JPH08915B2 - 非水系被覆組成物および被覆金属材 - Google Patents

非水系被覆組成物および被覆金属材

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JPH08915B2
JPH08915B2 JP40783290A JP40783290A JPH08915B2 JP H08915 B2 JPH08915 B2 JP H08915B2 JP 40783290 A JP40783290 A JP 40783290A JP 40783290 A JP40783290 A JP 40783290A JP H08915 B2 JPH08915 B2 JP H08915B2
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aqueous coating
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真康 荒
晃 加藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クロメート処理やリン
酸塩処理などの金属表面処理により形成された皮膜に対
し非常に低い溶解性を有し、アルカリ脱脂に対する耐ア
ルカリ性、溶剤脱脂に対する耐溶剤性を有する金属表面
処理組成物で、金属素材にプレス油などを塗布せずに成
形加工可能な成形性、耐食性、上塗り塗料との密着性、
及び指紋などに対する耐汚染性を付与する非水系被覆組
成物に関するものである。
【0002】又、本発明は該被覆組成物の塗布量を限定
し、上記特性のほか、優れたカチオン電着塗装性(以
下、電着性とする)、及び電気抵抗溶接性(以下、溶接性
とする)を有する被覆金属材に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、金属加工及び金属塗装の分野にお
いて、耐食性の向上や塗料との密着性向上を目的として
鉄鋼、アルミニウム、亜鉛、錫、銅、及びそれら金属の
合金、さらにこれらの金属のめっき材などの金属素材は
機械加工後、又は塗装前に金属加工業者、及び金属塗装
業者によってクロメート処理、リン酸塩処理、陽極電解
処理などの表面処理が一般的に実施されている。近年工
程の省力化、コストの低減を目的として、金属素材メー
カーが該素材を予め表面処理を施したものを市販し、金
属加工業者、及び金属塗装業者のかかる表面処理の負担
をなくすといった試みがなされつつある。
【0004】このような予め実施する表面処理として
は、反応型クロメート処理を施した後、水洗し、有機樹
脂を主成分とする薬剤をコーティングする方法、及びク
ロメート薬剤を配合した水系樹脂をコーティングする方
法が代表的である。この表面処理により形成される皮膜
は、指紋が付着しにくく、付着しても簡単に拭き取れる
といった特徴のほか、優れた耐食性、上塗り塗料との密
着性、及び耐脱脂性(アルカリ脱脂、溶剤脱脂によって
も皮膜がわずかしか溶解せず、性能低下がほとんど無
い)などの優れた特徴を有するものである。
【0005】しかしながらこれらの方法により製造され
た表面処理材はコーティング皮膜に十分な潤滑性、伸
び、密着性などがなく、そのままでは成形加工すること
ができない。従って成形加工をする場合、プレス油など
を塗布した後成形加工しているが、このような工程をと
ると、さらに塗布したプレス油を脱脂工程で除去し次工
程へ移るという煩雑な工程が必要であった。この煩雑な
工程を省略するために、プレス油などを塗布することな
しに成形が可能であり、かつ優れた耐食性、上塗塗料と
の密着性などを有する表面処理組成物を開発する試みが
なされてきた。
【0006】当該技術にかかわる従来の技術として、
(1)特開昭61−60766、(2)特開昭61−2271
78、特開昭61−227179、特開昭61−231
177、特開昭61−279687、特開昭62−33
