JPH0883709A - 射出成形マグネットロールの製造方法及び製造装置 - Google Patents

射出成形マグネットロールの製造方法及び製造装置

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JPH0883709A
JPH0883709A JP21836994A JP21836994A JPH0883709A JP H0883709 A JPH0883709 A JP H0883709A JP 21836994 A JP21836994 A JP 21836994A JP 21836994 A JP21836994 A JP 21836994A JP H0883709 A JPH0883709 A JP H0883709A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 マグネットロールの反りの発生を抑制できる
とともに成形サイクルの短縮化もはかれ、更に金型寿命
を高めることも可能であり、加えてマグネットロールの
磁極配置の自由度も高めることができる射出成形マグネ
ットロールの製造方法とその製造装置を提案することを
目的とする。 【構成】 磁性粉と磁性粉を結着固化させるためのバイ
ンダーを混合した可塑化物を所定量だけ、目的とする成
形体を形成させる金型内に射出する射出成形マグネット
ロールMの製造方法において、金型内で固化した成形体
を成形体長手方向に引き出すか、又は押し出して金型か
ら成形体を離型させることを特徴とする射出成形マグネ
ットロールMの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば複写機やファク
シミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置における
現像ロールやクリーニングロール、搬送ロール等に用い
られるマグネットロールや、その他用途に用いられるマ
グネットロールの製造方法と、その製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、複写機やファクシミリ、プリン
タ等の電子写真方式の現像装置においては現像ロールや
クリーニングロール、更には搬送ロール等のマグネット
ロールが用いられている。またこれら以外にもマグネッ
トロールの利用対象は広がりつつある。これら用途に使
用されるマグネットロールとしては、焼結磁石を用いた
ものが最も古くから知られているが、近年にいたって、
成形容易性や形状任意性の観点から合成樹脂又は低融点
金属等のバインダーに磁性粉を配合した磁石材料を成形
して作製したマグネットロールが主流になりつつある。
そして、このようなマグネットロールは従来、射出成形
法(例えば、特公昭63−41203号)や押出し成形
法(例えば、特開昭55−165606号)によって作
製されている。
【0003】通常、マグネットロールの長手方向両端に
は当該マグネットロールを回転支持、あるいは固定支持
するための軸部が必要となるが、この軸部の形成をどの
ようにして行うかによって、射出成形法を採用するか押
出し成形法を採用するかの選択がなされている。例え
ば、円筒状磁石体に金属シャフトを貫通させるものや、
円柱磁石体の両端を加工して金属製の短軸を取り付けた
りするものでは押出し成形法が採用され、他方、軸部も
含めて全体を磁性粉を配合した磁石材料によって一体成
形するものでは射出成形法が採用されている。
【0004】マグネットロールは長尺であるため、射出
成形法により作製する場合は、長手方向に平行に2つに
割れる金型(割型)が用いられている。例えば、その製
造方法は図15〜図17に示すように目的とする成形体
Mの軸線に沿って2つに割れた固定型a1と可動型a2
を突き合わして形成される成形空間bに、溶融した磁石
材料を充填して、金型内で冷却固化させ(図15)、固
化後に型を2つに割った後(図16)、複数のエジェク
トピンc,c,……をマグネットロールMの径方向に突
き出してマグネットロールMを金型から離型させて取り
出す(図17)。この後、再び金型を閉じ、次の溶融磁
