JP2003311783A - 射出成形金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、樹脂充填むらが生じるのを防止し
て、成形物を長手方向で均一に成形するとともに、成形
物の成形精度を大幅に向上させることが出来、該成形物
がマグネットの磁極ピースの場合、磁気特性が均一なも
のが得られる射出成形金型を提供することを課題とす
る。 【解決手段】各キャビティ５の樹脂注入端とは反対側の
端部に樹脂溜り部分１０を接続し、各キャビティ５の樹
脂溜り部分１０相互を連通路９で連通させた射出成形金
型４であって、各キャビティ５の樹脂溜り部分１０には
保持圧供給路１１が接続されており、各キャビティ５内
に成形された成形物の押出し機構１２は、各キャビティ
５の樹脂溜り部分１０およびランナー部分７に設けられ
ている射出成形金型４を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は例えば細長形状の成
形物、特に電子写真複写機やファクシミリ受信機の磁気
ブラシ現像用のマグネットロールの構成要素であるマグ
ネットの磁極ピースを製造するのに使用する射出成形金
型に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、図４に示すように、例えばマグネ
ットの磁極ピース等の細長形状の成形物を製造するのに
使用する射出成形金型(4A)のキャビティ(5A)は、該磁極
ピースの形状に対応させて細長形状とされている（特開
平１０−２５６０６８号）。また、射出後に冷却された
成形材料が熱収縮して成形不良が生じるのを防止するた
めに保持圧が及ぼされるが、該保持圧は射出成形金型(4
A)の樹脂注入口(8A)を介して及ぼされるのが一般である
（図４参照）。更に、射出成形金型(4A)のキャビティ(5
A)内には、成形された磁極ピースを押出して取り出すた
めのイジェクトピン(12A) が設けられているが、該イジ
ェクトピン(12A) の位置は、成形された磁極ピース本体
に当接する位置に設定されている（図４参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の射出成形金型(4A)では、キャビティ(5A)内において樹
脂充填むらが発生し、成形された磁極ピースにおいて、
樹脂注入口(8A)側部分の磁力が低くなり、樹脂注入口(8
A)とは反対側部分の磁力が高くなって、磁極ピースの磁
力が長手方向で不均一になるという問題があった。

【０００４】また、磁極ピースを射出成形する際に保持
圧が樹脂注入口(8A)から及ぼされるので、樹脂注入口(8
A)とは反対側部分に及ぼされる保持圧が不足し、この原
因によっても樹脂注入口(8A)とは反対側部分で樹脂充填
むらが生じ、磁極ピースを長手方向で均一に成形するこ
とが困難であるという問題があった。

【０００５】更に、射出成形金型(4A)のキャビティ(5A)
内に設けられたイジェクトピン(12A) の位置が、成形さ
れた磁極ピース本体に当接する位置に設定されているた
め、成形された磁極ピースをイジェクトピン(12A) で押
出して該金型(4A)から取出す際に、磁極ピース本体にイ
ジェクトピン(12A) の痕がつき、あるいは磁極ピースに
バリが発生するなどして磁極ピースの成形精度が低下す
るとともに、その部分の磁性粉がむらになって、磁極ピ
ースの磁気特性の部分的な不均一が生ずるという問題が
あった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題
を解決するための手段として、キャビティ(5) の複数個
を内部に形成した金型(4) であって、各キャビティ(5)
の樹脂注入端とは反対側の端部に樹脂溜り部分(10)を接
続し、各キャビティ(5) の樹脂溜り部分(10)相互を連通
路(9) で連通させた射出成形金型(4) を提供するもので
ある。更に、該金型(4) の各キャビティ(5) の樹脂溜り
部分(10)には保持圧供給路(11)が接続されていることが
望ましい。

【０００７】また、キャビティ(5) の複数個を内部に形
成した金型(4) であって、各キャビティ(5) の樹脂注入
端とは反対側の端部に樹脂溜り部分(10)を接続し、各キ
ャビティ(5) の樹脂溜り部分(10)には保持圧供給路(11)
が接続されていることが望ましい。

【０００８】更に、キャビティ(5) の複数個を内部に形
成した金型(4) であって、各キャビティ(5) の樹脂注入
端とは反対側の端部に樹脂溜り部分(10)を接続し、各キ
ャビティ(5) 内に成形された成形物の押出し機構(12)
は、各キャビティ(5) の樹脂溜り部分(10)およびランナ
ー部分(7) に設けられていることが望ましい。

【０００９】また更に、該金型(4) は、細長形状の成形
物の複数個を成形するためのキャビティ(5) の複数個を
内部に形成した金型(4) であることが望ましく、また、
マグネット(1) を構成する磁極ピース(3) の複数個を成
形するためのキャビティ(5)の複数個を内部に形成した
金型(4) であることが望ましい。

