JPH0885202A - 超音波インクジェットヘッドおよびこれを用いた記録装置 - Google Patents

超音波インクジェットヘッドおよびこれを用いた記録装置

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JPH0885202A
JPH0885202A JP22071594A JP22071594A JPH0885202A JP H0885202 A JPH0885202 A JP H0885202A JP 22071594 A JP22071594 A JP 22071594A JP 22071594 A JP22071594 A JP 22071594A JP H0885202 A JPH0885202 A JP H0885202A
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ink
ink liquid
slit
jet head
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Withdrawn
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JP22071594A
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English (en)
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Chiaki Tanuma
千秋 田沼
Tomiya Sasaki
富也 佐々木
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication of JPH0885202A publication Critical patent/JPH0885202A/ja
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14322Print head without nozzle

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 装置のコンパクト化を確保しながら、インク
ジェットヘッドにおけるインク液面の安定化や清浄度を
維持し、解像度の高い画像記録を成し得る音波モード利
用のインクジェットヘッドおよび記録装置。 【構成】 アレイ状に配置された複数個の音波発生素子
9と、音波発生素子が発生する音波ビーム同士を干渉さ
せ、求心的に集束する音波ビームに変換する音波干渉層
8と、集束された音波ビーム圧を受けてインク液面から
粒子化したインク液を飛翔させるインク液飛翔スリット
13とを有する音波モード利用のインクジェットヘッド
であって、粒子化したインク液飛翔スリットに接するイ
ンク液面部に音波透過性の多孔質体15をそれぞれ配置
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液体インクを微粒子化
し、記録体媒体面に飛翔させて記録するインクジェット
ヘッドおよびインクジェットプリンター方式の記録装置
に係り、さらに詳しくは、音波ビームの圧力で液体イン
クの微粒子化および飛翔を行う音波モード利用のインク
ジェットヘッドおよびこれを用いる記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液体インキの微粒子(小さな液滴)を所
定の記録媒体面に、選択的に飛翔させ、記録ドットを形
成する記録方式として、インクジェットプリンターが知
られている。このインクジェットプリンターは、他の記
録方法、たとえば電子写真記録方式などに比べて騒音が
少なく、現像や定着などの処理が不要であること、さら
に普通紙などを記録媒体として使用し得ることなどの利
点を有するので、汎用的な記録技術として注目されてい
る。そして、この種のインクジェットヘッド、およびこ
れを用いるプリンター方式としては、発熱体の熱によっ
て発生する蒸気圧でインク滴を飛翔させる方式(たとえ
ば特公昭56−9429号公報,特公昭61−59911 号公報)、
圧電体が生じる機械的な圧力パルスでインク液滴を飛翔
させる方式(たとえば特公昭53−12138 号公報)が挙げ
られる。
【0003】図18は、前記インクジェットプリンター方
式の要部構成例を断面的に示したもので、1はスリット
状ノズル、2はインク液室、3は前記インク液室2に収
容されたインク液4面に、音波ビームを集束・供給する
音波発生素子(電歪振動子)である。ここで音波発生素
子3は、圧電体3aおよび圧電体3a両面に設置された一対
の電極層3bで構成されており、駆動電源5によって交流
を印加すると、音波ビームを発生し、この音波ビーム圧
でインク液4を小さな滴4aとしてノズル1から、記録媒
体6面に飛翔して記録ドットを形成する。なお、7はイ
ンク液室2に所要のインク液4を供給するインク液供給
路である。
【0004】上記例示のごとく、発熱体の熱もしくは圧
電体の圧力パルスを利用するインクジェットヘッドは、
主にキャリッジに搭載し、記録媒体の搬送方向に対して
直交する方向へのスキャンを繰り返すシリアルスキャン
型のヘッドとして実用されている。しかし、このシリア
ルスキャン型のヘッドの場合は、前記のように、スキャ
ンを繰り返すため、記録スピードに限界がある。つま
り、キャリッジに搭載する代わりに、記録媒体の幅と同
じ長さのライン走査型ヘッドとし、可動部分を減らして
記録スピードを上げようとしても、インク溶媒の蒸発も
しくは揮発によって、インク液の濃縮差が生じ易く、解
像度を左右する細いインク噴射口の目詰まりなど起こ
し、実施し得ない状況にあるからである。さらに詳しく
説明すると、蒸気圧でインク液の小滴4aを飛翔させる方
式の場合は、インク液の熱的あるいは化学的な変質に伴
って、不溶物などがインク液噴射口を成すノズル1に付
着して目詰まりを、また、圧力パルス方式の場合は、複
雑な経路を成すインク液流路で目詰まりを、それぞれ誘
起し易い。なお、前記ライン走査型ヘッドの構成で、イ
ンク液噴射口を成すノズル数が数十から百数十程度の場
合は、前記目詰まりの頻度も低減化されているが、それ
以上のノズル数を有するライン走査型ヘッドでは、依然
として確率的に可なり高い目詰まりの発生が起こり易
く、信頼性に問題がある。
【0005】さらに、上記発熱体の熱もしくは圧電体の
圧力パルスを利用する記録ヘッドによる画像記録方式の