石材料を充填するというサイクルを繰り返すことによっ
てマグネットロールを作製している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では成形体を取り出すまでに金型内で充分冷却しなけ
ればならないので生産性が低いという問題点があった。
生産性を上げるために冷却時間を短くすると、マグネッ
トロールの硬化が不充分となるため、イジェクト時に生
じる反りが大きくなってマグネットロールとして使えな
くなってしまう。さらに冷却時間を短縮するために金型
の加熱温度を下げると、成形体の表面性が低下したり充
填不良などが起こったりして成形性が低下してしまうと
いう問題も生じる。このような理由から射出成形法で成
形するマグネットロールは生産性を上げることが極めて
困難であった。
【0006】また、金型にはマグネットロール長手方向
に対して平行にパーティング面pが存在するが、金型内
に溶融した磁石材料を注入する際にこのパーティング面
に溶融磁石材料が侵入し易く、キャビティ(成形空間)
に露出したパーティング面(パーティング面のキャビテ
ィ側のへり)が、磁石材料に含まれる高硬度な磁性粉に
よって削られて摩耗したり、潰れが発生し易く、金型寿
命が一般的に短いという問題点もある。
【0007】さらには、パーティング面に沿ってバリが
発生し易く、これがマグネットロールの磁気特性に悪い
影響を及ぼす問題もある。またバリ防止対策として、図
18に示すように、金型のパーティング面pの存在部位
には「肉盗み」と呼ばれる切欠き面dが設けられること
も多いが、このような切欠き面dがあると、マグネット
ロールの磁極に対応して設けられる金型内の励磁源の配
置が制限されるという問題がある。例えば図18では成
形空間bの周囲に励磁源又は導磁路としての磁性材e
1,e2,e3,e4が非磁性材fを間に挟んで存在す
るが、磁性材e3を仮想線で示す位置に移動することは
できない。このように従来金型では磁極の設定が自由に
行えず、磁極配置に制限が生じてしまうという問題があ
った。
【0008】本発明はこれらの問題点に鑑みてなされた
ものであり、マグネットロールの反りの発生を抑制する
とともに成形サイクルの短縮化がはかれ、更には金型寿
命を高めることもできるとともにマグネットロールの磁
極配置の自由度も高めることができるマグネットロール
の製造方法とその製造装置を提案するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような多くの課題を
解決した本発明にかかるマグネットロールの製造方法
は、得ようとする成形体の長手方向において分割された
金型を型締めして形成される成形空間に磁性粉配合磁石
材料を射出して成形空間内で磁性粉配合磁石材料を冷却
固化させて成形体を形成し、そののち成形体の長手方向
に型開きした金型に対して相対的に成形体を長手方向に
引き出すことにより金型から成形体を離型させることを
特徴としている。また成形体を長手方向に引き出す代わ
りに押し出す場合もある。
【0010】金型には磁気回路を内蔵させ、この磁気回
路が生成する磁界によって成形空間内に射出された磁石
材料中の磁性粉を磁場配向させることもできる。
【0011】金型の構造は、得ようとする成形体の長手
方向に分割されるようになっているが、その分割数は二
分割であることが好ましい。
【0012】得ようとするマグネットロールは、長手方
向にわたって一様な断面形状を有する柱状体の両端に縮
径軸部を突設した形状であってもまた縮径軸部を保有し
ないものであってもよい。
【0013】金型としては、成形体の柱状体部分の略全
長と一端側軸部を含む部分を成形する主金型と、残され
た他端側軸部を含む部分を成形する副金型とより構成さ
れるものが採用可能である。そしてより具体的には、主
金型が可動型であり、副金型が固定型である場合と、主
金型が固定型であり、副金型が可動型である場合とがあ
る。
【0014】成形体の可動型からの取り出し方法として
は、型開き時に、成形体を可動型と一体的に移動させ
て、可動型の移動途中あるいは移動終了後に、可動型か
