JPH0881519A - 染色排水の脱色剤及びそれを用いた脱色処理方法 - Google Patents

染色排水の脱色剤及びそれを用いた脱色処理方法

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JPH0881519A
JPH0881519A JP6220346A JP22034694A JPH0881519A JP H0881519 A JPH0881519 A JP H0881519A JP 6220346 A JP6220346 A JP 6220346A JP 22034694 A JP22034694 A JP 22034694A JP H0881519 A JPH0881519 A JP H0881519A
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雅彦 高村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 染色排水の脱色に使用する、排水中に溶解し
た染料を不溶化させる排水処理用脱色剤であって、下記
一般式(1)で表される構造単位を少なくとも10モル
%含有する水溶性重合体からなる脱色剤及びそれを用い
た脱色処理方法。 【化1】 【効果】 染料で汚染された染色排水を効率よく脱色す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、染色排水の脱色剤及び
それを用いた脱色処理方法に関する。詳しくは、着色し
た染色排水中に溶解している染料を不溶化させ、これら
を水と分離脱色させる染色排水用の脱色剤及びそれを用
いた脱色処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】産業排水による河川への環境汚染は重大
な問題であるが、特に染色排水は種々の染料が混合して
着色がひどく、そのまま河川に放流すると地域住民に著
しく汚染感を与える。そのため、最近では染色排水に対
する色度の規制値を設定するなどされており、染色排水
の効率的な脱色が強く望まれている。
【0003】従来、染色排水は一般排水と同様に、排水
中の懸濁物、可溶性コロイド物質を凝集分離するという
化学的方法によって処理されてきた。この方法は、無機
性の鉱酸、硫酸バンド、石灰、硫酸第一鉄、硫酸第二
鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、アルミン酸ソーダ、ポリ
塩化アルミニウム等とポリアクリルアミドを併用するこ
とで凝集脱色効果を得るものであるが、これらの薬物
は、元来、懸濁物、コロイド状物質の凝集分離に主に使
用されるものであり、水に溶解している水溶性染料を析
出、不溶化させる効果は充分とはいいがたい。
【0004】そこで、染料等の着色物質を吸着除去する
ものとして、ポリアルキルポリアミン(特開昭51-14676
3)、アリルアミンの重合物(特開昭51-18144)、ポリ
アミンの金属錯体配位物(特開昭49-110146)など使用
する報告がある。しかしながら、かかるカチオン性ポリ
マ−を使用しても染色排水の脱色はなお充分でない。特
に、これらは脱色効果が発揮される染料の種類が限られ
ており、数種の染料が混在する染色排水に使用した場合
の脱色に問題がある。そこで、数種の染料が混在する染
色排水には、混在する染料各々に有効な脱色剤を互いに
併用する方法が考えられるが、この場合は各凝集脱色剤
の性能を逆に低下させる場合がある。
【0005】なお、カチオン性ポリマ−のひとつとし
て、N−ビニルアミドポリマーの加水分解あるいはポリ
アクリルアミドのホフマン分解物などとして製造される
ポリビニルアミンが知られている。このポリビニルアミ
ンは特に有機汚泥用の脱水剤、製紙における保留剤、脱
水助剤、凝集剤などの用途に使用できることが知られて
いる(特開昭58-23809、特開昭59-39399、特開昭59-394
00等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
問題点を解決し、着色した染色排水において優れた脱色
効果のある排水処理用脱色剤及びそれを用いた脱色処理
方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリビニルアミン
を着色した染色排水に対して適用したた場合は、他のカ
チオン性ポリマ−での結果からは予期できないほど、染
色排水中の染料の不溶化、脱色に著しい効果が発現する
ことを見いだし本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は染色排水の脱色
