JP6497405B2 - 高炉出銑孔閉塞用マッド材 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉の出銑孔を閉塞するために用いられる高炉出銑孔閉塞用マッド材に関するものである。
高炉出銑孔閉塞用マッド材(以下、「マッド材」と記載する)は、高炉から溶銑と溶融スラグを炉外に排出する経路である出銑孔を閉塞して出銑を終了させる時に使用される耐火物である。出銑孔の閉塞は、マッドガンと称される圧入機によって出銑中の出銑孔内にマッド材を圧入して出銑孔を閉塞することにより行われ、これによって出銑を停止する。
出銑孔を閉塞するために用いられるマッド材は、通常、酸化物耐火原料、炭素質原料、炭化珪素質原料、窒化珪素質原料などの耐火骨材をミキサーで混合した後、多量の有機バインダーを添加、混練することによって製造される。マッド材に添加される有機バインダーとしては、コールタールとフェノール樹脂が一般的である。しかし、コールタール系マッド材は、出銑孔に充填した後、炉壁からの加熱により発煙や異臭を生じさせ、炉前における作業環境を悪化させる問題がある。このため、コールタール系マッド材を使用するには強力な集塵設備などが必要であり、これら設備が十分でない高炉ではコールタール系マッド材を使用することが難しく、発煙や異臭の恐れがないフェノール樹脂系マッド材を使用することが一般的である。
また、マッドガンから出銑孔にマッド材を充填した後、マッドガンと出銑孔は一定時間圧着された状態を維持しており、この時間を圧着時間と称する。この圧着時間内に充填したマッド材が加熱により強度を発現することになる。ここで、発現する強度は充填されたマッド材と出銑孔炉壁との間の強度であり、接着強度と称する。高炉の出銑において、2つの出銑孔を用いて交互に出銑と閉塞を繰り返す交互出銑と呼ばれる操業が一般的であり、圧着時間は通常20〜60分程度であり、圧着中に接着強度が十分発現する。一方、1つの出銑孔を用いて連続して出銑と閉塞を繰り返す連続出銑と呼ばれる操業においては圧着時間が5〜10分程度しか取ることができない場合が多く、マッド材の接着強度を発現させるための加熱時間が短くなってしまう。また、十分な接着強度が発現する前にマッドガンが出銑孔から脱着されてしまうと、出銑孔内に充填されたマッド材が炉内圧力により出銑孔外に吹き戻す自然出銑と呼ばれるトラブルが発生することがある。このため、連続出銑操業など、圧着時間が短い条件で使用されるマッド材には早期に接着強度が発現する特性が求められてきた。
また、出銑孔へマッド材を良好な状態で充填するためには、マッド材の製造時に適切な粘度調整が必要となる。しかし、製造時に粘度調整しても経時的にマッド材の粘度が上昇してしまう場合がある。マッド材の粘度が上昇してしまうと、充填中にマッドガンの圧入能力を超えてしまい、それ以上マッド材を充填することができず、規定量のマッド材を炉内に充填できなくなってしまう可能性がある。このような場合には、出銑孔深度の低下、あるいは炉内の堆積基盤の形成を阻害するため炉底温度の上昇を招き、減風、減産など多大な被害を引き起こしてしまう可能性がある。製造したマッド材を実機で使用するまでの期間は様々であるが、海外輸出製品などにおいては製造から実機で使用されるまでに長期間を有し、製造後3ヵ月後位までは使用可能な状態を保っておく必要があり、従来から粘度の経時変化が小さいマッド材が求められてきた。
発煙や異臭のような作業環境の悪化を伴わないフェノール樹脂系マッド材において、自然出銑などのトラブルを防止するため、早期に接着強度が発現し、また、出銑孔へ良好に充填できる状態を保持するために粘度の経時変化が小さいマッド材が求められてきた。例えば、特許文献1には、耐火性骨材、分散剤及び有機バインダーを含むマッド材において、分散剤がポリエステル酸アマイドアミン塩及び/またはポリエーテルエステル酸アミン塩であることを特徴とするマッド材が開示されており、分散剤として、ポリエステル酸アマイドアミン塩及び/またはポリエーテルエステル酸アミン塩を使用することにより有機バインダー添加量を減少させることが可能であり、その結果、マッド材中に含まれる揮発成分が減少し、早期に強度が発現可能であるとしている。しかしながら、特許文献1に開示されているマッド材では、得られる強度発現の促進効果は極少量であり、自然出銑などのトラブルを完全に解決するまでには至らなかった。
