JPH0883514A - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

誘電体磁器組成物

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JPH0883514A
JPH0883514A JP7004534A JP453495A JPH0883514A JP H0883514 A JPH0883514 A JP H0883514A JP 7004534 A JP7004534 A JP 7004534A JP 453495 A JP453495 A JP 453495A JP H0883514 A JPH0883514 A JP H0883514A
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JP
Japan
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composition
dielectric
porcelain
dielectric ceramic
ceramic composition
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JP7004534A
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English (en)
Inventor
Yoshio Yokoe
宣雄 横江
Yusuke Takei
裕介 武井
Naoko Ikeno
直子 池之
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 誘電体磁器組成物の割合を、xPb(Zn
1/3 Nb2/3 )O3 −yPb(Mg1/3 Ta2/3 )O3
−zBaTiO3 (式中、x、yおよびzはモル%を示
し、x+y+z=100 )と表わした時、x、y、z値が
図1の三角ダイヤグラムにおいて座標A、B、C、Dの
内部領域(但し、線分上を含む)に位置することを特徴
とする。さらに、0.30重量%以下のMnO2 を添加す
る。 【効果】 比誘電率および絶縁抵抗が高くかつそれらの
温度依存性が小さく、誘電損失が小さく、磁器強度が高
く、しかも低温焼成が可能な誘電体磁器材料が得られ、
温度特性の優れた高誘電率系積層型磁器コンデンサに好
適な誘電体磁器組成物となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比誘電率および絶縁抵
抗が高くかつそれらの温度特性に優れた、積層型磁器コ
ンデンサに好適な誘電体磁器組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】高誘電率系の積層型磁器(セラミック)
コンデンサ等に用いられる誘電体磁器組成物は、その特
性上、比誘電率εrおよび絶縁抵抗が高く、かつ誘電損
失tanδが低く、さらに比誘電率および絶縁抵抗の温
度依存性、すなわち温度に対する変化率が小さいことが
望まれる。
【0003】従来より磁器コンデンサ用の誘電体材料と
して、BaTiO3 を主成分とした種々の誘電体磁器組
成物が多用されている。これらの内、比誘電率の温度特
性に優れた高誘電率系磁器コンデンサ材料としては、B
aTiO3 にNb2 5 、Ta2 5 、ZnO、Co
O、希土類酸化物などを 0.1〜3重量%添加した誘電体
磁器組成物が広く実用に供されている。しかし、これら
は比誘電率εrが高々 4,000程度であり、また焼成温度
が 1,200℃以上と高いので、積層型磁器コンデンサに応
用する場合には内部電極の材料に高価なパラジウム(P
d)を多く使用しなければならず、そのため製造コスト
が高くなる等の問題点があった。
【0004】これに対して近年、低温で焼成できる鉛系
複合酸化物を主成分とした誘電体磁器組成物が提案され
ている。それらは 1,000℃以下で焼成てきる上に、比誘
電率εrが大きく、その値が 6,000以上と高いものもあ
り、さらに温度特性に優れているというものである。
【0005】例えば特開昭55-50509号には、Pb(Mg
1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3の2成分系でMnO
を 0.001〜1.5 重量%添加する誘電体磁器組成物が開示
されている。この組成物によれば、比誘電率が 7,000以
上で誘電損失tanδも 0.1〜1.5 %と小さく、絶縁抵
