JPH0885728A - 含フッ素樹脂薄膜の製造方法 - Google Patents

含フッ素樹脂薄膜の製造方法

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JPH0885728A
JPH0885728A JP17365695A JP17365695A JPH0885728A JP H0885728 A JPH0885728 A JP H0885728A JP 17365695 A JP17365695 A JP 17365695A JP 17365695 A JP17365695 A JP 17365695A JP H0885728 A JPH0885728 A JP H0885728A
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thin film
fluorine
resin
film
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JP17365695A
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Tokinori Ago
時則 吾郷
Hitomi Matsuzaki
仁美 松崎
Tokuo Nakayama
徳夫 中山
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学的に均質で、表面に傷や伸びが無く、清
浄且つ透明性に優れた含フッ素樹脂独立薄膜を、基体か
らの膜の剥離に際して水浸漬剥離工程等を経ることなく
簡易に製造する方法を提供する。 【構成】 基体上に均質な含フッ素樹脂薄膜を形成さ
せ、該薄膜を基体から剥離することにより含フッ素樹脂
薄膜を製造する方法に於いて、基体上に下地層として、
フッ素原子を含まない樹脂であって必要に応じてシリコ
ーンオイルを含有させたものより成る樹脂層を予め形成
させ、該下地層表面上に含フッ素樹脂を施して薄層を形
成させ、該形成された薄膜層を下地層面から剥離して独
立薄膜を製造することを特徴とする含フッ素樹脂独立薄
膜の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜の製造方法に関
し、更に詳細には、光学的に均質で膜表面に傷等を有さ
ず、且つクリーンで透明性に優れ、特にペリクル膜とし
て好適な含フッ素樹脂独立薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路の製造において、レジス
ト材を塗布した半導体ウエハーを露光によりパターンニ
ングする工程は、集積回路の歩溜まりを左右する重要な
工程である。この工程に於いてパターン原図であるマス
ク上に傷あるいは塵埃が存在すると、パターンと共に傷
あるいは異物がウエハー上に印刷され、生産される回路
の短絡、断線等の原因となる。従って、マスクの保護及
び防塵は生産性向上の上できわめて重要な課題である。
【0003】この為に、マスクの保護、防塵を目的とし
てマスクの片面或いは両面をペリクル膜と呼ばれる透明
なプラスチック薄膜でカバーすることが提案され(特公
昭54−28716)、既に実用化されている。
【0004】従来、フォトリソグラフィー工程で使用さ
れる露光光源としては、高圧水銀ランプの輝線のうちの
g線、h線、i線が使用され、またペリクル膜として
は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルア
ルコール等の薄膜が主として使用されてきた。
【0005】しかし近年、半導体工業における技術の進
歩に伴い、集積回路の高密度化、高集積化が進み、ウエ
ハー上への投影パターンの線幅、線間隔が共に小さくな
ってきている。これに応じて、露光光源の短波長化も進
み、KrFなどのエキシマレーザーによる紫外線(波長
250nm以下)が使用され始めた。
【0006】光の波長が短くなるにつれエネルギーが大
きくなるため、これらの波長領域で使用されるペリクル
膜には十分な耐光性が要求されるが、従来の保護膜では
深紫外線に対する耐光性が低く、十分な耐久性が得られ
なかった。
