JPH06230560A - ペリクル - Google Patents

ペリクル

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Publication number
JPH06230560A
JPH06230560A JP3255993A JP3255993A JPH06230560A JP H06230560 A JPH06230560 A JP H06230560A JP 3255993 A JP3255993 A JP 3255993A JP 3255993 A JP3255993 A JP 3255993A JP H06230560 A JPH06230560 A JP H06230560A
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JP
Japan
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layer
refractive index
antireflection
film
pellicle
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP3255993A
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English (en)
Inventor
Teruo Takiguchi
照夫 滝口
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication of JPH06230560A publication Critical patent/JPH06230560A/ja
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  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 透明薄膜体の少なくとも一方の面に、低屈折
率層からなる1層の反射防止層または高屈折率層の上に
低屈折率層を積層した2層の反射防止層が形成されたマ
スク用防塵カバーにおいて、反射防止層を形成する低屈
折率層が主鎖に環状構造を有するフッ素ポリマーとポリ
フルオロアルキレートとの混合物であるマスク用防塵カ
バー(ペリクル) 【効果】 透明性が高く、かつ溶解性、接着性に優れる
低屈折率反射防止層を使用したので、光線透過率が高
く、さらに耐エアブロー性にも優れるペリクルである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LSI(大規模集積回
路)製造のリングラフィー工程において使用されるフォ
トマスクやレティクル等の透明基板(以下、マスクと略
す)の異物付着を防止することを目的として使用される
マスク用防塵カバー:ペリクルに関するものである。更
に詳しくは、本発明は、低屈折率であり、溶解性、成膜
性、接着性に優れた材料からなる反射防止層を有するペ
リクルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造において、集積回路パターン
の形成にはステッパ(縮少投影露光装置)等の半導体製
造装置が使用されている。ここで重要なのは、回路パタ
ーンを形成するための原版となるマスクの品質である。
【0003】近年、大規模集積回路の発展に伴って集積
回路の画線幅は非常に微細になってきている。今後もそ
の傾向は進むと予想され、マスクの品質が、半導体の収
率や製造コストに大きく影響するものとなってきてい
る。特に、マスクに付着する異物が歩留りを低下させる
ことが重大な問題である。
【0004】この問題を解決する手段の1つとして、い
わゆるペリクルを装着してマスクを異物から保護する方
法が採用されている(例えば、特公昭54−28716
号公報を参照)。このペリクルは一般にアルミ製のフレ
ーム、このフレームの一方の側面に接着した透明なペリ
クル膜およびフレームの他の一方の側面に貼り付けた両
面接着テープとから構成され、両面接着テープでマスク
に装着される。ペリクルをマスクに装着することによっ
て、マスク面に異物(ゴミ)が付着する事を防ぎ、ま
た、ペリクル膜に異物が付着する事があっても、異物は
フレームの高さだけマスク面から離れているため、露光