場合は、解像度の点にも問題がある。すなわち蒸気圧で
インク滴を飛翔させる方式では、可及的な努力でライン
走査型ヘッドのノズル径を20μm に設定しても、記録媒
体面での記録ドットが50μm 程度で、解像度の向上に限
界がある。また、圧力パルス方式の場合は、ライン走査
型ヘッドの構造が複雑で、加工技術上の点から解像度の
向上も制約されている。
【0006】このようなライン走査型ヘッドの目詰まり
による信頼性の問題、さらには解像度の問題に対して、
薄膜の圧電体から発生する音波ビームを、インク液粒子
の飛翔圧力源として利用する(音波モード利用)画像記
録方式が、たとえば IBM TDB, vol.16,no.4,pp.1168(19
73-10),USP no 4751529,USP no 5041849,特開平4-29
6562号,特開平4-356328号,特開平5-278218号などで開
示されている。この画像記録方式は、いわゆるノズルレ
ス方式であって、ラインヘッド化する上で大きな支障を
成していた目詰まりの防止、および目詰まり解消(復
旧)に有効な機能を備えるとともに、安定した微小なイ
ンク粒子の飛翔も可能で、高解像度化にも期待されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記画
像記録方式のインクジェットヘッドは、コンパクトであ
るうえ、インク液の小滴(微粒子)を安定的に吐出する
ためには、 (a)インク液面を安定に保持すること、 (b)
ヘッド面を常に清浄に保持することが要求される。つま
り、ノズルを成すスリット間にできるインク液面の形状
は、曲率半径が小さく、連続的にインク液滴を飛翔させ
ると、液面が大きく動いて、音波ビームを集束させる焦
点距離が変動し、飛翔するインク液滴の径が変化した
り、ときには飛散によりインク液滴の飛翔が不可能とな
るなど、安定性が大幅に損なわれ易いという問題があ
る。なお、インク液面においては、細かい振動の発生問
題もあって、ときにはスリット液面から凸状に盛り上が
り、この状態で印字を行うとスリット側面にインク液が
垂れ流れて、ヘッド面の汚染化を招来するという問題も
ある。 一方、塵や埃(特に紙粉)などが付着すると、
インク小滴(微粒子)吐出ポートを詰まらせるだけでな
く、吐出されても記録媒体面に付着しなかったインク小
滴が吐出ポートに堆積して、印刷プロセスに支障を生じ
易いからである。もとより、このインクジェットヘッド
の清浄問題は、いずれのプリンターにおいても同様であ
るが、特にライン走査型ヘッドの場合は、記録媒体幅と
同じ長さの固定ヘッド型で、かつ数千個のインク液の小
滴が吐出する構成と成っているため、インクジェットヘ
ッドを記録媒体が通過する段階において、印字(画像形
成)サイクルを妨害せずに、インクジェットヘッドを清
掃することは実質的に不可能である。こうした事情に対
応して、真空クリーナを用いてライン走査型ヘッドの清
浄度の維持・確保を図る手段も提案されている(たとえ
ば特開平6-126971号)。しかし、前記真空クリーナの付
設は画像記録装置の大形化を招来し、コンパクト化の支
障となるばかりでなく、装置の複雑化およびコストアッ
プなどを必然的に伴うので、実用的にはなお問題があ
る。
【0008】本発明はこのような事情に対処してなされ
たもので、装置のコンパクト化などを確保しながら、イ
ンクジェットヘッドの清浄度を維持し、解像度の高い画
像記録を安定になし得る音波モード利用のインクジェッ
トヘッド、および記録装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1のイン
クジェットヘッドは、アレイ状に配置された複数個の音
波発生素子と、前記音波発生素子が発生する音波ビーム
同士を干渉させ、求心的に集束する音波ビームに変換す
る音波干渉層と、前記集束された音波ビーム圧を受けて
インク液面から粒子化したインク液滴を飛翔させるイン
ク液飛翔スリットとを有する音波モード利用のインクジ
ェットヘッドであって、前記粒子化したインク液飛翔ス
リットに接するインク液面部に音波透過性の多孔質体を
それぞれ配置したことを特徴とし、本発明に係る第2の
インクジェットヘッドは、アレイ状に配置された複数個
の音波発生素子と、前記音波発生素子が発生する音波ビ
ーム同士を干渉させ、求心的に集束する音波ビームに変
換する音波干渉層と、前記集束された音波ビーム圧を受
けてインク液面から粒子化したインク液滴を飛翔させる
インク液飛翔スリットとを有する音波モード利用のイン
クジェットヘッドであって、前記粒子化したインク液滴
を飛翔するスリット部のインク液に接するスリット開口
を面取りしたことを特徴とし、さらに本発明に係る第3
のインクジェットヘッドは、アレイ状に配置された複数
個の音波発生素子と、前記音波発生素子が発生する音波
ビーム同士を干渉させ、求心的に集束する音波ビームに
変換する音波干渉層と、前記集束された音波ビーム圧を
受けてインク液面から粒子化したインク液滴を飛翔させ
るインク液飛翔スリットとを有する音波モード利用のイ
ンクジェットヘッドであって、前記インク液を収容する
インク液室の音波干渉層を含むレンズ作用面に近接する
内壁面に気泡を滞留する凹・凸部を形成したことを特徴
とする。
【0010】本発明に係る第1記録装置は、アレイ状に
配置された複数個の音波発生素と、前記音波発生素子か
ら放射される音波ビーム圧を受けてインク液面から、ス
リットを介して粒子化したインク液滴を飛翔させるイン
ク液飛翔手段とを有する音波モード利用のインクジェッ
トヘッドを備えた記録装置であって、前記インクジェッ
トヘッドは印字時と待機時とで異なる位置に移動可能に
設定する手段を有し、さらに要すればインクジェットヘ
ッド面の清浄さを確保する手段を備えていることを特徴
とし、本発明に係る第2記録装置は、アレイ状に配置さ
れた複数個の音波発生素と、前記音波発生素子から放射
される音波ビーム圧を受けてインク液面から、スリット
を介して粒子化したインク液滴を飛翔させるインク液飛
翔手段とを有する音波モード利用のインクジェットヘッ
ドを備えた記録装置であって、前記インク液を収容して
いるインク室にインク液を供給するインク液供給路およ
び逆止弁,インク液用サブタンク,供給用インクタンク
を付設して成ること特徴とする。
【0011】本発明に係る第1および第2のインクジェ
ットヘッドは、次ぎのような観点に立ってなされたもの
である。すなわち、液面の保持力 Pは、 保持力 P=2T/r (ただし T:インク液の表面張力, r:スリット間半径