に使用する、排水中に溶解した染料を不溶化させる排水
処理用脱色剤であって、下記一般式(1)で表される構
造単位を少なくとも10モル%含有する水溶性重合体か
らなる脱色剤及びそれを用いた脱色処理方法に関する。
【0009】
【化8】 以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0010】本発明の脱色剤は、上記(1)のようなビ
ニルアミン単位に含む水溶性重合体である。この重合体
の脱色剤の組成として特に望ましいものはビニルアミン
単位(1)の他に下記のようなN−ビニルアミド単位
(2)を含有するものであり、例えば、ビニルアミン単
位(1)を10〜98モル%、及び、N−ビニルアミド
単位(2)を2〜90モル%含有するもの、好ましくは
ビニルアミン単位(1)を20〜95モル%、及び、N
−ビニルアミド単位(2)を5〜80モル%含有するも
の、特に好ましくはN−ビニルアミン単位(1)を40
〜90モル%及びN−ビニルアミド単位(2)を10〜
60モル%含有するものである。
【0011】
【化9】 (上記一般式(2)中、R1は水素原子または炭素数1
〜4のアルキル基を表す。) また、該重合体は1規定の食塩水中0.1g/dlの溶
液として25℃で測定した還元粘度の値が、通常0.0
1〜10g/dl、好ましくは0.1〜5g/dlであ
る。なお、一般式(1)におけるアミノ基は未中和のも
のであってもよいし、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、ギ酸、
酢酸、スルファミン酸、メタスルホン酸等の各種の酸と
の間で塩を形成していてもよい。
【0012】本発明の脱色剤としての上記重合体の製造
方法は特に限定されるものではないが、通常、下記一般
式(3)で表される化合物(以下「N−ビニルアミド」
と総称することがある)を(共)重合し、次いで、加水
分解する方法が採用される。
【0013】
【化10】 (上記一般式(3)中、R1は水素原子または炭素数1
〜4のアルキル基を表す。) N−ビニルアミドとしてはN−ビニルホルムアミド、N
−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオン酸アミド
等が例示されるが、重合性、取扱い性等の点よりN−ビ
ニルホルムアミドが特に好ましい。
【0014】また、上記の重合体は部分加水分解した後
に脱色剤として使用するので、その性質を損なわない程
度の範囲内においてN−ビニルアミドと共重合可能なビ
ニル系化合物を共重合させたものでもよい。共重合成分
の単量体としては(メタ)アクリロニトリル、(メタ)
アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリルエステル類、ビニルエステル類、ビニ
ルエーテル類、ビニルアルコール、アリルエーテル等の
非イオン性単量体、(メタ)アクリル酸、α,β−不飽
和ジカルボン酸、スルホアルキル(メタ)アクリルアミ
ド、スルホアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)ア
リルスルホン酸、及びその塩等のアニオン性単量体、ジ
アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアル
キルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、アリルア
ミン、ジアリルアミン及びその塩または第4級アンモニ
ウム化物等のカチオン性単量体が挙げられるがこれらに
限定されるものではない。
【0015】重合方法としては、ラジカル重合、イオン
重合、のいずれの方法を用いてもよいが、分子量を容易
に制御できる点からラジカル重合が好ましい。ラジカル
重合の重合開始剤は、通常の一般的な開始剤のいずれも
が使用できるが、重合体を収率良く得るためには、アゾ
化合物が好ましい。特に好ましい開始剤としては2,
2′−アゾビス−4−アミジノプロパンの塩酸塩及び酢
酸塩、4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸のナトリ
ウム塩、アゾビス−N,N′−ジメチレンイソブチルア
ミジンの塩酸塩及び硫酸塩が挙げられる。これら重合開
始剤の使用量は単量体に対して、通常0.01〜1重量
%である。
【0016】重合方法としては、公知の塊状重合、溶液
重合、懸濁重合、乳化重合等の方法によって行うことが
できる。重合反応は一般的に不活性ガス気流下、通常3
0〜100℃の温度条件下で行われる。溶液重合として
は、通常、単量体濃度5〜60重量%の水溶液で重合す
