JPH0882883A - ハロゲン化銀粒子の製造方法およびハロゲン化銀乳剤 - Google Patents

ハロゲン化銀粒子の製造方法およびハロゲン化銀乳剤

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JPH0882883A
JPH0882883A JP19260995A JP19260995A JPH0882883A JP H0882883 A JPH0882883 A JP H0882883A JP 19260995 A JP19260995 A JP 19260995A JP 19260995 A JP19260995 A JP 19260995A JP H0882883 A JPH0882883 A JP H0882883A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】かぶり濃度が低く、感度、粒状性のより優れた
ハロゲン化銀平板粒子の製造方法、および該粒子を含む
乳剤を提供する。 【解決手段】核形成、熟成、成長過程を経て全粒子の投
影面積合計の75〜100%が、厚さ0.02〜0.3
μm、アスペクト比(直径/厚さ)2〜50の平板粒子
であるハロゲン化銀粒子の製造方法において、該成長過
程の分散媒の30〜100重量%が次記(a)の特徴を
有する。 (a)該ゼラチン中の−NH2 基が化学修飾された数の
割合%と、該ゼラチンのメチオニン含率の関係が図1の
1 の領域にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は写真の分野で有用な
ハロゲン化銀粒子(以後「AgX」と記す)の製造方法
およびハロゲン化銀乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】アスペクト比(直径/厚さ)の大きい平
板粒子を含有するAgX乳剤を支持体上に塗布し、写真
感光材料に用いた場合、次のような多くの利点がある。
例えば膜厚を薄くできる為にシャープネスの向上、表面
/体積比が大きい為に分光増感色素を多量に吸着させる
事ができ、光吸収率が向上する、表面/体積比が大きい
為に現像処理が速くなる、像の平準化による粒状性の改
良等。従って、従来、平板粒子が多くの写真感光材料に
多用されてきた。しかし、該平板粒子を従来法で製造し
た場合、次のような欠点があった。非平板粒子が混入
し、粒子サイズ分布が広い。即ち、粒子の形状的にも、
サイズ分布的にも多分散であった。この為、該粒子を化
学増感や分光増感した場合、総ての粒子が最適に化学増
感や分光増感された態様が得られない、重層効果を活用
できない等の欠点があった。
【0003】この欠点を改良する為に多くの技術的検討
がなされてきた。本発明者は平行双晶面を含む平板粒子
の場合、該製造過程を核形成、熟成、成長の3つの過程
に分け、それぞれの過程の最適条件を検討した。即ち、
核形成過程では、双晶面形成確率を高すぎず、かつ、低
すぎずに調節する。熟成過程では、平板粒子の低過飽和
度下での選択成長性を利用して、平板粒子を残し、他の
非平板粒子を消失させる。成長過程では平板粒子の選択
成長性とエッジ部の拡散律速成長性を両立させるハロゲ
ンイオン(以後「X- 」と書く)濃度と過飽和度を選択
する事によって、サイズ分布を広げる事なく成長させる
事等であり、詳細は下記文献の記載を参考にする事がで
きる。Cl- 含率が50モル%以上の該平板粒子の詳細
に関しては米国特許5176992、同506161
7、同4400463、同5185239、同5183
732、同5178998、同5178997、特開平
4−283742、同4−161947等の記載を、B
- 含率の高い粒子に関しては特開昭63−15161
8、同63−11928、特開平2−28638、同1
−131541、同2−838、同2−298935、
同3−121445等の記載を参考にする事ができる。
【0004】一方、主平面が{100}面である平板粒
子の場合も、該粒子を従来法で製造した場合、同様の問
題が存在する。これを改良する為に、該製造処方を核形
成、熟成、成長の3つの過程に分け、それぞれの過程の
改良方法が提案されている。それらの詳細に関しては特
開平5−281640、同5−313273、米国特許
第4063951、同4386156、同494677
2、同5264337、同5275930、欧州特許第
0534395A1等の記載を参考にする事ができる。
【0005】これらの検討により、粒子形状的にも、サ
イズ分布的にも単分散性が著しく向上した。しかし、平
板粒子の厚さを薄くすればする程、得られる粒子のサイ
ズ分布が広くなるという問題はまだ解決されていなかっ
た。また、よりかぶり濃度が低く、かつ、感度、粒状性
のより優れた該平板粒子の製造方法が求められている。
該粒子特性を粒子形成時の分散媒を変えることにより改
良する事が試みられてきている。例えば Kelly〔Journa
l of Photographic Science,6巻,16〜22(195
8年)〕は種々の条件で酸化された酸化処理ゼラチンと
- を含む水溶液中にAgNO3 水溶液を添加し、Ag
BrI平板粒子を形成している。H2 2 等で酸化され
た酸化処理ゼラチンの使用は Sheppard や、他の多くの
著者によって記述されている。その詳細は英国特許第2
45456、フランス特許768015、Gelatin in P
hotography-Monographs on the Theory of Photography
from the Research Laboratory of the Eastman Kodak
Co. No.3.D. Van Nostrand Co., New York に記載さ
れている。また、該酸化により、メチオニン基がメチオ
ニンスルフォキシドに変化する事が確認されており、Jo
urnal of Photographic Science, 16巻,68〜69
(1968)に記載されている。
【0006】最近、厚さ0.2μm以下の平板粒子を
(メチオニン含率<30μmol /g)の酸化処理ゼラチ
ン分散媒溶液中で製造する事がクレームされている。例
えば特開昭62−157024号。該ゼラチンを用いて
平板粒子を製造すると、76℃以下のすべての温度にお
いて非酸化ゼラチンに比べてより薄い平板粒子が形成さ
れる。しかし、粒子の厚さが薄くなる程、生成粒子のサ
イズ分布が広くなる事に変りはない。欧州特許第514
742A号では該酸化ゼラチンとポリアルキレン化合物
の存在下で、主平面が{111}面のAgBr平板粒子
を形成し、該欠点を改良する方法が開示されている。し
かし、主平面形状が正六角形からいびつに歪んだ平板粒
子であり、かつ、感度、粒状性、かぶり濃度で満足すべ
きものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はかぶり
濃度が低く、感度、粒状性のより優れたAgX平板粒子
の製造方法およびハロゲン化銀乳剤を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は次項によ
って達成された。 (1) 水と分散媒を有する分散媒溶液中で、少なくとも核
形成、熟成、成長過程を経てハロゲン化銀粒子の投影面
積の合計の75〜100%が厚さが0.02〜0.3μ
m、アスペクト比(直径/厚さ)が2〜50の平板粒子
であるハロゲン化銀粒子を製造する方法において、該成
長過程の該分散媒の30〜100重量%が次記(a)の
特徴を有するゼラチンである事を特徴とするハロゲン化
銀粒子の製造方法。 (a)該ゼラチン中の−NH2 基が化学修飾された数の
割合%と該ゼラチンのメチオニン含率の関係が図1のa
1 の領域にある。
【0009】(2) 該分散媒溶液がポリアルキレンオキサ
イドの繰返し単位を有する重合体で、分子量が500〜
106 であるHPAO〔一般式(1)−a)または
(1)−b)で表される〕またはPEOD〔一般式
(2)の−a)〜−f)のうちのいずれかで表される〕
を0.001g/L以上含有する事を特徴とする前記
(1) 記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。
【0010】
【化4】
【0011】ここでR0 はH、または少なくとも1つの
極性基を有する炭素数1〜10の炭化水素(例えば-CH2
OH、-C2H5OH 、-CH2-O-CH3) で、好ましくはHである。
Rは炭素数3〜10のアルキレン基を表す。n、mは繰
返し単位の平均数を表わし、前記分子量規定を満たす4
以上の値である。
【0012】
【化5】
【0013】ここでLPUはHO−HPEOU−基およ
びHO−LPAOU−基以外の親油性基を指し、置換ま
たは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、
ヘテロ環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル
基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル
基、アリサイクリック基を指す。なお、HPEOU、L
PAOUは一般式(1)−a)、(1)−b)と同義で
ある。LPU′はH、炭素数1〜20のアルキル基を指
す。
【0014】(3) 該分散媒溶液が一般式(3)で表され
るモノマーの繰返し単位を1重量%以上含有する重合体
の少なくとも1種を0.01g/リットル以上含有し、
該重合体の分子量が500〜106 である事を特徴とす
る前記(1) 記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。
【0015】
【化6】
【0016】式中R1 はH、炭素数1〜4の低級アルキ
ル基を表し、R2 は炭素数1〜20の1価の置換基を表
す。R3 は炭素数3〜10のアルキレン基を表し、Lは
2価の連結基を表す。nは繰返し単位の平均数を表し、
4〜600である。
【0017】(4) 該分散媒溶液が一般式(3)で表わさ
れるモノマーと一般式(4)で表わされるモノマーの少
なくとも2種をそれぞれ1重量%以上含有する共重合体
を0.01g/リットル以上含有し、該共重合体の分子
量が500〜106 である事を特徴とする前記(1) 記載
のハロゲン化銀粒子の製造方法。 一般式(4) CH2 =C(R4 )−L′−(CH2 CH2 O)m −R5 式中、R4 はH、炭素数1〜4の低級アルキル基を表
し、R5 は炭素数1〜20の1価の置換基を表し、L′
は2価の連結基を表す。mは繰返し単位の平均数を表
し、4〜600である。
【0018】(5) 該分散媒溶液が下記一般式(5)で表
される繰返し単位を1重量%以上含有する重合体の少な
くとも1種と、一般式(6)で表される繰返し単位を1
重量%以上含有する重合体の少なくとも1種をそれぞれ
0.01g/リットル以上含有し、それぞれの重合体の
分子量が500〜106 である事を特徴とする前記(1)
記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。 一般式(5) −(R−O)n − 一般式(6) −(CH2 CH2 O)m − 式中、Rは炭素数3〜10のアルキレン基を表わす。
n、mは繰返し単位の平均数を表し、該分子量規定を満
たす4以上の値である。
【0019】(6) 該一般式(5)で表される繰返し単位
を有する重合体が下記一般式(7)−(a)で表される
モノマーを構成成分とするビニル重合体および一般式
(7)−(b)で表されるポリウレタンを含む重合体か
ら選ばれる少なくとも1種の重合体であり、該一般式
(6)で表わされる繰返し単位を有する重合体が下記一
般式(7)−(c)で表されるモノマーを構成成分とす
るビニル重合体、一般式(7)−(d)で表されるポリ
ウレタンを含む重合体、および置換または未置換のポリ
エチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の重合
体であることを特徴とする前記(5) に記載のハロゲン化
銀粒子の製造方法。 一般式(7)−a) CH2 =C(R1 )−L−(R3 −O)n −R2 一般式(7)−b) −〔O −(R−O)n x −〔O − R11−O 〕y −〔CONH-R12-NHCO 〕Z − 一般式(7)−c) CH2 =C(R4 )−L′−(CH2 CH2 O)m −R5 一般式(7)−d) −〔O-(CH2CH2O) m X'−〔O-R13-O 〕 y' −〔CONH-R14-NHCO 〕Z'− 式中、n、mは繰返し単位の平均数を表し、4〜600
である。R1 、R4 はHまたは炭素数1〜4の低級アル
キル基を表す。R2 、R5 はHまたは炭素数1〜20の
1価の置換基を表す。L、L′は2価の連結基を表す。
11、R12、R13、R14は2価の連結基を表し、炭素数
1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のフェニレン
基、または炭素数7〜20のアラルキレン基を表す。
x、y、z、x′、y′、z′は各成分の重量百分率を
表し、x、x′は1〜70、y、y′は1〜70、z、
z′は20〜70を表す。ここでx+y+z=100、
x′+y′+z′=100である。Rは炭素数3〜10
のアルキレン基を表す。
【0020】(7) 該平板粒子の主平面が{100}面か
または{111}面であり、該粒子の直径分布の変動係
数(標準偏差/平均直径)が0〜0.3である事を特徴
とする前記1〜6記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。 (8) 少なくとも分散媒とハロゲン化銀粒子を有するハロ
ゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子の全投影面
積の75〜100%が厚さが0.02〜0.3μm、ア
スペクト比(直径/厚さ)が2〜50の平板粒子であ
り、該粒子の直径分布の変動係数(標準偏差/平均直
径)が0〜0.3であり、該分散媒の30〜100重量
%が(化学修飾された−NH2 基数の%とメチオニン含
率の関係が図1のa1 の領域にあるゼラチン)である事
を特徴とするハロゲン化銀乳剤。
【0021】その他、本発明の好ましい態様は次の通
り。 (9) 少なくとも分光増感色素を吸着したハロゲン化銀粒
子と、分散媒を有するハロゲン化銀乳剤において、該ハ
ロゲン化銀粒子の投影面積の75〜100%がアスペク
ト比が2〜50、厚さが0.02〜0.3μmの平板粒
子であり、その直径分布の変動係数が0〜0.3、分光
増感色素の吸着被覆率の変動係数が0〜0.3である事
を特徴とするハロゲン化銀乳剤。 (10)該平板粒子が少なくとも10-7mol/mol Ag以上でセ
レン増感されており、かつ、該平板粒子のSeの含有率
が該平板粒子の表面積に比例しており、該比例定数の粒
子間バラツキの変動係数が0〜0.3である事を特徴と
する前記(9) 記載のハロゲン化銀乳剤。 (11)該平板粒子が少なくとも10-7mol/mol Ag以上で金
増感されており、かつ、該平板粒子の金の含有率が該平
板粒子の表面積に比例しており、該比例定数の粒子間バ
ラツキの変動係数が0〜0.3である事を特徴とする前
記(9) 、(10)記載のハロゲン化銀乳剤。
【0022】以下に本発明を更に詳細に説明する。 A.平板粒子 該平板粒子は主平面が{100}面の平板粒子(以後、
「(100)平板粒子」と記す)と、{111}面の平
板粒子(以後、「(111)平板粒子」と記す)を挙げ
る事ができる。該平板粒子は厚さが0.02〜0.3μ
m、好ましくは0.02〜0.15μm、より好ましく
は0.03〜0.10μm、最も好ましくは0.04〜
0.08μmである。アスペクト比(直径/厚さ)は2
〜50、好ましくは3〜30である。直径分布の変動係
数(分布の標準偏差/平均直径)(以後、「C.V.