【００１０】

【作用】本発明の射出成形金型(4) では、射出成形金型
(4) の各キャビティ(5) に樹脂溜り部分(10)を設け、更
に各樹脂溜り部分(10)相互を連通路(9) で連通させるこ
とにより、成形物を長手方向で均一に成形することが出
来る。

【００１１】また、各樹脂溜り部分(10)に保圧供給路(1
1)をそれぞれ接続し、樹脂注入口(8) 側から保持圧を及
ぼすとともに樹脂注入口(8) とは反対側からも保持圧を
及ぼすことにより、樹脂注入口(8) とは反対側で樹脂充
填むらが生じるのを防止することが出来、成形物を長手
方向で均一に成形することが出来る。

【００１２】更に、磁極ピース(3) の押出し機構(12)を
各キャビティ(5) の樹脂溜り部分(10)およびランナー部
分(7) にそれぞれ設けることにより、成形物を該押出し
機構(12)で押出して該射出成形金型(4) から取出す際
に、成形物に押出し痕がつくことがなく、かつ、バリが
生じることがなくなるので、成形物の成形精度を大幅に
向上させることが出来る。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明を図１〜図３に示す一実施
例によって説明する。本実施例では、図１に示すような
円柱状のシャフト(2) の周りに短手方向断面形状が略扇
形の磁極ピース(3) を放射状に貼り合わせたマグネット
(1) の磁極ピース(3) を製造する射出成形金型(4) の場
合を例示する。

【００１４】該磁極ピース(3) は、該射出成形金型(4)
を用いて磁性粉と樹脂バインダーとの混合物を磁場中で
射出成形することによって製造されるが、磁性粉として
は、例えばＳｒフェライトやＢａフェライト等のフェラ
イト粉や、Ｎｄ等の希土類金属粉とＦｅ、Ｃｏ、Ｎｉ等
の鉄族金属粉との混合物が使用され、樹脂バインダーと
しては、例えばポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エポキシ樹脂、エチレンエチルアクリレート（Ｅ
ＥＡ）等が使用される。

【００１５】図２に示すように、該射出成形金型(4)
は、固定型部分(41)および可動型部分(42)と、該固定型
部分(41)が取付けられる固定盤(43)と、該可動型部分(4
2)が取付けられる可動盤(44)とからなり、該固定型部分
(41)と可動型部分(42)との間には該磁極ピース(3) の形
状に対応する２個のキャビティ(5) がそれぞれ設けられ
た分割型であって、該キャビティ(5) の円弧側端上側に
は、該磁極ピース(3) の磁性粉の磁化容易軸を所望な向
きに配向させるための配向ヨーク(6) がそれぞれ配置さ
れており、更に該金型(4) の周囲には磁場発生用コイル
（図示せず）が配置されている。

【００１６】また、図３に示すように、該射出成形金型
(4) の各キャビティ(5) はランナー部分(7) を介して樹
脂注入口(8) に接続しており、各キャビティ(5) の樹脂
注入端とは反対側の端部には樹脂溜り部分(10)が接続し
ており、更に、各キャビティ(5) の樹脂溜り部分(10)相
互を連通路(9) で連通させれている。更に、各キャビテ
ィ(5) の樹脂溜り部分(10)には保持圧供給路(11)がそれ
ぞれ接続されており、該保持圧供給路(11)には油圧式の
保持圧供給装置（図示せず）が接続している。また更
に、各キャビティ(5) 内に成形された磁極ピース(3) を
押出すためのイジェクトピン(12)は、各キャビティ(5)
の樹脂溜り部分(10)およびランナー部分(7) にそれぞれ
設けられている。

【００１７】該磁極ピース(3) を製造する場合には、ま
ず、射出成形金型(4) の可動型部分(42)を固定型部分(4
1)側に向けて摺動させて射出成形金型(4) の型締めを行
った後に、溶融状態の成形材料を樹脂注入口(8) からキ
ャビティ(5) 内部へ射出する。次に、射出された成形材
料がキャビティ(5) 内部全体に充填された状態で、ラン
ナー部分(7) および樹脂注入口(8) を介して樹脂注入口
(8) 側から保持圧を及ぼすとともに、該樹脂溜り部分(1
0)に接続された保持圧供給路(11)を介して樹脂注入口
(8) とは反対側からも保持圧を及ぼす。そして、射出成
形金型(4) を冷却して成形材料を硬化させた後、可動型
部分(42)を固定型部分(41)とは反対側に向けて摺動させ
て型開きを行い、各イジェクトピン(12)を突出させて成
形された磁極ピース(3) を金型(4) から押出して取出
す。

