定方向に回転する版胴と、給紙トレイに積載された用紙
を給送する給送手段と、該給送手段により給送された用
紙を上記版胴に所定のタイミングで搬送するレジストロ
ーラ対と、上記レジストローラ対と上記給送手段との間
に配置され、上記レジストローラ対へ搬送される用紙の
搬送速度を減速する減速ローラ対とを具備する孔版印刷
機において、上記用紙が上記減速ローラ対に到達した後
に、上記減速ローラ対を減速させつつ上記用紙を上記レ
ジストローラ対に到達させる駆動手段を具備する。

【０００８】請求項２記載の発明は、請求項１記載の孔
版印刷機において、上記減速ローラ対の一方のローラが
上記用紙の搬送方向にのみ駆動力を伝達する一方向回転
クラッチを介して、その駆動軸に設けられており、上記
駆動手段が上記版胴による１枚の用紙の印刷周期と同期
して回転するカムと、上記カムに連動して揺動されるセ
クタギアとを具備する。

【０００９】請求項３記載の発明は、請求項１又は２記
載の孔版印刷機において、上記版胴の線速と上記給送手
段による上記用紙の給送速度とを等しくしたことを特徴
とする。

【００１０】

【作用】請求項１記載の発明によれば、給紙トレイに積
載された用紙は給送手段により減速ローラ対まで給送さ
れる。用紙が減速ローラ対に到達した後に、駆動手段が
減速ローラ対を減速させつつ用紙をレジストローラ対に
到達させる。

【００１１】請求項２記載の発明によれば、給紙トレイ
に積載された用紙は給送手段により減速ローラ対まで給
送される。用紙が減速ローラ対に到達した後に、版胴に
よる１枚の用紙の印刷周期と同期して回転するカムと、
該カムに連動して揺動されるセクタギアとにより減速ロ
ーラ対を減速させつつ用紙をレジストローラ対に到達さ
せる。

【００１２】請求項３記載の発明によれば、給紙トレイ
に積載された用紙は、給送手段により、版胴の線速と等
しい給送速度で減速ローラ対まで給送される。用紙の先
端が減速ローラ対に到達した後に、駆動手段が減速ロー
ラ対を減速させて用紙の先端のみを減速させて、用紙を
レジストローラ対に到達させる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１において、符号１は孔版印刷機本体を、符号
２は用紙Ｐを積載する給紙トレイ２３を複数収納したテ
ーブル部２をそれぞれ表す。

【００１４】孔版印刷機本体１は、原稿に対応した穿孔
画像が書き込まれたマスタを外周面に巻装される版胴１
１と、版胴１１の内周面にインキを供給する図示しない
インキ供給手段と、用紙Ｐを版胴１１に押し付けるプレ
スローラ１２と、プレスローラ１２と版胴１１との間に
所定のタイミングで用紙Ｐを搬送するレジストローラ対
１３と、レジストローラ対１３へ搬送される用紙Ｐの搬
送速度を減速する減速ローラ対３１と、減速ローラ対３
１を駆動する駆動手段４０（図２参照）と、テーブル部
２から搬送された用紙Ｐを減速ローラ対３１まで送る送
りローラ対１９と、印刷された用紙Ｐを版胴１１の外周
面から分離、搬送する吸着搬送装置１６と、吸着搬送装
置１６により搬送された用紙Ｐを積載する排紙トレイ１
７とから主になる。

【００１５】なお、符号１４は、レジスト入口ガイド板
を表している。レジスト入口ガイド板１４は、レジスト
ローラ対１３と減速ローラ対３１との間で、図１に示す
ように、用紙Ｐに撓みができるのを許すように、上方に
向かって彎曲している。

【００１６】テーブル部２は、上下に配置された複数の
給紙トレイ２３と、各給紙トレイ２３の内部に設けられ
用紙Ｐを積載する給紙上昇板２４と、給紙上昇板２４上
に積載された用紙Ｐを給送する給送手段とから主に構成
されている。

【００１７】給紙上昇板２４は、図示しない上下動機構
により上昇して、用紙Ｐの上面を給紙コロ２１に当接さ
せるようになっている。

【００１８】給送手段は、給紙トレイ２３の一方の上部
に配置された給紙コロ２１と、用紙Ｐを一枚ずつに分離
する分離パッド２２と、用紙Ｐを案内するガイド板２５
と、用紙Ｐを搬送する搬送ローラ対１５とから構成され
ている。

【００１９】版胴１１と、給紙コロ２１と、搬送ローラ
対１５と、送りローラ対１９とは、同じ線速に設定され
ている。

【００２０】駆動手段４０は、図２に示すように、版胴
１１による１枚の用紙Ｐの印刷周期と同期して回転する
カム４１と、カム４１に連動して揺動されるセクタギア
４３と、セクタギア４３に噛合し、一方の減速ローラ３
１の駆動軸４９の端部に設けられた駆動ギア４８とから
主に構成されている。駆動ギア４８の内部には、用紙Ｐ
の搬送方向（同図にて矢印Ｙで示す）にのみ駆動力を伝
達する一方向回転クラッチが圧入されている。