時に焦点がずれて、集積回路のパターン像への異物の影
響が無い。
【0005】一方、大規模集積回路は少量多品種生産の
方向が強まってきつつある。このことは、多数のマスク
を使用することを意味し、マスクの保管管理の必要性が
増してきている。その際ペリクルを装着しての保管は異
物の管理上簡便であることが認められつつある。
【0006】即ち、露光工程の操作中において、こまか
な塵埃粒子などの異物がペリクルの上に付着しても、こ
れらはレジスト材を塗布した半導体ウェハー上には結像
しない。従って、マスクをペリクルで保護することによ
り、塵埃粒子の像による半導体集積回路の短絡や断線を
防ぐことができ、露光工程の製造歩留まりが向上する。
ペリクルにはこの様なメリットがあるが、ペリクル自体
にも異物が着いていないことが要求される。特に、ペリ
クルの内面に異物が付着している場合は、マスクへの装
着時、あるいは装着後に異物が落下してマスク面に付着
することがあるので、これを防ぐために装着前に予め異
物を除去する必要が有る。
【0007】ペリクルに付着しているゴミを取る方法と
して、接触式あるいは非接触式の方法があるが、通常、
ペリクルの膜面を傷つけにくいため、空気で異物を吹き
飛ばすエアブロー法が使用される。ペリクルはその使用
目的から明らかなように、まず光線透過性の高いことが
必要である。光線透過性が低いと、目的の露光量を得る
にはより長い時間の露光が必要となり、工程の生産性が
低くなる。
【0008】従来、ペリクルとしてニトロセルロースの
単層膜が用いられてきたが、最近は単層膜の少なくとも
一方の面に反射防止層を設けた反射防止層が多く用いら
れる様になった。光が膜を通る時には表面で反射が起る
ため、光線透過率(入射光に対する透過光の割合)は1
00%より低くなる。
【0009】反射防止膜は膜(中心層)の上に中心層と
は屈折率の異なる層(反射防止層)を設けて、反射光を
相殺する事によって光線透過率を高めたものである。反
射防止層を設ける場合、反射防止条件は、反射防止層が
1層の場合は中心層の屈折率をn、反射防止層の屈折率
をn1 としたときn1/2 =n1 と示される。即ち、中心
層材料の屈折率の平方根と反射防止層の屈折率が等しい
ときに反射防止効果は最大になる。
【0010】中心層材料がセルロース誘導体の場合に、
nはほぼ1.5であるのでn1/2 =1.22となり、屈
折率が1.22に近いものが反射防止層の材料として優
れる。従来より提案されている反射防止層としては、特
公昭63−25658号公報にはテトラフルオロエチレ
ン−ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレ
ンポリマーが、特開平1−100549号、特開平1−
191852号公報などにはポリフルオロアクリレート
が記載されているが、これらのポリマーの屈折率は1.
35〜1.37の範囲にあり、反射防止効果が十分では
なかった。
【0011】また、ペリクルの反射防止層材料として有
用と考えられる、低屈折率でかつ透明性の高い材料とし
ては、屈折率1.34のサイトップ〔登録商標名 旭硝
子(株)製品、特開昭63−260932号公報〕や屈
折率1.31及び1.29のテフロンAF(登録商標名
(デュポン)社製品、特開平3−170901号公報〕
のような主鎖に環状構造を有するパーフルオロビニル重
合体が挙げられる。
【0012】しかしながら、屈折率の点では最も好まし
いテフロンAF(登録商標名)は溶媒に難溶であり、そ
の溶液は、ポリマー溶液のゴミ除去のために必要な、例
えば孔径0.2μmのフィルターを通らず濾過ができな
いという欠点があった。また、濾過せずに使用するとし
ても、溶解性が不十分なために、スピンコート法で成膜
した場合に膜の色斑が生じたり、散乱の原因となるポリ
マーの微粒子を含むために光線透過性が低くなる等とい
った問題があった。
【0013】本発明者は、これらの低屈折率でかつ透明
性の高い、環状構造を有するフッ素ポリマーの溶解性、
成膜性(および膜物性)を改善した。これらのポリマー
の低分子量体を反射防止層とするペリクルを提案した
(特願平3−174751号)。
【0014】しかし、テフロンAF(登録商標名)やサ
イトップ(登録商標名)のようなパーフルオロビニル重
合体を低屈折率層として中心層(透明薄膜体)上、ある
いは中心層上に形成された高屈折率層上にコートした場
合、中心層と低屈折率層間、あるいは高屈折率層と低屈