【0007】このような要求に応える材料として、含フ
ッ素樹脂から成るペリクルが種々提案されており、例え
ば、特公昭63−27707号公報には、主鎖骨格にフ
ルオロカーボンを含む、テトラフルオロエチレン/ヘキ
サフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド三元共
重合体から成るペリクルが、また、特開平3−1744
50号公報や特開平3−67262号公報には主鎖中に
環状エーテル構造を有するパーフルオロ樹脂から成るペ
リクルが提案されている。
【0008】これらペリクル膜の製造方法としては、石
英ガラスやシリコンウエハー等の基体上にデッピング法
やスピンコート法等によって樹脂溶液を塗布し、ホット
プレートやクリーンオーブン等で溶媒を蒸発させること
によって樹脂薄膜を形成させた後、そのまま或いは一度
水等に浸漬した後、金属枠等の上に剥し取る方法が用い
られている。
【0009】含フッ素樹脂は、セルロース系樹脂等従来
の膜材に比べて機械的物性としての降伏点や破断抗張力
が低く、外力によって容易に延びたり変形したりするた
め、含フッ素樹脂単層膜の場合は基体上に形成された膜
を直接剥離する場合、膜の変形や傷の発生が生じ易く、
この様な不都合を回避するため一度膜を基体と共に水中
に浸漬し、基体と含フッ素樹脂膜の間に水分子を浸透さ
せることにより、基体と含フッ素樹脂膜間の接着力を弱
めてから剥離する方法が一般的に採用されている(例え
ば特開平3−67262号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、薄膜を
形成した基体を水中に浸漬して膜を剥離する方法は、膜
面に塵埃を付着させる危険が極めて高く、問題の多い方
法である。
【0011】ペリクルは、その用途がマスクの防塵カバ
ーであることから、本質的に塵埃の付着を極力避ける必
要があるが、今日のように半導体の集積度が高くなり加
工線幅が細く成ってくると、ペリクル膜に許容される塵
埃の大きさもそれにつれて小さくなってくるため、その
必要性は一層高くなってきている。
【0012】本発明は、前述のような、従来の製造方法
において認められる欠点を解消し、塵埃付着の危険性の
ない、且つ、外形的にも光学的にも均質な薄膜を製造す
る方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基体上
に均質な含フッ素樹脂薄膜を形成させ、該薄膜を基体か
ら剥離することにより含フッ素樹脂薄膜を製造する方法
に於いて、基体上に下地層として、フッ素原子を含まな
い樹脂より成る樹脂層を予め形成させ、該下地層表面上
に含フッ素樹脂を施して薄層を形成させ、該形成された
薄膜層を下地層面から剥離して独立薄膜を製造すること
を特徴とする含フッ素樹脂独立薄膜の製造法が提供され
る。
【0014】
【作用】本発明は、前記した通り、基体上に予め、フッ
素原子を含まない樹脂より成る樹脂薄層を下地層として
形成させ、該下地層の上に含フッ素樹脂薄層を形成させ
る点に顕著な特徴を有するものである。本発明のこの下
地層は、構成樹脂がフッ素原子を含まないものであるた
め、その表面張力が含フッ素樹脂の表面張力に比べ充分
に大きく、このためペリクル膜を構成する含フッ素樹脂
との間の親和性が低い。従って、下地層上に含フッ素樹
脂を施し、該層上に含フッ素樹脂の薄層を形成させた場
合においても、両層が互いに強固に密着することがな
く、この為、含フッ素樹脂薄層を剥離するに際して、何
等の特別な操作や処理を要することなく、また、該含フ
ッ素樹脂薄層に全く変形や延びを与えることなく容易に
該薄層を直接基体から剥離させることができる。
【0015】従って、本発明の方法で作成された含フッ
素樹脂ペリクル膜は、外形的にも、光学的にも均質で、
しかも塵埃等が全く付着しないクリーンな状態の独立ペ
リクル膜として作製される。
【0016】
【発明の好適態様】以下本発明を更に詳細に説明する。
【0017】[下地層の形成方法]本発明の下地薄層に
用いる樹脂としては、フッ素原子を含まない樹脂が用い
られるが、好適には、ペリクル等の薄膜形成用に用いら
れる含フッ素樹脂に対して、その表面張力が0.025
