JPH088098Y2 - 複厚フィルム製造装置 - Google Patents

複厚フィルム製造装置

Info

Publication number
JPH088098Y2
JPH088098Y2 JP1993067194U JP6719493U JPH088098Y2 JP H088098 Y2 JPH088098 Y2 JP H088098Y2 JP 1993067194 U JP1993067194 U JP 1993067194U JP 6719493 U JP6719493 U JP 6719493U JP H088098 Y2 JPH088098 Y2 JP H088098Y2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
thickness
heating element
die
data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1993067194U
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0653126U (ja
Inventor
實美 新本
Original Assignee
トミー機械工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by トミー機械工業株式会社 filed Critical トミー機械工業株式会社
Priority to JP1993067194U priority Critical patent/JPH088098Y2/ja
Publication of JPH0653126U publication Critical patent/JPH0653126U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JPH088098Y2 publication Critical patent/JPH088098Y2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • B29C47/92

Landscapes

  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、スーパーマーケットや
コンビニエンスストア等で使用される合成樹脂フィルム
製手提袋等の原材料となるフィルムにおいて、その縦方
向(長手方向)の引っ張り強度を増すために、縦方向に走
る適数の厚肉部を設けてなる複厚フィルムの製造装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フィルム製の手提袋の原材料とし
ては、加工の容易性から、インフレーション成形による
フィルム(以下インフレーションフィルムと称する。)が
多く使用されている。この種の目的に使用されるインフ
レーションフィルムの中には、手提袋の縦方向の引っ張
り強度を増すために、フィルムの厚さを、その製造時の
フィルムバブルの周方向の複数箇所で、縦方向すなわち
軸線方向に走る厚肉のものとした複厚フィルムがある。
【0003】このような複厚フィルムを製造するには、
従来は、エアーリングの冷却効果を、フィルムバブルの
周方向に不均衡とすることにより、フィルムバブルの膜
厚を部分的に異ならせていた。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】合成樹脂製フィルムの
製造過程において、フィルムの肉厚が決定される要因は
多々あり、この肉厚は、製造装置の各部の寸法や形状、
材料の物性、溶融温度や引き出し速度、エアーリングに
おける冷却風の温度や速度等をパラメータとして変化す
る。エアーリングにおける冷却風の温度や速度等は変化
し易く、かつ絶対値レベルでの再現性はあまり良くな
い。
【0005】一方、引き出し成形によるフィルム製造
に際しては、肉厚や偏肉の調節中であっても、フィルム
の引き出しを停止することはできず、その調節期間中に
作られたフィルムは不良品となる。そのため、肉厚の調
節に要する時間、及び調節された各パラメータの完成品
に対する応答時間は、できる限り短いことが望ましい。
【0006】特に、フィルム製造装置の作働開始時の各
部の設定を、速やかに済ませて、所望の仕様のフィルム
が短時間に製造できるようにしなければ、歩留りが悪く
なり、フィルム価格を増大させることになる。
【0007】また、多種少量の生産を行なうときには、
フィルム製造装置の作動を停止させないで、フィルム仕
様を変更することもあるが、このような場合にも、所望
の仕様の製品が製造できるように、速やかに所要の調節
が行われることが望まれる。
【0008】このようなことから、従来のエアーリング
による肉厚の制御手段では、周方向の任意の箇所で肉厚
を変化させ、かつ各部の肉厚を高精度に制御することが
