JPH0875892A - 原子炉解体方法およびその装置 - Google Patents

原子炉解体方法およびその装置

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JPH0875892A
JPH0875892A JP6213750A JP21375094A JPH0875892A JP H0875892 A JPH0875892 A JP H0875892A JP 6213750 A JP6213750 A JP 6213750A JP 21375094 A JP21375094 A JP 21375094A JP H0875892 A JPH0875892 A JP H0875892A
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mast
dismantling
manipulator
reactor
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英明 丸木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】放射線被曝線量、解体コストを低減し、解体工
程の短縮、省力化および解体作業性の向上をはかる。 【構成】運転が終了し燃料が全て取り出され、一定期間
密閉管理後、解体時に使用する原子炉解体装置で、移動
装置,解体用マニピュレータ,作業監視装置,現場盤お
よび操作制御部からなっている。移動装置は既設の燃料
交換機2のレール12とブリッジ13およびトロリ15と補助
ホイスト16を利用したもので、トロリ15にマニピュレー
タ5を搭載する。マニピュレータ5はトロリ15部のマス
ト旋回装置14を流用した旋回部と、ITVカメラ8付き
マニピュレータを先端に接続する伸縮自在のマスト3と
からなる。操作制御部は燃料交換機制御部33と電気的に
接続しブジッリ13,トロリ15,補助ホイスト16,マスト
旋回装置14,各種駆動源とマニピュレータ5,作業用監
視装置の操作とを現場盤17を介して遠隔操作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えば商業運転を終了し
た原子力発電所や研究試験炉における原子炉および原子
炉圧力容器内の構造物を遠隔操作により解体するための
原子炉解体方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】発電用原子炉や研究用試験炉はその使命
を達成すると廃止され、解体されるが、従来の原子炉解
体技術については例えば原子力工業Vol.36 No.2(1990)
およびVol.37 No.2(1991) に詳しく記載されている。す
なわち、Vol.36 No.2 には原子炉解体と遠隔ロボット技
術、主要国における技術開発の現状および研究開発の今
後の課題が特別記事として、またVol.37 No.2 にはJP
DR解体実地試験の現状がワイド特集として記載されて
いる。
【0003】従来の炉内構造物解体は解体専用の台車ま
たは天井クレーンと脚体付架台を有した移動装置を用い
て、解体用マニピュレータを解体対象部位まで移動後、
脚体を解体する炉壁に展開して固定する構成となってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の原子炉解体装置
は解体専用の台車または移動装置を新たに製作する必要
があり、そのための製作費や製作設備を必要とするだけ
でなく、その解体個所に適するように設備、治工具類を
その都度設計製作し直さなければならない繁雑さがあ
る。
【0005】また、従来の解体専用台車は解体物を仮置
きおよび細分化するための作業場所である燃料プールま
での移動を考慮したものではない。そのため解体専用台
車の場合は新たに原子炉建屋側との干渉防止や運転範囲
の検討を行う必要がある。
【0006】解体専用クレーンを用いる場合は大かがり
な解体設備となり、コストおよび使用後の廃棄等の点で
課題があり、炉解体に際しては原子炉解体装置の設置に
伴う工事工程の確保と作業員の放射線被曝の点で課題が
ある。
【0007】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、原子力発電所または研究試験炉の原子炉解体
作業において、使用目的を終えた燃料交換機および天井
クレーンを流用し、新たに解体専用の台車(移動装置)
または脚体付架台を全て新たに製作することなく、遠隔
