JPH0832907B2 - 除膜不要型潤滑組成物及び潤滑処理鋼板の製造方法 - Google Patents

除膜不要型潤滑組成物及び潤滑処理鋼板の製造方法

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JPH0832907B2
JPH0832907B2 JP2249993A JP24999390A JPH0832907B2 JP H0832907 B2 JPH0832907 B2 JP H0832907B2 JP 2249993 A JP2249993 A JP 2249993A JP 24999390 A JP24999390 A JP 24999390A JP H0832907 B2 JPH0832907 B2 JP H0832907B2
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resin
lubricating
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steel sheet
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良治 森田
治 古山
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、加工性及び防錆性に優れた除膜不要型潤滑
組成物及びこれを用いた潤滑処理鋼板に関するものであ
る。
[従来の技術] 従来、冷延鋼板または亜鉛系めっき鋼板は、例えば家
電、自動車、建材等の加工組立メーカーで多用されてい
るが、少なからず成型加工が行われた後、塗装組立が行
われている。この成型加工の工程で、素材自体の加工性
では不十分のため、プレス油に代表される潤滑剤を現場
で塗布することにより、目的とする成型加工性を達成し
ている。しかしこの後、塗装組立を行う場合、塗布され
た潤滑剤を脱脂工程で除去することが不可欠であるとい
う煩雑な工程が必要である。
近年、省工程化、コスト低減、作業環境改善の目的
で、予めワックス系潤滑剤を鋼板表面に塗布した素材を
使用することによって成型加工工程でのプレス油の使用
をなくした鋼板が製造されている。しかし、塗布された
潤滑剤は、次工程の塗装組立工程で除去が必要である。
ワックス系潤滑剤が塗布された素材をプレスする環境
は、プレス油の場合より改善されるが良好とは言えな
い。このため、さらに適切な潤滑表面を有した機能性表
面処理鋼板が開発されてきた。この鋼板は表面に、有機
樹脂を主成分とし潤滑性を付与した組成物の薄膜が塗布
されたもので、プレス油などの潤滑剤の塗布を必要とせ
ず成型加工が可能で、かつその後の脱脂工程及び塗装下
地処理を必要としない表面処理鋼板である。
この機能性表面処理鋼板にかかわる従来技術として、
(1)特公昭63−25032、(2)特開昭62−289274、
(3)特開昭61−227178、特開昭61−227179、特開昭61
−231177、特開昭61−279687、特開昭62−33781、
(4)特開昭60−103185、(5)特開昭63−83172で開
示されている技術があるので以下これらの従来技術につ
いて概説する。すなわち(1)は、水溶性または水分散
性の有機樹脂、アルコキシシラン化合物及びシリカから
なる有機−無機複合体反応物と潤滑剤を主成分とする潤
滑性塗膜形成用水系組成物に関するものであるが、有機
−無機複合体反応物の皮膜は可とう性が劣るため、潤滑
成分を含有しても高速成型加工には皮膜が追従せず潤滑
性が不十分である。(2)は、ウレタン系樹脂帯び二酸
化珪素の複合物質または混合物質を主成分とする皮膜層
に関するものであるが、この成分系の皮膜では本発明者
が目標とした高潤滑性は達成できない。(3)は、潤滑
剤として黒鉛または二硫化モリブデンの無機系固体潤滑
剤あるいは潤滑油との混合系を選定しているが、動摩擦
係数が0.1以上であり強度の成型加工には不十分であ
る。(4)は、2層クロメート処理鋼板に関するもので
あるが、ベース樹脂であるウレタン変性のビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂の可とう性はウレタン変性により大
きく向上するがビスフェノールA型骨格の特性もあって
不十分であり、潤滑成分を含有しても高速成型加工には