また、フェノール樹脂系マッド材において、早期に接着強度を発現させるために、有機バインダーとして添加されるフェノール樹脂を、レゾール型フェノール樹脂にすることや、ノボラック型フェノール樹脂に硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンなどを添加することが一般的に知られている。しかし、レゾール型フェノール樹脂は、それ自体経時的に粘度が上昇してしまうため、レゾール型フェノール樹脂を有機バインダーとしたマッド材は経時的に粘度が上昇してしまう問題がある。また、ノボラック型樹脂単体では、経時的に粘度が上昇することはないが、ヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤を添加してしまうと、経時的に粘度が上昇してしまうため、硬化剤を添加したノボラック型フェノール樹脂を有機バインダーとしたマッド材は経時的に粘度が上昇してしまう問題がある。
また、マッド材粘度の経時変化を抑制するために、ヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤を添加していないノボラック型フェノール樹脂を有機バインダーとしたマッド材もある。これは、上述のようにノボラック型フェノール樹脂は単体では経時的にその粘度が上昇することがないためである。しかし、硬化剤無添加のノボラック型フェノール樹脂は、接着強度が発現するまでの時間が長く、圧着時間が長く確保できる交互出銑操業などにおいては問題は発生しないが、圧着時間を長く確保できない連続出銑操業などにおいては、自然出銑などのトラブルが発生してしまう可能性がある。このように、ノボラック型フェノール樹脂を有機バインダーとしたマッド材において、ヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤の添加の有無では接着強度の早期発現と粘度の経時変化抑制を両立することができなかった。
特開2013−63883号公報
したがって、本発明の目的は、早期に接着強度を発現することを可能とすると同時に、粘度の経時変化を抑制可能なノボラック型フェノール樹脂を有機バインダーとするマッド材を提供することにある。
上記のように、ノボラック型フェノール樹脂にヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤を添加することにより早期に接着強度を発現させることが可能であるが、一方で経時的に粘度が上昇してしまうという問題がある。また、ヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤を無添加とすると、粘度の経時変化は抑制できるが接着強度が発現するまでの時間が長くなるという問題がある。これら2つの問題を同時に解決するために種々の検討を行った結果、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミンの添加量が同一の場合、通常、マッド材用の有機バインダーとして使用される重量平均分子量500〜2500程度のノボラック型フェノール樹脂の比べ、重量平均分子量が大きい、すなわち、3000〜10000程度のノボラック型フェノール樹脂を使用すると早期に接着強度が発現することがわかった。また、同一の重量平均分子量を有するノボラック型フェノール樹脂を使用した場合には、ヘキサメチレンテトラミンの添加量が少ないほどマッド材の粘度の経時変化が小さくなることがわかった。また、接着強度の発現時間が同等になるように調整した、重量平均分子量3000〜10000程度のノボラック型フェノール樹脂に少量のヘキサメチレンテトラミンを添加したマッド材と、重量平均分子量500〜2500程度のノボラック型フェノール樹脂に多量のヘキサメチレンテトラミンを添加したマッド材を用意し、粘度経時変化を比較した結果、前者の方が粘度経時変化が小さいことがわかった。この結果から、重量平均分子量が3000〜10000程度のノボラック型フェノール樹脂を有機バインダーとし、硬化剤としてのヘキサメチレンテトラミンの配合量を少量、具体的には、ノボラック型フェノール樹脂の配合量に対して外掛けで0.5〜3.0質量%配合とすることにより、接着強度が早期に発現すると共にマッド材の粘度の経時変化を抑制可能なマッド材が得られることを見出した。