困難である。
【0009】また、フィルムの厚さが一定でない複厚フ
ィルムを、2次加工の原材料として提供する場合には、
フィルムの厚さを、絶対的な値として表示しなければな
らない。
【0010】複数のフィルムの厚さを個々に表示するた
めには、フィルム各部の厚さの精度を高くしなければな
らないが、従来の複厚フィルムの製造手段では、表示す
るに足る精度が得られなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本考案の装置は、成形ダ
イスのダイ本体の中央の孔に嵌合されたマンドレルと、
マンドレルの上端部外周に、ダイリップを形成するため
の間隔をあけて嵌装したリップ調節リングと、リップ調
節リングの上方に設けたフィルムバブルの空冷用のエア
ーリングと、上記ダイリップの外周に接近させて、かつ
互いに密接させて円周方向に設けられた、発熱量を個々
に制御しうる多数の加熱素子と、任意の複数加熱素子の
近くの温度を絶対レベルで計るべく、これら加熱素子に
近接して設けた複数の測温素子と、各加熱素子における
発熱量を、所要に制御するための演算装置と、成形ダイ
スのダイリップから出たフィルムバブルが所要に冷却さ
れた後に、これを折りたたんで完成フィルムとするニッ
プロールと、完成フィルムを引出し方向と直角に適当な
長さに切断した帯環状のサンプルフィルムを、その切口
に沿って連続的に移動させながら、その厚さを順次測定
するとともに、この膜厚測定データを、サンプルフィル
ムの移動方向フィルムの引き出し方向と直交する方向)
の測定位置データと対応させて、演算装置に入力させる
フィルム厚測定装置と、演算装置における所要のデータ
や指示を表示するCRTモニタ装置と、演算装置に所要
の機能コードや数値データ等を入力するキー装置とを備
えてなることにより、上述の課題を解決するものであ
る。
【0012】
【作用】ダイリップの周辺に設けた多数の加熱手段を制
御することにより、安定した厚さの複数の厚肉部が得ら
れる。膜厚の測定結果を、各加熱手段に速やかに反映さ
せて、複数の厚肉部の厚さを、速やかに、かつ高精度で
調節することができる。
【0013】
【実施例】図1は、溶融押出式フィルム成形装置、例え
ばインフレーションフィルム成形装置に、本発明を適用
した一実施例を示すものである。(1)は押出機、(2)は
フィルム成形ダイス、(3)は、ダイス(2)から引き出さ
れたフィルムバブル、(4)は、フィルムバブル(3)を引
き出すニップロールである。
【0014】(5)は、図2に示す如く、ダイス(2)にお
ける狭幅の円環状のダイリップ(2a)の外周に接近させ
て、円周方向に設けた多数の加熱素子である。
【0015】(6)は、同じく図2に示す如く、いずれか
任意の複数の加熱素子(5)の近傍の温度を計るべく、こ
れら加熱素子(5)に近接して設けた測温素子である。
【0016】(7)は、各加熱素子(5)における発熱量
を、所要に制御するための演算装置である。演算装置
(7)の周辺には、成形ダイス(2)から出たフィルムバブ
(3)が所要に冷却された後に、ニップロール(4)(4)
で偏平に折りたたまれた完成フィルム(3a)の厚さを測定
し、その測定データを演算装置(7)に入力するためのフ
ィルム厚測定装置(8)と、演算装置(7)における所要の
データを表示したり、所要の指示を表示したりするCR
Tモニタ装置(9)と、演算装置(7)に所要の機能コード
や数値データ等を入力するキー装置(10)が設けられてい
る。
【0017】各加熱素子(5)としてはセラミックシース
型の電気ヒータが用いられ、その発熱量は、個々に制御
しうるようになっている。この加熱素子(5)は、環状の
ダイリップ(2a)の外周辺に、素子同士を接近させて、密
に設けられている。
【0018】測温素子(6)は、加熱素子(5)に接近して
配置され、対応する加熱素子(5)の近傍の温度を、絶対
レベルで計測する。実施例における測温素子(6)は、等
間隔で4個配置され、各測温素子(6)は、それに最も接
近した加熱素子(5)の温度を計るとともに、すべての加
熱素子(5)を4等分した加熱素子グループの代表温度を
も計っている。
【0019】図3に示すように、ダイス(2)のダイ本体
(2b)の中央の孔には、マンドレル(2c)が嵌合され、マン
ドレル(2c)の上端部(2d)の外周には、ダイリップ(2a)を
形成するための間隔をあけて、リップ調節リング(2e)が
嵌装されている。リップ調節リング(2e)の上方には、ダ
イリップ(2a)から引き出されたフィルムバブル(3)を空
冷するためのエアーリング(2f)が設けられている。
【0020】なお、フィルムバブル(3)の内圧を発生す
るためのインサイドマンドレルや、バブルの外周を案内
するためのフィルムバブルガイド等が設けられている
が、これらは、本考案と直接には関連しないので、図示
を省略してある。