N/m以上、好ましくは0.03N/m以上、特に好ま
しくは0.035N/m以上の範囲にあるものが用いら
れる。この様な樹脂として具体的には、エチルセルロー
ス、プロピルセルロース、ブチルセルロース等のアルキ
ルセルロース類(セルロースエーテル類)、ニトロセル
ロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪
酸セルロース及び酪酸酢酸セルロース等のセルロースエ
ステル類、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン等の芳
香族ビニル樹脂類、更に、ポリ酢酸ビニル、ポリ−4−
メチルペンテン−1、ポリスルホン等を挙げることが出
来る。
【0018】本発明の下地層用樹脂は薄膜を形成するの
に十分な平均分子量を有するものであることが必要で、
該平均分子量は使用する樹脂の種類により若干相違する
が、例えば、アルキルセルロース類の場合、通常2万乃
至20万程度、ポリスチレンの場合、通常5万乃至25
万程度、ポリスルホンでは2万乃至15万程度のものが
好適に使用される。
【0019】本発明において、該下地層を形成させるに
は、まず前記した樹脂を適当な溶媒に溶解しポリマー溶
液を調製する。例えば樹脂がアルキルセルロース類の場
合はトルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶
媒、又はプロピルアセテート、ブチルアセテート等のエ
ステル系溶媒に、セルロースエステル類の場合は、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶
媒、又はプロピルアセテート、ブチルアセテート等のエ
ステル系溶媒等に、芳香族ビニル樹脂では、トルエンや
キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒等に、またポリ酢
酸ビニルでは、ジメチルアセトアミド等の溶媒に、ポリ
−4−メチルペンテン−1では、シクロヘキセン等に、
ポリスルホンではトリクロロエタン等の溶媒に、それぞ
れ溶解してポリマー溶液とする。上記した溶媒を用いた
場合のポリマー溶液の濃度は用いるポリマー樹脂の種類
と用いる溶媒の種類により各々異なるが、通常1重量%
乃至6重量%程度の濃度が用いられる。
【0020】この溶液調製に際して、後の工程で形成さ
れる含フッ素樹脂層との剥離性を一層良好なものにする
ために離型剤をこれら下地層ポリマー溶液中に添加して
も良い。離型剤としては、耐深紫外線性を有し、且つ含
フッ素樹脂層の剥離性を向上させる性能を持つものであ
れば特に限定されないが、好ましい離型剤の具体的一例
としてシリコンオイル(例えば信越シリコン社製、商品
名KF−410、KF−96、KP−354等)を挙げ
ることが出来る。
【0021】該シリコンオイル等の離型剤を下地層ポリ
マー溶液中に添加する場合に於いて、含フッ素樹脂の種
類によっては該シリコンオイルの添加量があまり多い場
合には得られる含フッ素樹脂膜の表面が白濁する等の不
都合が生じることがある。従って、シリコンオイルの添
加量は、下地層ポリマーの固形分に対し通常0.1〜4
重量%、より好ましくは0.3〜3重量%の範囲で、且
つ、用いる下地層ポリマーや含フッ素樹脂の種類により
最適な添加量を選択するのがよい。
【0022】本発明に於いて用いられる製膜用の基体と
しては、シリコンウエハーや青板ガラス板、石英ガラス
板などを用いることが出来る。
【0023】又、基体に下地層ポリマー薄膜を形成させ
る方法は特に制限はなく、表面が平滑で且つ清浄な薄膜
を形成しうる方法であればいかなる方法でも差し支えな
いが、薄膜形成に際して膜厚制御性に優れたスピンコー
ティング法が好適である。
【0024】この様な方法で基体上に塗布されたポリマ
ー溶液は、ホットプレートやクリーンオーブンなどで溶
媒を蒸発させ、下地層ポリマー薄膜とされる。下地層ポ
リマー薄膜の膜厚は、経済性や製膜時の膜厚の均一性等
の観点から3μm以下が好ましい。下地層に離型剤を用
いる場合には下地層の厚さをより一層薄くする事が可能
となり下地層の厚みは好ましくは0.01μm以上0.