…曲率半径)で示すことができる。ここで、見ずの物性
値を用いて無限に長いスリットだけで、度の程度の圧力
を発生するか検討してみると、表面張力 Tは常温で71mN
/m ,スリット間隔 0.1mmととすると、水柱で 280mm持
ち上げる力を発生することになる。この保持力から各ス
リット位置出のインク液の重さρ・Vxを差し引いた値
が、そのスリット位置における保持力Pxとなる。
【0012】ある位置での保持力Px=2T/r −ρ・Vx このことから、スリット間半径を小さくすると、保持力
を高めることが可能となる。そして、前記スリット間半
径の低減化は、インク液面を保持するスリット間,イン
ク液側もしくはインク液との対面側に、たとえばスポン
ジ,ハニカム,金網,ファイバー・繊維類など、音波進
行方向に対してその音波の波長より大きな開口率をの多
孔質体を配置するのが一つの手段である。たの手段とし
て、前記スリット間に形成・保持されるインク液面が平
坦化するように、インク液面側もしくはインク液との対
面側のスリット開口部を面取り(エッジ落とし)するこ
とが挙げられる。
【0013】本発明に係る第3のインクジェットヘッド
は、次ぎのような観点に立ってなされたものである。す
なわち、アレイ状に配置された複数個の音波発生素子が
発生する音波ビーム同士を干渉させ、求心的に集束する
音波ビームに変換・作用する音波干渉層を含むレンズ、
たとえば音波干渉層およびフレネル回折帯板で形成され
たレンズに近接するインク液室内壁面に凹面・凸面を形
成し、この凹面・凸面の角部分にインク液の気泡を付着
させることにより、前記音波ビーム子の集束性を向上さ
せ、安定した音波ビーム圧によって、安定したインク液
の飛翔を確保するものである。
【0014】また、本発明に係る第1の記録装置は、次
ぎのような観点に立ってなされたものである。すなわ
ち、印字時と待機時とで、画像記録ヘッド(印字ヘッド
もしくはインクジェットヘッド)の位置を変える機構お
よび画像記録ヘッド面の清浄確保手段を具備させること
を骨子としている。そして、待機時には、インク吐出口
(孔)へ埃や塵が侵入するのを防止するキャップを自動
的に装着させる機能を持たせ、印字時には、紙粉や記録
媒体に付着せずに戻されるインク粒子などがインク吐出
面に付着しない配置を採る機能を持たせるともに、待機
時の位置および印字時の位置間を移動する過程で、イン
ク吐出面を清浄化する清浄化手段を具備させた構成を採
っている。
【0015】本発明に係る第2の記録装置は、さらに次
ぎのような観点に立ってなされたものである。すなわ
ち、インク液を収容するインク液室に、インク液を供給
する供給路(管)および逆止弁,インク液用サブタン
ク,供給用インクタンクを付設して、インク液用サブタ
ンクおよび供給用インクタンクをヘッドよりも低位置に
設定し、ヘッドのスリット側にインク液を吸引させる構
成としている。つまり、供給用インクタンクの交換・着
脱時に流入し易い気泡をインク液用サブタンクにトラッ
プさせる一方、逆止弁によってインク液室からの逆流を
防止して、スリット液面の振動を抑えるとともに、安定
したインク液面を確保する。
【0016】
【作用】上記したように、本発明に係るインクジェット
ヘッドの場合は、インク液の細滴を飛翔するノズル(ス
リット)において、安定したインク液面が容易、かつ確
実に確保されるため、画像の乱れなど招来することな
く、高画質の記録が再現性よく達成される。
【0017】また、本発明に係る記録装置の場合も、イ
ンクジェットヘッドのインク吐出面は、待機時に塵や埃
の付着が防止されるか、もしくはインク液中に気泡が混
在する恐れが解消し、正常なインクジェット機能が維持
・確保される。つまり、ライン走査型化による記録のス
ピードアップの特長を生かしながら、インク吐出口の目
詰まりのや不均一なインク液滴の飛翔を回避し、解像度
のすぐれた記録の達成が可能となる。
【0018】
【実施例】以下図1〜図17を参照して本発明の実施例を
説明する。
【0019】実施例1 図1は本発明に係るインクジェットヘッドの要部構成例
を示す斜視図である。図1において、8は支持体および
音波干渉層(音響的整合層)を兼ねるガラス板、9は音
波発生源(音波発生素子)であり、前記ガラス板8の一
主面に面接合される共通電極層9a,この共通電極層9aの
他面に接合・配置された圧電体層9b,および圧電体層9b
の他面に設けられ、記録ドットに相当するように、圧電
体層9bをアレイ状に分離する個別電極層9cで形成されて
いる。また、10は前記音波発生源9を駆動する駆動回
路、11は前記ガラス板8の他主面に接合・配置されたノ
ズル基板、12は前記ノズル基板11を断面台形に切除して
形成されたスリット状のノズル13を備えたインク液室、
14は前記インク液室12とガラス板8の界面に配置された
1次元のフレネル回折帯板、15はスリット状のノズル13
部に配置された集束した音波ビームの進行を損なわない
開口部を有する多孔質体である。
【0020】ここで、個別電極層9cで分離されるアレイ
は、たとえば解像度40 dpiでA4サイズのライン型ヘッド
の場合、約4800素子から成り、この素子分の数の個別電
極層9c数が一列に並ぶことになる。そして、前記音波発
生素子9は、次ぎのようにして製造し得る。すなわち、
前記ガラス板8の一主面に金属薄層から成る共通電極層
9aを、たとえば蒸着法などによって設け、この共通電極
層9a面上に、たとえばZnOもしくは PbTiZrO3 などの圧
電性材料をスパッタリングし、圧電体層9bを設ける。そ
の後、前記圧電体層9b面上に、前記共通電極層9aと対を
成す個別電極9cを、記録ビットに相当するピッチで形成
する。なお、前記音波発生素子9のアレイ状形成は、圧
電体層9bを形成する段階で、島状の圧電体層を記録ビッ
トに相当するピッチに形成する工程を採ってもよく、ま
た、圧電体層9bの厚さは所望する音波によって決まり、
一般的に、両電極層9a,9cの等価的厚みを含めて波長の
半分となるように設計される。
【0021】さらに、前記1次元のフレネル回折帯板7
は、中心からの距離をxとすると、x= 0〜1K,3k〜5
K,7k〜9K, 11k〜 13K,…で音波を通過する層、およ
びx=1k〜3K,5k〜7K,9k〜 11K, 13k〜 15K,…で音
波の位相が半波長シフトする層が交互に配置された構成
を成している。ただし、ノズル基板11の厚み(焦点距
離)をpとし、使用する音波の波長をλとしたとき、 k
=(λp/ 2)0.5 である。そして、前記2種類の層
