JP3736061B2 - ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機やファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置における現像ロールやクリーニングロール、搬送ロール等に用いられるボンド磁石や、その他用途に用いられるボンド磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、複写機やファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置においては現像ロールやクリーニングロール、更には搬送ロール等のボンド磁石が用いられている。またこれら以外にもボンド磁石の利用対象は広がりつつある。
これら用途に使用されるボンド磁石としては、焼結磁石が最も古典的なものとして知られているが、近年にいたって、成形容易性や形状任意性の観点から合成樹脂又は低融点金属等のバインダーに磁性粉を配合した可塑化物を成形して作製したボンド磁石が主流になりつつある。そして、このようなボンド磁石は従来、射出成形法や押出し成形法、プレス成形法等によって作製されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの成形法ではそれぞれ次のような問題があった。
射出成形法では成形体の取り出しは、成形体の長手方向において所定間隔をあけて配置したエジェクトピンを成形体の長手方向と直交する方向に突き出して行うため、成形体取り出し時に反りが生じ易く、反りを抑制するためには冷却時間を長くしなければならないという問題がある。また冷却時間が長くなるとタクトタイムが長くなり、生産性が低くなってしまう。また射出成形法はある空間体積を持ったキャビティ(成形空間)の中へ溶融物を注入するため、注入時のフローによって成形体表面上に皺状の薄い固化膜が発生し、表面粗度が粗くなってしまう問題がある。このことは磁性粉を磁場配向させる場合には表面部分での配向度の乱れの原因となり、表面磁束密度がばらついてしまう。現像ロールなどの用途に使用する場合は、表面磁束密度のばらつきは現像画像に悪影響を与えるため特に好ましくない。更に射出成形法ではある空間体積を持ったキャビティの中へ溶融物を一挙に注入するためジェッティングや空気の巻き込み現象も生じやすく成形体の均質性が損なわれやすく、表面磁力分布の乱れの原因のひとつとなっいる。
【0004】
また高磁力化をはかるために磁性粉の含率を上げると溶融物の流動性が損なわれるが、射出成形法では溶融物の流動性が要求されるため、磁性粉の高含率化ができず、高磁力化が難しいという問題がある。その他にも射出成形法ではランナー部分は廃棄されるので原料の使用効率が低いという問題もある。
【0005】
一方、押出し成形法では、押出し物がバインダーとして熱硬化性樹脂や硬質の熱可塑性樹脂を用いたものである場合、一般的に固化押出しは難しく押出し線速を上げることは困難である。特に押出し物が肉厚なものの場合であって剪断速度勾配が大きくなる系においては押出し線速は低いものとなり、生産性を向上させることは困難である。また、押出し物の溶融粘度が低い場合、ダイス内でサイジングしなければならず、長手方向の外径の寸法精度を向上させることが難しい。さらに、磁性粉を磁場配向させる場合、押出し時にダイス内壁より受ける摩擦抵抗による磁性粒子の配向乱れやダイス外での固化するまでにおこる配向乱れのため、高配向化が困難であり、高磁力化が難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、射出成形法及び押出し成形法の抱える上記問題の大半を解決することができるボンド磁石の製造方法を提案するものであり、具体的には、成形物に反りがないこと、磁性粉の高含率化が可能であり優れた磁気特性を発揮できること、表面平滑性に優れ且つ表面部分での磁性粉の配向乱れもなく長手方向の表面磁束密度の均一化がはかれること等のボンド磁石に求められる各種特性の全てを満足させることができるボンド磁石の製造方法であって、しかもタクトタイムが短く生産性にも優れたボンド磁石の製造方法を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような多くの課題を解決した本発明は、前回の固化物が存在する成