JP2000030933A - マグネットローラおよび該ローラの製造方法 - Google Patents

マグネットローラおよび該ローラの製造方法

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JP2000030933A
JP2000030933A JP10199088A JP19908898A JP2000030933A JP 2000030933 A JP2000030933 A JP 2000030933A JP 10199088 A JP10199088 A JP 10199088A JP 19908898 A JP19908898 A JP 19908898A JP 2000030933 A JP2000030933 A JP 2000030933A
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roller
magnet
diameter
molten resin
magnet roller
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JP10199088A
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Masaharu Iwai
雅治 岩井
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TOCHIGI KANEKA KK
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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TOCHIGI KANEKA KK
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反りが少なく、高強度で、しかも優れた磁気
的特性を有するマグネットローラおよび該ローラの製造
方法を提供する。 【解決手段】 マグネットローラ1では、ローラ部2の
一端側に軸部3が突出形成される。具体的には、溶融樹
脂磁石材料を軸部3側から成形型に注入してローラ部2
および軸部3,4が一体成形される。こうして形成され
るマグネットローラ1では、ローラ部2の直径Dと軸部
3の直径d1との比(=D/d1)が、次の不等式、 1≦D/d1≦2.4 を満足するように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やファクシ
ミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置に用いられ
るマグネットローラや、その他の用途に用いられるマグ
ネットローラおよび該ローラの製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】この種のマグネットローラとして、従
来、磁石材料からなるローラ部の中心部に金属製または
合金樹脂製のシャフトをインサート成形し、シャフトの
両端部をマグネットローラの軸部としたものが知られて
いるが、最近、工程数を低減し、生産性を改善すべく、
ローラ部および軸部を磁石材料で一体的に成形したマグ
ネットローラが実用化されている。具体的には、次のよ
うにして成形される。すなわち、マグネットローラの軸
部が金型の合わせ面内に配置されるように、成形部を夫
々形成した固定型と可動型とからなる金型を用い、両金
型を型締めして形成される成形空間に、軸部側に設けら
れた注入口(ゲート)から予め加熱溶融させた磁石材料
を射出注入して金型内で冷却固化させた後、金型を型開
きして複数の突き出しピンなどで離型させることで、マ
グネットローラを得るようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のマグ
ネットローラでは、軸部がローラ部に比べて比較的細
く、ローラ部と軸部との径差が大きくなっている。この
ため、上記のように軸部側から溶融樹脂磁石材料を注入
すると、軸部での溶融樹脂磁石材料の流動性が悪くなっ
たり、注入口近傍が早く固化して保圧が不十分となり充
填性が悪化することがある。このような現象が発生する
と、マグネットローラの長手方向の磁気的均一性が大幅
に低下したり、マグネットローラが反ったり、マグネッ
トローラの強度低下を招くなどの問題がある。
【0004】この発明は、上記のような問題に鑑みてな
されたものであり、反りが少なく、高強度で、しかも優
れた磁気的特性を有するマグネットローラおよび該ロー