抗率も20℃で1×1012Ω・cm以上と、高誘電率系誘電体
としての電気的特性に優れている。
【0006】また特開昭55-144611 号には、Pb(Mg
1/3 Nb2/3 )O3 −PbTiO3−Pb(Mg1/2
1/2 )O3 の3成分系で、Pb(Mn2/3 1/3 )O3
を0.05〜5.0 重量%添加する誘電体磁器組成物が開示さ
れている。この組成物によれば、比誘電率が 3,780以上
で誘電損失も 0.2〜1.7 %と小さく、絶縁抵抗率も20℃
で9×1011Ω・cm以上と、高誘電率系誘電体としての電
気的特性に優れている。
【0007】また特開昭62-31905号には、Pb(Mg
1/3 Nb2/3 )O3 −Pb(Zn1/3Nb2/3 )O3
PbTiO3 の3成分系で、MgOを 1.0重量%以下の
量で添加する誘電体磁器組成物が開示されている。この
組成物によれば、比誘電率が15,000以上で、誘電損失も
3%以下と小さく、絶縁抵抗も25〜85℃の範囲で1011Ω
・cm以上と、高誘電率系誘電体としての電気的特性に優
れている。
【0008】さらに特開昭62-216106 号には、Pb(F
e,Nd,Nb)O3 系のペロブスカイト型構造化合物
の組成物が開示されている。この組成物によれば、比誘
電率がBaTiO3 系に比べて約2倍と大きいためコン
デンサの大容量化が可能で、同じ静電容量であれば誘電
体層の積層数を低減できて小型化を図れる。また、低温
で焼成できるため、安価な銀(Ag)−パラジウム系電
極材料が使用できる利点も有するものである。
【0009】さらにまた特開昭62-290009 号には、Pb
(Ni1/3 Nb2/3 )O3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3
3 −Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 の3成分系で、副
成分としてPbTiO3 を 0.5〜7.0 重量部、(Pb,
Ba,Sr,Ca)(Mn1/2 Nb1/2 )O3 を 0.1〜
5.0 重量部、(Pb,Ba,Sr,Ca)(Cu1/2
1/2 )O3 を 5.0重量部以下含有する誘電体磁器組成物
が開示されている。この組成物によれば、比誘電率が
6,000以上で、絶縁抵抗率も 7.8×1012Ω・cm以上と高
く、誘電損失が1%以下と小さく、焼成温度が 900〜1,
000 ℃であり、かつ静電容量(比誘電率)の温度変化率
が−25〜+85℃の温度範囲において+20〜−30%を満足
する誘電体磁器組成物が得られるものである。
【0010】そして、本発明者等は特開平4-357158号に
おいて、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Zn
1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Sm1/2 Nb1/2 )O3
を主成分とし、BaTiO3 を添加した高誘電率系誘電
体磁器組成物を提案した。この組成物によれば、比誘電
率が 4,000以上で好適な場合には 7,000以上と高く、か
つその温度特性に優れており、さらに磁器密度および磁
器強度が良好で、しかも低温焼成が可能な誘電体磁器組
成物が得られるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、上記
のBaTiO3 を主成分とする組成物、あるいは特開昭
55-50509号、特開昭55-144611 号、特開昭62-31905号、
特開昭62-216106 号にそれぞれ開示された組成物は、比
誘電率の温度依存性が大きく、例えば特開昭62-216106
号の組成物であっても、−30〜+85℃の温度域で、室温
での比誘電率に対して+15〜−75%と大きく変動するも
のであった。そのため、大容量コンデンサとして一般に
用いられる電解コンデンサに比較して特性が劣ってお
り、実用化の障壁となっていた。
【0012】また、特開昭61-290009 号あるいは特開平
4-357158号の組成物によっても、高誘電率系誘電体とし
て良好な電気的特性を有するものの、これら組成物の焼
結体の結晶相内に欠陥が出来易く、それが寿命性能に影
響を及ぼすという問題点があった。
【0013】このことは、以下の理由による。すなわ
ち、これらの組成物はPb(Mg1/3Nb2/3 )O3
Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 を主成分としているた