でマニピュレータを作業部位までアクセスさせることが
できる原子炉解体方法およびその装置を提供することに
ある。
【0008】また、本発明は作業員の放射線被曝線量の
低減と解体コストを低減するとともに解体工程の短縮お
よび省力化を図り、さらにプラント建屋側との干渉防
止、作業の信頼性、装置の保守性、解体作業性等の向上
ならびに解体に伴う作業用機材の廃棄量の増加を抑える
ことができる原子炉解体方法およびその装置を提供する
ことにある。
【0009】さらに、本発明は既設の設備を利用して解
体することにより、解体作業に伴う作業用機材の新たな
廃棄物の増加を防ぐことができる原子炉解体方法および
その装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は既設の燃料交換
機の本体,レール,ブリッジ,トロリ,補助ホイストと
天井クレーンと、主蒸気ラインプラグの逆圧サポートリ
ングを利用し、この燃料交換機本体,ブリッジ、トロリ
部や逆圧サポートリングに直接または間接的に炉内作業
補助架台を取り付け、この炉内作業補助架台に解体用マ
ニピュレータを着脱自在に設置し、この解体用マニピュ
レータを原子炉内および燃料プール内の解体箇所へアク
セスさせて原子炉または原子炉内構造物の解体作業を行
うことを特徴とする。
【0011】本発明の解体装置は燃料交換機を改造した
移動装置,解体用マニピュレータ、作業監視装置,現場
盤および操作制御部からなることを特徴とする。移動装
置は燃料交換機用走行レール,ブリッジおよび補助ホイ
ストとマスト(燃料把握機)旋回装置とを有するトロリ
から構成される。解体用マニピュレータはトロリ部のマ
スト旋回装置を流用した旋回部と、監視用カメラ付きマ
ニピュレータを先端に有した伸縮自在のマストと、マニ
ピュレータとから構成される。
【0012】作業監視装置は、監視用カメラ,移動装置
側センサ,解体用マニピュレータ側センサ,各動力源の
供給状況等を操作制御部側の表示装置へ表示するととも
に各装置や雲台,レンズ等を遠隔操作することができ
る。監視カメラは燃料交換機本体,ブリッジ部,トロリ
部,解体用マニピュレータ先端部,補助ホイスト部等に
設置する。
【0013】燃料交換機操作室内に設置した炉心解体装
置操作制御部は燃料交換機側制御部と電気的に接続する
ことにより、ブリッジ,トロリ,補助ホイスト,マスト
旋回装置,各種駆動源(電気,空気,水)と解体用マニ
ピュレータ,作業監視装置の操作とをブリッジ上の現場
盤を介して遠隔操作する。
【0014】
【作用】本発明は、運転を終了し燃料等が全て取り出さ
れ一定期間密閉管理後、解体時に使用する原子炉解体装
置である。プラント側既設設備である燃料交換機のレー
ルと交換機本体のブリッジ,トロリ,補助ホイストと、
天井クレーンや主蒸気ラインプラグの逆圧サポートリン
グを利用する。
【0015】この交換機本体のブリッジ,トロリ部や逆
圧サポートリングに炉内作業補助架台を直接または間接
的に取り付ける。この炉内作業補助架台に、解体用マニ
ピュレータを着脱可能に設けて、炉内および燃料プール
内の解体箇所へ解体用マニピュレータをアクセスさせ、
既設設備と最適に組み合わせて作業を行う。
【0016】原子炉解体作業は炉および燃料プールに水
を満たし、水によるしゃへいを行った後、ブリッジとト
ロリを用いて所定の作業位置まで移動し、マスト旋回装
置と伸縮自在マストによりマニピュレータの向きと高さ
を調整し、マニピュレータ先端を作業部位に近接させ
る。
【0017】電気,空気圧、水圧はブリッジ上の各種駆
動源から各種配管によりケーブル処理装置を介してマニ
ピュレータおよび先端の解体工具に供給される。解体物
の炉内から燃料プールへの移動は天井クレーン,補助ホ
イスト,ブリッジに設けたフック等により吊り下げられ
てカナルを通り移送する。
【0018】既設の燃料交換機の制御駆動系や天井クレ
ーンを利用することにより建屋側と干渉することなく、
解体用マニピュレータの制御部とリンクした動作が可能
となる。電気・空気圧等の電力源は、燃料交換機のもの
を流量し、ウォータージェット用や水圧駆動部の水圧源
については新たに設置する。
【0019】既設レールと燃料交換機ブリッジ制御駆動
系とを利用することにより建屋側と干渉することなく、
炉内および燃料プール内の解体箇所へ解体用マニピュレ
ータをアクセスさせ、制御部とリンクした動作が可能と
なる。
【0020】制御部は計算機の高性能化や機器維持管理
上の理由により、解体時に既設計算機が使用困難な場合
