JPH088250B2 - Soi基板の作成方法及び作成装置 - Google Patents

Soi基板の作成方法及び作成装置

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JPH088250B2
JPH088250B2 JP15432689A JP15432689A JPH088250B2 JP H088250 B2 JPH088250 B2 JP H088250B2 JP 15432689 A JP15432689 A JP 15432689A JP 15432689 A JP15432689 A JP 15432689A JP H088250 B2 JPH088250 B2 JP H088250B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は分子線成長法をもちいたSOI(Silicon on In
sulator)基板の作成方法に関する。
(従来の技術) SOI技術は絶縁性基板上にSiの単結晶を形成する技術
で、近年精力的に研究が進められている。SOI基板を形
成する方法には 1)レーザービームもしくは電子ビームでSiO2上に形成
したポリシリコンを溶融し再結晶化させる方法、 2)気相や液相成長を用いてシード部からSiO2上へ横方
向成長させる方法、(ELO)、 3)酸素イオンをシリコン単結晶基板に注入し、表面単
結晶層の下に酸素高濃度層を作り、その後の加熱によっ
て酸素高濃度層をSiO2層に変化させる方法(SIMOX)、 等が提案されている。それぞれの方法には長所と短所が
あるが、この中でSIMOXは、スループットが高く、もと
もと単結晶基板を用いるために結晶性も優れており、一
層のSOI層を作る上で有望な方法である。SIMOXでは上層
に十分な厚さのSi単結晶層を確保し、しかも下層に厚い
SiO2層を形成するため、100keV以上の高速イオンを多量
に注入しなければならない。注入直後の酸素のプロファ
イルは第3図a)のようになる。酸素の分布は、高速の
イオン注入のためのガウス分布に近いものになる。この
後、高温の熱処理を行うと、SiO2が形成され、第3図
b)に示すように酸素の分布も急峻となる。しかし、こ
の時の熱処理温度は酸素を拡散させなければならいので
高く、1400℃とSiの融点に近い。この様な高温ではSi中
の不純物は全て拡散してしまうため、SIMOXの技術はデ
バイスプロセスの始めにしか使えない。また、酸素を長
い距離拡散させて再分布させるため、Si単結晶中にはSi
O2のクラスター、SiO2中にはSiのクラスターを生じやす
くこれが欠陥の原因となっている。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、この様な従来の欠点を除去せしめ
て、厚さを精密に制御されたシリコン酸化膜上に、厚さ
を精密に制御された良質のシリコン単結晶を低温で作成
する方法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、真空槽内にシリコン単結晶を表面に持つ基
板を配し、この基板表面を清浄化した後に、シリコン分
子線を照射しながら、酸素イオンもしくは酸素イオンを
含む酸素分子線を同時に注入することにより酸素を高濃
度に含んだシリコン層からなる酸素高濃度層を形成する
工程と、シリコン分子線を照射することによりシリコン
層を形成する工程と、加熱によって前記酸素高濃度層を
酸化シリコン層に変化させる工程とを備えてなることを
特徴とするSOI基板の作成方法であり、分子線成長装置
において、基板に電位をかけることができ、シリコン分
子線発生用として電子銃式蒸着装置と酸素イオン発生用
としてプラズマイオン源とをそなえてなることを特徴と
するSOI基板の作成装置である。
(作用) 初めに、本発明の原理について説明する。SIMOX技術
のにおいて、イオン注入後に高温、長時間の熱処理を必
要とするのは第3図に示した様に、高速で注入された酸
素イオンの広がったプロファイルを再分布させSiとSiO2
