JP2017154940A - 高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法 - Google Patents

高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法 Download PDF

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喜久 森本
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匡譜 北村
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真也 原
崇 槇原
Takashi Makihara
崇 槇原
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Abstract

【課題】本発明の目的は、長時間出銑を可能とすると同時に、安定的な開孔を行うことができるマッド材の製造方法を提供することにある。【解決手段】本発明の高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法は、耐火骨材の粉粒体を混合する第1工程と、第1工程で得られた混合物に、有機バインダーを添加して混練する第2工程と、第2工程で得られた混練物に、ステアリン酸またはステアリン酸塩またはそれら両者とを添加して再び混練する第3工程からなることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、高炉の出銑孔を閉塞するために用いられる高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法に関するものである。
高炉出銑孔閉塞用マッド材(以下、単に「マッド材」と記載することもある)は、高炉から溶銑と溶融スラグを炉外に排出する経路である出銑孔を閉塞し、出銑を終了する時に使用される耐火物であり、酸化物耐火原料、炭素質原料、炭化珪素質原料、窒化珪素質原料などの耐火骨材をミキサーで混合した後、多量の有機バインダーを添加、混練することによって製造されている。高炉出銑孔を閉塞するために使用されたマッド材は、再び出銑を開始する際、ドリルにより開孔され、溶銑と溶融スラグが高炉から排出される。この出銑開始から出銑終了まで、溶銑と溶融スラグが排出されている時間を出銑時間と称し、この出銑時間が短い場合には、炉前作業者の作業負荷が増大し、トラブルとして扱われることもある。このため、出銑時間を延長することが可能であるマッド材が従来から要求されており、マッド材組織を緻密化することで溶銑や溶融スラグに対する耐食性を向上させる対策などが採られてきた。
また、マッド材の強度が過度に高い場合には、出銑を開始する際のドリルによる開孔作業に長時間を費やすことになる。これは一般に開孔難と称され、トラブルの一部として扱われる場合がある。例えば、開孔難となり、出銑開始の時間が予定より遅れた場合、炉内の溶銑と溶融スラグが過剰に溜まることになるため、羽口からの送風量を抑え反応速度を落とすなどの処置を講じなければならないことや、溶融スラグのレベルが羽口まで達してしまうと、羽口閉塞を起こしてしまう可能性もある。
このため、長時間にわたる出銑時間に耐え得る良好な耐食性を持ち、また、良好な開孔性を持つマッド材が望まれてきた。例えば、特許文献1には、窒化珪素鉄粉末に炭素数10〜24の飽和脂肪酸またはその塩を0.1〜5質量%含有させてなる窒化珪素鉄粉末が開示されており、この窒化珪素鉄粉末をマッド材に配合することにより、マッド材への有機バインダー添加量を削減して組織を緻密にすることが可能となり、これによって耐食性の向上が可能であることが開示されている。
また、特許文献2には、アルミナ、ろう石、炭化珪素、窒化珪素鉄、粘土、カーボンブラック等の耐火物原料に対し、粒径0.1〜5.0mmの大きさを有し、かつ平均アスペクト比が0.5〜2.0を示す球状に近い耐火物原料を5〜60重量部使用して混練したことを特徴とする高炉出銑孔閉塞材が開示されており、この高炉出銑孔閉塞材によって、組織を緻密化し、出銑時間の延長を図ろうとするものである。
