JPH0890697A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

積層体およびその製造方法

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JPH0890697A
JPH0890697A JP6234621A JP23462194A JPH0890697A JP H0890697 A JPH0890697 A JP H0890697A JP 6234621 A JP6234621 A JP 6234621A JP 23462194 A JP23462194 A JP 23462194A JP H0890697 A JPH0890697 A JP H0890697A
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幸樹 松本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塩化ビニル樹脂製表皮の変色を抑制する。 【構成】 積層体1は、心材2と塩化ビニル樹脂製表皮
3とをウレタン樹脂製発泡体層4を介して接合したもの
である。心材2は複数のガス抜き孔5を有する。これら
ガス抜き孔5により、表皮3の変色を惹起する原因とな
る、発泡体層4から昇華した第三アミンを外部に排出す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層体、特に、心材と合
成樹脂製表皮との間に、それら心材および表皮を接合す
る合成樹脂製発泡体層を介在させた積層体およびその製
造方法に関する。
【0002】この種積層体は自動車におけるインストル
メントパネル、ドアライニング、コンソールボックス等
に適用される。
【0003】
【従来の技術】従来、表皮を塩化ビニル樹脂より構成
し、また発泡体層をウレタン樹脂より構成したものが知
られている。
【0004】ところが、前記表皮は経時的に変色する、
という不具合がある。その変色メカニズムの一例につい
て言及すれば次の通りである。即ち、ウレタン樹脂製発
泡体層の触媒である第三アミン(R3 N)が熱により昇
華して表皮内へ移行するため、その第三アミンのNと塩
化ビニル基(−CH−CHCl−)のClとがイオン結
合して塩酸塩(R3 HN+ Cl- )が生成される。この
反応は逐次発生するため塩化ビニル樹脂においては脱塩
化水素反応が促進され、その結果、塩化ビニル樹脂中に
ポリエン構造(−C=C−)が増え、そのポリエン構造
が7,8個に達すると表皮の変色が始まる。
【0005】このような不具合を回避するため、従来
は、表皮を厚くする、または表皮と発泡体層との間に、
表皮と同材質の塩化ビニル樹脂製発泡体層を介在させ
る、といった手段が採用されている(特公平5−112
3号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の積
層体においては、表皮の厚さ増または塩化ビニル樹脂製
発泡体層の付加に伴い材料コストが嵩み、延いては積層
体の生産コスト増を招来する。
【0007】本発明は前記に鑑み、極めて簡単な手段を
採用することにより表皮の変色を抑制することができ
る、生産コストの安い前記積層体およびその製造方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、心材と合成樹
脂製表皮との間に、それら心材および表皮を接合する合
成樹脂製発泡体層を介在させた積層体において、前記発
泡体層で発生し、且つ前記表皮の変色の原因となるガス
を排出すべく、前記心材に複数のガス抜き孔を設けたこ
とを特徴とする。
【0009】本発明に係る積層体の製造方法は、心材と
合成樹脂製表皮とを合成樹脂製発泡体層を介して接合
し、次いで、前記発泡体層で発生し、且つ前記表皮の変
色の原因となるガスを排出すべく、前記心材に複数のガ
ス抜き孔を穿設することを特徴とする。
【0010】
【作用】前記積層体においては、発泡体層で発生した有
害なガスは心材の複数のガス抜き孔を通じて外部に排出
され、これにより表皮への有害なガスの移行量が大幅に
減少するので表皮の変色が抑制される。
【0011】積層体の製造に当り、前記方法を採用する
とその積層体を容易に量産することが可能である。また
ガス抜き孔の穿設作業を最終段階で行うので、例えば表
皮と心材との間に未発泡原液を注入する際にそれがガス
抜き孔を通じて濡れたり、また発泡過程でガス抜き孔に
発泡体の一部が進入して破泡する、といった不具合を生
じることがない。
【0012】
【実施例】図1,2において、自動車用インストルメン
トパネル(積層体)1は、ABS製心材2と塩化ビニル
樹脂(合成樹脂)製表皮3とをウレタン樹脂(合成樹
脂)製発泡層4を介して接合したものである。
【0013】心材2には、複数のガス抜き孔5が穿設さ
れ、各ガス抜き孔5の一端は心材2の外面に開口し、他