【0021】ダイ本体(2b)及びその上側のリップ調節リ
ング(2e)の外周には、バンドヒータ(2g)が巻回されてい
る。これによるダイス(2)の加熱温度は、ダイス本体(2
b)に設けた測温素子(2h)で計測して制御される。
【0022】リップ調節リング(2e)は、調節ねじ(2i)に
よって、マンドレル(2c)の対して芯合わせされ、ダイリ
ップ(2a)の間隔を、全周に亘って均一に保っている。
【0023】前記各加熱素子(5)は、ダイリップ(2a)に
接近させて、かつダイス(2)の軸線方向へ向けて、リッ
プ調節リング(2e)に埋設されている。加各熱素子(5)
は、ダイリップ(2a)の開口部付近のみではなく、溶融樹
脂通路に至る深部まで、温度を制御しうるようになって
いる。
【0024】測温素子(6)は、加熱素子(5)と同様に、
リップ調節リング(2e)に埋設されている。測温素子(6)
は、熱電対、白金抵抗体、その他適宜の感温式のもので
もよいが、実施例では熱電対が用いられている。
【0025】なお、実施例においては、4個の測温素子
(6)を用いているが、これは、発熱体(5)を電気ヒータ
として、発熱量を比例制御式で電力制御する場合に適し
ている。
【0026】比例制御の際には、発熱体(5)の温度を知
ることは、必ずしも必要ではなく、ダイリップ(2a)の温
度を知ることによって、温度をパラメータとして、偏肉
を生じさせる他の要素の経時的な温度保償が行なえるの
で、4個の測温素子(6)を設けるのが適当である。
【0027】発熱素子(5)の発熱量を、温度に基いて制
御することも可能である。この場合には、各発熱素子
(5)に対して、測温素子(6)を、1対1に対応させて設
けるとよい。電気ヒータの発熱量を比例制御によって制
御する場合に比して、これを温度に基いて制御するよう
にした方が、フィードバック制御になるので、応答性が
高くなる。
【0028】演算装置(7)は、図4に示す如く、マイク
ロプロセッサユニット(以下MPUとする)(11)を主要素
として構成したマイクロコンピュータであり、加熱素子
基準制御テーブル(Tf)が格納されているメモリ(M2)、お
よび加熱素子制御テーブル(TX)を有するメモリ(M1)を備
えている。
【0029】フィルム厚測定装置(8)は、完成フィルム
(3a)を、引き出し方向と直角に適当な長さ(10〜20mm程
度)に切断した帯環状のサンプルフィルム(3b)の厚さ
を、その切口に沿って、連続的に測定するものである。
すなわち、フィルム厚測定装置(8)においては、帯環状
のサンプルフィルム(3b)を、切口に沿って連続的に移動
させながら、膜厚を順次測定するとともに、この膜厚測
定データを、サンプルフィルム(3b)の移動方向(フィル
ムの引き出し方向と直交する方向)の測定位置データと
対応させて、演算装置(7)に入力させる。
【0030】フィルム厚測定装置(8)は、図4に示すよ
うに、ロータリーエンコーダ(8a)を備える駆動ローラ(8
b)と、案内ローラ(8c)と、テンションローラ(8d)から
なる環状テープ走行手段に、サンプルフィルム(3b)を掛
け回して、サンプルフィルム(3b)を切口に沿って走行さ
せるとともに、ロータリーエンコーダ(8a)で、走行方向
の測定位置データ(P)を検出するようにしたものであ
る。
【0031】駆動ローラ(8b)と案内ローラ(8c)の間に
は、膜厚検知センサ(8e)が設けられ、走行中のサンプル
フィルム(3d)の厚さを、位置毎に連続的に測定する。こ
の測定出力がアナログ出力の場合には、アナログ・ディ
ジタル変換器(12)を介して、ディジタルの膜厚データ
(D)に変換される。
【0032】位置データ(P)と膜厚データ(D)は、MP
U(11)に取り込まれ、位置データ(P)をアドレスに対応
させたテーブル状の1次元配列データ、もしくは位置デ
ータ(P)と膜厚データ(D)を1対として、別途に連続し
たアドレスに対応させた2次元配列データとして、所要
の作業メモリ(M1)に記憶させる。
【0033】帯環状のサンプルフィルム(3b)の位置デー
タ(P)は無限に循環するので、予め基準点を設定して、
位置データ(P)の始端と終端を定める。
【0034】前述したように、インフレーション成形に
よるフィルムバブル(3)は、ニップロール(4)で引き出
されるとともに、偏平に折りたたまれて、完成フィルム
(3a)として巻き取られる。
【0035】ニップロール(4)によってフィルムバブル
(3)が折りたたまれるときの折目(3c)(3c')は、ダイリ
ップ(2a)の開口部の一定の位置対応する。すなわち、
ニップロール(4)の接触面を、直下のダイス(2)に投影
すると、図2におけるX−X'線がこれに相当し、この
X−X'線とダイリップ(2a)の交差するところが基準位
置になる。
【0036】折目(3c)(3c')は、サンプルフィルム(3b)
にも残っており、いずれか一方の折目(3c')を基準点と
する。サンプルフィルム(3b)をサンプリングするとき、
