JPH11349384A - 閉塞材の製造方法および閉塞材用バインダー組成物 - Google Patents

閉塞材の製造方法および閉塞材用バインダー組成物

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JPH11349384A
JPH11349384A JP10154362A JP15436298A JPH11349384A JP H11349384 A JPH11349384 A JP H11349384A JP 10154362 A JP10154362 A JP 10154362A JP 15436298 A JP15436298 A JP 15436298A JP H11349384 A JPH11349384 A JP H11349384A
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pitch
binder composition
tapping
phenol resin
plugging material
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JP10154362A
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English (en)
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Ichiro Ueno
一郎 上野
Yoshihisa Hamazaki
佳久 濱崎
Masatsugu Kitamura
匡譜 北村
Yukitoshi Kubota
行利 窪田
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Shinagawa Refractories Co Ltd
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Shinagawa Refractories Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 早強性および耐食性(高温強度)に優れ、し
かも出銑荒れ現象を極めて抑制できる閉塞材を製造し得
る方法を提供する。 【解決手段】 フェノール樹脂中にピッチ粉を均一に分
散させてバインダー組成物を得る工程と、前記バインダ
ー組成物と耐火物原料とを混合する工程とを具備する閉
塞材の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉やシャフト炉
などの出銑口に使用される閉塞材の製造方法、およびこ
の閉塞材に配合されるバインダー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高炉の炉前作業能率の向上、炉前
作業要員の省力化、炉廻り機器およびこの補修費の削減
等を図るため、1個の出銑口から長時間出銑する連続出
銑操業が注目されている。この連続出銑操業を実現する
ためには、次のような基本的特性が閉塞材に要求され
る。すなわち第1に、マッドガンの圧着、保持時間を短
縮できること;第2に開孔初期における発塵、溶銑の飛
散現象(以下、出銑荒れという)が極力少ないこと;第
3に長時間出銑しても出銑口径の拡大が少なく、出銑速
度が安定して維持できることである。
【0003】上述した第1および第2の基本的特性を満
足するためには、閉塞材は出銑口への充填後、速やかに
固化して強度を発現することが要求される。この比較的
初期段階における速やかな固化・強度発現を早強性とい
う。さらに第2の基本的特性を満足するためには、閉塞
材中の揮発成分量が少ないことも同時に必要とされる。
また、第3の基本的特性を満足するためには高温強度が
高く、溶銑およびスラグに対する優れた耐食性を有する
ことが要求される。ここで、高温強度としては400℃
以上の温度領域での強度が尺度となり、この高温強度が
高ければ耐食性も高い。
【0004】なお、従来より閉塞材は、アルミナ、ロウ