る方法、懸濁重合としては、通常、単量体濃度20〜8
0重量%の水溶液を疎水性の溶媒と分散安定剤を用いて
油中水型の分散状態で重合する方法、乳化重合として
は、通常、単量体濃度20〜60重量%の水溶液を疎水
性の溶媒と乳化剤を用いて水中油型または油中水型の乳
化状態で重合する方法が例示される。
【0017】以上のようにして得られたN−ビニルアミ
ド(共)重合体を、続いて部分加水分解することにより
目的とする重合体を得ることができる。加水分解は、酸
性条件、塩基性条件いずれの条件で行ってもよいが、反
応装置の腐食等の観点から塩基性条件で行うのがより好
ましい。なお、酸性加水分解の場合は加水分解して生成
するビニルアミン単位のアミノ基は塩の形になってお
り、一方、塩基性加水分解の場合はアミノ基が遊離の形
となるが、加水分解後に酸を加えて遊離アミンの一部あ
るいは全部を塩の形に変換してもよい。この場合の酸と
しては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、ギ酸、酢酸、スルフ
ァミン酸、メタスルホン酸等の各種の酸を使用すること
ができる。
【0018】酸性加水分解で使用される酸化合物として
は、強酸性のものが好ましく、塩酸、臭素酸、フッ化水
素酸、硫酸、硝酸、燐酸、スルファミン酸、メタンスル
ホン酸、等が挙げられるが、加水分解物の水に対する溶
解性の点で1価の酸が好ましい。塩基性加水分解に使用
される塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム、第4級アンモニウムハイ
ドロオキサイド、アンモニア、低分子一級アミン、二級
アミン等が例示される。
【0019】酸又は塩基の使用量は、N−ビニルアミド
(共)重合体中のアミド基に対して、通常0.1〜5倍
モルの範囲で目的とする変性率に応じて適宜使用され
る。反応温度は50〜110℃の範囲で反応時間は1〜
8時間の範囲で実施される。また、加水分解は水溶液状
態に限らず、種々の状況で実施でき、水とアルコールの
混合溶媒系、水とヘキサン、トルエン等での不均一溶媒
系等でもよい。更に、含水の固体状重合体とガス状の酸
を接触させる方法でもよい。
【0020】得られる重合体の組成としては、一般式
(1)のビニルアミン単位のモル分率は、N−ビニルア
ミド(共)重合体の加水分解率と実質的に同じ値であっ
て、本発明に適用されるものは10〜100%、好まし
くは10〜98%、特に好ましくは40〜90%の範囲
である。そして、10%未満では脱色効果が著しく低下
するので好ましくない。
【0021】なお、上記加水分解の際、不純物によって
起きるゲル化を防止する目的で、任意に塩酸ヒドロキシ
ルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン等のゲル化防止剤を
加えて加水分解を行ってもよい。また、一般に加水分解
にこのゲル化防止剤で処理を行った後、加水分解を行う
ことが特に好ましい。次に、本発明の染色排水処理用の
脱色剤の使用方法について説明する。
【0022】処理対象の染色排水としては、染料で着色
したものならばその種類を特に問わず有効であるが、反
応性染料(例えば、サルフェイトエチルスルホンタイ
プ、ジクロロトリアジンタイプ、モノクロロトリアジン
タイプ、モノフロロトリアジンタイプ、ジフロロモノク
ロロピリミジンタイプ、ジクロロピリミジンタイプ、ト
リクロロピリミジンタイプ、ジクロロキノキサリンタイ
プ、サルフェイトエチルスルホンとモノクロロトリアジ
ンの異種2官能型反応基を持つタイプなど)、酸性染料
(例えばレベリングタイプ、ハーフミリングタイプ、ミ
ーリングタイプ、1:1型含金タイプ、1:2型含金タ
イプなど)を含有しているものに特に効果がある。ま
た、複数の種類の染料を含んだ排水にも有効であり、さ
らに、染料以外の無機塩、有機物質等を含有する排水で
もその効果はほとんど損なわれない。
【0023】通常、染色排水中の染料濃度は一定ではな
いため、その染色濃度により本発明の脱色剤の染色排水
への添加量を加減する必要があるが、一般的な染色排水
においては染料濃度が10〜100ppm程度であるこ
とが多いので、該染色排水に対しては脱色剤を通常5〜
2000ppm、好ましく10〜500ppmの量を添
加する。脱色剤の添加形態は特に制限はないが、好まし
くは脱色剤の1〜50重量%水溶液として添加する。
【0024】なお、本発明の脱色剤においてはpHが5
〜7の水溶液において最も効果があるので、染色排水の
pHが酸性あるいはアルカリ性に極端に偏っている場合
は、脱色剤添加の前あるいは後にpHを5〜7の範囲に
調整した方が好ましい。また、脱色剤は溶解した染料を
