JPH0882255A - 排気ガス還流装置の異常診断装置 - Google Patents

排気ガス還流装置の異常診断装置

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JPH0882255A
JPH0882255A JP6218863A JP21886394A JPH0882255A JP H0882255 A JPH0882255 A JP H0882255A JP 6218863 A JP6218863 A JP 6218863A JP 21886394 A JP21886394 A JP 21886394A JP H0882255 A JPH0882255 A JP H0882255A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 EGR装置の異常診断を実施する領域を拡大
するとともに、診断実施領域を正確に判定する。 【構成】 機関1の吸気通路3に排気通路5の排気ガス
の一部を還流するEGR装置20と、EGR実施中にE
GR装置の異常の有無を診断する制御回路50を設け
る。制御回路50は、機関運転中にスロットル弁7開度
と機関回転数とから標準状態におけるEGR実施時の吸
気通路圧力PMONと停止時の吸気通路圧力PMOFF を算
出して、これらの差ΔPM(=|PMON−PMOFF |)
を大気圧で補正した値が所定値以下のときに、機関が異
常診断可能な運転領域で運転されていると判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の吸気管に排
気の一部を還流させる排気ガス還流装置の異常の有無を
判定する、排気ガス還流装置の異常診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の排気の一部を吸気
通路に還流して機関に吸入させる排気ガス還流装置(E
GR装置)が知られている。EGR装置は、機関燃焼室
に排気ガスを供給することにより機関燃焼温度を低下さ
せ燃焼により発生するNOX (窒素酸化物)を低減する
ために用いられる。
【0003】上記のようなEGR装置に異常を生じると
NOX 成分の増大により排気性状が悪化することになる
ため、EGR装置の異常の有無を診断し、異常発生時に
運転者に報知する異常診断装置が種々考案されている。
この種の異常診断装置の例としては、例えば特開昭63
−41653号公報に記載されたものがある。同公報の
装置は、車両用内燃機関の吸気管と排気管とを接続する
EGR通路に吸気管負圧で駆動される排気還流制御弁
(EGR弁)を設けた機械式のEGR装置に関するもの
であり、上記EGR通路に温度センサを配置してEGR
通路を通って還流する高温の排気ガス(EGRガス)の
有無を検出することによりEGR装置の異常を診断する
ものである。すなわち同公報の装置では、EGR弁の開
弁操作を行ったにもかかわらず、上記温度センサで温度
上昇が検出されない場合にはEGR通路を通って排気が
流れていないと判定されるためEGR弁や制御装置な
ど、EGR装置のいずれかの部分に異常が生じたと判断
する。
【0004】また、上記公報の装置では吸気管負圧でE
GR弁を駆動しているため、例えば高地走行中等で大気
圧が低下した状態では、特に高負荷運転時に吸気管負圧
(大気圧と吸気管内の絶対圧力との差圧)が大気圧の低
下に応じて小さくなりEGR弁の駆動力が不足するた
め、EGR弁に吸気管負圧を供給してもEGR弁が開弁
しない場合が生じる。この状態で上記の異常診断を実行
すると、EGR弁を開弁操作しているにもかかわらず排
気の還流が生じないため、実際はEGR装置に異常がな
いにもかかわらず異常が生じたと誤判断するおそれがあ
る。
【0005】そこで上記公報の装置では、この誤判断が
生じることを防止するために機関の高負荷運転側での異
常診断実施を、スロットル弁開度が一定の値以下(或い
は、吸気管負圧が一定の値以上)のときにのみ実施する
ようにしている。これにより、異常診断はEGR弁を開
弁するのに十分な吸気管負圧が得られる場合にのみ実行
されることになり、誤判断が防止される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭63−41
653号公報の装置では、EGR通路に温度センサを配
置することにより、EGR通路を通るEGRガス流の有
無を検出してEGR装置に異常が生じたか否かを判断し
ているが、EGRガス流の有無は吸気管圧力を監視する
事によっても検出可能である。例えば、同一の運転状態
で吸気管にEGRガスを供給するとEGRガスを供給し
ない場合に較べて吸気管圧力は供給されたEGRガス量
に応じて上昇(吸気管負圧が低下)する。従って、機関
運転中にEGR弁を強制的に開閉操作し、EGR弁の開
弁時と閉弁時における吸気管圧力の変化を計測すること
により、この変化量が小さい場合にはEGR弁の開弁時
にEGRガスが供給されておらず、EGR装置に異常が
生じていると判断することができる。
【0007】上記特開昭63−41653号公報の装置
では、EGR装置の異常診断を行うために専用の温度セ
ンサをEGR通路に配置する必要が生じるが、もともと
他の制御を行うために吸気管圧力センサを必要とする機
関(例えば、吸気管圧力に基づいて燃料噴射制御を行う
ような機関)では、この吸気管圧力センサをEGR装置
の異常診断にも使用することができ、異常診断専用にセ
ンサを設ける必要がなくなるため、吸気管圧力に基づい
てEGR装置の異常診断を行うことが特に有利となる。
【0008】ところが、吸気管圧力に基づいてEGR装
置の異常診断を行う場合には、上記特開昭63−416
53号公報の装置のように異常診断を実施する運転領域
をスロットル弁開度等の運転状態パラメータの値(上限
値または下限値)で一律に規定していると問題を生じる
場合がある。すなわち、EGR弁の開弁時に吸気通路に
供給されるEGRガス量は、EGR弁開度や吸気管負
圧、排気ガス圧力等により複雑に変化する。このため、
上記公報のように異常診断を行う運転領域をスロットル
弁開度等の運転状態パラメータの値で一律に規定する
と、異常診断を実施する領域の中でもEGR量が多い部
分と少ない部分とが生じることになる。
【0009】上記公報の装置のように温度センサを使用
してEGRガス流を検出する場合には、EGRガス温度
が高いため比較的EGRガス量が比較的少ない場合でも
EGRガス流を検出することができる。しかし、吸気管
圧力の変化に基づいてEGRガス流を検出する場合に
は、EGRガス量が少ないとEGR弁開閉時の吸気管圧
力の変化が小さくなり、実際にはEGR装置が正常に作
動しているにもかかわらず異常が生じたと誤判断する場
合が生じる。
【0010】以下、この問題を図14を用いて説明す
る。以下の説明では説明を簡単にするために、異常診断
を実施する運転領域をスロットル弁開度TAと機関回転
数NEとの2つの運転状態パラメータを用いて規定した
場合について示しているが、他の運転状態パラメータを
用いた場合、または3つ以上の運転状態パラメータを用
いた場合にも同様な問題が生じる。
【0011】図14において、異常診断を実施する運転
領域(図にAで示す実線で囲まれる領域)はスロットル
開度TAの下限値TA1 と上限値TA2 (TA1 ≦TA
≦TA2 )、及び機関回転数NEの下限値NE1 と上限
値NE2 (NE1 ≦NE≦NE2 )の2つの運転状態パ
ラメータの値で規定されている。この領域はEGR弁が
開弁可能な吸気管負圧が得られる領域に対応している。
従って、領域Aの範囲内ではEGR弁は常に開弁してい
る。ところが、EGR弁が開弁した状態であっても領域
A内では常に同じEGRガス量が得られるわけではな
く、図に示したように領域A内でもEGR量は変化して
おり、領域Aの中央部付近ではEGRガス量が多く、周
辺部に向かうにつれてEGRガス量が少なくなってい
る。
【0012】このため、運転状態パラメータが領域A内
にある場合に一律に異常診断を実施すると、例えば図に
1 からC4 で示した領域角部近傍ではEGR弁が正常
に作動しているにもかかわらずEGRガス量が少なくな
り、吸気管圧力に基づいて異常診断を行う場合には正常
なEGR装置が異常診断されてしまう問題が生じる。こ
れを防止するためには、図に点線A′で示したように異
常診断領域がEGRガス量が少ない部分を含まないよう
に異常診断領域を狭く設定すれば良いが、このように異
常診断を実施する運転領域を狭めると異常診断が実施さ
れる頻度がそれに応じて減少してしまい、EGR装置の
異常を早期に検出できなくなる場合が生じる問題があ
る。
【0013】上記は、スロットル弁開度と機関回転数の
2つの運転状態パラメータを例にとって説明したが、他
の運転状態パラメータ(例えば、吸気管負圧、燃料噴射
信号のパルス幅)を用いた場合も、運転状態パラメータ