折率層間の接着性を高めるべきであることがわかった。
【0015】反射防止膜をフレームに貼り付けたペリク
ルの表面についた異物を除去する除塵のためのエアブロ
ー時に低屈折率層がその下層から剥離し、ペリクル膜が
フレームから剥れることがある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以上
のようなパーフルオロビニル重合体を低屈折率層材料と
したペリクルの改善点を解決した高性能ペリクルを提供
することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定のパーフルオロポ
リマーとポリフルオロアルキレートとの混合物を反射防
止層用の低屈折率層材料として使用することにより上記
の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0018】即ち、本発明は、反射防止層を形成する低
屈折率層が主鎖に環状構造を有するフッ素ポリマーとポ
リフルオロアルキレートとの混合物であるマスク用防塵
カバーである。更に詳しくは、本発明は、透明薄膜体の
少なくとも一方の面に、低屈折率層からなる1層の反射
防止層または高屈折率層の上に低屈折率層を積層した2
層の反射防止層が形成されたマスク用防塵カバーにおい
て、反射防止層を形成する低屈折率層が、下記の式
(1)で表わされ濃度1.5g/dlのパーフルオロト
リブチルアミン溶液の23℃における還元粘度が1.0
dl/gである、ポリマー(A)と、式(2)で表わさ
れるポリマー(B)の混合物であり、式(1)で表わさ
れるポリマー(A)と式(2)のポリマーとの混合割合
が9:1〜5:5であるマスク用防塵カバーである。
【0019】
【化3】 (ここで、l+m=100モル%、l=90〜60モル
%である。)
【0020】
【化4】 (ここで、RはHまたはCH3 、pは1または2、qは
0または1、rは3〜8の整数を表す。)
【0021】本発明について更に詳細に説明する。本発
明で使用する主鎖に環状構造を有するフッ素ポリマー
は、つぎのような環状構造の繰り返し単位を含む共重合
体である。
【0022】
【化5】 (ここで、l+m=100モル%、l=90〜60モル
%である。)
【0023】主鎖にこのような環状構造を有するフッ素
ポリマー(A)は、屈折率が1.29〜1.31と、テ
トラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド−ヘキ
サフルオロプロピレンコポリマーやポリフルオロアクリ
レートなどの従来のフッ素ポリマーの屈折率1.35〜
1.37に比べ小さく、大きな反射防止効果が得られ
る。ここで、lが60モル%より小さくなると屈折率が
大きくなり、本発明の目的に対して適切でない。
【0024】主鎖にこのような環状構造を有するフッ素
ポリマー(A)は、デュ・ポン社のテフロンAF(商品
名)として入手可能であるが、このポリマーは、分子量
が高いためか溶媒に難溶であり、ごみ除去のための、例
えば孔径0.2μmのフィルターを通らないので、塵を
嫌うペリクルへの使用には適さないという問題があっ
た。
【0025】また、スピンコート法などで成膜したとき
に、薄膜に色斑が生じ、光の透過率が小さくなるという
問題があった。そこで、本発明者らはこの問題を解決す
べく鋭意検討の結果、主鎖に環状構造を有するフッ素ポ
リマーであり、濃度が1.5g/dlのパーフルオロト
リブチルアミン溶液の23℃における還元粘度が1.0
dl/g以下のものは孔径0.2μmのメンブレンフィ
ルターを透過し、作成した膜には、色斑がなく、良好な
反射防止膜を形成することを見い出し、先に出願した。
【0026】しかし、テフロンAF(登録商品名)やサ
イトップのようなパーフルオロビニル重合体を低屈折率
層として中心層(透明薄膜体)上、あるいは中心層上に
形成された高屈折率層上にコートした場合、中心層と低
屈折率層間、あるいは高屈折率層と低屈折率層間の接着
性を高めるべきことが分かった。接着性が低いと、ペリ
クル表面についた異物を除去する除塵のためのエアブロ
ー時に低屈折率層がその下層から剥離し、このためペリ
クル膜がフレームから剥れることがある。
【0027】本発明者らは、以上のようなパーフルオロ
ビニル重合体を低屈折率層材料としたペリクルの改善点
を解決すべく鋭意検討した結果、特定のパーフルオロポ