値」と記す)は0〜0.3が好ましく、0〜0.2がよ
り好ましく、0〜0.1が更に好ましく、0〜0.08
が最も好ましい。ここで直径とは粒子の投影面積と等し
い面積を有する円の直径を指し、厚さは、平板粒子の2
つの主平面間の距離を指す。粒子の直径は0.1μm以
上が好ましく、0.2〜10μmがより好ましい。該平
板粒子はAgX粒子の全投影面積の75〜100%、好
ましくは90〜100%、より好ましくは97〜100
%を占める。該平板粒子の厚さ分布の変動係数(分布の
標準偏差/平均厚さ)は0〜0.3が好ましく、0〜
0.2がより好ましく、0〜0.1が更に好ましい。
【0023】該平板粒子は少なくとも核形成→熟成→成
長、の過程を経て製造される。最終的に得られる平板粒
子の核は実質的に該核形成過程で形成される。ここで実
質的にとは、数で、好ましくは75〜100%、より好
ましくは95〜100%を指す。核形成、熟成過程で該
修飾ゼラチンを用いた場合は、それらの過程における反
応溶液のpHは該修飾ゼラチンの等電点以上のpHが好
ましく、(等電点pH+0.2)〜pH10がより好ま
しく、(等電点pH+0.4)〜pH7が更に好まし
い。核形成時に添加するAgNO3 の添加量は反応溶液
1リットルあたり1g以上が好ましく、1.8g以上が
より好ましく、3〜30gが更に好ましい。核形成は反
応溶液中へのAg+ 液とX- 液の同時混合添加法、また
は2〜1000回の複数交互シングルジェット添加法で
行う事がより好ましい。次に(100)平板粒子から順
に説明する。
【0024】A−1.(100)平板粒子 1.粒子構造 主平面が{100}面である平板粒子を形状で分類する
と、次の6つを挙げる事ができる。(1) 主平面の形状が
直角平行四辺形で、1つの平板粒子内で隣接辺比率(長
辺の長さ/短辺の長さ)が1〜10、好ましくは1〜3
の粒子、より好ましくは1〜2の粒子、(2) 該直角平行
四辺形の4つの角の内、1個以上、好ましくは1〜3個
が非等価的に欠落した粒子。即ち、〔(最大欠落部の面
積/最小欠落部の面積)=a1 が2〜∞の粒子〕、(3)
該4つの角が等価的に欠落した粒子(該a1 が2より小
の粒子)、(4) 該欠落部の面積の5〜100%、好まし
くは20〜100%が(111)面である粒子、(5) 主
平面を構成する4つの辺の内の少なくとも相対する2つ
の辺が外側に凸の曲線である粒子、(6) 該直角平行四辺
形の4つの角の内の1つ以上、好ましくは1〜3個が直
角平行四辺形状に欠落した粒子。 2.核形成 該(100)平板粒子の核は次の方法で製造される。
(1) 低保護コロイド性溶液中で、銀塩溶液とハロゲン塩
溶液(以後、「X- 塩液」と記す)を添加し、核形成す
る。Coagulation により結晶欠陥が形成されるとする考
えがある。(2) 格子定数不整合による平板核形成法。例
えば、a)ハロゲン組成ギャップ面を1つ以上、好まし
くは1〜4つ、より好ましくは2〜3つ有する核を形成
する。具体的には(AgX1 |AgX2 )において、X
1 とX2 のハロゲン組成をCl- 含率、またはBr-
率、またはI- 含率で10〜100モル%、好ましくは
30〜100モル%、より好ましくは60〜100モル
%だけ異なる。ここで(AgX1 |AgX2 )はAgX
1 核を形成した後、AgX2 層を該核の表面上に積層さ
せた態様を指す。より具体的には核形成時に添加するX
- 塩液のハロゲン組成を該ギャップ面の所で前記規定に
従って不連続に変化させる事を指す。該ギャップはAg
1 核に、X2 - 塩溶液を添加し、ハロゲン conversio
n を生じさせる事によっても形成する事ができる。
【0025】該ギャップ面を2つ有する平板核は(Ag
1 |AgX2 |AgX3 )と記す事ができる。その
他、b)該格子不整による欠陥形成を促進する為に、該
ギャップの隣接相間におけるイオウ、セレン、テルル、
SCN- 、SeCN- 、TeCN- 、CN- 、(Ag+
以外の金属イオン)、および該金属イオンの錯体(リガ
ンドとしてはX- リガンド、CN- リガンド、イソシア
ノ、ニトロシル、チオニトロシル、アミン、ヒドロキシ
ルを挙げることができる)の少なくとも1種以上の含有
率差を好ましくは0.1〜100モル%差、より好まし
くは1〜100モル%差、更に好ましくは10〜100
モル%差にした態様を挙げることができる。Ag+ 以外
の金属イオンの代表例として周期律表の第8属金属イオ
ン、Cu、Zn、Cd、In、Sn、Au、Hg、P
b、Cr、Mnの各金属イオンを挙げることができる。
【0026】c)その他、該不純物イオン含率ギャップ
のみによって、該欠陥を形成する態様を挙げる事ができ
る。これらの不純物イオンの具体的化合物例、AgX相
へのドープ方法の詳細に関してはResearch Disclosure
,307巻,アイテム307105,11月,198
9年、米国特許5166045、同4933272、同
5164292、同5132203、同426992
7、同4847191、同4933272、同4981
781、同5024931、特開平4−305644、
同4−321024、同1−183647、同2−20
853、同1−285941、同3−118536の記
載を参考にすることができる。
【0027】本発明では前記2−(2)、好ましくは2
−(2)のa)の核形成法を好ましく用いる事ができ、
該ハロゲンコンバージョン法をより好ましく用いる事が
できる。該平板粒子が形成されるのは平板粒子のエッジ
方向に成長を促進する欠陥が存在する為である。該欠陥
を本発明ではらせん転位欠陥と記す。1つの粒子中に該
欠陥が多数形成されると、三次元方向への成長促進が起
こり、生成する粒子は厚くなる。該欠陥形成確率をゼロ
から序々に上げていくと、まず辺比率1〜2の平板粒子
が形成される事から、該粒子は〔110〕方向またはそ
の−25°〜+25°方向への成長促進ベクトルを有す
るらせん転位欠陥を1本有すると考えられる。該確率を
更に上げていくと、該平板粒子の生成数が増し、更に上
げると、低アスペクト比の粒子の混入比率が増す。これ
は該欠陥が1粒子あたり2本以上入り、厚さ方向に成長
加速ベクトルを有するようになる為と考えられる。従っ
て厚い粒子の混入率が許容される範囲内で該確率を高く
すればよい。
【0028】該ギャップは(AgX1 |AgX2 )組成
で形成する方法の他、(AgX1 |AgX12|Ag
2 )核の形成によって形成してもよい。この場合Ag
12はAg1 1 とAgX2 の間のハロゲン組成を有す
る中間層である。AgX1 とAgX2 のハロゲン組成差
を大きくすると、平板粒子核の数は増すが、厚い粒子の
核数の比率も増す。中間層を入れる事により、平板粒子
核の生成数は増すが、厚い粒子核の生成比率を抑制する
効果がある。この場合、(AgX1 |AgX12)および
(AgX12|AgX2 )のハロゲン組成ギャップ量は
(AgX1 |AgX2)のギャップ量の10〜90%が
好ましく、30〜70%がより好ましい。該中間層の数
は1〜4、好ましくは1つである。該中間層は、前記の
ギャップ面を2つ以上有する態様に対しても、そのギャ
ップ面の1つ以上に対して設ける事ができる。
【0029】3.熟成 核形成で生成した核の内、この熟成過程で非平板粒子核
を個数で好ましくは30〜100%、より好ましくは6
0〜100%を消失させ、平板粒子の投影面積比率を高
める。具体的には反応溶液のAgX溶解度を1.1倍以
上、好ましくは1.5〜30倍に高めて熟成する。該溶
解度を高める方法として次の方法を挙げる事ができる。
(1) 温度を5℃以上、好ましくは10〜60℃だけ高く
する。(2) X- 塩または銀塩を加える。(3) AgX溶剤
を加える。(4) 前記(1) 〜(3) の2つ以上の併用方法。
反応溶液中の(Cl- 濃度/X- 濃度)が0.9〜1.
0の場合、該昇温でまず30%以上の該核を消失させた
後、Cl- 塩を加え、AgX溶解度を1.1倍以上、好
ましくは1.3〜10倍に高めて、残りの該核の80〜
100%、好ましくは97〜100%を消失させる事が
より好ましい。消失後、該過剰Cl- 濃度は、AgNO
3 液を添加し、低下させる事もできるし、従来公知の乳
剤脱塩法で脱塩し、低下させる事もできる。AgNO3
液の添加速度は最適の添加速度を選ぶ事ができ、新核発
生しない速度で添加する事が好ましい。
【0030】該ハロゲン組成ギャップ面を形成した核を
熟成し、非平板粒子核を消滅させる場合、その時成長す
る平板粒子に異種ハロゲンイオンが蓄積する。この時、
平板粒子に更にらせん転位等の欠陥が組み込まれ、主平
面と垂直な方向の成長ベクトル成分を有する成長促進欠
陥が組込まれる。その為に、成長と共に平板粒子は更に
厚くなる。これを防止する為には、異種ハロゲンイオン
をホストハロゲンイオンで希釈すればよい。具体例を挙
げると、(内核|外核)が(AgX1 |AgX2 )核の
場合、熟成時に放出される異種イオンX2 を希釈する為
に、Ag+ とX1 - を添加しながら熟成する方法、核の
構造を(AgX1 |AgX2 |AgX1)とする方法、
粒子直径0.01〜0.15μmのX1 組成比率の高い
微粒子を添加する方法、その2つ以上の併用法、を挙げ
ることができる。該希釈により、非平板粒子核を消滅さ
せる時に新たに形成されるらせん転位欠陥数が、既に存
在する欠陥数の0〜0.3が好ましく、0〜0.2がよ
り好ましい。
【0031】A−2.(111)平板粒子 1.粒子構造 (111)平板粒子の主平面の形状で分類すると、次の
2つを挙げる事ができる。(1) 主平面の周囲形状が実質
的に六角形である六角平板粒子。ここで実質的にとは該
六角形の最大隣接辺比率〔1つの六角形内の(最長辺の
長さ/最短辺の長さ)〕が1〜2、好ましくは1〜1.
5、より好ましくは1〜1.2である態様を指す。(2)
主平面の周囲形状が実質的に三角形である三角平板粒
子。ここで実質的にとは該隣接辺比率が2より大である
態様を指す。(3) 前記(1) 、(2) の粒子の角が丸くなっ
た態様。該周囲辺の直線部の比率(b1 )が0〜0.5
の円形平板粒子と、0.5<b1 ≦1.0の粒子を挙げ
る事ができる。b1 値は該周囲辺の直線部を延長し、形
成される交点間の長さに対する該辺の直線部の長さの割
合を指す。(4) 前記(1) 〜(3) の粒子で〔エッジ面の
{111}面の面積/エッジ面の総面積〕が0〜1.0
の粒子と、〔エッジ面の{100}面の面積/エッジ面
の総面積〕が0〜1.0の粒子。〔エッジ面の{11
1}の面積/エッジ面の{100}面の面積〕が0.0
1〜100の粒子。
【0032】前記6個の辺を有する六角平板粒子および
三角平板粒子の態様において、1つおきの3つの辺の
(最長辺の辺長/最短辺の辺長)=b2 は1〜1.3が
好ましく、1〜1.2がより好ましく、1〜1.1が最
も好ましい。該粒子の投影面積の合計が、全AgX粒子
の投影面積の合計の80%以上、好ましくは90%以
上、より好ましくは97〜100%を占める態様が好ま
しい。主平面に平行な双晶面の枚数は2〜4枚、好まし
くは2〜3枚、より好ましくは2枚である。2枚の粒子
は通常、該六角平板粒子で3枚の粒子は該三角平板粒子
であるが、2枚で三角平板粒子である態様も存在する。
特に0.1μm以下の薄い平板粒子を低過飽和度下で成
長させた場合に出現する。エッジ面には凹入角部と凸入
角部が存在するが、凹入角部の方が原子結合手数が多い
為により速く成長する。薄い平板粒子では(厚さ/双晶
面間隔)が小さい為、(凹入角部の面積≠凸入角部の面
積)である事が多い。
【0033】該粒子を低過飽和成長させた場合、(凹入
角面の面積>凸入角面の面積)の辺がより速く成長する
為と考えられる。平行双晶面を3枚有する粒子では、エ
ッジ部の成長速度が(凹入角を2つ有するエッジ部>凹
入角を1つ有するエッジ部)となる為と考えられる。凹
入角部を2つ有するエッジ部は、(成長活性点数/単位
面積)がより多く、かつ、(凹入角の面積>凸入角の面
積)の関係が成り立つ為である。(平板粒子の厚さ/双
晶面の間隔)または(平板粒子の厚さ/最外双晶面間の
間隔)は1.1以上、好ましくは1.5〜100、より
好ましくは2〜50である。最外双晶面とは、主平面に
最も近い双晶面を指す。本発明では前記六角平板粒子ま
たはその角が丸くなった粒子(0.5<b1 <1.0)
が好ましく、隣接辺比率が1〜1.5がより好ましく、
1〜1.2が更に好ましい。該粒子を以後、「正六角平
板粒子」と呼ぶ。
【0034】2.核形成 核形成時の温度は60℃以下が好ましく、10〜50℃
がより好ましい。分散媒濃度は0.01〜5重量%が好
ましく、0.01〜1重量%がより好ましく、0.03
〜0.6重量%が更に好ましい。X- 塩濃度は10-0.8
〜10-3モル/リットルが好ましく、10-1.2〜10
-2.7モル/リットルがより好ましく、10-1.6〜10
-2.7モル/リットルが更に好ましい。添加するAg+
および/またはX- 液が分散媒を含む態様が好ましく、
該濃度が0.01〜1重量%が好ましく、0.03〜
0.6重量%がより好ましい。分散媒の分子量は300
0〜20万が好ましく、3000〜10万がより好まし
い。反応溶液のpHは1〜11が好ましく、2〜6がよ
り好ましい。分散媒はゼラチンが好ましく、アルカリ処
理ゼラチンがより好ましく、後述の修飾ゼラチンがより
好ましい。次の熟成過程での熟成をより迅速に行なわ
せ、かつ、平板粒子比率をより高める為には、AgX溶
解度の低い条件で微小核を形成する事が好ましい。即ち
低X- 濃度、低温が好ましい。X- 濃度の低下に伴う双
晶面形成確率の低下は分散媒濃度を低下させる事によっ
て補えばよい。また、pHを下げる程、通常、分散媒の
AgX溶解度が低下するので好ましい。核形成時に添加
する銀塩量の30%以上、好ましくは60〜100%、
より好ましくは80〜100%はX- 塩液と同時混合添
加する事が好ましい。
【0035】3.熟成 核形成で生成した核の内、この熟成過程で非平板粒子核
を個数で好ましくは75〜100%、より好ましくは9
0〜100%、更に好ましくは100%を消失させ、平
板粒子の投影面積比率を高める。具体的には反応溶液の
溶解度を1.1倍以上、好ましくは1.5〜30倍に高
めて熟成する。該溶解度を高める方法としては前記A−
1の3項記載の方法を挙げる事ができる。該熟成時の分
散媒の濃度は低い程、またpHは低い程、該熟成はより
迅速に進行する。これは分散媒のAgX粒子に対する吸
着力が弱くなり、平板粒子の成長疎外因子が除かれる
事、および、非平板粒子の溶解が促進される為と解され
る。熟成時の分散媒濃度、分散媒の分子量、反応溶液の
pH、分散媒の種類に関しては前記2の項の記載を参考
にする事ができる。X- 塩濃度は10-0.8〜10-2.5
ル/リットルが好ましく、10-1.2〜10-2モル/リッ
トルがより好ましい。
【0036】B.平板粒子の成長条件 本発明では該成長過程の分散媒溶液中の分散媒の30〜
100重量%、好ましくは60〜100重量%、より好
ましくは75〜98重量%、最も好ましくは80〜96
重量%が(化学修飾された−NH2 基数の%とメチオニ
ン含率の関係が図1のa1 、好ましくはa2 、より好ま
しくはa3 の領域にあるゼラチン)である。該態様を実
現する為の方法として次の方法を挙げる事ができる。
【0037】(1) 核形成、熟成を該修飾ゼラチン以外の
分散媒(以後、「非修飾媒」と記す)を用いて行い、成
長前に該分散媒の10〜99.7重量%を除去し、新た
に該修飾ゼラチンを添加する方法。(2) 核形成を非修飾
媒を用いて行ない、核形成後に該分散媒の10〜99.
