JPH07120132A - 冷気循環形ショーケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】除霜に伴う庫内温度の上昇を低く抑えつつ、エ
バポレータに付着した霜を短時間で効率よく除霜できる
ようする。 【構成】冷気循環形ショーケースにおいて、庫内の冷気
循環ダクトに配備した冷凍機の直膨式冷却コイル形エバ
ポレータ７の冷却コイル径を入口側より出口側の冷却コ
イル径を大きくし、該エバポレータの入口，出口にそれ
ぞれ電磁弁１０を接続して、エバポレータの底部側には
冷却コイル管７１に沿って除霜ヒータ８を伝熱的に配備
し、除霜時には前記入口，出口側の電磁弁を閉じた上で
除霜ヒータを通電して除霜を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エバポレータに付着し
た霜を効率よく除霜するための冷気循環形ショーケース
に関する。

【０００２】

【従来の技術】まず図６に頭記した冷気循環形ショーケ
ースの従来構成を示す。図において、１は前面を開口し
たオープンショーケースのケース本体、２は商品陳列棚
２１を装備した商品陳列室、３，４は商品陳列室２を取
り巻いてケース本体１の内部に画成した内外二重の冷気
循環ダクト、５，６は前記各ダクト３，４内に配備した
ファン、７は内側の冷気循環ダクト３内に設置した冷凍
機のエバポレータであり、該エバポレータは冷媒の入口
を上部に出口を下部にして蛇行配管した直膨式冷却コイ
ルにフィンを取付けたフィン付きコイルであって周知の
ように膨張弁を介して図示されていない別置の冷凍機コ
ンデンシングユニットに配管接続されている。なお８は
除霜ヒータであり、ダクト３内でエバポレータ７の入口
側に配備されている。

【０００３】かかる構成で保冷運転時には、前記した冷
気循環ダクト３，４を通じてケース本体１の前面開口部
に内外二層の冷気エアーカーテンＡ，Ｂが吹出し形成さ
れ、これにより庫内に陳列した商品が保冷される。一
方、ショーケースは保冷運転の時間経過とともにエバポ
レータ７に霜が発生付着して保冷性能を低下させること
から、周期的に保冷運転から除霜に切換え、前記した除
霜ヒータ８に通電して霜を除去することが一般に実施さ
れている。なお除霜方式としては、前記のヒータ除霜方
式の他に、冷却コイル内にホットガス除霜方式も知られ
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の各除霜方式では次のような欠点がある。すなわちヒ
ータ除霜方式では、ヒータを加熱した空気をファンによ
りエバポレータへ送流して除霜を行うために、冷気循環
ダクトを通じて庫内に吹き出す空気温度も２０℃前後に
まで上昇し、この結果として庫内温度，したがって陳列
商品の品温が大きく上昇し、特に精肉，鮮魚等の食品で
は品質が劣化する。またホットガス除霜方式では、除霜
時に高温のホットガスを直接エバポレータの冷却コイル
内に供給するのでエバポレータの表面温度もホットガス
温度に相応して急上昇する。このために除霜時間が短縮
できる利点のある反面、冷気循環形ショーケースでは庫
内を循環する空気温度も高まり、商品の品温上昇に及ぼ
す影響が大となる。

【０００５】本発明は、上記の点にかんがみ成されたも
のであり、除霜に伴う庫内温度の上昇を低く抑えつつ、
エバポレータに付着した霜を短時間で効率よく除霜でき
るようにした冷気循環形ショーケースを提供することを
目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、冷気循環形シ
ョーケースにおいて、庫内の冷気循環ダクトに配備した
冷凍機の直膨式冷却コイル形エバポレータの冷却コイル
径を入口側より出口側の冷却コイル径を大きくし、該エ
バポレータの入口，出口にそれぞれ電磁弁を接続して、
エバポレータの底部側には冷却コイル管に沿って除霜ヒ
ータを伝熱的に配備し、除霜時には前記入口，出口側の
電磁弁を閉じた上で除霜ヒータを通電して除霜を行うこ
とにより達成される。