不溶化させることに主眼をおいているため、脱色剤であ
る重合体の分子量によっては生成する沈澱が微細で処理
し難い場合がある。その場合は無機凝集剤あるいはノニ
オン系又はアニオン系有機高分子凝集剤との併用が好ま
しい。無機凝集剤としては硫酸バンド、ポリ塩化アル
ミ、塩化鉄、硫酸鉄などが例示され、有機系高分子凝集
剤としてはポリアクリルアミド系重合体に代表されるノ
ニオン系又はアニオン系高分子凝集剤、例えばポリアク
リルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミ
ドの部分加水分解物などが例示される。
【0025】以上の薬剤の添加方法は特に問わないが、
添加量は染色排水に含まれる染料濃度により加減する必
要がある。例えば、脱色剤と有機高分子凝集剤を用いる
系においては、脱色剤を添加して染料の沈澱を形成した
後、有機高分子凝集剤で粗大なフロックを形成する方法
が好ましく、この場合の脱色剤と有機高分子凝集剤の添
加量としては、一般的な染色排水における濃度である染
料濃度10〜100ppmのときに、各々5〜2000
ppm、0.1〜50ppm程度であり、その添加量の
比率は通常1:0.001〜1である。
【0026】また、脱色剤、有機高分子凝集剤、無機凝
集剤を用いる系においては、染料排水に無機凝集剤を添
加し、次いで脱色剤を添加し、さらにノニオン系又はア
ニオン系有機高分子凝集剤を添加する方法も好ましく、
この場合の無機凝集剤、脱色剤、有機系高分子凝集剤の
添加量としては、一般的な染色排水における濃度である
染料濃度10〜100ppmのときに、各々50〜50
00ppm、各々5〜2000ppm、0.1〜50p
pm程度であり、その添加量の比率は通常10〜100
0:1:0.001〜1である。
【0027】さらに、本発明の脱色剤は、ポリアルキル
アミン、アリルアミン、あるいはポリアミンの金属錯体
配位物などの公知の脱色剤と併用してもよく、併用によ
る脱色効果の低下は殆ど認められていない。本発明の脱
色剤より生成した染料凝集物を処理する方法としては特
に限定はなく、従来公知の方法である浮上分離や沈降分
離等が適宜使用できる。
【0028】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。 (N−ビニルホルムアミド重合体の製造例)撹拌機及び
温度調節器を備えた0.7m3の反応器に脱塩水191
kgを投入し、室温で窒素を流通して脱気した。続いて
70℃に昇温し、2,2’−アゾビス−4−アミジノプ
ロパンの塩酸塩の10%水溶液6kgを加えた。さら
に、N−ビニルホルムアミド69.9kg(純度85.
7%)と脱塩水30.1kgを混合し、1N−NaOH
水溶液でpHを6.5に調整したモノマー溶液を、反応
器内の溶液温度は70℃に保持しながら、2時間かけて
添加した。
【0029】添加終了1時間後、さらに2,2’−アゾ
ビス−4−アミジノプロパンの塩酸塩の10%水溶液3
kgを追加し、70℃で3時間保持して熟成し、N−ビ
ニルホルムアミド重合体の20%水溶液を得た。得られ
た重合体は1規定食塩水溶液中での還元粘度0.5(d
l/g)であった。
【0030】・重合体Aの製造例 上記のN−ビニルホルムアミド重合体水溶液18.5k
gを撹拌器と温度調節器を備えた反応器に入れ、35重
量%NaOH水溶液3.98kgを加えて80℃で5時
間撹拌した。冷却後25%塩酸水溶液12.12kgを
加えPHを調整した。得られた重合体水溶液をコロイド
滴定及びC13−NMRスペクトル測定により分析したと
ころ、前記の構造単位のビニルアミン単位(1)が57
モル%、N−ビニルホルムアミド単位(2)が43モル
%であった。これを重合体Aの水溶液とした。
【0031】・重合体Bの製造例 前記のN−ビニルホルムアミド重合体水溶液800gを
撹拌器と温度調節器を備えたセパラブルフラスコに入
れ、そこにゲル化防止剤として硫酸ヒドロキシルアミン
2.06gを加え50℃で1時間撹拌し、続いて35重
量%NaOH水溶液215gを加え、80℃で5時間撹
拌した。冷却後、25%塩酸水溶液98.2gを加えて
液のPH7.5に調整した。得られた重合体水溶液を分
析したところ、ビニルアミン単位(1)が65モル%、
N−ビニルホルムアミド単位(2)が35モル%であっ
た。これを重合体Bの水溶液とした。
【0032】・重合体Cの製造例 35重量%NaOH水溶液を287g、35%塩酸水溶
液を130gにした以外は重合体Bの製造例と同様に反
応を行い、得られた重合体水溶液を分析したところ、ビ
ニルアミン単位(1)が75モル%、N−ビニルホルム
アミド単位(2)が25モル%であった。これを重合体