5μm未満であり、より好ましくは0.05μm以上
0.3μm以下である。 このように離型剤を用いる事
により下地層厚さを薄くする事ができ、それにより下地
層に必要とされる樹脂等の使用量が少なくてすみ、コス
トダウンできる。更に下地層を基体から洗浄除去する際
の溶媒の使用寿命を実質的に延ばすことが出来る。つま
り、基体に付着している下地層のポリマーの量が少なく
なるため溶媒交換の回数が少なくて済み、また溶媒精製
コストもそれによって低減できる
【0025】[含フッ素ポリマー薄膜の形成方法]本発
明で使用される含フッ素樹脂としては、例えば、テトラ
フルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化
ビニリデンの三元共重合体や、主鎖中に環状エーテル構
造を有するパーフルオロポリマー等を挙げることが出
来、主鎖中に環状エーテル構造を有するパーフルオロポ
リマーの具体例としては、例えば、旭硝子社製の「CY
TOP」(商品名)やデュポン社製の「テフロンAF1
600」(商品名)などを挙げることが出来る。
【0026】本発明に於いては、上記した含フッ素樹脂
を適当な溶媒に溶かして樹脂溶液を調製し、これを前記
下地層膜上に施してペリクル膜を形成させる。この含フ
ッ素樹脂の溶媒としては、これらの含フッ素樹脂を溶解
できるものであって、且つ下地層樹脂を溶解したり又は
該樹脂を過度に膨潤させて下地層の膜表面の平滑性を損
なわないものであれば特に限定されないが、例えば、テ
トラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フ
ッ化ビニリデンの三元共重合体の場合はパーフルオロ−
2−メチル−1−オキシ−3−チアシクロヘキサン−
3、3−ジオキシド等の溶媒が好適に使用でき、主鎖中
に環状エーテル構造を有するパーフルオロポリマーには
パーフルオロアルカン、パーフルオロ環状エーテル、パ
ーフルオロアルキルアミン等が好適に使用出来る。該含
フッ素樹脂の溶媒の濃度は、ペリクル膜の製膜に適した
溶液濃度であり、製膜に用いる含フッ素樹脂の種類や分
子量、溶媒の種類及び製膜方法、製膜条件等を考慮して
適宜設定されるが、通常2重量%乃至7重量%程度の濃
度にするのが好ましい。
【0027】本発明に於いては、含フッ素樹脂の製膜は
特に限定された方法で製膜される必要性はなく、表面が
平滑で且つ清浄な薄膜を形成し得る方法であればいずれ
の方法でも差し支えなく使用出来るが、膜厚制御の精度
が優れている点からスピンコーティング法が好適であ
る。本発明に於いては、含フッ素樹脂の上記した溶液を
下地ポリマー薄層上に塗布乃至施用しホットプレートや
クリーンオーブンなどで溶媒を蒸発させ、含フッ素樹脂
のペリクル薄膜を形成させる。
【0028】本発明の含フッ素樹脂薄膜の膜厚は特に限
定的ではないが、膜強度やペリクルとしての光学性能の
点から、0.1乃至10μm程度が好ましい。膜厚が
0.1μm以下では膜強度が著しく小さいため取り扱い
が難しく、又10μmを越えると、ペリクル膜として露
光光の進路のずれが大きくなる等の不都合を生じやす
い。
【0029】[含フッ素樹脂薄膜の剥離方法]本発明に
於いては、上記の様にして形成した含フッ素樹脂層を水
等の媒体を用いることなく、下地層表面から直接剥離す
る。具体的には、例えば、図3に示したようにフレキシ
ブルで且つ平坦な剥離リング4を、両面粘着テープやホ