なお、本明細書に記載する「ノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量(質量平均分子量と同義)」は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)によって測定したものである。
この結果は以下のような機構によるものだと考えられる。
すなわち、ノボラック型フェノール樹脂は、鎖状分子の集合体であるが、重量平均分子量が大きいとは、この鎖状分子が長くなっていることを示す。そして、この鎖状分子が長いほど鎖状分子同士がより複雑にからみあっているため、一部に反応が起こるだけでも強度が上昇する、つまり早期に接着強度が発現するものだと考えられる。一方、重量平均分子量が小さいと鎖状分子が短く、鎖状分子同士のからみあいが少ないため、接着強度発現までの時間が長くなると考えられる。
また、ヘキサメチレンテトラミンの添加量を減量することで粘度の経時変化が抑制されることについては、ヘキサメチレンテトラミンとノボラック型フェノール樹脂を構成する鎖状分子との接触機会が減少することにより、縮合反応の速度が低下したためだと考えられる。また、ノボラック型フェノール樹脂を使用する耐火物におけるヘキサメチレンテトラミンの添加量は、通常添加されるノボラック型樹脂に対して外掛けで10質量%程度であり、これに比べて本発明のマッド材では、上述のようにヘキサメチレンテトラミンの添加量は、ノボラック型フェノール樹脂に対して外掛けで0.5〜3.0質量%と非常に少ないために、マッド材の粘度の経時変化を抑制できるものと考えられる。
すなわち、本発明は、耐火骨材、有機バインダー及び硬化剤を含有してなるマッド材において、有機バインダーが、重量平均分子量3000〜10000の範囲内にあるノボラック型フェノール樹脂であり、硬化剤がヘキサメチレンテトラミンであり、ヘキサメチレンテトラミンの配合量がノボラック型フェノール樹脂に対して外掛けで0.5〜3.0質量%の範囲内であり、ノボラック型フェノール樹脂の配合量が耐火骨材100質量%に対して外掛けで10〜30質量%の範囲内であることを特徴とするマッド材である。
さらに、本発明のマッド材は、耐火骨材が酸化物耐火原料5〜75質量%、炭素質原料3〜25質量%、炭化珪素質原料5〜50質量%、及び窒化珪素質原料5〜40質量%の配合割合を有することを特徴とする。
本発明によれば、重量平均分子量3000〜10000のノボラック型フェノール樹脂を使用し、また、硬化剤として配合されるヘキサメチレンテトラミン配合量を少量とすることで、マッド材の接着強度が早期に発現し、同時に粘度の経時変化を抑制することが可能となり、良好な閉塞を行うことができるマッド材を提供することができる。
本発明のマッド材は、耐火骨材、有機バインダー及び硬化剤を含有してなるものである。
まず、本発明のマッド材に使用される有機バインダーは、平均重量分子量3000〜10000、好ましくは4000〜8000の範囲内のノボラック型フェノール樹脂である。ノボラック型フェノール樹脂の平均分子量が3000未満の場合、マッド材の接着強度を早期に発現させるために、ヘキサメチレンテトラミンの配合量を、多くする必要があり、これによってマッド材の粘度の経時変化が大きくなってしまうため好ましくない。また、ノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量が10000超の場合、ノボラック型フェノール樹脂の粘度が高すぎるため、適正な粘度のマッド材を得ることができないため好ましくない。
なお、ノボラック型フェノール樹脂の配合量は、通常のマッド材の有機バインダー量の範囲内であれば利用状況に応じて適宜調整可能であり、後述の耐火骨材100質量%に対して外掛けで10〜30質量%の範囲内であり、好ましくは12〜25質量%の範囲内である。ここで、ノボラック型フェノール樹脂の配合量が耐火骨材100質量%に対して外掛けで10質量%未満では、マッド材を出銑孔に充填する際に必要とされる練り土の可塑性が十分に得られないため好ましくなく、一方、30質量%を超えるとマッド材組織がポーラスになり、耐食性が低下してしまうため好ましくない。
