JP2008100886A - マッド材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バインダにタール類とレジンとを併用したマッド材の耐侵食性、耐摩耗性、及び展開性等の特性を向上させる。
【解決手段】 マッド材のバインダとしてタール類とレジンとを併用するにあたり、タール類とレジンとに相溶性を示す相溶性溶剤として、55〜95質量部をエステルが占め、残部が多価アルコールよりなるものを用いる。この相溶性溶剤を用いると、耐火材料とタール類、レジン、及び相溶性溶剤との親和性の低下を防止でき、かつタール類とレジンとの相溶性を従来よりも向上させることができることにより、上記課題が解決される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば高炉の出銑口に充填されてその出銑口を閉塞するマッド材に関し、特にバインダにタール類とレジンとを併用したマッド材に関する。
高炉の操業においては、出銑終了後の出銑口にマッド材を圧入充填してこれを閉塞し、所定期間経過後の出銑の際には、それまでの期間に炉熱で焼成されたマッド材をドリルで開孔して湯道を形成することが行われる。ここで使用されるマッド材は、粒度調整された耐火材料にバインダ(結合剤)を加えて混練してなる練り土状の耐火物である。一般に、マッド材は、バインダにタール類を用いたタール系マッド材と、レジンを用いたレジン系マッド材とに大別される。
タール系マッド材は、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐溶損性等に優れる反面、タール類の沸点である100℃〜500℃の低温域で硬化しにくいため早強性が得られにくく、また溶銑や炉壁による加熱で発煙や異臭を生じやすいため、炉前における作業環境を悪化させやすいという欠点がある。
レジン系マッド材は、低温域で速硬化性を発揮するとともに発煙や異臭を生じにくいという利点がある反面、タール系マッド材に比べると、耐酸化性、耐熱衝撃性、耐溶損性等に劣る傾向にある。
このように、タール系マッド材とレジン系マッド材とは、相反する長所と短所を有するため、バインダにタール類とレジンとを併用すれば、一方の短所を他方の長所で補うことができ、優れたマッド材が実現されると考えられる。ところが、実際には、タール類とレジンとの相溶性を得ることは難しく、組織中にタール類とレジンとが偏在したマッド材が得られやすい。これは主として、タール類が非極性物質であり、レジンが極性物質であることによると考えられている。
そこで、特許文献1〜3は、マッド材のバインダにタール類とフェノールレジンとを併用するにあたり、両者の相溶性を得るために、ケトン化合物(例えば、シクロヘキサノン)と多価アルコールとを用いることを教示する。ケトン化合物が、タール類とフェノールレジンとを相溶させるため、タール類とフェノールレジンとの分離を抑制できる。多価アルコールは、タール類の溶剤にはなり得ないが、フェノールレジンの溶解を促進することで、ケトン化合物によるフェノールレジンとタール類との相溶性を助長する。
また、特許文献4は、耐火物用のバインダとして、ピッチ類(特許文献4では、タールとピッチを「ピッチ類」と総称している。)とフェノールレジンとを併用するにあたり、エステルを用いることを教示する。エステルを介してピッチ類とフェノールレジンとが相溶するため、優れた硬化性、接着性、強度、耐スポーリング性を有する耐火物が得られると説明されている。
この特許文献4の耐火物用バインダは、基本的に、ピッチ類、フェノールレジン、及びエステルの三者だけで成立するが(特許文献4の実施例1〜3参照)、多価アルコールをさらに用いてもよい旨説明されている。多価アルコールを用いた実施例としては、無水タールとフェノールレジンとに対し、エステルであるグルタル酸ジメチルと、多価アルコールであるエチレングリコールとを、両者の質量比がエステル:多価アルコール=50:50となる条件で添加してなるバインダが開示されている(特許文献4の実施例4参照)。
特開2001−335374号公報 特公平6−57620号公報 特許第3389572号公報 特開2003−267788号公報
特許文献1〜3のマッド材では、タール類とレジンとを相溶させる相溶性溶剤としてケトン化合物と多価アルコールとを用いるが、本願発明者らの研究によると、相溶性溶剤としては、ケトン化合物と多価アルコールの組み合わせよりも、エステルと多価アルコールの組み合わせを用いた方が、マッド材の耐侵食性等の特性が向上しやすい傾向にあることが判った。この理由は厳密には判っていないが、エステルと多価アルコールの組み合わせの方が、タール類とレジンとを相溶させる作用に優れるためであると考えられる。