Cの水溶液とした。 ・実施例Dの重合体の製造例 35モル%NaOH水溶液を243g、35%、35%
塩酸水溶液を111.3gにした以外は重合体Bの製造
例と同様に反応を行い、得られた重合体水溶液を分析し
たところ、ビニルアミン単位(1)が90モル%、N−
ビニルホルムアミド単位(2)が10モル%であった。
これを重合体Dの水溶液とした。
【0033】実施例1〜4 染料を80ppmを含有する着色水溶液に硫酸アルミニ
ウム1000ppmを添加し、次に、前記で製造した重
合体A〜Dを各々100ppm加え、さらに、35モル
%NaOH水溶液にてpHを6.5に調整した後、ポリ
アクリルアミドを2ppm加えて攪拌した。なお、用い
た染料は、C.I.Reactive Red 120又はC.I.Reactive Red
22である。次に、以下に示す和歌山市条令第四十四号
の排出水の色規制条令第八条にある希釈法に基づき、単
一染料染色排水による脱色率の評価試験を行った。試験
結果を表−1に示す。表−1において重合体A,B,
C,Dが、実施例1,2,3,4に対応する。
【0034】(1)10倍列希釈検体の作成及び着色の
確認 検水50ミリリットルを共栓付きメスシリンダ−500
ミリリットルにとり、蒸留水を加え全容を500ミリリ
ットルとして10倍希釈検体を作成し、これを透視度計
の30センチメ−トル目盛まで入れて、基準透視度計
(透視度計の30センチメ−トル目盛まで蒸留水を入れ
たものをいう。以下同じ。)と並べて、着色を比較す
る。着色が確認できる場合は、共栓付きメスシリンダ−
の中の10倍希釈検体50ミリリットルを別の共栓付き
メスシリンダ−500ミリリットルにとり、蒸留水を加
え全容を500ミリリットルとして100倍希釈検体を
作成し、これを透視度計の30センチメ−トル目盛まで
入れて、基準透視度計と並べて、着色を比較する。着色
が確認できる場合は、先と同様にして1,000倍、1
0,000倍─の10倍列希釈検体を着色を区別できな
くなるまで作成し、「区別可能」な最大希釈検体を決定
する。
【0035】(2)着色の確認方法 基準透視度計と希釈検体を入れた透視度計を並べ、白色
蛍光灯の光が両方に等しく当たる状態で上部から目視に
より行う。 (3) 2倍列希釈検体の作成 共栓付きメスシリンダ−の中の「区別可能」な最大希釈
検体を用いて、透視度計に1、2、4、8、16倍の2
倍列希釈検体を作成する。 (4)着色度の計算 測定者は5人として、各測定者は、2倍列希釈検体の入
った透視度計について基準透視度計と着色を比較して
「区別可能」と「区別不能」を判定する。測定者ごとの
希釈倍率を常用対数として、次の式によって算出する。
【0036】
【数1】常用対数値=(log a1+log a2) (上記式において「a1」とは、「区別可能」の判定の
最大希釈倍数をいう。また、「a2」とは、「区別可
能」の判定の最小希釈倍数をいう。)
【0037】次に、各測定者の常用対数値を集計した
後、ち最大値と最小値を除き(最大値、最小値が複数個
ある場合は、1個だけを除く)、残りの3者の平均値C
mを算出する。着色度は、次の式によって算出した値と
する。
【0038】
【数2】着色度=10Cm 比較例1 本発明での脱色剤である重合体を加えず、硫酸アルミニ
ウム1000ppmとポリアクリルアミド2ppmのみ
により処理を行った結果を表−1に示す。 比較例2 本発明での脱色剤である重合体の代りにモノアリルアミ
ン塩酸塩の重合体を用いて処理を行った結果を表−1に
示す。
【0039】比較例3 本発明での脱色剤である重合体の代りにポリアミンの金
属錯体配位物を用いて処理を行った結果を表−1に示
す。なお、ポリアミンの金属錯体配位物は、特開昭49-1
10146号に記載の方法に準じ、以下の方法で合成した。
すなわち、ジシアンジアミド1モルとジエチレントリア
ミン0.5モルをよく混和し、次に1モル塩酸を加え、
窒素を通じて95℃で1時間反応した後、ホルムアルデ
ヒド2.5モルを加えた。さらに、同じく窒素を通じて
95℃にて5時間反応させて、淡黄色の粘稠性の水溶性
高分子共縮合物を得た。この水溶性高分子共重合体に、
塩酸水溶液を添加してpHを3.0に調整した後、硫酸
銅0.1モルを加えて、40℃にて1時間錯化させ、水
溶性のポリアミンの金属錯体配位物を得た。
【0040】
【表1】
【0041】実施例5〜8 染料80ppmを含有する着色溶液に硫酸アルミニウム
1000ppmを添加し,前記で製造した重合体A〜D
を各々100ppm加え、35モル%NaOH水溶液に
てpHを6〜7に調整した後、ポリアクリルアミドを2
ppm加えて攪拌した。用いた染色排水は、C.I.Reacti
ve Red 120とC.I.Reactive Red 221:1の混合排水で