の値(上限値と下限値と)で異常診断実施領域を一律に
規定した場合には必ず領域内にEGRガス量の大小が生
じてしまい、誤診断や異常診断実施頻度の低下等の問題
が生じるのである。
【0014】本発明は上記問題に鑑み、吸気管圧力に基
づいてEGR装置の異常を診断する場合に、誤診断や異
常診断実施頻度の低下を生じることのないEGR装置の
異常診断装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関の吸気通路に排気ガスの一部を還流さ
せる排気ガス還流装置の異常有無を診断する異常診断装
置であって、吸気通路内圧力を検出する吸気圧検出手段
と、前記排気ガス還流装置作動時の吸気通路内圧力と前
記排気ガス還流装置非作動時の吸気通路内圧力とに基づ
いて前記排気ガス還流装置の異常の有無を判定する異常
判定手段と、機関負荷状態に関連する運転状態パラメー
タを検出するパラメータ検出手段と、前記検出された運
転状態パラメータを用いて、排気ガス還流装置が正常な
状態で、機関が前記検出された運転状態パラメータで運
転された場合における、排気ガス還流装置作動時と非作
動時との吸気通路圧力の差を、予め定めた関係に基づい
て算出する標準圧力差演算手段と、前記標準圧力差演算
手段により算出された吸気通路圧力差が予め定めた判定
値より小さい場合に、前記異常判定手段による異常有無
の判定を禁止する禁止手段と、を備えた異常診断装置が
提供される。
【0016】また、請求項2に記載の発明によれば、請
求項1に記載の発明において、前記標準圧力差演算手段
は、前記検出された運転状態パラメータを用いて、機関
が標準大気圧条件下で運転されており、かつ排気ガス還
流装置が正常で、機関が前記検出された運転状態パラメ
ータで運転されている場合における、前記排気ガス還流
装置作動時と非作動時との吸気通路圧力の差を予め定め
た関係に基づいて算出し、前記禁止手段は更に、大気圧
力を検出する大気圧検出手段と、該検出された大気圧と
標準大気圧とに基づいて、前記標準圧力差演算手段によ
り算出された吸気通路圧力差を補正する補正手段とを備
え、該補正後の吸気通路圧力差が予め定めた判定値より
小さい場合に前記異常判定手段による異常有無の判定を
禁止する、異常診断装置が提供される。
【0017】
【作用】請求項1に記載の発明では、標準圧力差演算手
段は、例えばスロットル弁開度と機関回転数等の検出さ
れた運転状態パラメータを用いて、機関がこの運転状態
パラメータで運転されている場合における、排気ガス還
流装置の正常作動時と非作動時との吸気通路圧力差を算
出する。算出された圧力差が所定の判定値より小さい場
合には、現在の運転状態では排気ガス還流装置の異常の
有無にかかわらず装置作動時と非作動時との吸気通路圧
力が小さくなり、誤判定が生じやすくなることが予想さ
れる。禁止手段は、算出された圧力差が所定の判定値よ
り小さい場合には排気ガス還流装置の異常診断の実施を
禁止することにより誤判定が生じやすい運転状態での異
常診断の実施を禁止する。
【0018】請求項2に記載の発明では、標準圧力差演
算手段は機関が標準大気圧条件下で運転されている場合
における上記吸気通路圧力差を算出し、禁止手段は現在
の大気圧を検出するとともに、検出した大気圧と前記標
準大気圧とに基づいて上記算出された吸気通路圧力差を
補正し、補正後の吸気通路圧力差を用いて異常診断の実
施可否を判断する。大気圧が変化すると、機関の運転状
態パラメータが同一の値であっても排気ガス還流量は大
気圧に応じて変化するため、異常診断実施可能な運転領
域も変化するが、禁止手段は現在の大気圧と標準大気圧
とに基づいて標準大気圧条件下における吸気通路圧力差
を補正し、この補正後の吸気通路圧力差に基づいて異常
診断実施可否を判定するため、大気圧の変化にかかわら
ず誤判定が生じ易い運転状態での異常診断の実施が禁止
される。
【0019】
【実施例】以下、添付図面を用いて本発明の一実施例に
ついて説明する。図1は本発明の異常診断装置を車両用
内燃機関に適用した場合の実施例の概略構成を示す図で
ある。図1において、1は内燃機関本体、3は吸気通
路、5は排気通路を示す。
【0020】吸気通路3には、エアクリーナ6の下流側
に運転者のアクセルペダル(図示せず)の操作に応動し
て吸気通路3を絞るスロットル弁7、及びスロットル弁
7下流側には吸気の脈動を減衰するサージタンク9が配
置されている。また、図1に11で示すのは、機関1の
各気筒吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁である。
【0021】排気通路5は、図示しない触媒コンバー
タ、マフラー等を経て大気に開放されている。図1に2
0で示すのは排気通路5を流れる排気の一部を吸気通路
3のサージタンク9内に還流するEGR装置である。本
実施例では、EGR装置20はEGR弁21、EGRモ
ジュレータ23、EGR制御弁27を備え、吸気通路3
内の負圧に応じて排気還流を実施するいわゆる機械式の
EGR装置が使用されている。
【0022】EGR弁21は、排気通路5と吸気通路3
のサージタンク9とを連通するEGR通路22に配置さ
れ、該EGR通路22を開閉する弁体21aを備えてい
る。また、EGR弁21は、ダイヤフラム21bを介し
て両側に形成された2つの圧力室21c、21dを備え
ている。弁体21aはダイヤフラム21bに連結されて
おり、ダイヤフラム21bの変形量に応じた量だけ移動
する。また、圧力室21cはEGR制御弁27を介して
EGRモジュレータ23に接続されており、圧力室21
dは大気に開放されている。図に21eで示すのは弁体
21aがEGR通路22を閉鎖する方向にダイヤフラム
21bを押圧付勢するスプリングである。後述するよう
に、EGR制御弁27を介してサージタンク9からEG
Rモジュレータ23により調圧された負圧が圧力室21
cに供給されると、ダイヤフラム21bはスプリング2
1eの付勢力に抗して変形し、弁体21aを開弁方向に
移動させる。このため、EGR弁21は、EGR制御弁
27を介して供給される負圧の大きさに応じた開度をと
る。
【0023】EGR制御弁27は、EGR弁21の圧力
室21cとサージタンク9とを接続する負圧通路28上
に配置されたソレノイド式三方切換弁であり、ソレノイ
ド通電時にはEGR弁21の圧力室21cを大気に連通
し、ソレノイド除電時には圧力室21cと負圧通路28
とを連通する。EGR制御弁27のソレノイドへの通電
は後述する制御回路50により制御される。
【0024】EGRモジュレータ23は、ダイヤフラム
23aの両側に形成された圧力室23bと23cとを備
える。圧力室23bには導圧管26を介してEGR弁2
1上流側のEGR通路22の排気圧力が供給されてい
る。また、圧力室23cはポート23fにより、図示し
ない絞りを介して大気に連通している。更に、圧力室2
3cは、導圧管24を介して吸気通路3のスロットル弁
7部分に配置されたスロットルポート25に連通してい
る。また、圧力室23cには、前述の負圧通路28に連
通するポート23eが設けられている。ダイヤフラム2
3aが図の上方に向けて変形すると、ポート23eには
ダイヤフラム23aの変形量に応じた絞りが与えられ
る。図に23gで示すのは、ポート23eが開放される
方向にダイヤフラム23aを押圧付勢するスプリングで
ある。
【0025】導圧管24を介して圧力室23cに供給さ
れる負圧が小さい場合には、圧力室23c内の圧力はポ
ート23fから流入する大気のために大気圧に近い値と
なり、ダイヤフラム23aはスプリング23gに押圧さ
れてポート23eを開放する。これにより、負圧通路2
8にはポート23eから大気が流入し、負圧通路28内
の負圧は小さな値となる。このため、EGR制御弁27
により負圧通路28とEGR弁21の圧力室21cとが
連通した場合でもEGR弁21は開弁しない。一方、導
圧管24を介して供給される負圧が大きくなると、圧力
室23c内の圧力は低下し、ダイヤフラム23aはスプ
リング23gに抗して圧力室23c側に変形し、ポート
23eは徐々に絞られる。このため、負圧通路28内の
負圧は増大し、EGR制御弁27により負圧通路28と
EGR弁21の圧力室21cとが連通すると、EGR弁
21が開弁するようになる。
【0026】上記導圧管24が接続されるスロットルポ
ート25は、スロットル弁7の全閉時にスロットル弁7
の弁体よりやや上流側に位置する位置に開口している。
このため、スロットルポート25(すなわち導圧管2
4)には、スロットル弁7が全閉から一定の開度(例え
ば8°程度)まで開弁するまではスロットル弁7上流側
の吸気通路の圧力(略大気圧)が作用する。また、スロ
ットル弁7が更に開弁して、上記一定の開度を越える
と、スロットルポート25には、スロットル弁7下流側
の吸気通路の負圧が作用する。このため、導圧管24内
