JPH08739B2 - 真空脱ガス装置スノーケルの熱間補修方法 - Google Patents

真空脱ガス装置スノーケルの熱間補修方法

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JPH08739B2
JPH08739B2 JP2155458A JP15545890A JPH08739B2 JP H08739 B2 JPH08739 B2 JP H08739B2 JP 2155458 A JP2155458 A JP 2155458A JP 15545890 A JP15545890 A JP 15545890A JP H08739 B2 JPH08739 B2 JP H08739B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、真空脱ガス装置スノーケルの熱間補修方法
に関する。
〔従来の技術〕
溶鋼精錬に使用されるDH方式、RH方式などの真空脱ガ
ス装置には、溶鋼を真空槽に対して吸上げまたは排出す
るスノーケルが設けられている。
このスノーケルは溶鋼の流通によって内周面の溶損が
著しい。そこで、例えば特開昭61−117210号公報に見ら
れるように使用直後のスノーケルに中子を挿入し、中子
とスノーケルとの間に補修材を投入することにより、ス
ノーケルを熱間補修することが行われている。
従来、この補修に使用されている水練り状の補修材
は、水分の沸騰・蒸発によって補修組織の気孔率が高く
なり、しかも付着性に劣る欠点がある。
最近、ピッチを結合剤とした非水系補修材が提案され
ている。例えば特開昭62−120419号公報に見られるとお
りである。この非水系補修材は水を挿加していないこと
で、水練り状の補修材がもつ上記の問題を一挙に解決す
る。また、ピッチの炭化によって、補修組織が耐スポー
リング性および耐食性に優れた炭素結合となる効果を持
つ。
〔発明が解決しようとする課題〕
非水系補修材は炉熱による結合剤の溶融で流動化し、
充填される。しかし、中子を用いたスノーケルの補修は
被補修部分が高さ方向に著しく長いために、補修材の流
動時に耐火骨材が沈降し、補修組織のうち上方部分がポ
ーラス子し、耐食性の低下を招くという問題があった。
真空脱ガス装置の機能面から、スノーケルの上方部分は
特に重要であり、この部分の耐食性の低下により、充分
な補修効果が得られなかった。
このような問題はスノーケル補修特有のものである。
例えば転炉の炉底の場合のように水平面に対する補修で
は、補修材が流動による広がりで高さ方向の厚みが小さ
いために問題とならない。
本発明は、真空脱ガス装置スノーケルの熱間補修にお
いて上記従来の問題を解決することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、スノーケルにその下方から中子を挿入する
第一工程と、耐火性骨材100wt%に対し、ピッチ5〜27w
t%および融点40〜58℃の熱可塑性フェノール樹脂1〜1
0wt%を配合すると共に、前記のピッチと熱可塑性フェ
ノール樹脂との含量が8〜30wt%である補修材を、スノ
ーケルの内周面と中子との間に投入する第二工程よりな
る、真空脱ガス装置スノーケルの熱間補修方法である。
また、スノーケルにその下方から中子を挿入する第一工
程と、耐火性骨材100wt%に対し、ピッチ5〜27wt%お
よび融点40〜58℃の熱可塑性フェノール樹脂1〜10wt%
を配合すると共に、前記のピッチと熱可塑性フェノール
樹脂との含量が8〜30wt%である補修材を、スノーケル
の内周面と中子との間に投入する第二工程と、前記補修
材の投入の後に、さらにその上に耐火性骨材を投入する
第三工程よりなる、真空脱ガス装置スノーケルの熱間補
修方法である。
補修材の耐火性骨材の沈降原因は、補修材の流動性が
大きいことに加え、流動時間が長いためと思われる。本
発明は、ピッチを結合剤とした非水系補修材に対し、特
定の融点を有する熱可塑性フェノール樹脂を配合して適
度の流動性状を付与し、耐火性骨材の沈降を抑制したこ
とで従来材質の問題を解決したものである。
第1図は、下記の配合組成の補修材において熱可塑性
フェノール樹脂の融点と、補修材の流動性をグラフで示
したものである。なお、この流動性は後述の実施例と同
様にして測定し、融点48℃の熱可塑性フェノール樹脂を
使用した場合の流動性を100にした指数で表した。
マグネシアクリンカー 3〜1mm 55wt% マグネシアクリンカー 1mm以下 25wt% マグネシアクリンカー 0.74mm以下 20wt% ピッチ(融点82℃) 3〜0.5mm 外掛け15wt% 熱可塑性フェノール樹脂 2〜0.5mm 外掛け3wt% 適正な粘性の維持は、耐火性骨材の沈降防止に効果が
あるが、同図から、熱可塑性フェノール樹脂の融点が低
いほど補修材の流動性が大きくなることがわかる。