特許文献4の耐火物用バインダでは、相溶性溶剤としてエステルを用いているが、多価アルコールの添加はあくまでも任意的とされており、エステルと多価アルコールとを組み合わせた具体例としては、上述のように、単に両者の質量比を50:50とした実施例4を開示するのみである。両者の質量比と、得られる耐火物の特性との関係については何ら考察されていない。
本願発明者らの研究によると、マッド材として求められる特性、特に溶銑及び溶滓に対する耐侵食性や、出銑口への充填時における展開性等を向上させる観点から、相溶性溶剤として用いるエステルと多価アルコールとの質量比には、エステル:多価アルコール=50:50となる点を外れる領域に、好適範囲が存在することが判った。
本発明の目的は、バインダにタール類とレジンとを併用したマッド材の耐侵食性、耐摩耗性、及び展開性等の特性のさらなる向上を図ることにある。本発明の他の目的は、バインダにタール類とレジンとを併用したマッド材におけるそれらタール類とレジンとの相溶性を従来よりも改善することにある。
本発明の一観点によれば、粒度調整された耐火材料に、タール類、レジン、及びそれらタール類とレジンとに相溶性を示す相溶性溶剤を加えて混練してなるマッド材において、相溶性溶剤として、55〜95質量部をエステルが占め、残部が多価アルコールよりなるものを用いたことを特徴とするマッド材が提供される。
本明細書において、「エステル」とは、複数種のエステルを混合したものを含む概念とする。「多価アルコール」とは、複数種の多価アルコールを混合したものを含む概念とする。また、数値範囲を表す「〜」の記号は、両端点を含む意味で用いるものとする。
バインダにタール類とレジンとを併用するにあたり、上記相溶性溶剤を用いることにより、マッド材の耐侵食性、耐摩耗性、及び展開性等の特性が従来よりも向上する。これは主として、上記相溶性溶剤によると、タール類とレジンとの相溶性を従来よりも向上でき、かつ耐火材料とタール類、レジン、及び相溶性溶剤との親和性(なじみの度合い)を向上できることによる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。実施形態によるマッド材は、基本的に、耐火材料に、タール類、レジン、及びそれらタール類とレジンとに相溶性を示す相溶性溶剤を加えて混練してなる。以下、マッド材の各構成要素について説明する。
耐火材料としては、例えば、ろう石、ムライト、カオリン、粘土、シャモット、セリサイト、シリマナイト、アンダリューサイト等のアルミナシリカ質原料、ボーキサイト、ダイアスポア、ばん土頁岩、電融アルミナ、焼結アルミナ、仮焼アルミナ、焼結スピネル、電融スピネル等のアルミナ質原料、珪石、シリカフラワー、溶融シリカ等のシリカ質原料、鱗状黒鉛、土状黒鉛、カーボンブラック、ピッチ、コークス等のカーボン質原料、その他、炭化珪素、窒化珪素、窒化珪素鉄、ジルコン、ジルコニア、マグネシア、クロム鉱、ドロマイトクリンカー、石灰、フェロシリコン、及びペレットからなる群から選択される1種以上を用いることができる。
耐火材料は、密充填組織が得られるようにすること、及び良好な作業性が得られるようにすること等を目的として、粗粒域、中粒域、及び微粒域に粒度調整される。具体的には、耐火材料は、JIS−Z8801に規定する標準ふるいを用いた測定で、粒径1mmを超えるものが10〜30質量部を、粒径0.075mm以下のものが40〜70質量部を、粒径0.075mmを超え1mm以下ものが残部を構成するように粒度調整することが好ましい。
タール類としては、例えば、コールタール、石油タール、木タール、ケツ岩タール(油ケツ岩の乾留生成油)、アスファルト、及びピッチ等からなる群から選択される1種以上を用いることができる。タール類の添加量は、耐火材料100質量%に対する外掛けで、1〜17.5質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。
レジンとしては、例えばフェノールレジン、フランレジン、尿素レジン、メラミンレジン、キシレンレジン、エポキシレジン等が挙げられる。フェノールレジンは、ノボラック型、レゾール型いずれも使用できる。特に、タールとの相溶性に優れるノボラック型フェノールレジンが好ましい。レジンの添加量は、耐火材料100質量%に対する外掛けで、例えば5〜22.5質量%であることが好ましく、5〜17.5質量%であることがより好ましい。
なお、タール類とレジンとの質量比は特に限定されないが、バインダ(タール類+レジン)に占めるタール類の添加量が多すぎると、レジン系マッド材の利点が得られにくくなる。一方、タール類の添加量が少なすぎると、タール系マッド材の利点が得られにくくなる。このような理由から、バインダ中のレジン/タール類の質量比は、0.2〜6であることが好ましく、0.4〜2.5であることがより好ましい。