5重量%を除去し、新たに該修飾ゼラチンを添加する方
法。(3) 核形成を非修飾媒の低濃度下で行ない、核形成
後に該修飾ゼラチンを添加する方法。(4) 核形成、熟成
を非修飾媒の低濃度下で行ない、熟成後に該修飾ゼラチ
ンを添加する方法。(5) 核形成、熟成を該修飾ゼラチン
の該濃度下で行う方法。核形成後、または熟成後に更に
該修飾ゼラチンを添加する事もできる。(6) 核形成後ま
で、または熟成後までを非修飾ゼラチンの存在下で行な
い、次に後述の修飾剤を用いて該ゼラチンを修飾し、該
修飾ゼラチンの比率を高める方法。(7) 核形成後まで、
または熟成後までを非修飾ゼラチンの存在下で行ない、
次に非修飾ゼラチンを添加し、均一化混合した後に後述
の修飾剤を用いて該ゼラチンを修飾し、該修飾ゼラチン
の比率を高める方法。
【0038】該分散媒の除去方法としては次の方法を挙
げる事ができる。1)AgX乳剤を遠心分離し、上澄み
液を除去する方法。2)限外濾過膜を用いて、限外濾過
法で除去する方法。3)凝集沈降剤を加え、沈降水洗す
る方法、または遠心分離法と併用する方法。該分散媒の
除去率は30〜99.5重量%が好ましく、60〜99
%が更に好ましく、90〜99%が最も好ましい。前記
(1) 〜(4) 、(6) 、(7) の方法をより好ましく用いる事
ができる。(3) 、(4) の低濃度は、0.01〜1重量
%、好ましくは0.03〜0.6重量%、より好ましく
は0.03〜0.3重量%を指す。また、後で添加する
修飾ゼラチンの添加量は、本発明の態様が達成されるに
必要な量である。
【0039】平板粒子を厚くせず、かつ、サイズ分布を
広げずに成長させる為には分散媒のAgX粒子に対する
吸着性を精密に制御する必要がある。ゼラチン水溶液に
22 を添加し、ゼラチンを酸化した場合、H2 2
の添加量と共に、ゼラチンの(メチオニンスルホキシド
基数/メチオニン基数)=C1 が増加する。C1 の増加
と共にゼラチンのAgX粒子への吸着力は低下する。該
1 値の異なる種々のゼラチンを用い、その水溶液中で
(111)平板粒子を同一条件で成長させた場合、得ら
れる平板粒子はC1 値の増加と共により薄くなるが、同
時によりサイズ分布は広がる。この現象は次のように理
解する事ができる。
【0040】該酸化により、リジン基、アスパラギン酸
基、グルタミン酸基は全く変化を受けていない為、この
変化はC1 値の変化に帰せられる。即ち、メチオニン基
の強い吸着がなくなる為に平板粒子のエッジ面の成長律
速は、メチオニン基の脱着律速からエッジ面の反応律速
へと変る。(111)平板粒子の成長活性場所はエッジ
の凹入角部である為、1つの平板粒子で凹入角部上に成
長核が形成される確率は、平板粒子の周囲のエッジ長に
比例する。該エッジ長(2πd)は直径(d)に比例す
る為、成長核形成確率はdに比例する。成長核形成過程
が成長律速の場合、成長速度は(大粒子>小粒子)とな
り、成長と共にサイズ分布は広がる。
【0041】しかし、該酸化ゼラチンにメチオニンを1
00(μmol /gゼラチン)だけ添加して平板粒子を成
長させても該薄平板粒子が形成される。従ってゼラチン
中のメチオニン基のみが単独で強い吸着力を保持してい
るのではない。ゼラチンのアミノ基を無水フタル酸でフ
タル化し、種々のフタル化率のゼラチンを調製する。次
に、該分散媒中で同一の種晶平板粒子を同一条件で成長
させた場合、フタル化率の増加と共に、生成する平板粒
子は薄くなるが、サイズ分布はあまり広がらない。従っ
て、薄くてサイズ分布の揃った平板粒子を調製する為に
は、ゼラチンのメチオニン基の含率とアミノ基の含率の
最適の組合せを選ぶ事が必要である。この最適値の選択
は本発明により初めてなされた。1−フェニル−5−メ
ルカプトテトラゾールはAgX粒子に強く吸着するが、
メルカプト基単独、またはテトラゾール基単独ではそれ
程強い吸着を示さない。前記現象はこれと同様に考える
事ができる。即ち、ゼラチンのAgX粒子に対する強い
吸着はゼラチン分子中のメチオニン基と−NH2 基の協
奏効果により生じていると考えられる。 また、前記酸
化ゼラチンで成長させた場合、六角形の形状の歪んだ平
板粒子が形成されるが、図1のa1 の領域、好ましくは
2 の領域のゼラチンを用いた場合は、正六角平板粒子
が形成される。
【0042】分散媒のAgX粒子に対する吸着力を制御
するもう一つの大きな因子は温度である。同じ分散媒で
あっても、温度を低くする程、吸着基が脱着する頻度が
減少し、粒子成長はより脱着律速成長となる。この場
合、平板粒子のすべての表面はより等速成長に近づく。
従って温度を高くする程、該脱着律速が除去され、エッ
ジの選択成長性が高められ、より高アスペクト比の平板
粒子が得られる。同じ平板粒子を種々の分散媒を用いて
30〜80℃の種々の温度で成長させた場合、得られる
平板粒子の該アスペクト比変化は、メチオニン含率が高
く、かつ、自由アミノ基含率の高いゼラチンの方が、大
きくなる。本発明の態様では、該温度変化が小さく、広
い温度範囲において高アスペクト比で単分散の平板粒子
が得られる。また、AgX粒子への適度な吸着力が保た
れる為にかぶりの発生が抑えられ、(感度/かぶり)比
の高い粒子が得られる。成長温度は30℃以上が好まし
く、40〜90℃がより好ましい。最も好ましい温度を
選んで用いる事ができる。分散媒のAgX粒子に対する
吸着力を制御するもう1つの大きな因子はpHである。
メチオニン含率がゼロの酸化処理ゼラチンを用い、種々
のpHの分散媒溶液を調製する。同じ(111)平板種
晶をそれぞれの溶液に入れ、成長させた場合、pHの上
昇と共に厚い平板粒子の混入比率が増す。pH8以上、
特にpH9以上で顕著になる。この時、メチオニンスル
ホキシドは変化しない事から、メチオニンだけが厚板粒
子の生成原因ではない事を示している。これに対し、本
発明の修飾ゼラチンを用いた場合は、該pH依存性が小
さく、pH9〜10においても厚板粒子は混入しない。
即ち、成長pHが6〜11、好ましくは6〜10でより
利点が大きくなる。一方、(100)平板粒子の場合
は、熟成、成長条件をより高pHにする程、薄い平板粒
子が得られる。それらの関係と理由は表1にまとめた。
ここでGel.はゼラチンを指す。
【0043】
【表1】
【0044】これらの平板粒子の成長は目的に応じて最
も好ましい過飽和度を選んで成長させる事が好ましい。
臨界過飽和度を100、溶質の添加なしの時の過飽和度
を0とした場合、5〜90が好ましく、10〜80がよ
り好ましい。ここで臨界過飽和度とは、AgNO3 水溶
液とX- 塩水溶液を同時混合添加した場合、それ以上の
添加速度で添加すると新核が発生する状態の時の過飽和
度を指す。過飽和度を高くすると、得られる平板粒子は
より単分散化するが、厚さ方向へも成長し、低アスペク
ト比化する。過飽和度を低くするとより高アスペクト比
化するが、サイズ分布が広くなる。成長時の該分散媒の
濃度は0.1〜7重量%が好ましく、0.3〜3重量%
がより好ましい。分子量は3000〜20万、好ましく
は6000〜12万である。溶液のpHは該修飾ゼラチ
ンの等電点以上のpHが好ましく、(等電点pH+0.
2)〜pH11がより好ましく、(等電点pH+0.
4)〜pH10が更に好ましい。同一条件で平板粒子を
成長させた時、pHは低下する程、ゼラチン濃度は低下
する程、該分子量は低下する程、生成する平板粒子は高
アスペクト比化する。目的に応じて最も好ましい組合せ
を選んで用いる事ができる。
【0045】(111)平板粒子の熟成時、成長時の反
応溶液中のX- の濃度は八面体粒子生成領域が好まし
い。ここで八面体粒子生成領域とは、該X- 濃度条件に
保ちながらAg+ とX- を同時混合添加し、AgX粒子
を形成した場合、粒子表面の70〜100%、好ましく
は90〜100%が{111}面の粒子が生成する濃度
範囲を指す。通常、該X- 濃度は10-0.5〜10-2.5
ル/リットルが好ましく、10-1〜10-2モル/リット
ルがより好ましい。該特徴は(111)平板粒子の他、
(100)平板粒子においても見られる。従って前記
(100)平板粒子に対しても好ましく用いる事ができ
る。(100)平板粒子の核形成、熟成、成長時の反応
溶液中のX- 濃度は立方体粒子生成領域が好ましい。こ
こで立方体粒子生成領域とは、該X- 濃度条件に保ちな
がらAg+ とX- を同時混合添加し、AgX粒子を形成
した場合、粒子表面の70〜100%、好ましくは90
〜100%が{100}面の粒子が生成する濃度範囲を
指す。通常、該X- 、およびAg+ 濃度は10-1.5モル
/リットル以下が好ましく、10-2モル/リットル以下
がより好ましい。前記平板粒子のその他の詳細に関して
は、前記「従来の技術」の項に記載した文献の記載およ
び特開平3−288143号、同3−212639号、
同3−116133号、同2−301742号、同2−
34号、同6−59360号、特願平6−47991
号、同5−248218号、同5−264059号、同
5−96250号、後述の文献の記載を参考にする事が
できる。
【0046】C.修飾ゼラチン ゼラチン中の−NH2 基としてはゼラチン分子の末端基
のアミノ基、リジン基、ヒドロキシリジン基、ヒスチジ
ン基、アルギニン基のアミノ基の他、アルギニン基がオ
ルニチン基に変換されていれば、そのアミノ基を挙げる
事ができる。更にアデニン、グアニン基等の不純物基も
挙げる事ができる。−NH2 基の化学修飾とはゼラチン
に反応試薬を添加し、該アミノ基と反応させ、共有結合
を形成または脱アミノ化する事である。即ち、一級アミ
ノ基(−NH2 )を2級アミノ基(−NH−)、3級ア
ミノ基、または脱アミノ化体に変化させる事を指す。
【0047】具体的には例えば酸無水物(マレイン酸無
水物、o−フタル酸無水物、コハク酸無水物、isatoic
anhydride 、安息香酸無水物等)、酸ハロゲン化物(R
−COX、R−SO2 X、R−O−COX、Phenyl−C
OCl等)、アルデヒド基を有する化合物(R−CHO
等)、エポキシ基を有する化合物、脱アミノ基剤(HN
2 、deaminase 等)、活性エステル化合物(スルホン
酸エステル、p−ニトロフェニルアセテート、イソプロ
ペニルアセテート、メチルo−クロロベンゾエート、p
−ニトロフェニルベンゾエート等)、イソシアネート化
合物 (Aryl isocyanate 等) 、活性ハロゲン化合物、例
えば〔Aryl halide (benzyl bromide, biphenyl-halome
thanes, benzoyl halomethane, phenyl benzoylhalo-me
thane, 1-Fluoro-2,4-dinitro-benzene), β-ketohalid
e, α-haloaliphatic acid, β-halonitrile, (s-tri
azine, pyrimidine, pyridazine, pyrazine, pyridazon
e,quinoxaline, quinazoline, phthalazine, benzoxazo
le, benzothiazole, benzoimidazole) のクロル誘導
体〕、カルバモイル化剤(cyanate, nitrourea 等) 、ア
クリル型活性2重結合基を有する化合物(maleimide, ac
rylamine, acrylamide, acrylonitrile, methylmethaac
rylate, vinyl sulphone, vinylsulphonate ester, sul
phonamide, styrene and vinylpyridine, allylamine,
butadiene, isoprene, chloroprene等) 、sultone 類(b
utane sultone, propane sultone), Guanidine化剤(o-m
ethylisourea等) 、carboxylazide 等を加え、反応させ
る事により達成する事ができる。
【0048】この場合、ゼラチンの−OH基や−COO
H基とも反応し、共有結合を形成する試薬よりは主とし
てゼラチンの−NH2 基と反応する試薬がより好まし
い。主としては、60%以上、好ましくは80〜100
%、より好ましくは95〜100%を指す。更には該反
応生成物が、(エーテル基やケトン基の酸素がカルコゲ
ン原子に置き代った基、例えば−S−、チオン基)を実
質的に含まない態様がより好ましい。ここで実質的に含
まないとは該化学修飾された基数の好ましくは10%以
下、より好ましくは0〜3%を指す。従って前記の内、
酸無水物、sultone 類、活性2重結合基を有する化合
物、カルバモイル化剤、活性ハロゲン化合物、イソシア
ネート化合物、活性エステル化合物、アルデヒドを有す
る化合物、脱アミノ基剤がより好ましい。該化学修飾に
より、ゼラチン分子間で架橋が実質的にできない態様が
より好ましい。ここで実質的にできないとは、該化学修
飾された基の10%以下が好ましく、0〜3%が更に好
ましい。
【0049】該化学修飾剤およびゼラチンの該化学修飾
法のその他の詳細に関しては後述の文献、特開平4−2
26449、特開昭50−3329号、米国特許第25
25753号、同2614928号、同2614929
号、同2763639号、同2594293号、同31
32945号、安孫子義弘編,にかわとゼラチン,第II
章,日本にかわ・ゼラチン工業組合(1987年)、Wa
rdら編, The Scienceand Technology of Gelatin, 第
7章,Academic Press(1977)の記載を参考にする
事ができる。該修飾ゼラチンの−NH2 基の化学修飾%
は次のようにして求める事ができる。該修飾を行なって
いないゼラチンと該修飾を行なったゼラチンを準備し、
両者の−NH2 基数をe1 、e2 として求める。化学修
飾%は100×(e1 −e2)/e1 より求める事がで
きる。該e1 とe2 の求め方は、−NH2 基に基づく赤
外吸収強度や、該プロトンのNMR信号強度、呈色反応
および蛍光反応を利用する方法を挙げる事ができ、詳細
は分析化学便覧、有機編−2、丸善(1991)の記載
を参考にする事ができる。その他、ゼラチンの滴定曲線
の変化、formol滴定法等の定量法を挙げる事ができ、詳
細は The Science and Technology of Gelatin, 第15
章,Academic Press(1977年)の記載を参考にする
事ができる。
【0050】その他、グルタルアルデヒドとBritton-Ro
binson 高pH緩衝液の混合物を指定濃度のゼラチン溶
液に添加し、発色させ、450nm近傍の分光吸収強度
を測定し、比色定量する事により求める方法〔Photogra
phic Gelatin II, p. 297〜315,Academic Press
(1976)の記載を参考にする事ができる〕を挙げる
事ができる。該ゼラチンのメチオニン含率は、ゼラチン