また、ノボラック型フェノール樹脂の硬化剤として、ヘキサメチレンテトラミンを配合する。ヘキサメチレンテトラミンの配合量は、ノボラック型フェノール樹脂に対して外掛けで0.5〜3.0質量%の範囲内であり、好ましくは1.0〜2.5質量%の範囲内である。ヘキサメチレンテトラミンの配合量が、ノボラック型フェノール樹脂に対して外掛けで0.5質量%未満の場合、接着強度の早期発現が起こりにくいだけでなく、加熱後のノボラック型フェノール樹脂由来の残炭が低下し、マッド材の焼成後の強度が低下するため好ましくない。特に、1500℃焼成後の強度は出銑中の溶銑滓による磨耗損傷への抵抗性を示しており、磨耗損傷への抵抗性が低過ぎるとマッド材の耐用が低下してしまう。また、ヘキサメチレンテトラミンの配合量がノボラック型フェノール樹脂に対して外掛けで3.0質量%を超えると、マッド材の粘度の経時変化が大きくなってしまうため好ましくない。
次に、本発明のマッド材に使用される耐火骨材は、酸化物耐火原料、炭素質原料、炭化珪素質原料、及び窒化珪素質原料等から構成される。
酸化物耐火原料としては、例えばアルミナ質原料、アルミナ・シリカ質原料、粘土質原料及びシリカ質原料からなる群から選択される1種または2種以上を挙げることができ、更に具体的には、焼結アルミナ、電融アルミナ、バン土頁岩、ボーキサイト、シャモット質原料、ロー石、ムライト、アンダリューサイトなどを挙げることができる。
耐火骨材を構成する酸化物耐火原料は、主骨材を構成し、酸化物耐火原料の配合量は、5〜75質量%、好ましくは30〜65質量%の範囲内である。ここで、酸化物耐火原料の配合量が75質量%を超えると、耐食性が低下するために好ましくなく、また、5質量%未満では、気孔率が高くなる傾向にあるために好ましくない。
また、マッド材の耐火骨材を構成する炭素質原料は、スラグの浸透抑制並びに過焼結抑制を目的に配合されるものであり、炭素質原料の配合量は、3〜25質量%、好ましくは4〜20質量%の範囲内である。炭素質原料の配合量が3質量%未満であると,焼結過多となるために好ましくなく、一方、25質量%を超えると、強度が著しく低下するために好ましくない。なお、炭素質原料としては、黒鉛、土状黒鉛、石炭コークス、石油コークス及びこれらのコークスの粉末、黒鉛電極屑、カーボンブラック、石炭ピッチ、石油ピッチなどが挙げることができる。
さらに、マッド材の耐火骨材を構成する炭化珪素質原料としては、例えば、アチソン法で製造した炭化珪素質原料や、シリカを還元炭化した炭化珪素原料などが使用可能である。炭化珪素質原料は、スラグに対する耐食性向上を目的として配合されるものであり、炭化珪素質原料の配合量は、5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲内である。炭化珪素質原料の配合量が5質量%未満では,耐食性向上の寄与が少ないために好ましくなく、また、50質量%を超えると、溶銑に対する耐食性が著しく低下してしまうため好ましくない。
また、窒化珪素質原料も、炭化珪素質原料と同様に耐食性を向上するために配合される原料であり、例えば、シリカを還元窒化して得た窒化珪素,金属珪素を直接窒化した窒化珪素,フェロシリコンを直接窒化した窒化珪素鉄などが使用可能である。窒化珪素質原料の配合量は、5〜40質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲内である。窒化珪素質原料の配合量が5質量%未満では,耐食性向上に対する十分な効果が得られないために好ましくなく、一方、40質量%を超えると、その効果は飽和してしまい、経済的観点から好ましくない。
なお、本発明のマッド材の耐火骨材には、1種または2種以上の金属粉を配合することもできる。金属粉としては、例えば、金属アルミニウム、金属珪素及び金属アルミニウム・珪素合金を挙げることができる。なお、金属粉を配合する場合、金属粉の配合量は、0.5〜8質量%、好ましくは1〜6質量%の範囲内である。金属粉の配合量が0.5質量%未満では、その配合効果が発現しないために好ましくなく、また、8質量%を超えると、その配合効果が飽和してしまい経済的観点から好ましくない。