ら成形体を押し出すことにより可動型から成形体を離型
させることが採用可能である。
【0015】このような製造方法に使用される製造装置
は、主金型が可動型である第1類型と、主金型が固定型
である第2類型の2種類がある。主金型が可動型である
第1類型は次の構成である。成形体の柱状体部分の略全
長と一端側軸部を含む部分を成形する可動型と、成形体
の他端側軸部を含む残余部分を成形する固定型と、可動
型と固定型を型締め及び型開きする手段と、磁性粉と磁
性粉を結着固化させるためのバインダーを混合した磁石
材料を固定型を通じて成形空間に射出する手段と、成形
空間内に充填された磁石材料を冷却硬化させる手段と、
先端が可動型の軸端部成形空間に臨み成形体の長手方向
に往復動するエジェクトピンと、可動型の開放端部から
押し出される成形体を仮保持する手段と、を備えてい
る。
【0016】また主金型が固定型である第2類型は、成
形体の柱状体部分の略全長と一端側軸部を含む部分を成
形する主金型を固定型となし、他方、成形体の他端側軸
部を含む残余部分を成形する副金型を可動型となす点、
前記第一類型の製造装置における構成要素である可動型
の開放端部から引き出される成形体を仮保持する手段を
保有しない点において前記第1類型と相違している。
【0017】金型の成形空間内面の表面荒さはRmax
で1S以下であることが好ましく、また、成形空間の内
径寸法の長手方向ばらつきは20μm以下であることが
望まれる。
【0018】可動型の端部形成部位には、型開き時に成
形体がついてくるように、成形体の抜き取り方向に向か
って極僅かに縮径する逆勾配を与えることが考慮され
る。また可動型の軸端部形成部位内面に、僅かな突起を
設けることも考慮される。
【0019】
【作用】本発明の製造方法では、目的とする成形体の長
手方向において前後に分割され、且つ内面にパーティン
グ面を有しない筒状金型同士を接合してマグネットロー
ルの成形空間を形成し、次いでこの成形空間に磁石材料
を充填して冷却硬化させたのち、金型の一方を成形体の
長手方向に移動させて型開きを行う。そしてこの成形体
の長手方向への移動動作と同時に、又は移動途中、ある
いは移動後に成形体を筒状金型から長手方向に押し出
し、あるいは引き出し、成形体を筒状金型から離型させ
る。
【0020】金型に磁気回路が内蔵されているときは、
溶融状態にある磁石材料に対して磁界が加えられ、磁石
材料中の磁性粉が所定の方向に配向させられる。本発明
において使用する金型には、従来の金型のように成形体
の長手方向に平行なパーティング面は存在せず、またバ
リ発生防止用の切り欠き面も存在しないので磁極配置に
制限はない。
【0021】成形空間内面の表面荒さはRmax 値で1S
以下であり、また成形空間の内径寸法の長手方向ばらつ
きが20μm以下である場合、成形体と筒状金型との摩
擦抵抗は低く抑えられ、筒状金型からの成形体の離型は
容易であり、また取り出した成形体の表面も平滑であ
る。
【0022】また、可動型の成形体の端部形成部位に、
成形体の抜き取り方向に向かって僅かに縮径する逆勾配
を与えたり、又は端部形成部位内面に僅かな突起を設け
た場合、この逆勾配や突起による引っ掛かりによって成
形体は可動型の移動に追随するようになる。本発明は、
金型内で固化した成形体を成形体長手方向に引き出す
か、あるいは押し出すことによって金型から成形体を離
型させることにしたので、成形体の長手方向に垂直な方
向からエジェクトピンで成形体を押すことによって成形
体を金型から離型させる従来の射出成形法に比べて、成
形体の反りを大幅に低減させることができる。そして成
形体が充分に冷却しない段階であっても成形体を金型か
ら取り出すことができるので、成形サイクルの大幅な短
縮化が可能となる。
【0023】
【実施例】次に本発明の詳細を図示した実施例に基づき
説明する。本発明が対象とするマグネットロールは、主
として複写機やファクシミリ、プリンタ等の電子写真方
式の現像装置に用いる現像ロールやクリーニングロー
ル、搬送ロール等に用いられるものを対象にしている
が、他の用途に利用することも除外するものではない。