形ゾーンがあり、且つ当該成形ゾーンが冷却調温された金型の前記成形ゾーンに、磁性粉に磁性粉同士を結合させるためのバインダーを混合した可塑化物を、前回の可塑化物の注入によって成形ゾーンに形成された固化物をその長手方向終端が成形ゾーンから逸脱しない範囲内で押出しながら所定量注入する注入工程と、所定量の可塑化物が成形ゾーンに充填されたならば可塑化物の注入を中断し、押し出された固化物を金型の先端開放位置で切断するとともに金型の先端開放部を遮蔽して成形ゾーンの固化物の長手方向への移動を規制する工程と、前記固化物によって一端を規制しながら成形ゾーンに充填された可塑化物を加圧する工程と、金型の先端開放部の遮蔽を解除したのち成形ゾーンに充填された可塑化物の冷却硬化を行うか、あるいは成形ゾーンに充填された可塑化物の冷却硬化を行ったのち金型の先端開放部の遮蔽を解除する冷却工程と、より構成される成形サイクルを繰り返すことを特徴としている。
【0010】
金型には、磁場配向させるための磁気回路を付設又は内蔵させることもできる。
【0011】
【作用】
本発明方法によれば、射出成形法や押出し成形法が内包していた諸問題が解消できる。特に本発明方法によれば優れた表面平滑性が実現でき、表面磁力分布が均一なボンド磁石が得られるが、その理由は次の通りである。
図1(a)は前回の固化物Aが成形された直後の状態を示し、図1(b)は本発明の製造方法における第1段階である注入工程を示している。図中1は金型、2は注入路、3は成形ゾーン(キャビティ)である。また、図中Aは前回注入した磁性粉配合樹脂等を冷却硬化させた固化物であり、Bは磁性粉配合溶融樹脂等の冷却固化する前の可塑化物である。本発明では金型1内への可塑化物の注入が開始されると、可塑化物による圧力が金型内面及び前回形成した固化物Aの端面に作用し、金型内面と前回の固化物A端面との間を可塑化物で完全に満たした状態で固化物Aを軸方向外側に押し退ける。
【0012】
これに対して図10は従来公知の射出成形法における注入工程を示し、図中1aは射出成形金型、2aはランナ、3aは成形空間、bは磁性粉配合溶融樹脂等の可塑化物である。射出成形法では、大きな空間体積をもった成形空間3aの中に可塑化物bが注入されるために、注入された可塑化物bは何の規制を受けることもなく、図10に示すように成形空間3aに侵入していく。成形空間3aは広いので可塑化物bが全体に行き渡るまでには一定の時間を要し、この時間経過の中で可塑化物bと成形空間3aとの境界部b’である可塑化物bの表面には極薄い固化膜が生成される。この固化膜の内面には可塑化物bのフローが自由に奔流しているため、前記固化膜は皺状になる。そしてこの皺状の固化膜は可塑化物bが成形空間3aの内奥側に進行するにしたがって成形空間3aの内周面側に移行し、結果的には図11に示す如く、固化物Aの外周面が皺状の固化膜で覆われることになる。また、射出成形法では可塑化物Bが成形空間3a全体に行き渡るまでは可塑化物bと成形空間3aの内壁との接触部に、表面性を良好にするに足る大きさの内圧が作用せず、このため皺状固化膜をフラットな固化膜となるように加圧修正することもできず、成形された固化物の表面粗度は粗くなってしまい、これが表面磁力の均一化を乱す要因のひとつとなる。
【0013】
一方、押出し成形法によって得られる固化物も、その表面粗度は粗く、表面磁力の均一化をはかることは困難である。即ち、押出し成形法ではダイス内を通過する溶融物は常に押出し方向に向かって流動しており、ダイス内壁面と接触する溶融物もダイス内壁面に対して平行な方向に常に移動していることから、ダイス内壁との間に摩擦抵抗が作用して表面が荒れる現象が生ずる。そして磁場配向する場合には、可塑化物の表面部分に位置する磁性粉が磁場配向中又は磁場配向後に摩擦抵抗によって配向乱れが生じ、表面磁力の均一化が阻害される。
【0014】