の圧力はスロットル弁開度に応じた負圧になる。一方、
更にスロットル弁7が開弁すると、スロットル弁7下流
側の吸気通路圧力は増大するため、導圧管24内の負圧
は低下する。このため、EGRモジュレータ23とEG
R制御弁27との間の負圧通路28内の負圧、及び排気
ガス還流量(EGR量)は、スロットル弁開度に応じて
以下のように変化する。
【0027】まず、スロットル弁7が全閉から前述の一
定開度に到達するまでは、導圧管24内の圧力は略大気
圧となり、EGRモジュレータ23の圧力室23cには
負圧が供給されないため、ポート23eは開放され負圧
通路28内の負圧は低下(絶対圧力は上昇)する。この
ため、機関のアイドル及び低負荷運転時にはEGR制御
弁27が開弁してもEGR弁21は開弁せず、排気ガス
還流(EGR)は生じない。
【0028】次に、スロットル弁7開度が上記一定開度
を越えると、導圧管24内には負圧が生じる。また、こ
の負圧はスロットル弁開度と機関回転数とに応じて変化
する。このため、EGRモジュレータ23のポート23
eの開度もこの負圧に応じて変化し、負圧通路28に生
じる負圧もスロットル弁開度と機関回転数とに応じて変
化することになる。EGR制御弁27開弁時には、EG
R弁21開度は負圧通路28内の負圧に応じて変化する
ため、スロットル弁7の上記開度領域(中負荷運転領域
に相当)ではEGR量はスロットル弁開度と機関回転数
とに応じて変化することになる。
【0029】一方、更にスロットル弁7が開弁して全開
に近くなると、スロットル弁7下流側の負圧そのものが
低下する。このため、高負荷運転領域ではEGR弁21
は開弁せず、排気ガス還流は生じない。次に、図1に5
0で示した制御回路について説明する。制御回路50
は、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)51、
ROM(リードオンリメモリ)52、CPU(マイクロ
プロセッサ)53及び入力ポート55、出力ポート56
をを双方向性バス57で接続した公知のディジタルコン
ピュータとして構成される。また、図に54で示したの
は、CPU53にクロック信号を出力する制御回路50
のクロック信号発生回路である。
【0030】制御回路50は、機関1の燃料噴射量制
御、点火時期制御等の基本制御を実行する他、本実施例
では、所定のEGR実行条件が成立したときにEGR制
御弁27を切り換えて、負圧通路28をEGR弁21の
圧力室21cに連通することによりEGRの実行を許可
する。EGR実行の許可条件は、例えば機関冷却水温度
が所定値以上であること(すなわち、機関の暖機が終了
していること)、及び吸気通路負圧(大気圧と吸気通路
内絶対圧力との差)が所定値以上であること(EGR弁
21を開弁させるのに十分な吸気通路負圧が発生してい
ること)等であり、これらの条件が同時に成立している
ときにのみEGR実行を許可する。
【0031】上記制御のため、制御回路50の出力ポー
ト56は、図示しない駆動回路や点火回路を介して燃料
噴射弁11と機関の点火プラグ12とにそれぞれ接続さ
れている他、図示しない駆動回路を介してEGR制御弁
27に接続され、EGR制御弁27のソレノイドへの通
電を制御している。また、制御回路50の入力ポート5
5には、吸気通路3のサージタンク9に設けられた吸気
圧センサ42と吸気温度センサ43とからサージタンク
内の吸気通路内圧力(絶対圧力)と吸気温度に対応する
電圧信号が図示しないAD変換器を介して入力されいる
他、スロットル弁7近傍に設けられたスロットルポジシ
ョンセンサ41からスロットル弁開度に対応する電圧信
号と、機関1の冷却水通路に設けられた冷却水温度セン
サ45から冷却水温度に対応する電圧信号とがそれぞれ
図示しないAD変換器を介して入力されている。
【0032】図に44で示したのは機関1の点火ディス
トリビュータに設けられ、機関回転数に応じた間隔のパ
ルス信号を発生する回転数センサ、46で示したのは、
機関変速機出力軸に設けられ車速に応じた間隔のパルス
信号を発生する車速センサである。これらの出力も制御
回路50の入力ポート55に供給される。また、図に4
7で示すのは大気圧(絶対圧力)に応じた電圧信号を発
生する大気圧センサである。大気圧センサ47の出力も
図示しないAD変換器を介して制御回路50の入力ポー
ト55に供給される。
【0033】大気圧センサ47の出力は、制御回路50
の燃料噴射制御における大気圧補正用、及び吸気圧セン
サ42の出力とともに吸気管負圧を計算するために用い
られる他、後述するようにEGR装置の異常診断実施領
域の判定の際の吸気通路圧力差を大気圧で補正する際に
用いられる。なお、本実施例では大気圧測定のために独
立したセンサ47を設けているが、例えば、機関始動直
前の(すなわち吸気通路3に吸気の流れが生じていない
時の)吸気圧センサ42で検出した圧力を大気圧の近似
値として使用したり、或いは機関運転時の運転状態パラ
メータを用いて大気圧を計算することにより、大気圧セ
ンサ47を設けずに大気圧を求めるようにしても良い。
【0034】次に、本実施例のEGR装置の異常診断の
方法について説明する。本実施例では、EGR実施中
(EGR制御弁27が負圧通路28とEGR弁21の圧
力室21cとを連通する位置に切り換えられている状
態)とEGR停止中(EGR制御弁27が圧力室21c
を大気に連通する位置に切り換えられている状態)とに
おける吸気通路圧力(吸気圧センサ42の出力)の変化
に基づいてEGR装置の異常の有無を診断する。
【0035】機関運転中、EGR停止時には吸気通路圧
力はその運転状態におけるスロットル弁7開度TAと機
関回転数NEとにより一義的に決定される。また、EG
Rが実施されると、EGR装置が正常に作動している場
合には、サージタンク9にEGRガスが還流されるため
吸気通路圧力はEGR停止時に較べて上昇し、この吸気
通路圧力の上昇幅は供給されるEGRガス量が多い程増
大する。従って、EGR装置に異常があり、正常時より
EGRガス量が低下すると吸気通路圧力はEGRが正常
に実施された場合に較べて低下する。このため、予め各
スロットル弁開度と回転数との条件でEGRガス量の許
容下限値に対応する吸気通路圧力(判定値)を求めてお
けば、EGR実施中の実際の吸気通路圧力が上記判定値
より低くなった場合にEGR装置に異常が生じたと判定
できるはずである。
【0036】しかし、実際には機関の個体間のばらつき
や経時変化、或いは環境(例えば大気圧)の変動等によ
り、EGRガス量許容下限値に対応する吸気通路圧力
(判定値)が変動する場合があり、上記判定値のみに基
づいてEGR装置の異常を判定すると誤判定を生じる。
そこで、本実施例では、標準状態(例えば機関が新しい
状態で標準大気圧下で運転した場合)におけるEGR停
止時の吸気通路圧力(PMOFFCAL)と、上記EGRガス
量許容下限値に対応する吸気通路圧力(PMABCAL )を
予め各スロットル弁開度TAと機関回転数NEとの値に
ついて実験により求めておき、TAとNEとを用いたマ
ップの形で制御回路50のROM52に記憶している。
そして、実際の運転時のEGR実施中に計測した吸気通
路圧力(PMON)と、EGR実施中に強制的にEGR弁
21を閉弁して(EGRを停止して)計測した吸気通路
圧力(PMOFF )及び、上記PMONとPMOFF とを計測
した時と同一のスロットル弁開度、回転数でのPM
OFFCALとPMABCAL を上記マップから求め、これらき値
に基づいてEGR装置異常の有無を判定する。
【0037】図2は、上記の判定原理を説明する図であ
る。図2においてPMONとPMOFF及び、同一のTAと
NEにおけるPMOFFCALとPMABCAL との値が図示した
関係にあったとする。図2において、機関は標準状態か
ら外れた状態で運転されているため、PMOFF とPM
OFFCALとは一致していない。このため、現在の運転状態
におけるEGRガス量の許容下限値に対応する吸気通路
圧力(判定値)も標準状態の判定値PMABCAL とは異な
っていることが予想され、PMONとPMABCAL とを比較
しただけではEGR装置の異常の有無を正確に判断する
ことができない。しかし、図に示すようにEGR停止時
の吸気通路圧力の実測値PMOFF が標準状態における値
PMOFFCALからDだけ変化しているとすると、現在の運
転状態における実際の判定値もPMABCAL に対してDだ
け変化していると考えられる。
【0038】そこで、本実施例では、標準状態における
判定値PMABCAL に上記Dを加えた値を現在の運転状態
における判定値(PMTH)として用い、このPMTHとE
GR実施時の測定値PMONとを比較することによりEG
R装置の異常の有無を判定する。すなわち、PMONがP
TH+β以上の場合(PMON≧PMABCAL +D+β)に
はEGR装置が正常、PMTH+α以下の場合(PMON