【０００７】

【作用】上記のように、保冷運転から除霜に切換えた際
に、エバポレータの入口，出口側に接続した電磁弁を閉
じるとともに、同時に除霜ヒータを通電することによ
り、この時点でエバポレータの冷却コイル内に封じ込め
られていた冷媒は、凝縮して重力により冷却コイルの下
部に流下し、ここで除霜ヒータの加熱により蒸発して飽
和ガスとなる。またこの飽和ガスは冷却コイル内の上部
域に拡散してエバポレータの周囲に付着している霜へ放
熱した後に凝縮し、再び冷却コイルの下部に流下するよ
うに蒸発／凝縮サイクルを繰り返す。これにより冷却コ
イルはヒートパイプと同様に機能し、除霜ヒータより付
与された除霜熱を冷却コイルの全長域に亙りコイル内部
から凝縮潜熱の形で放熱してエバポレータの周面に付着
している霜を除霜する。また同時に除霜ヒータの発熱の
一部はダクト内の通風空気を加熱し、この空気を熱媒体
としてエバポレータへ外側からも除霜熱を付与すること
になる。なお除霜ヒータの給電回路にはエバポレータの
温度上昇に応動する過熱防止用サーモスタットが接続さ
れている。

【０００８】このようにエバポレータの冷却コイルをヒ
ートパイプとして機能させ、除霜ヒータの発生熱をエバ
ポレータに対してその冷却コイル内からも除霜熱を付与
することで、エバポレータに付着した霜を短時間で効率
よく除霜することができ、これにより除霜に伴う庫内温
度，商品の品温上昇を低く抑えることができる。

【０００９】

【実施例】図１は図６の冷気循環形ショーケースを実施
対象とした本発明実施例の構成図、図２は従来の除霜方
式と対比して表した本発明による除霜特性図、図３，図
４はエバポレータ略する。図１において、エバポレータ
７は上下に蛇行配管された冷却コイル７１に図示されて
いないフィンが取付けられた構造であり、エバポレータ
の上部側に位置する冷却コイル７１の冷媒入口には膨張
弁９，電磁弁１０を接続し、下部側に位置する冷媒出口
には電磁弁１１を接続した上で、冷凍機のコンデンシン
グユニット１２に配管接続して冷凍サイクルを構成して
いる。また、エバポレータ７における冷却コイルの入口
側の径より出口側の径の方を大きくして設けてある。さ
らに、エバポレータ７の冷却コイル７１の入口と出口と
の間を結んで逆止弁１３を含むバイパス管１４が配管さ
れ、エバポレータ７の底部側には冷却コイル７１の配管
を沿って除霜ヒータ８が伝熱的に配線されている。なお
１５はエバポレータ７に付設して除霜ヒータ８の給電回
路に介装接続した過熱防止用のサーモスタットである。

【００１０】かかる構成でショーケースの保冷運転時に
は、図示されていない運転制御部からの指令で電磁弁１
０，１１が開放され、この状態で冷凍機のコンデンシグ
ユニット１２が運転されて所定の保冷動作を行う。なお
この場合に前記バイパス管１４には逆止弁１３が介装さ
れているので冷媒がバイパス管１４を通って冷却コイル
７１内を短絡通流することはない。

【００１１】一方、タイマ制御等により保冷運転から除
霜に切換わると、運転制御部からの指令で電磁弁１０，
１１が共に閉じ、同時に除霜ヒータ８が通電される。ま
た電磁弁１０，１１を閉じた時点では、冷却コイル７１
の内部に残留している冷媒はその蒸発温度に対応した圧
力で冷媒ガスと液冷媒とが共存する形で封じ込められて
おり、このうち液冷媒は重力によって蛇行状の冷却コイ
ル７１の管内を流下してその底部に溜まるようになる。
また冷却コイル７１の下部配管は除霜ヒータ８で加熱さ
れている。

【００１２】これにより冷却コイル７１の内部を流下し
た液冷媒は、その下部で除霜ヒータ９の加熱により蒸発
して飽和ガスとなり、ここから逆止弁１３，バイパス管
１４を通って冷却コイル７１の上部入口側に拡散し、エ
バポレータ７の周面に付着している霜へ放熱する。また
周面に放熱した冷媒ガスは凝縮し、蛇行状の冷却コイル
７１の内部を流下して再び除霜ヒータ８の加熱を受けて
蒸発するように蒸発／凝縮サイクルを繰り返す。つまり
エバポレータ７の冷却コイル７１はヒートパイプと同様
に機能し、除霜ヒータ８より付与された熱を冷却コイル
内に熱移送してその全域で霜を放熱する。また除霜ヒー
タ８の発熱の一部は冷気循環ダクト内を通風する空気を
加熱し、エバポレータ７に対して外側からも除霜熱を与
える。

【００１３】このように除霜ヒータ８の加熱でエバポレ
ータ７へ内外から除霜熱を付与することにより、エバポ
レータ７に付着した霜の除霜が効果的に進行して短時間
で除霜を終了することができ、ショーケースの庫内温
度，したがって陳列商品の品温上昇を抑えてその品質維
持を図ることができる。しかも、除霜終了時に液冷媒が
冷凍機に戻らなくなるため、冷凍機の液圧縮による冷凍
機の故障が無くなる。