相溶性溶剤は、タール類とレジンとを相溶させるものであり、エステルと多価アルコールとよりなる。
エステルは、タール類とレジンの双方を溶解する性質をもつ。エステルとしては、脂肪族カルボン酸エステルが好ましく、中でも、ジカルボン酸アルキルエステルが好ましく、ジカルボン酸メチルエステルがより好ましい。ジカルボン酸メチルエステルとしては、例えば、マロン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及びこれらの混合物等が挙げられる。
多価アルコールは、タール類の溶剤にはなり得ないが、レジンの溶解を促進することで、エステルによるレジンとタール類との相溶性を助長する。多価アルコールとしては、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びグリセリンよりなる群から選択される1種以上を使用することができる。
相溶性溶剤に占めるエステルの割合が高くなりすぎると、マッド材の展開性が悪化する傾向にある。一方、相溶性溶剤に占める多価アルコールの割合が高くなりすぎると、マッド材の耐侵食性が低下する傾向にある。このような理由から、相溶性溶剤に占めるエステルの割合は、55〜95質量部であることが必要であり、65〜85質量部であることが好ましく、75〜85質量部であることがより好ましい。
また、タール類及びレジンに対する相溶性溶剤の添加量が過剰であると、マッド材の焼結時の緻密さが損なわれやすくなる。一方、相溶性溶剤の添加量が少なすぎると、タール類とレジンとの相溶性が不充分となりやすくなる。このような理由から、相溶性溶剤の添加量は、タール類とレジンとの合量100質量%に対する外掛けで、15〜65質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。また、レジン100質量%に対する外掛けで表すと、相溶性溶剤の添加量は、40〜100質量%であることが好ましく、45質量%〜85質量%であることがより好ましい。
また、同様の理由から、耐火材料に加えるタール類、レジン、及び相溶性溶剤の合量は、耐火材料100質量%に対する外掛けで10〜25質量%であることが好ましく、15〜20質量%であることがより好ましい。
マッド材は、耐火材料に、タール類、レジン、及び相溶性溶剤を加えて混練してなる。マッド材の混練は、予めレジンだけを相溶性溶剤に溶解してレジン溶液を作製しておき、これとタール類とを耐火材料に加えて混練するようにしてもよいし、予めタール類とレジンとを相溶性溶剤に溶解しておいて、その溶解物を耐火材料に加えてミキサーで混練するようにしてもよいし、さらにミキサーに耐火材料、タール類、レジン、及び相溶性溶剤を個々に投入して混練するようにしてもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、耐火材料には、その微粒域の分散性を促進することを目的として、アニオン系スルホン酸塩を添加してもよい。アニオン系スルホン酸塩としては、βナフタレンスルホン酸、アニオン系アルキル・アリルスルホン酸塩、アニオン系変性リグニンスルホン酸塩等が挙げられる。また、レジンの硬化促進剤として、ヘキサミン等を添加してもよい。この他、本発明の効果を損なわない範囲において、種々の添加剤や材料をさらに用いてもよいことは当業者に自明であろう。
表1に、耐火材料の配合の一具体例を示す。表1中の粒度は、JIS−Z8801に規定する標準ふるいを用いた測定による。また、表1中の配合率は、耐火材料100質量%に占める質量割合を示す。
Figure 2008100886
表1の耐火材料に、コールタール、ゲル状ノボラック型フェノールレジン、相溶性溶剤、ヘキサミン、及びβナフタレンスルホン酸を加えて混練して錬り土状のマッド材を製作する。製作の手順としては、予めゲル状ノボラック型フェノールレジンを相溶性溶剤に溶解させておき、そのレジン溶液をタール、ヘキサミン、及びβナフタレンスルホン酸と共に耐火材料に添加し混練する。
耐火材料100質量%に対する外掛けで、コールタールの添加量は5質量%、ノボラック型フェノールレジンの添加量は7.5質量%、βナフタレンスルホン酸の添加量は0.1質量%、ヘキサミンの添加量は0.1質量%、相溶性溶剤の添加量は5質量%にそれぞれ固定しておいて、相溶性溶剤の成分構成だけを変更して、実験例A〜Fによるマッド材を得た。混練時間等の他の製造条件は実験例A〜Fで共通とした。
表2に、実験例A〜Fのマッド材における相溶性溶剤の成分構成を示す。表2中の数値は、相溶性溶剤100質量%に占める質量割合(質量%)を示す。なお、ジカルボン酸メチルエステルとしては、グルタル酸ジメチルを用いた。
Figure 2008100886