PMABCAL +D+α)にはEGR装置が異常であると判
定する。また、PMTH+α<PMON<PMTH+βである
場合には正常、異常とも判定せず再度判定を実施する。
なお、α、βは一定値であり、本実施例では、例えばα
=10mmHg、β=15mmHg程度の値とされる。
【0039】ここで、判定値PMTHに対して一定値α、
βだけ高い吸気通路圧力で異常の有無を判定しているの
は、異常が看過されて正常判定が成される可能性を排除
し、判定に安全を期すためである。また、PMTH+α<
PMON<PMTH+βの場合に正常、異常を判定しないの
は、この領域ではEGR装置が正常であるにもかかわら
ず異常と誤判定される可能性があるためである。なお、
標準状態における判定値PMABCAL は、EGRガスが全
く流れない状態の値、すなわちPMOFFCALと同一の値と
しても良い。
【0040】図3、図4は制御回路50により実行され
る上記異常診断ルーチンを示す。本ルーチンは一定時間
毎(例えば65ms毎)に実行される。図3においてル
ーチンがスタートすると、ステップ301ではスロット
ル弁開度TA、回転数NE、吸気通路圧力PMがそれぞ
れ対応するセンサ41、44、42から読み込まれる。
【0041】次いで、ステップ303では現在の運転状
態が異常診断実施可能な領域か否かを表す診断領域フラ
グF1の値が1にセットされているか否かが判定され
る。フラグF1の値は別途実行されるルーチンで設定さ
れ、F1=1は現在の運転状態が異常診断実施可能領域
にあることを表している。診断実施領域の判定について
は後に詳述する。
【0042】また、ステップ305では、異常診断実施
のための前提条件が成立しているか否かを示すフラグF
2の値が1にセットされているか否かが判定される。F
2=1は前提条件が成立していることを表している。こ
の前提条件についても、後に詳述するが、現在EGR実
施中であることも前提条件の1つとされる。ステップ3
03、305のいずれかで否定判定がなされた場合に
は、ルーチンはステップ304に進み条件成立カウンタ
Tをゼロにリセットし、ステップ306で現在のスロッ
トル弁開度TAを変数TAMSとして記憶して、図4ス
テップ347でそのままルーチンを終了する。これによ
り、変数TAMSの値は前提条件成立直前(すなわち異
常診断実行開始時)のスロットル弁開度を表すことにな
る。なお、変数TAMSの値は後述するように異常診断
実施の前提条件(ステップ305)成立の判定に使用さ
れる。
【0043】ステップ303、305の両方で肯定判定
がなされた場合には、ステップ305で条件成立カウン
タTの値を所定値ΔTだけカウントアップする。ここ
で、ΔTは図3、図4のルーチンの実行間隔に対応した
値(本実施例ではΔT=65)とされている。このた
め、カウンタTの値は、ステップ303、305の両方
の条件が成立してからの経過時間(ms)を表すことに
なる。
【0044】本ルーチンでは、上記カウンタTの値が以
下の所定の値(所定経過時間)に達すると次の操作が実
行される。 T=T1 では、現在の吸気通路圧力PMがEGR実施
中の吸気通路圧力PM ONとしてRAM51に記憶される
(ステップ311)とともに標準状態における判定値P
ABCAL がスロットル弁開度TAと回転数NEとを用い
てROM52に記憶したマップから読みこまれ、RAM
51に記憶される(ステップ313)。
【0045】次いで現在のスロットル弁開度TAと回転
数NEとから標準状態におけるEGR作動時の吸気通路
圧力PMONCAL が同様にマップから読み込まれ、P1
してRAMに記憶される(ステップ315)。このP1
の値は異常診断中に運転条件が変動したか否かを判定す
るために使用される。また、同じ目的で、現在のPM、
NEの値がそれぞれPM1 、NE1 としてRAM51に
記憶される(ステップ317)。
【0046】なお、カウンタTの値がT1 になった時に
上記操作を行うのは、ステップ303、305の条件成
立の直前にEGRが実施された場合を考慮して、PMの
値が安定するのを待ってパラメータの読み込みを行うた
めである。ここで、T1 は例えばT1 =520(ステッ
プ303、305の条件が成立してから0.5秒程度経
過に相当)程度とされる。
【0047】また、上記操作終了後、EGR制御弁27
を切り換えて、異常診断のためにEGR弁21を強制的
に閉弁して(ステップ318)EGRを停止する。な
お、上記ステップ311から318はカウンタTの値が
1 になったときに1度だけ実行される操作である。 T=T2 (ステップ319)では、現在のPMがPM
OFF としてRAMに記憶される(ステップ321)。な
お、ステップ318でEGR停止後T=T2 になるまで
PMOFF の読み込みを待つのは、EGR停止に伴う吸気
通路圧力の変動が収束し、PMの値が安定するのを待つ
ためである。本実施例では例えば、T2=1040(す
なわち、EGRを停止してから更に0.5秒程度経過に
相当)とされている。
【0048】また、PMOFF 読み込み後、ステップ32
3では、現在のTAとNEとを用いてPMOFFCALが計算
され、次いで図4ステップ325では補正量D(図2参
照)がこれらの値を用いてD=PMOFF −PMOFFCAL
して計算され、RAM51に記憶される。上記操作終了
後、ステップ327ではEGR制御弁27を再度切り換
えてEGR弁21を開弁し、EGRの実施を再開する。
【0049】T=T3 (ステップ329)になると、
ステップ331では、現在のTA、NEを用いて再度P
ONCAL が計算され、P2 としてRAM51に記憶され
る。また、ステップ332では同様に現在のPM、NE
の値がそれぞれPM2 、NE 2 としてRAM51に記憶
される。これらの値はステップ315、317で記憶し
た値とともに、異常診断中に運転条件が変動したか否か
を判定するために使用される。なお、上記カウンタTの
値T3 は、本実施例では例えば1950(EGR再開後
1秒程度経過に相当)程度の、EGR再開後PMが安定
するのに十分な値とされる。
【0050】また、上記操作終了後、ステップ333と
335では、後述する異常診断の判定実行条件が成立し
ているか否かが判断され、ステップ333、335のい
ずれか一方でも否定判定された場合にはステップ337
から343の異常診断を実施せずにステップ345に進
み、カウンタTをクリアしてルーチンを終了する。すな
わち、今までに読み込んだデータは異常診断に使用しな
い。ステップ333、335の判定実行条件について
は、後に説明する。また、ステップ333と335との
両方で判定実行条件が成立している場合には、ステップ
337から343でEGR装置の異常の有無が判定され
る。すなわち、上記操作で記憶したPMON(ステップ3
11)、PMABCAL (ステップ313)、D(ステップ
325)の値が、PMON≦PMABCAL +D+αの関係に
あればEGR装置は異常と判定され(ステップ337、
339)、PMON≧PMABCA L +D+βの関係にあれ
ば、EGR装置は正常と判定される。
【0051】また、PMTH+α<PMON<PMTH+βの
関係にある場合には、今回読み込んだデータに基づく異
常診断は行わない。上記ステップ337から343終了
後、ステップ345ではカウンタTの値がクリアされ、
本ルーチンは終了する。なお、別途実行される図示しな
いルーチンでは、上記により異常判定(ステップ33
9)が成されるとアラームを作動させ運転者に異常の発
生を報知する。
【0052】上述のように、本実施例では単にEGR実
施時と停止時の吸気通路圧力の差を用いてEGR装置の
異常を判定するのではなく、EGR停止時の吸気通路圧
力PMOFF と標準状態におけるEGR停止時の吸気通路
圧力PMOFFCALとの差に基づいて、実際の運転状態にお
ける吸気通路圧力の、標準状態における吸気通路圧力か
らのずれ量Dを算出し、このずれ量Dを用いて判定値P
ABCAL を補正するようにしているが、このずれ量Dは
スロットル弁開度TAや回転数NEが比較的近い範囲で
は殆ど変化しない。このため、本実施例によれば、EG
R実施時の吸気通路圧力PMON計測時とEGR停止時の
吸気通路圧力PMOFF 計測時とで多少スロットル弁開度
や回転数が変化した場合でも正確な異常診断を行うこと
ができる。
【0053】次に、上記ステップ333、335の異常
診断の判定実行条件について説明する。上述のように、
本実施例ではPMON計測時とPMOFF 計測時でスロット
ル弁開度、回転数等の運転状態が多少変化しても異常診
断の精度は大きな影響を受けない。しかし、運転状態の
変化があまりに大きいとずれ量Dの変化が大きくなり、
異常診断の精度に影響が出るおそれがある。そこで、上
記ステップ333、335では異常診断実施中の運転状
態変化が許容範囲内か否かを判定し、運転状態変化が大