更に、特許文献3には、耐火性骨材、分散剤及び有機バインダーを含む高炉出銑孔用マッド材において、分散剤がポリエステル酸アマイドアミン塩及び/またはポリエーテルエステル酸アミン塩であることを特徴とする高炉出銑孔閉塞用マッド材が開示されており、特許文献3によれば、有機バインダー添加量を減少させることが可能であるとしている。
また、特許文献4には、耐火原料と熱可塑性炭素質バインダーとを主材とし、前記耐火原料の3〜50質量%をシュンガイト鉱石とした高炉出銑孔充填用マッド材が開示されており、特許文献4によれば、通常のマッド材では1400℃程度から始まるSiCボンドの生成開始温度を1300℃程度に下げることが可能となり、出銑時に十分なSiCボンドが生成されることにより、耐磨耗性及び耐食性を向上することができ、また、充填された後のマッド材が受ける約1200℃の温度域ではSiCボンドが形成されておらず、強度向上による開孔難は起こらないとしている。
特開2003−146768号公報 特開2002−255660号公報 特開2013−63883号公報 特開2007−46132号公報
しかしながら、特許文献1では、マッド材の主要耐火骨材の一つである窒化珪素鉄粉末と飽和脂肪酸またはその塩を混合し、飽和脂肪酸またはその塩を窒化珪素鉄粉末表面にコーティングすることにより有機バインダーとのなじみを良くし、マッド材への有機バインダー添加量を削減することができるとしているが、組織が緻密化し、強度が向上して開孔難に陥るという問題があった。特許文献1では、窒化珪素鉄粉末の表面に飽和脂肪酸またはその塩が強固にコーティングすることになり、窒化珪素鉄粉末の焼結を抑制することができるが、マッド材中に含まれるその他の耐火骨材には飽和脂肪酸またはその塩がコーティングされることが無く、これらの耐火骨材では焼結抑制効果は得られない。そのため、組織緻密化による強度向上が、窒化珪素鉄粉末の焼結抑制効果を上回り、マッド材全体としては強度の向上に繋がると考えられる。また、特許文献2の高炉出銑孔閉塞材では、強度向上により開孔難に陥り、また、使用原料が限定されてしまうという問題もあった。更に、特許文献3のマッド材では、分散剤として、ポリエステル酸アマイドアミン塩及び/またはポリエーテルエステル酸アミン塩を添加することにより、有機バインダー添加量を減少させることができるが、焼成後見掛け気孔率が上昇、つまり組織がポーラスとなってしまう問題があった。また、特許文献4のマッド材では、開孔時のSiCボンド形成による耐食性向上は見込めるが、その程度は低く、十分な出銑時間を確保することができなかった。
従って、本発明の目的は、長時間出銑を可能とすると同時に、安定的な開孔を行うことができるマッド材の製造方法を提供することにある。
不定形耐火物の耐食性向上のため、バインダー添加量を削減し、組織の緻密化を図る検討が行われてきた。例えば、流し込み材においては、少量の分散剤を添加することにより、良好な作業性を得るために必要な水分量を大幅に削減することが可能となり、組織の緻密化、耐食性の向上に寄与している。マッド材においては、出銑孔への良好な充填性を得るため多量の有機バインダーが添加されているが、一般に有機バインダー添加量が多いほど焼成後の組織はポーラスとなり、耐食性は低下する傾向にある。しかし、組織の緻密化は一般的にマッド材強度の向上に繋がり、過度の強度向上は開孔難に陥ってしまう問題がある。
そこで、流し込み材における分散剤のように、良好な作業性を得るために必要なバインダー添加量を削減し、組織を緻密化するのみでなく、過度の強度向上も同時に抑制することができる添加物の検討を行った結果、耐火骨材に有機バインダーを添加し、所定時間後にステアリン酸及び/またはステアリン酸塩を耐火骨材に添加、混練することにより、出銑孔への良好な充填性を得るために必要な有機バインダー添加量を削減可能であることがわかった。また、有機バインダー添加量削減によりマッド材組織が緻密になり耐食性の向上が図れる一方、組織が緻密になるにも拘わらず強度は低下する結果であった。一方、ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩を耐火骨材と事前に混合してしまうと、その後有機バインダーを添加して混練しても、耐火骨材と有機バインダーが分離した練り土になってしまった。このメカニズムについては明確ではないが、耐火骨材と有機バインダーを混練する前にステアリン酸及び/またはステアリン酸塩を耐火骨材と混合すると、耐火骨材表面にステアリン酸及び/またはステアリン酸塩の膜が形成され、この膜が耐火骨材と有機バインダーのなじみを悪くしているものと考えられる。