一方の折目(3c')にマークを付けるとともに、フィルム
バブル(3)の引き出し方向である前後方向もマークす
る。
【0037】これによって、サンプルフィルム(3b)の位
置データ(P)は、マークされた折目(3c')が1巡する間
を、所要の位置データ(P)として区切ることができる。
【0038】このようにして得られる位置データ(P)の
始点と終点が、折目(3c')に対応するため、位置データ
(P)は、ダイリップ(2a)の開口周縁に対応し、かつダイ
リップ(2a)に接近して設けられた各加熱素子(5)に対し
ても対応する。
【0039】図6〜図12は、本考案の位置によって製
造された複厚フィルムを原材料として作った手提袋(20)
を示す。図6に示すように、手提袋(20)は、チューブ状
にインフレーション成形された複厚フィルム(21)を、一
定の長さで、フィルムの引出し方向(X)と直交する線で
切断し、かつ後方の切断縁を熱接着して作られる。
【0040】前方の切断縁(22)は、開口していて袋の出
し入れ口(23)となり、後方の切断縁の溶着部(24)は、袋
の底(25)となる。出し入れ口(23)の表裏面の中央部に
は、手提孔(26)が設けられる。
【0041】重いものを入れた手提袋(20)は、フィルム
の引出し方向(X)に引っ張られるが、複厚フィルム(21)
を原材料として使用しているため、その引っ張り強度
大きい。
【0042】複厚フィルム(21)は、フィルムの引出し方
向(X)に延伸している薄肉部(A)と厚肉部(B)を備えて
いる。薄肉部(A)の肉厚は、従来の一般的な均一の肉厚
の手提袋用のフィルムとほぼ同じである。厚肉部(B)の
肉厚は、手提袋(20)の吊り下げ方向、すなわち方向(X)
への引っ張り強度を増すために、薄肉部(A)よりも厚く
してある。
【0043】本考案の装置により製造された複厚フィル
ムの薄肉部(A)と厚肉部(B)の肉厚の精度は高い。
【0044】また、従来は、厚肉部(B)を成形するため
の肉厚制御が、エアーリングによって行なわれていた
め、図8に示すように、手提孔(26)が設けられる表面(2
7)と裏面(28)の2箇所の部分にのみ、比較的幅広の、厚
肉部(B)が作られるだけであった。しかし、本考案の装
置によれば、図9〜図12に示すように、薄肉部(A)と
厚肉部(B)が、フィルムの引出し方向(X)を向き、かつ
それと直交する方向に並んでいる複厚フィルム(21a)(21
b)が得られる
【0045】なお、図10及び図12には、特殊な折り
たたみ方で、図6及び図7に示す手提袋(20)の折込部(2
9)を容易に形成しうるように、薄肉部(A)と厚肉部(B
を配置した例が示されている。しかし、以下の説明で
は、図8に示すインフレーションフィルムの一般的な折
りたたみ方をもって、完成フィルム(3a)を偏平に折り
たたむものとして説明する。
【0046】図5は、サンプルフィルム(3b)の位置デー
タ(P)と、それに対応する膜厚データ(D)に対して、折
目(3c)(3c')の位置と、ダイリップ(2a)の開口周縁の位
置、並びにその開口周縁に接近して設けられた各加熱素
子(5)に、マークする折目(3c')対応する基準点(X')
から、反時計廻りに付設した素子番号(N)に対応させた
グラフを示す。
【0047】図8は、複厚フィルム(21)と相当する完成
フィルム(3a)に、素子番号(N)を付して示してる。
【0048】図5に示す如く、素子番号(N)が付された
各加熱素子(5)に対して、測定された膜厚データ(D)が
対応し、これにより、複数の膜厚を得るための、各加熱
素子(5)に要求される制御値(E0)が演算可能となる。
【0049】例えば、完成フィルム(3a)に要求される複
厚フィルムの膜厚基準値(C)(以下設定値とする。)と測
定膜厚データ(D)の大小を、位置データ(P)に応じて比
較して、その偏差値(B=C−D)を求める。
【0050】これにより、予め設定した設定値(C)と
測定値が一致した膜厚データ(D)に対応する加熱素子
(5)、例えば、図5における1、6、9、16、19
番目等の加熱素子(5)は、現在の制御状態で良いこと
がわかる。
【0051】また、設定値(C)よりも膜厚データ(D)が
大きくて、厚さが増している部分に対しては、それに
応する加熱素子(5)、例えば、7、8、13、14、2
0、21番目等の加熱素子(5)の発熱量を増すことによ
り、その近傍のダイリップ(2a)の温度を高めて、膜生成
時の膜厚を小さくすればよい。
【0052】この際における加熱素子(5)の発熱量の増
加の程度は、加熱素子(5)に対応する膜厚データ(D)の
設定値(C)からの偏差値(B)に正比例する。
【0053】また、設定値(C)より膜厚データ(D)が小
さく、厚さが不足している部分に対しては、対応する加
熱素子、例えば3、4、11、17、18番目等の加熱
素子(5)の発熱量を減少させることにより、その近くの