皮膜が追従せず潤滑性が不十分である。(5)は、エポ
キシ樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリル樹脂から選
ばれる有機樹脂と硬化剤成分からなる樹脂組成物に潤滑
性物質を配合する組成物に関するものであるが、この樹
脂組成物ベースで達成される加工性では、本発明者が目
標とした強度の成型加工には不十分である。
[発明が解決しようとする課題] 前記の従来の技術で説明した如く、従来の潤滑皮膜に
は、イ.成形加工後に鋼板表面から除去する(本明細書
では除膜と略記する)潤滑皮膜がある。この除膜型の場
合は、除膜後に、防錆のためのあるいは塗装下地のため
の、例えばリン酸塩皮膜を再度形成する。除膜を行うこ
となく、成形加工後にも潤滑皮膜を防錆・塗装下地のた
めの皮膜として用いることができると(本明細書では除
膜不要型と略記する)、除膜工程と、防錆・塗装下地の
ための皮膜の形成工程が不必要となるために好ましい。
ロ.除膜不要型の潤滑皮膜は、十分な潤滑性を有すると
共に、成形加工後も十分な耐食性や、溶接性や耐薬品性
を備えている事が好ましい。従来の除膜不要型の潤滑皮
膜は強度の成型加工性が不十分であるため、更に性能が
優れているものが望まれている。ハ.除膜不要型の潤滑
皮膜は、成型後はそのまゝ防錆皮膜となりあるいは塗装
下地皮膜となる。塗装下地皮膜となる場合は表面が塗料
で覆われるために成型加工後の潤滑皮膜の外観の重要性
は少ない。しかし、防錆皮膜の場合は成型加工後の潤滑
皮膜が商品の外観となる。従って成型加工に際して、加
工量の異なる部分に色むらや色調差を発生させない性質
を有する潤滑皮膜が更に好ましい。本発明はこれ等の問
題点を解決する事を課題としている。即ち除膜不要型で
あって、成型加工に際して強度の成型加工性すなわち優
れた潤滑性を有し、かつ成型後も優れた耐食性、溶接
性、耐薬品性に優れた潤滑皮膜を形成する事を課題とし
ている。本発明は更に、除膜不要型であって成型加工に
際して色むらや色調差を発生しないために、成型後に防
錆皮膜としての外観性を有する表面処理鋼板の製造方法
の提供を課題としている。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明は、(1)冷延鋼板または亜鉛系めっき鋼板の
表面にクロメート皮膜を形成させたクロメート鋼板の表
面に潤滑性皮膜を形成するために用いる除膜不要型潤滑
組成物であって、該除膜不要型潤滑組成物は樹脂と潤滑
添加物を主成分として含有するものであり、該樹脂はウ
レタン系樹脂を全樹脂量に対して固型分重量比で30〜95
重量%とさらにアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂のうち
1種又は2種を含有するものであり、該潤滑添加物はケ
ン化価が30以下のワックスであることを特徴とする、除
膜不要型潤滑組成物であり、また(2)エポキシ系樹脂
が、サルファイド骨格(S−S)を分子主鎖中に持つエ
ポキシ系樹脂である前記(1)に記載の除膜不要型潤滑
組成物であり、また、(3)ワックスは、エステル結合
を持たずケン化価が0のワックスである前記(1)に記
載の除膜不要型潤滑組成物であり、また(4)冷延鋼板
または亜鉛系めっき鋼板の表面にクロメート皮膜を形成
させたのち、その表面に、樹脂と潤滑添加物を主成分と
して含有する除膜不要型潤滑組成物であって、該樹脂は
ウレタン系樹脂を全樹脂量に対して固型分重量比で30〜
95重量%とさらにアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂のう
ち1種又は2種を含有するものであり、該潤滑添加物は
ケン化価が30以下のワックスである除膜不要型潤滑組成
物を塗布して、0.5〜5g/m2の潤滑性皮膜を形成させるこ
とを特徴とする潤滑処理鋼板の製造方法であり、また
(5)前記クロメート皮膜がクロムイオン、シリカ及び
リン酸を含有しかつ(Cr3+/totalクロムイオン)が0.3
〜0.6の処理液で形成したクロメート皮膜である事を特
徴とする、請求項(4)に記載の潤滑処理鋼板の製造方
法である。
本発明者らは、強度の成型加工性と耐食性の両者を満
足するものを達成するために、鋭意研究を重ねた結果、
本発明すなわち樹脂と潤滑添加物を主要成分として含有