781、(3)特開昭63−83172、(4)特開昭62−
289274、(5)特開昭63−162886などで開
示されている技術があるので以下にこれらの従来技術に
ついて概説する。
【0007】すなわち(1)の発明組成物は水溶性または
水分散性の有機樹脂、アルコキシシラン化合物、および
シリカからなる有機−無機複合体反応物と潤滑剤とを主
成分とする水系組成物に関するものであるが、この組成
物から形成される皮膜は、有機−無機複合反応物を主要
構成成分とするものであって、可撓性、及び金属素材に
対する密着性が劣り、かつ成形性が十分でないなどの問
題を有している。
【0008】(2)の発明は有機樹脂としてアクリル系の
水系樹脂をベースとし、これに黒鉛、二硫化モリブデン
などの微粒子、又はこれらとパラフィンオイル、シリコ
ンオイル、およびネオペンチルポリオール脂肪酸エステ
ルのいずれか1種または2種以上とからなる混合物を配
合した組成物を開示しているが、この皮膜にさらに上塗
り塗装をする場合、撥水・撥油性のために塗装不良や密
着不良を起しやすい問題を有している。
【0009】次に(3)の発明はエポキシ樹脂、ポリエス
テル樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる有機樹脂と硬
化剤成分であるアミノ樹脂、又はポリイソシアネートと
からなる組成物を導電性物質、クロム化合物、潤滑生物
質を配合してなることを特徴とする組成物を開示してい
るが、導電性物質がカーボンブラック、グラファイトの
場合皮膜の色調は黒色のみとなり用途が限定されてしま
う。又導電性物質が金属粉末、半導体酸化物、リン化鉄
の場合成形性が十分発揮されないのである。
【0010】次に(4)はウレタン樹脂、および二酸化珪
素の複合物質または混合物質を主成分とする皮膜層を設
けること、もしくは上記複合物質または混合物質に亜鉛
粉末を含有させた物質を主成分とする皮膜層を設けるこ
とを特徴とする技術を開示しているが、これらの物質だ
けでは十分な成形性が得られない。
【0011】次に(5)はカルボキシル化ポリオレフィン
樹脂、液体エポシキ樹脂、フッ素樹脂、シリカとを含有
することを特徴とする有機複合皮膜に関したものである
が、フッ素樹脂が撥水撥油性も併せ持つため、この皮膜
に上塗り塗装をする場合、塗装不良や密着不良を起すと
いった問題を有している。又、下地処理として塗布型ク
ロメートを使用し、クロメート皮膜を形成させ、ついで
(5)に開示されている樹脂組成物を塗装する場合、該樹
脂組成物が水系のため、その組成物に下地皮膜からのク
ロム化合物がこの組成物の塗工時に組成物中に溶出し
て、該樹脂組成物の安定性をそこねるといった問題を有
しているのである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した従
来技術の問題点を解決するため、クロメート処理やリン
酸塩処理などの金属表面処理により形成された皮膜の上
に本発明の金属表面処理組成物を塗布しても該組成物へ
の下地皮膜からの溶出が極めて低く処理安定性に優れ、
かつ金属素材に成形性、高耐食性、上塗り塗料との良好
な密着性、及び指紋などに対する耐汚染性を付与でき、
かつアルカリ脱脂工程、溶剤脱脂工程を経ても、上記特
性が低下しない優れた組成物を提供することを目的とす
る。
【0013】さらに本発明は、皮膜が上記特性のほか、
電着性、溶接性にも優れた性能を発揮する被覆金属材を
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれ等の問
題点を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、請求項
1,2,5に記載の発明(以下第1発明と略記する)、す
なわちウレタン樹脂とパラフィンワックス、ポリエチレ
ンワックス、脂肪酸アミド、脂肪酸アミド誘導体から選
ばれる1種または2種以上と有機溶剤とからなる非水系