ダイリップ(2a)の温度を下げて、膜生成時の膜厚を大と
すればよい。この場合にも、発熱量の増加のときと同様
に、対応加熱素子(5)の発熱量の減少の程度は、加熱素
子(5)と対応する膜厚データ(D)の設定値(C)からの偏
差値(B)に正比例する。
【0054】なお、設定値(C)に対して偏差値(B)は正
負の値をとるので、加熱素子(5)の制御変更量(△E)
は、一般的に、加熱素子(5)に対応する膜厚データ(D)
と、設定膜厚値(C)の差に正比例すると言うことができ
る。制御変更量(△E)は、後述する加減データ(△d)と
同じものである。
【0055】これにより、膜厚を制御するために必要な
各加熱素子(5)の制御変更量(△E)は、絶対レベルでは
なく、相対レベルで求めうる。すなわち、発熱量は、各
加熱素子(5)のサンプルフィルム(3b)を成形したとき
(以下この時点を現在とする。)の発熱量、例えば、加熱
素子(5)が電気ヒータであるとすれば、現在の消費電力
が、実際にどの程度であるかに拘わりなく、消費電力の
現在値に対する増加分又は減小分の電力値として求めら
れる。
【0056】電気ヒータの抵抗の温度係数が、零もしく
は極く小さいとき、消費電力すなわち発熱量は、電流又
は電圧の2乗に正確に比例するので、電気ヒータの比例
制御は容易であり、かつ温度保償を必要としない。な
お、ニクロム線等は温度係数が極く小さい。
【0057】以上の如く、各加熱素子(5)毎の発熱の加
減データ(△d)は、複数の基準膜厚に応じた設定値
(C)、位置データ(P)、及び膜厚データ(D)から、位置
データ(P)に従って、MPU(11)により、△d=D−Cを
演算して求められる。
【0058】このMPU(11)によって作られた位置デー
タ(P)に加減データ(△d)を対応させたテーブルに基
き、位置データ(P)上で、各加熱素子(5)に付設された
素子番号(N)が対応付けされて、素子番号(N)と加減デ
ータ(△d)を対応させた加熱素子制御テーブル(Tx)が作
られる。この制御テーブル(Tx)は、作業用のメモリ(M1)
に一旦格納される。
【0059】演算装置(7)は、不揮発性のメモリ(M2)、
例えばROMもしくは電池でバックアップされたRAM
等によるメモリエリアを備えており、メモリ(M2)には、
加熱素子基準制御テーブル(Tf)が格納されている。
【0060】加熱素子基準制御テーブル(Tf)は、ダイリ
ップ(2a)の間隔寸法の偏りや各加熱素子の発熱特性のバ
ラツキ等、ダイス(2)の製造時やダイリップ(2a)の間隔
調整時に、予め定まってしまうダイス固有のクセによっ
て生じる偏肉成分を除去して、フィルム全体の膜厚を均
一にするデータである。
【0061】例えば、試験運転等による初期調整におい
て、各加熱素子(5)を、制御範囲の中心に近い一定値で
加熱制御しておき、かつ、フィルム仕様や運転状態を標
準的な状況に設定して、フィルムバブル(3)を成形し、
その際に得られるサンプルフィルム(3b)の測定データに
基いて、前述の加熱素子制御テーブル(Tx)は作られる。
【0062】次に、加熱素子制御テーブル(Tx)に基い
て、各加熱素子(5)の制御値に変更を加える。すなわ
ち、各素子の最初の一定基準値に、複厚フィルム(21)の
膜厚に応じて、各素子に対応する加減データ(△d)を加
える。
【0063】各加熱素子(5)の制御に変更が加えられて
発熱量が変更した後、変更があった加熱素子(5)の熱平
衡を待って、次のサンプルフィルム(3b)を採集する。以
下同様に、サンプルフイム(3b)に偏肉がなくなるか、も
しくは、偏肉成分が基準値以内に小さくなるまで、この
調整を繰返えす。
【0064】このサンプフィルム(3b)の採集によ
る繰返し調整は、実質的に、自動制御における帰還制御
である。その帰還量は、加減データ(Δd)が相当し、
帰還量が負帰還であれば、すなわち、偏肉を除去する方
向に作用していれば、長周期的に偏肉成分は零に収束す
る。
【0065】上述の調整の結果、偏肉が除去されて、膜
厚の均一なフィルム(3a)が得られるようになった時点
で、その時点の制御テーブル(Tx)を制御基準テーブル(T
f)として、不揮発メモリ(M2)に格納する。
【0066】なお、制御基準テーブル(Tf)における、各
加熱素子(5)の制御データ(d)に係る部分は、加減デー
タ(△d)と同様の基準値に対する相対値、もしくは、加
熱素子の発熱量(又は消費電力)と対応する絶対レベルの
値のいずれであってもよい。
【0067】基準制御テーブル(Tf)の作成は、ダイス
(2)の組立て時、及びダイリップ(2a)のリップ間隔調節
時に行なえばよい。
【0068】次に、新規な複厚フィルムの成形開始に際
しては、最初に、基準制御テーブル(Tf)を決めたときの
一定膜厚値と複厚フィルムの基準値(C)の差から、前記
加減データ(△d)と同様の制御変更値(△E)を求め、さ
らに、制御変更値(△E)と基準制御テーブル(Tf)の差か
