JP5205712B2 - マグネシア−カーボン質耐火物 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼精錬をはじめとする金属精錬や、各種高温溶融物を取り扱う窯炉の内張りに使用される耐火物の一種であるマグネシア−カーボン質耐火物に関する。
マグネシア−カーボン質耐火物は、耐食性および耐スポーリング性に優れることから、鉄鋼精錬、例えば転炉や、溶鋼鍋スラグライン、真空脱ガス炉など二次精錬窯炉の内張り材として広く使用されている。近年、操業条件の過酷化に伴い、より耐用性に優れたマグネシア−カーボン質耐火物が強く求められている。
耐用性の要素としては、耐食性、耐スポーリング性および耐酸化性などが挙げられる。さらに耐火物は長期使用が可能であることを前提として使用されていることから、長期間の繰り返し熱履歴を受ける環境下での組織安定性も、耐用性の要素の一つとして挙げることができる。
マグネシア−カーボン質耐火物に使用されるマグネシア骨材は、成型時の充填性および緻密性をコントロールするために、適当な粒度分布が保たれている。
例えば、特許文献1,2には、マグネシア骨材の粒度構成の変更により耐熱スポーリング性を向上させたマグネシア−カーボン質耐火物が開示されている。
特開平5−155655号公報 特開平6−293557号公報
しかしながら、一般的な耐食性、耐スポーリング性および耐酸化性を向上させたマグネシア−カーボン質耐火物については、特許文献1,2以外にも数多く開示されているものの、長期間高温環境化に曝された耐火物の組織安定性について言及したものは、皆無である。
また、マグネシア−カーボン質耐火物は、実炉での使用時には、長期間の繰り返し熱履歴を受ける環境下に曝される。このような環境下では、マグネシア−カーボン質耐火物の組織劣化が進行しやすく、特に耐食性は、その劣化進行度合に応じて低下する。
従って、本発明は、長期間高温環境下に曝される様な使用環境下において、組織劣化を抑制でき、使用初期の耐食性を維持可能な高耐用性のマグネシア−カーボン質耐火物を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)耐火材が、マグネシア系耐火材と炭素系耐火材とからなるマグネシア−カーボン質耐火物において、80〜97質量部のマグネシア系耐火材と、3〜20質量部の炭素系耐火材とを含んで構成され、前記マグネシア系耐火材80〜97質量部のうち、粒度0.1mm以下の材料の含有率が1質量%以上3.2質量%以下であることを特徴とするマグネシア−カーボン質耐火物。
(2)更に、Al金属、Si金属、及びAl−Mg合金、並びに の少なくともいずれかを含むことを特徴とする(1)に記載のマグネシア−カーボン質耐火物。
(3)1000℃以上の還元雰囲気で3時間焼成した後の動弾性率が18GPa以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のマグネシア−カーボン質耐火物。
(4)下記式〔1〕で示される動弾性率の減衰率が50%以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のマグネシア−カーボン質耐火物。

:1000℃以上で3時間還元焼成した後の動弾性率。
:1500℃以上の高温側での熱処理、および、この熱処理温度よりも500℃以上低い低温側での熱処理を還元雰囲気下にて実施することを熱履歴1回分と定義したときに、この熱履歴を連続的にn(nは2以上の整数)回与えた際の動弾性率(但し、前記熱履歴を連続的にn回与えた際の動弾性率と、前記熱履歴を連続的に(n−1)回与えた際の動弾性率との差の絶対値が、1GPa以下となることを条件とする。)。
本発明のマグネシア−カーボン質耐火物により、長期間の繰り返し熱履歴を受ける使用環境下において、組織安定性に優れ、実炉での使用中、一貫して高耐食性を維持することが可能となった。これにより各窯炉用耐火物ライニングの寿命を延長することができ、耐火物コストを低減することができる。また寿命延長により、耐火物メンテナンス頻度を低減できることから、生産性向上にも寄与できる。
本発明者は、マグネシア−カーボン質耐火物の高耐用化を目的とし、鋭意検討を重ねた結果、実際の製鋼窯炉設備において、操業上生じうる繰り返し熱履歴を受けても、組織劣化を抑制することが可能な、高耐用性マグネシア−カーボン質耐火物を得ることができた。以下に詳細に説明する。
