JPH0877623A - 光磁気ディスク - Google Patents

光磁気ディスク

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JPH0877623A
JPH0877623A JP20696294A JP20696294A JPH0877623A JP H0877623 A JPH0877623 A JP H0877623A JP 20696294 A JP20696294 A JP 20696294A JP 20696294 A JP20696294 A JP 20696294A JP H0877623 A JPH0877623 A JP H0877623A
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JP
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film
magneto
magnetic layer
recording
film forming
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JP20696294A
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English (en)
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Masaji Suwabe
正次 諏訪部
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繰り返しE/W特性の向上を図り、高記録密
度化に十分対応可能とする。 【構成】 透明基板1上に希土類─遷移金属合金非晶質
薄膜からなる記録磁性層5が形成されてなる光磁気ディ
スクにおいて、前記記録磁性層5中に取り込まれるAr
吸蔵量をEPMAにより求められるArのKa のピーク
強度とTbのM a のピーク強度の比で表し、該Ar吸蔵
量が0.25以下となるように成膜条件を設定する。 【効果】 歩留りが向上するとともに、コストダウンが
図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Tb─遷移金属合金非
晶質薄膜を記録磁性層とする光磁気ディスクに関し、特
に優れた消去・記録繰り返し特性(E/W特性)に優れ
た光磁気ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光磁気ディスクは、例えばコンピ
ュータ等の外部記憶装置、或いは音声信号や映像信号の
記録再生を行う機器の記録媒体として一般に普及してい
る。この光磁気ディスクとしては、ポリカーボネート等
からなる透明基板の一主面に、膜面と垂直方向に磁化容
易軸を有し且つ磁気光学効果の大きな記録磁性層(例え
ば希土類─遷移金属合金非晶質薄膜)や反射膜、誘電体
層を積層することにより記録部を形成し、上記透明基板
側からレーザ光を照射して信号の読み取りを行うように
したものが知られている。
【0003】この光磁気ディスクは、その使われ方によ
り、100万回の繰り返し記録が可能であることが要求
される。これまで、この光磁気ディスクにおいては、上
記記録磁性層の構成材料として、殆どの場合Tb─TM
(TMとは、Fe,Coの単体又は両者の合金)系合金
非晶質薄膜(以下、MO膜と記す。)が用いられてい
る。また、この光磁気ディスクを製造するに際し、各種
機能性膜の成膜方法としては、スパッタリング法が使用
されている。
【0004】このような光磁気ディスクをスパッタリン
グにより製造する場合、スパッタリング時における成膜
条件は、主に保磁力やCN比、磁界感度等から決定さ
れ、繰り返し消去・記録特性(以下E/W特性と省略す
る。)から決定されることはない。一方、上述のように
スパッタリングによりMO膜を成膜する際に、該MO膜
中にある程度Arが取り込まれることは知られている
が、これが上記E/W特性に及ぼす影響については明確
にされておらず、製造条件として重要なパラメータであ
るという認識はなされていない。