ら、制御値(E0)を求めて、各加熱素子(5)制御させ
る。
【0069】しかし、偏肉を生じるパラメータは多く、
かつ温度が関係するので複雑である。また、基準制御テ
ーブル(Tf)の作成時の膜厚と複厚フィルムの膜厚は異な
るので、偏肉を生じることがある。
【0070】そのため、フィルム成形の開始時に、前記
制御値(E0)によって予熱し、ダイス(2)が熱平衡した
後、フィルムバブル(3)が安定して形成されうる状態に
なると、フィルムバブル(3)の成形を開始して、サンプ
ルフィルム(3b)を抽出し、そのサンプルフィルム(3b)
を、前述のように、フィルム厚測定装置(8)に装着して
膜厚を測定し、位置データ(P)と膜厚データ(D)を採集
する。
【0071】この位置データ(P)と膜厚データ(D)によ
り、そのときの制御値(E0)に対する変動分が演算さ
れ、各加熱素子(5)の発熱量は、速やかに再設定され
る。
【0072】MPU(11)によって演算された加熱素子番
号(N)と、それに対応する制御データ(d)により、デイ
ジタル・アナログ変換部(13)と電力制御部(14)を介し
て、各加熱素子(5)制御される。
【0073】各測温素子(6)の測定値は、温度測定部(1
5)とアナログ・デイジタル変換部(16)を介して、適時に
MPU(11)に取り込まれ、この温度は、必要に応じて絶
対レベルの温度制御に利用される。
【0074】前記加熱基準制御テーブル(Tf)は、入出力
特性や検出温度特性のバラツキを除去する成分を含み、
新規な仕様の複厚フィルム成形の開始初期には、前述の
く、制御テーブル(Tf)を利用して、制御値(E0)を算
し、各加熱素子(5)を制御して、ダイス(2)十分に
予熱し、熱的に安定してからフィルム成形を開始す
る。
【0075】このようにすると、新規な仕様の複厚フィ
ルムであっても、作業開始の第1回目のサンプル抽出
し、これに基いて調節することによって、偏肉が少な
く、かつ複数の膜厚が精密に制御された良質のものが、
速やかに製造される。
【0076】日常的なフィルムの製造に際して、複厚フ
ィルムの種類や厚さ、幅、その引き出し速度等の各デー
タは、キー装置(10)からMPU(11)に入力される。
【0077】フィルム製造中において、良質の複厚フィ
ルムが安定して得られるようになったところで、サンプ
ルフィルム(3b)を採集して確認し、そのときの各加熱素
子(5)の制御データ(d)を、加熱素子番号(N)と対応さ
せて、複厚フィルム仕様に応じた制御テーブル(T1)とし
て、不発揮メモリ(M3)に記憶させる。
【0078】複厚フィルムの仕様が変更された場合に
は、その度毎に、複厚フィルム仕様に対応する制御テー
ブル(T2)(T3)…記憶し、かつ、同一フィルム仕様で
あっても、最新のものに更新記憶する。
【0079】フィルム仕様に応じた制御テーブル(T1)
(T2)…は、稼動初期にMPU(11)に入力される複厚フィ
ルム仕様データに基いて選択され、稼動開始時に各加
熱素子を制御する。これにより、複厚フィルム仕様に
応じ、かつ常に最新の制御テーブル(T1)(T2)…により、
複数の膜厚が制御できる。
【0080】上記制御テーブル(T1)(T2)…(Tn)を記憶す
る不揮発メモリ(M3)は、着脱自在のICカードとすること
もある。ICカードによる場合は、1個のICカードに1つ
の制御テーブルを、また、1個のICカードに、フィルム
仕様や発注先特注仕様等の特定な要素に関連させて、
複数の制御テーブルを記録させておいてもよい。
【0081】
【考案の効果】薄肉部及び厚肉部共に偏肉が少なく、か
つ均一な厚さを有する複厚フィルムを、高精度で得るこ
とができる。
【0082】複数の膜厚を制御するための調節を、速や
かに行ないうるため、調節の間に生成される不良品が少
なく、歩留まりが向上する。
【0083】複厚フィルム仕様の変更にも、速やかに対
処できる。そのため、フィルムの多種小量生産が容易と
なり、また膜厚の調節に熟練を要しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の複厚フィルム製造装置の一例を示す略
【図2】図1のII−II線におけるダイスの拡大平面図
【図3】図2のIII−III線における拡大縦断面図
【図4】図1に示す演算装置のブロック図
【図5】サンプルフィルムの位置データとそれに対応す
る膜厚データのグラフに、ダイリップ開口周縁に設けた
各加熱素子の位置関係を対応させて示す図、
【図6】本考案の装置によって製造された、厚肉部が2
か所の複厚フィルムによって作られた手提袋の斜視図、
【図7】図6のVI−VI線断面図、
【図8】図6の手提袋の原材料の状態の複厚フィルムの
断面図、
【図9】厚肉部が6か所の複厚フィルムによる手提袋の
正面図、
【図10】図9のX−X線断面図、
【図11】厚肉部が多数の複厚フィルムによる手提袋の
正面図、
【図12】図11のXII−XII線断面図である。