をアルカリ加水分解法で完全にアミノ酸に分解し、アミ
ノ酸分析計で分析し、グリシン量に対するメチオニン量
を求める事により求める事ができる。詳細は特願平6−
102485の記載を参考にする事ができる。該ゼラチ
ンのメチオニン含率は、ゼラチン水溶液に酸化剤を添加
し、メチオニンの−S−基をスルフォキシド、スルフォ
ネート、スルフォンの1つ以上に酸化する事により調節
する事ができる。好ましくはスルフォキシドに酸化す
る。即ち、本発明ではメチオニンの該酸化体はメチオニ
ンと見なされない。該酸化のレベルは主として添加する
酸化剤の種類とその添加量により調節する事ができる。
該水溶液の温度は10〜70℃が好ましく、25〜50
℃がより好ましい。pHは2〜9が好ましく、3〜7が
より好ましい。通常、温度、pHを一定に調節したゼラ
チン水溶液中に酸化剤を添加し、均一混合化する。次
に、容器にフタをし、恒温、静置し、好ましくは15分
間〜3日間、より好ましくは1〜24時間、経時する。
酸化剤に関しては特願平6−102485の記載を参考
にする事ができる。通常はH2 2 を好ましく用いる事
ができる。
【0051】該酸化により、ゼラチンの吸光係数(20
0〜500nm波長域)が低下する。従って、種々の酸
化レベルの試薬を作り、該吸光係数とメチオニン含率の
関係を求めておけば、それ以後は、吸光係数の測定によ
り、該ゼラチンのメチオニン含率を簡便に求める事がで
きる。標準的なゼラチンのアミノ酸組成は、The Theory
of The Photographic Process, 第2章,Macmilan(1
977年)に記されており、メチオニンは1分子中に8
分子含まれている。ゼラチンの分子量を96,000と
すると、メチオニン含率は83μmol/g であり、従来の
ゼラチンのメチオニン含率は約80μmol/g 近傍と見な
す事ができる。図1のa1 、a2 領域においてメチオニ
ン含率は60μmol/g 以下が好ましく、50μmol/g 以
下がより好ましく、40μmol/g 以下が更に好ましく、
36μmol/g 以下が最も好ましい。図1のa3 領域にお
いてはメチオニン含率は40μmol/g 以下が好ましい。
【0052】D.PAO重合体 ポリアルキレンオキサイド重合物(以後、「PAO重合
体」と記す)を核形成前〜成長終了の5分前、好ましく
は10分前までの間に、より好ましくは核形成後〜成長
開始直前までの間に添加する事が好ましい。前記平板粒
子形成、更にはBr- 含率が50〜100モル%の(1
11)平板粒子形成に対して、より好ましく添加する事
ができる。該PAO重合体の詳細に関しては欧州特許0
514742A1、特願平5−118418、同5−1
91814、同5−263128に記載の化合物が好ま
しく、特に特願平5−191814、同5−26312
8記載の態様を好ましく用いる事ができる。下記第1〜
第6態様のPAO重合体の分子量は500〜106 が好
ましく、103 〜105 がより好ましい。下記第1、第
2態様のPAO重合体の該添加量は0.001〜20g
/リットルが好ましく、0.003〜10g/リットル
がより好ましい。下記第3〜第6態様の各重合体の該添
加量は0.01〜20g/リットルが好ましく、0.0
3〜10g/リットルがより好ましい。下記第3〜第6
態様の各重合体の該添加量は0.01〜20g/リット
ルが好ましく、0.03〜10g/リットルがより好ま
しい。粒子成長時のpHは5〜11が好ましく、5〜
9.5がより好ましい。
【0053】AgX粒子への有機エーテル化合物の吸着
力の強さの順は、一般的傾向として−O−<−S−<−
Se−<−Te−、である。酸素エーテル基のAgX粒
子への吸着力は、チオエーテル基のそれに比べて弱い
為、AgX粒子の成長を強く抑制する事がない。また、
そのAgX粒子への吸着はファンデアワールスカに基づ
く為にAgX粒子の{111}面よりも{100}面の
方により選択的に吸着する。それは{111}面に比べ
て{100}面の方がAg+ とX- を有する為に誘起双
極子モーメントが大きい為である。(111)平板粒子
で{100}面が現れ易いのはエッジ面であるからPA
Oは主平面よりもエッジ面に適度の吸着力で吸着する。
そしてエッジ面の成長律速をPAOの脱着律速に変え
る。単位面積あたりのPAOの吸着分子数が等しけれ
ば、大粒子も小粒子も、各単位面積の成長速度は同じで
ある。従って、大粒子も小粒子も、エッジ面が等速で成
長し、成長と共に直径分布の変動係数は小さくなる。
【0054】PAO重合体の該吸着の晶癖依存性は、次
の方法で求める事ができる。等表面積の単分散立方体粒
子乳剤と八面体粒子乳剤を準備し、各々にPAO化合物
を添加し、吸着平衡に達せしめた後、遠心分離し、上澄
み液の分析をする。例えば該PAOの曇点以上の温度の
場合はその分光透過強度の比較により求める事ができ
る。その他、クロマトグラフィー法でPAO成分を分離
し分析する方法(例えばゲル濾過クロマトグラフィー
法)を挙げる事ができる。その他、誘電損失法で該立方
体と八面体粒子のイオン電導度を測定し、該吸着による
イオン伝導度変化量を求める事によっても比較する事が
できる。
【0055】従来のゼラチンのAgX粒子への吸着は通
常、{111}面よりも{100}面に強く起こる。そ
れは主として粒子表面のAg+ との相互作用に基づいて
吸着する為である。この場合、PAO重合体の{10
0}面への吸着は疎外される。しかし、該修飾ゼラチン
の場合、AgX粒子への吸着が弱い為、PAO重合体の
{100}面への選択的吸着が可能となり、前記態様の
好ましい成長特性が得られる。PAO重合体は該吸着で
AgBr粒子のイオン伝導度を増加させる事から、{1
00}面のBr- との相互作用が大きいと考えられる。
また、該PAO重合体とX- との水溶液中の相互作用は
次の方法で求める事ができる。該PAOを含む水溶液中
と、含まない水溶液中にそれぞれX- 選択電極を入れ、
- 塩の添加量と該電極電位(対標準電極)との関係を
求め、比較すればよい。PAO重合体に取り込まれたX
- 量分だけ該電位変化は小さくなる。
【0056】該PAO重合体の第1態様はHPAOであ
り、前記一般式(1)−a)または(1)−b)で表さ
れる。HPEOUの分子量は分子全体の分子量の96.
1〜100%、好ましくは97〜100%を占める態様
(HP1)と4〜96%を占める態様(HP2)を挙げ
る事ができる。(1)式において、R0 はH、または少
なくとも1つの極性基を有する炭素数1〜10の炭化水
素(例えば-CH2OH、-C2H5OH 、-CH2-O-CH3) で、好まし
くはHである。Rは炭素数3以上、10以下のアルキレ
ン基を表し、具体例として -CH(CH3)CH2- 、-CH2CH(C
H3)- 、-CH2CH2CH2- 、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-CH2CH(C
6H5)- を挙げる事ができ、 -CH(CH3)CH2- 、-CH2CH(C
H3)-が特に好ましい。n、mは繰返し単位の平均数を表
し、前記分子量規定を満たす4以上好ましくは6〜1
0,000、より好ましくは10〜2000の値であ
る。
【0057】但し、重合時の環状エーテルの開環位置の
選択性が十分ではないので、前記(1)−d)式で例え
ば−〔CH2CH(CH3)O 〕−と−〔CH(CH3)CH2O 〕−が混入
する事がある。該PAO重合体の第2態様はPEODで
あり、一般式で表すと、前記(2) 式の(a)〜(f)で
表される。ここでLPUはHO−HPEOU−基および
HO−LPAOU−基以外の親油性基を指し、置換また
は無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘ
テロ環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、
アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ア
ルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、ア
リサイクリック基を指し、2価のイオウ、セレン、テル
ルを含まない化合物がより好ましい。LPU′はH、炭
素数1〜20のアルキル基を指し、後述のR2 と同じで
ある。該HPAOの具体的化合物例を(10)式のa)〜
c)に、該PEODの具体的化合物例を(11)式のa)
〜g)に示した。ここで置換基としては Cd H2d+1
- 、 Cd H2d+1CO - を挙げる事ができる。dは1〜1
2の整数を表す。
【0058】
【化7】
【0059】式中、a、bは1〜25の整数を指し、n
1 〜n3 はHPAOおよびPEODの前記分子量規定を
満足する1〜10,000の値である。第1、第2態様
の重合体のその他の詳細に関しては、特願平5−118
418号の記載を参考にする事ができる。該PAO重合
体の第3態様は、前記一般式(3)〔後述の(7)−
a)式と同じである。〕で表されるモノマーの繰返し単
位を有する重合体の少なくとも1種を含有させる態様で
ある。該重合体は後述の他のモノマーとの共重合体でも
よい。その場合、重合体中で(3)式のモノマーが占め
る割合は1〜100重量%、好ましくは10〜90重量
%である。該第4態様は重合体が一般式(3)で表され
るモノマーと一般式(4)〔後述の(7)−c)式と同
じである〕で表されるモノマーの少なくとも2種の1:
100〜100:1、好ましくは5〜100〜100:
5モル比の共重合体である態様である。
【0060】該(3)式と(4)式において、R1 、R
4 は同じでも異なっていてもよく、H、炭素数1〜4の
低級アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−
ブチル)を表し、H、メチル基が特に好ましい。R2
5 は同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜20の
1価の置換基を表し、H、置換または無置換のアルキル
基、置換または無置換のアリール基、アシル基が好まし
く、特にH、メチル基、エチル基、フェニル基、アセチ
ル基が好ましい。n、mは繰返し単位の平均数を表し、
nは4〜600、好ましくは4〜200、mは4〜60
0、好ましくは4〜200である。L、L′は2価の連
結基を表し、具体例として-COO- 、-CONH-、-CONH-(C
H2) C -COO- 、-Ph-CH2O-(Ph: フェニレン基) 、-COOCH
2CH2O-、-CON(CH3)-、を挙げる事ができる。Cは1〜2
0の整数を指す。
【0061】一般式(3)で表されるモノマーの具体例
は次の通り。 (3)-a)-1) CH2=C(CH3)-COO−〔CH2CH(CH3)O 〕n -H n=6 (3)-a)-2) 〃 n=9 (3)-a)-3) 〃 n=12 (3)-a)-4) 〃 n=20 (3)-a)-5) 〃 n=40 (3)-a)-6) H2C=C(CH3)-COO-(CH2CH(CH3)O)9-CH3 (3)-a)-7) H2C=C(CH3)-COO-(CH2CH(CH3)O)9-Ph-CH3 (3)-a)-8) H2C=C(CH3)-COO-(CH2CH(CH3)O)9-(CH2CH2CH2CH2O)9-H (3)-a)-9) H2C=CH-CONH-(CH2CH(CH3)O)9-H (3)-a)-10) H2C=CH-CONH-(CH2)6-COO-(CH2CH(CH3)O)9-H (3)-a)-11) H2C=CH-Ph-CH2O-(CH2CH(CH3)O)9-CH3
【0062】一般式(4)で表されるモノマーの具体例
は次の通り。 (4)-a)-1) CH2=C(CH3)-COO−〔(CH2CH2O) 〕n -CH3 n=4 (4)-a)-2) 〃 n=9 (4)-a)-3) 〃 n=15 (4)-a)-4) 〃 n=23 (4)-a)-5) 〃 n=50
【0063】該共重合体中で (3)式で表されるモノマー
の占める割合は1〜90重量%、好ましくは5〜85重
量%、より好ましくは15〜70重量%である。該共重
合体中で (4)式のモノマーの占める割合は1〜90重量
%、好ましくは3〜70重量%、より好ましくは10〜
50重量%である。(3)式のモノマーおよび/または
(4)式のモノマーと他のモノマーを共重合して用いる事
もできる。該他のモノマーの具体例はアクリル酸エステ
ル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メ
タクリルアミド類、ビニルエステル類、ビニルケトン
類、アリル化合物、オレフィン類、ビニルエーテル類、
N−ビニルアミド類、ビニル異節環化合物、マレイン酸
エステル類、イタコン酸エステル類、フマル酸エステル
類、クロトン酸エステル類である。該他のモノマーの共
重合量は0〜99重量%、好ましくは0〜90重量%、
より好ましくは5〜60重量%である。
【0064】(3)式のモノマーと (4)式のモノマーとそ
の他のモノマーの共重合体の具体例を(12)−1)〜(12)
−5)式に示した。カッコ内は重合体中における各モノ
マーの重量百分率を表す。 (12)-1) (3)-a)-3)/(4)-a)-4)/アクリルアミド共重合体 (5/5/90) (12)-2) 〃 (10/10/80) (12)-3) 〃 (25/25/50) (12)-4) 〃 (35/35/30) (12)-5) (3)-a)-3)/(4)-a)-4) 共重合体 (50/50)
【0065】第3、第4態様のPAO重合体のその他の
詳細に関しては後述の第6態様の記載、特願平5−19
1814号の記載を参考にする事ができる。該PAO重
合体の第5態様は、該分散媒溶液が前記一般式(5)で
表される繰返し単位を1重量%以上含有する重合体の少
なくとも1種と、前記一般式(6)で表される繰返し単
位を1重量%以上含有する重合体をそれぞれ前記濃度で
含有する態様である。該式中、Rは炭素数3以上、10
以下のアルキレン基を表し、具体例として-CH(CH3)CH
2-、-CH2CH(CH3)-、-CH2CH2CH2- 、-(CH2)4-、-(CH2)
5-、-CH2CH(C6H5)- を挙げる事ができ、-CH(CH3)CH2-、
-CH2CH(CH3)-が特に好ましい。n、mは繰返し単位の平
均数を表し、前記分子量規定を満たす4以上好ましくは
6〜10,000、より好ましくは10〜2000の値
である。
【0066】該PAO重合体の第6態様は、第5態様に
対し、次の限定が加わった態様である。 (5)式で表され
る重合体が、(7) −a)式で表されるモノマーのビニル
重合体、および(7) −b)式で表されるポリウレタンを
含む重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体であ
り、 (6)式で表される重合体が(7) −c)式で表される