ラの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、成形
型に溶融樹脂磁石材料を注入して、ローラ部と、当該ロ
ーラ部の一端または両端に設けられた軸部とが一体成形
されたマグネットローラであって、前記ローラ部の直径
Dと、溶融樹脂磁石材料を注入するための注入口が形成
された側の軸部の直径d1との比(=D/d1)が、次の
不等式、 1≦D/d1≦2.4 を満足するように構成している。
【0006】この発明では、上記不等式が満足される、
つまり軸部の直径d1が比較的太くなっており、軸部で
の溶融樹脂磁石材料の流動性が向上して充填密度が高く
なる。ここで、マグネットローラに対して要求されるロ
ーラの反り、強度、磁力リップルや軸方向磁力バラツキ
などの磁気特性を満足するためには、直径比(=D/d
1)は2.4以下に設定するのが望ましい。なお、その
点に関しては、後の実施例で具体的な実験結果を示して
詳述する。ここで、上記「磁力リップル」とはロール軸
方向の磁束密度の局所的な変化量のことをいう。
【0007】請求項4の発明は、請求項1記載のマグネ
ットローラの製造方法であって、上記目的を達成するた
め、前記成形型を、ローラ部を成形するための成形空間
を有するメイン成形型と、前記メイン成形型の一方端に
着脱自在に取付けられ、前記軸部を成形する軸部成形型
と、前記成形空間に略隙間なくスライド自在に装着され
たスライド型とで構成し、前記スライド型を前記成形空
間内に装着した状態で、前記軸部成形型側から前記成形
空間内へ溶融樹脂磁石材料を射出注入するとともに、こ
の注入速度に応じて前記スライド型を適性な成形位置ま
で後退させる。
【0008】この発明では、成形型に溶融樹脂磁石材料
を注入してマグネットローラを製造するにあたって、用
いる溶融樹脂磁石材料の種類やその溶融状態での特性、
あるいは生産性の観点から先ず最適な注入速度を決め、
この溶融樹脂磁石材料の最適注入速度に合わせ、溶融樹
脂磁石材料を注入しながら成形空間を所定のサイズまで
拡大してマグネットローラが製造される。
【0009】なお、マグネットローラを成形するために
は、溶融樹脂磁石材料を注入するための注入口を成形型
に形成しておく必要があるが、当該注入口を軸部側に設
け、さらにその直径d3が次の不等式、 d1×0.5≦d3≦d1×1 を満足するように構成することが好ましく、この場合、
注入口を介して軸部側に溶融樹脂磁石材料をより確実
に、しかも良好な流動性で注入することができ、成形型
内での溶融樹脂磁石材料の充填密度がより高くなる(請
求項2,3,5)。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、この発明にかかるマグネ
ットローラの一の実施形態を示す斜視図である。このマ
グネットローラ1は、同図に示すように、円柱状のロー
ラ部2の一端側(同図の左下側)に軸部3を突出形成す
るとともに、他方端側(同図の右上側)に軸部4を突出
形成したものであり、軸部3に位置決め或いは駆動力伝
達用の切欠部5を形成したものである。このマグネット
ローラ1は、溶融樹脂磁石材料を軸部3側から成形型に
注入してローラ部2および軸部3,4を一体成形した例
であるが、注入口は軸部3側には限定されず、軸部4側
の場合もあるが、ここでは軸部3側に注入口がある例と
して以下説明する。マグネットローラ1のローラ部2の
直径D(図2)と軸部3の直径d1(図2)との比(=
D/d1)が、次の不等式、 1≦D/d1≦2.4 を満足するように構成されている。このように、この実
施形態にかかるマグネットローラ1では、直径比(=D
/d1)が比較的小さい、すなわち、軸部3の直径d1が
比較的太くなっており、軸部3での溶融樹脂磁石材料の
流動性が向上して充填密度が高くなり、マグネットロー
ラ1の反り、強度、磁力リップルや軸方向磁力バラツキ
などの磁気特性が良好なものとなっている。これに対し
て、直径比(=D/d1)が2.4より大きいと、従来
のマグネットローラと同様に軸部3は比較的細く、マグ
ネットローラ1に対して要求されるローラの反り、強
度、磁力リップルや軸方向磁力バラツキなどの磁気特性
が十分に満足されなくなる。なお、その点に関しては、
後の実施例で具体的な実験結果を示して詳述する。一
方、注入口に対して反対側の軸部4の直径d2(図2)
に関しては、特に限定されるものではなく、任意であ
る。
【0011】ここで、マグネットローラ1を構成する磁
石材料としては、磁性粉と当該磁性粉同士を結合させる
ためのバインダーを主体とし、それらの結合を強固にす