は、いずれか一方の層だけを金属蒸着膜の光リソグラフ
ィで形成すればよく、またその厚みはインク液内の遅い
音速との差により半波長のシフトが生じる約数μm 〜十
数μm 程度になっいる。
【0022】次に図2 (a), (b)を参照して、上記構成
のインクジェットヘッドの動作例について説明する。図
2 (a)はスリット状のノズル13に直交する方向の断面
図、図2 (b)はスリット状のノズル13に沿った方向の断
面図である。
【0023】先ず、所定周波数の交流、あるいはパルス
列からなるバースト電圧が、アレイ状の音波発生素子9
のうちの一部、たとえば個別電極層9c1 ,9c2 ,9c3
9c4に印加される。ここで、印加する交流周波数は、音
響整合層(音波干渉層)として機能するガラス板8内で
の波長が、音波発生素子9のピッチよりも長ものであ
る。そして、前記個別電極層9c1 ,9c2 ,9c3 ,9c4
うち、内側2個の個別電極層9c2 ,9c3 には交流を印加
し、外側2個の個別電極層9c1 ,9c4 へは、内側2個の
個別電極層9c2 ,9c3 よりも位相の進んだバースト電圧
を印加すると、相互の音波ビーム同士が干渉しあって、
音波発生素子9のアレイ方向(主走査方向)でのレンズ
効果が生じる。なお、このガラス板8内では、音波発生
素子9のアレイ方向と直交する方向(副走査方向)に集
束することはない。
【0024】一方、インク液室12との境界面に到達した
音波ビームは、フレネル回折帯板14によって、音波発生
素子9のアレイ方向と直交する方向(副走査方向)へ求
心的に集束するようなレンズ効果を受けることになる。
つまり、主走査方向の集束は、音響整合層(音波干渉
層)として機能するガラス板8内から始まり、副走査方
向の集束は、ノズル基板11のインク液室12内のみで行わ
れる。このとき、前記ノズル基板11は、その厚さが予め
焦点に合うように選択・設定されているので、スリット
状のノズル13を形成するスリット開口部に、表面張力お
よび配置してある多孔質体15に起因する保持力によっ
て、安定した状態にとどまっているインク液表面に焦点
合わされることになる。したがって、前記主走査方向お
よび副走査方向に集束した音波ビーム圧により、インク
液表面からインク滴(粒)が容易に飛翔し、記録媒体面
に濃度むらなどのない鮮明な記録がなされる。
【0025】図3は本発明に係るインクジェットヘッド
の他の要部構成例を示す斜視図である。図3において、
8は支持体および音波干渉層(音響的整合層)を兼ねる
ガラス板、9は音波発生素子であり、前記ガラス板8の
一主面に面接合される共通電極層9a,この共通電極層9a
の他面に接合・配置された圧電体層9b,および圧電体層
9bの他面に設けられ、圧電体層9bをアレイ状に分離する
個別電極層9cで形成されている。また、10は前記音波発
生素子9を駆動する駆動回路、11は前記ガラス板8の他
主面に接合・配置されたノズル基板、12は前記ノズル基
板11を断面台形に切除して形成されたスリット状のノズ
ル13を備えたインク液室である。そして、副走査方向へ
集束する手段として、前記インク液室12とガラス板8の
界面に1次元のフレネル回折帯板14を配置する代わり
に、インク液室12とガラス板8の界面をシリンドリカル
レンズ16構成とした他は、前記で例示したインクジェッ
トヘッドと同様の構成を成している。
【0026】この構成のインクジェットヘッドの場合
は、図4に模式的に示すごとく、シリンドリカルレンズ
16に対して垂直に入射する中心部の音波ビームの焦点距
離と、シリンドリカルレンズ16に対して傾斜して入射す
る両端部の音波ビームの焦点距離とが異なるため、通
常、音波ビーム集束特性が悪くなり、また両端部からの
音波ビームは、複雑な3次元での屈折となるので収差を
発生する。したがって、飛翔するインク液滴を生成する
ためのエネルギー効率の低さ、インク液滴の均一性の低
下などが一般的な問題点として指摘される。
【0027】これに対して、この構成例の場合は、凹面
を成すシリンドリカルレンズ16面が、そのままインク液
室12の底壁面を成しているため、断面の大きいインク流
路を形成することになり、たとえば高速記録を行ったと
きでも、インク液を十分に供給し得るので、前記スリッ
ト状ノズル13開口部に配置されている多孔質体15による
インク液の安定した保持状態と相俟って、インク液滴の
大きさのばらつき低減などが図られ、高品質な記録が可
能となった。
【0028】図5 (a)〜 (e)は前記構成例において、ス
リット状ノズル13開口部に,たとえば接着,溶接,組み
込みなどの手段で、スポンジ類(図5 (a)),ハニカム
体(図5 (b)),繊維類(図5 (c), (d)),金網類
(図5 (e))などの多孔質体15を配置した構成例を示す
斜視図である。
【0029】実施例2 この実施例の基本的な構成および作用は、前記実施例1
で例示した図1および図3に図示した場合と同様であ
る。すなわち、前記図1および図3にそれぞれ図示した
インクジェットヘツドにおいて、スリット状のノズル13
開口部に多孔質体15を配置して、ノズル13開口領域での
インク液面を安定化する手段の代わりに、図6 (a),
(b)にそれぞれ異なる構成例を断面的に示すごとく、前
記ノズル13開口領域で、インク液面側もしくはインク液
に対面する側を面取り(エッジ落とし) 13aした構成を
採っている。
【0030】前記スリット状のノズル13開口領域につい
て、エッジ落とし 13aを行った構成の場合は、ノズル13
部におけるインク液面が平坦となって安定したインク液
面を容易に、かつ確実に形成保持するため、音波ビーム
圧の作用により、粒子径の一様なインク液滴の飛翔が行
われ、画像の乱れなど起こすことなく、シャープな画像
記録が達成された。つまり、図6 (c)に比較構成例を断
面的に示すごとく、前記ノズル13開口領域でエッジ落と
し 13aを行わなかった場合、このノズル13部におけるイ
ンク液面は、スリット幅に近い曲率半径を採っているた
め、インク液滴の飛翔が行われると、インク液面が大き
く変化する。そして、このインク液面の大きな変化は、
粒子径の変わったインク液滴の飛翔、もしくはインク液
滴が飛翔しないことになり、結果的に画像の乱れなど起
こし、所望の画像記録が行なわれない恐れがあったのに
対して、図6 (a), (b)に図示した構成を採ったとき
は、このような不都合な問題を容易に解消し得た。
【0031】実施例3 図7はこの実施例に係るインクジェットヘッドの要部構