これらの結果から、耐火骨材と有機バインダーを混練した後に、ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩を添加して混練することにより、長時間出銑と良好な開孔性を同時に満たすマッド材の提供が可能であると考えられた。この結果は以下のような機構によるものだと考えられる。ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩は粒子同士の摩擦を軽減する滑剤としての作用があるため、ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩をマッド材に添加することにより、マッド材中の耐火骨材同士の摩擦を軽減することができ、良好な作業性を得るために必要な有機バインダー添加量を削減できると考えられる。
また、焼成後はステアリン酸及び/またはステアリン酸塩は耐火骨材表面に残炭として存在するため、耐火骨材同士の焼結を抑制する働きを有し、強度向上を抑制したものだと考えられる。
従って、本発明は、有機バインダーと耐火骨材を混合してなる高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法において、耐火骨材の粉粒体を混合する第1工程と、第1工程で得られた混合物に、有機バインダーを添加して混練する第2工程と、第2工程で得られた混練物に、ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩を添加して再び混練する第3工程からなることを特徴とする高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法にある。
また、本発明の高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法は、ステアリン酸またはステアリン酸塩またはそれら両者の添加量が耐火骨材100質量%に対し、外掛けで0.05〜5.0質量%の範囲内であることを特徴とする。
更に、本発明の高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法は、第2工程における混練時間が2〜10分の範囲内であることを特徴とする。
本発明によれば、耐火骨材に有機バインダーを添加し、所定時間後にステアリン酸及び/またはステアリン酸塩を添加することにより、有機バインダー添加量を削減することができ、組織が緻密化することで長時間出銑が可能となり、同時に過度の強度発現を抑制することで、安定的な開孔を行うことができるマッド材を提供することができる。
本発明のマッド材の製造方法においては、耐火骨材の粉粒体を混合し、得られた混合物と有機バインダーを混練し、得られた混練物にステアリン酸及び/またはステアリン酸塩とを添加し、再び混練する必要がある。ここで、ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩を耐火骨材と事前に混合してしまうと、その後、有機バインダーを添加して混練しても、耐火骨材と有機バインダーが分離した練り土になってしまうため、ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩の添加は、耐火骨材の粉粒体混合物と有機バインダーが十分なじんだ後に行う必要がある。
第1工程における耐火骨材の粉粒体を混合する時間は特に限定されるものではないが、耐火骨材同士が十分混ざり合う必要があり、例えば、2〜10分の範囲内とすることが好ましい。
次に、第2工程における耐火骨材の粉粒体混合物と、有機バインダーを混練する時間は、2〜10分、好ましくは3〜7分の範囲内である。なお、混練時間が2分未満では、耐火骨材の粉粒体に有機バインダーが十分になじんで一体となっておらず、十分になじむ前にステアリン酸及び/またはステアリン酸塩を添加してしまうと耐火骨材の粉粒体表面にステアリン酸及び/またはステアリン酸塩がコーティングされ、耐火骨材と有機バインダーのなじみを阻害してしまうために好ましくない。また、10分を超えると耐火骨材と有機バインダーが既に十分なじんでいる状態になるため、それ以上混練時間を長くしても効果はなく、作業効率の観点から好ましくない。また、混合温度は、第3工程において使用するステアリン酸またはステアリン酸塩の融点を超えない温度範囲で行う必要があり、例えばステアリン酸(融点:62〜72℃)を使用する場合、混合温度は60℃以下とすることが好ましい。