本発明では、長期間高温環境化に曝される様な使用環境下において、組織劣化を抑制するために、マグネシア−カーボン質耐火物の使用中の組織安定性を付与させることを特徴としている。
ここで、組織安定性を阻害する要因としては、耐火物の構成原料であるマグネシア系耐火材と、炭素系耐火材の酸化還元反応(MgO(s)+C(s)→Mg(g)+CO(g))が挙げられる。このようなマグネシアとカーボンの酸化還元反応を抑制するためには、両物質の反応面積を少なくすることが重要である。
一般的に、炭素系耐火材は、通常0.2mm以下の粒度範囲で配合されるのに対し、マグネシア系耐火材料は、通常5.0mm以下の比較的広い粒度範囲で配合されている。このため、マグネシアとカーボンの酸化還元反応速度は、特にマグネシア系耐火材の粒度による影響が大きい。
本発明者は、このことに着目し、マグネシア骨材粒度を変更させる実験を行った。
その結果、マグネシアとカーボンの酸化還元反応は、マグネシア骨材粒度が小さくなるにつれ、指数関数的に反応速度が速くなることが分かった。特に粒度0.1mm以下の材料は、粒度0.1mmを超える材料に対して酸化還元反応速度が著しく大きく、組織劣化への寄与度が大きくなるという知見が得られた。
そこで、本発明者は、マグネシアとカーボンの酸化還元反応が起こりうる反応面積を小さくするために、粒度0.1mm以下のマグネシア系耐火材の配合量を極力少なくすることにより、長期間高温環境下に曝され、かつ熱履歴を受ける様な環境下で使用しても、優れた組織安定性を付与できることを新たに見出した。具体的には、後述の通り、マグネシア系耐火材のうち、粒度0.1mm以下の材料の含有率が7質量%未満であれば、優れた組織安定性を耐火物に付与できることを新たに見出した。
なお、本発明で定義する粒度とは、各種耐火材を構成する材料粉の最大粒径を意味している。
本発明におけるマグネシア系耐火材としては、電融マグネシア、海水マグネシア、天然産マグネシアなどから選ばれる一種または二種以上を使用できるが、これに限定するものではない。純度については本発明の効果に影響するものではないが、含有される不純物による耐食性の悪化を回避するために95質量%以上の高純度のものを使用することが望ましい。
マグネシア系耐火材の配合割合は、80〜97質量部とする。当該配合割合が80質量部未満では熱間強度の低下、および耐食性が悪化する。また、当該配合割合が97質量部を超えると耐スポーリング性の確保が困難となる。
本発明における炭素系耐火材としては、天然の鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、ピッチ粉、メゾフェーズカーボン、無煙炭、カーボンブラックなどから選ばれる一種または二種以上を使用できるが、これに限定するものではない。
炭素系耐火材の配合割合は3〜20質量部とする。当該配合割合が3質量部未満では耐スポーリング性の確保が困難となる。また、当該配合割合が20質量部を超えると、熱間強度の低下、および耐食性が悪化する。
本発明のマグネシア−カーボン質耐火物には、その他成分として、例えば炭素系耐火材
の酸化防止や耐火物の熱間強度付与などの目的で、Al金属、Si金属及びAl−Mg合金、並びに Cを、必要に応じて添加することができる。
上述のように、本発明では、マグネシア系耐火材のうち、粒度0.1mm以下の材料の含有率が7質量%未満である必要がある。当該含有率が7質量%以上では、後述する弾性率の減衰率が大きくなり、耐火物の組織安定性に劣る。また、当該含有率の下限値は、0でも良いが、十分な充填性が得られない可能性があるので、1質量%以上とすることが好ましい。
マグネシア系耐火材を構成する材料粉の粒度の下限値は、特に規定するものではなく、粉砕能力の限界により決定されるものであるが、例えば45μm程度が例示できる。
次に、本発明のマグネシア−カーボン質耐火物の製造方法について説明する。
まず、粒度0.1mm以下の材料の含有率が7質量%未満のマグネシア系耐火材80〜97質量部と、炭素系耐火材3〜20質量部とを混練した後に、成形する。
混練には、バインダーとして、例えばピッチ、タール、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機系結合材を、配合物全体に対して、外掛けで1〜10質量部添加しても良い。
成型は、例えばオイルプレスやフリクションプレスによる一軸成型法や、ラバープレスなどで行なうことができる。
成型後は、100〜800℃程度で加熱処理し、硬化させることにより成型体としての強度を付与することで、本発明のマグネシア−カーボン質耐火物の成形体が得られる。
