JPH087668A

JPH087668A - 耐火ケーブル

Info

Publication number: JPH087668A
Application number: JP6144567A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Ishikawa; 浩史石川; Yasuaki Yamamoto; 康彰山本; Masami Tanmachi; 正美反町; Tomohiro Suzuki; 智広鈴木; Kazuhiko Kobayashi; 一彦小林
Original assignee: Hitachi Cable Ltd
Current assignee: Hitachi Cable Ltd
Priority date: 1994-06-27
Filing date: 1994-06-27
Publication date: 1996-01-12

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明の目的は難燃性と共に、耐火性を大巾
に向上させた新規な耐火ケーブルを提供することにあ
る。【構成】本発明は導体１上に形成された耐火層２上
に、シリコーンレジン１００重量部に対し、フィラ１０
〜３００重量部を混和した組成からなるコーティング剤
を含浸してなる有機繊維あるいは無機繊維の基布テープ
を巻き付けてバリア層８を形成すると共に、このバリア
層８の上に絶縁体層３を被覆して絶縁体コア４を形成
し、さらにこの絶縁体コア４上に、リン化合物を混和し
た樹脂組成物を含んだ押えテープ６及びこの樹脂組成物
からなるシース７を被覆してなることを特徴としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は主に高層ビルや地下街等
に設置される電気防災設備に用いられる耐火ケーブルに
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、高層ビルや地下街、劇場等の多
数の人が集まる構築物には、火災時の安全対策としてス
プリンクラ、自動火災報知機、非難誘導灯等の電気防災
設備の設置が義務付けられており、また、これら電気防
災設備には、火災時においてもこれらを一定時間作動さ
せるために耐火ケーブルが使用されている。この耐火ケ
ーブルは例えば図２に示すように、導体１上にガラスマ
イカ等からなる耐火層２を設け、さらに耐火層２の上に
ポリエチレン等の樹脂組成物から絶縁体層３を被覆した
絶縁体コア４を形成し、さらに少なくとも１本以上のこ
の絶縁体コア４の周囲に難燃性の介在５、押えテープ
６、シース７を設けたものであり、火災時の高熱、炎か
ら導体１を保護すると共に、延焼を防止するようになっ
ている。

【０００３】これらに用いられる耐火ケーブルの難燃性
は、従来ＪＩＳ−Ｃ３００５の６０°傾斜試験のに合格
する程度の難燃性レベルのものが主流を占めていたが、
最近ビルの高層化や地下街等の拡大化に伴い、さらに高
度の難燃性、具体的にはＩＥＥＥ（アメリカ電気電子技
術者協会）規格３８３の垂直トレイ試験（ＶＴＦＴ）レ
ベルの難燃性が要求されるようになってきた。そして、
このような高難燃化を実現するためには、絶縁体、押え
テープ、シース等の難燃性をさらに向上させる必要があ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
シース等を高難燃化すると、逆にＪＩＳＡ１３０４に準
じた耐火試験、特に電線管内試験において、絶縁体が溶
融落下及び燃焼し難くなり、燻蒸状態を経て炭化し易く
なって、電気特性が大巾に低下し、耐電圧試験や絶縁抵
抗の規格値を満足させることが非常に難しい。即ちこの
ことは、実際の火災時において上記電気防災設備を良好
に作動させることができないという結果を招くおそれが
あった。

【０００５】そこで、本発明は上記の問題点を有効に解
決するために案出されたものであり、その目的は難燃性
と共に、耐火性を大巾に向上させた新規な耐火ケーブル
を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】一般に、従来の耐火ケー
ブルの耐火層として用いられるガラスマイカはガラス繊
維とマイカ界面及び積層されたマイカの間に空隙が生じ
ていると考えられる。このため、押えテープあるいはシ
ースに高難燃材料を用いた場合、上述の耐火層だけを使
用した耐火電線ではＪＩＳＡ１３０４に準じた耐火試験
においてポリエチレンや架橋ポリエチレンに代表される
絶縁体が溶融、低分子量化し、ガラスマイカ中に浸透後
炭化が促進されて電気特性を著しく低下させることとな
る。

【０００７】そこで、上記課題を解決するために本発明
は導体上に形成された耐火層上に、シリコーンレジン１
００重量部に対し、フィラ１０〜３００重量部を混和し
た組成からなるコーティング剤を含浸してなる有機繊維
あるいは無機繊維の基布テープを巻き付けてバリア層を
形成すると共に、このバリア層の上に絶縁体層を被覆し
て絶縁体コアを形成し、さらにこの絶縁体コア上に、リ
ン化合物を混和した樹脂組成物を含んだ押えテープ及び
この樹脂組成物からなるシースを被覆してなるものであ
る。

【０００８】このコーティング剤として用いるシリコー
ンレジンは一般にＲａＳｉＯ_4-a（Ｒは有機基）の平均
式で表わすことができるものであり、一般にこの有機基
Ｒはメチル基やフェニル基が使用されることが多い。

【０００９】また、本発明ではこのシリコーンレジンの
組成がＴ単位とＤ単位の比で９０／１０〜４０／６０モ
ル％が望ましい。すなわち、Ｔ単位が多すぎると可撓性
が著しく低下し、反対にＤ単位が多いと可撓性には優れ
るがセラミック化しにくいからである。尚、

【００１０】また、このシリコーンレジンは有機樹脂と
組み合わせて変性し、変性レジンとして用いても良い。
例えばシリコーンアルキッド、シリコーンポリエステ
ル、シリコーンアクリル、シリコーンエポキシ、シリコ
ーンフェノールなどである。また、シリコーンレジンは
トルエン、キシレンなどの有機溶剤に溶解するのでシリ
コーンワニスとして使用されることが多い。