本発明に用いる磁石材料は、磁性粉と磁性粉を結着固化
させるためのバインダーとの混合物であり、磁性粉とし
ては、フェライト系、希土類系(SmCo系、NdFe
B系)、MnAlC系、アルニコ系、SmFeN系のも
のから選択することができ、また、バインダーとして
は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、低融点合金などを用
いることができる。
【0024】図1は本発明の製造方法によって作製され
るマグネットロールの一例である。マグネットロールM
(以下、成形体Mとも称す)は図1に示すように円柱状
の主部M1の両端に縮径した軸部M2,M3を突出形成
した構成であり、全体が磁石材料によって一体成形され
ている。以下実施例では、このマグネットロールを例に
あげて説明するが、本発明は、他の形態のマグネットロ
ールにも応用可能である。例えば、縮径軸部を保有せ
ず、全長にわたって同径の円柱体のみから構成されるも
の、主部M1が円柱ではなく多角柱であるもの、金属シ
ャフトをインサート成形したもの、縮径軸部に駆動力伝
達を確実化するための空回り防止用の切り欠き部を設け
たものにも応用できる。
【0025】図2〜図5は第1実施例の成形サイクルの
概略を示している。マグネットロールMを成形する金型
は、可動型1と固定型2とから構成されている。可動型
1は成形体Mの主部M1分の略全長と一端側軸部M2を
含む部分を成形する成形空間3aを有する筒状金型であ
り、成形体のほぼ全長を成形するという意味で主金型と
定義できる。主金型である可動型1は機械加工によって
一体形成されたもので、その成形空間3の内周面にはパ
ーティング面は存在しない。また成形空間の内径寸法の
長手方向ばらつきは20μm以下に抑えられ、且つ成形
空間内面の表面荒さはRmax 値で1S以下に設定され、
必要に応じて鏡面仕上げが施されている。これは、本発
明では金型からの成形体Mの取り出しを、成形体Mを長
手方向に引き出すか、あるいは押し出すことにより行う
ため、成形体Mと金型内面との摩擦抵抗の軽減をはかる
必要があるためである。尚、金型からの成形体Mの取り
出しを容易にするために必要に応じて成形体Mの主部M
1形成箇所に該当する金型内面箇所に抜き勾配を形成す
ることも好ましい。
【0026】可動型1の軸部M2形成箇所に隣接する位
置には成形体M押出し用のエジェクトピン4が成形空間
3aへの出没が可能な状態で設けられている。マグネッ
トロールMの軸部M2は異径の第1軸部M21と第2軸
部M22を連設した構成であるが、図6に示すように第
1軸部M21を形成する可動型1の該当箇所には、成形
体Mの抜き取り方向(図中右側)に向かって僅かに縮径
する逆勾配を与え、可動型1を固定型2から型開きする
際に、成形体Mが可動型1の移動に確実についていくる
ようにしている。また図示しないが、逆勾配を与える代
わりに第1軸部M21を形成する可動型1の該当箇所内
面に僅かな突出高さの突起を形成してもよい。
【0027】一方、固定型2には、成形体Mの残された
他端側軸部M3を成形する成形空間3bが設けられ、且
つ可動型1と固定型2を接合して形成される成形空間3
に溶融した磁石材料を射出するホットゲート5が設けて
いる。ホットゲート5を設ける位置は図例のものに限定
されず、軸部M3の外周位置であってもよい。
【0028】このような構成の金型を用いたマグネット
ロールの製造は次の手順で行われる。 A1)筒状の可動型1と固定型2を型締めして成形空間
3を形成し、この成形空間3に磁石材料を射出するとと
もに充填された磁石材料を冷却硬化させる。(図2参
照) A2)成形体Mを一体的に保持しながら可動型1を固定
型2に対して型開きし、軸部M3を固定型2から離型さ
せる。(図3参照) A3)エジェクトピン4を可動型1の一端から成形空間
3a内に挿入し、可動型1内の成形体Mを長手方向に所
定長さ押し出し、この押し出された成形体を把持手段で
あるロボットアーム6により把持する。(図4参照) A4)ロボットアーム6による成形体Mの把持状態を維
持しながら可動型1を成形体Mから図中左側に引き取る