るためのシラン系またはチタネート系のカップリング
剤、流動性を良くするための滑剤、バインダーの熱分解
を防止する安定剤等を微量配合した混合物であり、必要
により難燃剤を配合することも可能で、磁性粉として
は、フェライト系、希土類系(SmCo系、NdFeB
系、SmFeN系)、MnAIC系、アルニコ系等のも
のから選択でき、またバインダーとしては、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂、低融点合金等を用いることができ
る。
【0012】ところで、上記実施形態にかかるマグネッ
トローラ1を製造するにあたって、成形型に溶融樹脂磁
石材料を注入してローラ部2と軸部3,4とを一体成形
する必要があるが、いかなる成形方法、例えば固定され
た成形空間に溶融樹脂磁石材料を注入し冷却固化した後
に成形空間から成形品(マグネットローラ)を取り出す
通常の射出成形法を適用しても上記のようにローラ部2
の直径Dと軸部3の直径d1との比(=D/d1)が、上
記不等式、つまり、1≦D/d1≦2.4を満足するよう
に構成すると、従来品のマグネットローラに比べ、長さ
方向における磁気的特性が均一となり、反り量が減り、
抗折強度が向上する。
【0013】さらに、マグネットローラの特性を向上さ
せるために、以下の製法と組み合わせると、より好まし
いマグネットローラが得られる。以下、その成形方法を
用いたマグネットローラの製造方法について図3〜図7
を参照しつつ詳述する。
【0014】図3は、この発明にかかるマグネットロー
ラの製造方法を実施するために適した成形装置を示す縦
断面図であり、図4は図3のIII−III線断面図である。
この成形装置では、可動基板11と固定基板12とが設
けられている。この可動基板11には、複数の取付孔1
3が所定の配列で形成され、各取付孔13に後述する成
形ユニット14が内装されており、可動基板11の右側
に固定基板12を組み合わせて成形ユニット14内の成
形空間15を閉鎖した状態で、図示外の射出シリンダか
らマニホールド16を介して各成形ユニット14の成形
空間15へ溶融樹脂磁石材料を供給することで、各成形
空間15内でマグネットローラ1が成形されるように構
成されている。尚、マニホールド16のノズル17は、
ヒータ等で溶融樹脂磁石材料を加熱するホットゲート方
式、または加熱しないコールドゲート方式のいずれを用
いてもよい。
【0015】成形ユニット14について説明すると、取
付孔13に内嵌装着される軟磁性材からなる略円筒状の
バックヨーク20が設けられ、バックヨーク20の中央
部にはローラ部2を成形するためのスリーブ状のメイン
成形型21が設けられている。バックヨーク20内には
非磁性材からなるスベーサブロック22が内装され、さ
らにメイン成形型21はスベーサブロック22を介して
バックヨーク20の中央部に固定保持されている。ま
た、スペーサブロック22内には、8本の冷却水通路2
3が形成され、冷却水通路23を流通する冷却水により
成形空間15に充填された溶融樹脂磁石材料が冷却され
ることになる。また、バックヨーク20とメイン成形型
21間には所定の角度をもたせて放射状に永久磁石24
と軟磁性材からなる先端ヨーク25とが4組設けられ、
メイン成形型21を挟んで配置される永久磁石24の対
面側は同極に設定されている。尚、この実施形態では、
バックヨーク20と、永久磁石24と、先端ヨーク25
とで溶融樹脂磁石材料の磁性粒子を一方向に配向させる
磁場配向手段26が構成されている。また、この磁場配
向手段26としては、永久磁石24及び先端ヨーク25
を4組以外の複数組設けたもの、電磁石式励磁方法等、
既存の種々の構成のものを採用することが可能である。
【0016】メイン成形型21には、図3に示すよう
に、スライド型27が径方向に略隙間のない状態で左右
方向にスライド自在に装着され、スライド型27の右端
部には軸部4を含むマグネットローラ1の他方端部を成
形する成形部が形成されている。スライド型27の左端
部は、可動基板11の左側に固定された抜止板28を貫
通して左方へ延設され、アクチュエータ29に接続され
ている。そして、このアクチュエータ29により、スラ
イド型27は図5に図示の前進位置と図6に図示の後退
位置とに亙って駆動される。尚、アクチュエータ29と
しては、油圧シリンダー、空気圧シリンダー、スクリュ
ーネジ、ラックピニオンギア、リニアモータ等を用いる
ことが可能である。
【0017】一方、固定基板12には軸部3を含むマグ
ネットローラ1の一方端部を成形するための成形部を有
する端部成形型30が固定され、端部成形型30の中央