第2図は、上記の配合組成の補修材において、熱可塑
性フェノール樹脂(融点52℃)の添加量と補修材の充填
性との関係を示したグラフである。この充填性は、後述
の実施例と同様にして測定した。融点の高い熱可塑性フ
ェノール樹脂の使用は耐火性骨材の沈降防止に効果があ
るが、添加量が多くなると流動時間が短くなり過ぎて充
填されないまま硬化し、同グラフのとおり、充填性に劣
る。
本発明で補修材に使用する熱可塑性フェノール樹脂
は、融点が40℃未満では補修材の保管時あるいは搬送時
に外気温度によって溶融することが懸念され、使用でき
ない。融点が58℃を超えると補修材の流動時間が短く、
充填性に劣る。また、耐火性骨材100wt%に対する割合
は、1wt%未満では補修材の流動性が小さいために耐火
性骨材の沈降抑制の効果が得られない。10wt%を超える
と補修材の流動性が小さくなり過ぎて、充填性に劣る。
ピッチは固定炭素量が多く、補修材を強固な炭素結合
組織にする効果がある。5wt%未満では結合剤全体とし
て固定炭素量が少なくなり、補修材の耐食性が劣る。27
wt%を超えると補修材の流動特性が大きくなり、耐火性
骨材の沈降抑制の効果が損なわれる。その融点は特に限
定されるものではなく、例えば融点50〜130℃のものが
使用できる。
以上の熱可塑性フェノール樹脂とピッチは、合量で8
〜30wt%とする。8wt%未満では結合剤としての効果が
ない。30wt%を超えると補修組織の気孔率が大きくなっ
て、耐食性に劣る。また、熱可塑性フェノール樹脂およ
びピッチの粒径は5〜0.1mmが好ましい。
耐火性骨材の種類は特に限定されるものではなく、例
えばマグネシア、ドロマイト、石灰、スピネル、クロム
鉱、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ジルコン、
ジルコニア、炭化珪素、あるいはこれらを骨材としたレ
ンガ屑などから選ばれる一種または二種以上を主材とす
る。必要により、さらに湿潤剤、分散剤、酸化防止剤、
炭素、石灰石、消石灰、金属粉、有機質ファイバー、金
属質ファイバー、無機質ファイバーなどから選ばれる一
種または二種以上を添加してもよい。
結合剤にピッチを使用した補修材の施工は、作業環境
保全のためにピッチからの発煙を排煙装置で吸引しなが
ら補修材を投入することが行なわれている。このため、
耐火性骨材のうち重量の軽い微粒が排煙装置に吸引さ
れ、耐火性骨材の粒度構成のバランスが失われることが
ある。
そこで、本発明で使用する補修材は、造粒によって見
かけ上の微粉をなくし、施工時における微粒の吸引を防
止してもよい。この造粒は、例えば配合物全体に非水系
結合剤を適当量添加し、加圧成形後、破砕によって微粒
のない粒度に造粒する。また、配合物全体に非水系結合
剤を適量添加し、転動法などで造粒してもよい。
造粒された補修材は、中子とスノーケルとの間に投入
後は結合材の溶融で造粒状態が解かれ、充填される。こ
の造粒に使用する非水系結合剤は、ピッチ、フェノール
樹脂に限らず、フラン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ
樹脂、パラフィンなどを使用できる。
スノーケルに対する補修はスノーケルと中子との間に
補修材を投入するが、本発明の補修材を前記のように投
入した後、その上に耐火性骨材を追加投入すると、スノ
ーケル上部の補修組成のポーラス化防止にさらに効果的
である。
補修材は流動化後、結合剤の揮発分の蒸発で流動時の
粘性が徐々に高くなる。このため、後から投入した耐火
性骨材はその沈降が抑制され、耐火性骨材が上下にほぼ
均一に分散した補修組織が得られる。
以上のように補修材を投入し、補修材が完全に硬化し
た後は中子は取り外すことなく補修を完了する。中子は
真空脱ガス装置の稼働と共に溶鋼の接触で溶失する。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例とその比較例を示す。
第1表に各例で使用したフェノール樹脂およびピッチ
の品質値を示す。第2表は各例の配合組成と試験結果で
ある。
試験方法は、次のとおりである。
粘性;一辺70mmの正方形に成形した補修材800gを700℃
の電気炉に入れて加熱し、流動化によって広がった底辺
の寸法を求め、比較例1の結果を100とした指数で示し
た。数値が大きいほど粘性が低い。
塩基性耐火物を内張りした内径400mm、高さ1000mmの
模擬スノーケルの内部をガスバーナーで加熱し、内周面
の温度が1000℃に達したとき、外径300mmの金属性中子
を装入し、模擬スノーケルと中子との間に補修材を投入
した。流動時間、充填性および耐食性は、この模擬スノ
ーケルに対して補修したものを測定した。耐用性は、DH
式真空脱ガス装置のスノーケルを補修した実機試験であ
る。
流動時間;補修材が流動性を帯びた時から硬化するまで