【００１８】上記のように、射出成形金型(4) の各キャ
ビティ(5) に樹脂溜り部分(10)を設け、更に各樹脂溜り
部分(10)相互を連通路(9) で連通させることにより、マ
グネット(1) の磁極ピース(3) を長手方向で均一に成形
することが出来、磁極ピース(3) の磁力を長手方向で均
一化することが出来る。

【００１９】また、各樹脂溜り部分(10)に保圧供給路(1
1)をそれぞれ接続し、樹脂注入口(8) 側から保持圧を及
ぼすとともに樹脂注入口(8) とは反対側からも保持圧を
及ぼすことにより、樹脂注入口(8) とは反対側で樹脂充
填むらが生じるのを防止することが出来、磁極ピース
(3) を長手方向で均一に成形することが出来る。

【００２０】更に、各イジェクトピン(12)を各キャビテ
ィ(5) の樹脂溜り部分(10)およびランナー部分(7) にそ
れぞれ設けることにより、磁極ピース(3) を該イジェク
トピン(12)で押出して該射出成形金型(4) から取出す際
に、磁極ピース(3) にイジェクトピン(12)の痕がつくこ
とがなく、かつ、バリが生じることがなくなるので、磁
極ピース(3) の成形精度を大幅に向上させることが出
来、また、その部分の磁性粉がむらになって、磁極ピー
ス(3) の磁気特性の部分的な不均一が生ずるのを防止す
ることが可能となる。

【００２１】以上、本発明の実施の形態を実施例により
説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるもので
はなく、請求項に記載された範囲内において目標値に応
じて変更・変形することが可能である。例えば、本実施
例以外、射出成形金型(4) の内部に形成されるキャビテ
ィ(5)は３個以上であってもよい。また、成形物の押出
し機構(12)はエアーイジェクター（図示せず）であって
もよい。更に、保持圧供給路(11)に接続する保持圧供給
装置（図示せず）は水圧式の保持圧供給装置であっても
よく、また、空圧式の保持圧供給装置であってもよい。

【００２２】

【発明の効果】本発明では、樹脂充填むらが生じるのを
防止することが出来、成形物を長手方向で均一に成形す
ることが可能となり、該成形物がマグネットの磁極ピー
スの場合、磁気特性が均一なものが得られる。更に、成
形物を該押出し機構で押出して該射出成形金型から取出
す際に、成形物に押出し痕がつくことがなく、かつ、バ
リが生じることがなくなるので、成形物の成形精度を大
幅に向上させることが出来、この点でも該成形物がマグ
ネットの磁極ピースの場合、磁気特性が均一なものが得
られる。

【図面の簡単な説明】 図１〜図３は本発明の一実施例を示すものである。

【図１】マグネットの説明断面図である。

【図２】射出成形金型の説明断面図である。

【図３】射出成形金型の説明平面図である。

【図４】従来の射出成形金型の説明平面図である。

【符号の説明】

1 マグネット 3 磁極ピース 4 射出成形金型 5 キャビティ 7 ランナー部分 9 連通路 10 樹脂溜り部分 11 保持圧供給路 12 イジェクトピン（押出し機構）

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】キャビティの複数個を内部に形成した金型
   であって、各キャビティの樹脂注入端とは反対側の端部
   に樹脂溜り部分を接続し、各キャビティの樹脂溜り部分
   相互を連通路で連通させたことを特徴とする射出成形金
   型。
2. 【請求項２】該金型の各キャビティの樹脂溜り部分には
   保持圧供給路が接続されている請求項１に記載の射出成
   形金型。
3. 【請求項３】キャビティの複数個を内部に形成した金型
   であって、各キャビティの樹脂注入端とは反対側の端部
   に樹脂溜り部分を接続し、各キャビティの樹脂溜り部分
   には保持圧供給路が接続されていることを特徴とする射
   出成形金型。
4. 【請求項４】キャビティの複数個を内部に形成した金型
   であって、各キャビティの樹脂注入端とは反対側の端部
   に樹脂溜り部分を接続し、各キャビティ内に成形された
   成形物の押出し機構は、各キャビティの樹脂溜り部分お
   よびランナー部分に設けられていることを特徴とする射
   出成形金型。
5. 【請求項５】該金型は、細長形状の成形物の複数個を成
   形するためのキャビティの複数個を内部に形成した金型
   である請求項１〜請求項４に記載の射出成形金型。
6. 【請求項６】該金型は、マグネットを構成する磁極ピー
   スの複数個を成形するためのキャビティの複数個を内部
   に形成した金型である請求項１〜請求項５に記載の射出
   成形金型。