部には成形空間15内へ溶融樹脂磁石材料を射出注入す
るための注入口(ゲート)31が形成されている。この
実施形態では、特に、注入口31の直径d3が次の不等
式、 d1×0.5≦d3≦d1×1 を満足するように構成されており、注入口31が比較的
大きく開口して軸部3を臨んでいる。このため、注入口
31を介して端部成形型30に溶融樹脂磁石材料を射出
注入した際、当該磁石材料は成形空間内で乱れることな
く、スムーズな流れで成形空間内に注入される。
【0018】次に、上記のように構成された成形装置を
用いたマグネットローラの製造方法について図5〜図7
を参照しつつ説明する。先ず、図5に示すように、可動
基板11の右側に固定基板12を組み合わせて、メイン
成形型21内の成形空間15を端部成形型30で閉鎖す
るとともに、アクチュエータ29を駆動してスライド型
27を前進位置まで移動させ、成形空間15の容積を最
小にする。
【0019】次に、図6に示すように、射出シリンダ
(図示省略)を駆動してマニホールド16から注入口3
1を介して成形空間15内に溶融樹脂磁石材料を射出注
入し、溶融樹脂磁石材料の注入圧でスライド型27を後
退位置まで後退させながら、成形空間15内に溶融樹脂
磁石材料を充填する。このとき、アクチュエータ29と
して油圧シリンダを用いる場合には、作動油を絞りなが
らリ−クさせることで、スライド型27の後退移動に制
動力を付与することになる。但し、摩擦等により制動力
を付与する制動力付与手段を設けて、スライド型27の
後退移動時に制動力を付与してもよい。また、溶融樹脂
磁石材料の射出注入速度に応じてアクチュエータ29に
より制動力を付与しながらスライド型27を後退させて
もよい。また、このとき成形空間15内に充填された溶
融樹脂磁石材料は固化するまでの期間において、メイン
成形型21の外周部に設けられた磁場配向手段26によ
り磁性粒子の方向が揃えられるとともに、比較的大口径
の注入口からの保圧により高充填化が図られることにな
る。
【0020】次に、図7に示すように、射出注入した溶
融樹脂磁石材料が固化した後、可動基板11から固定基
板12を取り外し、アクチュエータ29によりスライド
型27を前進位置まで移動させ、成形されたマグネット
ローラ1を得ることになる。尚、成形されたマグネット
ローラ1は固化することで多少収縮するので、軸方向に
移動させて容易に取り出せる。
【0021】以上のように、この実施形態では、マグネ
ットローラ1の軸部3が不等式1≦D/d1≦2.4を満
足するように構成するのみならず、マグネットローラ1
を製造するにあたって上記製造方法を採用しているた
め、より良好なマグネットローラが得られるとともに、
その製造方法によって特有の効果が得れる。すなわち、
成形空間の容積が、溶融樹脂磁石材料の注入速度に合わ
せて拡大するため、溶融樹脂磁石材料が成形空間内で乱
れることなく流動し、磁石材料中の磁石粉の方向が乱れ
ることがなくなり、磁性粒子を一方向に効率的に配向さ
せることが可能になるとともに、マグネットロールの長
さ方向における磁気的特性が均一となる。
【0022】また、成形空間中に存在する空気量を少な
くできるため、溶融樹脂磁石材料を成形空間中に高速短
時間で注入充填してもガス焼けの成形不良がなく、空気
抜さのための隙間を大きくしたり穴を設ける必要がない
ためバリの発生を少なくできる。
【0023】さらに、溶融樹脂磁石材料を高速短時間で
注入することにより、溶融樹脂磁石材料が部分的に金型
で冷却固化されることを防止でき、特性の均一なマグネ
ットロールが得られる。しかも、短時間で注入充填がで
きるため、成形時間の短縮が実現できる。
【0024】なお、上記実施形態では、ローラ部2が円
柱状となっているマグネットローラ1について本発明を
適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定される
ものではなく、ローラ部2が多角柱であるマグネットロ
ーラにも適当可能である。また、上記マグネットローラ
1では、ローラ部2の軸中心と軸部3、4の軸中心を一
致させているが、両軸中心を故意に偏心させたマグネッ
トローラ1に対しても本発明を適用することができる。
【0025】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はもと
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。
【0026】この実施例では、溶融樹脂磁石材料の注入
口が軸部3側にある例として下記(1)〜(4)、 <共通条件> (1) 磁石材料…6ナイロン(バインダー)+Stフェラ