これに対して本発明方法では、射出成形法や押出し成形法が抱える上記問題は発生しない。即ち、本発明方法では、大きな空間体積を持った成形空間の中へ可塑化物を押し出すのではなく、図1に示すように、既に前回の注入によって押し出された固化物Aが存在する金型1中へ可塑化物Bを押し出す。即ち本発明方法では、可塑化物Bを注入する成形ゾーンが最初から用意されているのではなく、前回の注入によって成形された固化物Aを押出しながら次回の可塑化物Bを充填することによって成形ゾーン3を形成していくものである。可塑化物Bは前回の固化物の長手方向終端面A’によってその注入範囲を規定されており、可塑化物Bには適度な内圧が作用した状態となっている。そして、可塑化物Bの進行方向側前端面は前回の固化物Aの終端面A’に加圧状態で接触していることから、金型と可塑化物Bの境界部に形成される固化膜は緻密な状態となっており皺状になることはない。したがって、この固化膜を順次、外周面側に送り出すことによって最終的に得られる固化物Aの表面には皺は生成されない。また、本発明方法では、可塑化物Bは常に進行方向前端面を規制された状態で注入されるので、従来公知の押出し成形法に比べて可塑化物の進行速度が遅く、また可塑化物Bの内圧も大きいので、金型1の内周面との接触圧も大きく、金型1内壁近傍では可塑化物Bはほとんど流動しておらず、これにより、押出し成形法による場合のようなダイス内面との摩擦抵抗に起因する表面荒れの現象は発生しない。また特に、磁場配向させる場合、可塑化物Bの充填停止後に磁場印加することとすれば、磁場印加時には溶融状態にある押出し物は静止した状態に近いため、配向乱れが生じにくく、磁性粉の一層の高配向化が可能である。尚、磁場印加を可塑化物Bの充填中に行った場合であっても、本発明方法の場合、金型内壁と可塑化物Bとの接触部付近における溶融物の流動は従来の押出し成形法に比較して格段に少ないから、押出し成形法に比べればはるかに優れた磁性粉の高配向化が成しえる。
このような理由により、本発明方法によれば、優れた表面平滑性が実現でき、表面磁力分布が均一なボンド磁石が得られるものと推定される。
【0015】
成形体を所定長さ分押出した段階で成形体を切断したうえ、金型の先端開放部を遮蔽して押出し機側より若干の圧力を加えたときには、可塑化物Bに作用する内圧はより一層高まり、成形体の長手方向の寸法精度をより向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の詳細を図示した実施例に基づき説明する。本発明が対象とするボンド磁石は、例えば複写機やファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置に用いる現像ロール、クリーニングロール、搬送ロール等に用いられるボンド磁石であるが、更に他の用途に利用することも除外するものではない。
本発明に用いる可塑化物は、磁性粉と当該磁性粉同士を結合させるためのバインダーとの混合物であり、磁性粉としては、フェライト系、希土類系(SmCo系、Nd系)、MnAl系、アルニコ系、SmFeN系のものから選択することができ、また、バインダーとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、低融点合金などを用いることができる。
【0017】
図2は本発明の参考例の製造方法における成形サイクルの概略を示したものであり、その内容は次の通りである。
(I)先ず、金型1内の成形ゾーン3内に前回に注入されて硬化した柱状の固化物Aが存在する状態から成形サイクルが始まる。この状態では成形ゾーン3の全ては固化物Aで満たされており、可塑化物Bは注入路2内に存在するのみである。
(II)可塑化物Bの注入が開始され、可塑化物Bが固化物Aを押出しながら成形ゾーン3内に徐々に注入される。可塑化物Bの注入は固化物Aの終端面A’によって規制された状態で行われ、可塑化物Bには常に適度な内圧が作用した状態が維持される。
(III)可塑化物Bは固化物Aを押出しながら、その充填範囲を拡大していく。
(IV)固化物Aの長手方向終端が金型1の先端開放部4に接近したならば、固化物Aが成形ゾーン3から逸脱する手前位置で、可塑化物Bの注入を中断する。
(V)成形ゾーンに充填された所定量の可塑化物を冷却して、前回の注入によって成形された固化物Aと一体化する。
本発明の参考例はこのような断続的な注入工程と冷却工程よりなる成形サイクルを繰り返すことによって実現される。このでは、固化物Aが順次押し出されることによって固化物Aの長尺連続体が形成されるが、この長尺連続体は所定寸法単位で切断される。この切断はインラインで行うこともオフラインで行うことも可能である。また、切断は最終製品1本分の寸法単位で行うこともあるいは複数本分の寸法単位で行うことも可能である。
【0018】