リマーとポリフルオロアルキレートとの混合物を反射防
止層用の低屈折率層材料として使用することにより上記
の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0028】即ち、本発明は、ペリクルの光学的特性
と、ペリクル膜とフレームとの接着性の両者を満たす低
屈折率反射防止材料を提供するものである。本発明で使
用するポリフルオロアルキレートは、エステルのアルコ
ール部分(側鎖)にフッ素を含むアクリル樹脂である。
モノマーである含フッ素アクリル酸エステルとしては、
アクリル酸、メタクリル酸の含フッ素アルコールエステ
ルがある。
【0029】含フッ素アルコールとしては種々のものが
あり、アルコール性水酸基とアルキル基がメチレン基1
個をはさんで結合しているものや2個以上のメチレン基
をはさんで結合しているもの、また、エーテル酸素原子
を含んでいるものがある。本発明で使用するポリフルオ
ロアルキレートは下記の式(2)で示される。
【0030】
【化6】 (ここで、RはHまたはCH3 、pは1または2、qは
0または1、rは3〜8の整数を表す。)
【0031】式(2)としては含フッ素アクリル酸エス
テルのホモポリマーをその例として示したが、本発明の
ポリフルオロアルキレートとしては、上記に説明した含
フッ素アクリル酸エステルのコポリマーを用いることも
できる。この様なポリフルオロアルキレートは屈折率が
比較的大きく1.35〜1.37であり、これらのポリ
マーを単独に反射防止層としても大きな反射防止効果は
得られない。
【0032】式(2)で表される繰り返し単位からなる
ポリマー(B)の分子量は、特に限定されるものでな
く、当該ポリマーがペリクルの使用条件下で流動性を示
さないものであればよい。
【0033】本発明の低屈折率反射防止材料として、式
(1)のポリマー(A)と式(2)のポリマー(B)の
混合比率は9:1〜5:5(重量比)が好ましく、式
(1)のポリマー(A)が9:1より大きいとペリクル
の接着性が不十分であり、また5:5より小さいと接着
性は十分であるが、混合物の屈折率が大きくなり、ペリ
クルとしての反射防止効果が不足する。
【0034】本発明のペリクルの反射防止材料に使用さ
れるポリマーは、各種のフッ素系溶媒に容易に溶解する
ので、その溶液を用いて当該ポリマーを積層したペリク
ル膜を容易に作成できる。
【0035】本発明に使用されるポリマーの溶剤は、
1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエ
タン(R−113)のようなクロロフルオロカーボン系
溶媒、パーフルオロヘキサンやパーフルオロオクタンに
代表されるパーフルオロカーボン系溶媒、パーフルオロ
−2−ブチルテトラヒドロフラン、2H−テトラデカフ
ルオロ−5−(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキ
サノナン等の含フッ素エーテル系溶媒、或はトリ(パー
フルオロ−n−ブチル)アミンのようなパーフルオロア
ミン系溶媒といったフッ素系溶媒などが挙げられる。
【0036】また、膜表面が平滑で色斑のない膜を得る
ためには、沸点の高い溶媒の方が好ましい。沸点は、好
ましくは130℃以上、より好ましくは160℃以上で
ある。低屈折率反射防止層は、中心層とするセルロース
誘導体等の透明薄膜の片面あるいは両面に形成し、2層
あるいは3層構造とする。あるいは、セルロース誘導体
等の透明薄膜の片面あるいは両面に高屈折率反射防止層
を設け、その上に、上記低屈折率反射防止層を設け、3
〜5層構造としてもよい。
【0037】反射防止層の膜厚は、反射防止しようとす
る光の波長の1/(4n)(nは反射防止層の屈折率)
とするのが好ましい。本発明のペリクルの中心層を構成
する材料は、透明性と強度に優れ、かつ使用する光源に
対する安定性が高いものである必要があり、例えばセル
ロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、
セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロー
ス等のセルロース誘導体及び特開平2−294645号
公報記載のセルロース誘導体が挙げられる。
【0038】これらのセルロース誘導体はそれぞれ単独
又は2種以上の混合物として用いられるが、2種以上の