【0005】また、上記光磁気ディスクに対して記録を
行う場合、一般にディスクに照射される半導体レーザは
波長が780nm以上で、且つ対物レンズの開口数NA
は0.5以下とされるので、レーザスポット径が比較的
大きく、記録時における上記MO膜の最高到達温度は比
較的低い。このため、使用する光磁気ディスクにおいて
は、E/W特性が問題となることはない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、今後高
記録密度化が進められるに伴い、上記半導体レーザの波
長は680nm以下、一方上記対物レンズの開口数NA
は0.55以上となることが予想される。この結果、レ
ーザスポット径は小さくなり、記録時における上記MO
膜の最高到達温度がこれまでに比べ高くなると、ディス
クのE/W特性の悪化が懸念される。
【0007】従って、上記高記録密度化を図る上で、上
述のようなMO膜中に取り込まれるAr吸蔵量のモニタ
ーは重要となる。そこで、本発明はこのような実情に鑑
みて提案されたものであって、E/W特性の向上を図
り、高記録密度化に十分対応可能となる光磁気ディスク
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究の結果、MO膜中に取り込
まれるAr吸蔵量を所定の量に抑えることにより、E/
W特性を向上させることができることを見出した。本発
明の光磁気ディスクはこのような知見に基づいて完成さ
れたものであって、透明基板上にTb−遷移金属系合金
の非晶質薄膜からなる記録磁性層が形成されてなる光磁
気ディスクにおいて、上記記録磁性層の電子プローブX
線マイクロアナライズ(以下、EPMAと記す。)にお
けるArのKαのピーク強度とTbのMαのピーク強度
が下記数2を満たすことを特徴とするものである。
【0009】
【数2】
【0010】上記数2で表されるArのKαのピーク強
度とTbのMαのピーク強度の比は、記録磁性層中のA
r吸蔵量の指標となる。すなわち、Kαのピーク強度及
びMαのピーク強度はEPMAにより測定される。上記
EPMAとは、試料に電子線を照射したときに試料から
発生するX線をもとに、どのような元素がどのくらい上
記試料に含まれているかを分析する方法である。
【0011】ここで、上記X線は、元素に固有のエネル
ギーをもって放出されるので、このエネルギー値を測定
することで元素を特定することができる。このように、
X線のエネルギー値によって解析を行う方法をエネルギ
ー分散方式(EDX)という。また、元素に固有のエネ
ルギーを有する上記X線を特性X線と称し、これは元素
原子を構成する電子がエネルギーの高い軌道から、より
エネルギーの低い軌道へ遷移するときに両者のエネルギ
ー差に等しいエネルギーを持つX線が放射される。この
より低い軌道がK殻と呼ばれる主量子数が1である軌道
であるとき、この発生するX線をK線という(主量子数
が3である時、M線)。
【0012】また、K線のなかでも、最もエネルギーの
低い(即ち、波長の長い)ものをKα線という。更に、
同じ殻内でも電子準位は分裂していて、Kα1,Kα2
等がある。しかし、分解能の低い測定機では、Kα1,
Kα2は互いに分離できないために、Kαのピーク強度
はKα1とKα2の和で表される(M線についても同様
である。)。
【0013】
【作用】Tb−遷移金属合金非晶質薄膜を記録磁性層と
する光磁気ディスクにおいて、記録磁性層のEPMAに
おけるArのKαのピーク強度とTbのMαのピーク強
度の比(Kαのピーク強度/TbのMαのピーク強度)
を0.25以下に抑えると、繰り返しE/W特性が向上
する。
【0014】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない
ことはいうまでもない。本実施例は、TbFeCo非晶
質薄膜を記録膜とする光磁気ディスク(ISOスタンダ
ード,直径130mm、1セクタ当たり512バイトの
フォーマット)において、上記TbFeCo非晶質薄膜
中のAr吸蔵量が所定量以下となるようにした例であ
る。
【0015】先ず、本実施例にかかる光磁気ディスクの
構成について説明する。この光磁気ディスクは、図1に