また、耐火骨材の粒度範囲は、1.0mm以上の粒子が5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、1.0mm未満75μm超の粒子が5〜45質量%、好ましくは10〜35質量%、75μm以下の粒子が20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%の範囲内である。なお、耐火骨材の粒度は、JIS Z 8801−1;試験用ふるい−第1部:金属製網ふるいを用いて測定したものである。
本発明のマッド材は、上述のような酸化物耐火原料、炭素質原料、炭化珪素質原料、窒化珪素質原料などの耐火骨材をミキサーで混合した後、所定量の有機バインダー及び硬化剤を添加、混練することにより製造することができる。耐火骨材と有機バインダーの混練時間は特に規定されるものではないが、耐火骨材とノボラック型フェノール樹脂が十分に混じり合うことが必要であり、そのための混練時間は、例えば、10分から120分とすることができる。
なお、本発明のマッド材を製造する際に使用できるミキサーとしては、例えば上回りミキサー、アイリッヒミキサー、深井式のコナーミキサーなどが挙げられるが、従来使用されているミキサーであれば特に限定されるものではない。
実施例
以下の表に示す配合割合にて本発明品および比較品のマッド材を調製した。なお、混練には万能混練機を用い、混練時間は20分とした。
Figure 0006497405
Figure 0006497405
表中、
バインダーの配合量は、各マッド材の押し出し荷重が4.2kN程度になるよう調整したものである。ここで、押し出し荷重とは、φ20mmで、長さが20mmの形状のキャピラリーからマッド材を一定速度で押し出した際にかかる荷重であり、高い場合は粘度が高く変形しにくい、低い場合は粘度が低く変形しやすいマッド材であることを意味する。なお、バインダーは重量平均分子量が異なるノボラック型フェノール樹脂を使用した;
マッド材粘度経時変化の測定方法:
マッド材の調製直後の押し出し荷重(A)と、40℃の恒温器に30日間保管した後の押し出し荷重(B)を測定し、粘度の経時変化の度合いは、以下の式のような粘度経時変化指数として評価した。
粘度経時変化指数=(B)/(A)×100
粘度経時変化指数が250を下回っていれば、常温で保管される条件で3ケ月以上は実機において良好に充填が可能であり、200を下回ればより好ましい。一方、粘度経時変化指数が250を上回っている場合は充填不良を起こす可能性がある。なお、粘度経時変化評価において、粘度経時変化指数が200未満を◎、200〜250を〇、250超を×とした;
マッド材硬化時間の測定方法:
調製したマッド材をφ56mm×13mmに成型し、245℃に熱したホットプレート上に置き、サンプル上面の可塑性が完全に失われるまでの時間を測定した。可塑性の有無については金属製のヘラでサンプル上面を押し付けた時に変形が生じるか否かで判定を行った。硬化時間が10分以下であれば、早期に接着強度が発現していると判断でき、圧着時間が短い連続出銑操業などにおいても自然出銑などのトラブルが回避できる。なお、硬化時間評価において、硬化時間が10分以下のものを○、10分超を×とした;
溶銑に対する耐食性:
溶銑に対する耐食性は、高周波誘導炉を用いたサンプル内張り試験にて評価した。還元雰囲気下にて800℃で3時間加熱したマッド材サンプルを、るつぼ形状に組み合わせ、るつぼ内部に侵食剤として銑鉄を20kg投入し、1550〜1600℃で4時間保持した後のマッド材サンプルの溶損容積を測定した。溶損容積を比較品1を100とした指数で示した。耐食性指数(対溶銑)は小さい方が耐食性が優れることを示す。
スラグに対する耐食性:
スラグに対する耐食性は、回転ドラム侵食試験法にて評価した。還元雰囲気下にて800℃で3時間加熱したマッド材サンプルを、ドラム形状に組み合わせ、ドラム内部に侵食剤として高炉スラグを1kg投入し、1550〜1600℃で4時間保持した。侵食剤は1時間毎に入れ替えることとし、試験後のマッド材サンプルの溶損深さを測定した。溶損深さを比較品1を100とした指数で示した。耐食性指数(対スラグは小さい方が耐食性が優れることを示す。
なお、耐食性評価は、溶銑、スラグに対する耐食性の指数が110未満を◎、110以上120未満を○、120以上を×とした。
曲げ強さの測定方法:
調製したマッド材を40×40×160mmの金型に入れ、5.0MPaの圧力で成型し、乾燥機中にて300℃で12時間乾燥した。乾燥後、成型体をコークスブリーズ中に埋没させた状態で1500℃で3時間加熱したものを試験片とし、曲げ強さを測定した。加熱後の曲げ強さが、5MPa以上であれば良好な耐摩耗性があると判定でき、5.5MPaを上回ればより好ましい。なお、試験片の曲げ強さは、JIS R 2553に準じて測定したものである。強度評価において、曲げ強さが5.4MPa以上を◎、5.0MPa以上5.4MPa未満を○、5.0MPa未満を×とした;
練り性状:
練り性状は、人の手による触感判定により評価したものである。なお、混練したマッド材が容易に変形でき、かつ変形時に亀裂が発生しないものを◎、変形がやや困難、もしくは変形時に亀裂がわずかに発生するものを○、変形が困難、もしくは変形時に多数の亀裂が発生するものを×とした。
本発明品1〜5及び比較品1〜3は、は耐火骨材の配合並びにノボラック型フェノール樹脂の種類が同一であり、ヘキサメチレンテトラミンの配合量を変化させたものである。比較品1及び2は、ヘキサメチレンテトラミンの配合量がノボラック型フェノール樹脂の配合量に対して外掛けで0.5質量%未満であり、硬化時間が長かった。比較品3は、ヘキサメチレンテトラミンの配合量がノボラック型フェノール樹脂の配合量に対して外掛けで3.0質量%超となっており、粘度の経時変化が大きかった。これに対して、本発明品1〜5は、ヘキサメチレンテトラミンの配合量がノボラック型フェノール樹脂の配合量に対して外掛けで0.5〜3.0質量%の範囲にあり、硬化時間と粘度の経時変化ともに良好な特性を示し、また耐食性や強度特性などの特性についても問題はなかった。
本発明6〜9、及び比較品4及び5は、耐火骨材の配合並びにノボラック型フェノール樹脂に対するヘキサメチレンテトラミンの配合量は同一であり、配合するノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量を変化させたものである。比較品4は、重量平均分子量が1300のノボラック型フェノール樹脂を配合したものであり、硬化時間が長かった。また、比較品5は、重量平均分子量が12000のノボラック型フェノール樹脂を配合したものであり、ノボラック型フェノール樹脂自体の粘度が非常に高く、混練後のマッド材を適正な粘度に調整することが困難であり、マッド材として実用に供することができないものであった。本発明品6〜9は、重量平均分子量が本発明の範囲内にあるノボラック型フェノール樹脂を配合したものであり、硬化時間や粘度調整に問題はなく、また、粘度の経時変化や耐食性などの特性についても問題はなかった。
本発明品10〜13は、本発明品3と同じノボラック型フェノール樹脂の配合量を種々変化させたものであるが、硬化時間や粘度の経時変化などに問題はなかった。
本発明品14〜16は、耐火骨材の配合を種々変化させたものであるが、硬化時間や粘度の経時変化などに問題はなかった。
比較品6は、特許文献1に開示されているポリエステル酸アマイドアミン塩を比較品1に外掛けで3質量%配合したマッド材である。比較品1に比べてバインダー配合量の削減効果が見られ、硬化時間も短くなっているが、その程度は低く、実機においても早期に強度が発現せず、自然出銑などのトラブルを完全になくすことはできないものと考えられる。

Claims (2)

  1. 耐火骨材、有機バインダー及び硬化剤を含有してなる高炉出銑孔閉塞用マッド材において、有機バインダーが、重量平均分子量3000〜10000の範囲内にあるノボラック型フェノール樹脂であり、硬化剤がヘキサメチレンテトラミンであり、ヘキサメチレンテトラミンの配合量がノボラック型フェノール樹脂に対して外掛けで0.5〜3.0質量%の範囲内であり、ノボラック型フェノール樹脂の配合量が耐火骨材100質量%に対して外掛けで10〜30質量%の範囲内であることを特徴とする高炉出銑孔閉塞用マッド材。
  2. 耐火骨材が酸化物耐火原料5〜75質量%、炭素質原料3〜25質量%、炭化珪素質原料5〜50質量%、及び窒化珪素質原料5〜40質量%の配合割合を有する、請求項1記載の高炉出銑孔閉塞用マッド材。
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