混合物が好ましく、更には膜強度、高湿度下での形状保
持性に優れるニトロセルロースと耐光性に優れるセルロ
ースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピ
オネート等といったニトロセルロース以外のセルロース
誘導体の混合物が好ましい。
【0039】該混合物中のニトロセルロースの含有量
は、膜強度、高湿度下での形状保持性及び耐光性のバラ
ンスを考慮すると、10〜50重量%が好ましく、更に
は20〜40重量%が好ましい。ニトロセルロースの含
有量が10重量%未満の場合は膜の耐候性が劣り、また
50重量%を超えると膜強度が著しく低下するため好ま
しくない。
【0040】該セルロース誘導体の分子量は大きいほ
ど、膜の形状保持性が向上する。従って、数平均分子量
は3万以上が好ましく、より好ましくは5万以上であ
る。上記のセルロース誘導体のうち、ニトロセルロース
は旭化成工業(株)から、セルロースアセテート、セル
ロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプ
ロピオネートはイーストマンコダック社から、セルロー
スプロピオネートはアルドリッチ社から市販品を容易に
入手できる。
【0041】セルロース誘導体の溶媒としては、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、乳酸
エチル、酢酸セロソルブ等のエステル類及びこれらのう
ちの2種以上の混合溶媒が使用される。
【0042】本発明の中心層の成膜法は、溶融性やキャ
スト法等の通常用いられる各種の成膜法が適用できる。
例えば、ニトロセルロースのように熱可塑性でない材料
の場合には、溶液にしてキャストする方法が通常用いら
れる。本発明のペリクルでは膜厚の均一性が重要であ
る。
【0043】均一な厚みの薄膜を製造する方法として
は、回転塗布法(スピンコータ法)、ナイフコータ法、
浸漬引き上げ法、流体表面への流延法等が適当である
が、中でもスピンコータ法が好適である。但し、本発明
の薄膜を得るためのスピンコーティングの条件は、溶液
の粘度、溶液からの溶媒の蒸発速度、スピンコータ周囲
の温度、湿度、スピン回転数、スピン時間等多くの因子
が影響するので、正しく選択する必要がある。
【0044】3層膜の製造方法を以下に説明する。まず
スピンコーティングによって平滑基板上に形成された中
心層材料の薄膜から、溶媒をホットプレート、オーヴン
等で揮発させる。乾燥後の薄膜の上に、既に述べた含フ
ッ素ポリマーの所定の濃度に調製した溶液をスピンコー
タ法等によって塗布、乾燥し、反射防止層として該含フ
ッ素ポリマーの薄膜を形成し2層膜とする。続いて、平
滑基板上に形成された2層膜を、金属又は樹脂等の枠を
張り付けて剥し取り、反転させて再度反射防止層をスピ
ンコーティングして、中心層の両側に含フッ素ポリマー
層を持つ3層膜を得る。
【0045】5層膜は、上記の3層膜の中心層と反射防
止層の間に高屈折率材料を成膜する違いだけで、上記と
同様に製造できる。2層の反射防止層を形成する場合に
は、中心層の屈折率n、反射防止層の低屈折率量の屈折
率をn1 、同高屈折率層の屈折率をn1 とすると、反射
防止条件は、n1/2 =n2 /n1 で表される。中心層を
セルロース誘導体とする場合、nはほぼ1.5であるの
で、n2 /n1 =1.22が反射防止条件となる。
【0046】例えば、本発明を構成する含フッ素ポリマ
ーの屈折率の好ましい範囲は1.30〜1.33であ
り、それに対応する高屈折率層の屈折率は1.59〜
1.62となる。この条件を満たす高分子材料にはビニ
ルナフタレン−スチレン共重合体がある。
【0047】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの
実施例に制限されるものではない。実施例1〜3では、
本発明の反射防止膜の光学特性を説明し、実施例4〜6
および比較例1では本発明の反射防止膜の接着性評価結
果を説明する。本明細書で述べている接着性について説
明する。
【0048】(a)接着性の意義 露光工程で使用するマスクに新しいペリクルを貼る際、
ペリクルおよびマスクにゴミ(大きさは1ミクロン程度
で非常に小さい)が付いているとこのゴミがマスクの回
路図部分に付着して、製品の欠陥の原因となる恐れがあ
るため、通常、圧縮空気でこのゴミを吹きとばしてペリ
