JPH0882469A - 冷気循環式ショーケースの除霜装置および除霜方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】庫内温度の上昇を招くことなく、短時間で効率
よくエバポレータに付着している霜を効率よく除霜でき
るようにした冷気循環式オープンショーケースの除霜装
置，および除霜方法を提供する。 【構成】ケース本体の外箱１と内箱２との間に画成した
冷気循環ダクト（インナダクト）４に冷凍機のフィン付
コイル形エバポレータ６，および送風ファン７を配備
し、保冷運転時にエバポレータと熱交換した冷気を循環
送風して庫内を冷却する冷気循環式オープンショーケー
スにおいて、除霜熱源として遠赤外線パネルヒータ１０
を採用し、エバポレータ中央に挟んで冷気通風方向と直
角な側面に対向配置する。そして、除霜時にはヒータか
ら放射した遠赤外線をエバポレータの表面に堆積してい
る霜に直接吸収させて除霜を行う。また、この遠赤外線
による除霜を保冷運転を継続したまま並行して行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷気循環式ショーケー
スの除霜装置，および該除霜装置を使用した除霜方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】まず、図４により従来実施されている冷
気循環式オープンショーケースの除霜方式について述べ
る。図４において、１は前面を開放したケース本体の外
箱、２は内箱、３は商品陳列棚、４，５は内箱２を包囲
して外箱１との間に画成したインナダクト，アウタダク
ト、６はインナダクト４に設置した冷凍機のエバポレー
タ（フィン付コイル形エバポレータ）、７，８はイン
ナ，アウタダクト４，５に配備したインナ，アウタファ
ン、９はエバポレータ６の入口側に配置した除霜ヒータ
である。なお、エバポレータ６は図示されてない冷凍機
のコンデンシングユニットの冷媒回路に配管接続されて
いる。

【０００３】かかる構成で、保冷運転時には冷凍機を運
転してエバポレータ６と熱交換した冷気を循環送風し、
ケース本体の前面にインナ，アウタエアカーテンＡ，Ｂ
を吹出し形成して庫内の商品陳列棚３に並べた商品を保
冷することは周知の通りである。一方、４〜６時間おき
に周期的に行う除霜時には、冷凍機の運転を停止した状
態で除霜ヒータ９に通電し、この除霜ヒータ９で加熱し
た空気をファン７によりエバポレータ６に通風してその
表面に付着した霜を溶かす。なお、除霜により生じたド
レン水はインナダクト４の底部から外部に排水される。

【０００４】なお、除霜方式としては前記したヒータ除
霜方式の他に、エバポレータの冷媒パイプにホットガス
を直接流すホットガス除霜方式などもある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した従
来の除霜方式は次記のような問題点がある。 （１）除霜時にはその都度冷凍機の運転を停止してお
り、この冷凍機の停止，再起動の繰り返しにより、コン
プレッサなどに機械的，熱的ストレスが加わって冷凍機
の寿命が短くなる。

【０００６】（２）ヒータ除霜方式では、ヒータ通電に
より加熱，昇温した空気がエバポレータを通流した後に
庫内側にも循環するために、庫内温度が上昇し、これに
伴って精肉，鮮魚などの陳列商品の鮮度が低下する。 （３）ホットガス除霜方式は、除霜中にファンを停止す
ることで庫内温度の上昇はある程度抑えられるが、除霜
によりエバポレータ自身が高温となるために、除霜終了
に保冷運転を再開する際のプルダウンに長い時間がかか
るほか、ホットガスをエバポレータに送り込むために冷
媒回路が複雑化するなど問題もある。

【０００７】本発明は上記の点にかんがみなされたもの
であり、その目的は前記課題を解決し、庫内温度の上昇
を招くことなく、短時間で効率よくエバポレータに付着
している霜を効率よく除霜できるようにした冷気循環式
オープンショーケースの除霜装置、およびその除霜装置
を使用した除霜方法を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、除霜熱源として遠赤外線ヒータを
前記エバポレータに対向配置するものとする。そして、
前記の除霜装置は、具体的に次記のような態様で実施す
ることができる。

【０００９】（１）エバポレータを中央に挟んで冷気通
風方向と直角な側面にパネル状の遠赤外線ヒータを対向
配置する。 （２）エバポレータの冷媒パイプを、パネル状遠赤外線
ヒータから放射する遠赤外線に対して前後に重なり合わ
ないよう千鳥状に配列する。 （３）エバポレータの表面に黒体コーティングを施す。

【００１０】一方、前記構成の除霜装置を使用した除霜
方法として、本発明によれば、冷凍機の運転を継続した
まま、遠赤外線ヒータに通電して除霜を行うものする。
またその際には、除霜中に、エバポレータと同じ冷気循
環ダクト内に配置した送風ファンを低速運転に切換える
のがよい。

【００１１】

【作用】エバポレータの表面に霜が付着した状態で、遠
赤外線ヒータを通電すると、該ヒータから放射した遠赤
外線が霜に吸収され、加熱エネルギーに変換されて霜を
溶かす。この場合に遠赤外線は空気には殆ど吸収され
ず、したがって冷気循環ダクト内を通風する空気が直接
加熱されることはない。これにより、庫内温度を高める
ことなくエバポレータの表面に着霜した霜を短時間で効
率よく除霜することかできる。