【００２１】カム４１は、孔版印刷機本体１の側板３９
に回転自在に支持された軸４２に固定されていて、図示
しないモータにより回転駆動される。

【００２２】セクタギア４３は、その形状を略くの字型
に形成され、側板３９に固設された軸４４に軸受４４ａ
を介して揺動自在に支持されていてる。セクタギア４３
の一方の端部には、ギア部４３ａが形成され、その他方
の端部には、ピンが設けられていて、このピンと側板３
９に植設されたピン３９ａとの間には引張りバネ４７が
掛け渡されている。この引張りバネ４７の付勢力によ
り、セクタギア４３に設けられた軸４６に回転自在に支
持されたコロ４５は、カム４１の外周縁４１ａに圧接し
ている。

【００２３】上述の一方向回転クラッチは、周知のスプ
リングクラッチで、用紙Ｐの搬送方向に駆動ギア４８が
回転した時に、駆動ギア４８の回転を駆動軸４９に伝達
し、駆動ギア４８が用紙Ｐの搬送方向と反対方向に回転
した時に、駆動ギア４８の回転を駆動軸４９に伝達しな
いような構成を有する。

【００２４】カム４１の回転により、セクタギア４３
は、軸４４を中心として揺動され、駆動ギア４８を、版
胴１１による１枚の用紙Ｐの印刷周期の中で一回正逆回
転させる。駆動ギア４８の正逆回転に対しても、上述の
一方向回転クラッチの働きにより、減速ローラ対３１
は、用紙Ｐの搬送方向と逆方向に回転することがない。

【００２５】減速ローラ対３１の線速は、版胴１１によ
る１枚の用紙Ｐの印刷周期の中で変化するものであり、
減速ローラ対３１の線速特性を示したものが図３であ
る。同図において、横軸は時間を、縦軸は線速をそれぞ
れ表している。

【００２６】なお、図中に示す点Ａは減速ローラ対３１
へ用紙Ｐの先端が到達した時間を、点Ｂは用紙Ｐの先端
がレジストローラ対１３へ到達した時間を、点Ｃはレジ
ストローラ対１３が回転を始めた時間をそれぞれ表して
いる。

【００２７】減速ローラ対３１の線速は、点Ａにおい
て、版胴１１の線速（以下、主速という）と同じである
が、その後、点Ｂでは減速状態にあり、次の点Ｃ以後で
は、上述の一方向回転クラッチにより、減速ローラ対３
１が用紙Ｐと連れ回りして急速に主速まで速くなる。

【００２８】カム４１は、その外周縁４１ａの形状を、
図３に示す減速ローラ対３１の線速特性に基づいて決定
されている。よって、用紙Ｐの先端は、減速ローラ対３
１が減速状態にあるときに、レジストローラ対１３に到
達するようになっている。

【００２９】減速ローラ対３１が減速状態にある場合
に、減速ローラ対３１と送りローラ対１９との間で、用
紙Ｐに線速差が生じて用紙Ｐに撓みが生じる。この撓み
を逃がして用紙Ｐのジャムや折れを防止すために、減速
ローラ対３１と送りローラ対１９との間には、用紙Ｐに
発生する撓みを逃がす形状の新規搬送ガイド板３２が配
置されている。

【００３０】次に、孔版印刷機の動作について説明す
る。先ず、用紙Ｐを給紙トレイ２３の給紙上昇板２４上
に積載し、給紙トレイ２３をテーブル部２の所定の位置
に配置すると、給紙トレイ２３の図示しない上下動機構
により給紙上昇板２４が上昇して用紙Ｐの上面が給紙コ
ロ２１に当接し、給紙コロ２１に対する圧力が所定の圧
力になった位置で給紙上昇板２４の上昇が停止する。

【００３１】各給紙トレイ２３の内部において上述の動
作が同様に行われ、各給紙上昇板２４に用紙Ｐがセット
される。図示しないスタートキーを押すと、画像サイズ
に応じた用紙Ｐが積載されている給紙トレイ２３の給紙
コロ２１が版胴１１と同じ線速で回転し始め、給紙コロ
２１の回転により用紙Ｐがガイド板２５へ向けて給紙さ
れ、分離パッド２２と給紙コロ２１との間で一枚ずつに
分離され、搬送ローラ対１５により、孔版印刷機本体１
の内部の送りローラ対１９へ向けて搬送される。 一
方、駆動手段４０のカム４１は、給紙コロ２１の回転と
同時に回転し始め、外周縁４１ａに圧接しているコロ４
５を押圧して、セクタギア４３を軸４４を中心として、
図２に示す矢印Ｘ方向に揺動する。これによりセクタギ
ア４３のギア部４３ａに噛合している駆動ギア４８を回
転させ、上述の一方向回転クラッチを介して減速ローラ
対３１を回転させる。