成例を示す断面図である。図7において、17はアルミナ
基板,9は前記アルミナ基板17上に音響吸収層(図示せ
ず)を介して形成された共通電極層9a,圧電体膜9bおよ
び個別電極層9cから成る音波発生源(振動子)、14は前
記音波発生源(振動子)9上に音響干渉層(たとえばガ
ラス板)8を介して積層配置された副走査方向に音波を
集束させる音響整合層を兼ねたフレネル回折帯板(音響
干渉層8とともにレンズ層形成)である。なお、前記個
別電極層9cは、所望の画素密度に対応して分割され、駆
動用IC素子18へボンディングワイヤ19によって、それ
ぞれ電気的に接続されている。
【0032】また、11は記録用のインク液を収容するイ
ンク液溜(もしくはインク液室)12を形成するノズル基
板で、前記音波発生素子9によって発生する音波が集中
する位置に、インク液吐出口(ノズル)13を成すスリッ
トが設置されている。ここで、インク液溜12は副走査方
向に効率よく音波を集束しするために、必要最小限の空
間として、断面はほぼ三角形の構造としてあり、このイ
ンク液溜12へのインク液供給は、図示されていないイン
クタンクからサブタンクを介して行われる。そして、前
記インクタンクおよびサブタンクは、使用されるインク
液の性質,気泡除去などを考慮して最適な位置が選択さ
れる。つまり、この実施例のインクジェットヘッドも、
基本的な構成および機能・動作については、前記実施例
1の場合と同様であるが、前記図7,図8,図9および
図10にそれぞれ異なる構成例を断面的に示すごとく、い
わゆる音響干渉層8およびフレネル回折帯板14の組み合
わせで構成するレンズに近接するインク液室12の内壁面
を凹凸化 12aし、この凹凸化 12a部にインク液中の気泡
を滞留させるようにした点で特徴付けられる。
【0033】前記図7,図8,図9および図10の構成例
においては、レンズ面に近接するインク液室12が凹凸化
12aしているため、何らかの原因でインク液中に気泡が
入っても、その気泡がインク液室12の凹凸化 12a面の角
部に滞留する形態を採り易くなって、音波ビームの集束
およびインク液滴の飛翔に何等の支障もおよばなくな
る。さらに詳述すると、図7の構成の場合は、インク液
室12の過度部が凹凸化 12a面に相当し、この部分に気泡
は滞留し、また、図8(水平型)および図9(垂直型)
の構成の場合は、インク液室12の側壁の一部段付き部が
凹凸化 12a面に相当し、この一部段付き部に気泡は滞留
するので、音波ビームの安定した出力が確保される。さ
らに、発生した振動ないし音波をそのまま利用し、イン
ク液滴を飛翔させる図10に図示した構成の場合も、イン
ク液室12の側壁の段付き部が凹凸化12a面に相当し、こ
の段付き部に気泡は滞留するので、音波ビームの安定し
た出力が確保される。なお、図9,図10に図示した構成
の場合は、インク液室12に連通する気泡抜き孔20を設置
しておき、この気泡抜き孔20を介して気泡を放出するよ
うにすることも可能である。
【0034】これら、いずれのインクジェットヘッドの
場合も、構造の複雑化など要せずに、音波ビーム圧によ
って一様なインク液滴を飛翔することが可能となる。す
なわち、インク液中に気泡が混入していても、その気泡
はインク液滴の飛翔に関与する音波ビームの集束領域
や、一様なインク液滴の飛翔領域外に滞留・除去され
る。したがって、音波ビームの集束、一様なインク液滴
の飛翔は容易に、かつ確実に確保されることになって、
画像の乱れなど解消して高品質な画像の記録がなされ
る。 実施例4 図11は本発明に係る画像記録装置の要部構成例を示すブ
ロック図である。21はインクジェットヘッドであり、回
転軸22を中心とした回動によって、待機時(待機状態)
Aと印字時(印字状態)Bとで異なる位置を採る構成と
成っている。このインクジェットヘッド21において、8
は音波発生源、12はインク液室、23はインク液吐出ノズ
ル13の保護キャップである。また、24は印字領域に相当
する搬送ローラであり、25はこの搬送ローラ24面に沿っ
て搬送される記録媒体、26は前記インクジェットヘッド
21が待機時(待機状態)A−印字時(印字状態)B間を
移動するとき、その移動軌跡でインク液吐出ノズル(イ
ンク液ノズル)13を成すスリット面に接触して、インク
液吐出ノズル13を清掃する清浄化手段(たとえばクリー
ニング部材)である。
【0035】前記インクジェットヘッド21の構成につい
てさらに詳述すると、音波発生素子9は、一直線上に配
置されたアレイヘッドの構造を採っており、また、この
音波発生素子9は複数個ごとにグループ化され、このグ
ループごとにインク液吐出ノズル13が設置されている。
つまり、グループ内の音波発生素子9に同時に信号を与
え、この信号によってインク液面に音波ビームを集束さ
せ、インク液粒子をインク吐出ノズル13から飛翔させて
おり、この組み合わせを順次切り替えて所要の印字を行
う方式が採られている。このいわゆる電子スキャン法に
よる画像印字では、所要の解像度(印字幅,印字の画素
密度)に対応して、音波発生素子9はアレイ状に形成さ
れている。なお、前記音波発生素子9は、音波振動子お
よび副走査方向に音波ビームを集束させる音響レンズで
構成されている。そして、音波発生振動子としては、酸
化亜鉛の他、たとえばチタン酸鉛系の圧電性セラミック
やフッ化ビニル系樹脂などの高分子圧電体を素材とし、
たとえば蒸着法で所望波長の 1/2厚に成膜したものに、
電極を形成したものが挙げられ、音響レンズとしては、
たとえば回折格子を用いたフレネルレンズ、あるいは凹
面型のガラス製レンズなどが挙げられる。さらに、イン
クジェットヘッド21の音波発生素子9設置面もしくは反
対面(裏面)には、前記音波発生素子9の一部を形成す
る音波発生振動子を駆動する駆動回路(図示せず)が実
装・配置されている。そして、前記待機状態の位置Aへ
の移動、印字状態の位置Bへの移動、保護キャップ23の
自動装着,取り外しなどは、予めプログラムされた状態
を検知し、画像記録装置に内蔵させたマイクロプロセッ
サで動作・制御を行う構成を採っている。
【0036】また、インク液吐出ノズル13面に対する保
護キャップ23の自動装着は、インクジェットヘッド21の
待機状態Aへの移動に対応して、たとえばエアーシリン
ダー方式で行う。ここで、保護キャップ23は、インク液
に対して疎水的な表面を有する材料性が好ましく、たと
えばシリコーンゴム,フッ素樹脂系などが適する。そし
て、この保護キャップ23の装着によって、インク液吐出