ットメルト粘着剤などを用いて含フッ素樹脂薄層の表面
周縁部に取り付け、次いで、含フッ素樹脂薄膜を該剥離
リングと共に、基体上の下地層ポリマー薄層から剥離す
る。この様にして得られた本発明のペリクル膜は、従来
技術に於いて問題の多い工程であった塵埃付着の危険性
の高い水中浸漬剥離操作を必要としないため膜の清浄度
が著しく高く、且つ、しわや傷等の欠陥の無い透明、均
質なものとなる。
【0030】
【実施例】本発明を以下の実施例に基づき具体的に説明
する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるもので
ないことは当然である。
【0031】(実施例1)ダウケミカル社製エチルセル
ロース(商品名「エトセル」、スタンダード型INDU
STRIAL粘度45タイプ)の5重量%メチルイソブ
チルケトン溶液を調製し、これをポリテトラフルオロエ
チレン製のメンブレンフィルター(ポアサイズ0.5μ
m)で濾過して、異物を除去した。この溶液を石英ガラ
ス基板上に、700rpmの回転数で30秒間スピンコ
ートした後、150℃のクリーンオーブン中で5分間乾
燥させ、薄膜を形成させた。なお、この下地層の厚さは
1.2μmであった。
【0032】このエチルセルロース薄膜付きの石英ガラ
ス基板を室温まで放冷した後、この上に、ポリテトラフ
ルオロエチレン製のメンブレンフィルター(ポアサイズ
0.5μm)で十分濾過を行って異物を除去した旭硝子
社製フッ素樹脂「CYTOP」(Sタイプ極限粘度=
0.34)の6.5重量%溶液(旭硝子社製のCT−so
lv160溶媒使用)を、1500rpmの回転数で60
秒間スピンコートした。これを150℃で20分間乾燥
させた後、室温まで放冷した。次にこの薄膜上に両面粘
着テープを用いてプラスチック製の剥離リングを貼付
け、この剥離リングを一端より持ち上げることにより、
独立薄膜を得た。赤外分光分析を行った結果、得られた
薄膜はフッ素樹脂「CYTOP」の単層薄膜であること
が確認された。この薄膜は膜厚が0.8μmであり、延
びや傷が無く、光学的にも均質な透明薄膜であった。
【0033】(比較例1)エチルセルロースによる下地
層を作成しなかった以外は実施例1と同様に実験を実施
した。つまり石英基板上に、実施例1で用いたフッ素樹
脂の「CYTOP」溶液を1500rpmの回転数で6
0秒間スピンコートし、150℃で20分間乾燥させた
後、室温まで放冷した。この薄膜について、実施例1と
同様の方法で剥離を行い薄膜を得たが、得られた薄膜に
は多数の傷と伸びが見られた。
【0034】(実施例2)フッ素樹脂「CYTOP」の
6.5重量%溶液に替えて、デュポン社製フッ素樹脂
「テフロンAF1600」(極限粘度1.07)の3重
量%溶液(3M社製パーフルオロ溶剤「フロリナートF
C40」を溶媒とした溶液)を用い、スピンコーティン
グの回転数を700rpmとした以外は実施例1と同様
の方法により薄膜を得た。赤外分析の結果、得られた薄
膜はフッ素樹脂「テフロンAF1600」の単層薄膜で
あった。この薄膜の膜厚は、0.8μmであり、傷や伸
びのない良好な薄膜であった。
【0035】(比較例2)エチルセルロースによる下地
層を作成しなかった以外は実施例2と同様に実験を実施
した。つまり石英基板上に、実施例2で用いたフッ素樹
脂の「テフロンAF」溶液を700rpmの回転数で6