【００３２】用紙Ｐの先端は、送りローラ対１９によ
り、新規搬送ガイド板３２に沿って減速ローラ対３１
（図３において、点Ａで示す）まで搬送される。その後
所定時間経過後に、減速ローラ対３１は、減速され始め
る。この減速状態にある時に、用紙Ｐの先端がレジスト
ローラ対１３にゆっくりと衝突する（図３において、点
Ｂで示す）。用紙Ｐの先端がレジストローラ対１３に衝
突後も送りローラ対１９、搬送ローラ対１５、給紙コロ
２１は、主速で回転を続け、用紙Ｐには、図１に示すよ
うに撓みが形成される。よって、ここでは、用紙Ｐの先
端のみが減速され、後端は、給紙コロ２１、搬送ローラ
対１５、送りローラ対１９の何れかにより搬送される。
なお、給紙コロ２１、搬送ローラ対１５、送りローラ対
１９は、用紙Ｐの後端が通過した後に、順次停止する。

【００３３】その後、所定時間経過後に、レジストロー
ラ対１３が主速で回転し始め（図３において、点Ｃで示
す）、用紙Ｐは、原稿の画像情報に応じて穿孔製版され
たマスタが巻装されている版胴１１の外周面とプレスロ
ーラ１２との間に搬送され、マスタに用紙Ｐがプレスロ
ーラ１２により押圧され、インキが版胴１１の内周面か
らマスタに形成されている孔を通って用紙Ｐの表面に転
移されて印刷画像が形成される。

【００３４】ここで、減速ローラ対３１は、レジストロ
ーラ対１３により搬送される用紙Ｐに、連れ回りし急速
に、その線速が速くなり、用紙Ｐの撓みが消滅する。

【００３５】印刷画像が形成された用紙Ｐは、その後、
吸着搬送装置１６により版胴１１の外周面から分離さ
れ、排紙トレイ１７へ排紙されて、最初の一枚目の印刷
により試し刷り（版付）が行われる。

【００３６】本例においては、駆動手段４０をカム４１
とセクタギア４３とを具備した構成としたがステッピン
グモータを用いる構成としても良い。

【００３７】カム４１の外周形状、及びカム４１と版胴
１１とのホームポジションの位相を調整することによ
り、版胴１１による一枚の用紙Ｐの印刷周期の中で、減
速ローラ対３１の線速変化を自由に設定できる。

【００３８】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、用紙が減
速ローラ対に到達した後に、駆動手段が減速ローラ対を
減速させつつ用紙をレジストローラ対に到達させるの
で、レジストローラ対に用紙が衝突するときの衝撃音を
抑えることができる孔版印刷機を提供できる。

【００３９】請求項２記載の発明によれば、版胴による
１枚の用紙の印刷周期と同期して回転するカムと、該カ
ムに連動して揺動されるセクタギアとにより減速ローラ
対を減速させつつ用紙をレジストローラ対に到達させる
ので、レジストローラ対に用紙が衝突するときの衝撃音
を抑えることができると同時に、コストの低い孔版印刷
機を提供できる。

【００４０】請求項３記載の発明によれば、上記請求項
１又は２による効果に加えて、用紙の先端が減速ローラ
対に到達した後に、駆動手段が減速ローラ対を減速させ
て用紙の先端のみを減速させて、用紙をレジストローラ
対に到達させるので、印刷速度の低下がなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例を示す孔版印刷機の正面図で
ある。

【図２】図１に示す孔版印刷機の駆動手段を示す斜視図
である。

【図３】図１に示す減速ローラ対の線速特性を示すグラ
フである。

【図４】従来の孔版印刷機の概略正面図である。

【符号の説明】

１ 孔版印刷機本体 ２ テーブル部 １１ 版胴 １２ プレスローラ １３ レジストローラ対 １４ レジスト入口ガイド板 １５ 搬送ローラ対 １６ 吸着搬送装置 １７ 排紙トレイ ２１ 給紙コロ ２２ 分離パッド ２３ 給紙トレイ ２４ 給紙上昇板 ３１ 減速ローラ対 ３２ 新規搬送ガイド板 ４０ 駆動手段 ４１ カム ４３ セクタギア ４４ 軸 ４８ 駆動ギア ４９ 駆動軸 Ｐ 用紙

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】定方向に回転する版胴と、給紙トレイに積
   載された用紙を給送する給送手段と、該給送手段により
   給送された用紙を上記版胴に所定のタイミングで搬送す
   るレジストローラ対と、上記レジストローラ対と上記給
   送手段との間に配置され、上記レジストローラ対へ搬送
   される用紙の搬送速度を減速する減速ローラ対とを具備
   する孔版印刷機において、 上記用紙が上記減速ローラ対に到達した後に、上記減速
   ローラ対を減速させつつ上記用紙を上記レジストローラ
   対に到達させる駆動手段を具備する孔版印刷機。
2. 【請求項２】上記減速ローラ対の一方のローラは、上記
   用紙の搬送方向にのみ駆動力を伝達する一方向回転クラ
   ッチを介して、その駆動軸に設けられており、 上記駆動手段は、上記版胴による１枚の用紙の印刷周期
   と同期して回転するカムと、上記カムに連動して揺動さ
   れるセクタギアとを具備する請求項１記載の孔版印刷
   機。
3. 【請求項３】上記版胴の線速と上記給送手段による上記
   用紙の給送速度とを等しくしたことを特徴とする請求項
   １又は２記載の孔版印刷機。