ノズル13面にインクが広がるのを防止・制御すること
は、インク液室12内のインク液量を印字状態のときより
少なくすることで、容易に達成し得る。
【0037】さらに、前記清浄化手段26(たとえばクリ
ーニング部材)は、インク液吐出ノズル13面から付着し
ているインク液を払拭する作用と同時に払拭したインク
液を速やかに吸収することが望ましい。そして、このよ
うな機能を考慮した場合、ポリウレタン樹脂系ブレード
(インク払拭作用)とたとえばアクリル樹脂など高分子
吸水性系のブレード(インク吸収作用)とのサンドイッ
チ構造が好ましい。
【0038】次に、上記構成の画像記録装置におけるイ
ンクジェットヘッド21の動作について説明する。先ず、
待機状態Aでは、インクジェットヘッド21が待機状態A
に移動するとともに、インク液吐出ノズル13面に保護キ
ャップ23が自動的に装着されているため、インク液吐出
ノズル13の目詰まり,汚染など確実に回避され、正常な
機能を維持している。つまり、前回の画像記録(印字)
操作終了後、印字状態の位置Bから待機状態の位置Aに
移動するとき、清浄化手段26で清掃された後、ただちに
インク液吐出ノズル13面は保護キャップ23で覆われるた
め、正常な機能を呈する状態を備えていることになる。
【0039】一方、印字状態Bに移動するとき、前記正
常な機能を呈する状態を採っているインク液吐出ノズル
13面は、再度クリーニングされて印字領域に配置され
る。ここで、記録信号に対応して動作する音波発生素子
9のグループごとに、音波モードに応じてインク液室12
内のインク液の液面を粒子状化してインク液吐出ノズル
13から、搬送ローラ24によって搬送される記録媒体25面
に対して吐出・飛翔させ、記録媒体25面に付着・定着さ
せる電子スキャン法を、順次切り替え繰り返すことによ
って所要の加増記録を行う。この画像記録操作が終了し
た時点で、画像印刷ヘッドは待機状態の位置Aに移動す
るが、この移動過程で、前記インク液粒子(インク液小
滴)の吐出・飛翔によって、インク液など付着したイン
ク液吐出ノズル13面は、清浄化手段26によって清浄にク
リーニングされて、待機状態の位置Aに移動するととも
に、保護キャップ23が装着される。
【0040】上記では、記録状態時と待機状態時とで、
インクジェットヘッド21の位置を移動させ、インク液吐
出ノズル13面への保護キャップ23の着脱で正常の保持を
図り、正常なインク液滴の飛翔を確保し、画像の乱れな
ど起こさない記録を行う装置について説明したが、この
ような作用・効果は、次ぎのような他の方式,手段でも
得られる。
【0041】図12は本発明に係るインクジェットヘッド
の要部構成例を示す断面図である。21はインクジェット
ヘッド、17はアルミナ基板,9は前記アルミナ基板17上
に音響吸収層(図示せず)を介して形成された共通電極
層9a,圧電体膜9bおよび個別電極層9cから成る音波発生
素子(振動子)、14は前記音波発生素子(振動子)9上
に積層配置された副走査方向に音波を集束させる音響整
合層を兼ねたフレネルレンズ層である。なお、前記個別
電極層9cは、所望の画素密度に対応して分割され、駆動
用IC素子18へボンディングワイヤ19によって、それぞ
れ電気的に接続されている。
【0042】また、12は記録用のインク液を収容するイ
ンク液室(インク液溜)で、前記音波発生素子9によっ
て発生する音波が集中する位置に、インク液吐出ノズル
13を成すスリットが設置されている。ここで、インク液
室12は副走査方向に効率よく音波を集束しするために、
必要最小限の空間として、断面ほぼ三角形の構造として
あり、このインク液室12へのインク液供給は、図示され
ていないインクタンクからサブタンクを介して行われ
る。そして、前記インクタンクおよびサブタンクは、使
用されるインク液の性質,気泡除去などを考慮して最適
な位置が選択される。
【0043】さらに、27は前記インク液室12のインク液
吐出ノズル13形成面に配置された保護体であり、インク
液吐出ノズル13を成すスリットに塵,埃などが付着し
て、所要のインク液の飛翔が行われないこと、飛翔方向
の変化すること,もしくは飛翔するインク液滴の大きさ
の変化など、安定性が確保されない事態に対応して設置
されたものである。つまり、前記のような事態発生の回
避は、インク液室12における液面をスリット上面より若
干低めに設定し、サブタンクからのインク液の供給を多
めにして、インク液室12のインク液を故意にスリット面
から、スリットの外側に設けたドレイン 27a, 27bにオ
ーバーフローさせ、図示してない廃インク溜めへ導いて
回収する構成と成っている。そして、このインク液フロ
ーによって、インク液吐出ノズル13を成すスリットに付
着している塵,埃などを流し採ったり、さらには拭き採
ったりして清浄面化することによって、前記塵,埃など
の付着に伴う不都合の解消がなされる。
【0044】図13は、上記図12に図示した構成におい
て、保護体27を幅広く開口させ、インク液吐出ノズル13
を成すスリット周辺面を露出した構成を採っている。こ
の構成においては、インク液室12のインク液を故意にス
リット面からオーバーフローさせ、図示してない廃イン
ク溜めへ導いて回収する一方、スリット面を含むインク
液がフローした面に付着している塵,埃などを流し採っ
たり、さらには拭き採ったりして清浄面化することも可
能である。なお、この構成においては、飛翔するインク
液滴の大きさが、音波発生素子9の発生する音波の波長
に比例するので、音波発生素子9を2種類の波長を発生
する構成とし、クリーニング用の音波とインク液滴飛翔
用の音波とを使い分けることによって、前記塵,埃など
の付着に伴う不都合の解消を容易になすことができる。
ただし、スリット部が大きく開口した形態をとっている
ため、インク液室12のインク液の蒸発・揮散がおこり易
いので、保護キャップの装着などを要する。
【0045】また、上記図12に図示した構成において、
保護体27を配置する代わりに、図14に示すごとく、イン
クジェットヘッド21のインク液吐出ノズル13形成面に、
インク液吐出ノズル13面に沿ってシャッター28が矢印方
向にスライド可能に、シャッターガイド29とともに配設
する構造を採ることも可能である。そして、この構成例
の場合は、待機時にはシャッター28でインク液吐出ノズ
ル13面を覆って塵,埃などの付着を防止し、印字時には
インク液吐出ノズル13面からシャッター28をスライドさ
せて、インク液滴を飛翔し得る状態にする。つまり、こ