示すように、基板1の一主面1a上に記録部2が形成さ
れ、この記録部2上に耐蝕性保護膜3が形成された構成
とされてなる。上記基板1は、厚さ数mm程度(ここで
は1.2mmとした。)の円盤状の透明基板であって、
その材質として、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂等のプラス
チック材料の他、ガラス等が挙げられるが、本実施例で
はポリカーボネート樹脂を使用した。
【0016】なお、この基板1表面のうち、上記記録部
2を設ける側には、通常再生時に使用するレーザ光波長
のおよそ4分の1の深さを有する案内溝や番地符号ピッ
ト等(いずれも図示は省略する。)が設けられる。上記
記録部2は、記録磁性層6、誘電体層4,6及び反射膜
7が積層された多層構造を有してなり、通常は基板1上
に第1の誘電体層4が形成され、この第1の誘電体層4
上に順次記録磁性層5、第2の誘電体層6及び反射膜7
が積層形成される。
【0017】上記第1及び第2の誘電体層4,6として
は、酸化物や窒化物等が使用可能であるが、これら第1
及び第2の誘電体層4,6の酸素が上記記録磁性層5に
悪影響を及ぼす虞れがあることから、窒化物がより好ま
しく、酸素及び水分を透過させず、且つ使用レーザ光を
十分に透過し得る物質として、窒化珪素や窒化アルミニ
ウム等が好適である。ここでは、窒化珪素を使用した。
【0018】このうち、上記第1の誘電体層4の膜厚
は、1000Åとし、上記第2の誘電体層6の膜厚は、
400Åとした。上記記録磁性層5は、膜面に垂直な方
向に磁化容易方向を有する非晶質の磁性薄膜であって、
磁気光学特性に優れることは勿論、室温にて大きな保磁
力を持ち、且つ温度200℃付近にキュリー点を持つこ
とが望ましい。このような条件に叶った記録材料とし
て、希土類─遷移金属合金非晶質薄膜等が挙げられ、な
かでもTbFeCo非晶質薄膜が好適であり、本実施例
でもTbFeCo非晶質薄膜を使用した。
【0019】この記録磁性層5の膜厚は、220Åとし
た。上記反射膜7は、上記第2の誘電体層6との境界で
レーザ光を70%以上反射する高反射率の膜により構成
することが好ましく、非磁性金属の蒸着膜が好適であ
る。また、この反射膜7は、熱的に良導体であることが
望ましく、入手の容易さや成膜の容易さ等を考慮する
と、アルミニウム膜が適している。本実施例では、アル
ミニウム合金膜を使用した。
【0020】この反射膜7の膜厚は、成膜条件に応じて
ディスクの記録レーザに対する感度が変わるので、ディ
スクに信号を記録するのに最低必要な記録時のレーザパ
ワーを3.8mWに統一するために、適宜設定した。更
に、上記耐蝕性保護膜3は、上記記録部2の表面を平坦
化するとともに、湿気等から上記記録部2を保護するこ
とを目的として設けられるものである。この耐蝕性保護
膜3の構成材料としては、通常この種の光磁気ディスク
において使用されているアクリル系紫外線硬化樹脂(例
えば、大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:SD
−17)を使用したが、これに限定されるものではな
い。
【0021】以上のような構成を有する光磁気ディスク
は、次のような製造装置を用いて作製した。即ち、この
製造装置は、図2に示すように、ポリカーボネート樹脂
からなる円盤状の基板11が固定されてなるキャリア1
2が順次搬入されるキャリアストッカー室13と、Si
N膜からなる第1の誘電体を成膜するための第1の成膜
チャンバ14と、TbFeCo系非晶質薄膜からなる記
録磁性層を成膜するための第2の成膜チャンバ15と、
SiN膜からなる第2の誘電体層を成膜するための第3
の成膜チャンバ16と、アルミニウム反射膜を成膜する
ための第4の成膜チャンバ17から構成されてなる。
【0022】これらキャリアストッカー室13、第1乃
至第4の成膜チャンバ14〜17は、図2中横方向に並
列して互いに接続されるとともに、各空間毎に所定の真
空度に保たれるように仕切られている。このうち、上記
キャリアストッカー室13の側面13aには、キャリア
搬入口(図示せず。)が設けられており、該キャリア搬