め、焼結体における結晶相が完全にはペロブスカイト相
になり難く、パイロクロア相が生成し易い組成物であ
る。そのために、この組成物の合成に関しては、Pb酸
化物以外の酸化物をまず合成した後に、所定量のPb酸
化物を加えて合成する方法(コロンバイト法)を用いる
必要がある。しかし、それでも結晶相は完全にはペロブ
スカイト相の単相にはならず、X線回折強度において1
〜2%程度のパイロクロア相を内在するものとなる。
【0014】図2は、そのX線回折強度の測定結果を示
す図である。同図において、横軸はX線回折角度(2
θ)を表わし、縦軸はX線回折強度を表わす。また、同
図中の矢印はパイロクロア相に対応する回折強度のピー
クを示しており、この結果から、上記組成物の結晶層
が、1〜2%程度のパイロクロア相を内在していること
が分かる。そのため、パイロクロア相の存在に起因して
焼結体の結晶相内に、酸素空孔などの欠陥が出来易く、
それが比誘電率の低下をもたらしたり、寿命性能に影響
を及ぼすという問題点を引き起こしていた。
【0015】従って、焼結体において完全にペロブスカ
イト相の単相からなる多結晶体が得られ、高誘電率系誘
電体として優れた特性を有するとともに、耐環境特性に
も優れた高誘電率の誘電体磁器組成物が望まれていた。
【0016】本発明は、上記事情に鑑みて本発明者等が
鋭意研究を進めた結果完成したもので、その目的は、焼
結体の結晶相がペロブスカイト相の単相で構成され、比
誘電率εrおよび絶縁抵抗が大きく、かつそれらの温度
変化率が小さく、誘電損失tanδが小さく、磁器密度
が大きく、さらに耐環境特性に優れており、しかも低温
焼成が可能な、高誘電率系磁器コンデンサに好適な誘電
体磁器材料が得られる誘電体磁器組成物を提供すること
にある。
【0017】
【問題点を解決するための手段】本発明の誘電体磁器組
成物は、Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Mg
1/3 Ta2/3 )O3 とBaTiO3 とから成る誘電体磁
器組成物であって、これらの成分割合を xPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 −yPb(Mg1/3
2/3 )O3 −zBaTiO3 (式中、x、y及びzはモル%を示し、x+y+z=1
00)で表わした時、x、y、z値が図1の三角ダイヤ
グラムにおいて下記の座標A、B、C、Dの内部領域
(但し、線分上を含む)に位置することを特徴とするも
のである。 A(54.0、 6.0、40.0) B(83.3、 9.2、 7.5) C(64.8、27.7、 7.5) D(42.0、18.0、40.0)。
【0018】また、本発明の誘電体磁器組成物は、上記
成分割合の誘電体磁器組成物に対して、0.30重量%
以下のMnO2 を添加したことを特徴とするものであ
る。
【0019】さらに本発明の誘電体磁器組成物は、上記
それぞれの誘電体磁器組成物において、上記成分割合に
対するSiO2 含有量が200ppm以下であることを
特徴とするものである。
【0020】
【作用】本発明の誘電体磁器組成物(以下、本組成物と
略す)は、Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 とPb(Mg
1/3 Ta2/3 )O3 とBaTiO3 とを含む複合酸化物
主成分を、上記所定の割合で調整することにより、反応
性に富んだPb(Mg1/3 Ta2/3 )O3 の存在によっ
て、焼結体における結晶相がペロブスカイト相の単相で
構成されるようになる。そのため、比誘電率および絶縁
抵抗が高く、かつそれらの温度変化率が小さく、磁器密
度が大きく、さらに耐環境特性に優れており、しかも誘
電損失が小さく、低温焼成が可能な誘電体磁器材料とな
るものである。
【0021】本組成物の成分組成割合を示す図1の三角
ダイヤグラムにおいて、その組成が、上記座標A、B、
C、Dで囲まれる領域に対して、線分ABを越える場
合、すなわちy値が小さい場合は、比誘電率の低温での
温度変化率が大きくなる傾向がある。線分BCを越える
場合、すなわちz値が小さい場合は、比誘電率が低くな
りの傾向がある。線分CDを越える場合、すなわちx値
が小さくy値が大きい場合は、比誘電率の高温での温度
変化率が大きくなる傾向がある。線分ADをこえる場
合、すなわちz値が大きい場合は、磁器の焼結性が低下
し、絶縁抵抗が低くなる傾向がある。
【0022】本組成物によれば、焼結体における結晶相