する除膜不要型潤滑組成物に於て、ウレタン系樹脂、ア
クリル系樹脂、エポキシ系樹脂のうち1種又は2種の樹
脂と、潤滑添加物とケン化価が30以下のワックスとを含
有することを特徴とする加工性及び防錆性に優れた潤滑
組成物に関する発明と、この潤滑組成物の下地処理とし
てクロメート皮膜を形成したのち、ウレタン系樹脂とア
クリル系樹脂、エポキシ樹脂のうち1種又は2種の樹脂
と潤滑添加物としてケン化価が30以下のワックスとを含
有する潤滑組成物を塗布して、加工性、防錆性及び外観
性に優れた表面処理鋼板に関する発明を完成するに至っ
た。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の骨子は、ベース樹脂の適切な組合せ選択とか
つ特定したワックスを併用することおよび特定の下地処
理を組み合わせることにある。
樹脂としては、密着性、伸び、せん断強度、耐食性、
耐摩耗性、耐薬品性のバランスの取れた成分にする必要
がある。これらの性能を満足するためには、単なる熱可
塑性樹脂では充分な性能を発揮せず、熱硬化型の次にあ
げる種類の樹脂の組合せ使用が必要である。ウレタン系
樹脂とアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂のうち1種又は
2種の樹脂を含有した樹脂系で、特に好ましくはエポキ
シ樹脂が、サルファイド骨格(S−S)を分子主鎖中に
持つ構造である樹脂系である。この組み合わせた樹脂系
は、たとえばウレタン樹脂のイソシアネート基とアクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂のもつ反応性官能基(水酸基、カ
ルボキシル基、エポキシ基など)との架橋反応により高
分子化して成膜する。
この架橋反応は組み合わされた樹脂系だけでも進行す
るが、必要によって硬化剤と呼ばれるイソシアネート化
合物またはアミノ化合物などを配合することがある。良
好な薬剤安定性のためには、架橋反応が常温で進行せず
加熱時に進行するようにたとえばウレタン樹脂のイソシ
アネート基をブロック化した樹脂系を使用することが、
好ましい。
ウレタン樹脂のイソシアネート基をブロック化する物
質として、フェノール、クレゾール、芳香族第2アミ
ン、第3級アルコール、ラクタムオキシムなどの単官能
のブロック剤がある。イソシアネート基を有するウレタ
ンポリマーは、トリレジイソシアネート、ジフェニルメ
タジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなど
の芳香族ジイソシアネートおよびそれらの水素添加誘導
体である脂環族イソシアネートおよびヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂
肪族脂環族および脂肪族脂環族イソシアネートの2重
体、3重体とポリエーテルポリオールやポリエステルポ
リオールとを反応させたものである。ポリエーテルポリ
オールとしては、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ビスフェノールAなどの低分子グリコール類に
エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどを付加
したポリオールやポリオキシテトラメチレングリコール
などが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、
低分子グリコール類と2塩基酸との脱水縮合反応によっ
て得られるポリエステル類およびε−カプロラクトンな
どのラクトン類を低分子グリコールの存在下で開環重合
したラクトンポリオール類が挙げられる。これらのブロ
ック化されたイソシアネート化合物の形態を有したウレ
タン樹脂系は、加熱により自己架橋するが、塗膜性能と
してさらに加工性、耐薬品性および耐食性を向上させる
方法として、たとえばこのイソシアネート構造を有した
樹脂系と反応性の官能基(水酸基、カルボキシル基、エ
ポキシ基など)を有するアクリル系樹脂またはエポキシ
系樹脂とを配合して加熱架橋して機能性を向上させる方
法がある。配合して機能性を向上させる方法が、硬化剤
としてイソシアネート化合物を使用する方法またはウレ
タン樹脂のアクリル変性またはエポキシ変性を行った変
性物単独の架橋成膜方法より加工性、耐食性、耐薬品性