には、ソフトデータを共用できる計算機を仮設して既存
の燃料交換機制御駆動系を利用する。
【0021】ウォータージェット等の反力が働く治工具
を使用する場合には、マニピュレータを搭載したマスト
の反力による振れや応力による変形を防止するため、作
業補助架台や逆圧サポートリングを用い、マストに加わ
る反力を抑える。
【0022】
【実施例】図1から図3を参照しながら本発明に係る原
子炉解体方法およびその解体装置の第1の実施例を説明
する。なお、本発明では沸騰水型原子力発電プラントの
原子炉の解体方法と解体装置について説明するが、この
原子炉の解体に限定するものではなく、本実施例では解
体方法と解体装置とを並行して説明する。
【0023】図1はこの第1の実施例と後述する第2の
実施例とを併用して示しており、図2はこの第1の実施
例を示し、図3は図2の要部を拡大して示している。図
1中、符号1は原子炉解体装置で、この原子炉解体装置
1は原子炉発電プラントに設置されている燃料交換機2
を使用する。
【0024】この燃料交換機2に接続されているマスト
3に着脱機構部4を取着し、この着脱機構部4に解体作
業を行うための工具類や溶断治具などを掴持するための
マニピュレータ5をマニピュレータベース6を介して取
着する。
【0025】マニピュレータベース6には雲台7,IT
Vカメラ8および照明9と、着脱自在にスタビライザ10
が設けられている。スタビライザ10は炉内側面へ少なく
とも3方向に脚を突張り、マスト3の振れや作業時の反
力を防止する機構を有している。
【0026】燃料交換機2は図2および図3に示すよう
にオペレーションフロア11上に敷設されたレール12上を
走行するブリッジ13と、このブリッジ13上に設置された
マスト旋回装置14と、このマスト旋回装置14に取着され
たマスト3と、トロリ15,補助ホイスト16,現場盤17お
よび監視用カメラ18を備えている。
【0027】なお、図2および図3中符号19はオペレー
ションフロア11に設置された燃料プール、20は原子炉圧
力容器で、原子炉格納容器21内に設置されている。原子
炉圧力容器20の上部側面には蒸気逃し安全弁22を有する
主蒸気管23が接続し、主蒸気管23には主蒸気隔離弁24が
接続されている。原子炉圧力容器20の上方にはカナル25
が設けられている。26はブリッジ13から吊り下げた追加
吊りフック、27は原子炉圧力容器20の内面に設けたブラ
ケット、28はガイドロッド、29は本装置1により切断し
た切断部材をそれぞれ示している。
【0028】また、燃料交換機2には空気ユニット30を
設けている。空気ユニット30は図1に示したようにプラ
ント空気源31およびプラント電源32と接続している。プ
ラント電源32は燃料交換機制御棒33に接続している。こ
の燃料交換機制御部33はインタフェイス34および現場盤
17と接続している。インタフェイス34は現場盤17、操作
表示部35および制御棒36と接続し、操作表示部35は制御
部36、複合供給部37および監視カメラ18と接続してい
る。複合供給部37は操作表示部35,水圧装置38,プラン
ト電源32,プラント空気源31,ケーブル処理装置40およ
び供給ユニット41と接続している。水圧装置38はプラン
ト水源39と接続している。
【0029】ケーブル処理装置40は複合ケーブル42によ
り複合供給部37,燃料交換機2および第2の実施例で説
明する連結多段マスト部43の端子箱44に接続している。
供給ユニット41は補助架台用複合ケーブル45により炉内
作業用補助架台46と接続している。炉内作業用補助架台
46はサポートリング47に連設している。
【0030】原子炉解体装置1は操作・表示部35からの
操作や、制御部36の動作指令に基づき各部を制御してい
る。燃料交換機制御部33との制御情報のやりとりは、イ
ンタフェイス34部を介して制御部36から燃料交換機2の
トロリ15およびブリッジ13を遠隔制御することができ
る。
【0031】プラント空圧源31は複合供給部37および燃
料交換機2へ空気を供給している。プラント水源39は水
圧装置38により圧力を調整した上で複合供給部37へ純水
を供給している。プラント電源32は原子炉解体装置1の
複合供給部37を始めとする各部と、燃料交換機の各部へ
電気を供給している。
【0032】ケーブル処理装置40はマストまたは連結多
段マスト部43と原子炉解体装置1の本体側とを結ぶ複合
ケーブル42を処理するための装置であり、燃料交換機2
用ケーブル処理の流用または、原子炉解体装置1の専用
機を用いる構成である。