また金型1は冷却温調されている。冷却温調は金型1を常に一定の冷却温度に維持することや、あるいは可塑化物Bの注入時と、可塑化物Bの冷却硬化時とで冷却温度を変えることもできる。
【0019】
冷却温調手段としては種々の構成が採用されるが、例えば図3に示すように、成形ゾーン3に対応する長さを有する冷却水路5を金型1内に設けることなどが採用される。
図4に示すように冷却水路5等の冷却温調手段とともにヒータ等の加熱手段6を注入路2に近設して設けてもよい。このような構造の金型1を採用すれば、成形ゾーン3の冷却を効果的に行いながら、注入路2内に充填されている可塑化物Bの流動性も維持できる。100℃以上での冷却を行う場合、油等を冷媒として使用できる。
【0020】
本発明では、磁場中成形を行うことなく成形後に後着磁することによって、成形体に磁力を付与することもできるが、異方性磁粉を用いた場合などで、より強い表面磁力を有するボンド磁石を得ようとする場合は、図5に示す如く磁気発生回路7を内蔵又は付設することが好ましい。磁気発生回路7としては永久磁石や電磁石を用いることができる。
【0021】
図6として示すものは、固化物Aの長手方向の寸法精度を高める目的から、所定量の可塑化物Bの注入を終えた後、再度、押出し機側から若干の圧力を加えて成形ゾーン3内に充填された可塑化物を加圧する手法を採用した場合である。この手法を具体的に説明すると次のようになる。
(I)先ず、金型1内の成形ゾーン3内に前回に注入されて硬化した柱状の固化物Aが存在する状態から成形サイクルが始まる。金型1の長さは目的とする固化物Aの製品長さ一本分の長さにほぼ対応しており、成形ゾーン3の全ては固化物Aで満たされ、可塑化物Bは注入路2内に存在するのみである。
(II)可塑化物Bの注入が開始され、可塑化物Bが固化物Aを押出しながら成形ゾーン3内に徐々に注入される。可塑化物Bの注入は固化物Aの終端面A’によって規制された状態で行われ、可塑化物Bには常に適度な内圧が作用した状態が維持される。
(III)固化物Aの長手方向終端が金型1の先端開放部4に接近したならば、固化物Aが成形ゾーン3から逸脱する手前位置で、可塑化物Bの注入を中断する。
(IV)押し出された固化物Aを金型1の先端開放位置に切断刃8を位置づけて固化物Aを切断して最終製品1本分の長さに見合った長さを有する固化物Aを得る。このとき、後続する可塑化物Bが金型先端開放部4から流出することを防止するためにシャッター部材を適当なタイミングで閉めたり固化物Aの一部を金型1内に残しておくという方法がある。
(V)金型1の先端開放部4にシャッター部材9を押し当てて先端開放部4を遮蔽し、成形ゾーン3における固化物Aの長手方向への移動を規制するとともにこの規制状態を維持しながら押出し機(図示せず)側から若干の圧力を加えて成形ゾーン3に充填された可塑化物Bを加圧する。
(VI)金型1の成形ゾーン3の遮蔽を解除したのち成形ゾーン3内に充填された可塑化物Bの冷却硬化を行う。
【0022】
このような一連の断続的な注入、切断、遮蔽、冷却よりなる成形サイクルを繰り返すことによって、最終製品一本分単位の成形体が次々と得られる。そして、、所定量の可塑化物Bの注入を終えた後、再度、押出し機側から若干の圧力を加えて溶融状態の可塑化物を加圧することにより、可塑化物Bと金型1内壁との接触部には接触面に対して直交する内圧がほぼ均等にかかることになるので、可塑化物Bの表面は金型1の内壁に強く押しつけられた状態となり、可塑化物Bの表面粗度は金型内壁の表面粗度にほぼ一致するようになる。
【0023】
金型1の先端開放部4の遮蔽と冷却とは時間的前後関係を逆にしてもよい。
切断刃8は直刃及び回転丸刃のいずれを採用することも可能である。
また、固化物Aの切断と、金型先端開放部4へのシャッター部材9の位置づけは同時に行うことも可能であり、更に切断刃8の構造を工夫することにより、切断刃8自体にシャッター部材としての機能を担わせることもできる。
【0024】
尚、金型1に対する可塑化物Bの注入は図7に示すように、混練押出し機10が使用される。この混練押出し機10としては、従来公知の射出成形機や押出し機器、更には大型成形品の製造に用いられている断続的押出し機などを用いることができる。
【0025】