きい場合には今回読み込んだデータに基づく異常有無の
判定実行を中止するようにしている。
【0054】図5は図4ステップ333の判定実行条件
の詳細を示すフローチャートである。ステップ333で
は、PMON計測時に記憶した回転数NE1 、吸気通路圧
力PM1 (図3ステップ317)と、PMOFF 計測後E
GRを再開した後に計測した回転数NE2 、吸気通路圧
力PM2 (図4ステップ332)とを比較し、これらの
差が所定値以内の場合にのみ判定実行条件が成立したと
判断する。なお、後述するように、スロットル弁開度の
変化は異常診断の前提条件(図4ステップ305)で常
に監視しているため、ここでは判断しない。
【0055】すなわち、図5ステップ333−1では回
転数NE2 とNE1 との差(絶対値)が所定値ΔNE0
(本実施例では100rpm)以下か否か、ステップ3
33−2では、吸気通路圧力PM2 とPM1 との差(絶
対値)が所定値ΔDP0 (本実施例では30mmHg)
以下か否かをそれぞれ判定する。上記条件の両方が同時
に成立した場合には運転状態が大きく変化していないと
考えられるため、図4ステップ335に進み、別の判定
実行条件が成立しているか否かを判定する。また、上記
条件のいずれかが成立していない場合には異常有無の判
定実行を中止して図4ステップ345に進む。これによ
り、異常診断時の運転状態の変化が少ない場合にのみ異
常有無の判定が実行され、誤判定が防止される。
【0056】次に図4ステップ335の判定実行条件に
ついて説明する。上記ステップ333では異常診断実施
中の吸気通路圧力変化が所定値以上の場合に異常有無の
判断を中止している。しかし、吸気通路圧力変化が所定
値範囲内であっても実際に機関の吸入空気量が変化する
場合があるとEGR量も変化するため、正確な異常診断
ができなくなる場合がある。例えば、EGR診断実施中
に吸気通路圧力が低下してステップ333−2の所定値
を越えるような変化が生じたとする。通常は、この変化
はステップ333−2の判定で検出されるものの、この
ときに同時に別の要因で機関吸入空気量が増大するよう
な事態が生じると上記運転状態変化による吸気通路圧力
の低下は吸入空気量の増大により相殺され、運転状態が
変化しているにもかかわらず吸気通路圧力が大きく低下
しない場合が生じてしまう。しかし、この場合も吸入空
気量の増大によりEGRガス量は変化しているので、こ
の状態で異常有無の判定を行うと正確な異常診断ができ
なくなるおそれがある。
【0057】このような場合、例えばエアコンの作動に
よりISC弁(アイドルスピードコントロール弁)開度
が増大され、吸入空気量が増大したような時には、制御
回路50がエアコン作動信号に基づいて異常診断を中止
するようにすれば誤判断を防止できる。しかし、例えば
パワーステアリング油圧ポンプの作動により機械的に作
動するエアバルブから吸気通路に空気が導入される場合
や、ブレーキ倍力装置の負圧ブースタの作動により吸気
通路に空気が導入された場合、或いはクランクケースベ
ンチレーションガスの流量が増大した場合等は、制御回
路50には信号は入力されず、異常診断が実施されてし
まうおそれがある。
【0058】そこで、本実施例では上記ステップ333
に加え、異常診断開始時に計測した吸気通路圧力PM
(ステップ317におけるPM1 )とその時点における
スロットル弁開度TAと回転数NEとから計算される標
準状態の吸気通路圧力PMONCA L (ステップ315にお
けるP1 )との差ΔP1 と、判定実行条件判断直前のP
M(ステップ332におけるPM2 )とPMONCAL (ス
テップ331におけるP 2 )との差ΔP2 とを比較し
て、|ΔP2 −ΔP1 |が所定値DP以上の場合には、
上記原因により吸入空気量が変化していると判断して異
常診断を中止するようにしている。
【0059】図6は上記の判定を説明する図である。図
6において、EGR診断開始時にPM1 であった吸気通
路圧力が異常判定実行直前にはPM2 に変化していたと
する。この場合PM1 とPM2 との差は前述のステップ
333−2の所定値以内である。ところが、実際にはP
1 とPM2 の計測の間に、例えばパワーステアリング
ポンプ作動などにより吸気通路にスロットル弁を通らな
い吸入空気が増大されていたとすると、PM2 はこの吸
入空気量の増大により本来の値より上昇しており、この
吸入空気量の増大が無かったとすると異常判定実行直前
では吸気通路圧力は本来、図6のPM2 ′まで低下して
いたはずである。従って、単にPM1 とPM2 を比較し
たのでは、上記吸入空気量の増大が検出できない。
【0060】ところが、このような場合も、スロットル
弁開度と回転数とから算出される標準状態の吸気通路圧
力PMONCAL 自体は、上記吸入空気量の増大とは無関係
に本来のPM2 ′に対応した値となる。従って、このよ
うな場合には、図6に示すようにPM1 とPM2 とのそ
れぞれの時点のPMONCAL からの偏差が大きく変化する
ことになる。
【0061】そこで、ステップ335では、PM1 、P
2 とそれぞれの計測時点において算出したPMONCAL
との差、ΔP1 、ΔP2 (図6参照)を計算し、この差
が所定値DP以上(例えば17mmHg以上)の場合に
は、上記原因による吸入空気量の増大が生じていると判
断して異常診断を中止するようにしている。次に、本実
施例の異常診断実施領域の判定(図3ステップ303)
について説明する。
【0062】図4ステップ307以下の異常診断は、E
GR実施時と停止時とで十分な吸気通路圧力の差が生じ
る状態で実施する必要がある。この圧力差が小さいと、
図2のPMOFF とPMONとの値が接近してしまうため、
EGR装置の異常有無を正確に診断することができない
ためである。一方、従来のようにスロットル弁開度や回
転数などの運転状態パラメータの上限値と下限値で一律
に異常診断を実施する運転領域を規定すると、図14で
説明したように診断領域内で上記圧力差が小さい部分が
生じ、これを防止するためには診断領域を狭く設定する
必要が生じる問題がある。
【0063】そこで、本発明では、運転状態パラメータ
の値を用いて異常診断運転領域を規定する際に、運転状
態パラメータの値そのものの上限値や下限値で規定する
のではなく、運転状態パラメータの値から算出される標
準状態におけるEGR実施時と停止時の吸気通路圧力の
差ΔPMにより診断領域を規定している。以下、運転状
態パラメータとしてスロットル弁開度TAと機関回転数
NEとを用いた例について説明するが、他のパラメータ
の組合せ(例えば、機関1回転当たりの吸入空気量Q/
NEと機関回転数NEとの組合せ等)でも同様の結果が
得られる。
【0064】図7は、本実施例における異常診断領域判
定用のマップを示す。本実施例では、実際の機関を用い
て、機関が新しい状態で標準大気圧(例えば1気圧)下
でスロットル弁開度TAと回転数NEとを変えて運転を
行い、それぞれの運転状態でのEGR実施時の吸気通路
圧力PMONとEGR停止時の吸気通路圧力PMOFF とを
計測し、この差ΔPM(=PMON−PMOFF )の値を、
図7に示すようなTAとNEとを用いたマップの形で制
御回路50のROM52に格納している。
【0065】制御回路50は、機関運転中にスロットル
弁開度TAと回転数NEとから図7のマップを用いて標
準状態での吸気通路圧力差ΔPMを算出し、このΔPM
に後述する大気圧補正を加えた値が所定値以上である場
合に機関が異常診断領域で運転されていると判断する。
図7に実線で示したのは、標準状態におけるEGR実施
時のEGRガス量を示す線であり、図14の等EGRガ
ス量線と一致している。この場合、異常診断領域は図7
に斜線で示した領域となり、図14のように、領域内で
EGRガス量が少なく誤判定を生じやすい部分を含ま
ず、かつ診断領域を広くとることができる。
【0066】ところで、EGRガス量は、TA、NE以
外にも大気圧の影響を受ける。すなわち、大気圧が標準
状態より低下すると、同一のスロットル弁開度、回転数
であっても、吸気負圧(大気圧と吸気通路圧力との差)
が小さくなるため、図1のEGR弁21の駆動力が小さ
くなり同一のスロットル弁開度、回転数でもEGR弁2
1の開度が低下する。このため、大気圧が低下するとE
GRガス量は低下する傾向がある。また、EGRガス量
は排気圧力が低くなると減少するが、大気圧が低下する
と排気系の背圧低下により排気圧力は低下するため、さ
らにEGRガス量が低下する。このため、大気圧が変化
したような場合には、上記ΔPMの値そのままで異常診
断領域を判断していると、実際にはEGR実施時と停止
時との吸気通路圧力の差が小さいのに異常診断が実施さ
れ、誤判定を生じるおそれがある。そこで、本実施例で
は、制御回路50はΔPMが所定値以上か否かの判定を
する際に、図7から算出したΔPMに現在の大気圧に基