【0033】着脱機構部4はマスト3と連結多段マスト
部43との何れにも、電気的・機械的接続固定が可能な構
造となっている。なお、マスト3と連結多段マスト部43
は、複合ケーブル42からの各種供給源と信号伝送を行う
ための配管伝送路を有している。また、マスト3は既設
の燃料交換機2のマストを利用したタイプであってもよ
い。
【0034】監視カメラ18は燃料交換機2のトロリ15,
ブリッジ13部の炉内作業の監視し易い位置に取り付けら
れ、操作・表示部35から遠隔にて雲台7およびITVカ
メラ8の操作を行うと共に、得られた画像を操作・表示
部35のモニタに表示する構成となっている。
【0035】マスト3と連結多段マスト部43とは、作業
目的に応じて選択して組み合わせることができるよう
に、電気的・機械的接続部を有している。マスト3を用
いる場合には、マスト旋回装置14を介してトロリ15部に
取り付けられる構造である。なおトロリ15部は原子炉解
体装置専用に製作したものを用いることができる。
【0036】マニピュレータ5は、マニピュレータベー
ス6へ作業目的を合わせたタイプを取り付けられ、この
マニピュレータベース6を介し各種駆動源の供給をうけ
る構成となっている。
【0037】マニピュレータベース6はマニピュレータ
5の他に雲台7,スタビライザ10の着脱機構を有し、マ
スト3と一体となった着脱機構部4を軸としてマニピュ
レータベース6から下部が旋回自在に構成している。
【0038】雲台7はITVカメラ8,照明9,水中マ
イク等のセンサ類を、俯仰・旋回自在に搭載している。
スタビライザ10はマニピュレータベース6へ着脱可能
で、炉内側面へ少なくとも3方向に脚を突張り、マスト
3の振れや作業時の反力を防止するための構造を有して
いる。
【0039】また、先端部の振れ防止の必要な場合に
は、スタビライザ10をマニピュレータベース6の着脱機
構部4へ取り付けることによりこのスタビライザ6の脚
が脚先端の接触座を介して炉内壁面に突張るので保持す
ることができる。
【0040】つぎに上記第1の実施例の作用を説明す
る。この第1の実施例では、原子炉解体装置1はマニピ
ュレータ5の炉内対象部位へのアクセス手段(移動装
置)として既設の燃料交換機2を利用してマスト3を使
用する。この場合には作業時の反力がなく、位置精度が
要求され作業に適している。マスト3の先端部の振れ防
止の必要な場合はスタビライザ10の脚が脚先端の接触座
を介して炉内壁面に突張ることにより保持することがで
きる。
【0041】既設の燃料交換機2の利用範囲について大
別すると、(1)ブリッジ13まで、(2)ブリッジ13と
トロリ15まで、(3)ブリッジ13とトロリ15とマスト3
までの3通りがある。
【0042】マニピュレータ5の機能を考慮した場合
は、専用のマスト3を製作してトロリ15に搭載する
(2)案のブリッジ13とトロリ15までの利用が適してい
る。また、より作業時の安定性やケーブル処理の専用機
化等を考慮すると、専用のトロリを製作しブリッジ13を
利用する(1)案になる。
【0043】原子炉解体装置1は制御部36より複合供給
部37、ケーブル処理装置40を介してマスト3または連結
多段マスト部43を経由し、マスト3先端のマニピュレー
タ5および雲台7、ITVカメラ8、スタビライザ10を
制御している。
【0044】既設燃料交換機2の駆動部を原子炉解体装
置1の制御部36から制御する場合は、インタフェイス部
34を介して燃料交換機制御部33から制御する場合と、制
御部36から直接制御する場合とがある。この直接制御
は、既設の燃料交換機制御部33が利用できない場合であ
る。
【0045】炉内作業用補助架台46の制御系は、制御部
36から複合供給部37,供給ユニット41,複合ケーブル42
を経由し接続されている。供給ユニット41にケーブル処
理機能を持たせてもよい。
【0046】監視カメラ18,ITVカメラ8,各駆動部
の位置動作情報,センサからの情報等は制御とは逆の流
れで制御部36および操作・表示部35へ伝送される。操作
・表示部35は各部の操作に適したマスターアーム,ボタ
ンスイッチ,マウススイッチ等の組み合わせを用いた方
式であってもよい。
【0047】本実施例によれば既設燃料交換機利用の炉
内解体時の動作は、図3に示す通り、a−b方向(炉心
⇔燃料プール方向)はレール12に沿ってブリッジ13を移
動させることにより行う。c−d方向(横方向)はトロ
リ15を移動させることにより行う。e−f方向(昇降方
向)はマスト3の伸縮により行う。