が単一であるため、X線理論密度に対する嵩密度が97%
以上となり、磁器密度が大きくなる。そのため、比誘電
率および絶縁抵抗において良好な特性を示す誘電体磁器
が得られる。
【0023】また、本組成物によれば、BaTiO3
7.5モル%以上含まれるので、磁器の破断モードが粒内
モードとなり、良好な磁器強度を有する誘電体磁器が得
られる。
【0024】さらに、本組成物によれば、上記成分割合
の組成物に対して、MnO2 を0.30重量%以下の割合で
添加したことにより、比誘電率の温度変化率が一層小さ
くなって、優れた温度特性ならびに耐環境性を有するも
のとなる。
【0025】以上により本組成物は、比誘電率εrが
4,000以上と高く、かつその−30℃〜+85℃の温度範囲
における変化率が、+25℃での比誘電率を基準として−
30%〜+20%と小さな誘電体磁器を得ることができるも
のとなる。この比誘電率εrの温度変化率は、MnO2
を0.30重量%以下の割合で添加することにより、±15%
以内とさらに小さくなり、非常に優れた特性となる。
【0026】また、+25℃および+ 125℃における絶縁
抵抗が共に十分高く、絶縁抵抗の温度変化率も小さい誘
電体磁器を得ることができるものとなる。また、磁器密
度がX線理論密度に対する嵩密度で97%以上と大きく、
良好な磁器密度を有する誘電体磁器を得ることができ、
積層型磁器コンデンサへの応用が可能になる。
【0027】さらに、焼成を 1,050℃以下の低温で行な
うことができるので、内部電極材料として銀の含有率の
高い安価なAg−Pd材料を使用でき、積層型磁器コン
デンサの製造コストを低減することができる。
【0028】なお、一般に本組成物を始めとする誘電体
磁器組成物の製造においては、素原料あるいは仮焼工程
などの製造工程に起因して組成物中に不純物としてSi
2が混入することが避けられず、そのSiO2 量が製
造ロット毎にばらつくことにより組成物の電気的性能が
安定しないことがある。本組成物におけるSiO2 量の
影響について本発明者が詳細に検討したところ、本組成
物ではSiO2 含有量が多くなると比誘電率や絶縁抵抗
が低下する傾向が見られ、上記成分割合に対する不純物
としてのSiO2 含有量を 200ppm以下に規制すると
良好な特性が安定して得られることを見出した。
【0029】SiO2 含有量を上記範囲に規制する方法
には、素原料としてSiO2 含有量が少ないものを使用
すること、ならびに原料の仮焼鉢にマグネシア(Mg
O)鉢や高純度アルミナ(Al2 3 )鉢などSiO2
含有量の少ないものを用いて原料製造工程からの混入を
抑制することなどがあり、所望のSiO2 含有量や製造
コストなどを勘案してそれらを適宜採用すればよい。
【0030】従って本組成物を、例えば積層型磁器コン
デンサに用いると、比誘電率が高くかつその温度変化率
が小さく、室温および高温での絶縁抵抗が高く、誘電損
失も小さい、小型大容量で温度特性の優れた磁器コンデ
ンサを得ることができる。また、低温焼成が可能で安価
な電極材料が使用できるので、上記諸特性の優れた安価
な積層型磁器コンデンサを得ることができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の誘電体磁器組成物を、実施例
に基づいて詳述する。 〔例1〕本組成物の出発原料として、PbO、BaCO
3 、MgO、Nb2 5 、ZnO、Ta2 5 およびT
iO2 の各酸化物粉末を用意した。各酸化物は、純度が
99.5%以上のものを用いた。
【0032】各酸化物粉末を表1に示した各組成になる
ように秤量し、ボールミルで混合して調合した。なお、
表1の組成は固溶体の組成として示してあり、固溶体組
成欄において、x、yおよびzは、それぞれPb(Zn
1/3 Nb2/3 )O3 、Pb(Mg1/3 Ta2/3 )O3
よびBaTiO3 の組成割合をモル%(mol%)で表わし
ている。次いで、調合した各粉末をアルミナ磁器製ルツ
ボに入れて、900 ℃で仮焼した。仮焼後に粗砕して、さ
らにジルコニアボールを用いてボールミルで粉砕した。
その後、酢酸ビニール樹脂を3%添加して造粒し、直径
約12mm、厚さ約 1.5mmの円板状に加圧成形した。こ
の円板状成形体をマグネシア製こう鉢に入れ、大気中に
て 700℃で脱脂した後に、大気中で 970〜1,030 ℃で2
時間焼成した。
【0033】このようにして得られた各焼結体の電気的
特性を評価するために、各焼結体の両主面にAg電極を
形成して円板状コンデンサを作製し、試料1〜21とし
た。