図1は、実験例A〜Fによるマッド材の耐侵食性を示すグラフである。横軸は、相溶性溶剤100質量%に占めるジカルボン酸メチルエステルの質量割合を示す。縦軸は、高周波内張侵食試験による溶損指数を示す。なお、実験例Fのマッド材は、ジカルボン酸メチルエステルを含有しないため、便宜上、その溶損指数は、図1中、破線で示した。
高周波内張侵食試験による溶損指数は、次のようにして求めた。実験例A〜Fのマッド材の試料が内張りされた高周波誘導炉内に銑鉄と高炉スラグを投入し、高周波により1550℃でそれらを溶解させる。30分毎にスラグを新しいものと入れ替える条件で5時間の侵食試験を行い、各マッド材の最大溶損寸法を測定した。各マッド材の最大溶損寸法を、実験例Aのマッド材の最大溶損寸法で割って100倍した値が溶損指数である。溶損指数は、その値が小さいほど耐侵食性に優れることを示す。
図1に示すように、相溶性溶剤にジカルボン酸メチルエステルを用いた実験例A〜Eのマッド材は、相溶性溶剤にケトン化合物(シクロヘキサノン)を用いた実験例Fのマッド材よりも耐侵食性に優れる。このことから、相溶性溶剤にジカルボン酸メチルエステルを用いることは、ケトン化合物(シクロヘキサノン)を用いるよりも好ましいといえる。
また、図1に示すように、実験例A及びEのマッド材よりも、実験例B〜Dのマッド材の方が耐侵食性に優れる。従って、この実験結果からは、相溶性溶剤として、50質量部超、100質量部未満をジカルボン酸メチルエステルが占め、残部がモノエチレングリコールよりなるものを用いることが好ましいといえる。
より具体的には、図1によると、相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの割合が75質量部のとき(実験例C)を最小値とする下に凸のグラフが得られた。このグラフの形状から、高周波内張侵食試験においては、相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの割合は、60〜85質量部であることが好ましく、75質量部であることが最も好ましいといえる。
図2は、実験例A〜Fによるマッド材の耐侵食性を示す他のグラフである。図1との相違は、縦軸に回転侵食試験による溶損指数を示した点にある。回転侵食試験も高周波内張侵食試験も、試料の化学的な侵食を再現できる点では共通するが、回転侵食試験の方が試料の機械的な磨耗をよく再現できる。
回転侵食試験による溶損指数は、次のようにして求めた。実験例A〜Fのマッド材の試料をドラムに内張りし、その中に高炉スラグを投入するとともに、バーナを用いて約1550℃でスラグを溶融させながらドラムを回転させる。30分毎にスラグを新しいものと入れ替える条件で5時間の侵食試験を行い、各マッド材の最大溶損寸法を測定した。各マッド材の最大溶損寸法を、実験例Aのマッド材の最大溶損寸法で割って100倍した値が溶損指数である。
図2によると、相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの割合が85質量部のとき(実験例D)を最小値とする下に凸のグラフが得られている。図1と図2の実験結果の共通点は、相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの質量割合を50質量部とした実験例Aのマッド材は、実験例B〜Dのマッド材に比べると、相対的に耐侵食性に劣る傾向にあるということである。
図3は、実験例A〜Fによるマッド材の曲げ強さを示すグラフである。横軸は相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの割合を示し、縦軸は曲げ強さを示す。
曲げ強さは、マッド材A〜Fの各々を約7MPaの圧力で40mm×40mm×160mmの形状に成形したのち、1200℃で3時間焼成した場合の常温における曲げ強さをJISR2575に準じて測定した値である。一般に、マッド材は、その曲げ強さが大きいほど、出湯口閉塞中における湯漏れの防止効果等に優れる。
図3に示すように、相溶性溶剤にジカルボン酸メチルエステルを用いた実験例A〜Eのマッド材が、相溶性溶剤にケトン化合物(シクロヘキサノン)を用いた実験例Fのマッド材よりも曲げ強さに優れる。また、相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの割合が75質量部のとき(実験例C)を最大値とする、上に凸のグラフが得られた。
図4は、実験例A〜Fによるマッド材の嵩比重を示すグラフである。横軸は相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの割合を示し、縦軸は嵩比重を示す。嵩比重は、マッド材A〜Fの各々を約7MPaの圧力で40mm×40mm×160mmの形状に成形したのち、1200℃で3時間焼成した場合の常温における嵩比重をJISR2205に従って測定した値のことである。