クルおよびマスクを洗浄する(エアブロー法)。
【0049】反射防止膜とアルミフレームとの接着力が
不足する場合には、このエアブロー時に膜とアルミフレ
ームとが剥れることがある。この剥れは剥離部分の観察
から、 低屈折率反射防止層と中心層(3層の反射防止膜の
場合)との界面、 低屈折率反射防止層と高屈折率反射防止層(5層の
反射防止膜の場合)との界面、 に起っており、低屈折率反射防止材料の接着性の不足が
原因である。図1に、エアブローテストの模式図を示
す。
【0050】(b)接着性の評価 反射防止膜とアルミフレームを紫外線硬化型接着剤で接
着し、図1のように、フレームの内側で、30秒間、膜
表面から10mmの距離から圧力2.0kg/cm2
空気を吹きつけて、反射防止膜とフレームの接着性を評
価する。
【0051】(実施例1)セルロースアセテートプロピ
オネート(イーストマンコダック社製「CAP482−
20」、プロピオニル含量46%、以下CAPと略記す
る)6gと、ニトロセルロース(旭化成工業(株)製、
「HIG−20」硝化度12.0%、以下NCと略記す
る)4gを酢酸エチルセロソルブに溶解し、固形分濃度
7g/dlの溶液を調製した。
【0052】また、反射防止膜用に、デュ・ポン社の
「テフロンAF2400」にγ線を120kGy照射し
たもの8gと3M社のフロラード「FC−722」中の
ポリマー成分であるポリフルオロアルキレート2gを混
合してパーフルオロトリブチルアミン(徳山ソーダ
(株)、「IL−270」)に溶かし、1.5g/dl
の溶液を調製した。
【0053】スピンコーターにシリコンウェハーをセッ
トして、調製したCAP+NC溶液を、孔径0.1μm
のメンブレンフィルターで濾過し、その濾過液を20c
c滴下し、その後、シリコンウェハーを1000rpm
で45秒間回転させ、つぎに、ホットプレートで溶媒を
蒸発せしめ、シリコンウェハー上にCAP/NCからな
る厚さ約1.9μmの薄膜を形成した。
【0054】つぎに、その上に、調整した反射防止液を
孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、3c
c滴下し、600rpmで30秒間回転の後、風乾し、
2層膜を形成した。つぎに、両面テープなどを付けた金
属またはプラスチックなどの枠を2層膜に貼りつけてシ
リコンウェハー上より薄膜を剥離し、再び、この膜のC
AP+NC層側を上にしてスピンコーターにセットし、
反射防止液を3cc滴下し、600rpmで30秒間回
転の後、風乾し、3層膜を形成した。両面に形成された
反射防止膜の膜厚は、各々73μmであった。
【0055】こうして得られたペリクルの反射防止膜
は、水銀ランプからの単色光で観察したところ、表面が
平滑で、色斑のない良好な膜であった。この3層膜ペリ
クルの分光透過率を図2に示す。
【0056】350〜450nm間の最低光線透過率は
97%であり、平均光線透過率も98.5%と高いもの
であった。水銀ランプの輝線であるg線(436nm)
およびi線(365nm)における透過率は、いずれも
99.8%であり、g線露光、i線露光のどちらにも、
すなわち、g線、i線共用ペリクルとして好ましく使用
できる。また、光線透過率スペクトルから反射防止層の
屈折率を求めたところ1.30であった。
【0057】(実施例2)セルロースプロピオネート
(アルドリッチ社製、以下CPと略記する)6gと、ニ
トロセルロース(旭化成工業(株)製、「HIG−2
0」硝化度12.0%、以下NCと略記する)4gを酢
酸エチルセロソルブに溶解し、固形分濃度7g/dlの
溶液を調製した。
【0058】実施例1と同様にして、γ線照射「テフロ
ンAF2400」6gと「FC−722」中のポリフル
オロアルキレート4gを混合して反射防止液を調製し、
0.1μmのフィルターで濾過した。スピンコーターに
シリコンウェハーをセットして、調製したCP+NC溶
液を、孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過
し、その濾過液を20cc滴下し、その後、シリコンウ
ェハーを1,000rpmで45秒間回転させ、つぎ
に、ホットプレートで溶媒を蒸発せしめ、シリコンウェ
ハー上にCP+NCからなる厚さ約1.9μmの薄膜を
形成した。
【0059】この上に、調製した反射防止液を滴下して
反射防止層を形成し、さらに剥離、反転して再び反射防