づく補正係数KPを乗じた値、KP×ΔPMを用いて、
この値が所定値以上(例えば25mmHg以上)のとき
に機関が異常診断領域で運転されていると判断するよう
にしている。
【0067】図8は上記補正係数KPの大気圧に対する
変化を示す図である。図8に示すように、KPは大気圧
が標準大気圧(例えば1気圧)では1.0に設定され、
標準大気圧以下では大気圧が低下する程小さく設定され
る。図9は制御回路50により実行される上記の異常診
断領域判定ルーチンを示す。本ルーチンは、図3、図4
のルーチンと同一の時間間隔(例えば65ms)で実行
され、異常診断領域の判定結果に応じて図3ステップ3
03の診断領域F1の値を設定する。
【0068】図9においてルーチンがスタートすると、
ステップ901では、現在のスロットル弁開度TA、回
転数NEが、センサ41、44から、また現在の大気圧
PAが大気圧センサ47からそれぞれ読み込まれる。次
いで、ステップ903では、上記のTA、NEから図7
を用いてΔPMの値が算出され、ステップ905では大
気圧PAから図8を用いて大気圧補正係数KPが算出さ
れる。ステップ907では、上記により算出したΔPM
とKPとの値を用いて、KP×ΔPMが所定値(25m
Hg)以上か否かが判定され、所定値以上の場合には、
現在機関が異常診断領域で運転されていると判断し、ス
テップ909で診断領域フラグF1の値を1にセットす
る。また、KP×ΔPMが所定値より小さい場合には、
機関が現在異常診断領域外で運転されていると判断し、
ステップ911で診断領域フラグF1の値をゼロにリセ
ットしてルーチンを終了する。
【0069】上述のように、本ルーチンの実行により、
異常診断は大気圧の変化にかかわらずEGR実施時と停
止時の吸気通路圧力の差が十分に大きい領域でのみ実行
されるようになるため、誤判定が生じることが防止され
る。次に、本実施例の異常診断実行のための前提条件
(図3ステップ305)の判定について説明する。本実
施例では、図9の異常診断領域以外にも誤判定が生じる
状況を判定し、以下に説明する異常診断実行の前提条件
が全部成立したときにのみ異常診断の実行を許可するこ
とにより、異常診断の精度を向上させている。
【0070】図10は制御回路50により実行される前
提条件の判定ルーチンを示す。本ルーチンは図3、図4
のルーチンと同一の時間間隔(65ms)で実行され
る。図10において、ステップ1001から1019の
条件のいずれか1つでも成立していない場合には、ステ
ップ1023で前提条件フラグF2の値はゼロにリセッ
トされ、異常診断の実施は禁止され、異常診断が既に開
始されている場合には中止される(図3ステップ30
5)。また、ステップ1001から1019の全ての条
件が成立した場合には、ステップ1021でフラグF2
の値が1にセットされ、異常診断の実施が許可される。
【0071】以下、それぞれの条件について説明する
と、ステップ1001では、EGRが実施されているか
否かが、EGR制御弁27の駆動信号から判定される。
異常診断はEGRが実施されている場合にのみ許可され
る。ステップ1003では、吸気通路負圧PMV が現在
の吸気通路圧力PMと大気圧PAとからPMV =PA−
PMとして計算され、PMV が所定値以上(本実施例で
は200mmHg以上)の場合にのみ異常診断が許可さ
れる。吸気通路負圧が低いと、EGR弁21の駆動力が
不足してEGR装置に異常が無い場合でもEGR弁21
が開弁しないおそれがある。このため、異常診断はEG
R弁21が開弁するのに十分な負圧が発生した状態で実
施する必要があるからである。
【0072】ステップ1005では、機関空燃比のフィ
ードバック制御(例えば、排気通路に配置した空燃比セ
ンサの出力に基づく空燃比のフィードバック制御)が実
施されているか否かが判定され、フィードバック制御実
施中のみ異常診断が許可される。EGR診断中はEGR
の停止、再開等の操作を行うため、これらの操作による
空燃比の変動を防止し、排気性状の悪化を防止するため
にフィードバック制御中にのみ異常診断を実施すること
としたものである。
【0073】ステップ1007では、機関始動後所定時
間(本実施例では160秒)以上が経過しているかが判
定され、所定時間が経過している場合にのみ異常診断の
実施が許可される。運転状態が安定している状態で異常
診断を実行する必要があるからである。ステップ100
9は現在のスロットル弁開度TAが所定値以上であるか
否かの判定を示す。フラグFTAは現在のスロットル弁
開度が所定値以上である場合に1にセットされるフラグ
であり、異常診断はフラグFTAが1の場合、すなわち
スロットル弁開度が所定値以上の場合にのみ許可され
る。以下、スロットル弁開度の判定について説明する。
【0074】図1で説明したように、本実施例では機械
式のEGR装置が用いられており、EGR弁21は吸気
通路の負圧により駆動される。また、この負圧はスロッ
トルポート25から導圧管24を介してEGRモジュレ
ータ23に作用するスロットル負圧により制御される。
従って、EGR弁21が開弁するためには、スロットル
ポートがスロットル弁の弁体より下流側に位置してスロ
ットルポートにスロットル弁下流側の負圧が作用する状
態になっている必要がある。このため、異常診断はスロ
ットル弁が上記スロットルポート位置を越える開度以上
で実施する必要がある。そこで、本実施例ではスロット
ル弁開度が所定値以上になっている場合にのみ異常診断
の実行を許可するようにしているのである。
【0075】ところが、実際の運転ではEGR弁21が
作動するスロットル弁開度は運転状況によって変化する
問題がある。例えば、回転数が高い状態ではスロットル
弁下流側の吸気負圧も大きくなっているため、スロット
ル弁開度が上記スロットルポート位置に達した状態で直
ちにEGR弁21には大きな負圧が作用するのに対し
て、回転数が低いと吸気負圧も小さくなるためスロット
ル弁開度がスロットルポート位置を十分に越えて、スロ
ットルポートが十分にスロットル弁下流側に開口した状
態にならなければEGR弁に開弁に必要な負圧が作用し
ない。
【0076】また、EGR弁が作動するスロットル弁開
度は吸気温度によっも変化する。前述のように、EGR
弁21に作用する負圧の大きさはEGRモジュレータ2
3の圧力室23c(図1参照)内の負圧の大きさに応じ
て変化する。ところが、吸気温度が低い状態では圧力室
23c各部シールに用いられる樹脂が硬化するため、圧
力室23cの気密が低下し、圧力室23c内に空気が侵
入する(負圧がリークする)問題が生じる。このため、
吸気温度が低い場合には、温度が高い場合よりも導圧管
24から大きな負圧を供給しないとEGR弁21が開弁
しない。すなわち、吸気温度が低い場合にはEGR弁2
1が開弁するのに必要なスロットル弁開度は増大する。
【0077】さらに、もう一つの問題はEGR弁21が
閉弁状態から開弁作動するために必要とされるスロット
ル弁開度と、開弁状態から閉弁状態に移行する際のスロ
ットル弁開度が異なることである。すなわち、閉弁状態
にあるEGR弁を開弁させるためには、EGR弁各部の
摩擦抵抗等に打ち勝つための大きな負圧を必要とする
が、一旦EGR弁が開弁してしまうと、ある程度負圧が
低下してもEGR弁は開弁状態のまま保持される。すな
わち、EGR弁が開弁しているか否かをスロットル弁開
度で判定するためには、EGR弁の開弁作動時と閉弁作
動時とで判定値(スロットル弁開度)にヒステリシスを
設ける必要が生じる。
【0078】本実施例では、上記を考慮して異常診断実
行可否の判断のためのスロットル弁開度の判定値を図1
1に示すように、機関回転数、吸気温度、EGR
弁が開弁しているか否か、の3つの条件に応じて変化さ
せるようにしている。図11において、実線A、BはE
GR弁が閉弁している状態から開弁作動するために必要
なスロットル弁開度、破線A′、B′はEGR弁が開弁
している状態から閉弁動作するスロットル弁開度を示
す。また、A、A′は吸気温度が高い場合、B、B′は
吸気温度が低い場合を示す。図11に示すように、A、
A′、B、B′とも、回転数が高い程スロットル弁開度
が小さく、また、吸気温度が高い程スロットル弁開度が
小さくなる。
【0079】本実施例では、EGR弁21が閉弁してい
る状態では、スロットル弁開度が図11のAまたはB
(吸気温度に応じて選択される)より大きくなるとEG
R弁が開弁動作したと判断して異常診断を許可する。一
方、EGR弁21が開弁している状態(スロットル弁開
度が一旦図11のAまたはBを越えた場合)には、スロ
ットル弁開度が図11のA′またはB′以下に低下した
ときにEGR弁21が閉弁作動したとして異常診断を禁
止するようにしている。
【0080】図12は制御回路50により一定時間毎
(例えば65ms毎)に実行される上記のスロットル弁
開度判定ルーチンを示す。本ルーチンでは、図10ステ