図4に示すように、相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの割合を75〜85質量部としたときを最大値とする、上に凸のグラフが得られた。一般に、マッド材は、嵩比重が大きいほど、その組織が緻密である。即ち、相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの割合を75〜85質量部としたときに、マッド材の組織が特に緻密となる。
このことは、ジカルボン酸メチルエステルの割合が75〜85質量部のときに、タール類とレジンとの相溶性が向上してタール類とレジンとの偏在が抑止されたこと、並びに耐火材料と相溶性溶剤及びバインダとの親和性(なじみの度合い)が良好になってマッド材の組織の偏在が抑止されたことを示す。なお、図1〜図3において、相溶性溶剤に占めるジカルボン酸メチルエステルの割合が75〜85質量部のときに、マッド材の耐侵食性及び曲げ強さが向上したのも、マッド材の組織が緻密化したことの影響が大きいと思われる。
図5は、実験例A〜Fによるマッド材のオートグラフ試験結果を示す。マッド材A〜Fの各々を直径50mm、高さ50mmの円柱状に成形し、得られた成形物を60℃に保った状態で、毎分4mmの速度で降下するプレス機で圧縮する。このときのプレス機の降下量(ストローク)を横軸にとり、マッド材に加えられている圧縮荷重を縦軸にとったのが図5のグラフである。
図5に示すように、実験例A〜Cのグラフは、ストロークに対する圧縮荷重の変化がほぼリニアな特性を示す。一般に、このような特性を示すマッド材は、プレス機のストロークの増大によっても亀裂や崩壊を生じることなく塑性変形することから、可塑性に優れ、かつ粘り強い。このため、出湯口への充填性及び展開性に優れ、かつ炉内においてはいわゆる孔切れ及び横穴の発生を防止できる。
一方、相溶性溶剤に占めるエステルの割合を100質量部とした実験例Eのグラフは、プレス機のストローク約10mm以上の範囲において、傾きがほぼゼロとなっている。これは、プレス機が約10mm降下した時点から、マッド材Eの組織の破壊が始まったことを意味する。一般に、ストロークに対する圧縮荷重の変化がなだらかな特性を示すマッド材は、脆弱で可塑性に乏しい。従って、実験例Eのマッド材は、図2では良好な耐侵食性を示したが、図5の試験結果を考慮すると、好ましいとは言えない。なお、実験例Dのグラフは、ややなだらかではあるが、許容範囲である。
図5の実験結果は、相溶性溶剤に占める多価アルコールの割合が高いほど、マッド材の可塑性が良好になることを示す。しかし、図1〜図4に示したように、相溶性溶剤に占める多価アルコールの割合が高すぎると、マッド材の可塑性以外の特性、即ち耐侵食性、曲げ強さ、及び嵩比重が悪化する。従って、マッド材の可塑性を向上させる効果と、マッド材の耐侵食性を向上させる効果との兼ね合いを図ることが必要である。
この点、図1〜図4において、耐侵食性、曲げ強度、及びかさ比重に優れるマッド材B〜Dは、図5においても、その可塑性が良好であるか又は可塑性が許容範囲内にある。図1〜図5のグラフの形状を総合的に考慮すると、相溶性溶剤に占めるエステルの割合は、55〜95質量部であることが必要であり、60〜90質量部であることが好ましく、65〜85質量部であることがより好ましく、75〜85質量部であることが最も好ましいと考えられる。
本発明のマッド材は、高炉出銑口の閉塞に好ましく利用される。また、本発明のマッド材は、高炉出銑口の閉塞に限らず、電気炉、廃棄物溶融炉、その他の間欠出湯方式の溶解炉における溶湯の出湯口の閉塞に広く利用されうる。
相溶性溶剤の構成に対するマッド材の耐侵食性の変化を示すグラフ。 相溶性溶剤の構成に対するマッド材の耐侵食性の変化を示す別のグラフ。 相溶性溶剤の構成に対するマッド材の曲げ強さの変化を示すグラフ。 相溶性溶剤の構成に対するマッド材のかさ比重の変化を示すグラフ。 相溶性溶剤の構成に対するマッド材のオートグラフ試験結果を示すグラフ。

Claims (3)

  1. 粒度調整された耐火材料に、タール類、レジン、及びそれらタール類とレジンとに相溶性を示す相溶性溶剤を加えて混練してなるマッド材において、前記相溶性溶剤として、55〜95質量部をエステルが占め、残部が多価アルコールよりなるものを用いたことを特徴とするマッド材。
  2. 前記相溶性溶剤として、75〜85質量部をエステルが占め、残部が多価アルコールよりなるものを用いた請求項1に記載のマッド材。
  3. 前記エステルが、ジカルボン酸メチルエステルであり、前記多価アルコールが、エチレングリコールである請求項1又は2に記載のマッド材。
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