【0048】自動位置制御は、既設燃料交換機の位置制
御ソフト情報を流用し、マニピュレータの動作範囲や専
用工具の寸法および動作範囲等の情報と組み合わせて制
御部36から指令することにより、プラント設備やRPV
との干渉を防止することができる。
【0049】図2は既設燃料交換機利用型作業の一例で
あり、追加吊りフック26は補助ホイスト16によりRPV
切断部材29を吊り巻き上げた後、燃料プール19側へ移動
し、更にRPV切断部材29の細分化する作業を行うこと
ができる。
【0050】つぎに図4から図7により本発明に係る原
子炉解体方法およびその装置の第2の実施例を説明す
る。この第2の実施例が第1の実施例と異なる点は、原
子炉解体装置はマニピュレータ5の炉内対象部位へのア
クセス手段(移動装置)として図6(a)に示した主蒸
気ラインプラグ48の逆圧サポートリング47を利用して、
このサポートリング47上に直接または間接的に炉内作業
補助架台46を設置した例である。
【0051】この第2の実施例は例えばウォータージェ
ット工法等の作業時の際に反力があり、先端部の取扱重
量が重い場合に好適しており、逆圧サポートリング47に
直接的に炉内作業補助架台46を設置する場合と、大型リ
ング64を介して間接的に炉内作業補助架台46を設置する
場合とがある。
【0052】なお、各図中、図1から図3に示した部分
と同一部分には同一符号を付して重複する部分の説明は
省略する。図4はこの第2の実施例において原子炉建屋
を原子炉圧力容器の縦断面方向に切断し、炉内作業用補
助架台46が設置した状態で旋回フレーム49を長手方向に
切断して示している。
【0053】図5は図4の炉内作業補助架台46の大型リ
ング64に旋回フレーム49を取り付け、この旋回フレーム
49に多段連結マスト部43を取り付けた状態を示し、図6
は原子炉圧力容器20に主蒸気ラインプラグ48を取り付け
る手順と炉内作業補助架台46となる大型リング64に旋回
フレーム49を取り付けた状態を示し、図7は多段連結マ
スト部43を示している。
【0054】図4および図5において、大型リング64上
に旋回フレーム49が載置され、旋回フレーム49の下面に
は車輪50が設けられた大型リング64をリング面に沿って
旋回フレーム49が走行する。旋回フレーム49には横行台
車51が半径方向に走行自在に取り付けられ、横行台車51
には連結多段マスト部43およびその昇降駆動部52が取着
されている。
【0055】旋回フレーム49と大型リング64の上面には
吊り座53が設けられ、大型リング64の下面にはフランジ
固定座54と固定具55が設けられている。旋回フレーム49
は大型リング64の内面と接する旋回フレーム部材56が取
り付けられている。また、大型リング64が位置する近傍
の原子炉圧力容器20の内面にはドライヤサポートブラケ
ット57が取着されている。
【0056】図6(a)から(d)は主蒸気管23(図4
参照)に接続する原子炉圧力容器20に設けた主蒸気ノズ
ル58に主蒸気ラインプラグ48を押し込んで密栓する前の
状態から密栓したのち炉内作業用補助架台46を設置する
までの手順を示している。
【0057】図6(a)はサポートリング47および取扱
ビーム59を使用して主蒸気ラインプラグ48を主蒸気ノズ
ル58内に押し込む前の状態で、図6(b)は主蒸気ノズ
ル58内に主蒸気ラインプラグ48を押し込んで密栓したの
ち取扱いビーム59を取り外した状態で、図6(c)はサ
ポートリング47を取り外した状態である。
【0058】図6(d)は原子炉圧力容器20内にサポー
トリング47を取り付け、このサポートリング47に大型リ
ング64、炉内作業用補助架台46,旋回フレーム49,台車
51,昇降台車52および連結多段マスト部43を設置し、原
子炉圧力容器20の真上から見た状態を示している。な
お、図6中符号60はガイドロッド,61はロッド案内金
具,62は着脱機構,63はブラケット支持枠をそれぞれ示
している。
【0059】図7(a)は図4および図5に示した連結
多段マスト43の上下43a,43b部の連結状態を示したも
ので、この連結多段マスト43は中空体で、その表面には
軸方向に沿ってガイドラック65が設けられ、また上部43
aには水抜き孔66が形成されている。図7(b)は連結
多段マスト43の上部43aと下部43bとを取り外した解体
状態を示し、図7(c)は上部43aと下部43bとの接合
関係を上面図で示している。
【0060】すなわち、上部43aの下端には花びら状の
凸部67が形成され、下部43bの上端には花びら状凸部68