の大幅な向上が図れることを見いだした。
反応性の官能基(水酸基、カルボキシル基、エポキシ
基など)を有するアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂の配
合量としては、全樹脂量に対して固型分重量比で5〜70
%(すなわちウレタン系樹脂の配合量が残りの95〜30
%)が適切である。アクリル系樹脂の配合効果としては
加工性、耐食性向上が大きい。エポキシ系樹脂は、耐薬
品性、耐食性向上効果は大きいが一般に硬く伸びが小さ
いため加工性向上効果は小さい。特に好ましくはサルフ
ァイド骨格(S−S)を分子主鎖中に持つ構造のエポキ
シ樹脂を選択して配合することにより、耐薬品性、耐食
性向上が大きいうえに加工性が大幅に向上することを見
いだした。これは、サルファイド骨格(S−S)による
ゴム的物性効果によるものである。しかし、これらの樹
脂系皮膜のみでは目的の加工性を達成することはできな
いため、潤滑添加物の併用が必要である。
潤滑添加物として、ケン化価が30以下のワックスを使
用することが加工性を大きく向上させ、かつ加工後の耐
食性、耐薬品性等の性能を達成する方法である。加工性
を向上させる潤滑添加物としては、公知の炭化水素系、
脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石鹸
系および無機系等の滑剤があるが、添加した滑剤が成膜
した樹脂膜に分散して存在するよりも樹脂膜表面に存在
するような物質を選択するのが、成型加工物の表面と金
型の摩擦を低減させ潤滑効果を最大限発揮する方法であ
る。滑剤が成膜した樹脂膜に分散して存在する場合、表
面摩擦係数が高く樹脂膜が破壊されやすく粉状物質が剥
離堆積してパウダリング現象と言われる外観不良および
加工性低下を生じる。樹脂膜表面に存在するような物質
として、樹脂に相溶しなくかつ表面エネルギーの小さい
ものが選ばれる。これらの物質として、ケン化価が30以
下のワックスまたはフッ素化合物がある。ワックスのう
ちケン化価が30以上のものは、極性が大きく樹脂に相溶
しやすいため成膜時樹脂表面に存在しにくく潤滑効果が
充分とはならない。特に好ましくは、樹脂との相溶性の
より小さいエステル結合を持たないケン化価が0のワッ
クスが適切である。このワックスとして、パラフィン、
マイクロクリスタリンまたはポリエチレン系の非酸化型
ワックスがある。これらのワックスは、20μ以下の粒径
物で添加され樹脂が加熱造膜時溶融して、樹脂に相溶し
なくかつ表面エネルギーが小さいため樹脂膜表面部分に
存在し冷却時固体化するものである。
粒径が20μ以上のものは、固体化したワックスの分布
が不均一となるため好ましくない。添加する方法とし
て、トルエンなどの溶剤に分散して溶剤系樹脂に添加す
るか、あるいは非酸化型ワックスをケン化価が30以下の
酸化を行い水分散性にして水系樹脂に添加して使用す
る。潤滑添加物の量は、潤滑組成物の固形分の5〜20%
の量で添加する。5%以下の場合加工性向上効果が小さ
く、20%以上では樹脂膜の伸び及び強度の低下による加
工性低下があり適切でない。
フッ素化合物は、樹脂に相溶しなくかつ表面エネルギ
ーが小さいため樹脂膜表面部分に存在し優れた潤滑性を
有するが、前記ワックスと同等の加工性を達成するため
には、ワックスの2倍量程度の添加を必要とする。
その他の添加物として、耐食性の向上のためシリカを
潤滑組成物の固形分の15%以下の量で添加することもあ
る。15%以上の場合、樹脂膜の伸び及び強度の低下によ
る加工性低下があり適切でない。また溶接性の向上のた
め導電性物または意匠性向上のため着色顔料物を添加す
ることもある。また、沈降防止剤、レベリング剤、増粘
剤など各種添加剤を添加し得る。
前記の除膜不要型潤滑組成物を塗布する素材は、冷延
鋼板または亜鉛系めっき鋼板があげられる。耐食性をよ
り向上させるために下地処理を行うことが有効であり公
知のクロメート処理が挙げられる。本発明者らは、処理
液としてシリカ及びリン酸含有クロメート液を塗布して
皮膜を形成させることによって、耐食性だけでなく加工
性の大幅な向上が達成されかつクロメート皮膜の着色が
少ないため加工前後の色調差の小さい外観性に優れた表
面処理鋼板が得られることを見いだした。このクロメー
ト皮膜の上に除膜不要型潤滑組成物を塗布して、0.5〜5