被覆組成物、及び請求項3,4,5に記載の発明(以下
第2発明と略記する)、すなわちウレタン樹脂とパラフ
ィンワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、
脂肪酸アミド誘導体から選ばれる1種または2種以上と
シリカと有機溶剤とからなる非水系被覆組成物を完成す
るに至った。
【0015】さらに該組成物の塗布量を乾燥皮膜量で、
0.5〜3.0g/m2とすることにより、電着性、溶
接性にも優れた、被覆金属材が得られることを知得し
て、請求項6,7に記載の発明(以下第3発明と略記す
る)をなすに至った。図1は本発明の被覆金属材で乾燥
皮膜量と性能(耐食性、電着性)との関係を示す図であ
る。
【0016】先ず、第1発明の組成物に関し詳細に説明
する。ウレタン樹脂としては特定するものではないが、
特に好ましいものとして、1液型のブロック剤を使用し
た熱硬化タイプ、2液型のポリオール硬化タイプのもの
を挙げることができる。1液型のブロック剤を使用した
熱硬化タイプのウレタン樹脂とは、下記に示すイソシア
ネート化合物のイソシアネート基をフェノール、クレゾ
ール、芳香族第2アミン、第3級アルコール、ラクタ
ム、オキシムなどの単官能のブロック化剤でブロックし
たものである。
【0017】イソシアネート化合物としては、トリレン
ジイソシアネート、ジフェニルメタジイソシアネート、
キシリレンジイソシアネートなどを芳香族系ジイソシア
ネート、及びそれらの水素添加誘導体である脂環族イソ
シアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネートなどの脂肪族、脂環族イソシ
アネート、及びこれら脂肪族、脂環族イソシアネートの
二量体、三量体がある。又、これらのイソシアネート化
合物とポリエーテルポリオールやポリエステルポリオー
ルなどを反応させたものも使用可能である。
【0018】ポリエーテルポリオールとしてはエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA
などの低分子グリコール類にエチレンオキシドやプロピ
レンオキシドなどを付加したポリオールやポリオキシテ
トラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステ
ルポリオールとしては低分子グリコール類と二塩基酸と
の脱水縮合反応によって得られるポリエステル類、およ
びε−カプロラクトンなどのラクトン類を低分子グリコ
ールの存在下で開環重合したラクトンポリオール類が挙
げられる。2液型のポリオール型硬化タイプは前記のイ
ソシアネート化合物とポリエステルポリオール、ポリエ
ーテルポリオールとを使用時に調合するものである。
【0019】これらのウレタン樹脂のなかで特に好まし
くは、ブロック化されたイソシアネート基のほか同一分
子中に水酸基、第3級アミノ基などを含有したウレタン
樹脂である。この製造方法としては種々考えられるが、
第3アミノ基含有ポリオールにブロック化イソシアネー
ト基を少なくとも1個と遊離のイソシアネート基を少な
くとも1個有するイソシアネート化合物を反応させる方
法が最も一般的である。
【0020】また、この際使用するアミノ化ポリオール
としては、トリエタノールアミン、トリプロパノールア
ミン、トリブタノールアミンなどのトリアルカノールア
ミン類や、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、
ヘキサメチレンジアミンにエチレンオキシド、プロピレ
ンオキシドやブチレンオキシドを反応して得られるポリ
アルキレンポリアミンのアルキレンオキシド付加物、ま
たはジ(メチルアミノ)シクロヘキサンやキシリレンジア
ミンなど脂環族、芳香族ポリアミンにアルキレンオキサ
イドを付加させた反応物などが使用される。
【0021】さらに、これらアミノ化ポリオールとジイ