ップ1009のフラグFTAの値を設定する。図12に
おいてルーチンがスタートすると、ステップ1201で
は吸入空気温度HA が吸気温度センサ43から、回転数
NE、スロットル弁開度TAがそれぞれセンサ44、4
1から読み込まれる。次いで、ステップ1203では、
図11を用いて回転数NE、吸気温度HA からEGR弁
開弁作動時のスロットル弁開度TA0 (図11カーブ
A、B)及び閉弁作動時のスロットル弁開度TA0
(図11カーブA′、B′)が算出される。
【0081】次いで、ステップ1205では、現在EG
R弁が開弁しているか否かがフラグFTAの値から判定
され、開弁していない場合(FTA≠1)の場合にはス
テップ1207で現在のスロットル弁開度TAがEGR
弁開弁作動時のスロットル弁開度TA0 以上か否かが判
定される。ステップ1207でTA≧TA0 であった場
合には今回EGR弁が開弁作動したと考えられるため、
ステップ1209でフラグFTAの値を1にセットして
異常診断を許可する。また、TA<TA0 であった場合
はフラグFTAの値は変更せずにそのままルーチンを終
了する。
【0082】一方、ステップ1205でFTA=1の場
合には、ステップ1211に進み、今回EGR弁が閉弁
作動したか否かが判定される。すなわち、現在のスロッ
トル弁開度TAがEGR弁閉弁作動時のスロットル弁開
度TA0 ′より小さいか否かが判定され、TA<T
0 ′の場合にはEGR弁が閉弁作動したとして、ステ
ップ1213に進みフラグFTAの値をゼロにセットし
て異常診断を禁止する。また、TA≧TA0 ′の場合に
はそのままルーチンを終了する。
【0083】上記ルーチンを実行することにより、スロ
ットル弁開度の判定値に対する回転数、気温及び判定値
自体のヒステリシスを考慮したスロットル弁開度判定が
なされるため、異常診断実施の可否が正確に判定され
る。次に図10に戻って、ステップ1011について説
明する。ステップ1011では現在車速が安定している
か否かが判定され、車速が安定している場合にのみ異常
診断の実行が許可される。
【0084】例えば、車両が加速中などではギヤシフト
が行われ、手動変速機付きの車両ではスロットル弁開度
がシフト毎に大きく変化するため、EGR装置の異常診
断を実行しているとシフト毎に診断が中止されることに
なる。異常診断時にはEGRの停止、再開が伴うためシ
フト毎に診断が中止されると診断が成立するまでのEG
R停止、再開操作の回数が増大するため、排気性状の悪
化等の問題が生じる。そこで、本実施例では車速が所定
期間安定した状態にある場合にのみ異常診断実施を許可
して上記の問題を防止している。
【0085】本実施例では、別途制御回路50により実
行される図示しないルーチンにより、車速センサ46で
検出される車両走行速度を監視しており、前回ルーチン
実行時と今回ルーチン実行時との車速の差が所定値以下
(例えば車速監視ルーチンを65ms毎に実行した場合
には3km/h程度の値以下)の場合には、車速安定カ
ウンタの値を一定値増加させ、上記車速の差が所定値以
上の場合には車速安定カウンタの値をクリアする。図1
0ステップ1011では、この車速安定カウンタの値が
現在の変速機シフトポジションで定まる判定値を越えた
場合に異常診断の実行を許可する。
【0086】上記判定値は、例えば自動変速機付車両の
場合にはドライブレンジにシフトポジションがある場合
には2秒に相当する値とされる。すなわち、車速安定状
態が2秒継続した場合には異常診断の実行が許可され
る。また、ドライブレンジ以外のシフトポジションでは
上記判定値は5秒に相当する値とされる。また、手動変
速機付車両の場合には、上記判定値はシフトポジション
が4速以上の高段側にある場合には2秒、その他の場合
には5秒に相当する値とされる。
【0087】シフトポジションが高段側にあるときに車
速安定カウンタの判定値を小さくするのは、高段側のシ
フトポジションではこれ以上のシフトアップをせずにこ
のままのシフトポジションで走行が続けられる確率が大
きくなるためである。図10ステップ1013では、E
GR弁21の暖機が完了しているか否かが判定され、E
GR弁21の暖機が完了している場合にのみ異常診断の
実施が許可される。
【0088】EGR弁には水蒸気を含む排気が流れるた
め、低温時には走行後の停止中にEGR弁内の水分が氷
結してEGR弁が作動不良を生じる場合がある。従っ
て、異常診断はEGR弁の温度が十分に上昇して氷結に
よる作動不良が生じない状態で実施する必要がある。本
実施例では、別途制御回路50により実行されるルーチ
ンにより、吸気温度(気温)と機関冷却水温度に応じて
決まる量だけ一定時間毎にカウントアップされる暖機カ
ウンタのCEGの値に基づいてEGR弁の氷結可能性の
有無を判定している。
【0089】図13は、上記暖機カウンタのカウントア
ップ操作ルーチンを示すフローチャートである。本ルー
チンは制御回路50により一定時間毎(本実施例では1
0秒毎)に実行される。図13においてルーチンがスタ
ートすると、ステップ1301では、機関が始動後所定
時間以上(例えば30秒以上)が経過しているか否かが
判定され、始動後所定時間以上が経過している場合には
ステップ1311に進む。すなわち、図13ステップ1
303から1309は機関始動後所定時間の間だけ実行
される。機関始動後所定時間が経過していない場合に
は、ステップ1303で、吸気温度センサ43から現在
の吸気温度が読み込まれ、この吸気温度HA が所定値H
A0以上か否かが判定される。HA0はEGR弁の氷結が生
じることがないと判断できる吸気温度であり、例えば1
5℃程度に設定される。ステップ1303で現在の吸気
温度HA が所定値HA0以上である場合には、EGR弁は
氷結していないと判断し、ステップ1305に進み、暖
機カウンタCEGの値を上限値CEGMAX (CEGMAX
≧200)にセットしてステップ1311に進む、ま
た、現在の吸気温度HA が所定値HA0より低い場合には
ステップ1307に進む。
【0090】ステップ1307では、冷却水温度センサ
45から現在の冷却水温度THWを読み込み、この冷却
水温度THWが所定値THW0 以上か否かを判断する。
ここで、THW0 はEGR弁の氷結が生じることがない
と判断できる冷却水温度であり、例えば10℃程度の温
度とされる。ステップ1307でTHW<THW0 であ
った場合には、現在氷結が生じている可能性があるため
ステップ1309で暖機カウンタCEGの値をゼロにク
リアしてステップ1311に進む。また、THW≧TH
0 の場合には暖機カウンタの値は操作せずにそのまま
ステップ1311に進む。
【0091】ステップ1311では、冷却水温度が基準
温度THW1 (本実施例ではTHW 1 =10℃)以上か
否かが判断され、上記基準温度より低い場合にはそのま
まステップ1313に進む。また、冷却水温度THWが
基準温度THW1 以上であればステップ1315に進
み、暖機カウンタCEGの値を(THW−THW1 )/
Kだけ増大させる。Kは定数であり本実施例では、例え
ばK=30程度に設定される。
【0092】すなわち、ステップ1313では、暖機カ
ウンタCEGが現在の冷却水温度に応じた量だけ増大さ
れる。次いで、ステップ1315、1317では暖機カ
ウンタCEGの値を上限値CEGMAX で制限し、本ルー
チンを終了する。図13のルーチンの実行により、気温
と冷却水温度とがEGR弁の氷結を生じる可能性がある
範囲にある場合には暖機カウンタはゼロにセットされ
(ステップ1309)、この状態から冷却水温度が上昇
すると、冷却水温度の上昇速度に応じた速度で暖機カウ
ンタが増大される(ステップ1313)。このため、暖
機カウンタがある値以上になった場合には、EGR弁の
氷結が生じていないと判定することができる。
【0093】図10ステップ1013では、暖機カウン
タCEGの値が、例えば200以上である場合にEGR
弁の氷結が生じていないと判定し、異常診断の実施を許
可する。これにより、低温時のEGR弁氷結による誤判
断が防止される。図10ステップ1015では、スロッ
トル弁開度が異常診断開始時から所定値以上変化してい
るか否かが判定され、変化が所定値以内のときにのみ異
常診断を許可する。ここで、ステップ1015のTAM
Sは図3ステップ306で読み込まれるスロットル弁開
度であり、前提条件(図3ステップ305)成立直前の
値(異常診断開始時の値)である。現在のスロットル弁
開度TAが診断開始時のスロットル弁開度TAMSから
所定値(例えば2度)以上変化している場合には、機関
運転状態の変化が大きいため、前提条件が成立しなくな
ったとして異常診断が中止される。
【0094】図10ステップ1017では、現在のスロ
ットル弁開度TAと500ms前のスロットル弁開度T
i-1 とが比較され、これらの差が所定値(例えば0.