モノマーのビニル重合体、(7) −d)式で表されるポリ
ウレタンを含む重合体、および置換または未置換のポリ
エチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の重合
体である態様。該式中、n、mは4以上、好ましくは4
〜600、より好ましくは4〜80の値をとりうる。
R、R1 、R2 、R4 、R5 、L、L′は前記と同じで
ある。R11、R12、R13、R14は2価の連結基を表し、
炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のフェ
ニレン基、または炭素数7〜20のアラルキレン基を表
す。x、y、z、x′、y′、z′は各成分の重量百分
率を表し、x、x′は1〜70、好ましくは5〜40、
y、y′は1〜70、好ましくは3〜50、z、z′は
20〜70、好ましくは30〜60を表す。ここでx+
y+z=100、x′+y′+z′=100である。−
(R−O)−で表される繰り返し単位は、重合体中で1
種のみが用いられてもよいし、2種以上であってもよ
い。また−(R−O)−あるいは -(CH2CH2O)-の繰返し
単位の平均数(分子量)の異なる2種以上がそれぞれ用
いられていてもよい。
【0067】(5)式で表される重合体としては (5)式の
繰返し単位が含まれていれば好ましく用いる事ができる
が、一般式(7) −a)で表されるモノマーのビニル重合
体または、一般式(7) −b)で表されるポリウレタンを
含む重合体をより好ましく用いる事ができ、前者の該ビ
ニル重合体を更に好ましく用いる事ができる。(7) −
a)式で表されるモノマーの具体例を(7)-a)-1) 〜(7)-
a)-5) 式〔(3)−a)-1) 〜(3)-a)-5) 式と同じである〕
に示した。
【0068】
【化8】
【0069】該ビニル重合体において、(7) −a)で表
されるモノマー単位の占める割合は1〜100重量%、
好ましくは、10〜90重量%、より好ましくは30〜
70重量%である。(7) −a)式のモノマーの該ビニル
重合体の具体例を(8)-a)-1)〜(8)-a)-3) 式に、(7) −
b)式の該ポリウレタンの具体例を(8)-b)-1) 〜(8)-b)
-2) 式に示した。カッコ内は重量百分率比を表す。 (8)-a)-1) :(7)-a)-3)/アクリルアミド共重合体 (25/7
5) (8)-a)-2) :(7)-a)-3)/アクリル酸/アクリルアミド共
重合体 (50/30/20) (8)-a)-3) :(7)-a)-3)/アクリル酸共重合体 (70/30) (8)-b)-1) :イソホロンジイソシアネート/2,2−ビ
ス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸ソーダ/ポリプロ
ピレンオキシド(分子量400)/ポリプロピレンオキ
シド(分子量1000) (43.1/21.5/15.7/19.7)。 (8)-b)-2) :トルエンジイソシアネート/2,2−ビス
(ヒドロキシメチル)ブタン酸ソーダ/ポリプロピレン
オキシド(分子量1000)(29.3/20.1/50.6) 。 該ポリウレタンは基本的にジオール化合物とジイソシア
ネート化合物の付加により合成される。
【0070】(6) 式で表される重合体としては(6) 式の
繰返し単位が含まれていれば好ましく用いる事ができる
が、一般式(7) −c)で表されるモノマーの単独重合
体、もしくは共重合体、あるいはポリエチレングリコー
ル、置換ポリエチレングリコール、(7) −d)式で表さ
れるポリウレタンを好ましく用いる事ができ、(7)-c)式
のモノマーの該単独重合体をより好ましく用いる事がで
きる。
【0071】(7) −c)式のモノマーは他のエチレン性
不飽和モノマーと共重合してもよい。その場合、該共重
合体において、(7) −c)式のモノマーが占める割合は
1〜100重量%、好ましくは10〜80重量%、より
好ましくは30〜70重量%である。(7) −c)式で表
されるモノマーの具体例は次の通り〔(4)-a)-1) 〜(4)-
a)-5) と同じである。〕。 CH2=CH(CH3)-COO-(CH2CH2O) n -CH3 (7)-c)-1) n=4 (7)-c)-2) n=9 (7)-c)-3) n=15 (7)-c)-4) n=23 (7)-c)-5) n=50 (6) 式で表される繰り返し単位を有する重合体としては
その他、ポリエチレングリコール、炭素数1〜30の置
換基を有する置換ポリエチレングリコール、ポリウレタ
ンを挙げる事ができる。(7) −d)式で表されるポリウ
レタン重合体中でポリエチレンオキシドが占める割合は
1〜70重量%、好ましくは5〜40重量%である。
【0072】次に(7) −c)式で表されるモノマーの重
合体の具体例を(8) −c)式に、(7) −d)式の重合体
例を(8) −d)式に示す。 (8)-c)-1) (7)-(c)-3)/アクリルアミド共重合体 (10/90) (8)-c)-2) 〃 (25/75) (8)-c)-3) 〃 (50/50) (8)-c)-4) (7)-(c)-3)単独共重合体 (8)-d)-1) トルエンジイソシアネート/2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブ タン酸ソーダ/ポリエチレングリコール(分子量1000) (29.3/20.1/50.6) (8)-d)-2) 4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート/2,2−ビス(ヒ ドロキシメチル)プロピオン酸ソーダ/ポリエチレングリコール(分子量 400) (45.3/11.3/43.4)
【0073】第5、第6態様のその他の詳細に関しては
特願平5−263128号の記載を参考にする事ができ
る。本発明では第1態様のHP1、第2〜第6態様を好
ましく用いる事ができ、第2〜第6態様をより好ましく
用いる事ができ、第3〜6態様を更に好ましく用いる事
ができる。更には第5、第6態様がもっとも好ましい。
前記PAO重合体のその他の詳細に関しては Davidsohn
ら、Synthetic Detergents, John Wiley & Sons, New Y
ork (1987)、三沢忠則編, 水溶性高分子,化学工
業社(1990)、堀口博著,新界面活性剤,三共出版
(1975)、藤本武彦著,新界面活性剤入門,三洋化
成工業(1976)、日本化学会編,化学便覧,第4−
6節,丸善(1984)、吉田時行ら著,界面活性剤ハ
ンドブック,工学図書、および後述の文献の記載を参考
にする事ができる。AgX粒子のハロゲン組成や成長条
件(温度、pH、pAg等)により、(5)式で表される
重合体と(6) 式で表される重合体の最適添加量比が変化
する。しかし、第5、第6態様の場合、両重合物を準備
しておけば、その添加量比を変える事により、最適条件
を選ぶ事ができる。しかし、第4態様の場合、(3) 式の
モノマーと(4) 式のモノマーの重合比を種々変化させた
重合物を準備しなければならず、きめ細かく対応する事
が困難である。また、少量多品種化し、コストアップに
なる。従って、この点では第4態様より、第5、第6態
様の方がより好ましい。
【0074】D.Ag+ とX- の供給方法 成長過程でのAg+ とX- の供給方法は、1)可溶性銀
塩を溶解させた銀塩溶液と可溶性ハロゲン塩を溶解させ
たハロゲン塩溶液(以後「X- 塩液」と記す)を供給す
るイオン溶液添加法、2)予めAgX微粒子乳剤を形成
し、該微粒子乳剤を供給する方法、3)スプラッシュ添
加方法、4)前記両者の併用方法、をあげることができ
る。可溶性銀塩、可溶性ハロゲン塩としては室温の水に
対する溶解度が1重量%以上、好ましくは10重量%以
上の塩をあげることができ、日本化学会編,化学便覧,
第8章,丸善(1993年)の記載を参考にすることが
できる。通常はAgNO3 と、Cl- 、Br- 、I-
アルカリ金属塩、アンモニウム塩を好ましく用いること
ができる。AgX微粒子としては粒子の直径(粒子の投
影面積と等しい面積を有する円の直径)が0.15μm
以下が好ましく、0.01〜0.1μmがより好まし
く、0.02〜0.06μmが更に好ましい。ハロゲン
組成はAgCl、AgBr、AgIおよびその2種以上
の混晶をあげることができる。
【0075】該サイズ分布は変動係数で0〜0.4が好
ましく、0〜0.2がより好ましく、0〜0.1が更に
好ましい。該微粒子は2重以上の双晶面を実質的に有し
ないことが好ましく、1重双晶粒子をも実質的に有しな
いことがより好ましい。更にはらせん転位欠陥をも実質
的に有しないことが好ましい。ここで実質的に有しない
とは個数で3%以下が好ましく、1%以下がより好まし
く、0〜0.1%が更に好ましい。該微粒子は連続的に
添加する事もできるし、断続的に添加する事もできる。
また、供給する該微粒子のハロゲン組成は供給時間に対
して連続的に変化させる事もできるし、断続的に変化さ
せることもできる。該微粒子乳剤のpHは1〜12、p
Xは0.5〜6の最も好ましい組合せを選ぶことができ
る。
【0076】該微粒子を形成する場合、AgX粒子に強
く吸着する分散媒の方が、前記規定の微粒子の形成を可
能にする。一方、該微粒子を供給して平板粒子を成長さ
せる場合、分散媒とAgX粒子の結合は弱い方がよい。
それは該微粒子の溶解を促進し、平板粒子の成長を促進
する為である。従って、該AgX微粒子を分散媒溶液中
で形成した後、該処理をし、同一条件下における該分散
媒の単位重量あたりのAg+ との錯体形成能を10%以
上、好ましくは30〜99%以上、より好ましくは60
〜95%、更に好ましくは80〜95%だけ低下させる
ことが好ましい。ここで該処理とはH2 2 等の酸化剤
を添加し、分散媒を酸化する事および/または該修飾剤
を添加し、該アミノ基を該化学修飾する事を指す。該処
理の詳細、および、該微粒子添加法のその他の詳細に関
しては特願平6−102485の記載を参考にする事が
できる。
【0077】核形成、熟成、成長時の該Ag+ とX-
供給装置および該粒子形成装置としては従来公知のあら
ゆる装置を用いることができる。添加孔が分散媒溶液中
に設置され、(添加孔数/1添加液)が2個以上、好ま
しくは4〜1015個の多孔添加系、該添加孔がゴム弾性
体膜ででき、添加時には孔が開となり、添加停止時には
孔が閉となる態様を好ましく用いる事ができる。前記微
粒子添加法および従来の装置の詳細に関しては後述の文
献、および特開平3−21339、同1−18341
7、同4−34544、同4−193336、同4−3
30427、同3−155539、同3−20095
2、同3−246534、同4−283741、同4−
184326〜184330、同5−11377、同5
−45757、同5−61134、同5−33735
0、同6−11779、米国特許第5254454、特
願平4−240283、同4−302605、同5−2
5314の記載を参考にする事ができる。
【0078】E.AgX乳剤の製造工程 AgX乳剤の製造工程は従来は通常、AgX粒子形成→
乳剤水洗→化学増感、分光増感、で行なわれている。本
発明では、この製造工程以外に、目的に応じて、化学増
感後、および/または分光増感後に乳剤の脱塩工程を入
れることができる。この場合、化学増感時のAgX乳剤
条件、分光増感時のAgX乳剤条件を、塗布時のAgX
乳剤条件とは異なる条件に選ぶことができ、それぞれの
工程に最も適した条件を選ぶことができるという利点が
ある。化学増感と分光増感は同時に行なうこともでき、
いずれか一方を先に行なうこともできる。該乳剤を調製
した後、従来法に従って乳剤を水洗し、脱塩する事がで
きる。該脱塩法としては、1)ヌーデル水洗法、2)凝
集剤を加え、乳剤のpHを凝集pHに調節して乳剤を凝
集させ、沈降させ、上澄み液を除去する方法、−NH2
基および/またはカルボキシル基、好ましくは−NH2
基を化学修飾したゼラチンを含む場合は、凝集剤なし、
またはより少ない添加量で凝集、沈降させる事ができ
る。3)限外濾過膜を用いてAgX乳剤中の水溶液を除
去する方法、4)遠心沈降法によりAgX粒子を沈降さ
せ、上澄み液を除去する方法、5)遠心濾過法、6)電
気透析法、を挙げる事ができる。それらの詳細に関して
は後述の文献、特公昭62−27008号、特開昭62
−113137号、特開平3−200952号、三沢
編,増補・遠心分離,化学工業社(1985年)の記載
を参考にする事ができる。本発明の乳剤の場合、該遠心
濾過法を用い、分散媒の10〜99.9%を除去し、新
しい分散媒を添加し、分散媒を置換する方法も好ましく
用いる事ができる。
【0079】F.化学増感 本発明のAgX乳剤粒子は好ましくはSx増感され、分
光増感色素を吸着しているが、ここでSxとはイオウ、
セレン、テルルを指す。Sx増感剤としては従来公知の
Sx増感剤を用いることができ、具体例としてはチオ尿
素類、ローダニン類、オキサゾリジン類、ポリスルフィ
ド類、セレノ尿素類、ホスフィンセレニド類、セレノア
ミド類、チオ硫酸塩をあげることができ、詳細は後述の
文献の記載を参考にすることができる。本発明のAgX
乳剤のAgX粒子は更に金増感されていることが好まし
い。金増感剤としては従来公知の金増感剤を用いること
ができ、例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、
カリウムまたはナトリウムオーリチオシアネート(塩化
金酸:SCN- =1:1〜1:100モル比)、臭化金
酸、ヨウ化金酸、硫化金、金セレナイド等をあげること
ができ、詳細は後述の文献の記載を参考にすることがで
きる。なお、(金増感剤の添加モル数/Sx増感剤の添
加モル数)の比は4〜0.2が好ましく、2〜0.3が
より好ましく、1.5〜0.4が更に好ましい。AgX
乳剤への添加量はそれぞれ、10-2〜10-7、好ましく
は10-3〜10-7モル/モルAgXの中から最適量を選
ぶ事が好ましい。
【0080】G.その他 核形成、熟成時の分散媒、また成長時に併存させる分散
媒としては従来公知の水溶性分散媒の中から1種以上を
選んで用いる事ができ、ゼラチンを好ましく用いる事が
できる。従来公知の水溶性分散媒に関しては後述の文献
およびResearchDisclosure ,307巻,アイテム30
7105,11月,1989年、特願平6−10248
5、特公昭52−16365、三沢忠則編,水溶性高分
子,化学工業社(1987年),高分子学会編,高分子
新素材,One Point 24,共立出版(1990)、長友
信治編,水溶性高分子の応用と市場,シーエムシー社
(1984)、Wardら著, The Science and Technology
of Gelatin, Academic Press, London (1964)、
の記載を参考にする事ができる。分散媒の濃度は0.0
1〜10重量%、好ましくは0.05〜3重量%の内の