イト60vol%(磁性粉) (2) ローラ部2の直径D…13.5mm (3) ローラ部2の全長L(図2参照)…220mm (4) 軸部4の直径d2…5.4mm を共通条件とし、直径比(=D/d1)がそれぞれ
「1」,「2」,「2.4」,「3」,「4」となる5
つのマグネットローラを上記「発明の実施の形態」の項
で説明した製造方法によって製造し、各マグネットロー
ラの抗折強度、反りおよび磁気的特性について調べた。
【0027】・抗折強度について マグネットローラ1のローラ部2を治具にて支持し、ロ
ーラ部2の一方端2a(図2参照)から25mm軸方向に
離れた位置をオートグラフにより加圧し、折れるまでの
強度(抗折強度)を測定し、各直径比(=D/d1)ご
との抗折強度をプロットしたところ、図8に示す結果が
得られた。同図から明らかなように、直径比(=D/d
1)が小さくなるにしたがって抗折強度は増加し、直径
比(=D/d1)を少なくとも2.4以下にすることに
よって150N以上の高強度のマグネットローラ1が得
られる。
【0028】・反りについて 反りのない仮想マグネットローラの軸中心からローラ部
2の外周面までの距離と、実際に製造されたマグネット
ローラの軸中心からローラ部2の外周面までの距離との
差をピックテスターの変化量として読取り、その最大値
を各直径比(=D/d1)ごとにプロットしたところ、
図9に示す結果が得られた。同図から明らかなように、
直径比(=D/d1)が小さくなるにしたがって反りは
減少し、直径比(=D/d1)を少なくとも2.4以上
にすることによって反りが少ない高精度なマグネットロ
ーラ1が得られる。
【0029】・磁気的特性について ここでは、磁気的特性として磁力リップルと軸方向磁力
バラツキとを調べた。以下、それぞれについて説明す
る。
【0030】マグネットローラ1のローラ部2の表面に
ガウスメータプローブを近接させた状態で、当該ガウス
メータプローブを軸方向に移動させ、軸方向の磁束密度
を測定し、ガウスメータプローブからの出力が局部的に
変動する最大変動量、つまりリップル値(×10-4T/
mm)を測定し、各直径比(=D/d1)ごとのリップル
値をプロットしたところ、図10に示す結果が得られ
た。同図から明らかなように、直径比(=D/d1)が
小さくなるにしたがってリップル値は減少し、直径比
(=D/d1)を少なくとも2.4以下にすることによ
ってリップル値を4×10-4T/mm以下に抑えることが
できる。
【0031】また、上記と同様にしてガウスメータプロ
ーブを軸方向に移動させ、軸方向の磁束密度を測定し、
ガウスメータプローブからの出力のうち最大磁束密度と
最小磁束密度の差を磁力バラツキとして測定し、各直径
比(=D/d1)ごとの磁力バラツキをプロットしたと
ころ、図11に示す結果が得られた。同図から明らかな
ように、直径比(=D/d1)が小さくなるにしたがっ
て磁力バラツキは減少し、直径比(=D/d1)を少な
くとも2.4以下にすることによって磁力バラツキを4
0×10-4T以下に抑えることができる。
【0032】以上のことから明らかなように、ローラ部
2の直径Dと軸部3の直径d1との比(=D/d1)が、
不等式(1≦D/d1≦2.4)を満足するように構成す
ることで、反りが少なく、高強度で、しかも優れた磁気
的特性を有するマグネットローラを得ることができる。
【0033】
【発明の効果】以上のように、この発明にかかるマグネ
ットローラによれば、ローラ部の直径Dと、溶融樹脂磁
石材料を注入するための注入口が形成された側の軸部の
直径d1との比(=D/d1)が、次の不等式、 1≦D/d1≦2.4 を満足するように構成しているので、軸部の直径d1は
比較的太く、軸部での溶融樹脂磁石材料の流動性を向上
させて充填密度を高めることができる。その結果、反り
が少なく、高強度で、しかも優れた磁気的特性を有する
マグネットローラが得られる。
【0034】また、この発明にかかるマグネットローラ
の製造方法によれば、マグネットローラを製造するにあ
たって、成形型を、ローラ部を成形するための成形空間
を有するメイン成形型と、メイン成形型の一方端に着脱
自在に取付けられ、軸部を成形する軸部成形型と、成形
空間に略隙間なくスライド自在に装着されたスライド型
とで構成し、スライド型を成形空間内に装着した状態
で、軸部成形型側から成形空間内へ溶融樹脂磁石材料を
射出注入するとともに、この注入速度に応じて前記スラ
イド型を適性な成形位置まで後退させるようにしている
ので、溶融樹脂磁石材料が成形空間内で乱れることなく
流動し、磁石材料中の磁石粉の方向が乱れることがなく