第3工程におけるステアリン酸及び/またはステアリン酸塩の添加量は、耐火骨材100質量%に対し、外掛けで0.05〜5.0質量%、より好ましくは0.1〜3.0質量%の範囲内である。ここで、ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩の添加量が外掛けで0.05質量%未満では、有機バインダー添加量の低減効果が十分に得らないために好ましくなく、また、5.0質量%を超えても、それに見合う有機バインダー添加量の低減効果は発現せず、経済的観点から好ましくない。
本発明のマッド材の製造方法に使用される耐火骨材は,アルミナ質原料、アルミナ・シリカ質原料、粘土質原料及びシリカ質原料からなる群から選択される1種または2種以上の酸化物耐火原料;炭素質原料;炭化珪素質原料;及び窒化珪素質原料などから構成される。
耐火骨材を構成する酸化物耐火原料は、主骨材を構成し、その添加量は、合計量で5〜75質量%、好ましくは30〜65質量%の範囲内である。ここで、酸化物耐火原料の添加量が75質量%を超えると、耐食性が低下するために好ましくなく、また、5質量%未満では、気孔率が高くなる傾向にあるために好ましくない。なお、上記酸化物耐火原料としては、例えば、焼結アルミナ、電融アルミナ、バン土頁岩、ボーキサイト、シャモット質原料、ロー石、ムライト、アンダリューサイトなどが挙げられる。
次に、耐火骨材を構成する炭素質原料は、スラグの浸透抑制並びに過焼結抑制を目的に添加されるものであり、その添加量は、3〜25質量%、好ましくは4〜20質量%の範囲内である。炭素質原料の添加量が3質量%未満であると、焼結過多となるために好ましくなく、一方、25質量%を超えると、強度が著しく低下するために好ましくない。上記炭素質原料としては、黒鉛、土状黒鉛、石炭コークス、石油コークス及びこれらのコークスの粉末、黒鉛電極屑、カーボンブラック、石炭ピッチ、石油ピッチなどが挙げられる。
また、耐火骨材を構成する炭化珪素質原料としては、例えば、アチソン法で製造した炭化珪素質原料や、シリカを還元炭化した炭化珪素原料などが使用可能である。炭化珪素質原料は、スラグに対する耐食性向上を目的として添加されるものであり、その添加量は、5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲内である。炭化珪素質原料の添加量が5質量%未満では,耐食性向上の寄与が少ないために好ましくなく、また、50質量%を超えると、溶銑に対する耐食性が著しく低下してしまうため好ましくない。
更に、窒化珪素質原料も、耐食性を向上するために配合される原料であり、例えば、シリカを還元窒化して得た窒化珪素,金属珪素を直接窒化した窒化珪素,フェロシリコンを直接窒化した窒化珪素鉄などが使用可能である。その添加量は、5〜40質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲内である。窒化珪素質原料の添加量が5質量%未満では、耐食性向上に対する十分な効果が得られないために好ましくなく、一方、40質量%を超えると、その効果は飽和してしまい、経済的観点から好ましくない。
また、耐火骨材として、金属粉を1種または2種以上を添加することができる。金属粉としては、例えば、金属アルミニウム、金属珪素及び金属アルミニウム・珪素合金などが挙げられる。
上述のような構成を有する耐火骨材の粒度範囲は、1.0mm以上の粒子が5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、1.0mm未満75μm以上の粒子が5〜45質量%、好ましくは10〜35質量%、75μm未満の粒子が20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%の範囲内とすることが好ましい。