0秒間スピンコーティングし、150℃で、20分間乾
燥させた後、室温まで放冷した。この薄膜について、実
施例1と同様の方法で剥離を行い薄膜を得たが、得られ
た膜には多数の傷と伸びが見られた。
【0036】(実施例3)エチルセルロースの5重量%
メチルイソブチルケトン溶液の代わりに、和光純薬工業
社製のプロピオン酸セルロース(平均分子量20万、置
換度5.9)の5重量%酢酸−n−ブチル溶液を用いた
他は実施例1と同様の方法により薄膜を得た。この薄膜
は、膜厚が0.8μmの「CYTOP」単層薄膜であ
り、伸びや傷のない良好な膜であった。
【0037】(実施例4)エチルセルロースの5重量%
メチルイソブチルケトン溶液の代わりに、和光純薬工業
社製のプロピオン酸セルロース(平均分子量20万、置
換度5.9)の5重量%酢酸−n−ブチル溶液を用いた
他は実施例2と同様の方法により薄膜を得た。この薄膜
は、膜厚が0.8μmの「テフロンAF」単層薄膜であ
り、伸びや傷のない良好な膜であった。
【0038】(実施例5)エチルセルロースの5重量%
メチルイソブチルケトン溶液の代わりに、関東化学社製
酪酸酢酸セルロース(ブチル基含量17%、分子量22
万)の5重量%乳酸エチル溶液を用いた他は、実施例1
と同様の方法により薄膜を得た。この薄膜は、膜厚が
0.8μmの「CYTOP」単層薄膜であり、伸びや傷
のない良好な膜であった。
【0039】(実施例6)エチルセルロースの5重量%
メチルイソブチルケトン溶液の代わりに、関東化学社製
酪酸酢酸セルロースの5重量%乳酸エチル溶液を用いた
他は、実施例2と同様の方法により薄膜を得た。この薄
膜は、膜厚が0.8μmの「テフロンAF」単層薄膜で
あり、伸びや傷のない良好な膜であった。
【0040】(実施例7)エチルセルロースの5重量%
メチルイソブチルケトン溶液の代わりに、Aldrich 社製
ポリスチレン(分子量25万)の5重量%トルエン溶液
を用いた他は、実施例1と同様の方法により薄膜を得
た。得られた薄膜は、膜厚が0.8μmの「CYTO
P」単層薄膜であり、伸びや傷のない良好な薄膜であっ
た。
【0041】(実施例8)エチルセルロースの5重量%
メチルイソブチルケトン溶液の代わりに、Aldrich 社製
ポリスチレン(分子量25万)の5重量%トルエン溶液
を用いた他は、実施例2と同様の方法により薄膜を得
た。得られた薄膜は、膜厚が0.8μmの「テフロンA
F」単層薄膜であり、伸びや傷のない良好な薄膜であっ
た。
【0042】(実施例9)旭化成工業社製ニトロセルロ
ース(HIG−1)の5重量%メチルイソブチルケトン
溶液を調製し、ニトロセルロース固形分に対し1重量%
のシリコンオイル(信越シリコン社製、KF−96)を
添加した。エチルセルロースの5重量%メチルイソブチ
ルケトン溶液の代わりに、このニトロセルロース溶液を
用いた他は実施例1と同様の方法により薄膜を得た。得
られた薄膜は、膜厚が0.8μmの「CYTOP」単層
薄膜であり、伸びや傷のない良好な薄膜であった。
【0043】(実施例10)フッ素樹脂「CYTOP」
の6.5重量%溶液に替えて、デュポン社製フッ素樹脂
「テフロンAF1600」(極限粘度1.07)の3重
量%溶液(3M社製パーフルオロ溶剤「フロリナートF
C40」を溶媒とした溶液)を用い、スピンコーティン
グの回転数を700rpmとした以外は実施例9と同様
の方法により薄膜を得た。得られた薄膜は、膜厚が0.