【００１１】また、このようなシリコーンレジンに添加
されるフィとしてはラシリカ、アルミナ、マイカ粉、Ａ
ｌ（ＯＨ）₃、Ｍｇ（ＯＨ）₂等が挙げられ、また、そ
の配合量は１００重量部に対してフィラ１０〜３００重
量部の範囲とする必要がある。すなわち、１０重量部以
下であるとセラミック強度が低く難燃性も不十分とな
り、反対に４００重量部以上であると塗布性が悪く、ま
た基布テープとの密着強度が著しく低下し、剥離し易く
なる。さらに、この基布テープは難燃性、密着性、価格
等の点からスフテープやガラステープが好ましい。

【００１２】

【作用】本発明は上述したように、耐火層上にシリコー
ンレジンとフィラからなるコーティング剤を塗布したテ
ープを巻き付けてバリア層を形成することにより、燃焼
時このバリア層がセラミック化してシール機能を発揮
し、耐火層への絶縁体分解物の浸透を抑え、電気特性の
低下を大巾に抑制できる。また、シース等を構成する樹
脂組成物中にリン化合物を加えることにより難燃性を向
上させることができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を詳述する。

【００１４】図１に示すように、銅導体１．２φ上に耐
火層２として０．１３ｍｍ厚のガラスマイカ（マイカ層
の厚さ０．１０ｍｍ）を１／５ラップで２枚巻きした上
に、表１に示すような組成のコーティング剤を塗布した
ガラステープあるいはスフテープを１／５ラップで１枚
巻きしてバリア層８を形成し、さらにその上に絶縁体層
３として低密度ポリエチレンを被覆して絶縁体コア４を
形成した。そして、この絶縁体コア４の周囲に介在５を
介してリン含有テープあるいはＮＹテープからなる押え
テープ６を巻き付けると共に、その周囲に表２の組成か
らなるシース７を被覆して８種類の試料ケーブル（実施
例１〜４、比較例１〜４）を作製した後、これら各種試
料ケーブルについて、耐剥離性、可撓性、難燃性、耐火
特性の評価を行い、その結果を表３に示す。尚、耐剥離
性については、基布テープを１．２φマンドレルに巻き
付けて剥離しないものを良、剥離するものを不良として
評価した。また、可撓性については基布テープを１．２
φマンドレルに巻き付けてクラックが入らないものを
良、クラックが生じたものを不良として評価した。ま
た、難燃性については、ＩＥＥＥ規格３８３に準拠し、
２．４ｍのケーブルを１０本垂直に並べ、下方０．６ｍ
から７０，０００ＢＴＵ／ｈの炎を２０分間当て、その
後炎を取り去り１．８ｍ未満で自己消炎すれば合格１．
８ｍ以上に延焼したものは不合格とした。また、耐火特
性については耐火・耐熱電線認定業務委員会で規定して
いる露出試験及び管内試験をＪＩＳ−Ａ１３０４に定め
る火災温度曲線に従い、３０分間加熱した後、絶縁抵抗
測定及び１５００Ｖ／１分の耐電圧試験を行い、後者に
ついては絶縁破壊しないものを合格とした。

【００１５】

【表１】

【００１６】

【表２】

【００１７】

【表３】

【００１８】この結果、表１及び表３からも明らかなよ
うに、本発明の範囲内にある実施例１〜４はいずれも可
撓性、耐剥離性に優れ、かつＶＴＦＴに合格する難燃性
を備えると共に、優れた耐火特性を発揮した。

【００１９】これに対し、フィラであるマイカ粉の混和
量が規定値を越える比較例１では耐剥離性が劣り、ま
た、マイカ粉の混和量が規定値以下の比較例２では耐火
試験に不合格となり、耐火性が著しく劣ってしまった。
また、押えテープ及びシースにリン化合物を使わない比
較例３の場合は難燃性が不十分であり、また、本発明の
規定外のシリコーンレジンを用いた比較例４では絶縁抵
抗が低く、耐電圧試験に不合格となってしまった。

【００２０】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、特に優れ
た難燃性及び耐火性を発揮するため、火災時における防
災設備の信頼性及び安全性に大きく寄与することができ
る等といった優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す拡大断面図である。

【図２】従来の耐火ケーブルの一実施例を示す拡大断面
図である。

【符号の説明】

１導体２耐火層３絶縁体層４絶縁体コア５介在６押えテープ７シース８バリア層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者鈴木智広茨城県日立市日高町５丁目１番１号日立電線株式会社日高工場内 (72)発明者小林一彦茨城県日立市日高町５丁目１番１号日立電線株式会社日高工場内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】導体上に形成された耐火層上に、シリコ
ーンレジン１００重量部に対し、フィラ１０〜３００重
量部を混和した組成からなるコーティング剤を含浸して
なる有機繊維あるいは無機繊維の基布テープを巻き付け
てバリア層を形成すると共に、このバリア層の上に絶縁
体層を被覆して絶縁体コアを形成し、さらにこの絶縁体
コア上に、リン化合物を混和した樹脂組成物を含んだ押
えテープ及びこの樹脂組成物からなるシースを被覆して
なることを特徴とする耐火ケーブル。
【請求項２】上記シリコーンレジンの組成がＴ単位と
Ｄ単位の比で９０／１０〜４０／６０モル％であること
を特徴とする請求項１記載の耐火ケーブル。
【請求項３】上記フィラがシリカ、アルミナ、マイカ
粉、Ａｌ（ＯＨ）₃、Ｍｇ（ＯＨ）₂のいずれかである
ことを特徴とする請求項１記載の耐火ケーブル。
【請求項４】上記基布テープがスフテープ又はガラス
テープであることを特徴とする請求項１記載の耐火ケー
ブル。