【００１２】特に、遠赤外線ヒータにパネル状遠赤外線
ヒータを用いてエバポレータの左右側面に対向配備す
る、遠赤外線の照射を受け易いようにエバポレータの冷
媒パイプを千鳥状に配管する、さらにはエバポレータの
表面を黒体コーティングするなどの手段を採用すること
により、除霜がより一層効率よく短時間で行える。ま
た、遠赤外線はエバポレータを通る循環空気流を直接加
熱することがないので、冷凍機の運転を停止せずに保冷
運転を継続したまま、これと並行に除霜を行うことが可
能となり、この除霜方法により庫内温度，陳列商品の品
温上昇を抑制してその品質劣化を防ぐことができる。な
お、この場合には送風ファンを減速して定常の保冷運転
時よりも低速運転とするのが効果的である。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１ないし図３に基
づいて説明する。なお、実施例の図中で図４に対応する
同一部材には同じ符号が付してある。図１，図２におい
て、オープンショーケースの基本構造は図４と同様であ
るが、除霜熱源として遠赤外線パネルヒータ１０がフィ
ン付チューブ形のエバポレータ６を挟んでその両側（通
風方向と直角な側面）の長手方向に沿って対向配備され
ている。なお、１１は除霜制御を行うコントローラであ
る。この遠赤外線パネルヒータ１０は、金属抵抗発熱体
に放射率の高いセラミックパネルを組合わせたものであ
り、通電によりピーク波長5.５μｍの遠赤外線を放射す
る。

【００１４】一方、エバポレータ６については、隅々ま
で遠赤外線の照射を受け易くするために、フィン６ａに
対して図３で表すように冷媒パイプ６ｂを互いに上下方
向に位置をずらして千鳥状に配管されている。このよう
な冷媒パイプの配列とすることにより、遠赤外線パネル
ヒータ１０から放射する遠赤外線に対して冷媒パイプ６
ｂが前後に重なり合うことがなく、フィン６ａ，冷媒パ
イプ６ｂを含めてエバポレータ６の全表面に遠赤外線が
照射されるようになる。また、遠赤外線を吸収し易くす
るために、エバポレータ６の表面に黒体コーティングを
施しておくのが良い。

【００１５】かかる構成で、除霜時に遠赤外線パネルヒ
ータ１０に通電し、エバポレータ６に向けて遠赤外線を
照射すると、遠赤外線がエバポレータ６の表面に堆積し
ている霜に直接吸収され、直ちに加熱エネルギーに変換
されて霜を溶かす。この場合に、遠赤外線は伝播経路の
空気には殆ど吸収されず、エバポレータ６を通風する循
環空気流は直接加熱されることはない。したがって、エ
バポレータ６に冷媒を供給して保冷運転を継続したま
ま、この保冷運転と並行して除霜を行うことが可能であ
り、これにより庫内に陳列した商品の品温上昇を抑えつ
つ、短時間で除霜を行うことができる。なお、保冷運転
と除霜を並行して行う場合に、除霜中はインナファン７
を減速して定常の保冷運転時よりも低速運転とすること
が庫内温度の上昇抑制に有効であり、このことは実機試
験結果からも確認されている。

【００１６】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば次記
の効果を奏する。 （１）庫内の循環空気流を加熱することなしに、エバポ
レータの表面に付着している霜に遠赤外線を直接吸収さ
せて除霜を行うことができ、これにより従来のヒータ除
霜，ホットガス除霜方式に比べて、庫内温度，陳列商品
の品温上昇を抑制しつつエバポレータの除霜を効率よく
短時間で行うことができる。

【００１７】（２）遠赤外線を霜に直接照射して除霜を
行う方式であることから、冷凍機の運転を中断すること
なく、保冷運転を継続したままこれと並行して除霜を行
うことが可能であり、これにより商品の鮮度維持と併せ
て冷凍機の停止，再起動の繰り返しに伴う機械的，熱的
ストレスが抑えられるなど、商品の鮮度管理の向上，並
びに冷凍機の長寿命化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の要部構成図

【図２】図１におけるエバポレータ部分の斜視図

【図３】本発明実施例の構成によるエバポレータへの遠
赤外線の照射を模式的に表した説明図

【図４】従来のヒータ除霜方式を採用した冷気循環式オ
ープンショーケースの構成図

【符号の説明】

１ ケース本体の外箱 ４ インナダクト ６ エバポレータ ６ａ フィン ６ｂ 冷媒パイプ ７ インナファン １０ 遠赤外線パネルヒータ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ケース本体の外箱と内箱との間に画成した
   冷気循環ダクト内に冷凍機のフィン付コイル形エバポレ
   ータ，および送風ファンを配備し、保冷時にエバポレー
   タと熱交換した冷気を循環送風して庫内を保冷する冷気
   循環式ショーケースにおいて、除霜熱源として遠赤外線
   ヒータを前記エバポレータに対向配置したことを特徴と
   する冷気循環式ショーケースの除霜装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の除霜装置において、エバポ
   レータを中央に挟んで冷気通風方向と直角な側面にパネ
   ル状の遠赤外線ヒータを対向配置したことを特徴とする
   冷気循環式ショーケースの除霜装置。
3. 【請求項３】請求項２記載の除霜装置において、フィン
   付コイル形エバポレータの冷媒パイプを、パネル状遠赤
   外線ヒータから放射する遠赤外線に対して前後に重なり
   合わないよう千鳥状に配列したことを特徴とする冷気循
   環式ショーケースの除霜装置。
4. 【請求項４】請求項１ないし３のいずれかに記載の除霜
   装置において、エバポレータの表面を黒体コーティング
   したことを特徴とする冷気循環式ショーケースの除霜装
   置。
5. 【請求項５】請求項１記載の除霜装置において、冷凍機
   の運転を継続したまま、遠赤外線ヒータに通電して除霜
   を行うことを特徴とする冷気循環式ショーケースの除霜
   方法。
6. 【請求項６】請求項６記載の除霜方法において、除霜中
   に、エバポレータと同じ冷気循環ダクト内に配置した送
   風ファンを低速運転に切換えることを特徴とする冷気循
   環式ショーケースの除霜方法。