石、シャモット、および炭化珪素等の耐火物骨材に、コ
ークス、カーボン等の炭素質原料、およびカオリン、ベ
ントナイト等の耐火粘土を配合し、得られた組成物にバ
インダーを加えることにより製造されている。バインダ
ーとしては、例えばコールタールやコールタール蒸留品
が使用されており、近年フェノール樹脂等の合成樹脂も
一般的に使用されている。
【0005】最近ではバインダーとして、フェノール樹
脂とともにピッチ微粉を併用する技術が提案されてい
る。例えば、特開昭56−9827号公報には、耐火物
原料100重量部に対し、軟化点90〜300℃、固定
炭素40%以上およびキノリン不溶分10〜80%の粉
末状ピッチ1〜25重量部を配合して耐火物原料とピッ
チとを含む混合物を得、次いでこの混合物に石油系重質
油、芳香族性石油樹脂および熱硬化性樹脂を含有する結
合剤15〜40重量部を配合することが開示されてい
る。さらに、特開平5−170535号公報には、無機
物系骨材と熱硬化性樹脂とを混合して不定形炭素質耐火
物を製造するに当たって、固定炭素、ロガ指数等が特定
値を有する炭素質粉末を添加することが開示されてい
る。この技術によると、高い炭化歩留りで、高性能の不
定形炭素質耐火物を製造しうることが記述されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
技術の開示内容に従って閉塞材を製造すると、例えば前
述の特開昭56−9827号公報においては、ピッチ類
の比率を高くしたり微粉状のピッチを使用した場合には
閉塞材製造過程、すなわち骨材との混練時にピッチの凝
集、偏析が発生して閉塞材物性の低下や欠陥が確認さ
れ、満足な閉塞材特性の改善は確認できなかった。この
ような問題を回避しようとして比較的粒径の大きなピッ
チを使用した場合には、煉瓦組織中に大きな気孔が生成
し、やはり閉塞材物性の低下を招いてしまった。また、
閉塞材使用時を想定した閉塞材の高温強度の低下、実際
の高炉への適用時の閉塞材のひび割れによる著しい出銑
時間の減少が確認された。さらに、特開平5−1705
35号公報記載の技術においては、高温強度および耐食
性は問題ないものの、出銑初期の出銑荒れ現象が多く確
認された。
【0007】本発明は、早強性および耐食性(高温強
度)に優れ、しかも出銑荒れ現象を極めて抑制できる閉
塞材を製造し得る方法を提供することを目的とする。ま
た本発明は、早強性および耐食性(高温強度)に優れ、
しかも出銑荒れ現象を極めて抑制できる閉塞材を製造す
るためのバインダー組成物を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、フェノール樹脂中にピッチ粉を均一に分
散させてバインダー組成物を得る工程と、前記バインダ
ー組成物と耐火物原料とを混合する工程とを具備する閉
塞材の製造方法を提供する。
【0009】また本発明は、フェノール樹脂と、このフ
ェノール樹脂中に均一に分散したピッチ粉とを含有する
閉塞材用バインダー組成物を提供する。前記バインダー
組成物中におけるピッチ粉の含有量は、30%以上であ
ることが好ましい。
【0010】前記ピッチ粉は、軟化点が250℃以上で
あって、かつ平均粒度が100μm以下であることが好
ましい。前記フェノール樹脂は、ノボラック型フェノー
ル樹脂とレゾール型フェノール樹脂との混合物であるこ
とが好ましく、この混合物中におけるレゾール型フェノ
ール樹脂の比率は重量比で20%以上50%以下である
ことが好ましい。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
らは、フェノール樹脂とピッチ粉との相互作用を高める
こと、すなわちフェノール樹脂中にピッチ粉を均一に分
散せしめることが、閉塞材の特性改善に有効であること
を見出し、本発明を成すに至った。
【0012】なお、前述の特開昭56−9827号公報
に記載されている方法においては、ピッチを煉瓦製造時
に予め骨材と均一に混練した後、フェノール樹脂等の熱
硬化性樹脂が加えられる。この方法によるとフェノール