ソシアネート化合物、更には、これらのアミノ化ポリオ
ールとジイソシアネート化合物の反応物(例えばトリエ
タノールアミン2モルとトリレンジイソシアネートの反
応物)やエポキシ樹脂とジアルカノールアミンとの付加
物(例えばエポキシ樹脂2当量とジエタノールアミン2
モルとの付加物)なども第3級アミノ基含有ポリオール
として使用できる。尚、本発明被覆組成物の皮膜を若干
改質するために、ウレタン樹脂以外の任意の樹脂を選ん
で少量組成物に配合することを本発明は拒むものではな
い。
【0022】成形性を付与するための成形改良剤は、ポ
リエチレンワックス、パラフィンワックス、脂肪酸アミ
ド、および脂肪酸アミド誘導体に限定される。ポリエチ
レンワックスとしては、高圧法低分子量ポリエチレン、
低密度ポリエチレンの熱分解物、低圧法ポリエチレンの
副生物、低圧直接重合法ポリエチレン、及び酸化などの
方法で分子中にカルボン酸基、水酸基を導入したものが
挙げられる。パラフィンワックスは石油系ワックスの一
種類であり、パラフィン基原油の軽質の留分から得られ
るものである。脂肪酸アミドはステアリン酸、オレイル
酸、リノレン酸などの高級脂肪酸にアミド基を導入した
もので、通常これらの高級脂肪酸混合物のアミド化物と
して使用される。また脂肪酸アミド誘導物としてはパラ
ホルムアルデヒドと脂肪酸アミドとの反応物がある。こ
れらの固体成形改良剤は単独でも使用できるが、2種以
上併用することによりさらに成形性を向上させることが
できる。
【0023】本発明の第3限定成分であるシリカは現在
一般に市販されている非水溶媒型シリカゾル及びフュー
ムドシリカを使用でき、非水溶媒型シリカゾルとしては
水分散シリカゾルをイソプロパノール、ブタノール、エ
チレングリコール、モノエチルエーテル、キシレンなど
の有機溶剤で分散媒を置換したものが挙げられ、フュー
ムドシリカとしては、例えば日本アエロジル(株)のアエ
ロジル200,R−972が挙げられる。
【0024】固体成形改良剤の配合量は、全固形分中3
〜40重量パーセントの範畴が好ましい。3重量パーセ
ント未満では十分な潤滑効果が得られない。また41重
量パーセント以上では耐食性、及び上塗り塗料との密着
性が低下する。
【0025】ウレタン樹脂の配合量は第1発明では固体
成形改良剤の配合量により規定される。すなわち全固形
分中97〜60重量パーセントの範囲となる。また第2
発明では全固形分中50重量パーセント以上である必要
がある。配合量が50重量パーセント未満の場合、成形
性、耐食性、上塗り塗料との密着性のいずれも低下す
る。配合量が50重量以上の場合、その量は固体成形改
良剤、及びシリカの量により規定される。上限は94重
量パーセントとなる。
【0026】第2発明中のシリカの配合量は本発明にて
特定するものではないが全固形分中3〜40重量パーセ
ントが好ましい。3重量パーセント未満では十分な耐食
性の向上効果が得られず、40重量パーセント以上では
成形皮膜の潤滑性を損なう傾向を示し、また皮膜がアル
カリ脱脂工程を経た場合、耐食性が著しく低下する傾向
を示す。
【0027】本非水系被覆組成物には、その目的性能を
害さない範囲に於いて、一般に塗料に添加される成分、
すなわち、体質顔料、着色顔料、防錆剤、顔料分散剤、
沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、増粘
剤などの各種添加剤を添加し得るものであって、本組成
物はこれ等の成分の任意配合を拒むものではない。
【0028】また使用する溶剤についてはウレタン樹
脂、固体成形改良剤、シリカを希釈、または分散できる
ものであればいずれの溶剤でも使用でき、特に限定する
ものではない。一般に塗料に使用される各種溶剤を用い
ることができ、この溶剤の配合により適当な濃度、粘度
を有する本発明組成物として調整することができる。
【0029】本発明の組成物を塗布して恰適な被覆金属
たり得るものとしては、鉄、亜鉛、アルミニウム、錫、