次に、本発明の第2工程では、第1工程で得られた混合物に、有機バインダーを添加し、混練する。なお、有機バインダーとしては、マッド材用として知られている有機バインダー、すなわち、コールタールやフェノールレジンなどが利用可能である。また、有機バインダーの添加量は、耐火骨材100質量%に対して外掛けで10〜30質量%、好ましくは12〜25質量%の範囲内である。有機バインダーの添加量が10質量%未満では、マッド材を出銑孔に充填する際に必要な、練り土の可塑性が十分ではないために好ましくなく、一方、30質量%を超えると、マッド材組織がポーラスになり、耐食性が低下してしまうため好ましくない。なお、マッド材における有機バインダーの添加量は、通常所望とするマッド材の諸特性、例えばマッド材の押し出し荷重等を勘案して適宜決定されるものであり、本発明のマッド材の製造方法における有機バインダーの添加量の低減効果は、ある一定の押し出し荷重等を有するマッド材を得る時に必要となる有機バインダー添加量が低減できることを意味するものである。
第3工程におけるステアリン酸及び/またはステアリン酸塩を添加した後の混練時間は、特には限定されるものではないが、耐火骨材の粉粒体、有機バインダー、ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩が十分に混じり合うことが必要であり、例えば、10分から120分の範囲内とすることが好ましい。
本発明のマッド材の製造方法の第1工程、第2工程及び第3工程において、混合、混練に使用されるミキサーは、従来使用されているミキサーであれば特に限定されるものではなく、各工程で別々のミキサーを用いても構わない。なお、使用可能なミキサーとしては、例えば上回りミキサー、アイリッヒミキサー、深井式のコナーミキサーなどが挙げられる。なお、マッド材に使用される有機バインダーは常温では粘性が非常に大きいものが多く、そのためバインダー貯蔵設備とバインダー貯蔵設備からミキサーまでの配管は温度調整設備で保温されており、有機バインダーが所定の温度となるよう調整されている。また、混練中にマッド材温度が低下しないよう、ミキサー自体にも温度調整設備が設けられており、通常マッド材温度が40〜70℃程度になるよう調整されている。これらの温度調整設備を利用することにより、ステアリン酸及び/またはステアリン酸塩の融点を超えない温度での混合、混練が可能となる。
実施例1
表1に本発明品のマッド材の配合割合を、表2に比較品のマッド材の配合割合をそれぞれ示す。なお、第1工程における混合並びに第2工程及び第3工程における混練には万能混練機を用いて行い、耐火骨材の合計量は6kgとした。なお、第1工程の混合時間は5分、第2工程の混練時間は表1及び2に示す時間、第3工程の混練時間は20分とした。
Figure 2017154940
Figure 2017154940
表中、
「窒化珪素鉄原料II」は、特許文献1の実施例に準じて窒化珪素鉄原料Iにステアリン酸マグネシウムをコーティングしたもので、ステアリン酸マグネシウム含有量は4質量%のものである;
「有機バインダー添加量指数」は、各マッド材の押し出し荷重が同程度になるよう調整した。ここで、押し出し荷重とは、φ20mmで長さが20mmの形状のキャピラリーからマッド材を一定速度で押し出した際にかかる荷重であり、高い場合は変形しにくい、低い場合は変形しやすいマッド材であることを意味する。押し出し荷重を4.2kNとするに必要な有機バインダー量を求め、比較品1を100とした有機バインダー添加量指数として示した。有機バインダー添加量指数が小さいほど緻密なマッド材となることを意味する。なお、有機バインダーには、無水タールを用い、比較品1における添加量は、耐火骨材100質量%に対して20.8質量%であった。
マッド材焼成の方法:
本発明品及び比較品のマッド材を40×40×160mmの金型に入れ、5.0MPaの圧力で成型し、乾燥機中にて300℃で12時間乾燥した。乾燥後、サンプルをコークスブリーズ中に埋没させた状態で1000℃で3時間または1500℃で3時間加熱したものを試験片とし、曲げ強さ、見掛け気孔率を測定した。
「曲げ強さ指数」は、焼成後の曲げ強さをJIS R 2553に準じて、測定し、比較品1を100とした指数で示したものである;
「見掛け気孔率指数」は、焼成後の見掛け気孔率をJIS R 2205に基づき、媒液として白灯油を用いて測定したものであり、比較品1を100とした指数で示したものである;
「溶銑侵食容積指数」は、 溶銑に対する耐食性を高周波誘導炉を用いたサンプル内張り試験にて評価したものである。還元雰囲気下にて800℃で3時間加熱したマッド材サンプルを、るつぼ形状に組み合わせ、るつぼ内部に侵食剤として銑鉄を20kg投入し、1550〜1600℃で4時間保持した後のマッド材サンプルの溶損容積を測定した。溶損容積を比較品1を100とした指数で示したものである。このため、指数が小さい方が耐食性が優れることを示す;