【0034】各試料についての電気的特性の測定は、以
下のように行なった。まず、基準温度25℃で周波数1k
Hz、測定電圧 1.0Vrms の信号を入力し、デジタルL
CRメータ(YHP製4274A)を用いて静電容量および
誘電損失tanδを測定し、比誘電率εrを試料の寸法
を考慮して算出した。また、比誘電率εrを−30℃〜+
85℃の温度範囲で測定し、+25℃における値を基準とし
て、−30℃および+85℃における温度変化率、ならびに
−30℃〜+85℃の温度範囲での温度変化率の+側の最大
値を求めた。さらに絶縁抵抗は、絶縁抵抗計を用いて直
流電圧50Vを1分間印加した時の+25℃および+ 125℃
における絶縁抵抗値を測定し、得られた絶縁抵抗値と電
極の直径および磁器厚さとから絶縁抵抗率を算出した。
【0035】また、磁器密度は、嵩密度を測定して、そ
のX線理論密度に対する百分率(%)を算出して求め
た。
【0036】これらの測定結果に対しては、以下の値を
評価基準とした。比誘電率εrは、小型で高誘電率のコ
ンデンサを作製するための重要な特性であり、その値が
4,000を越えるものを良好とした。比誘電率εrの温度
変化率は、−30℃〜+85℃の温度範囲において、−30%
〜+20%の範囲内であれば良好とした。また、絶縁抵抗
率は、+25℃で20.0×1011Ω・cm以上であり、かつ+
125℃で 5.0×1011Ω・cm以上であれば良好とし、磁
器密度は、X線理論密度に対する嵩密度の百分率が97%
以上のものを良好とした。なお、誘電損失tanδは、
誘電体磁器のグリーンシートの薄膜化を実現して小型か
つ大容量の積層型磁器コンデンサを作製するための重要
な特性であり、小さい値が望ましい。
【0037】これらの測定結果を表1に示す。表中にお
いて*を付した試料番号のものは、本発明の範囲外の結
果を示す比較例である。また、表1の総合評価欄におけ
る○は各測定結果が全て良好であったことを示し、×は
評価基準に対して劣る結果てあったことを示している。
【0038】
【表1】
【0039】試料番号3〜8、11、12、15〜19のよう
に、x、y、zの各々が本発明の範囲内にある場合は、
全ての結果が良好な特性を示した。これらの結果より、
磁器密度が97%以上と大きくて、比誘電率εrが 5,000
以上と高く、しかもその温度変化率が−30℃〜+85℃の
温度範囲において−30%〜+20%と小さく、さらに+25
℃および+ 125℃での絶縁抵抗が十分に高く、誘電損失
も小さな、優れた特性の誘電体磁器組成物が得られるこ
とが分かる。
【0040】これに対してx、y、z値が本発明の範囲
内にない場合、試料番号1、2および13のように線分B
Cを越えてz値が小さい場合には、比誘電率が低下す
る、あるいは比誘電率の温度変化率が−の温度側で大き
くなる傾向が見られる。
【0041】また、試料番号9のように、線分ADを越
えてz値が大きい場合には、磁器密度が低下するととも
に、高温での絶縁抵抗が大きく低下する傾向が見られ
る。
【0042】また、試料番号10および14のように、線分
ABを越えてx値が大きくかつy値が小さい場合には、
比誘電率の温度変化率が−の温度側で大きくなる傾向が
見られる。
【0043】そして、試料番号20のように、線分CDを
越えてx値が大きくかつy値が大きい場合には、比誘電
率の温度変化率が+の温度側で大きくなる傾向が見られ
る。
【0044】また、本発明の範囲内にある上記各組成物
の磁器強度について、3mm×4mm×長さ40mmの角
柱試料を作製し、JISのR1601に準拠して4点曲げ法
で曲げ強度を測定した結果、いずれも10kgf/mm2
以上であり、優れた実用性を有することが確かめられ
た。
【0045】そして、本組成物の焼結体の結晶相につい
て、試料6を用いてX線回折によって調べたところ、図
3に示す結果が得られた。同図は図2と同様の測定結果
を示し、横軸はX線回折角度(2θ)を表わし、縦軸は
X線回折強度を表わす。この結果から、本組成物の結晶
相にはパイロクロア相が存在せず、ペロブスカイト相の
単相で構成されていることが分かる。なお、本発明の範
囲内にある他の試料についても同様にX線回折により調
べたところ、いずれも同様にペロブスカイト相の単相で
構成されていることが確認できた。
【0046】〔例2〕本組成物の出発原料として、〔例
1〕に示した原料に加えて、MnO2 の酸化物粉末を用
意した。このMnO2 も、純度が99.5%以上のものを用
いた。
【0047】各酸化物粉末を表2に示した各組成になる
ように秤量し、ボールミルで混合して調合した。表2の