入口を介して複数のキャリア12が図2中上方から下方
に向かって順次送り込まれる。
【0023】このキャリアストッカー室13内には、複
数のキャリア12が互いに所定の間隔をあけて図2中縦
方向に並列して配設される。これらキャリアストッカー
室13内に配設されたキャリア12は、上記第1の成膜
チャンバ14に順次送り出され、上記第1の成膜チャン
バ14内で該キャリア12上に配設された基板11に対
して第1の誘電体層の成膜が行われた後、上記第2の成
膜チャンバ15内に送られる。従って、上述のようにキ
ャリアストッカー室13内に複数のキャリア12を待機
させることにより、上記第1の成膜チャンバ14での成
膜、更には上記第2〜4の成膜チャンバ15〜17での
成膜がインラインで連続して行われるようになされてい
る。
【0024】上記キャリア12は、図3及び図4に示す
ように、円盤状のプレートであり、その一主面上に複数
(本実施例では4枚)の基板11が等間隔に配設されて
いる。一方、上記第1の成膜チャンバ14の一側壁14
aには、図示しないArガス導入口及びN2 ガス導入口
がそれぞれ設けられており、これらArガス導入口又は
2 ガス導入口を介して内部にArガス若しくはN2
スが適宜導入され、所望の雰囲気に制御されるようにな
されている。
【0025】また、この第1の成膜チャンバ14の上記
Arガス導入口等が設けられた壁面14aと対向する壁
面には、内部にSiターゲット18が配設されている。
そして、このSiターゲット18と、上記第1の成膜チ
ャンバ14内に送り込まれたキャリア12上に固定され
た基板11との間でスパッタリングが行われて上記基板
11上に第1の誘電体層が形成される。
【0026】この第1の誘電体層が設けられた上記基板
11を保持した上記キャリア12は、上記第1の誘電体
層の成膜後、上記第1の成膜チャンバ14に隣接して配
設される上記第2の成膜チャンバ15内に送り込まれ
る。この第2の成膜チャンバ15の一側壁15aには、
Arガス導入口(図示せず)が設けられており、該Ar
ガス導入口を介して内部にArガスが適宜導入され、所
望の雰囲気に制御されるようになされている。
【0027】また、この第2の成膜チャンバ15の上記
一壁面15aと対向する壁面には、内部にTbFeCo
合金ターゲット20が配設されている。そして、このT
bFeCo合金ターゲット20と、上記第2の成膜チャ
ンバ15内に送り込まれたキャリア12上に固定された
基板11との間でスパッタリングが行われ、上記第1の
成膜チャンバ14にて上記基板11上に形成された第1
の誘電体層上に記録磁性層が成膜される。
【0028】この記録磁性層の成膜に際し、上記第2の
成膜チャンバ15内の真空度や投入パワー等の成膜条件
を変化させて得られる記録磁性層中に取り込まれるAr
の吸蔵量を所定量以下に抑える。これにより、得られる
光磁気ディスクのE/W特性が向上する。この記録磁性
層が設けられた上記基板11を保持した上記キャリア1
2は、上記記録磁性層の成膜後、上記第2の成膜チャン
バ15に隣接して配設される上記第3の成膜チャンバ1
6内に送り込まれる。
【0029】この第3の成膜チャンバ16は、上記第1
の成膜チャンバ14と同じ構成を有しており、一側壁1
6aに設けられた図示しないArガス導入口及びN2
ス導入口により内部が所望の雰囲気に制御されるととも
に、上記一壁面16aと対向する壁面側の内部にSiタ
ーゲット21が配設され、該第3の成膜チャンバ16内
に送り込まれたキャリア12上に固定された基板11と
の間でスパッタリングが行われて上記記録磁性層上に第
2の誘電体層が形成されるようになされている。
【0030】この第2の誘電体層が設けられた上記基板
11を保持した上記キャリア12は、上記第2の誘電体
層の成膜後、更に上記第3の成膜チャンバ16に隣接し
て配設される上記第4の成膜チャンバ17内に送り込ま
れる。この第4の成膜チャンバ17の一側壁17aに
は、図示しないArガス導入口が設けられており、この
Arガス導入口を介して内部にArガスが導入され、所
望の雰囲気に制御されるようになされている。
【0031】また、この第4の成膜チャンバ17の上記