「スラグ侵食深さ指数」は、高炉スラグに対する耐食性を回転ドラム侵食試験法にて評価したものである。還元雰囲気下にて800℃で3時間加熱したマッド材サンプルを、ドラム形状に組み合わせ、ドラム内部に侵食剤として高炉スラグを1kg投入し、1550〜1600℃で4時間保持した。侵食剤は1時間毎に入れ替えることとし、試験後のマッド材サンプルの溶損深さを測定した。溶損深さを比較品1を100とした指数で示したものである。このため、指数が小さい方が耐食性が優れることを示す。
比較品1〜5は、有機バインダーとして無水タールを使用した一般的なマッド材である。なお、比較品5は、比較品1で使用されている窒化珪素鉄原料Iを窒化珪素鉄原料IIに置換した配合であり、更に、本発明品18は、窒化珪素鉄原料IIを使用した比較品5に、ステアリン酸マグネシウムを添加した配合となっている。本発明品11〜14は、本発明品4と同じ配合で第2工程における混合時間を変化させたものである。
本発明品1〜7は、ステアリン酸マグネシウムの添加量を変化させた配合となっているが、ステアリン酸マグネシウム無添加の比較品1に比べ、有機バインダー添加量指数が低下し、組織が緻密になり溶銑、スラグに対する耐食性が向上していると同時に、強度が低下しており、開孔性は向上していた。
本発明品8〜10は、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムを1質量%添加した配合となっており、比較品1に比べ有機バインダー添加量指数が低下し、ステアリン酸マグネシウム添加時と同様に各種特性が向上していた。
本発明品11〜14は、ステアリン酸マグネシウムを添加する前の、耐火骨材と有機バインダーの混練時間を変化させたもので、混合時間2分以上ではステアリン酸マグネシウムが耐火骨材と有機バインダーのなじみを阻害する弊害が小さくなるため、各種特性が向上していた。なお、混合時間の効果は混合時間10分以下の範囲内では混合時間を長くすることにより高くなっていた。
本発明品15〜17は、比較品1とそれぞれ異なる耐火骨材配合にステアリン酸マグネシウムを添加したものである。それぞれの耐火骨材配合にステアリン酸マグネシウムを添加していない比較例品2〜4と比較すると、どの配合でもステアリン酸マグネシウム添加による有機バインダー添加量指数の低下効果が現れている。
比較品5と本発明品18は、窒化珪素鉄原料IIを使用した配合となっている。比較品1と窒化珪素鉄原料IIを使用した比較品5を比べると、有機バインダー添加量指数が低下しており、組織が緻密になって溶銑、スラグに対する耐食性は向上しているが、強度が高くなっているため開孔性に問題が生じる。
実施例2
本発明品4及び比較品1のマッド材を1トン規模で製造し、5000mの高炉において実機使用した。その結果、比較品1の出銑時間は149分であったのに対し、本発明品4のそれは188分となり、26%の向上効果が得られた。また、本発明品4を使用した際に、開孔難に基づくトラブルは比較品1の15%から9%に減少する結果となった。
このように、本発明品の優位性は明らかである。

Claims (3)

  1. 有機バインダーと耐火骨材を混合してなる高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法において、耐火骨材の粉粒体を混合する第1工程と、第1工程で得られた混合物に、有機バインダーを添加して混練する第2工程と、第2工程で得られた混練物に、ステアリン酸またはステアリン酸塩またはそれら両者とを添加して再び混練する第3工程からなることを特徴とする高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法。
  2. ステアリン酸またはステアリン酸塩またはそれら両者の添加量が耐火骨材100質量%に対し、外掛けで0.05〜5.0質量%の範囲内である、請求項1記載の高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法。
  3. 第2工程における混練時間が2〜10分の範囲内である、請求項1または2記載の高炉出銑孔閉塞用マッド材の製造方法。
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