g/m2の皮膜を形成させるのが好ましい。0.5g/m2より少
ない場合、加工性、耐食性等の性能が不十分であり、5g
/m2以上塗布された場合溶接性が低下するために適切で
ない。優れた加工性、耐食性を有しかつ成型加工後も優
れた外観性を達成する潤滑膜の下地クロメート皮膜を形
成させる処理液成分としては、例えばシリカの全クロム
に対する含有量が0.5〜4、リン酸の全クロムに対する
含有量が0.1〜2のものが好ましく、また還元クロムの
全クロムに対する含有量(Cr3+/total Crイオン)が0.3
〜0.6のものが適切である。クロメート皮膜は全クロム
で、10〜150mg/m2が好ましい。シリカの種類として液相
シリカでも気相シリカでもよい。還元クロムの作製方法
として、重クロム酸溶液に公知の還元効果のある物質を
添加する方法でよい。クロメート皮膜の全クロムは、10
mg/m2以下では耐食性及び加工性が不十分であり、150mg
/m2以上では密着性低下による加工性低下とクロム量過
多による着色のため外観性が劣り適切でない。
[実施例] 以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
1.試験片の作製 (1−1)供試材 市販の板厚=0.8mmの冷延鋼板、電気亜鉛めっき鋼板
(目付け量=20/20g/m2)を供試した。
(1−2)脱脂処理 供試材をシリケート系アルカリ脱脂剤のファインクリ
ーナー4336(日本パーカライジング(株)製)で脱脂処
理をした。
(1−3)下地クロメート処理 塗布型クロメートは、グルーブロールコーター(5cc/
m2)でクロム付着量をクロメート液の濃度により調整し
て、220℃の雰囲気温度(鋼板到達板温=100℃)で10秒
間乾燥した。反応型クロメートは、ジンクロム3367(日
本パーカライジング(株)製)でスプレー処理し水洗後
220℃の雰囲気温度(鋼板到達板温=100℃)で10秒間乾
燥した。
(1−4)除膜不要型潤滑組成物の塗布 表1に示す除膜不要型潤滑組成物をバーコーターで塗
布し、260℃の雰囲気温度(鋼板到達 板温=190℃)で
30秒間乾燥した。
2.性能試験 (2−1)加工性 高速円筒深絞り試験を、ブランク径=96mmφ、ポンチ
径=40mmφ、しわ押さえ圧=1.0Ton、深絞り速度=30m/
分の条件で実施した。このとき限界絞り比は、2.40であ
る。
<評価基準> ◎=絞り抜け、限界絞り比は、2.50も絞り抜け ○=絞り抜け ×=絞り抜けず (2−2)耐食性 JIS−Z−2731による塩水噴霧試験を冷延鋼板=240時
間、電気亜鉛めっき鋼板=500時間行い、白錆発生状況
を観察した。
<評価基準> ○=錆発生が全面積の5%未満 △=錆発生が全面積の5%以上20%未満 ×=錆発生が全面積の20%以上 (2−3)溶接性 溶接性の評価方法として、形成された皮膜の層間抵抗
値によって評価した。測定装置は、CORE−PLATE ENAME
L TESTER(GARDNER ASSOCIATES Inc.製)で加電圧=0.
5V,加重=150gの条件である。
<評価基準> ○=層間抵抗値=6.0オームcm2以下 ×=層間抵抗値=6.0オームcm2以上 (2−4)耐薬品性 耐溶接性または耐アルカリ性試験を行い、前記耐食性
の評価を行った。耐溶剤性試験は、トリクレン蒸気に3
分間浸漬する。耐アルカリ性試験は、シリケート系アル
カリ脱脂剤=20g/,60℃,5分浸漬する。
<評価基準> ○=錆発生が全面積の5%未満で性能劣化なし。
×=錆発生が全面積の5%以上で性能劣化あり。
(2−5)外観性 深絞り加工試験前後の色調を色差計で測定し、加工前
後の明度(L値)の差を評価する。
3.試験結果 表1に除膜不要型潤滑組成物一覧、表2に下地クロメ
ート一覧、表3に性能試験結果一覧を示した。
表3でNo1〜14は、冷延鋼板、亜鉛系めっき鋼板に本
発明の請求項(5)の方法でクロメート皮膜を形成させ
たのち、本発明の除膜不要型潤滑組成物を用いた表面処
理鋼板である。これ等は優れた成型加工性を有すると共
に成型加工後の鋼板は優れた耐食性、溶接性、耐薬品性
を備えている。これ等は成型加工で色むらや色調差が発
生しないために、優れた外観性を備え、潤滑皮膜は成型
加工後に防錆皮膜としても十分に使用できるものであっ
た。
表3でNo15〜No19およびNo27,28は下地処理(クロメ