ことにより可動型1から成形体M全体を離型させる。
(図5参照) 以下、A1〜A4のサイクルを繰り返すことによりマグ
ネットロールMが次々と作製される。
【0029】また図7〜図9は第2実施例の成形サイク
ルの概略を示している。マグネットロールMを成形する
金型は、可動型11と固定型12とから構成されてい
る。第2実施例は前記第1実施例とは逆に固定型12を
主金型とし、可動型11を副金型としている。即ち、固
定型12は成形体Mの主部M1分の全長と一端側軸部M
3を含む部分を成形する成形空間13bを有する筒状金
型であり、可動型1と固定型2を接合して形成される成
形空間3に溶融した磁石材料を供給するホットゲート1
5を設けている。成形空間13bの内径寸法の長手方向
ばらつきは20μm以下に抑えられ、且つ成形空間13
b内面の表面荒さはRmax 値で1S以下に設定され、必
要に応じて鏡面仕上げが施されていることは前記第1実
施例と同様である。
【0030】他方、可動型11は、成形体Mの残された
他端側軸部M2を成形する成形空間13aが設けられた
構成であり、可動型11の軸部M2形成箇所に隣接する
位置には成形体M押出し用のエジェクトピン14が成形
空間13aに出没可能な状態で設けられている。図10
に示すように第1軸部M21を形成する可動型1の該当
箇所には、前記第1実施例と同様、成形体Mの抜き取り
方向(図中右側)に向かって僅かに縮径する逆勾配を与
えている。前記第1実施例では成形体Mと可動型1との
接触部が比較的広範囲に及んでいたことから第1軸部M
21に該当する箇所に逆勾配を設けなくても、成形体M
と可動型1との接触抵抗により成形体Mを可動型1の型
開き動作に追随させることが可能であるが、本第2実施
例の場合、可動型11と成形体Mとの接触部は軸部M2
のみであるから、第1軸部M21に設ける逆勾配は極め
て重要な意味を持つ。
【0031】このような構成の金型を用いたマグネット
ロールの製造は次の手順で行われる。 B1)可動型11と筒状の固定型12を型締めして成形
空間13を形成し、この成形空間13に磁石材料を射出
するとともに充填された磁石材料を冷却硬化させる。
(図7参照) B2)成形体Mの軸部M2を保持した状態で、可動型1
1を固定型12に対して型開きして成形体Mの全長を固
定型12から長手方向に引き出して成形体Mを固定型1
2から離型させる。(図8参照) A3)エジェクトピン14を可動型11の一端から成形
空間13a内に挿入し、可動型11によって保持されて
いる軸部M2を長手方向に押し出して可動型11から離
型させる。(図9参照)
【0032】このように第1実施例も第2実施例も筒状
金型内に冷却硬化した成形体Mを当該成形体Mの長手方
向に押し出すか、あるいは引き出すことによって金型か
ら成形体Mを離型させる。筒状金型内面にはパーティン
グ面は存在しないので、金型内面の部分的磨耗がなくな
り金型寿命を長くできる。また成形体Mは軸方向に押し
出されたり、あるいは引き出されることによって金型か
ら取り出されるので、離型時の成形体Mの反りの発生も
ほとんどない。
【0033】また、本発明では、内周面にパーティング
面がない筒状金型を用いているので磁場配向成形を行う
際の磁極の配置に制限がない利点もある。図11は筒状
金型内に磁気回路を内蔵させた場合の成形空間周辺の金
型の横断面構造を示している。ここでは前記第1実施例
に対応させた符号を付しており磁気回路は可動型1に内
蔵されるものとする。成形空間3の周囲には永久磁石や
電磁石等の励磁源やこれらから発生する磁束の導磁路と
なる磁性材7a,7b,7c.7dが非磁性材8,8…
…を間に挟んで離間配置されている。マグネットロール
表面に形成される磁極に要求される機能は多様であり、
したがってその磁気パターンも多様なものとなることか
ら、磁極配置は自由に行えることが理想である。従来の
射出成形マグネットロール用製造金型には図18に示す
ように成形体の長手方向に平行なパーティング面pが存
在したり、あるいは「肉盗み」と称される切り欠き面d
が存在したために磁極形成位置が制限されていたが、本
発明では図11に示すように成形体Mの主部M1を形成