8μmの「テフロンAF」単層薄膜であり、伸びや傷の
ない良好な薄膜であった。
【0044】(比較例3)ニトロセルロース(HIG−
1)の5重量%メチルイソブチルケトン溶液に添加する
シリコンオイルの量を、ニトロセルロース固形分に対し
5重量%とした以外は実施例10と同様の方法により薄
膜を得た。得られた薄膜は、膜厚が0.8μmの「テフ
ロンAF」単層薄膜であり、伸びや傷等の欠陥は見られ
なかったものの、膜面全体に白濁が見られた。
【0045】(実施例11)ニトロセルロースの5重量
%メチルイソブチルケトン溶液に替えて、酢酸ビニル
(Aldrich 社製、low MW タイプ )の5重量%ジメチル
アセトアミド溶液を用い、シリコンオイルの添加量を酢
酸ビニル固形分に対し2重量%とした以外は実施例9と
同様の方法により薄膜を得た。得られた薄膜は、膜厚が
0.8μmの「CYTOP」単層薄膜であり、伸びや傷
のない良好な薄膜であった。
【0046】(実施例12)ニトロセルロースの5重量
%メチルイソブチルケトン溶液をポリスルホン(Aldric
h社製 平均分子量3万)の5重量%1,1,2−トリク
ロロエタン溶液とした以外は実施例10と同様の方法に
より薄膜を得た。得られた薄膜は、膜厚が0.8μmの
「テフロンAF」単層薄膜であり、伸びや傷の無い良好
な薄膜であった。
【0047】(実施例13)ニトロセルロースの5重量
%メチルイソブチルケトン溶液の代わりにポリ−4−メ
チルペンテン−1の5重量%シクロヘキセン溶液を用
い、シリコンオイルの添加量を0.5重量%とした以外
は実施例10と同様の方法により薄膜を得た。得られた
薄膜は、膜厚が0.8μmの「テフロンAF」単層薄膜
であり、伸びや傷の無い良好な薄膜であった。
【0048】(実施例14)旭化成工業社製ニトセルロ
ース(HIG−1)の1.8重量%メチルイソブチルケ
トン溶液を調製し、ニトロセルロース固形分に対し0.
5重量%のシリコンオイル(信越シリコン社製、KF−
96)を添加した後、ポリテトラフルオロエチレン製メ
ンブレンフィルター(ポアサイズ0.5μm)で濾過し
て異物を除去した。この溶液を石英ガラス基板上に50
0rpmの回転数で20秒間スピンコートした後、12
0℃のクリーンオーブン中で5分間乾燥させ、下地層を
形成させた。この下地層薄膜の厚さは0.3μmであっ
た。このニトロセルロース薄膜付きの石英ガラス基板を
室温まで放冷した後、この上に、実施例1と同様の「C
YTOP」溶液を1500rpmの回転数で60秒間ス
ピンコートし、150℃で20分間乾燥させた。室温ま
で放冷した後、この薄膜について実施例1と同様の方法
で剥離を行い薄膜を得た。得られた薄膜は膜厚が0.8
μmの「CYTOP」単層薄膜であり、延びやスジ、傷
等の欠陥の無い良好な膜であった。
【0049】(実施例15)フッ素樹脂「CYTOP」
の6.5重量%溶液に替えて、デュポン社製フッ素樹脂
「テフロンAF1600」の3重量%溶液(3M社製パ
ーフルオロ溶剤「フロリナートFC−40」を溶媒とし
た溶液)を用い、スピンコーティングの回転数を700
rpmとした以外は実施例14と同様の方法により薄膜
を得た。得られた薄膜は、厚さが0.8μmの「テフロ
ンAF1600」の単層薄膜であり、延びやスジ、傷等
の無い良好な膜であった。
【0050】(比較例4)シリコンオイル(KF−9
6)を添加しなかった以外は実施例14と同様の方法に
より薄膜を得た。得られた「CYTOP」薄膜には円弧
状のスジが多数見られ、ペリクルには適さないものであ
った。
【0051】(比較例5)シリコンオイル(KF−9
6)を添加しなかった以外は実施例15と同様の方法に
より薄膜を得た。得られた「テフロンAF1600」単
層薄膜には無数の円弧状のスジが見られ、ペリクルには
適さないものであった。
【0052】(実施例16)ダウケミカル社製エチルセ
ルロース(商品名「エトセル」、スタンダード型IND
USTRIAL、粘度45タイプ)の1.8重量%メチ
ルイソブチルケトン溶液を調製し、エチルセルロース固
形分に対し0.5重量%のシリコンオイル(信越シリコ
ン社製、KF−96)を添加した後、ポリテトラフルオ
ロエチレン製のメンブレンフィルター(ポアサイズ0.