樹脂の大部分は骨材表面を覆う形で存在することにな
り、ピッチと接触できるフェノール樹脂の比率はかなり
少ない。その結果、閉塞材製造工程、あるいは閉塞材使
用時におけるバインダー加熱時のピッチとフェノール樹
脂の相互作用は、こうした製造方法の場合にはほとんど
期待できない。
【0013】さらに特開平5−170535号公報に
は、ピッチ微粉とフェノール樹脂との相互作用が極力少
ないような原料を選択することが記述されている。本発
明の閉塞材の製造方法においては、閉塞材を製造するに
当たって、フェノール樹脂中にピッチ粉を予め均一に分
散させて、バインダー組成物を調製する。こうして調製
されたバインダー組成物は、従来のバインダーと比較し
て、加熱過程における極端な膨張、収縮や骨材との剥
離、バインダー組成物の残留炭素組織が改善されて閉塞
材の特性が著しく向上する。
【0014】フェノール樹脂中にピッチ粉を均一に分散
させてなる本発明のバインダー組成物は、予めピッチ粉
がフェノール樹脂中に分散していることから、ピッチの
一部成分がフェノール樹脂中に溶解している。その結
果、こうしたバインダー組成物を耐火物原料と混合して
閉塞材を製造した際に、フェノール樹脂とピッチとの相
互作用を有効に利用することが初めて可能となった。
【0015】なお、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂
は、加熱すると溶剤や縮合過程で生成する縮合水などの
揮発分の放出に伴なって収縮する特性を有しており、一
方ピッチなどの熱可塑性樹脂は、加熱すると揮発分の放
出に伴なって膨張する特性を有している。このような特
性を有するフェノール樹脂やピッチを閉塞材等の耐火物
のバインダーとして使用すると、製造過程あるいは使用
過程で閉塞材が加熱される際に骨材との剥離や、バイン
ダー内部における気孔や亀裂生成の原因となる。その結
果、閉塞材の特性が著しく低下してしまうことを、本発
明者らは見出した。
【0016】本発明においては、フェノール樹脂中にピ
ッチ粉を予め均一に分散させているので、バインダー組
成物中における上述したような膨張や収縮は充分に抑え
られて閉塞材の特性が向上する。
【0017】また、ピッチとフェノール樹脂との相互作
用が大きい程、その結果得られる炭素の光学組織が均質
化する。よって本発明のバインダー組成物を閉塞材用バ
インダーとして使用すると、ピッチに由来する光学的異
方性組織と、フェノール樹脂に由来する光学的等方性組
織とが均質に混ざり合ったマトリックス組織が熱処理過
程で形成され、このマトリックス組織が閉塞材特性を向
上させるという効果を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の閉塞材の製造方法におい
ては、まず、フェノール樹脂とピッチ粉とを均一に混合
してバインダー組成物を調製する。用い得るフェノール
樹脂としては、固定炭素の高いものが閉塞材の緻密化を
図る上で望ましい。具体的には、固定炭素(JIS M
8812)で40%以上であることが、閉塞材の緻密
化による高温強度および耐食性を確保する上から好まし
い。ただし、フェノール樹脂は、加熱時に縮合水や炭化
水素等が発生する特性を有するため、その上限は通常6
0%程度である。
【0019】粘度ができるだけ低いフェノール樹脂を用
いると、ピッチ粉を混合した際に適切な流動性を確保す
ることができるので、25℃における粘度が100ポイ
ズ以下であることが好ましく、現状の閉塞材製造時のバ
インダー使用粘度を考慮すると50ポイズ以下であるこ
とがより好ましい。ただし、骨材に対する付着性を考慮
すると、フェノール樹脂の粘度は少なくとも1ポイズ以
上であることが望まれる。
【0020】フェノール樹脂としては、ノボラック型フ
ェノール樹脂を単独で用いてもよいが、ノボラック型フ
ェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂との混合物を
用いると、硬化反応速度を制御することが可能となる
点、固定炭素が高くなる点から好ましい。この場合、フ