の界面を急峻するためと考えられる。
通常のSiの熱酸化が800〜900℃で可能にあることから
考えて、注入された格子間酸素をSiO2に変えるために
は、800〜900℃のアニールで十分であると考えられる。
従って、SIMOX技術のにおいて、イオン注入後の酸素プ
ロファイルが、はじめから第2図b)に示すように急峻
であれば、1400℃というSiの融点に近い高温アニールを
行わなくてもSOI基板の形成が可能であると考えられ
る。
そこで、発明者は、注入後の酸素のプロファイルの広
がりを少なくするため、酸素イオンの加速を1〜5keVに
下げ、超高真空中で清浄化したSi単結晶表面に注入した
ところ酸素イオンは数十A結晶内入って止まり、厚さ数
十Aの最表面層は単結晶の状態であり、しかもSi分子線
をこの表面に酸素イオンと同時に照射すると、最表面層
は単結晶の状態で酸素高濃度注入層の厚さを増加させる
ことが可能なことを見出した。これは次のような原理に
基ずく。固体中に打込まれた酸素イオンは基板原子核と
の衝突及び価電子との相互作用によって運動エネルギー
を失い、固体内に静止する。これら2つの減速機構は独
立の現象として扱って良く、またそれぞれの阻止能は入
射エネルギーが一定であれば変化しない。従って、表面
から、イオンが静止するまでの平均的な深さ(Projecte
d range)は酸素イオンの加速が一定であれば変化しな
い。そこで、酸素イオンを注入しながらSi分子線を照射
すると、最表面は単結晶なので飛来したSi分子はエピタ
キシャル成長し、最上層のSi単結晶層の厚さが増加す
る。このとき、Si表面にはイオン源から放出される中性
の酸素分子も飛来するが、成長温度が700℃以上であれ
ばエピタキシャル層中には取り込まれない。酸素イオン
のProjected rangeは一定なので酸素高濃度層も表面方
向に成長して行く(第1図a)及びb)。このようにし
て形成された酸素高濃度層は、その厚さが厚くなっても
Si単結晶層との界面での酸素プロファイルの広がりが、
加速1〜5keVで注入した時と同じで極めて急峻である。
また、酸素高濃度層の厚さが所定の厚さになったあと
は、酸素イオンの供給を止めれば、最表面単結晶層のエ
ピタキシャル情報を引き継いで、酸素の全く入らないSi
単結晶層をMBE成長することができる(第1図c))。
以上のようにして形成された酸素高濃度注入層を持った
基板を800℃で加熱すると酸素高濃度注入層はSiO2に変
化し、通常のSIMOX技術と比較して極めて低温でSOI基板
が形成できる(第1図d))。
次に、発明者は以上のような原理に基づたSOI基板の
形成を行うための装置を考案した。第2図に示すように
本装置は真空槽内にSi分子線成長用のEガン蒸着器と酸
素イオン形成用のECRイオン源を備え、Si基板に高圧を
印加できることが特徴である。ECRイオン源は10-6Torr
の酸素雰囲気中でもプラズマを発生させることができ、
またイオン電流量も多い。この様に高真空中でもイオン
を発生できるため、Siのエピタキシャル成長中に同時に
酸素イオンの照射が可能となった。また、イオンの加速
はSi基板にプラスの高圧を印加することによって行う。
この様にすると、ECRイオン源からの酸素イオンをほと
んどどすべて基板に集めることができ効率的である。ま
た、表面近傍では電気力線は表面に垂直方向に揃い、イ
オンは表面に垂直に入射する。基板として表面の面方位
が正確にチャンネリング方位と一致しているウエハーを
使えば、入射酸素イオンは基板内でチャンネリングを起
こし、最表面単結晶層へのダメージを低減することがで
きる。
(実施例) 発明の実施例について具体的に説明する。実験は40cc
の電子銃式Si蒸着器とECRプラズマウイオン源を備えたM
BE装置を用いて行った。試料ウエハーには4インチn型
Si(100)0.01〜0.02Ωcm基板を用いた。試料ウエハー
はRCA洗浄後、形成室内に搬送し10Aのa−Siを堆積後、
800℃1分間の清浄化を行い、清浄面を出した。基板温
度をSOI基板形成温度700℃に下げた後、ECRイオン源か