銅、及びこれらの金属の合金類(合金金属として例えば
亜鉛、アルミニウム、クロム、ケイ素、コバルト、ジル
コニウム、錫、チタン、鉄、鉛、ニッケル、マグネシウ
ム、マンガン、モリブデン、リンなどの1種、又は2種
以上の金属材)およびこれらのめっき材料が挙げられ
る。
【0030】さらに、耐食性向上、上塗り塗料との密着
性向上のため、上記金属素材の表面に本発明の組成物被
覆前に公知のリン酸塩処理、クロメート処理または陽極
処理を施すことが好ましい。
【0031】金属素材の形状は特定されず、板状、コイ
ル状、棒状、線状、などの形状の金属材を使用できる。
また塗布方法も公知の方法、例えばハケ塗り、スプレー
塗布、ロール塗布、浸漬塗布などの方法が適用できる。
本発明組成物を塗布した後の乾燥,硬化方法は、特に限
定されず公知の熱風炉、赤外線炉、高周波炉などが使用
可能である。
【0032】被覆膜は乾燥皮膜量で0.5〜3.0g/
2が好ましく、0.5g/m2未満の場合は特に成形
性、耐食性、指紋などに対する耐汚染性が十分でない。
また、乾燥皮膜量が3.1g/m2以上の場合、皮膜の
導電性が著しく低下し、溶接性、電着性が低下するなど
の知見を得るに到り、第3発明を完成するに到った。図
1はこれを立証するもので、本発明の被覆金属材で乾燥
皮膜量と性能の関係を示すもので、本発明中の第3の発
明の効果を示す。すなわち、乾燥皮膜量が0.5g/m
2未満の場合、耐食性が劣り、3.1g/m2以上の場
合、電着性が劣る結果となった。
【0033】前述のように従来技術と比較し本発明の組
成物によって形成される皮膜は、成形性、上塗り塗料と
の密着性、及び塗布時の安定性が優れている。これらの
優れた特性は、膨大な実験、すなわち有機樹脂の検討、
成形改良剤の検討、及びこれらの組み合わせの実験の結
果得られたもので、現在必ずしもこれらの効果について
十分な説明がなされていない。しかし、その高い成形性
に関してはウレタン樹脂のもつ分子構造と本発明で限定
される固体成形改良剤の特性との相乗作用ではじめて達
成された特性値であると推定される。
【0034】一般的に成形加工のメカニズムは、プレス
油などの潤滑油を使用した成形加工の場合、潤滑油がミ
クロプールを形成し、境界潤滑部での凝着を防止するこ
とで成形加工が可能になると考えられているが、本発明
中のパラフィンワックスなどの固体成形改良剤は成形加
工時の発生熱により融解し、ミクロプールを形成すると
考えられている。このミクロプール形成の形態は使用す
る固体成形改良剤の特性、及び固体成形改良剤を皮膜に
含有するための樹脂の特性によって決定される。従っ
て、固体成形改良剤の融点や化学的特性、及び樹脂の延
び性、素地に対する密着性の他、皮膜を形成したときの
固体成形改良剤と樹脂との相溶性の程度などが重要であ
ると考えられる。また、上塗り塗料の塗装性、密着性に
ついても、一般的には潤滑剤を配合することにより、著
しく低下する性質の特性値であるが、本発明の組成物に
よる皮膜は皮膜表面がすべて成形改良剤によって覆われ
ず、一部分のみ露出しているような表面構造が推定さ
れ、この特性値についても本発明で特定される成形改良
剤とウレタン樹脂を使用してのみ達成できる。
【0035】また塗布時の安定性については、本発明の
組成物を非水系とすることにより、本発明組成物の下地
表面処理としてのクロメート皮膜、リン酸塩皮膜から溶
出するクロム酸、クロム化合物、及びリン酸塩類などの
無機化合物の本発明組成物に対する溶解性が著しく低下
した。このため、これら無機化合物が混入して、本発明
の組成物の安定を阻害することがなく、塗布時の安定性
が優れている。
【0036】カチオン電着性、溶接性に関しては、その
皮膜厚さが大きな支配因子と考えられるが、組成的には
ウレタン樹脂がカチオニックな樹脂であるために、被塗
物が陰極となるカチオン電着塗装時に本発明の組成物に
よる皮膜中を電荷が容易に流れるためとも考えられ、そ
のカチオン電着性が良好である。また、溶接性に関して