ェノール樹脂全体に対するレゾール型フェノール樹脂の
割合は、重量比で20%以上50%以下であることが好
ましい。レゾール型フェノール樹脂の重量比が20%未
満の場合には、硬化反応速度が遅くなるので充分な早強
性を確保することが困難となり、その結果、出銑荒れ現
象が顕著となるおそれがある。一方、レゾール型フェノ
ール樹脂の重量比が50%を越えると、種々の不都合が
生じるおそれがある。例えば、閉塞材製造時におけるバ
インダーを予熱する工程でのバインダーの熱安定性や、
骨材との混練後の閉塞材の品質保存安定性が低下する。
また、放散熱によりマッドガン内で硬化が生じ、さら
に、充填中の出銑孔内において、マッドと出銑口ライニ
ングとの間で焼付き等のトラブルが発生することが予測
される。なお、フェノール樹脂全体におけるレゾール型
フェノール樹脂の重量比は、20%以上40%以下であ
ることがより好ましい。
【0021】フェノール樹脂をバインダーとして配合し
て閉塞材を製造するに当たっては、例えばテトラメチレ
ンヘキサミン等の硬化剤が通常配合されるが、本発明に
おいてもこうした添加剤を用いることができる。添加剤
は、閉塞材の硬化を促進させるとともに、炭化収率や煉
瓦特性を向上させるという効果を有している。しかしな
がら、その一方で、添加剤を配合した場合には、フェノ
ール樹脂とヘキサミンとの反応によりアンモニアが生成
し、これに起因して作業環境が悪くなるおそれがある。
また、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノ
ール樹脂との混合物を使用した場合には、レゾール型フ
ェノール樹脂がノボラック型フェノール樹脂の硬化剤と
して作用するので、本発明において添加剤は必ずしも添
加する必要はない。
【0022】フェノール樹脂の粘度を低下させるため、
あるいはフェノール樹脂とピッチ粉との相互作用を促進
するために各種の有機溶剤を併用してもよい。有機溶剤
としては、一般的に使用されるエチレングリコール、エ
タノール、およびプロパノール等のアルコール類;トル
エン、キシレン等の芳香族系炭化水素系溶媒;ヘキサ
ン、灯油等の脂肪族系炭化水素系溶媒;シクロヘキサ
ン、デカヒドロナフタレン等の環状炭化水素系溶媒;酢
酸エチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン等の
ケトン系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単
独であるいは混合して使用することができる。
【0023】上述したような有機溶剤を併用することに
よってバインダー組成物の粘度が低下するので、骨材と
バインダー組成物との混練性が改善される。加えて、ピ
ッチのフェノール樹脂中への一部成分の溶解が促進さ
れ、結果として両者の相互作用も促進される。
【0024】有機溶剤の添加量はフェノール樹脂の重量
1に対し、1.5以下とすることが好ましく、0.05
〜0.8程度とすることがより好ましい。有機溶剤を添
加した場合には、ピッチと混合後これを除去する必要は
ない。本発明のバインダー組成物は、使用前に加熱する
と溶剤の揮散やレゾール型フェノール樹脂の硬化反応に
よって、粘度上昇が起こるおそれがある。したがって、
こうした不都合を避けるため、通常は特に有機溶剤除去
工程を設けることなくそのまま使用に供することが望ま
れる。
【0025】本発明において、上述したようなフェノー
ル樹脂に配合されるピッチとしては、石炭系または石油
系のピッチが挙げられ、その固定炭素率は35%以上で
あることが好ましい。固定炭素率が35%未満のピッチ
を配合したバインダー組成物は、骨材と混合して閉塞材
を製造した際に十分な残炭率を確保できないため、緻密
なものを製造することが困難となる。なお、耐食性に優
れた緻密な閉塞材を製造するためには、ピッチ中におけ
る固定炭素率は40%以上であることがより好ましく、
50%以上であることが最も好ましい。一方、固定炭素
率の上限は、ピッチを熱処理することによって100%
近くまで高めることが可能である。しかしながら、ピッ