ート皮膜の形成)はNo1〜14と同じであるが、除膜不要
型潤滑組成物が本発明のものではない比較例である。加
工性が不十分であり、耐食性、耐薬品性にも問題点があ
る。
表3でNo20は、除膜不要型潤滑組成物の使用量が過量
であったため溶接性が悪い。
表3でNo21は下地処理(クロメート皮膜の形成)を行
わなかった比較例であり、本発明の除膜不要型潤滑組成
物を用いているが、成型加工後の耐食性が悪く、除膜不
要型としては不適当である。
表3でNo22〜26は、本発明の請求項(5)以外の方法
で下地処理(クロメート皮膜の形成)を行い、本発明の
除膜不要型潤滑組成物を用いた例で、本発明の請求項 1〜4に相当する本発明例である。これ等は優れた成型
加工性を有すると共に成型加工後の鋼板は優れた耐食
性、溶接性、耐薬品性を備えている。しかし下地処理が
請求項(5)でないために、成型加工で色むらや色調差
が発生し、外観性が不十分である。従ってこれ等の皮膜
は、成型加工後に、そのまま防錆皮膜として使用するの
には不適当である。しかし表面を塗料で覆う塗装下地皮
膜として、十分に使用することができる。
[発明の効果] 本発明によって得られる除膜不要型潤滑組成物は、ウ
レタン系樹脂の耐摩耗特性とアクリル系樹脂、エポキシ
樹脂を併用することによる耐食特性、耐薬品特性が向上
する効果と樹脂と相溶しないワックスの潤滑特性効果を
もつものであり、除膜不要型潤滑組成物の下地処理とし
て、クロメート皮膜の作用により、強度の成型加工性す
なわち優れた潤滑性を有しかつ耐食性、溶接性、耐汚染
性、耐薬品性に優れた効果が得られるので、省工程化、
コスト低減、作業環境改善の目的が達成される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 163/00 PJQ 175/04 PHP C23C 22/00 // B05D 5/08 7415−4F 7/14 (C10M 169/04 107:44 107:32 107:28 159:06) C10N 40:24 Z 50:02 50:08 60:10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷延鋼板または亜鉛系めっき鋼板の表面に
    クロメート皮膜を形成させたクロメート鋼板の表面に潤
    滑性皮膜を形成するために用いる除膜不要型潤滑組成物
    であって、該除膜不要型潤滑組成物は樹脂と潤滑添加物
    を主成分として含有し、該樹脂はウレタン系樹脂を全樹
    脂量に対して固型分重量比で30〜95重量%とさらにアク
    リル系樹脂、エポキシ系樹脂のうち1種又は2種を含有
    するものであり、該潤滑添加物はケン化価が30以下のワ
    ックスであることを特徴とする、除膜不要型潤滑組成
    物。
  2. 【請求項2】エポキシ系樹脂が、サルファイド骨格(S
    −S)を分子主鎖中に持つエポキシ系樹脂である請求項
    第1項記載の除膜不要型潤滑組成物。
  3. 【請求項3】ワックスは、エステル結合を持たずケン化
    価が0のワックスである請求項第1項記載の除膜不要型
    潤滑組成物。
  4. 【請求項4】冷延鋼板または亜鉛系めっき鋼板の表面に
    クロメート皮膜を形成させたのち、その表面に、樹脂と
    潤滑添加物を主成分として含有する除膜不要型潤滑組成
    物であって、該樹脂はウレタン系樹脂を全樹脂量に対し
    て固型分重量比で30〜95重量%とさらにアクリル系樹
    脂、エポキシ系樹脂のうち1種又は2種を含有するもの
    であり、該潤滑添加物はケン化価が30以下のワックスで
    ある除膜不要型潤滑組成物を塗布して、0.5〜5g/m2の潤
    滑性皮膜を形成させることを特徴とする潤滑処理鋼板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】前記クロメート皮膜がクロムイオン、シリ
    カ及びリン酸を含有しかつ(Cr3+/totalクロムイオン)
    が0.3〜0.6の処理液で形成したクロメート皮膜である事
    を特徴とする、請求項第4項記載の潤滑処理鋼板の製造
    方法。
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