ある。次に、和歌山市条令第四十四号の排出水の色規制
条令第八条にある希釈法に基づき、混合染料染色排水に
よる脱色率の評価試験を行った。試験結果を表−2に示
す。表−2において重合体A,B,C,Dが、実施例
5,6,7,8に対応する。 比較例4〜6 前記の比較例1〜3に対応する条件で処理を行った結果
を表−1に示す。
【0042】
【表2】
【0043】実施例9〜12 染料80ppmを含有する着色溶液に硫酸アルミニウム
1000ppmを添加し,前記で製造した重合体A〜D
を各々50ppm、及び、比較例3で用いたポリアミン
の金属錯体配位物を50ppm加え、35モル%NaO
H水溶液にてpHを6〜7に調整した後、ポリアクリル
アミドを2ppm加えて攪拌した。用いた染色排水は、
C.I.Reactive Red 120とC.I.Reactive Red 22が1:1
の混合排水である。次に、和歌山市条令第四十四号の排
出水の色規制条令第八条にある希釈法に基づき、混合染
料染色排水による脱色率の評価試験を行った。試験結果
を表−3に示す。表−2において重合体A、B,C、D
が、実施例9、10、11、12に対応する。 比較例7 本発明での脱色剤である重合体の代りにモノアリルアミ
ン塩酸塩の重合体を、ポリアミンの金属錯体配位物と併
用して処理を行った結果を表−3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明の染色排水の脱色剤及びそれを用
いた脱色処理方法によれば、染料で汚染された染色排水
に対して優れた脱色効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 康治 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内 (72)発明者 上野 信彦 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染色排水の脱色に使用する、排水中に溶
    解した染料を不溶化させる排水処理用脱色剤であって、
    下記一般式(1)で表される構造単位を少なくとも10
    モル%含有する水溶性重合体からなる脱色剤。 【化1】
  2. 【請求項2】 染色排水の脱色に使用する、排水中に溶
    解した染料を不溶化させる排水処理用脱色剤であって、
    下記一般式(1)で表される構造単位を10〜98モル
    %、及び、下記一般式(2)で表される構造単位を2〜
    90モル%含有する水溶性重合体からなる請求項1の脱
    色剤。 【化2】 【化3】 (上記一般式(2)中、R1は水素原子または炭素数1
    〜4のアルキル基を表す。)
  3. 【請求項3】 一般式(3)で示されるN−ビニルアミ
    ド化合物の単独重合体のアミド基を加水分解して得られ
    る重合体からなる請求項1又は請求項2の脱色剤。 【化4】 (上記一般式(3)中、R1は水素原子または炭素数1
    〜4のアルキル基を表す。)
  4. 【請求項4】 下記一般式(1)で表される構造単位を
    少なくとも10モル%含有する水溶性重合体からなる脱
    色剤を、染料を溶解した排水中に添加することを特徴と
    する染料排水の脱色処理方法。 【化5】
  5. 【請求項5】 下記一般式(1)で表される構造単位を
    10〜98モル%、及び、下記一般式(2)で表される
    構造単位を2〜90モル%含有する水溶性重合体からな
    る請求項4の脱色剤を、染料を溶解した排水中に添加す
    ることを特徴とする染料排水の脱色処理方法。 【化6】 【化7】 (上記一般式(2)中、R1は水素原子または炭素数1
    〜4のアルキル基を表す。)
  6. 【請求項6】 染料排水に脱色剤を添加し、次いで、ノ
    ニオン系又はアニオン系有機高分子凝集剤を添加するこ
    とを特徴とする請求項4又は請求項5の染料排水の脱色
    処理方法。
  7. 【請求項7】 染料排水に無機凝集剤を添加し、次いで
    脱色剤を添加し、さらにノニオン系又はアニオン系有機
    高分子凝集剤を添加することを特徴とする請求項4又は
    請求項5の染料排水の脱色処理方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02188560A (ja) * 1988-11-18 1990-07-24 Air Prod And Chem Inc N―ビニルアセトアミドを精製する方法

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