も、同じ理由で通電性が良好で溶接性に優れていると考
えられる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。
【0038】 本発明の組成物(No1〜No8)、および比較組成物
(No9〜No17)の製造 −1:本発明の組成物(No1)の製造。 ウレタン樹脂(マイテック・コートBL100、三菱化成
工業(株)製、同一分子中にブロック化されたイソシアネ
ート基、水酸基および第3級アミノ基をそれぞれ1個以
上含有するウレタン樹脂、不揮発分:65%)25.6
gと下記の方法により得られた溶剤に分散したパラフィ
ンワックス(不揮発分:15%)26.7gとを混合し、
ソルベッソ150(エッソスタンダード石油(株)製)4
8.7gを希釈溶剤として加え、不揮発分:20%の非
水系被覆組成物を得た。パラフィンワックスの溶剤分散
物は、パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、商品名1
55、M.P.=70℃)15gを加熱還流下、酢酸エ
チル85gに溶解し、これを25℃まで徐冷し、得た。
【0039】 −2:本発明の組成物(No3)の製造。 マイテックコートBL100(18.5g)と前記の方法
により得られたパラフィンワックスの溶剤分散物(2
6.7g)と非水溶媒型シリカゾル(オルガノシリカゾル
XBA−ST、日産化学工業(株)製、不揮発物20%)
20gとにソルベッソ150(エッソスタンダード石油
(株)製)34.8gを希釈溶剤として加え、不揮発分:
20%の非水系被覆組成物を得た。
【0040】 −3:本発明の組成物(No2およびNo4〜8)および
比較組成物(No9〜No17)の製造。
【0041】表1に示す量の有機樹脂、潤滑剤および防
錆剤を配合し、本発明の組成物(No1)と同様な方法
で、本発明の組成物および比較組成物を製造した。
【0042】 本発明の組成物および比較組成物を塗布した処理材
の製造。 −1:被塗物の作成。 ファインクリーナ4336(日本パーカライジング(株)
製)を使用して脱脂した電気亜鉛めっき鋼板(目付量:2
0/20 g/m2)およびニッケル−亜鉛合金めっき鋼
板(目付量:20/20 g/m2)にジンクロムR14
15A(日本パーカライジング(株)製)をロールコータに
て塗布し、次に雰囲気温度360℃で10秒間乾燥(到
達板温:100℃)することにより、クロム付着量50
mg/m2のクロメート処理材を得た。 −2:本発明の組成物の塗布および比較組成物の塗布
(本発明の実施例および比較例)。 表1に示した組成物をパーコーターで、−1のクロメ
ート処理材に塗布し、雰囲気温度360℃で30秒間
(到達温度:210℃)乾燥した。本発明の組成物を塗布
した処理材および比較組成物を塗布した処理材の性能を
表2に示す。また図1に該非水系被覆組成物の乾燥皮膜
量と性能との関係を、組成物が表1のNo1で金属材料
が電気亜鉛めっき鋼の例について、示した。
【0043】 試験方法および評価基準(上塗り塗装を実施しない
場合) −1 成形性(深絞り試験) ブランク径:95mmφ、ポンチ径:40mmφ、しわ
押え圧:1.0tの条件でスイフト(Swift)深絞り
試験を実施した(絞り比:2.45)。下記の評価基準で
評価した。深絞り試験機は東京衡機TF−102−12
型を使用した。 ○:絞り抜け。ビルドアップなどの現象もない。 ×:絞り抜けず。 −2 耐食性 JIS・Z−2371による塩水噴霧試験を実施し、試
験時間:500時間および1000時間での白サビ発生
状況を評価した。 ○:白サビ発生が全面積の10%未満である。 △:白サビ発生が全面積の10〜30%である。 ×:白サビ発生が全面積の31%以上である。 −3 溶接性 下記の条件で形成された皮膜の層間抵抗値を測定した。
測定装置:COREPLATE ENAMEL TES
TER(GARDNER ASSOCIATES.In