Arガス導入口が設けられた壁面17aと対向する壁面
には、内部にアルミニウム合金ターゲット22が配設さ
れる。そして、このアルミニウム合金ターゲット22
と、上記第4の成膜チャンバ17内に送り込まれたキャ
リア12上に固定された基板11との間でスパッタリン
グが行われ、上記第3の成膜チャンバ16にて上記基板
11上に形成された第2の誘電体層上にアルミニウム反
射膜が成膜される。
【0032】更に、このアルミニウム反射膜が設けられ
た上記基板11を保持した上記キャリア12は、該アル
ミニウム反射膜の成膜後、上記第4の成膜チャンバ17
から取り出され、光磁気ディスクが得られる。そこで、
この製造装置を用い、次のようにして光磁気ディスクを
作製し、得られた光磁気ディスクの繰り返しE/W特性
を調べた。
【0033】即ち、先ず上記第1乃至第4の成膜チャン
バ内の真空度が8×10-6Pa以下となるまで排気し
た。次に、上記キャリアストッカー室内に配設されたキ
ャリアを上記第1の成膜チャンバ内に送り込み、該第1
の成膜チャンバにて上記キャリア上に固定された基板上
に第1の誘電体層を成膜した。
【0034】続いて、上記キャリアを第2の成膜チャン
バに移動させ、該第2の成膜チャンバにて上記基板上に
形成された第1の誘電体層上に記録磁性層を形成した。
この時、下記表1に示すように、上記第2の成膜チャン
バ内の真空度及び投入パワーを変化させた。このように
上記第2の成膜チャンバでのスパッタリング時の成膜条
件を変えると、得られる記録磁性層の巨視的な構造が変
わり、該記録磁性層中に取り込まれるArの吸蔵量が変
化する。このArの吸蔵量を下記表1に併せて記す。
【0035】
【表1】
【0036】なお、上記Arの吸蔵量は、次式(3)の
ように定義した。
【0037】
【数3】
【0038】また、このArの吸蔵量は、次のようにし
て求めた。即ち、ポリカーボネート樹脂からなる透明基
板上に上記表1に示す6種類の成膜条件にて記録磁性層
のみを約2000Å厚に形成した。そして、得られたサ
ンプルディスクについて、日立株式会社製のエネルギー
分散式EPMA分析装置(商品名;S−550+KEV
EX デルタIS)を用い、上記透明基板上に設けられ
た記録磁性層中のTbのMαのピーク値(特性X線のみ
の強度)とArのKαのピーク値をそれぞれ測定(図6
参照)し、これらを上記式(3)に代入してArの吸蔵
量を求めた。なお、このようにして求められるArの吸
蔵量は、強度比であるので、測定機や測定条件にはあま
り依存しない。
【0039】このArの吸蔵量を上記表1に併せて記
す。更に、上記キャリアを第3の成膜チャンバ及び第4
の成膜チャンバ内に順次通過させ、各成膜チャンバにて
上記第1の誘電体層上に形成された記録磁性層上に第2
の誘電体層及びアルミニウム反射膜を順次形成した。そ
して、これら第1及び第2の誘電体層、記録磁性層及び
アルミニウム反射膜が形成された基板を保持したキャリ
アを上記第4の成膜チャンバから取り出し、上記アルミ
ニウム反射膜上に紫外線硬化樹脂を塗布して耐蝕性保護
膜を設け、光磁気ディスクを得た。
【0040】なお、このような光磁気ディスクの製造に
際し、上記第1及び第2の誘電体層、記録磁性層及びア
ルミニウム反射膜の成膜時におけるスパッタリング条件
は下記表2に示す通りとした。
【0041】
【表2】
【0042】繰り返しE/W特性の測定は、次のように
行った。即ち、下記に示す条件にて1.7×106 回記
録・消去を繰り返した後、後述のようにしてCN比を測
定した。この時、測定時の記録パワーを4〜8mWの範
囲で変化させた。そして、最大CN比の値をCN比max
とし、繰り返し記録・消去前後での上記CN比max の差
を求めた。 <繰り返しE/W特性の測定時の条件> 記録時の回転数 2400rpm テストエリア r=30mm イレーズDCパワー 10mW イレーズ印加バイアス磁界 −24kA/m(−30
0Oe) ライトパワー 8mW ライト印加バイアス磁界 24kA/m(300O
e) 記録キャリア周波数 4.93MHz パルス幅 51ns CN比の測定は、ナカミチ社製のCN比測定機(商品
名:OMS−2000、開口数NA=0.5、半導体レ