組成は、表1と同様に固溶体の組成として示してあり、
固溶体組成欄において、x、yおよびzは、それぞれP
b(Zn1/3 Nb2/3 )O3、Pb(Mg1/3
2/3 )O3 およびBaTiO3 の組成割合をモル%
(mol%)で表わしている。また、MnO2 は、xPb
(Zn1/3 Nb2/3 )O3 −yPb(Mg1/3
2/3 )O3 −zBaTiO3 組成物に対する添加量、
すなわちこの組成物 100重量部に対して何重量部のMn
2 を添加したかを、重量%で示している。
【0048】そして、〔例1〕と同様にして各焼結体を
作製し、それらより円板状コンデンサを作製して、試料
21〜25を得た。
【0049】これらの各試料について、電気的特性およ
び磁器密度を〔例1〕と同様に測定した結果を、表2に
示す。なお、比誘電率εrの温度変化率は、−30℃〜+
85℃の温度範囲において、±15%以内(−15%〜+15
%)の範囲内のものを良好とした。また、表2の総合評
価欄においても、○は各測定結果が全て良好であったこ
とを示している。
【0050】
【表2】
【0051】試料番号21〜25のように、x、y、zおよ
びMnO2 添加量の各々が本発明の範囲内にある場合
は、全ての結果が良好な特性を示した。これらの結果よ
り、磁器密度が97%以上と大きくて、比誘電率εrが
4,000以上と高く、しかもその温度変化率が−30℃〜+8
5℃の温度範囲において±15%以内とさらに小さくな
り、優れた温度特性を有することが分かる。そしてその
上に、+25℃および+ 125℃での絶縁抵抗が十分に高
く、誘電損失も小さな、優れた誘電体磁器組成物が得ら
れることが分かる。
【0052】また、本発明の範囲内にある上記各組成物
の磁器強度について、〔例1〕と同様に曲げ強度を測定
した結果、いずれも10kgf/mm2 以上であり、優れ
た実用性を有することが確かめられた。
【0053】そして、本組成物の焼結体についても、結
晶相をX線回折によって調べたところ、いずれも〔例
1〕の各試料と同様に、ペロブスカイト相の単相で構成
されていることが確認できた。
【0054】〔例3〕 〔例1〕に示した本組成物のうち試料番号6について、
ICP元素分析法により分析して、組成物中のSiO2
含有量を調べた。また、試料番号6と同じ組成割合に調
合した酸化物粉末に純度99.5%のSiO2 粉末をそれぞ
れ 100ppmおよび 500ppm添加した試料を作製し、
同様にして組成物中のSiO2 含有量を調べた。なお、
これらの試料作製に当たっては、原料の仮焼鉢にはマグ
ネシア製の鉢を用いて、製造工程からのSiO2 混入を
なるべく抑制するようにした。
【0055】そして以上の3種類の組成物からそれぞれ
円板状コンデンサを作製し、試料26〜28とした。
【0056】これら3種類の本組成物についても〔例
1〕と同様にして各電気的特性および磁器密度を測定
し、〔例1〕と同じ評価基準で評価した。これらの結果
を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】表3の結果より分かるように、出発原料に
SiO2 を添加しなかった試料26において90ppm、試
料27では 100ppm、試料28では 580ppmのSiO2
含有量がそれぞれ検出された。
【0059】また、SiO2 含有量が 200ppm以下で
ある試料26および27では全ての特性が非常に良好な結果
であったが、SiO2 含有量が 200ppmを越える試料
28では、全ての特性が良好な結果であったが、比誘電率
および高温(+ 125℃)における絶縁抵抗が幾分低下す
る傾向が認められた。
【0060】これらの結果から、本組成物においてSi
2 含有量を 200ppm以下に抑制することにより、極
めて良好な電気的特性を安定して得られることが分か
る。
【0061】以上の結果により、本組成物によれば、高
誘電率系誘電体としての特性に優れ、かつ温度変化率が
小さい、耐環境性に優れた誘電体磁器組成物が得られる
ことが分かる。
【0062】従って上記実施例より分かるように、本発
明の誘電体磁器組成物によって、磁器密度が大きく、比
誘電率が高く、かつその温度変化率が−30℃〜+85℃の
温度範囲において小さく、しかも+25℃および+ 125℃
での絶縁抵抗が十分に高く、誘電損失も小さく、さらに
良好な曲げ強度を有する、優れた特性の誘電体磁器組成
物が得られる組成物とするには、上記本組成物の組成構
成におけるx、y、zの座標ならびにMnO2 の添加量
を、本発明の範囲内に設定することが重要である。