9度)以下の場合にのみ異常診断の実施を許可する。ス
ロットル弁開度の変化速度が大きい場合には加速、減速
等が行われており運転状態の変化が大きいためである。
【0095】次に、図10ステップ1019では異常診
断開始時のISC弁(アイドルスピードコントロール
弁)開度VI0 と現在のISC弁開度VIとが比較さ
れ、これらの差が所定値(例えば全開時の3%程度の
値)以下の場合にのみ異常診断の実施(継続)を許可す
る。ISC弁はスロットル弁を経由せずに吸気通路に吸
気を供給するものであるため、異常診断実施中にISC
弁開度が変化すると、吸入空気量が変化してしまい、異
常診断が正確に実施されない。このため、異常診断実施
中はISC弁開度を固定することが好ましいが、ISC
弁はエアコンの作動、停止などの負荷変動に応じて吸入
空気量を調整する機能を持つものであるため、ISC弁
開度を固定してしまうとエアコン作動時などに機関回転
数の変動が生じ、車両の乗り心地が悪化する問題があ
る。そこで、本実施例ではISC弁開度を固定する代わ
りに、異常診断中にエアコンの作動、停止等によりIS
C弁開度が所定値以上変動した場合には異常診断を停止
することとしたものである。なお、異常診断開始時のI
SC弁開度VI0 は、ステップ306のTAMSと同一
のタイミングで読み込まれ、RAM51に記憶される。
【0096】以上説明したように、本実施例によればE
GR装置の異常診断実施可能な運転領域と、前提条件が
正確に判断され、異常診断の精度が向上する。なお、上
記実施例では、異常診断及び診断領域の判定を機関回転
数と吸気通路圧力とに基づいて実施しているが、吸気通
路圧力に関連する他の運転状態パラメータを吸気通路圧
力に代えて使用しても同様な方法で判定が可能となる。
例えば、機関吸入空気量は吸気通路圧力と正確に対応
し、EGR実施中はEGRガス量に応じて機関吸入空気
量が減少する。このため、機関吸気通路入口に機関吸入
空気量を検出するエアフローメータを設けた機関では、
上記実施例の吸気通路圧力に代えて機関吸入空気量を計
測することによりEGR装置の異常診断と異常診断領域
の判定とを行うことができる。この場合、標準状態にお
けるEGR実施時と停止時の機関吸入空気量を予め計測
して、スロットル弁開度、機関回転数を用いたマップと
して制御回路に記憶しておけば、上記実施例と同様な方
法で異常診断と診断領域判定を行うことができる。
【0097】
【発明の効果】各請求項に記載の本発明によれば、EG
R装置の異常診断を実施する領域を狭めることなく、異
常診断実施可能な領域を正確に判断することができるた
め、異常診断実施頻度を高く維持しつつ診断精度を向上
させることができるという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する内燃機関の一実施例を説明す
る概略構成図である。
【図2】EGR装置の異常診断方法を説明する図であ
る。
【図3】EGR装置の異常診断操作を示すフローチャー
トの一部である。
【図4】EGR装置の異常診断操作を示すフローチャー
トの一部である。
【図5】EGR装置の異常診断操作を示すフローチャー
トの一部である。
【図6】異常診断時の判定実行条件を説明する図であ
る。
【図7】異常診断実施領域の判定に使用するマップの一
例を説明する図である。
【図8】異常診断実施領域の判定に使用する大気圧補正
係数の値を示す図である。
【図9】異常診断領域の判定の詳細を示すフローチャー
トである。
【図10】異常診断実施前提条件の詳細を示すフローチ
ャートである。
【図11】異常診断前提条件の詳細を説明する図であ
る。
【図12】異常診断実施前提条件の詳細を示すフローチ
ャートである。
【図13】異常診断実施前提条件の詳細を示すフローチ
ャートである。
【図14】従来の異常診断実施領域の設定例を説明する
図である。
【符号の説明】
1…内燃機関本体 3…吸気通路 5…排気通路 7…スロットル弁、 20…EGR還流装置 21…EGR弁 23…EGRモジュレータ 27…EGR制御弁 42…吸気圧センサ 50…制御回路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の吸気通路に排気ガスの一部を
    還流させる排気ガス還流装置の異常有無を診断する異常
    診断装置であって、 吸気通路内圧力を検出する吸気圧検出手段と、 前記排気ガス還流装置作動時の前記吸気通路内圧力と前
    記排気ガス還流装置非作動時の前記吸気通路内圧力とに
    基づいて前記排気ガス還流装置の異常の有無を判定する
    異常判定手段と、 機関負荷状態に関連する運転状態パラメータを検出する
    パラメータ検出手段と、 前記検出された運転状態パラメータを用いて、排気ガス
    還流装置が正常な状態で、機関が前記検出された運転状
    態パラメータで運転された場合における、排気ガス還流
    装置作動時と非作動時との吸気通路圧力の差を、予め定
    めた関係に基づいて算出する標準圧力差演算手段と、 前記標準圧力差演算手段により算出された吸気通路圧力
    差が予め定めた判定値より小さい場合に、前記異常判定
    手段による異常有無の判定を禁止する禁止手段と、を備
    えた異常診断装置。
  2. 【請求項2】 前記標準圧力差演算手段は、前記検出さ
    れた運転状態パラメータを用いて、機関が標準大気圧条
    件下で運転されており、かつ排気ガス還流装置が正常
    で、機関が前記検出された運転状態パラメータで運転さ
    れている場合における、前記排気ガス還流装置作動時と
    非作動時との吸気通路圧力の差を予め定めた関係に基づ
    いて算出し、 前記禁止手段は更に、大気圧力を検出する大気圧検出手
    段と、該検出された大気圧と標準大気圧とに基づいて、
    前記標準圧力差演算手段により算出された吸気通路圧力
    差を補正する補正手段とを備え、該補正後の吸気通路圧
    力差が予め定めた判定値より小さい場合に前記異常判定
    手段による異常有無の判定を禁止する、請求項1に記載
    の異常診断装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010121535A (ja) * 2008-11-19 2010-06-03 Nippon Soken Inc 内燃機関の排気還流装置
JP2012122339A (ja) * 2010-12-06 2012-06-28 Hino Motors Ltd Egrバルブ作動可否判定方法及び装置
JP2013086678A (ja) * 2011-10-19 2013-05-13 Toyota Motor Corp ハイブリッド車両の制御装置
JP2019199814A (ja) * 2018-05-14 2019-11-21 愛三工業株式会社 エンジンのegr装置

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