が形成され、これら凸部67と凹部68とを嵌合させて若干
ひねり回すことにより取り付け、または取り外すことが
できるようになっている。昇降駆動部52には歯車69が取
着され、歯車69はガイドラック65と噛合している。
【0061】連結多段マスト部43は上記図7(a)〜
(c)から明らかなように,中空円筒体で両端部に接続
用フランジ部の凸部67と凹部68とを交互に有し、この凸
部17と凹部68とを合わせて差し込みひねり回して、固定
位置の穴にスプリングにより押し付けられたピン挿入さ
れ(図示せず外部より固定解除可能)、連接多段マスト
を形成する。
【0062】なお、中空体円筒内は水抜き孔66を有する
フレームにより補強を行っている。ガイドラック65は多
段マスト円筒体の外周にマスト軸心と並行な上下方向に
一列取付けており、旋回方向の回り止めと垂直方向の駆
動時のラックとしての役目を持った構造となっている。
【0063】また、連結多段マスト43は中空円筒体内を
複合ケーブル42を通すケーブルダクトとして利用できる
ように、案内具を有したフレームであり外部から複合ケ
ーブル42を取り扱える構造であってもよい。
【0064】図6(d)および図5に示す炉内作業用補
助架台46の大型リング64は、下面に一対の固定具55とフ
ランジ固定座54を複数有し、上面に吊り座53を有した輪
状であり、旋回フレーム49を旋回フレーム49の両端に取
り付けられた旋回フレーム部材56と組み合わせて大型リ
ング64内側の円周を上下に挟み込み、この円周に沿って
旋回フレーム49が旋回自在に構成されている。固定具55
とフランジ固定座は54は大型リング64の内側の上下に挟
み込んだ旋回部分より外側(外周)に位置し、旋回フレ
ーム49と干渉がない構成である。
【0065】図6(d)および図5に示す炉内作業用補
助架台大型リング64は逆圧サポートリング47の上部の着
脱機構部62へ大型リング64下面に取り付けた固定具55を
固定することにより逆圧サポートリング47の上に設置す
る。なお、フランジ固定座により逆圧、サポートリング
47のフランジ部との間でも固定される。
【0066】旋回フレーム49は横行台車51を旋回フレー
ム49の長手方向の開口部に沿って横行自在に構成し、こ
の旋回フレーム49の旋回と横行台車51の横行との組み合
わせにより、原子炉内のX−Y方向の任意の位置へ連結
多段マスト部43を移動させることができる。
【0067】しかして、横行台車は51は昇降駆動部52に
より連結多段マスト部43を上下方向に昇降自在に構成し
ている。炉内作業用補助架台46は複合ケーブル42により
各種の動力の供給と信号のやり取りを行う伝送路を確保
している。
【0068】この図4の場合は、燃料交換機2のケーブ
ル処理装置40を用い複合ケーブル42を連結多段マスト部
43内の中空へ案内する構成であり、図1に示すマスト3
は使用していない。
【0069】オペレーションフロア11上に供給ユニット
41を設置し炉内作業用補助架台46へ複合ケーブル42を介
して各種の動力の供給と信号のやり取りを行っている。
図8は炉内作業用補助架台が解体作業の進捗により炉内
の主蒸気ラインプラグ設置位置への接地が困難になった
場合に、オペレーションフロア11上に、オペレーション
フロア設置アダプタ70を用い設置した例である。
【0070】オペレーションフロア設置アダプタ70は原
子炉圧力容器20の内径よりも小さい炉内作業用補助架台
46がオペレーションフロア11上に設置できるように、固
定具55とフランジ固定座54との取り合い位置から円周方
向に延ばした部材を介してオペレーションフロア11に設
置することにより直径を見かけ上増している。
【0071】先端着座スタビライザ71は必要に応じ連結
多段マスト部43の先端部に取着した着脱機構部4に、旋
回自由度を妨げることなく着脱機構部4を介し取り付け
られ、連結多段マスト部43の円周方向に脚72を展開し、
炉内壁面に接触座73を介して保持される。
【0072】逆圧サポートリング47を利用する実施例で
は、主蒸気ラインプラグ48の逆圧サポートリング47の設
置後、天井クレーンを用いこの逆圧サポートリング47上
に直接または大型リング64を介して炉内作業用補助架台
46を固定し、自動吊りフック解除機構を有した吊具によ
り解除し天井クレーンを巻き上げ設置を完了する。
【0073】炉内作業用補助架台46の大型リング64は逆
圧サポートリング47の上部の着脱機構部62へ大型リング
64の下面に取り付けた固定具55とフランジ固定座54とに