チの固定炭素率をこのように高めると、フェノール樹脂
とピッチとの相互作用やピッチの流動性が低下するおそ
れがあり、また効果も少ないので固定炭素率の上限は9
0%程度とすることが適切である。
【0026】ピッチの軟化点は、250℃以上350℃
以下であることが好ましい。ピッチの軟化点が250℃
未満の場合には、閉塞材使用初期、すなわちマッドガン
の圧着、保持時あるいは開孔初期においてバインダー組
成物中のピッチが軟化溶融してフェノール樹脂と分離し
てしまい、両者間の相互作用を有効に利用できなくなる
おそれがある。また、ピッチの軟化点が250℃未満で
あるとピッチ中の揮発成分量が多いために、出銑荒れが
起こりやすくなる。加えて、十分な残炭率を確保できな
いため閉塞材特性の満足な向上が見込めないなど種々の
問題が生じるおそれがある。一方、ピッチの軟化点が3
50℃を越えた場合には、このピッチの軟化流動温度領
域とフェノール樹脂の硬化反応領域とがかけ離れるこ
と、さらにフェノール樹脂中へ溶解するピッチ成分量が
少ないことに起因して、両者の十分な相互作用を期待す
ることができない。
【0027】なお、ピッチの軟化点範囲は、300℃以
上350℃以下程度であることがより好ましい。本発明
で用いられるピッチは、微粉状であることが好ましい。
バインダー組成物の長期保存時におけるピッチの沈降分
離を避けること、ピッチとフェノール樹脂との相互作用
を大きくして最終的に得られる閉塞材の特性を向上させ
ること、および閉塞材中での欠陥の発生を避けることを
考慮して、その粒径はできるだけ細かいことが望まれ
る。具体的には、レーザー回折式粒度計で測定した体積
平均粒度が100μm以下であることが好ましく、50
μm以下であることがより好ましい。
【0028】上述したようなピッチの添加量は、バイン
ダー組成物中、5重量%以上30重量%以下とすること
が好ましく、10重量%以上20重量%以下とすること
がより好ましい。ピッチの含有率が30重量%を越える
と、出銑初期における出銑荒れが生じるおそれがあるの
で好ましくない。これはピッチ含有率が高くなるにした
がって、バインダーの配合量が増加して結果的に閉塞材
中の揮発成分量が高くなること、およびバインダーの硬
化速度が遅くなることによる。一方、ピッチの含有率が
5重量%未満の場合には、フェノール樹脂との相互作用
を十分に得ることが困難となる。
【0029】本発明において、フェノール樹脂中にピッ
チを均一に分散させてバインダー組成物を調製する方法
は、特に限定されず任意の機械的な混合法を採用するこ
とができ、例えば、ミキサーによる混合が一般的であ
る。例えば、ステンレス容器中で、2軸ミキサーにより
10〜15分程度、フェノール樹脂とピッチ粉とを機械
的に混合する。こうして機械的混合を行なうことによっ
て、ピッチはフェノール樹脂中に均質に分散し、ピッチ
中の一部成分がフェノール樹脂中に溶解する。その結
果、得られたバインダー組成物を煉瓦に使用した際に両
者の相互作用を有効に利用することが可能となり、バイ
ンダーの加熱過程における膨張収縮挙動や骨材との相互
作用、バインダー組成物の残留炭素組織が改善され、得
られる閉塞材の特性が著しく向上する。このような理由
から、フェノール樹脂とピッチとを予め十分に混合した
方が効果は大きくなる。
【0030】フェノール樹脂とピッチ粉とを混合する際
の温度は、高すぎると溶剤の揮散やレゾール型フェノー
ル樹脂の硬化反応が起こるおそれがあるので、100℃
以下程度とすることが好ましく、60℃以下程度とする
ことがより好ましい。なお、混合温度の下限は特に限定
されないが、フェノール樹脂の粘度上昇を考慮すると室
温程度が適切である。
【0031】こうして、フェノール樹脂中にピッチ粉が
均一に分散された本発明のバインダー組成物が調製され
る。本発明の方法においては、上述したように調製され
たバインダー組成物と、耐火物原料とを混合して閉塞材
を製造する。
【0032】耐火物原料としては、特に限定されず、任
意の原料を用いることができる。例えば、耐火物骨材
は、アルミナ、ロウ石、シャモット、および炭化珪素等