する金型にはパーティング面は存在しないので、その磁
極配置は自由であり,例えば磁性材7cを仮想線位置に
まで移動させることも任意である。
【0034】図12及び図13は磁気回路を内蔵した金
型の横断面図を示している。図12は励磁源として永久
磁石を用いた場合の一例であり、図13は励磁源として
電磁石を用いた場合の一例である。図12において20
は成形空間、21は永久磁石、22はバックヨーク、2
3は非磁性材部、24は冷却水路である。また図13に
おいて30は成形空間、31はヨーク、32はコイル、
33はバックヨーク、34は非磁性材部、35は冷却水
路である。本発明では金型内面にはパーティング面や肉
盗みのための切り欠き面が存在しないから、永久磁石2
1やヨーク31の配置位置は自由に設定でき、磁界パタ
ーンを自由に設計できる。図示しないが永久磁石と電磁
石を組み合わした励磁源を用いることもできる。
【0035】次に本発明者が、本発明の効果を確認する
ために行った比較試験結果について述べる。 「比較試験1:サイクルタイム及び反りの大きさについて」 ・コンパウンド :バインダー 分子量約10000 のナイロン6 40vol% :磁性粉 フェライト(日本弁柄製NP20)60vol% ・成形体寸法 :φ10×250mm ・成形温度 :300℃ ・金型温度 :80℃ ・成形圧力 :960kgf/cm2 ・保圧条件 :200kgf/cm2 で9秒間 上記成形条件で通常の射出成形法と本発明の射出成形法
によりマグネットロールを作製し、成形サイクルタイム
と出来上がった成形体の反りの大きさを測定した。反り
の測定は図14に示すようにマグネットロールMの両端
部を支持し、反りの全くない基準棒と基準面との距離を
d1とし、測定するマグネットロールMの基準面からの
距離をd2としたときに、これら距離相互の差(d1−
d2)を求めてこれを「反りの大きさ」とした。結果を
表1に示す。
【0036】
【表1】 この表に示されているように、本発明方法によれば成形
のサイクルタイムを大幅に短縮化しても反りの小さいマ
グネットロールが作製可能となる。
【0037】「比較試験2:冷却時間と反りの関係につ
いて」比較試験1と同一の条件で、冷却時間(保圧・計
量・冷却の時間の総和)を変えて成形体の反りの大きさ
を調べた。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】 表2において「変形極めて大」と記載したものは、エジ
ェクトピンによって押された部分が「くの字」状に変形
してしまい正確な測定ができなかったことを示してい
る。表2より、本発明の製造方法により作製したマグネ
ットロールは短い冷却時間であっても、その反り量は極
めて小さい。したがって従来の射出成形法に比べて冷却
時間の大幅な短縮が可能であり、この表からも本発明は
生産性に極めて優れていることが確かめられた。尚、本
発明でも80μm前後の反りが発生しているのはキャビ
ティ内で冷却固化する際に、温度の不均一が生じ、成形
体内部に熱収縮の差ができたためと推測される。このよ
うに本発明は、金型内で固化した成形体を成形体長手方
向に引き出すか、あるいは押し出すことによって金型か
ら成形体を離型させることにしたので、成形体の長手方
向に垂直な方向からエジェクトピンで成形体を押すこと
によって成形体を金型から離型させる従来の射出成形法
に比べて、成形体の反りを大幅に低減させることが可能
である。そして成形体が充分に冷却しない段階であって
も、成形体に反りを発生させることなく、あるいはその
反り量が実用上問題とならない範囲内に抑えた状態で成
形体を金型から取り出すことができるので、成形サイク
ルの大幅な短縮化も可能となる。
【0039】
【発明の効果】本発明の製造方法は、従来の射出成形法
に比べて次の諸点で優れている。 成形体は当該成形体の長手方向に沿って引き出すか、
又は押し出すことによって金型から取り出すために離型
時の反りが発生しにくい。また、金型から取り出す成形
体の冷却時間は従来の射出成形法の冷却時間に比べて大
幅に短縮できるため、生産性の飛躍的な向上がはかれ
る。 本発明ではキャビティ内周面にはパーティング面が存