好ましい濃度を選んで用いる事ができる。
【0081】このようにして調製した本発明の平板粒子
乳剤は、該成長終了直後の状態は、次の如く表現され
る。少なくとも分散媒とAgX粒子を有するAgX乳剤
において、該AgX粒子の全投影面積の75〜100
%、好ましくは90〜100%、より好ましくは97〜
100%が、厚さが0.02〜0.3μm、好ましくは
0.03〜0.15μm、より好ましくは0.03〜
0.1μm、アスペクト比(直径/厚さ)が2〜50、
好ましくは3〜30の平板粒子であり、直径分布の変動
係数が0〜0.3、好ましくは0〜0.2、より好まし
くは0〜0.1であり、該分散媒の30〜100重量
%、好ましくは60〜100重量%、より好ましくは9
0〜100重量%が(化学修飾された−NH2 基数の%
と、メチオニン含率の関係が図1のa1 の領域、好まし
くはa2 の領域、より好ましくはa3 の領域にあるゼラ
チン)である。メチオニン含率に関しては前記C項の記
載を参考にする事ができる。更には該平板粒子の厚さの
分布の変動係数は0〜0.3が好ましく、0〜0.2が
より好ましく、0〜0.1が更に好ましい。
【0082】このようにしてAgX粒子が形成された
後、該AgX粒子は通常、水洗、化学増感される。更に
は分光増感剤、かぶり防止剤等の写真的に有効な添加剤
が添加され、支持体上に塗布される。化学増感剤、分光
増感用色素およびかぶり防止剤の添加の順序は、それぞ
れの目的に応じて最適の順序を選ぶことができる。該色
素を添加する場合、粒子間で吸着被覆率のバラツキを少
なくして均一に吸着させることが好ましい。この場合、
添加した色素の吸着速度を適度に遅くした方がよい。即
ち、添加した色素がより均一に混合化された後に吸着が
進行した方が、該均一性が高まる。色素がAgX粒子に
吸着する時に要する活性化エネルギーは、吸着した分散
媒分子との交換吸着エネルギーである。それは主として
分散媒分子の脱着の活性化エネルギーである。
【0083】従って、該色素吸着速度を遅くするには、
該脱着の活性化エネルギーのより大きい分散媒を用い、
より低温で該色素を含む溶液をAgX乳剤に添加すれば
よい。この場合、前記粒子形成後から、該色素添加まで
の間に、新たに分散媒を添加することができるし、分散
媒の一部もしくは全部を除去した後に新たに分散媒を加
えることができる。このようにして、分散媒の種類、温
度、pH、pAgを調節する事によって分散媒の吸着強
度を最適に調製した後、AgX乳剤中に設置した中空管
型ゴム弾性体多孔膜を通して、激しく攪拌しながら該色
素溶液を瞬時に添加する。この場合、混合装置としては
(気/液)界面を実質的になくした混合装置を用いる事
が好ましい。激しく混合しても、発泡量が抑えられる。
具体的には添加液の添加量と共に元の容積の1.05
倍以上、好ましくは1.1〜6倍に膨張可能な反応容器
を用い、反応容器内の(気相部の体積/反応容器内の総
容積)を好ましくは0〜0.3、より好ましくは0〜
0.15、更に好ましくは0とする態様、混合溶液表
面に該表面の総面積の好ましくは10%以上、より好ま
しくは25〜99%、更に好ましくは50〜98%を覆
う浮きブタを設置する態様、であり、その他の詳細は特
願平4−302605号明細書の記載を参考にすること
ができる。
【0084】本発明のAgX乳剤の分光増感後の好まし
い態様は次の通りである。 1)少なくとも分光増感色素を吸着したAgX粒子と分
散媒を有するAgX乳剤において、該AgX粒子の投影
面積の75〜100%、好ましくは90〜100%、よ
り好ましくは97〜100%がアスペクト比が2〜5
0、好ましくは4〜30、厚さが0.02〜0.3μ
m、好ましくは0.03〜0.15μm、より好ましく
は0.03〜0.1μmの平板粒子であり、その直径分
布の変動係数が0〜0.3、好ましくは0〜0.2、よ
り好ましくは0〜0.1であり、該色素の吸着被覆率の
変動係数が0〜0.3、好ましくは0〜0.2、より好
ましくは0〜0.1である。本発明のAgX乳剤は少な
くとも金で増感されている事が好ましい。この場合の好
ましい態様は次の通り。2)10-7モル/モルAgX以
上の金増感剤で増感されたAgX粒子と、分散媒を有す
るAgX乳剤において、該AgX粒子の投影面積の75
〜100%、好ましくは90〜100%、より好ましく
は97〜100%が前記規定に従う平板粒子であり、該
平板粒子の金の含有率が該平板粒子の表面積に比例して
おり、該比例定数の粒子間バラツキの変動係数が0〜
0.3、好ましくは0〜0.2、より好ましくは0〜
0.1である。
【0085】本発明のAgX乳剤は少なくともセレンで
増感されている事が好ましい。この場合の好ましい態様
は次の通り。3)10-7モル/モルAgX以上のセレン
増感剤で増感されたAgX粒子と、分散媒を有するAg
X乳剤において、該AgX粒子の投影面積の75〜10
0%、好ましくは90〜100%、より好ましくは97
〜100%が前記規定に従う平板粒子であり、該平板粒
子のセレンの含有率が該平板粒子の表面積に比例してお
り、該比例定数の粒子間バラツキの変動係数が0〜0.
3、好ましくは0〜0.2、より好ましくは0〜0.1
である。
【0086】前記1)〜3)の2つ以上、好ましくは3
つが満足されたAgX乳剤がより好ましい。前記規定に
従った化学増感核を形成する為に、特に次の方法を好ま
しく用いることができる。従来は先ず、AgX乳剤を化
学熟成温度に昇温し、次に化学増感剤をAgX乳剤の液
面上に添加し、化学熟成していた。この場合、化学増感
剤の高濃度液と接したAgX粒子の化学増感反応は急速
に進行し、化学増感核形成が粒子間で不均一になる。A
gX乳剤の温度を下げたり、pAgを上げたり、pHを
下げると、該反応速度は低下する。従って本発明では添
加した化学増感剤が実質的に反応しない条件でAgX乳
剤に化学増感剤を添加し、均一化した後、AgX乳剤を
該反応が進行する条件に変化させ、該反応を進行させ
る。即ち、温度が低温の場合は昇温し、pAgが高い場
合は下げ、pHが低い場合には上げる。セレン増感剤と
金増感剤はAgX乳剤中で全く、均一であるから、すべ
てのAgX粒子上の単位面積部が化学増感剤と反応する
チャンスは全く同じであり、本発明の目的が達せられ
る。前記均一化学増感法、および均一分光増感法に関す
るその他の詳細、該均一性の検証法の詳細に関しては、
特願平5−324502号の記載を参考にする事ができ
る。
【0087】従来、分散媒とAgX粒子を有するAgX
乳剤において、該AgX粒子の全投影面積の90〜10
0%、好ましくは96〜100%、より好ましくは98
〜100%が厚さが0.02〜0.12μm、好ましく
は0.02〜0.1μm、アスペクト比が3〜50、好
ましくは4〜50の六角平板粒子であり、該粒子の直径
分布の変動係数が0〜0.2、好ましくは0〜0.1、
主平面の形状が、最大隣接辺比率1〜1.5、好ましく
は1〜1.2、より好ましくは1〜1.1であるAgX
乳剤は製造された事がない。本発明法を用いて、該乳剤
の製造が初めて可能となった。該乳剤を特に好ましく用
いる事ができる。前記(100)平板粒子を−100℃
以下で透過型電子顕微鏡で観察すると、図2、即ち図3
(a)に示す粒子像が観察される事がある。この粒子
は、Mignot, Journal of Crystal Growth, 23巻,2
07(1974年)に記載された2本のらせん転位を含
有する態様の粒子に見える。しかし、観察された該欠陥
像が、らせん転位線ならば、図3(b)の如くに観察さ
れるはずである。図3(b)に対応する粒子も観察され
る事があるが、多くの場合、該転位線と異方成長の両ベ
クトルは必ずしも一致していない。転位線のベクトルは
エッジの(100)面に対し、90°または65〜75
°である事が多い。該手法で観察される種々の転位線の
観察例を図4に示した。
【0088】該らせん転位欠陥は、その他、次の手法で
観察できる。即ち、該平板粒子を含むAgX乳剤を下塗
りした平坦な支持体上に塗布し、乾燥させる。乾燥によ
り膜厚が約1/10に減少する為、平板粒子は支持体と
平行に配列する。次に該試薬を−50℃以下、好ましく
は−100〜−200℃に冷却し、ミクロトームで裁断
し、0.1μm以下の厚さの切片を作る。該切片を−1
00℃以下に冷却し、その粒子断面の透過型電子顕微鏡
写真像を観察する。試料の同じ領域をそのまま透過した
電子線と、格子原子に回折されて透過した電子線の干渉
像を観察する事により、その格子像を観察する事ができ
る。いくつかの切片の該像を観察すると、らせん転位線
が該切片を通過する点が観察される。該格子像の観察方
法に関しては堀内繁雄著,高分解能電子顕微鏡,共立出
版(1988)、の記載を参考にする事ができる。この
場合、大部分の電子線は試料を透過するので、試料のチ
ャージアップは少ない。
【0089】AgX粒子への分散媒の吸着状態に関して
はAgX粒子のイオン電導度を測定する事によりその一
端を理解する事ができる。誘電損失法でゼラチン中に分
散されたAgX粒子の格子間銀イオンAgiのイオン電
導度を測定した場合、乳剤のpHをpH7→4にHNO
3 液で下げた場合、立方体AgBr粒子のイオン電導度
は上昇する。これはゼラチンの−NH2 基が−NH3 +
となり、粒子表面のAg+ への吸着性が低下する為と考
えられる。一方、八面体AgBr粒子の場合は該pH変
化で、該イオン電導度は上昇する。この場合、ゼラチン
の−NH3 + と粒子表面のBr- 間のクーロン吸着性が
増し、ゼラチンの吸着性が増す。これは粒子表面が殆ん
どBr- で占められている為、該クーロン相互作用力が
吸着力のメインになる為と解される。吸着が強化される
事により始めて、ゼラチン中の−S−等と、Ag+ が相
互作用できるようになる事が考えられる。更には、表面
Br- の負電荷とバランスして存在していたAgi
+ が、該負電荷が中和される事により、クーロン的に不
要になり、該濃度が減少する事が考えられる。
【0090】得られた粒子をホスト粒子とし、該粒子の
エッジおよび/またはコーナーにエピタキシャル粒子を
形成して用いてもよい。また、該粒子をコアとして内部
に転位線を有する粒子を形成してもよい。その他、該粒
子をサブストレートとして、サブストレートと異なるハ
ロゲン組成のAgX層を積層させ、種々の既知のあらゆ
る粒子構造の粒子を作ることもできる。これらに関して
は後述の文献の記載を参考にすることができる。また、
得られた乳剤粒子に対し、通常、化学増感核が付与され
る。
【0091】この場合、該化学増感核の生成場所と数/
cm2 が制御されていることが好ましい。これに関しては
特開平2−838号、同2−146033号、同1−2
01651号、同3−121445号、特開昭64−7
4540号、特願平3−73266号、同3−1407
12号、同3−115872号の記載を参考にすること
ができる。
【0092】また、該平板粒子をコアとして、浅内潜乳
剤を形成して用いてもよい。また、コア/シェル型粒子
を形成することもできる。これについては特開昭59−
133542号、同63−151618号、米国特許第
3,206,313号、同3,317,322号、同
3,761,276号、同4,269,927号、同
3,267,778号の記載を参考にすることができ
る。本発明の方法で製造したAgX乳剤粒子を他の1種
以上のAgX乳剤とブレンドして用いることもできる。
ブレンド比率は1.0〜0.01の範囲で適宜、最適比
率を選んで用いることができる。
【0093】これらの乳剤に粒子形成から塗布工程まで
の間に添加できる添加剤に特に制限はなく、従来公知の
あらゆる写真用添加剤を好ましくは10-8〜10-1mol/
molAgXの添加量で添加することができる。例えばA
gX溶剤、AgX粒子へのドープ剤(例えば第8族貴金
属化合物、その他の金属化合物、カルコゲン化合物、S
CN化物等)、分散媒、かぶり防止剤、増感色素(青、
緑、赤、赤外、パンクロ、オルソ用等)、強色増感剤、
化学増感剤(イオウ、セレン、テルル、金および第8族
貴金属化合物、リン化合物、ロダン化合物、還元増感剤
の単独およびその2種以上の併用)、かぶらせ剤、乳剤
沈降剤、界面活性剤、硬膜剤、染料、色像形成剤、カラ
ー写真用添加剤、可溶性銀塩、潜像安定剤、現像剤(ハ
イドロキノン系化合物等)、圧力減感防止剤、マット剤
等を挙げることができる。
【0094】本発明のAgX乳剤粒子および製造方法で
製造したAgX乳剤は従来公知のあらゆる写真感光材料
に用いることができる。例えば、黒白ハロゲン化銀写真
感光材料〔例えば、Xレイ感材、印刷用感材、印画紙、
ネガフィルム、マイクスフィルム、直接ポジ感材、超微
粒子乾板感材(LSIフォトマスク用、シャドーマスク
用、液晶マスク用)〕、カラー写真感光材料(例えばネ
ガフィルム、印画紙、反転フィルム、直接ポジカラー感
材、銀色素漂白法写真など)に用いることができる。更
に拡散転写型感光材料(例えば、カラー拡散転写要素、
銀塩拡散転写要素)、熱現像感光材料(黒白、カラ
ー)、高密度 digital記録感材、ホログラフィー用感材
などをあげることができる。
【0095】塗布銀量は0.01g/m2以上の好ましい
値を選ぶことができる。該写真感光材料の構成(例え
ば、層構成、銀/発色材モル比、各層間の銀量比等)、
露光、現像処理および写真感光材料の製造装置、写真用
添加剤の乳化分散等に関しても制限はなく、従来公知の
あらゆる態様、技術を用いることができる。従来公知の
写真用添加剤、写真感光材料およびその構成、露光と現
像処理、および写真感光材料製造装置等に関しては下記
文献の記載を参考にすることができる。
【0096】リサーチ・ディスクロージャー(Research
Disclosure)、176巻(アイテム17643)(12
月、1978年)、同307巻(アイテム30710
5、11月、1989年)ダフィン(Duffin)著、写真乳
剤化学 (Photographic Emulsion Chemistry)、Focal Pr
ess, New York (1966年)、ビル著(E. J. Birr)、
写真用ハロゲン化銀乳剤の安定化(Stabilization of Ph
otographic Silver Halide Emulsion)、フォーカル・プ
レス(Focal Press) 、ロンドン(1974年)、ジェー
ムス編(T. H. James) 、写真過程の理論(The Theory of
Photographic Process)第4版、マクミラン(Macmilla
n) 、ニューヨーク(1977年)
【0097】グラフキデ著(P. Glafkides)、写真の化学
と物理(Chimie et Physique Photographiques)、第5
版、エディション・ダ・リジンヌヴェル(Edition de I'
UsineNouvelle, パリ(1987年)同第2版、ポウ
ル・モンテル、パリ(1957年)、ゼリクマンら(V.