ら電流密度1μA/cm2の酸素イオンを基板に照射し、同
時に電子銃式Si蒸着器から、1.0A/sのSi分子線を照射し
た。このとき、基板にプラス5keVの電圧を印加した。形
成室内の酸素分圧は1×10-6Torrであった。SiO2の膜厚
が所定の値に達したところで酸素イオンの照射をやめ、
Siの分子線エピタキシャル成長を行った。この後、基板
温度を800℃上げ、30分間の真空中熱処理を行った。
第4図は1000Åの酸素高濃度層と、その上に1000Åの
Si単結晶層を成長した基板中の酸素濃度の深さ分布をSI
MSにより調べたものである。高温熱処理を行っていない
にもかかわらず、プロファイルは極めて急峻である。遷
移領域幅を数十Aであった。酸素のプロファイルは800
℃30分の熱処理後もほとんど変化しなかった。第5図
a)、b)は第4図に示したサンプルの上層シリコン層
と下層基板との間のリーク電流を800℃の熱処理を行わ
ないものと行ったもので比較したものである。熱処理を
行わないものではリーク電流が多いが、行ったものでは
少なく、熱酸化膜を用いその上に形成したポリシリコン
をレーザーアニールによって再結晶化させたものとほぼ
同じレベルであった。以上の結果より、後の熱処理によ
って酸素高濃度層はSiO2に変化し、熱酸化膜を使ったも
のと遜色のないSOI基板が形成されていることが分かっ
た。また熱処理温度は600℃以上であれば、発明の効果
が得られる。ただし再現性を考慮すれば800℃以上で熱
処理することが望ましいが、熱処理と同時に光照射など
を行なえば、低温熱処理でも再現性の良い結果が得られ
る。熱処理雰囲気も水素、窒素など通常の熱処理の条件
であれば良い。
なお、本実施例ではシリコンウエハーを対象とした
が、本発明の方法は表面にのみシリコンが存在するSOS
(Silicon on Sapphire)基板や更に一般にSOI(Silico
n on Insulator)基板等にも当然適用できる。
(発明の効果) 以上、詳細に述べた通り本発明によれば酸化膜形成の
目的でSi中に注入する酸素の分布を急峻なものとするこ
とが注入層すなわち酸素高濃度層の厚さによらずでき
る。また酸素高濃度層とこの上に形成されたシリコンと
の界面も急峻となる。したがって従来の熱処理工程で必
要とされた界面を急峻にするためのプロセスは必要な
い。このため酸素高濃度層を酸化膜に変化させるための
熱処理は低温で行うことが可能となる。厚さを精密に制
御されたシリコン酸化膜上に、厚さを精密に制御された
良質のシリコン単結晶を低温で作成することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の原理の概念図、第2図は、本発明の
装置の概念図、第3図は、従来例を示す図、第4図は、
実施例で成長したSOI基板中の酸素濃度の深さ分布を示
す図、第5図は、上層シリコン層と下層基板との間のリ
ーク電流を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空槽内にシリコン単結晶を表面に持つ基
    板を配し、この基板表面を清浄化した後に、シリコン分
    子線を照射しながら、酸素イオンもしくは酸素イオンを
    含む酸素分子線を同時に照射することにより酸素を高濃
    度に含んだシリコン層から成る酸素高濃度層を形成する
    工程と、シリコン分子線を前記酸素高濃度層上に照射す
    ることによりシリコン層を形成する工程と、加熱によっ
    て前記酸素高濃度層を酸化シリコン層に変化させる工程
    とを備えてなることを特徴とするSOI基板の作成方法。
  2. 【請求項2】分子線成長可能な真空槽と前記真空槽内に
    配置され基板に電位をかけるための手段と、前記真空槽
    に連結されたシリコン分子線発生用電子銃式蒸着装置と
    酸素イオン発生用プラズマイオン源とを備えてなること
    を特徴とするSOI基板の作成装置。
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