より逆圧サポートリング47の着脱機構部62とフランジ部
との間で固定される。これらの固定および解除は全て操
作表示部35から遠隔で行うことができる。
【0074】主蒸気ラインプラグは、図6(a)から
(c)に示す手順で設置することができるが、サポート
リング利用による場合は、ガイドロッド60に案内されて
ドライヤサポートブラケット(4箇所)57の上に設置し
た(b)の(主蒸気ラインプラグ48を設置し取扱ビーム
59を撤去)状態で用いる。動作は、図5に示す通り旋回
フレーム49は駆動部によりe−f方向へ旋回自在に構成
されている。
【0075】横行台車51は、c−d方向(フレームの長
手方向)に横行自在に構成し、この旋回フレーム49の旋
回と横行台車51の横行との組み合わせと、昇降駆動部52
により上下方向に連結多段マスト部43の移動により、炉
心内のX−Y−Z方向の任意の位置へマニピュレータ5
をアクセスさせることができる。複合ケーブル42は、燃
料交換機2のケーブル処理装置40を利用しないで、専用
ケーブル処理装置を設けてもよい。
【0076】炉の解体が進み、主蒸気ラインの位置に設
置できない場合には図8に示したように、炉内作業用補
助架台46にオペフロ設置アダプタ70をフランジ固定座54
と固定具55に取り付ける。これによりオペレーションフ
ロア11の炉心開口部から落下することなく安定した設置
を可能にする。
【0077】つまり、円周方向に延びた部材74をオペフ
ロ設置アダプタ70を介してオペレーションフロア11上に
設置できるようにしている。また、オペフロ設置アダプ
タ70を用い燃料プールへの設置も可能である。
【0078】本発明の第2の実施例によれば、原子炉解
体装置1は、作業方法および目的により、マニピュレー
タ5の炉内対象部位へのアクセス手段として、既設の燃
料交換機2とマスト3を用いる場合と、主蒸気ラインプ
ラグ48用の逆圧サポートリング47を利用して炉内作業用
補助架台46を用いる場合の2通りの構成を選択すること
ができ、既設設備を有効利用した低コストの原子炉解体
方法とその装置を提供できる。
【0079】なお、上記実施例以外に、例えば炉底部ま
でマストを降下させてその先端に図8に示した先端着座
スタビライザ71を設けて着座させ安定を確保し、このマ
スト上をマニピュレータベースが昇降する構成でもよ
い。また、図1に示すスタビライザ(水平方向)10との
組み合わせであってもよい。
【0080】さらに、主蒸気ラインプラグ48の逆圧サポ
ートリング47を流用せずに、解体専用のリングを製作し
て炉内作業用補助架台と組合わせてもよいし、炉内作業
用補助架台に炉壁への突張りと固定をするスタビライザ
を直接搭載した構造であってもよい。なお、原子炉解体
装置1の連結多段マスト部43および炉内作業用補助架台
46等は防水性、除染性にすぐれた構造を採用する。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、原子力発電所の原子炉
解体作業において、使用目的を終えた従来既設の燃料交
換機および天井クレーンを流用し、新たに解体専用の台
車(移動装置)または脚体付架台を全て新たに製作する
ことなく、遠隔でマニピュレータを作業部位までアクセ
スさせることができる。
【0082】したがって、作業員の放射線被曝線量の低
減および解体コストを低減すると共に、解体工程の短縮
・省力化と、プラント建屋側との干渉防止・作業の信頼
性・装置の保守性・解体作業性等の向上に大きく寄与す
ることができ、また解体に伴う作業用機材廃棄量の増加
を抑えることができる。さらに、既設設備を流用し解体
することにより、解体作業に伴う作業用機材の新たな廃
棄物の増加を防ぐことができるなど多大な効果を発揮す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子炉解体方法およびその解体装
置の第1実施例および第2の実施例を説明するためのシ
ステム系統図。
【図2】本発明に係る原子炉解体方法およびその解体装
置の第1の実施例を示す縦断面図。
【図3】図2における要部を拡大して示す斜視図。
【図4】本発明に係る原子炉解体方法およびその解体装
置の第2の実施例を示す縦断面図。
【図5】図4における炉内作業用補助架台およびその近
傍を拡大して示す斜視図。
【図6】(a)は本発明の第2の実施例において使用す
る主蒸気ラインプラグと取扱ビームを原子炉圧力容器内
に組み込んだ状態を示す上面図、(b)は取扱ビームを
取り外した状態を示す上面図、(c)は(b)において