であるが、これらの材料は例示でありこれらの代替物で
もよい。同様に、炭素質原料は、コークス、黒鉛等であ
り、耐火粘土は、カオリン、ベントナイト等であるが、
それぞれの代替物でもよいことは言うまでもない。
【0033】上述したような耐火物原料に配合されるバ
インダー組成物の量は、10%以上40%以下程度であ
ることが好ましく、15%以上35%以下であることが
より好ましい。バインダー組成物の配合量が10%未満
の場合には、閉塞材として使用した際に十分な可塑性を
得ることが困難となり、マッドガンによる充填圧力が高
くなり、場合によっては充填が不可能となるおそれがあ
る。一方、バインダー組成物の量が40%を越えると、
出銑荒れを引き起こし、閉塞材の耐食性や高温特性の低
下を招くおそれがある。
【0034】バインダー組成物と耐火物原料とを混合し
て閉塞材を製造するに当たっては、通常の方法を採用す
ることができる。すなわち、まず、所定量のバインダー
組成物を耐火物原料に加えてミックスマラー型ミキサ
ー、ウエットパン型ミキサー等を用いて混練し、これを
成型機等を用いて所望の形状に成形して閉塞材が得られ
る。この工程における混練に先立って、バインダー組成
物を30〜80℃程度に予め加温してもよい。
【0035】本発明の方法においては、まず、フェノー
ル樹脂中にピッチ粉を予め均一に分散させることによっ
てバインダー組成物を調製し、このバインダー組成物と
耐火物原料とを混合することよって閉塞材を製造するも
のである。本発明の方法により製造された閉塞材は、フ
ェノール樹脂とピッチとの相互作用が強いため、使用時
における極端な膨張収縮や骨材との剥離は生じない。し
かも、バインダー組成物の残留炭素組織が改善されるこ
とから、従来の閉塞材と比較して、耐食性、高温におけ
る強度、早強性に優れる。さらに、連続出銑操業時に
は、出銑初期の発塵、発煙、溶銑の飛散、いわゆる出銑
荒れを抑制して、長時間の安定した操業が可能となる。
【0036】
【実施例】以下、具体例を示して本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。下記表1〜表3に実施例1〜12を示し、表4およ
び5に参考例1〜7を示し、表6に比較例1〜3を示
す。
【0037】なお、表1〜3に示す実施例1〜12は、
フェノール樹脂とピッチ微粉とを機械的に均一に混合し
てバインダー組成物を調製した後、耐火物骨材と混合し
てマッド材(閉塞材)を製造した例である。各バインダ
ー組成物は、表にそれぞれ示した処方でノボラック型フ
ェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、有機溶剤、
およびピッチ粉を、一軸ミキサーを用いて10分程度均
一に混合することにより調製した。実施例1〜4は添加
したピッチの軟化点が異なる例であり、実施例5〜7は
ピッチ添加量が異なる例である。実施例7,9,10
は、フェノール樹脂中のレゾール型とノボラック型との
比率が異なる例であり、実施例8はピッチの平均粒度が
60〜70μmの例である。実施例8以外は、ピッチの
平均粒度がいずれも30〜40μmである。また、耐火
物骨材としては、アルミナ26重量%、シリカ15重量
%、および炭化珪素とコークスとの混合物37重量%を
主成分とするものを使用した。
【0038】表4および5に示す例のうち、参考例1〜
6は、添加したピッチの軟化点が250℃未満の例であ
り、参考例7は、平均粒度が100μmを越えるピッチ
を添加した例である。この参考例7で添加したピッチの
平均粒度の上限は120μm以下である。このようにピ
ッチを変更した以外は、上述の実施例1〜12と同様に
して閉塞材を製造した。
【0039】表6に示す比較例1および2は、ピッチを
添加せずにフェノール樹脂のみをバインダーとして配合
して閉塞材を製造した例であり、比較例3は、まずピッ
チと骨材とを配合した後、フェノール樹脂を配合した以
外は、前述の実施例12と同様の条件で閉塞材を製造し
た例である。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】なお、表中、ピッチの軟化点はMettler So