c製)、加電圧:0.5V,荷重:150g。下記の評
価基準で評価した。 ○:層間抵抗値 6.0Ω・cm2以下 ×:層間抵抗値 6.1Ω・cm2以上 −4 電着性 下記条件でカチオン電着塗料を用いその焼付け後塗膜外
観を目視で評価した。 塗料:関西ペイント(株)製、HB−2000L、塗膜
厚:20μm 電着条件:極間距離15cm、加電圧350V、液温2
5℃、2分間通電 焼付け:175℃×30分、試験片:1.05dm2 ○:試験片にピンホールなどの異常がない。 △:試験片にピンホールなどの異常がわずかにある(1
0個未満) ×:試験片にピンホールなどの異常がある(10個以上) 試験方法および評価基準(上塗り塗装の実施する場
合)。 −2でのべた方法で作成した本発明の組成物の処理材
および比較組成物の処理材に下記の上塗り塗装を実施
後、その塗膜性能を試験した。 −1 上塗り塗装 塗装1:デリコン#700、(大日本塗料(株))、アミノ
−アルキッド系、塗膜厚:30μm、塗装方法:バーコ
ード、焼付け:140℃×20分 塗装2:前記−4で述べたカチオン電着塗料を塗装し
た。 −2 上塗り塗料の密着性 前記塗装1について、1mm四方、100個のマスを刻
み、エリクセン試験機で5mm押し出した後、テープ剥
離し、上塗り塗料の残存する目数を測定した。 ○:残存目数100〜90 ×:残存目数89以下 前記塗装2については、1mm四方、100個のマスを
刻み、テープ剥離し、塗料の残存する目数を測定した。
評価基準は塗装1と同一とした。 −3 耐食性 カッターナイフで塗膜に、メッキ素地まで達するキズを
入れ、JIS・Z−2371による塩水噴霧試験を実施
した。試験時間500時間および1000時間でのカッ
ト部からの最大サビ幅(mm)を測定した。 ○:片側最大サビ幅10mm以下 ×:片側最大サビ幅11mm以上 表にみられる如く、本発明の実施例は、形成性が優れ、
また耐食性や上塗り塗料密着性も極めて良好であった。
本発明の組成物中で特にNo3の組成物は耐食性が優
れ、上塗り塗料なしで塩水噴霧試験を行った場合でも、
電気亜鉛めっき鋼板の場合500時間で、ニッケル−亜
鉛合金めっき鋼板の場合、1000時間で白錆の発生が
全くなかった。即ち第一の発明の非水系被覆組成物にシ
リカを添加した第二の発明の非水系被覆組成物は、第一
の発明より、1000時間での耐食性が一層改良されて
いる。尚本発明の実施例は何れも、十分な耐指紋性を備
えていた。
【0044】一方、比較組成物No9は成形改良剤とし
てカルナバワックスを使用した場合で、成形性は良好で
あったが、上塗り塗料の密着性が劣り、塗装後の耐食性
も劣った。比較組成物No10〜14も成形改良剤とし
て本発明の範囲外の成形改良剤を使った場合であり、N
o10〜13では成形性、塗料密着性とも劣っていた。
No14では成形性は良好であったが、塗料密着性が劣
っていた。比較例No15〜17はウレタン樹脂以外の
樹脂を使用した場合であり、成形改良剤としてポリエチ
レンワックスを使用してもその成形性は劣っていた。
【0045】
【表1】
【0046】 *1:組成部物中の固形分比(%) *2:マイテック・コートBL100(三菱化成工業
(株)) *3:155、分散溶剤:酢酸エチル、(日本精蝋(株)) *4:三井ハイワックス220P、分散溶剤:トルエン
(三井石油化学工業(株)) *5:XBA−ST、オルガノシリカゾル(日産化学工
業(株)) *6:アマイド−6S、分散溶剤:ブチルセルソルブ、
(川研ファインケミカル(株)) *7:エラストロンM−2164−ブロック化イソシア
ネート含有ウレタン樹脂(第一工業製薬工業(株)) *8:カルナバワックス1号、分散溶剤:ブチルセルソ
ルブ、((株)加藤洋行) *9:Hi−Mic−1080、分散溶剤:ブチルセルソ
ルブ、(日本精蝋(株))* 10:ヘキストワックスE、分散溶剤:ブチルセルソル
ブ、(ヘキスト・ジャパン(株)) *11:二硫化モリブデンパウダー、平均粒径0.8μ