在しない筒状金型を用いていることから、従来の射出成
形金型の問題点であったパーティング面の集中磨耗がな
くなり金型寿命が長くできる。 筒状金型内面にバリ防止用の「肉盗み」としての切り
欠き面が存在しないので磁極配置に制限がなく、磁界パ
ターン設計の自由度が高まる。
【0040】成形空間内面の表面荒さはRmax 値で1S
以下であり、また成形空間の内径寸法の長手方向ばらつ
きが20μm以下である場合、成形体と筒状金型との摩
擦抵抗は低く抑えられ、筒状金型からの成形体の離型は
容易であり、また取り出した成形体の表面も平滑であ
る。
【0041】また、移動させる側の金型である可動型の
端部形成部位に、成形体の抜き取り方向に向かって僅か
に縮径する逆勾配を与えたり、あるいは端部形成部位内
面に僅かな突起を設けた場合、この逆勾配や突起による
引っ掛かりによって成形体は可動型の移動に追随するの
で成形体を可動型の移動に追随させるための特別な他の
工夫は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マグネットロールの外観を示す斜視図
【図2】 本発明の第1実施例において金型内に磁石材
料を射出充填した段階を示す断面説明図
【図3】 同実施例において、成形体を伴いながら可動
型を固定型に対して型開きした状態を示す断面説明図
【図4】 同実施例において、エジェクトピンにより可
動型から成形体を押出し、且つこの成形体をロボットア
ームで把持した状態を示す断面説明図
【図5】 同実施例において、ロボットアームで把持さ
れた成形体から可動型を引き取った状態を示す断面説明
【図6】 同実施例において可動型の軸端部分に逆勾配
を与える例を示す断面説明図
【図7】 本発明の第2実施例において金型内に磁石材
料を射出充填した段階を示す断面説明図
【図8】 同実施例において、成形体を伴いながら可動
型を固定型に対して型開きして成形体を固定型から引き
出す状態を示す断面説明図
【図9】 同実施例において、エジェクトピンにより可
動型から成形体を押出した状態を示す断面説明図
【図10】 同実施例において可動型の軸端部分に逆勾
配を与える例を示す断面説明図
【図11】 本発明における金型の磁極配置を示す横断
面図
【図12】 励磁源として永久磁石を用いた場合の金型
の横断面図
【図13】 励磁源として電磁石を用いた場合の金型の
横断面図
【図14】 マグネットロールの反りの比較試験方法を
示す説明図
【図15】 従来の射出成形法において金型内に磁石材
料を射出充填した段階を示す断面説明図
【図16】 従来の射出成形法において金型を型開きし
た状態を示す断面説明図
【図17】 従来の射出成形法においてエジェクトピン
を突き出して成形体を取り出す様子を示す断面説明図
【図18】 従来の金型の磁極配置を示す横断面図
【符号の説明】
a1 割型 a2 割型 M マグネットロール M1 主部 M2 軸部 M3 軸部 M21 第1軸部 M22 第2軸部 1 可動型 2 固定型 3 成形空間 3a 成形空間 3b 成形空間 4 エジェクトピン 5 ホットゲ
ート 6 ロボットアーム 7a,7b,7c,7d 磁性材 8 非磁性材 11 可動型 12 固定型 13 成形空間 13a 成形空間 13b 成形空
間 14 エジェクトピン 15 ホット
ゲート 20 成形空間 21 永久磁
石 22 バックヨーク 23 非磁性 24 冷却水路 30 成形空間 31 ヨーク 32 コイル 33 バック
ヨーク 34 非磁性材部 35 冷却水

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性粉と磁性粉を結着固化させるための
    バインダーを混合した磁石材料を所定量だけ、目的とす
    る成形体を形成させる金型内に射出する射出成形マグネ
    ットロールの製造方法において、 金型内で固化した成形体を成形体長手方向に引き出して
    金型から成形体を離型させることを特徴とする射出成形
    マグネットロールの製造方法。
  2. 【請求項2】 磁性粉と磁性粉を結着固化させるための