L. Zalikman at al.) 、写真乳剤の調製と塗布(Makinga
nd Coating Photographic Emulsion)、Focal Press
(1964年)、ホリスター(K. R. Hollister) ジャー
ナル・オブ・イメージング・サイエンス(Journalof Im
aging science) 、31巻、p.148〜156(19
87年)、マスカスキー(J. E. Maskasky)、同30巻、
p.247〜254(1986年)、同32巻、160
〜177(1988年)、同33巻、10〜13(19
89年)
【0098】フリーザーら編、ハロゲン化銀写真過程の
基礎(Die Grundlagen Der Photographischen Prozesse
Mit Silverhalogeniden)、アカデミッシェ・フェルラー
クゲゼルシャフト(Akademische Verlaggesellschaft)、
フランクフルト(1968年)。日化協月報1984
年、12月号、p.18〜27、日本写真学会誌、49
巻、7〜12(1986年)、同52巻、144〜16
6(1989年)、同52巻、41〜48(1989
年)、特開昭58−113926〜113928号、同
59−90841号、同58−111936号、同62
−99751号、同60−143331号、同60−1
43332号、同61−14630号、同62−625
1号、同63−220238号、同63−151618
号、同63−281149号、同59−133542
号、同59−45438号、同62−269958号、
同63−305343号、同59−142539号、同
62−253159号、同62−266538号、同6
3−107813号、同64−26839号、同62−
157024号、同62−192036号、
【0099】特開平1−297649号、同2−127
635号、同1−158429号、同2−42号、同2
−24643号、同1−146033号、同2−838
号、同2−28638号、同3−109539号、同3
−175440号、同3−121443号、同2−73
245号、同3−119347号、米国特許第4,63
6,461号、同4,942,120号、同4,26
9,927号、同4,900,652号、同4,97
5,354号、欧州特許第0355568A2号、特願
平2−326222号、同2−415037号、同2−
266615号、同2−43791号、同3−1603
95号、同2−142635号、同3−146503
号、同4−77261号。本発明の乳剤は特開昭62−
269958号、同62−266538号、同63−2
20238号、同63−305343号、同59−14
2539号、同62−253159号、特開平1−13
1541号、同1−297649号、同2−42号、同
1−158429号、同3−226730号、同4−1
51649号、特願平4−179961号、欧州特許0
508398A1号、特開平6−258788号、同6
−273860号の実施例の感光材料の構成乳剤として
好ましく用いることができる。
【0100】
【発明の実施の形態】
【0101】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではな
い。 実施例1 反応容器にゼラチン溶液1〔H2 O 1.2リットル、
ゼラチン1を1.0g、KBr 0.25gを含み、H
NO3 3N液でpH2.0に調節した〕を入れ、温度
を40℃に保ち、攪拌しながらAg−1液(AgNO3
60g/リットル)とX−1液(H2 O 1リット
ル,KBr 43.2g,ゼラチン1を0.8g含む)
を30ml/分で1分間添加し、核形成した。2分間攪
拌した後、KBr−1液(KBr 100g/リット
ル)を30ml添加し、10分間で60℃に昇温した。
更に12分間、第1熟成した後、硫安液〔(NH4 2
SO44g,H2 O 20mlを含む〕とNaOH 1
N液を入れ、pH9.1とした。10分間、第2熟成を
した後、ゼラチン溶液2〔ゼラチン2を25g、H2
130ml,KBr 0.15g含む〕を入れ、HN
3 3N液でpH6.3とした。この時、分散媒の9
6.1重量%がフタル化率96%、メチオニン含率34
μmol/g のゼラチンとなる。Ag−1液とX−1液を用
い、pBr1.68に保ちながら同時混合添加した。A
g−1液は6.6ml/分で80ml添加した。次にA
g−2液(AgNO3 200g/リットル)とX−2
液(146g/リットル)を用い、同pBrに保ちなが
ら同時混合添加した。Ag−2液は初期流量3ml/
分、直線流量加速0.3ml/分で40分間添加した。
1分間攪拌した後、乳剤3mlをサンプリングし、生成
粒子のレプリカの透過型電子顕微鏡写真像(TEM像)
を観察した。その特性値は次の通りであった。全AgX
粒子の投影面積の合計(以後、「SA」と記す)の99
%以上が最大隣接辺比率1〜1.2の六角平板粒子であ
り、平均厚さ0.05μm、平均直径2.1μm、平均
アスペクト比42、C.V.値は0.09であった。
【0102】次に該乳剤を30℃に降温し、HNO3
1N液でpH3.9に下げ、乳剤を凝集沈降させた。乳
剤を純水で3回水洗し、ゼラチン溶液を添加した。Na
OH1N液でpH6.4にし、NaBr 1N液でpB
r2.8にし、乳剤を再分散させた。該乳剤を特願平5
−324502号の実施例1記載の密閉型容積可変容器
に入れ、40℃で攪拌しながら増感色素1の0.3g/
リットル溶液を飽和吸着量の70%だけ添加した。該実
施例と同態様で該中空管型弾性体多孔膜を通して3秒間
以内で全量を添加した。15分間攪拌した後、2番目の
密閉型容積可変容器に移液した。乳剤の温度を45℃に
保ちながら金増感剤(塩化金酸:NaSCN=1:20
モル比の水溶液)を1.2×10-5モル/モルAgXだ
け添加し、次にカルコゲナイド増感剤Sx1を2×10
-5モル/モルAgXだけ添加した。それぞれ独立の、前
記態様の中空管型弾性多孔膜より3秒間以内で添加し
た。該乳剤の温度を60℃に昇温し、20分間熟成し
た。40℃に降温し、かぶり防止剤(4−ヒドロキシ−
6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン)を
3×10-3モル/モルAgXだけ添加し、増粘剤、塗布
助剤を加えて保護層と共に、TAC(三酢酸セルロー
ス)ベース上に塗布し、乾燥し、塗布試料1とした。但
し、ゼラチン1は重量平均分子量30,000、メチオ
ニン含率34μmol/g の脱イオン化アルカリ処理骨ゼラ
チン、ゼラチン2はゼラチン1をフタル化率96%でフ
タル化したゼラチン、ゼラチン3はメチオニン含率50
μmol/g 脱イオン化アルカリ処理非修飾骨ゼラチンを指
す。
【0103】
【化9】
【0104】実施例2 ゼラチン溶液2にEPA1を1.0g混入する事以外は
実施例1と同じにした。乳剤3mlをサンプリングし、
生成粒子のレプリカのTEM像を観察した所、その特性
値は次の通りであった。SAの99%以上が最大隣接辺
比率1〜1.2の六角平板粒子であり、平均厚さ0.0
9μm、平均直径1.56μm、平均アスペクト比約1
7、C.V.値は0.075であった。後は実施例1と
同じ態様で処理し、塗布試料2を得た。ここでEPA1
は(3)-a)-2) 式の化合物:(4)-a)-4) 式の化合物:アク
リルアミド=25:25:50重量%比の共重合体であ
り、重量平均分子量は33,000である。
【0105】実施例3 ゼラチン溶液2にEPA2とEPA3を1.0gづつ混
入する事以外は実施例1と同じにした。生成粒子のレプ
リカのTEM像を観察した所、その特性値は次の通りで
あった。SAの99%以上が最大隣接辺比率1〜1.2
の六角平板粒子であり、平均厚さ0.09μ、平均直径
1.56μm、平均アスペクト比約17、C.V.値は
0.07であった。該粒子の粒子構造を示すTEM像を
図5に示した。得られた塗布試料を塗布試料3とした。
EPA2とEPA3は次の化合物を指す。EPA2はH2
C=C(CH3)-COO−〔CH2CH(CH3)O 〕12−H:アクリルアミド
=25:75 重合比の共重合体を、EPA3はH2C=C(CH3)-C
OO-(CH2CH2O)23−CH3:アクリルアミド=25:75 重量比の
重合体を指す。
【0106】実施例4 第2熟成終了までを実施例1と同じにした。次にHNO
3 1N液を添加し、pH6.2とした後、30℃に降
温し、台錐型遠心分離器に乳剤を入れ、遠心分離し、上
澄み液を除去した。その除去体積比率は、原乳剤の93
%であった。次にゼラチン溶液2を入れ、pH6.2と
し、再分散し、乳剤を元の容器へ移液した。温度を60
℃とし、PAO化合物としてEPP1 10g/リット
ル液を7ml添加し、後は実施例1と同じにした。乳剤
3mlをサンプリングし、生成粒子のレプリカのTEM
像を観察した所、その特性値は次の通りであった。SA
の99%以上が、最大隣接辺比率1〜1.2の六角平板
粒子であり、平均厚さ0.11μm、平均直径1.41
μm、平均アスペクト比約12.8、C.V.値は0.
075であった。後は実施例1と同じ態様で処理し、塗
布試料4を得た。ここでEPP1はポリエチレンオキシ
ドとポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー(分
子量約3200)であり、BASF社製の商品名プルロ
ニック31R1である。前記HP2に対応するPAO重
合体である。
【0107】実施例5 反応容器にゼラチン溶液51〔H2 O 1.2リット
ル、ゼラチン1を1.7g、KBr 1.2g、HNO
3 1N液でpH3.0に調節〕を入れ、温度を30℃
に恒温しながら、Ag−51液(AgNO3 100g
/リットル)とKBr−51液(KBr 72g/リッ
トル)50ml/分で1分間添加し、核形成した。1分
間攪拌した後、KBr−2液(KBr 300g/リッ
トル)を10ml添加し、10分間で温度を60℃に上
げた。7分間、第1熟成した後、次にゼラチン溶液3
(ゼラチン3を25g、H2 O 135ml含む)を添
加し、温度を37℃にし、NaOH 1N液でpH9.
5とした。pHを9.5に保ちながら無水フタル酸溶液
1(ドライアセトン中に無水フタル酸を12重量%で溶
解)を15分間かけて一定流量で添加した。更に20分
間、pH9.5に保ちながら攪拌を続けた。次にHNO
3 3N液でpH4.0とし、乳剤を凝集沈降させ、上
澄み液を除去した。純水を入れ、該凝集乳剤を水洗し、
上澄み液を除去した。EPA1を1g含む純水1.3リ
ットルを入れ、NaOH液でpH6.4とした。温度を
60℃に上げ、NaBr液を入れ、pBr1.6とし
た。
【0108】Ag−52液(AgNO3 120g/リ
ットル)とX−52液(KBr 90g/リットル)を
用いて、pBr1.68に保ちながら32分間の同時混
合添加した。Ag−52液の初期流量は12ml/分、
直線流量加速量は0.6ml/分であった。1分間攪拌
した後、乳剤3mlをサンプリングし、生成粒子のレプ
リカのTEM像を観察した。その特性値は次の通りであ
った。SAの99%以上が最大隣接辺比率1〜1.2の
六角平板粒子であり、平均厚さ0.09μm、平均直径
1.3μm、平均アスペクト比約14.4、C.V.値
は0.072であった。また、該乳剤をサンプリング
し、遠心分離し、上澄み液をとりだした。温度を30℃
とし、上澄み液のpHを4.0とし、凝集させ、上澄み
液を除去した。純水で3回水洗した。凝集物を乾燥さ
せ、ゼラチン重量を測定した後、純水とNaOH液を加
え、再分散させ、1重量%液とした。ゼラチン3の1重
量%液を比較試料とし、前記フォルモル滴定法でフタル
化率を求めた所、フタル化率95%であった。従って、
粒子成長時の分散媒の100%が、フタル化率95%、
メチオニン含率34μmol/g のゼラチンであった事にな
る。次に乳剤の温度を30℃に下げ、pH4.0にし、
乳剤を凝集沈降させた。(上澄み液の除去→純水を入れ
リンスする)事を3回くり返した後、ゼラチン溶液3を
添加した。後の工程は実施例1と同じにして塗布試料5
を得た。
【0109】実施例6 実施例1において、ゼラチン溶液1をゼラチン溶液4
〔H2 O 1.2リットル、ゼラチン2を1.0g、K
Br 0.25gを含み、HNO3 液とNaOH液でp
H5.0に調節〕に代え、X−1液をX−61液(H2
O 1リットル、KBr 43.2g、ゼラチン2を
0.8g含む)に代えた以外は実施例1と同じにした。
この場合、核形成、熟成、成長時の分散媒の100%
が、フタル化率95%、メチオニン含率34μmol/g の
ゼラチンである。生成粒子のレプリカのTEM像を観察
した所、その特性値は次の通りであった。SAの99%
以上が最大隣接辺比率1〜1.2の六角平板粒子であ
り、平均厚さ0.046μm、平均直径2.19μm、
平均アスペクト比47.6、C.V.値は0.085で
あった。
【0110】実施例7 乳剤の水洗と再分散を次の態様にする以外は実施例6と
同じにし、塗布試料7を得た。粒子形成後、温度を30
℃にし、台錐型遠心分離器に乳剤を入れ、遠心分離し、
上澄み液を除去した。該除去量は母液量の92%に相当
した。純水を2L入れ、リンスした後、遠心分離し、母
液の92%に相当する上澄み液を除去した。ゼラチン3
を50g含むゼラチン溶液を加え、pH6.4、pBr
2.8にし、乳剤を再分散させた。
【0111】比較例1 欧州特許0514742A1の実施例1に基づいて(1
11)平板粒子を調製した。粒子成長時の分散媒は10
0重量%がメチオニン含率0μmolg、フタル化率0%で
あった。生成粒子のレプリカのTEM像を観察した所、
2 ≧1.32の粒子の投影面積の合計がSAの約32
%を占めた。該乳剤に凝集沈降剤を添加し、従来法に従
って乳剤を水洗した。ゼラチン溶液3を添加し、pH
6.4、pBr2.8にし、乳剤を再分散させた。後は
実施例1と同じにして塗布試料を作り、塗布試料21と
した。但し、分光増感色素と化学増感剤の添加は従来法
通り、に添加した。生成粒子の粒子構造例を図6に示し
た。
【0112】実施例1〜7と比較例1で得た塗布試料を
500nm以上の波長の光を通すマイナス青フィルター
と光学ウェッジを通して0.1秒間露光した。次にMA
A−1現像液〔Journal of Photographic Science, 2
3巻,249〜256(1975年)に記載されてい
る〕で、20℃で10分間、現像した。常法に従って、
停止、定着、水洗、乾燥処理をし、センシトメトリーを
行なった。得られた結果(感度/粒状性の相対値)を表
2に示した。該相対値は高い程、写真性能が優れている
事を表す。感度は(かぶり+0.2)の濃度を与える露
光量の逆数で求めた。粒状性は試料を(かぶり+0.