m *12:窒化ホウ素パウダー、平均粒径5〜10μm *13:テトラフルオロエチレン粉末、粒径12μm以
下 *14:エポキー802−30CX(三井東圧化学(株)) *15:アルマテック749−17AE(三井東圧化学
(株))、硬化剤として有機樹脂成分中ユーバン20SE
60(三井東圧化学(株)、アミノ樹脂)を23重量%(固
形分比)及びエピコート1001(油化シェル(株)、エポ
キシ樹脂)を13重量%(固形分比)配合 *16:アルマテックP646(三井東圧化学(株)、硬
化剤として有機樹脂成分中、ユーバン20SE60を1
0重量%(固形分比)、及びエピコート1001を5重量
%(固形分比)配合。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明組成物を用
いることにより、金属素材に、プレス油などを塗布せず
に成形が可能となり、また耐食性、上塗り塗料との密着
性、指紋などに対する耐汚染性を付与することができ、
金属加工、金属塗装の分野で多大な工程省略のメリット
が得られる。また、該被覆組成物を金属表面に塗布し
て、0.5〜3.0g/m2の乾燥皮膜を形成させた該
被覆金属材は、上記特性の他に良好な電着塗装性、溶接
性などの性能を発揮するので、金属加工、金属塗装の分
野で多大なメリットを提供できるのである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の被覆金属材で、乾燥潤滑皮膜量と性能
の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 105:68 125:26) C10N 30:00 C 30:12 40:20 Z 50:02 50:08 80:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウレタン樹脂と、パラフィンワックス、ポ
    リエチレンワックス、脂肪酸アミドおよび脂肪酸アミド
    誘導体から選ばれる1種または2種以上と、有機溶剤と
    からなる非水系被覆組成物。
  2. 【請求項2】ウレタン樹脂の固形分が全固形分中60〜
    97重量%、パラフィンワックス、ポリエチレンワック
    ス、脂肪酸アミドおよび脂肪酸アミド誘導体から選ばれ
    る1種または2種以上が全固形分中3〜40重量%であ
    る請求項1に記載の非水系被覆組成物。
  3. 【請求項3】ウレタン樹脂と、パラフィンワックス、ポ
    リエチレンワックス、脂肪酸アミドおよび脂肪酸アミド
    誘導体から選ばれる1種または2種以上と、シリカと、
    有機溶剤とからなる非水系被覆組成物。
  4. 【請求項4】ウレタン樹脂の固形分が全固形分中50〜
    94重量%、パラフィンワックス、ポリエチレンワック
    ス、脂肪酸アミドおよび脂肪酸アミド誘導体から選ばれ
    る1種または2種以上が全固形分中3〜40重量%、シ
    リカが全固形分中3〜40重量%である請求項3に記載
    の非水系被覆組成物。
  5. 【請求項5】ウレタン樹脂が、ブロック化されたイソシ
    アネート基、水酸基、および第3級アミノ基を同一分子
    中にそれぞれ少なくとも1個以上含有するブロック化イ
    ソシアネート含有ウレタン樹脂である請求項1または2
    または3または4に記載の非水系被覆組成物。
  6. 【請求項6】金属表面に、請求項1または2または3ま
    たは4または5に記載の非水系被覆組成物を乾燥皮膜と
    して0.5〜3.0g/m2形成させたことを特徴とす
    る被覆金属材。
  7. 【請求項7】金属表面が予めリン酸塩処理、クロメート
    処理または陽極処理を施した金属表面であることを特徴
    とする、請求項6に記載の被覆金属材。
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