ftening Points法(ASTM D 3104-77に準拠)により測定
した値であり、ピッチの平均粒度はレーザー回折式粒度
計(日機装製マイクロトラック)を使用して測定した体
積平均粒度を示している。
【0047】得られた各マッド材の性能を次のようにし
て調べ、その結果をバインダーの組成とともに表1〜6
に併記した。マッド材特性のうち、圧縮強度、早期強
度、早期減量および浸食性指数は、後述する各試験方法
を用いて実験室内で測定した。出銑時間は実機高炉の出
銑口に試作マッド材を充填し、出銑して測定した。ま
た、出銑荒れ現象は、出銑直後の発煙、発塵、および溶
銑の飛散を目視により観察して評価した。
【0048】圧縮強度は、耐火煉瓦の圧縮強さの試験方
法(JIS R2206)に準拠して測定した。各表
中、圧縮強度の欄の数字は加熱温度と加熱時間とを示
す。例えば、300−10〜20min.は、試験温度30
0℃で10〜20分の加熱後の圧縮強度であることを示
す。
【0049】試作マッドを試験温度300℃雰囲気中
で、10〜30分加熱した後の圧縮強度が、低温領域に
おける早強性を評価する指標であり、30分加熱後に1
MPa以上の圧縮強度が確保できると早強性は満足され
る。
【0050】圧縮強度のうち、試験温度300℃〜15
00℃雰囲気中で、3〜5時間の加熱した後の圧縮強度
は高温強度を示し、耐食性を間接的に評価する指標であ
る。この条件下において、20MPa以上の圧縮強度が
確保できると耐食性は満足され、長時間安定した出銑時
間が確保できる。
【0051】浸食性指数は、耐食性を直接的に評価する
指標であり、高周波誘導加熱炉に銑鉄10kg、高炉ス
ラグ300gを収容し、マッド材を1550℃で3時間
浸漬させた後の浸食深さを測定し、これを指数で表した
ものである。この値が60以下であると良好な耐食性を
有する。
【0052】出銑時間は、出銑開始後から出銑が終了し
て再び出銑口を閉塞するまでの時間であり、200分以
上の出銑時間を確保することが目標である。また、出銑
開始初期の発塵、発煙および溶銑の飛散の現象、すなわ
ち出銑荒れ現象については目視により観察し、出銑開始
直後から出銑荒れ現象が終了するまでの時間を出銑荒れ
時間とした。また、同様に出銑荒れ現象の程度を目視で
3段階評価した。作業環境および作業性を考慮した場合
の出銑荒れ時間は10分以内であり、出銑荒れ現象の程
度は現象の少ない順に○、△、×とし、その評価基準は
次のとおりとした。
【0053】 ○:良好(出銑荒れ現象なし) △:出銑荒れ現象やや有り ×:不良(出銑荒れ現象著しい) 表1に示されるように、フェノール樹脂中にピッチ粉が
均一に分散されている本発明のバインダー組成物を使用
して、本発明の方法により製造した実施例1〜12の閉
塞材は、低温領域における圧縮強度(300℃−30
分)は、最低でも3.1MPa、最高では6.4MPa
と十分な早強性が確保されている。また、高温領域にお
ける圧縮強度(1500℃−3時間)は25〜39.8
MPaであり、浸食性指数は41〜57が得られ、良好
な耐食性が確保されている。この結果、いずれの閉塞材
も200分以上の出銑時間が得られている。さらに、出
銑荒れ現象の時間は5分以内であり、その程度は○と、
十分に実用に耐えうるほどに出銑荒れ現象が抑制された
結果となった。
【0054】これに対して、参考例では次のようになっ
た。まず、軟化点が250℃未満のピッチを使用した参
考例1〜6は、出銑荒れの指標となる早期減量(300
℃−30分)が4.9〜5.8wt%と実施例に比べて
大きい。また、参考例1〜5については、マッドガン内
においてフェノール樹脂とピッチとの分離が確認され
た。これは高炉からの輻射熱によりピッチが軟化溶融し
たことが原因と推測される。さらに、出銑荒れ現象の時
間が15〜30分で現象の程度が×であり、環境上の問
題から操業の継続が困難であった。
【0055】平均粒度が100μmを越えるピッチをフ
ェノール樹脂に予め分散した参考例7は、フェノール樹