2)の濃度を与える光量で一様に露光し、前述の現像処
理を行なった後、マクミラン社刊,ザ・セオリー・オブ
・ザ・フォトグラフィックプロセス,p.619に記載
の方法で測定した。
【0113】実施例8 実施例7において、ゼラチン溶液4とX−61液に用い
るフタル化ゼラチンを表2に示した81〜86のゼラチ
ンに置き代える以外は同じにした。81〜89のゼラチ
ンのメチオニン含量とフタル化率は表3に示した通りで
ある。81〜89のゼラチンを用いて調製したAgX乳
剤の塗布試料をそれぞれ塗布試料81〜89とした。塗
布試料を該マイナス青フィルターと光学ウェッジを通し
て0.1秒間露光した。次にMAA−1現像液で、20
℃で10分間現像した。センシトメトリーにより得られ
た結果〔(感度/粒状性)の相対値〕を表3に示した。
図1のa1 、好ましくはa2 、より好ましくはa3 の領
域のゼラチンを用いた時に、最も好ましい写真特性が得
られた。
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】実施例9 反応容器にゼラチン溶液4〔H2 O 1.2リットル、
ゼラチン1を20g、NaClを0.5g含み、HNO
3 1N液でpH4.0に調節した〕を入れ、40℃に
保ち、攪拌しながらAg−91液(AgNO3 200
g/リットル)とX−91液(NaCl 69g/リッ
トル)を50ml/分で15秒間、同時混合添加した。
1分間攪拌した後、X−92液(1リットル中にNaC
l 6g、KBr 15gを含む)を60ml/分で2
4秒間添加した。1分間攪拌した後、Ag−91液とX
−91液を50ml/分で1分間、同時混合添加した。
該核形成した後、次に温度を37℃にし、NaOH 1
N液を入れ、pH9.2とし、pHを9.3に保ちなが
ら無水フタル酸溶液1を15分間かけて添加した。更に
20分間、9.3に保ちながら攪拌を続けた。HNO3
3N液でpH4.0とし、乳剤を凝集沈降させ、上澄
み液を除去した。NaCl 2.5gを含む純水1.3
リットルを入れ、NaOH液でpH6.0にし、再分散
した。HNO3 液でpH5.3とし、12分間で75℃
に昇温した。18分間熟成した後、NaCl−1液(N
aCl 100g/リットル)を10ml添加し、更に
5分間熟成した。ここで熟成は終了した。Ag−91液
を7ml/分で添加し、銀電位を140mVに調節し
た。
【0117】銀電位を140mVに保ちながら、Ag−
91液とX−91液を同時混合添加した。Ag−91液
の初期流量は7ml/分で直線流量加速量は0.05m
l/分であり、総添加量は290mlであった。次にA
g−91液とX−93液(1リットル中にKBr 23
g、NaCl 59gを含む)を用いて、銀電位120
mVに保ちながら同時混合添加した。Ag−91液は8
ml/分で7分間添加した。次にAg−91液とX−9
4液(1リットル中にKBr 45g、NaCl 50
gを含む)を用いて銀電位120mVに保ちながら8m
l/分で7分間添加した。1分間更に攪拌した後、温度
を30℃に降温し、HNO3 でpH4.0とし、乳剤を
凝集沈降させた。
【0118】乳剤を純水で水洗した後、ゼラチン溶液を
加え、NaOH液でpHを6.1、pCl 2.2とし
た。乳剤3mlを sampling し、生成粒子のレプリカの
TEM像を観察した。その特性値は次の通りであった。
SAの約94%が(アスペクト比≧3)、主平面形状が
直角平行四辺形、の(100)平板粒子であり、平均厚
さ0.12μm、平均直径1.3μm、平均アスペクト
比約10.8、該平板粒子のC.V.値は0.25であ
った。乳剤温度を40℃とし、増感色素2の0.3g/
リットル溶液を、前記多孔膜添加系を用いて、飽和吸着
量の65%だけ3秒間で添加した。15分間攪拌した
後、乳剤を次の容器に移液し、乳剤の温度を40℃に保
ちながら、多孔膜添加系を通してハイポを2.5×10
-5モル/モルAgXだけ添加し、次に塩化金酸を10-5
モル/モルAgXだけ添加した。50℃に昇温し、15
分間熟成した後、かぶり防止剤2を3×10-3モル/モ
ルAgXだけ添加し、温度を40℃にした。増粘剤、塗
布助剤を加えてTACベース上に保護層と共に塗布し、
乾燥し、塗布試料9とした。
【0119】
【化10】
【0120】実施例10 核形成終了までを実施例9と同じにした。次に乳剤を台
錐型遠心分離器に入れ、遠心分離し、上澄み液を除去し
た。該除去量は母液量の95%であった。次にゼラチン
溶液2を入れ、pH5.3とし、乳剤を再分散させ、乳
剤を元の反応容器に戻した。この時の分散媒の96.1
重量%がフタル化率96%、メチオニン含率34μmol/
g のゼラチンとなる。(NaCl 2.6g,H2
20ml)を含む液を入れ、12分間で温度を75℃に
上げた。該昇温後は実施例9と同じ工程を通して塗布試
料10を得た。生成粒子のレプリカのTEM像を観察し
た所、その特性値は次の通りであった。SAの約94%
が(アスペクト比≧3)、主平面形状が直角平行四辺形
の(100)平板粒子であり、平均厚さ0.13μm、
平均直径1.25μm、平均アスペクト比約9.6、該
平板粒子のC.V.値は0.26であった。
【0121】比較例2 実施例9と次の工程以外は同じにして塗布試料22を調
製した。即ち、核形成終了後、NaCl液(NaCl
1.6g、H2 O 20mlを含む)を入れ、pH5.
3とし、75℃への昇温工程に入る。また、結晶成長後
の脱塩工程は、凝集沈降剤を添加して行なう、従来の凝
集沈降水洗法で行なう。粒子成長時の分散媒の100重
量%がフタル化率0%、メチオニン含率34μmol/g で
ある。生成粒子のレプリカのTEM像を観察した所、そ
の特性値は次の通りであった。SAの約90%が(アス
ペクト比≧3)、主平面形状が直角平行四辺形の(10
0)平板粒子であり、平均厚さ0.19μm、平均直径
1.03μm、平均アスペクト比約5.4、該平板粒子
のC.V.値は0.30であった。塗布試料9、10、
22をマイナス青フィルターを通して10-2秒間の露光
をし、現像した。センシトメトリーの結果、(感度/粒
状性)の相対値は、試料9が112、試料10が11
0、試料22が100であり、本発明法の効果が確認さ
れた。
【0122】
【発明の効果】この様にして調製したAgX乳剤を支持
体上に一層以上で塗布し、写真感光材料を製造した場
合、かぶり濃度が低く、感度、粒状性の優れた写真感光
材料が得られる。欧州特許514742A号の態様に比
べて、該PAO重合体の最適添加量が約20%以下にな
る為、他の写真的に有効な添加剤の吸着防害が少ないと
いう利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるゼラチンのメチオニン含率
(μmol/g) vs 、アミノ基の化学修飾(%)、の好まし
い組み合せ範囲を示す。図1のa、領域の上限ラインは
該修飾率=100%を示し、a2 領域の上限ラインは該
修飾率=97%を示す。
【図2】(100)平板粒子の結晶構造(転位線構造)
の例
【図3】転位線の構造模式図
【図4】観察される種々のタイプの結晶構造(転位線構
造)の例
【図5】実施例3で得られた平板粒子の結晶構造を示
す。
【図6】比較例1で得られた平板粒子の結晶構造を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水と分散媒を有する分散媒溶液中で、少
    なくとも核形成、熟成、成長過程を経てハロゲン化銀粒
    子の投影面積の合計の75〜100%が厚さが0.02
    〜0.3μm、アスペクト比(直径/厚さ)が2〜50
    の平板粒子であるハロゲン化銀粒子を製造する方法にお
    いて、該成長過程の該分散媒の30〜100重量%が次
    記(a)の特徴を有するゼラチンである事を特徴とする
    ハロゲン化銀粒子の製造方法。 (a)該ゼラチン中の−NH2 基が化学修飾された数の
    割合%と該ゼラチンのメチオニン含率の関係が図1のa
    1 の領域にある。
  2. 【請求項2】 該分散媒溶液がポリアルキレンオキサイ
    ドの繰返し単位を有する重合体で、分子量が500〜1
    6 であるHPAO〔一般式(1)−a)または(1)
    −b)で表される〕またはPEOD〔一般式(2)−
    a)〜−f)のうちのいずれかで表される〕を0.00
    1g/リットル以上含有する事を特徴とする請求項1記
    載のハロゲン化銀粒子の製造方法。 【化1】 ここでR0 はH、または少なくとも1つの極性基を有す
    る炭素数1〜10の炭化水素で、好ましくはHである。
    Rは炭素数3以上、10以下のアルキレン基を表す。
    n、mは繰返し単位の平均数を表わし、前記分子量規定
    を満たす4以上の値である。 【化2】 ここでLPUはHO−HPEOU−基およびHO−LP
    AOU−基以外の親油性基を指し、置換または無置換の
    アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、
    アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アシルアミ
    ノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカ
    ルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アリサイクリ
    ック基を指す。なお、HPEOU、LPAOUは一般式
    (1)−a)、(1)−b)と同義であり、LPU′は
    H、炭素数1〜20のアルキル基を指す。
  3. 【請求項3】 該分散媒溶液が一般式(3)で表される
    モノマーの繰返し単位を1重量%以上含有する重合体の
    少なくとも1種を0.01g/リットル以上含有し、該
    重合体の分子量が500〜106 である事を特徴とする
    請求項1記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。 【化3】 式中R1 はH、炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、
    2 は炭素数1〜20の1価の置換基を表す。R3 は炭
    素数3〜10のアルキレン基を表し、Lは2価の連結基
    を表す。nは繰返し単位の平均数を表し、4〜600で
    ある。
  4. 【請求項4】 該分散媒溶液が一般式(3)で表わされ
    るモノマーと一般式(4)で表わされるモノマーの少な
    くとも2種をそれぞれ1重量%以上含有する共重合体を
    0.01g/リットル以上含有し、該共重合体の分子量
    が500〜106 である事を特徴とする請求項1記載の
    ハロゲン化銀粒子の製造方法。 一般式(4) CH2 =C(R4 )−L′−(CH2 CH2 O)m −R5 式中、R4 はH、炭素数1〜4の低級アルキル基を表
    し、R5 は炭素数1〜20の1価の置換基を表し、L′
    は2価の連結基を表す。mは繰返し単位の平均数を表
    し、4〜600である。
  5. 【請求項5】 該分散媒溶液が下記一般式(5)で表さ
    れる繰返し単位を1重量%以上含有する重合体の少なく
    とも1種と、一般式(6)で表される繰返し単位を1重
    量%以上含有する重合体の少なくとも1種をそれぞれ
    0.01g/リットル以上含有し、それぞれの重合体の
    分子量が500〜106 である事を特徴とする請求項1
    記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。 一般式(5) −(R−O)n − 一般式(6) −(CH2 CH2 O)m − 式中、Rは炭素数3〜10のアルキレン基を表わす。
    n、mは繰返し単位の平均数を表し、該分子量規定を満
    たす4以上の値である。
  6. 【請求項6】 該一般式(5)で表される繰返し単位を
    有する重合体が下記一般式(7)−(a)で表されるモ
    ノマーを構成成分とするビニル重合体および一般式
    (7)−(b)で表されるポリウレタンを含む重合体か
    ら選ばれる少なくとも1種の重合体であり、該一般式
    (6)で表される繰返し単位を有する重合体が下記一般
    式(7)−(c)で表されるモノマーを構成成分とする
    ビニル重合体、一般式(7)−(d)で表されるポリウ
    レタンを含む重合体、および置換または未置換のポリエ
    チレングリコールから選ばれる少なくとも1種の重合体
    であることを特徴とする請求項5に記載のハロゲン化銀
    粒子の製造方法。 一般式(7)−a) CH2 =C(R1 )−L−(R3 −O)n −R2 一般式(7)−b) −〔O −(R−O)n x −〔O − R11−O 〕y −〔CONH-R12-NHCO 〕Z − 一般式(7)−c) CH2 =C(R4 )−L′−(CH2 CH2 O)m −R5 一般式(7)−d) −〔O-(CH2CH2O) m X'−〔O-R13-O 〕y'−〔CONH-R14-NHCO 〕Z'111中、 n、mは繰返し単位の平均数を表し、4〜600であ
    る。R1 、R4 はHまたは炭素数1〜4の低級アルキル
    基を表す。R2 、R5 はHまたは炭素数1〜20の1価
    の置換基を表す。L、L′は2価の連結基を表す。
    11、R12、R13、R14は2価の連結基を表し、炭素数
    1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のフェニレン
    基、または炭素数7〜20のアラルキレン基を表す。
    x、y、z、x′、y′、z′は各成分の重量百分率を
    表し、x、x′は1〜70、y、y′は1〜70、z、
    z′は20〜70を表す。ここでx+y+z=100、
    x′+y′+z′=100である。Rは炭素数3〜10
    のアルキレン基を表す。
  7. 【請求項7】 該平板粒子の主平面が{100}面かま
    たは{111}面であり、該粒子の直径分布の変動係数
    (標準偏差/平均直径)が0〜0.3である事を特徴と
    する請求項1記載のハロゲン化銀粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも分散媒とハロゲン化銀粒子を
    有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀粒子
    の全投影面積の75〜100%が厚さが0.02〜0.
    3μm、アスペクト比(直径/厚さ)が2〜50の平板
    粒子であり、該粒子の直径分布の変動係数(標準偏差/
    平均直径)が0〜0.3であり、該分散媒の30〜10
    0重量%が(化学修飾された−NH2 基数の%とメチオ
    ニン含率の関係が図1のa1 の領域にあるゼラチン)で
    ある事を特徴とするハロゲン化銀乳剤。
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