【0063】また、本組成物の良好な電気的特性を安定
して得るには、上記本組成物の組成構成に対するSiO
2 含有量を本発明の範囲内に設定することが好ましい。
【0064】このような本発明の誘電体磁器組成物によ
れば、理論値に対する磁器密度は97%以上と大きい。ま
た、比誘電率εrは 4,000以上と高く、かつその温度変
化率は−30℃〜+85℃の温度範囲において、+25℃を基
準として−30%〜+20%の範囲内、好適な場合には±15
%以内と小さくなる。しかも+25℃および+ 125℃での
絶縁抵抗がそれぞれ 2.0×1012Ω・cm以上および 5.0
×1012Ω・cm以上と十分に高い。また、誘電損失ta
nδも小さく、さらに曲げ強度も10kgf/mm2 以上
と良好である。そして、結晶相がペロブスカイト相の単
相であるので、耐候性にも優れている。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の誘電体磁
器組成物によれば、焼結体の結晶相がペロブスカイト相
の単相で構成され、比誘電率εrおよび絶縁抵抗が高
く、かつそれらの温度変化率が小さく、誘電損失tan
δが小さく、さらに高い磁器密度と良好な磁器強度を有
し、しかも低温焼成が可能な誘電体磁器組成物を提供す
ることができた。
【0066】そして、本組成物を用いることにより、比
誘電率εrが 4,000以上と高く、かつその温度依存性
が、−30℃〜+85℃の温度範囲において−30%〜+20
%、好適な場合には±15%以内と小さく、絶縁抵抗が+
25℃および+ 125℃において共に十分高く、さらに誘電
損失、磁器密度、磁器強度についても優れた特性を有
し、耐環境性などの寿命性能が良好な誘電体磁器組成物
が得られ、高誘電率系で小型大容量の積層型磁器コンデ
ンサへの応用に好適となった。
【0067】また、本組成物によれば、誘電体磁器を
1,050℃以下の低温で焼成できるので、内部電極に安価
な銀の含有率が高いAg−Pd電極が使用でき、経済性
にも優れた誘電体磁器組成物を提供できた。
【0068】そして、以上のような優れた特長を有する
誘電体磁器組成物について優れた電気的特性を安定して
得ることができ、実用的に非常に有用な誘電体磁器組成
物を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器組成物の主成分組成を示
す、Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 、Pb(Mg1/3
2/3 )O3 、BaTiO3 の三角ダイヤグラムであ
る。
【図2】従来のPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 とPb
(Zn1/3 Nb2/3 )O3 を主成分とした誘電体磁器組
成物のX線回折強度の測定結果を示す図である。
【図3】本発明の誘電体磁器組成物のX線回折強度の測
定結果を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 とPb
    (Mg1/3 Ta2/3 )O3 とBaTiO3 とから成る誘
    電体磁器組成物であって、これらの成分割合を xPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 −yPb(Mg1/3
    2/3 )O3 −zBaTiO3 (式中、x、y及びzはモル%を示し、x+y+z=1
    00)で表わした時、x、y、z値が図1の三角ダイヤ
    グラムにおいて下記の座標A、B、C、Dの内部領域
    (但し、線分上を含む)に位置することを特徴とする誘
    電体磁器組成物。 A(54.0、 6.0、40.0) B(83.3、 9.2、 7.5) C(64.8、27.7、 7.5) D(42.0、18.0、40.0)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の誘電体磁器組成物に対し
    て0.30重量%以下のMnO2 を添加したことを特徴
    とする誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の誘電体磁
    器組成物において、上記成分割合に対するSiO2 含有
    量が200ppm以下であることを特徴とする誘電体磁
    器組成物。
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