端は発泡体層4内に食込んでいる。各ガス抜き孔5の内
径は1.5〜4.0mm、実施例では2.0mmであり、前
後左右方向に15〜40mm、実施例では15mmのピッチ
で配列している。
【0014】このように構成すると、発泡体層4内で昇
華した第三アミン(ガス)の大部分は心材2の複数のガ
ス抜き孔5を通じて外部に排出され、これにより表皮3
への第三アミンの移行量が大幅に減少するので、表皮3
の変色が抑制される。
【0015】インストルメントパネル1の製造に当って
は次のような方法を採用した。 (a) 図3に示すように、多数の吸気孔(図に省略)
を有する凹型6を用い、厚さ0.6mmの塩化ビニル樹脂
製シートに真空成形加工を施して表皮3を成形した。 (b) 厚さ3mmのABS製心材2を取付けた凸型7を
凹型6に嵌合して表皮3と心材2との間に空隙を形成し
た。 (c) 空隙に注入装置8よりウレタン原液を注入して
発泡させ、厚さ17mmのウレタン樹脂製発泡体層4を形
成すると共にその層4を介して表皮3と心材2とを接合
した。 (d) 離型後のインストルメントパネル1において、
その心材2に内径2.0mmの複数のガス抜き孔5を前後
左右方向に15mmのピッチでドリル加工により穿設し
た。
【0016】また厚さ0.8mm、1.0mmの表皮用塩化
ビニル樹脂製シートを用い、前記と同様の方法で二種の
インストルメントパネルパネル1を製造した。さらに心
材2にガス抜き孔5を穿設しない点を除き、他は前記と
同一構成の三種のインストルメントパネル1を製造し
た。
【0017】次に、各インストルメントパネル1からテ
ストピースを採取し、それらテストピースを110℃の
高温下に500時間保持する耐熱老化テストを行い、そ
の後表皮3の色差ΔEを測定した。
【0018】図4は表皮3の厚さと色差ΔEとの関係を
示す。図4から明らかなように、心材2にガス抜き孔5
を設けると、それを設けなかった場合に比べて、色差Δ
Eが19〜53%改善され、色差ΔE=2.0を許容上
限値とすると、表皮3の厚さを従来の1.0mmから0.
8mmに減少させることができる。これはインストルメン
トパネル1の生産コスト低減上極めて有効である。
【0019】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、心材にガ
ス抜き孔を設けるという極めて簡単な手段により合成樹
脂製表皮の変色を抑制することが可能な、生産コストの
安い積層体を提供することができる。
【0020】請求項3記載の発明によれば、前記積層体
を容易に量産することのできる製造方法を提供すること
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インストルメントパネルの斜視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】インストルメントパネルの製造方法説明図であ
る。
【図4】表皮の厚さと色差ΔEとの関係を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 インストルメントパネル(積層体) 2 心材 3 表皮 4 発泡体 5 ガス抜き孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 75:00 105:04 B29L 9:00 31:30 31:58

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 心材(3)と合成樹脂製表皮(3)との
    間に、それら心材(2)および表皮(3)を接合する合
    成樹脂製発泡体層(4)を介在させた積層体において、
    前記発泡体層(4)で発生し、且つ前記表皮(3)の変
    色の原因となるガスを排出すべく、前記心材(2)に複
    数のガス抜き孔(5)を設けたことを特徴とする積層
    体。
  2. 【請求項2】 前記表皮(3)は塩化ビニル樹脂より構
    成され、また前記発泡体層(4)はウレタン樹脂より構
    成される、請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 心材(2)と合成樹脂製表皮(3)とを
    合成樹脂製発泡体層(4)を介して接合し、次いで、前
    記発泡体層(4)で発生し、且つ前記表皮(3)の変色
    の原因となるガスを排出すべく、前記心材(2)に複数
    のガス抜き孔(5)を穿設することを特徴とする積層体
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記表皮(3)は塩化ビニル樹脂より構
    成され、また前記発泡体層(4)はウレタン樹脂より構
    成される、請求項3記載の積層体の製造方法。
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