【符号の説明】
(1)押出機 (2)(20)フィルム成形ダイス (2a)(20a)ダイリップ (2b)ダイ本体 (2c)マンドレル (2d)上端部 (2e)リップ調節リング (2f)エアーリング (2g)バンドヒータ (2h)測温素子 (2i)調節ねじ (3)フィルムバブル (3a)(3a')完成フィルム(3b) サンプルフィルム (3c)折目 (4)ニップロール (5)(5')加熱素子 (6)(6')測温素子 (7)演算装置 (8)(8')フィルム厚測定装置 (8a)ロータリーエンコーダ (8b)駆動ローラ (8c)案内ローラ (8d)テンションローラ (8e)(8e')膜厚検知センサ (8f)(8f')投光器 (9)CRTモニタ装置 (10)キー装置 (11)MPU (12)(16)アナログ・デイジタル変換部 (13)デイジタル・アナログ変換部 (14)電力制御部 (15)温度測定部 (16)アナログ・デイジタル変換部 (20)(20a)(20b)手提袋 (21)(21a)(21b)複厚フィルム (22)切断端部 (23)出し入れ口 (24)溶着部 (25)底 (26)手提孔 (27)前面 (28)後面 (29)折込部 (A)薄肉部 (B)厚肉部 (d)制御データ (D)膜厚データ (P)位置データ (X)引出し方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−29624(JP,A) 特開 昭61−291120(JP,A) 特開 昭61−139414(JP,A) 実願 昭51−23998号(実開 昭52− 117565号)の願書に添付した明細書及び図 面の内容を撮影したマイクロフィルム(J P,U)

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形ダイス(2)のダイ本体(2b)の中央の
    孔に嵌合されたマンドレル(2c)と、 マンドレル(2c)の上端部外周に、ダイリップ(2a)を形成
    するための間隔をあけて嵌装されたリップ調節リング(2
    e)と、 リップ調節リング(2e)の上方に設けられたフィルムバブ
    (3)の空冷用のエアーリング(2f)と、 上記ダイリップ(2a)の外周に接近させて、かつ互いに密
    接させて円周方向に設けられた、発熱量を個々に制御し
    うる多数の加熱素子(5)と、 任意の複数加熱素子(5)の近くの温度を絶対レベルで
    計るべく、これら加熱素子(5)に近接して設けられた複
    数の測温素子(6)と、 加熱素子制御テーブル(TX)を有するメモリ(M1)と、加熱
    素子基準制御テーブル(Tf)を有するメモリ(M2)を備え、
    各加熱素子(5)における発熱量を、所要に制御するため
    の演算装置(7)と、 成形ダイス(2)のダイリップ(2a)から出たフィルムバブ
    (3)が所要に冷却された後に、これを折りたたんで
    成フィルム(3a)とするニップロール(4)(4)と、完成フィルム (3a)を引出し方向と直角に適当な長さに切
    断した帯環状のサンプルフィルム(3b)を、その切口に沿
    って連続的に移動させながら、その厚さを順次測定する
    とともに、この膜厚測定データを、サンプルフィルム(3
    b)の移動方向(フィルムの引き出し方向と直交する方向)
    の測定位置データと対応させて、演算装置(7)に入力さ
    せるフィルム厚測定装置(8)と、 演算装置(7)における所要のデータや指示を表示するC
    RTモニタ装置(9)と、 演算装置(7)に所要の機能コードや数値データ等を入力
    するキー装置(10)とを備えてなる複厚フィルム製造装
    置。
JP1993067194U 1993-12-16 1993-12-16 複厚フィルム製造装置 Expired - Lifetime JPH088098Y2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1993067194U JPH088098Y2 (ja) 1993-12-16 1993-12-16 複厚フィルム製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1993067194U JPH088098Y2 (ja) 1993-12-16 1993-12-16 複厚フィルム製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0653126U JPH0653126U (ja) 1994-07-19
JPH088098Y2 true JPH088098Y2 (ja) 1996-03-06

Family

ID=13337859