なり、上記マグネットローラの特性をより一層向上させ
ることができる。
【0035】さらに、注入口の直径d3と、注入口が形
成された側の軸部の直径d1とが次の不等式、 d1×0.5≦d3≦d1×1 を満足するように構成しているので、注入口を介して軸
部側に溶融樹脂磁石材料をより確実に、しかも良好な流
動性で注入することができ、成形型内での溶融樹脂磁石
材料の充填密度をより一層高め、上記マグネットローラ
の特性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるマグネットローラの一の実施
形態を示す斜視図である。
【図2】図1のマグネットローラの側面図である。
【図3】この発明にかかるマグネットローラの製造方法
を実施するために適した成形装置を示す縦断面図であ
る。
【図4】図3のIII−III線断面図である。
【図5】図3の成形装置を用いたマグネットローラの製
造方法を示す図である。
【図6】図3の成形装置を用いたマグネットローラの製
造方法を示す図である。
【図7】図3の成形装置を用いたマグネットローラの製
造方法を示す図である。
【図8】直径比(=D/d1)と抗折強度との関係を示
すグラフである。
【図9】直径比(=D/d1)と反りとの関係を示すグ
ラフである。
【図10】直径比(=D/d1)とリップル値との関係
を示すグラフである。
【図11】直径比(=D/d1)と磁力バラツキとの関
係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…マグネットローラ 2…ローラ部 2a…一方端 3,4…軸部 5…切欠部 11…可動基板 12…固定基板 13…取付孔 14…成形ユニット 15…成形空間 16…マニホールド 17…ノズル 20…バックヨーク 21…メイン成形型 22…スベーサブロック 23…冷却水通路 24…永久磁石 25…先端ヨーク 26…磁場配向手段 27…スライド型 28…抜止板 29…アクチュエータ 30…端部成形型 31…注入口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形型に溶融樹脂磁石材料を注入して、
    ローラ部と、当該ローラ部の一端または両端に設けられ
    た軸部とが一体成形されたマグネットローラであって、 前記ローラ部の直径Dと、溶融樹脂磁石材料を注入する
    ための注入口が形成された側の軸部の直径d1との比
    (=D/d1)が、次の不等式、 1≦D/d1≦2.4 を満足することを特徴とするマグネットローラ。
  2. 【請求項2】 前記注入口の直径d3と、注入口が形成
    された側の軸部の直径d1とが次の不等式、 d1×0.5≦d3≦d1×1 を満足することを特徴とする請求項1記載のマグネット
    ローラ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のマグネットローラの製造
    方法であって、 前記成形型には次の不等式、 d1×0.5≦d3≦d1×1 を満足する直径d3の注入口が設けられており、当該注
    入口を介して前記軸部側に溶融樹脂磁石材料を注入して
    マグネットローラを成形することを特徴とするマグネッ
    トローラの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のマグネットローラの製造
    方法であって、 前記成形型は、ローラ部を成形するための成形空間を有
    するメイン成形型と、前記メイン成形型の一方端に着脱
    自在に取付けられ、前記軸部を成形する軸部成形型と、
    前記成形空間に略隙間なくスライド自在に装着されたス
    ライド型とを備えており、 前記スライド型を前記成形空間内に装着した状態で、前
    記軸部成形型側から前記成形空間内へ溶融樹脂磁石材料
    を射出注入するとともに、この注入速度に応じて前記ス
    ライド型を適性な成形位置まで後退させることを特徴と
    するマグネットローラの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記軸部成形型には次の不等式、 d1×0.5≦d3≦d1×1 を満足する直径d3の注入口が設けられており、当該注
    入口を介して前記成形空間内への溶融樹脂磁石材料の射
    出注入を行うことを特徴とする請求項4記載のマグネッ
    トローラの製造方法。
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