の構成例の場合も、インク液吐出ノズル13面の清浄性が
確保されるため、飛翔するインク液滴の大きさ、インク
液滴の飛翔状態も一様性が保たれことになり、乱れのな
い画像記録が可能である。
【0046】さらに、上記図12に図示した構成におい
て、保護体27を配置する代わりに、図15に示すごとく、
インクジェットヘッド21のインク液吐出ノズル13形成面
に、インク液吐出ノズル13を成すスリット幅と同じもし
くはそれよりもやや大きめの開口部 30aを有するシャッ
ター兼用のクリーナローラ30を配設した構造を採ってい
る。そして、この構成例の場合は、待機時にはシャッタ
ー機能をなして、インク液吐出ノズル13面を覆って塵,
埃などの付着を防止し、印字時には矢印方向に回動さ
せ、インク液吐出ノズル13に開口部 30aを一致させて、
インク液滴を飛翔し得る状態にする。つまり、この構成
例の場合も、インク液吐出ノズル13面の清浄性が確保さ
れるため、飛翔するインク液滴の大きさ、インク液滴の
飛翔状態も一様性が保たれことになり、乱れのない画像
記録が可能である。なお、シャッター兼用のクリーナロ
ーラ30は、軸方向に2分型に分け、片側 30bを撥水性に
富む材質で、他の片側 30cを吸水性に富む材質でそれぞ
れ形成し、シャッターとして機能するときは、撥水性に
富む材質部 30bで被覆し、クリーナーとして機能すると
きは吸水性に富む材質部 30cでインク液吐出ノズル13形
成面を擦る構成とすることが好ましい。
【0047】実施例5 図16はこの実施例に係る記録装置の他の要部構成例を斜
視的に示したものである。ここで、インクジェットヘッ
ド21は、前記図12に図示した構成で保護体27の付設を省
略した以外は同様の構成を採っている。そして、この実
施例における記録装置は、前記のインクジェットヘッド
21のインク液室12に、記録用のインク液を供給するイン
クタンク31,サブタンク32がインク液供給路33を介して
接続されている。また、インク液タンク31とサブタンク
32との間を接続するインク液供給路33、もしくはサブタ
ンク32とインク液室12との間を接続するインク液供給路
33には逆止弁34が設置されている。ここで、インク液タ
ンク31は、大気に開放されており、カートリッジ方式も
しくはインク液のみを供給方式を採っており、また、前
記インク液タンク31およびサブタンク32の少なくともい
ずれか一方は、インクジェットヘッド23の位置よりも低
くし、インク液室12に連設するスリット内(インク液吐
出ノズル13)で、インク液がその表面張力によって、図
17 (a)に模式的に示すごとく、インク液吐出ノズル13面
より低く吸引するように設定される。
【0048】上記構成の記録装置の場合は、たとえばイ
ンクタンク31の交換時、もしくはインク液の供給時に混
入した気泡がサブタンク32に容易にトラップされて、イ
ンクジェットヘッド21のインク液室12内への気泡混入が
回避,防止される一方、逆止弁34によって、インク液室
12内のインク液が逆流するのも防止し、インク液室12に
おける所要インク液面の確保およびインク液面の振動を
抑えて、安定した状態を形成・保持する。したがって、
一様な粒径のインク液滴の飛翔が可能となって、画像に
乱れのない記録が行われる。つまり、インクジェットヘ
ッド23のインク液室12上に開口するインク液吐出ノズル
13部におけるインク液面は、インクタンク31側の吸引的
な作用およびインク液吐出ノズル13部の表面張力によっ
て、図17(a)に模式的に示すごとく、インク液吐出ノズ
ル13面が凹面をなしている。しかし、音波発生素子9群
からの音波ビームの力によって、前記インク液吐出ノズ
ル13部のインク液面は、図17 (b)に模式的に示すごと
く、インク液凹面の一部が凸状に盛り上がり、さらに先
端部が切れてインク液滴として飛翔する。図17 (c)は比
較のための模式図であり、インク液面がインク液吐出ノ
ズル13面に突出した状態で、前記音波ビームの力によっ
て、インク液滴として飛翔させたとき、しばしば起こる
インク液吐出ノズル13面におけるインク液の垂れの発生
など全面的に解消する。 さらに、この構成例では、イ
ンク液供給路33を一系統と下が複数系統としてもよい
し、また逆止弁34を複数箇所に設置してもよく、インク
ジェットヘッド21も例示の構成以外の他の構成であって
もよい。
【0049】なお、本発明は上記例示の手段に限定され
るものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、いろ
いろの変形を採り得る。
【0050】
【発明の効果】上記説明から分かるように、本発明に係
る音波ビーム利用のインクジェットヘッド、およびそれ
らのインクジェットヘッドを具備する記録装置によれ
ば、インク液吐出ノズル(スリット状ノズル)面の清浄
化が保たれるとともに、気泡などによる悪影響も回避さ
れて安定したインク液面が保持されるので、一様な粒径
のインク液滴を常時飛翔することが可能となる。つま
り、インクジェットヘッドのインク液粒子の吐出ノズル
などは、清掃・清浄化された状態が容易,かつかくじつ
に確保されるとともに、インク液滴(粒子)を飛翔する
インク液面も安定状態を保持するので、ばらつきのない
インク液滴が確実に飛翔されることになり、解像度の高
い高品質な画像記録を常時得ることが可能となる。しか
も、構造的にも簡略で、操作上の複雑などもないので、
高画質で高速のライン記録が可能な、信頼性の高い記録
装置として機能するものといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットヘッドの要部構成
例を示す斜視図。
【図2】(a), (b)は図1に図示したインクジェットヘ
ッドにおける音波ビームの方向性を模式的に示す示す断
面図。
【図3】本発明に係るインクジェットヘッドの他の要部
構成例を示す斜視図。
【図4】(a), (b)は図3に図示したインクジェットヘ
ッドにおける音波ビームの方向性を模式的に示す示す断
面図。
【図5】(a), (b), (c), (d), (e)は、図3に図示
したインクジェットヘッドのスリット状ノズル部の互い
に異なる構成例をそれぞれ示す斜視図。
【図6】(a), (b)は本発明に係るインクジェットヘッ
ドのさらに他の要部構成例についてスリット状ノズル部
におけるインク液面状態を模式的に示す示す断面図、
(c)は比較用のスリット状ノズル部におけるインク液面
状態を模式的に示す示す断面図。
【図7】本発明に係るインクジェットヘッドの別の要部