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1993067194U Expired - Lifetime JPH088098Y2 (ja) 1993-12-16 1993-12-16 複厚フィルム製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH088098Y2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100339006B1 (ko) * 2000-03-11 2002-05-31 구자홍 드럼세탁기

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005097469A1 (ja) * 2004-04-05 2005-10-20 Akira Shimizu インフレーションフィルム製造装置
JP5297752B2 (ja) * 2008-10-09 2013-09-25 株式会社細川洋行 筒状フィルム、およびその製造装置と製造方法
WO2010084854A1 (ja) * 2009-01-21 2010-07-29 味の素株式会社 スタンディングバッグ製造方法及びスタンディングバッグ

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52117565U (ja) * 1976-03-02 1977-09-06
JPS5829624A (ja) * 1981-08-13 1983-02-21 Tomy Kikai Kogyo Kk インフレ−シヨンフイルム用ダイ装置
JPS61139414A (ja) * 1984-12-11 1986-06-26 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ダイ調整ボルト調整制御装置
JPS61291120A (ja) * 1985-06-19 1986-12-20 Toshiba Mach Co Ltd プラスチツクシ−ト等における成形プロセスの監視および制御システム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100339006B1 (ko) * 2000-03-11 2002-05-31 구자홍 드럼세탁기

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0653126U (ja) 1994-07-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS6050133B2 (ja) 口金隙間調整方法
EP0390696B1 (en) Apparatus for controlling thickness of film formed by melt extrusion
JPS58148740A (ja) プラスチツク成形機の樹脂温度制御方法
US5840223A (en) Method of blow molding hollow articles from thermoplastic synthetic resin
JPH088098Y2 (ja) 複厚フィルム製造装置
US4101614A (en) Blown film process
US5116554A (en) Method of making a film having uniform thickness
JP2533888B2 (ja) 連続押出し成形フィルムのロ―ルを製造する方法
JP3021135B2 (ja) フィルム厚み制御装置
US4517145A (en) Extrusion die and process for thickness control
JPH0288213A (ja) 溶融押出式フイルム成形による複厚フイルムの製造方法
JPS62189134A (ja) 厚さ公差の小さいプラスチツクフイルムの製造方法
JP3321759B2 (ja) プラスチック成形機
US4966536A (en) Film blowing line with roll
US7751923B2 (en) Method for control of the thickness of extruded film
JPH0586902B2 (ja)
JPS59103735A (ja) 熱可塑性樹脂押出成形品の製造方法
JP2004122434A (ja) フィルム・シートのプロファイル制御方法
JP2945749B2 (ja) フィルムシートのプロファイル制御方法
JP2536321B2 (ja) 押出成形機の押出制御装置
JPH0815753B2 (ja) フイルム幅制御装置
JPH09300432A (ja) ダイリップ調整装置
JPS60225730A (ja) 口金隙間調整方法
GB2024702A (en) Blown film process
JPH04301427A (ja) 連続押出加硫ラインの制御装置