の時間を測定した。
充填性;模擬スノーケルの補修組織の上方と下方から試
片を切り出し、それぞれ気孔率を測定した。
耐食性;模擬スノーケルの高さ方向のほぼ中央の補修組
織から試片を切り出し、回転侵食試験によって溶損寸法
を測定した。数値は比較例1の溶損寸法を100とした指
数で表した。数値が小さいものほど耐食性に優れてい
る。
耐用性;耐火性骨材を追加投入した場合としない場合と
について、スノーケルの耐用チャージ数を求めた。
耐火性骨材の追加投入では、耐火性骨材として粒径5m
m以下のマグネシアクリンカー100kgを投入した。
第2表の結果によれば、実施例1〜9はいずれも流動
時間が短く、しかも適度の流動特性を示すために充填性
に優れる。上下方向に対する充填性の差異も少ない。そ
の結果、耐食性および耐用性にも優れている。
これに対し比較例1は結合剤がピッチのみであり、耐
火性骨材の沈降で上部の充填性が低い。比較例2は熱可
塑性フェノール樹脂の割合が多く、流動時間が短すぎて
全体としての充填性に劣る。比較例3は結合剤の割合が
多く、耐火性骨材の割合が少ないために充填性に劣る。
比較例4は、融点が本発明で限定したものより高い熱可
塑性フェノール樹脂を使用したものであり、粘性も大き
く、充填性に劣る。比較例5は結合剤の割合が少なく、
十分な流動性が得られないために充填性に劣る。
また、耐火性骨材を追加投入したものは、追加投入し
ないものに比べて耐用性が向上した。補修後の補修材組
織を解体して観察したところ、耐火性骨材を追加投入し
たものは耐火性骨材の下部への偏在が少なく、耐火性骨
材が上下方向にほぼ均一に分散していることが確認され
た。
〔発明の効果〕
本発明で使用する補修材は、結合剤としてピッチと融
点の低い熱可塑性フェノール樹脂とを特定の割合で配合
したことにより、中子を使用したスノーケル部の熱間補
修において優れた充填性が得られ、従来材質で見られた
補修材組織のポーラス化を防止できる。また、この補修
方法において、耐火性骨材を追加投入すると、補修材組
織のポーラス化防止の効果はさらに顕著になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、熱可塑性フェノール樹脂の融点と補修材の流
動性をグラフで示したものである。 第2図は、熱可塑性フェノール樹脂の添加量と補修材の
充填性との関係を示したグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 石川 英行 福岡県北九州市八幡東区枝光1―1―1 新日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 為広 泰造 兵庫県高砂市荒井町新浜1―3―1 ハリ マセラミック株式会社内 (72)発明者 神部 義信 兵庫県高砂市荒井町新浜1―3―1 ハリ マセラミック株式会社内 (72)発明者 林田 易行 兵庫県高砂市荒井町新浜1―3―1 ハリ マセラミック株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−242962(JP,A) 特開 平1−150790(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スノーケルにその下方から中子を挿入する
    第一工程と、耐火性骨材100wt%に対し、ピッチ5〜27w
    t%および融点40〜58℃の熱可塑性フェノール樹脂1〜1
    0wt%を配合すると共に、前記のピッチと熱可塑性フェ
    ノール樹脂との合量が8〜30wt%である補修材を、スノ
    ーケルの内周面と中子との間に投入する第二工程よりな
    る、真空脱ガス装置スノーケルの熱間補修方法。
  2. 【請求項2】スノーケルにその下方から中子を挿入する
    第一工程と、耐火性骨材100wt%に対し、ピッチ5〜27w
    t%および融点40〜58℃の熱可塑性フェノール樹脂1〜1
    0wt%を配合すると共に、前記のピッチと熱可塑性フェ
    ノール樹脂との合量が8〜30wt%である補修材を、スノ
    ーケルの内周面と中子との間に投入する第二工程と、前
    記補修材の投入の後に、さらにその上に耐火性骨材を投
    入する第三工程よりなる、真空脱ガス装置スノーケルの
    熱間補修方法。
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JPS61242962A (ja) * 1985-04-20 1986-10-29 住友金属工業株式会社 窯炉の炉壁熱間補修材
JPH0646142B2 (ja) * 1987-12-09 1994-06-15 日本鋼管株式会社 熱間補修用焼付け材

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