ーザ光の波長=780nm)を用い、上記光磁気ディス
クのテストエリア(r=30mm)を消去した後、記録
を行い(回転数2400rpm)、記録された信号をス
ペクトルアナライザにより観測することにより行った。
【0043】この測定に際し、消去・記録時の条件は次
の通りとした。 <イレーズ条件> イレーズDCパワー 10mW イレーズ印加バイアス磁界 −24kA/m(−30
0Oe) <ライト条件> ライトパワー 適宜設定(8mWが基
本) 記録キャリア周波数 4.93MHz パルス幅 51ns この結果を上記表1及び図5に示す。
【0044】図5は、得られた光磁気ディスクにおける
記録磁性層中のAr吸蔵量と、繰り返しE/Wテスト前
後での最大CN比の差(最大CN比の劣化量)の関係を
示すものである。これら表1及び図5から、上記記録磁
性層中のAr吸蔵量が少ない方(ピーク強度比が小さい
方)が繰り返しE/Wテスト後の最大CN比の劣化量が
小さく、上記Ar吸蔵量が0.25以下でほぼ一定とな
ることが判った。
【0045】ここで、上記記録磁性層中のTbの濃度が
変わってしまえば上記Ar吸蔵量も変化せざるを得ない
が、Tb─TM系の記録磁性層を使用する限り、保磁力
をほぼ400〜1200kA/mとしなければならない
ので、上記Tbの濃度は約20原子%とされることが必
要である。このため、上記Tbの濃度が大きく変わると
いうことは考慮しなくて良い。
【0046】また、本実施例の場合、成膜条件を変えて
も上記Tbの濃度はほとんど変化しない。このことは上
記表1に示す、それぞれの条件で作製された記録磁性層
のプラズマ発光分光分析法によるTbの組成分析の結果
からも確認される。従って、上記Ar吸蔵量を上述のよ
うにTbのMαのピーク強度とArのKαのピーク強度
の比で表し、この値が0.25以下となるように、記録
磁性層の成膜時における成膜条件を設定することによ
り、良好なE/W特性が得られる。
【0047】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、透明基板上にTb−遷移金属系合金の非
晶質薄膜からなる記録磁性層が形成されてなる光磁気デ
ィスクにおいて、上記記録磁性層のEPMAにおけるA
rのKαのピーク強度とTbのMαのピーク強度の比を
所定の値以下に規制しているので、繰り返し記録・消去
を行ってもCN比の劣化の少ない光磁気ディスクを得る
ことができる。
【0048】従って、本発明によれば、光磁気ディスク
の製造における歩留まりの向上とコストの低減を図るこ
とが可能となり、その工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光磁気ディスクの一構成例を示
す断面図である。
【図2】本発明にかかる光磁気ディスクを製造する際に
使用する製造装置の一構成例を示す平面図である。
【図3】基板が配設されたキャリアの一構成例を示す要
部拡大平面図である。
【図4】基板が配設されたキャリアの一構成例を示す要
部拡大側面図である。
【図5】記録磁性層中のAr吸蔵量と繰り返しE/Wテ
スト前後での最大CN比の差の関係を示す特性図であ
る。
【図6】記録磁性層のEPMAの一測定例を示す特性図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録部 3 耐蝕性保護膜 4 第1の誘電体層 5 記録磁性層 6 第2の誘電体層 7 反射膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上にTb−遷移金属系合金の非
    晶質薄膜からなる記録磁性層が形成されてなる光磁気デ
    ィスクにおいて、 上記記録磁性層の電子プローブX線マイクロアナライズ
    におけるArのKαのピーク強度とTbのMαのピーク
    強度が下記数1を満たすことを特徴とする光磁気ディス
    ク。 【数1】
JP20696294A 1994-08-31 1994-08-31 光磁気ディスク Pending JPH0877623A (ja)

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