5μm)で濾過して異物を除去した。ニトロセルロース
の1.8重量%メチルイソブチルケトン溶液の替わり
に、このエチルセルロース溶液を用いた他は実施例14
と同様の方法により、薄膜を得た。得られた薄膜は、膜
厚が0.8μmの「CYTOP」単層薄膜であり、延び
やスジ、傷等の無い良好な膜であった。
【0053】(実施例17)フッ素樹脂「CYTOP」
の6.5重量%溶液に替えて、デュポン社製フッ素樹脂
「テフロンAF1600」の3重量%溶液(3M社製パ
ーフルオロ溶剤「フロリナートFC−40」を溶媒とし
た溶液)を用い、スピンコーティングの回転数を700
rpmとした以外は実施例16と同様の方法により、薄
膜を得た。得られた薄膜は、膜厚が0.8μmの「テフ
ロンAF1600」の単層薄膜であり、延びやスジ、傷
等の無い良好な膜であった。
【0054】(比較例6)ニトロセルロースの固形分に
対するシリコンオイル(KF−96)の添加量を0.0
5重量%とした以外は、実施例15と同様の方法により
薄膜を得た。得られた「テフロンAF1600」単層薄
膜には円弧状のスジが見られ、ペリクルには適さないも
のであった。
【0055】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来技術に於い
て問題の多い工程であった塵埃付着の危険性の高い水中
浸漬操作を行うことなく含フッ素ポリマー薄膜の剥離が
空気中で、しかも極めて容易に行えるため、清浄度が高
く、且つしわや傷等の欠陥のないペリクル膜として好適
な高品質含フッ素ポリマー薄膜を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】基体上にポリマー薄膜を直接形成させる従来の
薄膜形成法(スピンコート法)の概念図である。
【図2】本発明の薄膜形成法(スピンコート法)の概念
図である。
【図3】本発明の方法で形成した薄膜の剥離方法の一例
を示す図である。
【符号の説明】
1 基体 2 下地層 3 含フッ素ポリマー層(ペリクル層) 4 剥離リング

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に均質な含フッ素樹脂薄膜を形成
    させ、該薄膜を基体から剥離することにより含フッ素樹
    脂薄膜を製造する方法に於いて、基体上に下地層とし
    て、フッ素原子を含まない樹脂より成る樹脂層を予め形
    成させ、該下地層表面上に含フッ素樹脂を施して薄層を
    形成させ、該形成された薄膜層を下地層面から剥離して
    独立薄膜を製造することを特徴とする含フッ素樹脂独立
    薄膜の製造法。
  2. 【請求項2】 前記下地層膜がアルキルセルロース類又
    はセルロースエステル類より成る樹脂膜である請求項1
    記載の薄膜製造法。
  3. 【請求項3】 前記下地層膜がポリ酢酸ビニル又は芳香
    族系ビニル樹脂より成る樹脂膜である請求項1記載の薄
    膜の製造法。
  4. 【請求項4】 前記下地層膜がポリ−4−メチル−ペン
    テン−1又はポリスルホンより成る樹脂膜である請求項
    1記載の薄膜の製造法。
  5. 【請求項5】 前記下地層にシリコーンオイルが添加さ
    れている請求項1乃至4のいずれか記載の薄膜の製造
    法。
  6. 【請求項6】 前記シリコーンオイルの添加されている
    下地層の厚さが0.01μm以上、0.5μm未満であ
    る請求項5記載の含フッ素薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記シリコーンオイルの添加されている
    下地層の厚さが0.05μm以上、0.3μm以下であ
    る請求項6記載の含フッ素薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記含フッ素樹脂独立薄膜がペリクル膜
    である請求項1乃至7のいずれか記載の薄膜の製造法。
  9. 【請求項9】 前記含フッ素樹脂が主鎖中にパーフルオ
    ロ環状エーテル構造を有する重合体である請求項8記載
    のペリクル膜の製造法。
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