止層を形成し3層膜とした。この3層膜ペリクルは表面
が平滑で色斑のない良好な膜であり、350〜450n
m間の最低光線透過率は97%であり、平均光線透過率
も98%と高いものであった。水銀ランプの輝線である
g線(436nm)およびi線(365nm)における
透過率は、いずれも99.8%であり、g線露光、i線
露光のどちらにも、すなわち、g線、i線共用ペリクル
として好ましく使用できる。また、光線透過率スペクト
ルから反射防止層の屈折率を求めた結果、1.32であ
った
【0060】(実施例3)セルロースプロピオネート
(Aldrich社製、以下CPと略)6gとニトロセ
ルロース(旭化成工業(株)製HIG−20、硝化度1
2.0%、以下NCと略)4gを酢酸エチルセロソルブ
に溶解し、固形分濃度7g/dlの溶液としたものと、
実施例1で用いた低屈折率反射防止液およびポリスチレ
ンの1.6g/dlイソプロピルベンゼン溶液を孔径
0.1μmのフィルタで濾過して調製した。
【0061】スピンコータにセットしたシリコンウェフ
ァに、調製したCP+NC溶液を20ml滴下し、ウェ
ファを1,000rpmで45秒間回転させた後にホッ
トプレートで溶媒を蒸発させて、ウェファ上に膜厚1.
9μmのCP+NC薄膜を形成した。
【0062】続いて、この薄膜上に調製したポリスチレ
ン溶液を3ml滴下し、500rpmで30秒間回転さ
せた後に風乾して2層膜を形成した。更にこの2層膜上
に、実施例1で調製した低屈折率反射防止液を3ml滴
下し、600rpmで30秒間回転させた後に風乾して
3層膜を形成した。
【0063】次に、この3層膜をウェファから剥離し反
転してスピンコータにセットし、CP+NC膜層上にポ
リスチレン層及び低屈折率反射防止層を、順に上記と同
様な方法で形成し、5層膜とした。この5層ペリクルの
光線透過率は、g線で99.8%、i線で99.7%で
あった。また、g線〜i線の範囲では光線透過率は99
%以上だった。
【0064】(実施例4,5,6および比較例1)図1
に示すサンプルを作成して低屈折率反射防止層と中心層
(実施例4,5および比較例1)および高屈折率反射防
止層(実施例6)の接着性の程度を調べた。図1の低屈
折率反射防止層として実施例1の反射防止材料(実施例
4、3層膜)、実施例2の反射防止材料(実施例5、3
層膜)、実施例3の反射防止材料(実施例6、5層膜)
およびテフロンAF2400(γ線照射量120kG
y,3層膜)を用いた。
【0065】接着性の程度を示す剥離の状態を表1に示
す。
【表1】
【0066】これにより、反射防止材料中のポリフルオ
ロアルキレートの比率が1/9より大きいと接着性が良
好である事がわかる。
【発明の効果】本発明のペリクルは、透明性が高く、か
つ溶解性、接着性に優れ含フッ素ポリマーを反射防止層
として使用することにより、反射防止効果が高いため光
線透過率が高く、さらに耐エアブローにも優れるペリク
ルである。
【図面の簡単な説明】
【図1】エアブローテストおよび接着性評価の模式図を
示す。
【図2】実施例1のペリクルの光線透過率を示すグラフ
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】 (ここで、l+m=100モル%、l=90〜60モル
%である。)
【化2】 (ここで、RはHまたはCH3 、pは1または2、qは
0または1、rは3〜8の整数を表す。)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】本発明者は、これらの低屈折率でかつ透明
性の高い、環状構造を有するフッ素ポリマーの溶解性、
成膜性(および膜物性)を改善したポリマーの低分子量
体を反射防止層とするペリクルを提案した(特願平3−
174751号)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】反射防止層の膜厚は、反射防止しようとす
る光の波長の1/(4n)(nは反射防止層の屈折率)
とするのが好ましい。本発明のペリクルの中心層を構成
する材料は、透明性と強度に優れ、かつ使用する光源に
対する安定性が高いものである必要があり、例えばセル
ロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、
セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロ
ピオネート、エチルセルロース等のセルロース誘導体及
び特開平2−294645号公報記載のセルロース誘導
体が挙げられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】該混合物中のニトロセルロースの含有量
は、膜強度、高湿度下での形状保持性及び耐光性のバラ
ンスを考慮すると、10〜50重量%が好ましく、更に
は20〜40重量%が好ましい。ニトロセルロースの含
有量が10重量%未満の場合は膜の膜強度が劣り、また
50重量%を超えると耐光性が著しく低下するため好ま
しくない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】スピンコーターにシリコンウェハーをセッ
トして、調製したCAP+NC溶液を、孔径0.1μm
のメンブレンフィルターで濾過し、その濾過液を20c
c滴下し、その後、シリコンウェハーを1000rpm
で45秒間回転させ、つぎに、ホットプレートで溶媒を
蒸発せしめ、シリコンウェハー上にCAPNCからな
る厚さ約1.9μmの薄膜を形成した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】この上に、調製した反射防止液を滴下して
反射防止層を形成し、さらに剥離、反転して再び反射防
止層を形成し3層膜とした。この3層膜ペリクルは表面
が平滑で色斑のない良好な膜であり、350〜450n
m間の最低光線透過率は97%であり、平均光線透過率
約99%と高いものであった。水銀ランプの輝線であ
るg線(436nm)およびi線(365nm)におけ
る透過率は、いずれも99.8%であり、g線露光、i
線露光のどちらにも、すなわち、g線、i線共用ペリク
ルとして好ましく使用できる。また、光線透過率スペク
トルから反射防止層の屈折率を求めた結果、1.32で
あった
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/16 LJB 7921−4J H01L 21/027

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明薄膜体の少なくとも一方の面に、低
    屈折率層からなる1層の反射防止層または高屈折率層の
    上に低屈折層を積層した2層の反射防止層が形成された
    マスク用防塵カバーにおいて、反射防止層を形成する低
    屈折率が、下記の式(1)で表わされ、濃度1.5g/
    dlのパーフルオロトリブチルアミン溶液の23℃にお
    ける還元粘度が1.0dl/g以下であるポリマー
    (A)と、式(2)で表わされるポリマー(B)の混合
    物であり、かつ式(1)で表わされるポリマー(A)と
    式(2)のポリマー(B)との混合割合が9:1〜5:
    5(重量比)である事を特徴とするマスク用防塵カバ
    ー。 【化1】 (ここで、l+m=100モル%、l=90〜60モル
    %である。) 【化2】 (ここで、RはHまたはCH3 、pは1または2、qは
    0または1、rは3〜8の整数を表す。)
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1167627A (ja) * 1997-08-12 1999-03-09 Seiko Epson Corp 露光方法
JP2006030947A (ja) * 2004-07-16 2006-02-02 Toppan Chunghwa Electronics Co Ltd 半導体部品の洗浄方法及びその装置
KR100801728B1 (ko) * 2005-07-06 2008-02-11 주식회사 하이닉스반도체 분해능 향상을 위한 하드 펠리클
JP2008191656A (ja) * 2007-01-31 2008-08-21 Internatl Business Mach Corp <Ibm> ペリクル、方法(naが1より大きい液浸リソグラフィ・システム用に最適化されたペリクル被膜)
JP2010152308A (ja) * 2008-11-21 2010-07-08 Asahi Kasei E-Materials Corp 新規ペリクル及びその製法

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