脂中にピッチを均一に分散させることが困難であり、1
時間以上静置すると分離してしまった。このため、フェ
ノール樹脂とピッチとの相互作用を利用することができ
ず、耐食性を評価する指標である高温領域における圧縮
強度(1500℃−3時間)および浸食性指数は、それ
ぞれ15.5MPaおよび85であり、耐食性が低いこ
とが示されている。
【0056】以上の参考例の結果から、本発明に用いら
れるピッチの軟化点は250℃以上であることが好まし
く、その平均粒度は、100μm以下が好ましいことが
わかる。
【0057】本発明の範囲から外れる比較例1〜3は、
いずれも性能が著しく劣っている。まず、ピッチを配合
せずに、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェ
ノール樹脂との比率が10/90のフェノール樹脂をバ
インダーとして使用した比較例1は、低温領域における
早強性を評価する指標である早期強度(300℃−30
分)が0.2MPaと極めて低い値となった。耐食性を
評価する指標である高温領域における圧縮強度(150
0℃−3時間)および侵食性指数は、それぞれ15.3
MPaおよび96であり、耐食性が低いことが示されて
いる。実炉による試験でも出銑時間が145分と短い結
果となった。特に、出銑荒れ現象の時間が35分であ
り、その程度は×であった。
【0058】バインダーとしてピッチを配合せずにフェ
ノール樹脂単独を使用した比較例2は、低温領域におけ
る早強性を評価する指標である早期強度(300℃−3
0分)は4.1MPaと比較的高い値を示したものの、
耐食性を評価する指標である高温領域における圧縮強度
(1500℃−3時間)および浸食性指数は、それぞれ
15.3MPaおよび98であり、耐食性が低いことが
示されている。実炉による試験でも出銑時間が139分
と短い結果となった。
【0059】実施例12で使用したものと同様のピッチ
微粉を同様の比率で耐火物原料に配合した後にバインダ
ーとしてのフェノール樹脂を配合した比較例3は、まず
ピッチ微粉の配合時にピッチ微粉が凝集してしまい充分
な分散が困難であった。また、耐食性を評価する指標で
ある高温領域における圧縮強度(1500℃−3時間)
および浸食性指数は、それぞれ9.3MPaおよび92
であり、耐食性が低いことが示されている。これは、ピ
ッチ微粉が凝集したためにフェノール樹脂とピッチの相
互作用が少なかったことが原因と推定される。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
早強性および耐食性(高温強度)に優れ、しかも出銑荒
れ現象を極めて抑制できる閉塞材を製造し得る方法が提
供される。また本発明によれば、早強性および耐食性
(高温強度)に優れ、しかも出銑荒れ現象を極めて抑制
できる閉塞材を製造するためのバインダー組成物が提供
される。本発明により、従来の問題を全て回避して優れ
た特性を有する閉塞材を製造することが可能であり、そ
の工業的価値は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 匡譜 東京都千代田区大手町2丁目2番1号 品 川白煉瓦株式会社内 (72)発明者 窪田 行利 東京都千代田区大手町2丁目2番1号 品 川白煉瓦株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール樹脂中にピッチ粉を均一に分
    散させてバインダー組成物を得る工程と、前記バインダ
    ー組成物と耐火物原料とを混合する工程とを具備する閉
    塞材の製造方法。
  2. 【請求項2】 フェノール樹脂と、このフェノール樹脂
    中に均一に分散したピッチ粉とを含有する閉塞材用バイ
    ンダー組成物。
JP10154362A 1998-06-03 1998-06-03 閉塞材の製造方法および閉塞材用バインダー組成物 Pending JPH11349384A (ja)

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