本発明の製造方法では、成形品は金型1から押し出されることによって取り出され、射出成形法のように成形物の取り出しにエジェクトピンを使用しないので、成形物の反りは大幅に抑制される。また、金型1から押し出された成形物は充分硬化しているので自重による反りも発生しない。また円筒形状の金型を用いることによりパーティングラインをなくすことができ、磁極位置を自在に設定できるようになる。尚、従来のような割り型を用いることも本発明の対象であることはいうまでもない。そして本発明方法では、冷却時間も射出成形法に比べて短く生産性も高い。
【0026】
【実施例】
次に本発明者が、本発明の効果を確認するために行った比較試験結果について述べる。
「比較試験1:タクトタイムについて」
【0027】
【表1】
Figure 0003736061
【0028】
「表1」は、反りが100μm以下となるように冷却時間を設定した場合の各製造方法によるタクトタイムを比較したものである。射出成形のタクトタイムは約51秒、本発明では16秒である。尚、射出成形法及び本発明製造方法のいずれでも可塑化時間を冷却時間としても利用している。この結果から、本発明では成形のタクトタイムを射出成形法に比べて大幅に短縮できていることがわかる。また連続固化押出しでは押出し線速を上げることが困難である理由から、線速は20cm/分が限界であり、したがって成形体1本分の長さが取れる時間は約90秒であって本発明製造方法に比べて遙に生産性が劣っており、逆に本発明製造方法の生産性の高さが際立っている。
【0029】
「比較試験2:磁気特性について」
【0030】
【表2】
Figure 0003736061
【0031】
「表2」は射出成形法と押出し成形法及び本発明製造方法で使用できる最大の磁粉含有量とそのときに得られる磁気特性を比較したものである。バインダーとしては熱可塑性のポリアミド樹脂(ナイロン12)を用い、磁性粉は平均粒径100μmに調整した等方性のNd2 Fe14B磁性粉を用いた。成形温度は290℃であり、金型の冷却温度は70℃である。また本発明製造方法では押出し量をコントロールできるように改良した混練押出し機を可塑化押出し装置として用いた。その結果、本発明は押出し成形法とほぼ同程度の含率のものを成形でき、高い磁気エネルギー積が得られることがわかった。
【0032】
「比較試験3:表面粗度について」
【0033】
【表3】
Figure 0003736061
【0034】
「表3」は射出成形法と本発明で成形した成形物の表面粗度(Rmax)を比較したものである。バインダーとしては熱可塑性のポリアミド樹脂(ナイロン6)を用い、磁性粉として平均粒径1.4μmの異方性バリウムフェライトを用いた。配合含率はバインダー対フェライト比が35:65になるように調整した。成形温度は300℃である。射出成形金型、冷却金型の内面は共に表面粗度0.8S以下に研磨して仕上げたものを用いた。表面粗度の測定は株式会社ミツトヨ製サーフテスト211を用いた。
「表3」より本発明で成形したものは射出成形法に比較して非常に表面性がよいことがわかる。本発明で成形したものの表面粗度が射出成形品に比較して高い理由は、射出成形の方は成形体表面に皺状になった極薄い固化膜が存在するが、本発明ではこのような固化膜が生成しないことによる。またこの成形体表面の皺状の薄い固化膜は磁場配向させた場合に表面磁束密度のばらつきにつながる。
図8及び図9に同条件下において直交4極で5kOeの磁場を印加した場合での本発明方法と従来の射出成形法とによって得られる成形物の表面磁束密度のばらつきを示した。表面磁束密度の測定はマグネット成形物表面と測定プローブ中のホール素子の間隔が1.6mmになるように調整して、マグネット成形物の磁極上を長手方向に測定した。
図9で示すように射出成形品では表面磁束密度がばらついているのに対して本発明製造方法によって得られた成形品では図8で示すように表面磁束密度のばらつきが非常に小さいことがわかる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、従来公知の射出成形法や押出し成形法に比べて次の効果を発揮することができる。
▲1▼成形体は溶融状態の押出し物によって金型長手方向に押し出されるので、成形体の取り出し時の反りはほとんど発生しない。
▲2▼成形体温度が高いうちに金型からの取り出しを行うことができるから、成形サイクルを短縮化することが可能であり、生産性が向上する。
▲3▼射出成形の場合のように溶融物の高流動性は必要ではないので、磁性粉の高含率化が可能であり、高磁力化が容易になる。