【００１４】次に本発明の除霜方式の評価を確認するた
めに、発明者が従来のホットガス除霜方式，ヒータ除霜
方式と本発明の除霜方式とを対比して行った実機での除
霜テストの結果を図２に示す。なお本発明の方式では除
霜条件として先記した過熱防止用サーモスタット１５の
設定温度を５℃とした。図２の除霜特性から明らかなよ
うに、本発明の除霜方式によれば、従来のヒータ除霜方
式と比べて除霜時間，並びに庫内の温度上昇幅が遙かに
小であり、かつホットガス除霜方式に比べても庫内の温
度上昇が格段低く抑えられることが判る。

【００１５】次に図３ないし図５に本発明の別な実施例
を示す。この実施例は除霜に伴う庫内温度上昇をより効
果的に抑制するようにしたものであり、図３に示すよう
に冷気循環ダクト３内には２基に分割されたエバポレー
タ７ａ，７ｂが相互間に断熱仕切板１６を介して左右に
並置配備されており、かつ各エバポレータ７ａ，７ｂ毎
に図１の実施例と同様に電磁弁，逆止弁付きバイパス
管，および除霜ヒータが付設されている。またその構成
を図４の冷媒回路図に示す。なお図中、８ａ，８ｂｈ除
霜ヒータ、９ａ，９ｂは膨張弁、１０ａ，１０ｂは冷却
コイルの入口側に接続した電磁弁、１１ａ，１１ｂは冷
却コイルの出口側に接続した電磁弁、１３ａ，１３ｂは
逆止弁、１４ａ，１４ｂはバイパス管である。

【００１６】かかる二分割構造のエバポレータを装備し
たショーケースは、図５の運転タイムチャートで示すよ
うに、分割エバポレータ７ａ，７ｂに対する除霜が互い
にタイミングをずらして周期的に順次行われる。また各
分割エバポレータの除霜時には除霜側の分割エバポレー
タに対して図１で述べたと同様な方式で除霜が行われ
る。

【００１７】このような運転制御により、２基の分割エ
バポレータ７ａ，７ｂのうち、一方の分割エバポレータ
を除霜している期間には他方の分割エバポレータが保冷
運転状態にある。つまりショーケースの全稼働期間を通
じて少なくとも片方の分割エバポレータが保冷運転を継
続するようになる。

【００１８】

【発明の効果】以上のように本発明では、次記の効果を
奏する。 エバポレータの冷却コイルにヒートパイプと同様な機
能を持たせ、除霜ヒータにより加えた除霜熱をエバポレ
ータに対してその内外から付与するようにし、また、冷
却コイルの径を入口側より出口側の径を大きくしたの
で、冷媒が下部に溜まりやすく、ヒータ熱により冷媒が
飽和ガス化しやすくなり、従来のホットガス除霜方式、
ヒータ除霜方式と比べて除霜時における庫内温度、した
がって商品の品温上昇を良好に抑えつつ、短時間で効率
よく除霜を行うことができ、これにより精肉，鮮魚等の
商品の品質維持に大きく寄与することができる。

【００１９】エバポレータを複数基に分割して冷気循
環ダクト内に並置し、かつ各分割エバポレータの相互間
でタイミングをずらして周期的に前項で述べたと同様
な方式で除霜を行うことにより、一方の分割エバポレー
タを除霜している期間中でも他方の分割エバポレータが
継続して保冷運転することになり、これによりショーケ
ースの全稼働時間を通じて除霜に伴う庫内温度の上昇を
より一層効果的に抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例によるエバポレータの構成図

【図２】従来の除霜方式と対比して表した本発明の除霜
特性図

【図３】本発明の別な実施例を示すショーケース全体の
構成図

【図４】図３における冷媒回路図

【図５】図３における冷媒回路図

【図６】従来における冷気循環形ショーケース全体の構
成図

【符号の説明】

３ 冷気循環ダクト ７ エバポレータ ７ａ，７ｂ 分割エバポレータ ８，８ａ，８ｂ 除霜ヒータ １０，１０ａ，１０ｂ 入口側電磁弁 １１，１１ａ，１１ｂ 出口側電磁弁 １３，１３ａ，１３ｂ 逆止弁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】庫内の冷気循環ダクトに配備した冷凍機の
   直膨式冷却コイル形エバポレータの冷却コイル径を入口
   側より出口側の冷却コイル径を大きくし、該エバポレー
   タの入口，出口にそれぞれ電磁弁を接続して、エバポレ
   ータの底部側には冷却コイル管に沿って除霜ヒータを伝
   熱的に配備したことを特徴とする冷気循環形ショーケー
   ス。