サポートリングを取り外した状態を示す上面図、(d)
は(c)の状態から炉内作業用補助架台を設置した状態
を示す上面図。
【図7】(a)は図4における連結多段マスト部の上下
部の連結状態を示す斜視図、(b)は(a)における連
結多段マスト部の解体状態を示す斜視図、(c)は
(b)における連結状態を示す平面図。
【図8】図5における炉内作業用補助架台の他の例を示
す斜視図。
【符号の説明】
1…原子炉解体装置、2…燃料交換機、3…マスト、4
…着脱機構部、5…マニピュレータ、6…マニピュレー
タベース、7…雲台、8…ITVカメラ、9…照明、10
…スタビライザ、11…オペレーションフロア、12…レー
ル、13…ブリッジ、14…マスト旋回装置、15…トロリ、
16…補助ホイスト、17…現場盤、18…監視用カメラ、19
…燃料プール、20…原子炉圧力容器、21…原子炉格納容
器、22…蒸気逃し安全弁、23…主蒸気管、24…主蒸気隔
離弁、25…カナル、26…追加吊りフック、27…ブラケッ
ト、28…ガイドロッド、29…切断部材、30…空気ユニッ
ト、31…プラント空気源、32…プラント電源、33…燃料
交換制御部、34…インタフェイス、35…操作表示部、36
…制御部、37…複合供給部、38…水圧装置、39…プラン
ト水源、40…ケーブル処理装置、41…供給ユニット、42
…複合ケーブル、43…連結多段マスト部、44…端子箱、
45…補助架台用複合ケーブル、46…炉内作業用補助架
台、47…逆圧サポートリング、48…主蒸気ラインプラ
グ、49…旋回フレーム、50…車輪、51…横向台車、52…
昇降駆動部、53…吊り座、54…フランジ固定座、55…固
定具、56…旋回フレーム部材、57…ドライヤサポートブ
ラケット、58…主蒸気ノズル、59…取扱ビーム、60…ガ
イドロッド、61…ロッド案内金具、62…着脱機構部、63
…ブラケット支持枠、64…大型リング、65…ガイドラッ
ク、66…水抜き孔、67…凸部、68…凹部、69…歯車、70
…アダプタ、71…先端着座スタビライザ、72…脚、73…
接触座、74…部材。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子炉とプール設備を跨ぎ走行軌道に沿
    って走行するブリッジと、このブリッジ上に横行自在に
    設置したトロリとからなる既設の燃料交換機を使用し
    て、この燃料交換機のトロリから伸縮自在なマストを介
    してマスト先端部にマニピュレータを取り付け、このマ
    ニピュレータを解体作業対象部位まで接近させて原子炉
    の解体作業を行うことを特徴とする原子炉解体方法。
  2. 【請求項2】 既設の燃料交換機のブリッジ上に伸縮自
    在なマストを設け、このマスト先端部にマニピュレータ
    を取り付け、このマニピュレータを横行自在のトロリに
    搭載し、このトロリを前記ブリッジ上に横行自在に設置
    してなることを特徴とする原子炉解体装置。
  3. 【請求項3】 前記マストは前記既設燃料交換機のマス
    ト固定装置または前記マスト先端部を炉底部や炉壁へ着
    座させ作業時の反力やマストの揺れを防止するための機
    構を設けてなることを特徴とする請求項2記載の原子炉
    解体装置。
  4. 【請求項4】 前記マストを残した状態のトロリ部には
    解体用マニピュレータを搭載した伸縮マストを設けてな
    ることを特徴とする請求項2記載の原子炉解体装置。
  5. 【請求項5】 主蒸気ラインプラグの逆圧サポートリン
    グを使用して、この逆圧サポートリング上に作業用補助
    架台を連結して原子炉内へ設置し、この作業用補助架台
    に旋回フレームを設け、この旋回フレームにマニピュレ
    ータを有した伸縮マストを設け、このマスト部をX−Y
    方向に移動自在に操作して原子炉内または原子炉内構造
    物の解体作業を行うことを特徴とする原子炉解体方法。
  6. 【請求項6】 原子炉圧力容器内に主蒸気ラインプラグ
    の逆圧サポートリングを設け、この逆圧サポートリング
    上に大型リングを介し、または介することなく作業用補
    助架台を設け、この作業用補助架台に旋回フレームを設
    け、この旋回フレームにマニピュレータを有する伸縮マ
    ストを設けてなることを特徴とする原子炉解体装置。
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