▲4▼本発明方法では溶融物のフローが射出成形と異なり、ある空間体積を持ったキャビティ内に注入するのではなく、固化した成形体を金型入口方向から入ってくる次の溶融物で押し出す形態を取るので、ジェッティングなどの現象は起こらず、空気の巻き込みも全く生じない。また、射出成形で作製された成形体にみられるような成形時のフローによって生じる成形体表面の皺状固化膜の発生も全く生じないため、成形体表面の表面平滑性が高くなる。そして皺状固化膜が発生しないことにより磁場配向させる場合にも表面部分での配向度の乱れはなく表面磁束密度の均一性が確保される。したがって本発明方法によって作製されたボンド磁石を現像ロールとして使用した場合には、良好な現像画像が得られる。
▲5▼成形途上で磁場配向させる場合は、連続押出し成形法では金型内壁より受ける摩擦抵抗により成形体表面部分での配向乱れが生じるが、本発明では磁場配向時に溶融状態にある押出し物が静止した状態に近いため、このような配向乱れが生じにくく、磁性粉の高配向化が可能で、成形体としての高磁力化が容易である。
▲6▼射出成形法の場合のようにランナ(注入路)に充填された可塑化物が無駄になることはないので、原料の使用効率が高い。
【0036】
た、成形体を所定長さ分押出した段階で成形体を切断したうえ、金型の先端開放部を遮蔽して押出し機側より若干の圧力を加えたときには、可塑化物に作用する内圧はより一層高まり、成形体の長手方向の寸法精度をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)(b)は本発明製造方法において金型内に可塑化物が注入される様子を示す説明図
【図2】 本発明の参考例の製造方法における成形サイクルの概略を示す説明図。
【図3】 冷却水路を組み込んだ金型の一例を示す断面説明図
【図4】 冷却水路と注出路の加熱手段を組み込んだ金型の一例を示す断面説明図
【図5】 磁気回路を組み込んだ金型の一例を示す断面説明図
【図6】 本発明製造方法における他の実施例の成形サイクルの概略を示す説明図
【図7】 金型と混練押出し機とによって構成される全体装置を示す説明図
【図8】 本発明製造方法によって作製された成形品の表面磁束密度のばらつきを示す説明図
【図9】 射出成形法によって作製された成形品の表面磁束密度のばらつきを示す説明図
【図10】 従来公知の射出成形法において成形金型内に可塑化物が注入される様子を示す説明図
【図11】 射出成形法によって作製された成形物の外周面に皺状の固化膜が存在する様子を示した説明図
つきを示す説明図
【符号の説明】
A 固化物 A’終端面
B 可塑化物 B’境界部
b 可塑化物 b’境界部
1 金型 1a 射出成形金型
2 注入路 2a ランナ
3 成形ゾーン 3a 成形空間
4 先端開放部
5 冷却水路 6 加熱手段
7 磁気発生回路 8 切断刃
9 シャッター部材 10 混練押出し機

Claims (2)

  1. 前回の固化物が存在する成形ゾーンがあり、且つ当該成形ゾーンが冷却調温された金型の前記成形ゾーンに、磁性粉に磁性粉同士を結合させるためのバインダーを混合した可塑化物を、前回の可塑化物の注入によって成形ゾーンに形成された固化物をその長手方向終端が成形ゾーンから逸脱しない範囲内で押出しながら所定量注入する注入工程と、
    所定量の可塑化物が成形ゾーンに充填されたならば可塑化物の注入を中断し、押し出された固化物を金型の先端開放位置で切断するとともに金型の先端開放部を遮蔽して成形ゾーンの固化物の長手方向への移動を規制する工程と、
    前記固化物によって一端を規制しながら成形ゾーンに充填された可塑化物を加圧する工程と、
    金型の先端開放部の遮蔽を解除したのち成形ゾーンに充填された可塑化物の冷却硬化を行うか、あるいは成形ゾーンに充填された可塑化物の冷却硬化を行ったのち金型の先端開放部の遮蔽を解除する冷却工程と、
    より構成される成形サイクルを繰り返してなるボンド磁石の製造方法。
  2. 磁場配向させるための磁気回路を金型に付設又は内蔵させてなる請求項1記載のボンド磁石の製造方法。
JP22925097A 1997-08-26 1997-08-26 ボンド磁石の製造方法 Expired - Lifetime JP3736061B2 (ja)

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