    バインダーを混合した磁石材料を所定量だけ、目的とす
    る成形体を形成させる金型内に射出する射出成形マグネ
    ットロールの製造方法において、 金型内で固化した成形体を成形体長手方向に押し出して
    金型から成形体を離型させることを特徴とする射出成形
    マグネットロールの製造方法。
  3. 【請求項3】 金型に磁気回路を内蔵させ、この磁気回
    路が生成する磁界によって成形空間内に射出された磁石
    材料中の磁性粉を磁場配向させてなる請求項1又は2記
    載の射出成形マグネットロールの製造方法。
  4. 【請求項4】 金型が、得ようとする成形体の長手方向
    において二分割されている請求項1〜3のいずれか1項
    記載の射出成形マグネットロールの製造方法。
  5. 【請求項5】 得ようとするマグネットロールが、長手
    方向にわたって一様な断面形状を有する柱状体の両端に
    縮径軸部を突設した形状である請求項1〜4のいずれか
    1項記載の射出成形マグネットロールの製造方法。
  6. 【請求項6】 金型が、成形体の柱状体部分の略全長と
    一端側軸部を含む部分を成形する主金型と、他端側軸部
    を含む残余部分を成形する副金型とより構成された請求
    項5記載の射出成形マグネットロールの製造方法。
  7. 【請求項7】 主金型が可動型であり、副金型が固定型
    である請求項6記載の射出成形マグネットロールの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 主金型が固定型であり、副金型が可動型
    である請求項6記載の射出成形マグネットロールの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 型開き時に、成形体を可動型と一体的に
    移動させるとともに、可動型の移動途中あるいは移動終
    了後に、可動型から成形体を押し出すことにより可動型
    から成形体を離型させてなる請求項1〜8のいずれか1
    項に記載の射出成形マグネットロールの製造方法。
  10. 【請求項10】 成形体の柱状体部分の略全長と一端側
    軸部を含む部分を成形する可動型と、 成形体の他端側軸部を含む残余部分を成形する固定型
    と、 可動型と固定型を型締め及び型開きする手段と、 磁性粉と磁性粉を結着固化させるためのバインダーを混
    合した磁石材料を固定型を通じて成形空間に射出する手
    段と、 成形空間内に充填された磁石材料を冷却硬化させる手段
    と、 先端が可動型の軸端部成形空間に臨み成形体の長手方向
    に往復動するエジェクトピンと、 可動型の開放端部から押し出された成形体を仮保持する
    手段と、 を備えた射出成形マグネットロールの製造装置。
  11. 【請求項11】 成形体の柱状体部分の略全長と一端側
    軸部を含む部分を成形する固定型と、 成形体の他端側軸部を含む残余部分を成形する可動型
    と、 可動型と固定型を型締め及び型開きする手段と、 磁性粉と磁性粉を結着固化させるためのバインダーを混
    合した磁石材料を固定型を通じて成形空間に射出する手
    段と、 成形空間内に充填された磁石材料を冷却硬化させる手段
    と、 先端が可動型の軸端部成形空間に臨み成形体の長手方向
    に往復動して成形体を可動型から離型させるエジェクト
    ピンと、 を備えた射出成形マグネットロールの製造装置。
  12. 【請求項12】 可動型の軸端部形成部位に、成形体の
    抜き取り方向に向かって僅かに縮径する逆勾配を与えて
    なる請求項10又は11記載の射出成形マグネットロー
    ルの製造装置。
  13. 【請求項13】 可動型の軸端部形成部位内面に、成形
    体を可動型の移動に追従させるための僅かな突起を設け
    てなる請求項10又は11記載の射出成形マグネットロ
    ールの製造装置。
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