構成例を示す断面図。
【図8】本発明に係るインクジェットヘッドのさらに別
の要部構成例を示す断面図。
【図9】本発明に係るインクジェットヘッドの別形式の
要部構成例を示す断面図。
【図10】本発明に係るインクジェットヘッドのさらに
別形式の要部構成例を示す断面図。
【図11】本発明に係る記録装置の要部構成例を示すブ
ロック図。
【図12】本発明に係る記録装置が具備し得るインクジ
ェットヘッドの要部構成例を示す断面図。
【図13】本発明に係る記録装置が具備し得るインクジ
ェットヘッドの他の要部構成例を示す断面図。
【図14】本発明に係る記録装置が具備し得るインクジ
ェットヘッドのさらに他の要部構成例を示す断面図。
【図15】本発明に係る記録装置が具備し得るインクジ
ェットヘッドの別の要部構成例を示す断面図。
【図16】本発明に係る他の記録装置の要部構成例を示
す斜視図。
【図17】(a), (b)は本発明に係る他の記録装置のイ
ンクジェットヘッドが具備するスリット状ノズル部にお
けるインク液面状態を模式的に示す示す断面図、 (c)は
比較用のスリット状ノズル部におけるインク液面状態を
模式的に示す示す断面図。
【図18】従来のインクジェットヘツドの構成例を示す
断面図。
【符号の説明】
1,13……スリット状ノズル(インク液吐出ノズル)
2,12……インク液室 3,9……音波発生素子
(振動子) 3a,9a……共通電極層 3b,9b……圧
電体層 3c,9c……個別電極層 4……インク液
4a……インク液滴 5,10……駆動電源(駆動回
路) 6,25……記録媒体 7,33……インク液供
給路 8……音波干渉層(ガラス板) 11……ノズ
ル基板 12a……インク液室内壁面の凹凸面 13a……スリッ
ト状ノズルのエッジ落とし 14……フレネル回折帯板
15……多孔質体 16……シリントリカルレンズ
17……アルミナ基板 18……駆動用IC 19……ボ
ンディングワイヤ 20……気泡抜き孔 21……インクジェットヘッド
22……回転軸 23……保護キャップ 24……搬送ロ
ーラ 26……クリーニング手段 27……保護体
28……シャッター 29……シャッターガイド 30…
…シャッター兼用クリーナー 31……インクタンク
32……サブタンク 34……逆止弁

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アレイ状に配置された複数個の音波発生
    素子と、前記音波発生素子が発生する音波ビーム同士を
    干渉させ、求心的に集束する音波ビームに変換する音波
    干渉層と、前記集束された音波ビーム圧を受けてインク
    液面から粒子化したインク液滴を飛翔させるインク液飛
    翔スリットとを有する音波モード利用のインクジェット
    ヘッドであって、 前記粒子化したインク液飛翔スリットに接するインク液
    面部に音波透過性の多孔質体をそれぞれ配置したことを
    特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 アレイ状に配置された複数個の音波発生
    素子と、前記音波発生素子が発生する音波ビーム同士を
    干渉させ、求心的に集束する音波ビームに変換する音波
    干渉層と、前記集束された音波ビーム圧を受けてインク
    液面から粒子化したインク液滴を飛翔させるインク液飛
    翔スリットとを有する音波モード利用のインクジェット
    ヘッドであって、 前記粒子化したインク液滴を飛翔するスリット部のイン
    ク液に接する領域のスリット開口を面取りしたことを特
    徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 アレイ状に配置された複数個の音波発生
    素子と、前記音波発生素子が発生する音波ビーム同士を
    干渉させ、求心的に集束する音波ビームに変換する音波
    干渉層と、前記集束された音波ビーム圧を受けてインク
    液面から粒子化したインク液滴を飛翔させるインク液飛
    翔スリットとを有する音波モード利用のインクジェット
    ヘッドであって、 前記インク液を収容するインク液室の音波干渉層を含む
    レンズ作用面に近接する内壁面に気泡を滞留する凹・凸
    部を形成したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 アレイ状に配置された複数個の音波発生
    素子と、前記音波発生素子から放射される音波ビーム圧
    を受けてインク液面から、スリットを介して粒子化した
    インク液滴を飛翔させるインク液飛翔手段とを有する音
    波モード利用のインクジェットヘッドを備えた記録装置
    であって、 前記インクジェットヘッドは印字時と待機時とで異なる
    位置に移動可能に設定する手段を備えていることを特徴
    とする記録装置。
  5. 【請求項5】 アレイ状に配置された複数個の音波発生
    素子と、前記音波発生素子から放射される音波ビーム圧
    を受けてインク液面から、スリットを介して粒子化した
    インク液滴を飛翔させるインク液飛翔手段とを有する音
    波モード利用のインクジェットヘッドを備えた記録装置
    であって、 前記インクジェットヘッドは印字時と待機時とで異なる
    位置に移動可能に設定され、かつインクジェットヘッド
    面の清浄さを確保する手段を備えていることを特徴とす
    る記録装置。
  6. 【請求項6】 アレイ状に配置された複数個の音波発生
    素と、前記音波発生素子から放射される音波ビーム圧を
    受けてインク液面から、スリットを介して粒子化したイ
    ンク液滴を飛翔させるインク液飛翔手段とを有する音波
    モード利用のインクジェットヘッドを備えた記録装置で
    あって、 前記インク液を収容しているインク室にインク液を供給
    するインク液供給路および逆止弁,インク液用サブタン
    ク,供給用インクタンクを付設して成ること特徴とする
    記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100426087B1 (ko) * 2001-10-12 2004-04-06 삼성전자주식회사 프린트헤드 크리닝장치 및 이를 채용한 잉크젯 프린터

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