このようにして得られた成型体は実炉に内張りされ、当該実炉では、成型体中のバインダー起因の揮発分を除去するために、使用前に約1000℃で予熱工程が実施される。この後、実炉にて吹錬等の操業が行なわれる。
実炉での操業中、内張りされた成形体は1500℃以上の高温環境下に曝される。また、耐火物メンテナンスを含む空炉中において、内張りされた成形体は1000℃以下の温度環境下に曝される。このため、内張りされた成形体は、1500℃以上の高温側での熱処理(操業)、および、1000℃以下の低温側での熱処理(空炉)を実施することによる熱履歴を、繰り返し受けることになる。このような熱履歴の繰り返しにより、一般的な耐火物組織は徐々に劣化していく。
次に、本発明のマグネシア−カーボン質耐火物に対して、予熱工程、およびその後の操業と空炉の繰り返しを模擬した実験を行ない、本発明のマグネシア−カーボン質耐火物の組織安定性を、動弾性率を用いて評価した。
まず、予熱工程を模擬した実験について説明する。
通常、実炉では、予熱工程は1000℃以上1400℃以下の温度条件で3時間程度行なわれる。そこで、これを模擬した実験でも、1000℃以上の還元雰囲気で3時間焼成した後の値で代用できることが確認できたため、この条件を採用した。
予熱工程を模擬した実験の温度の上限については特に規定するものではないが、実炉の条件に整合させて1400℃とすることが好ましい。一方、予熱工程を模擬した実験の温度が1000℃未満では、バインダーに使用する樹脂の揮発分の除去、添加金属の変化が途上である上、実炉の予熱工程を模していないので物性評価に適さないため、好ましくない。
また、還元雰囲気としたのは、マグネシア−カーボン質耐火物に含有されるカーボンの酸化を抑制するためであり、Arガス等の非酸化性ガスを用いることができるが、一般的には、隔壁箱中に試験片を入れ、コークスブリーズを充填することで還元雰囲気とするのが通例である。
このようにして、本発明のマグネシア−カーボン質耐火物を1000℃以上の還元雰囲気で3時間焼成し、その後の耐火物の動弾性率を測定したところ、18GPa以下とすることができた。
ここで、予熱工程後の状態のマグネシア−カーボン質耐火物の動弾性率が18GPaを超えると、後述するように、引き続いて繰り返し熱履歴を与えた際の弾性率の減衰率が大きくなり、組織安定性に劣るものとなる。従って、1000℃以上の還元雰囲気で3時間焼成した後の動弾性率が18GPa以下であれば、組織安定性が良好な、高耐用性のマグネシア−カーボン質耐火物であると評価できる。
1000℃以上の還元雰囲気で3時間焼成した後の動弾性率の下限値は、特に規定するものではないが、動弾性率が低いと一般的に見掛け気孔率が高くなり耐食性に劣るため、5GPa以上であることが望ましい。
動弾性率の測定は、共振法あるいは超音波パルス法のどちらでも測定可能である。
動弾性率は、耐火物の焼成または冷却中に起こる内部歪み、機械的性質、不均質組織にもとづく諸物理的性質の変化を敏感に反映するものであり、耐火物組織の経時変化の評価指標として適している。
次に、予熱工程後の操業と空炉の繰り返しを模擬した実験について、説明する。
マグネシア−カーボン質耐火物は、予熱工程に引き続いて操業と空炉の繰り返しによる熱履歴を受けるため、これを模擬した実験を行なうことで、本発明のマグネシア−カーボン質耐火物の組織安定性を評価した。
実炉内に内張りされたマグネシア−カーボン質耐火物は、実炉の操業時では1500℃〜1700℃程度、また、空炉では800℃〜1200℃程度で熱履歴を受けている。そこで、これを模擬した実験でも、1500℃以上の高温側での熱処理、および、この熱処理温度よりも500℃以上低い低温側での熱処理を実施することによる熱履歴を与えることで代用できることが確認できたため、この条件を採用した。すなわち、耐火物の組織安定性を評価するために、還元雰囲気にて、1500℃以上の高温側での熱処理、および、この熱処理温度よりも500℃以上低い低温側での熱処理を実施することによる熱履歴を、連続的に複数回与える実験を行なった。
ここで、熱履歴試験の高温側の温度が1500℃未満の場合、実炉の温度を再現することが困難となる。また、この高温側の温度の上限は特に規定するものではないが、通常の操業条件を考慮すると、1600℃〜1700℃程度である。
また、熱履歴試験の低温側の温度については、上記した高温側の温度との差が500℃未満である場合、空炉の状態を再現することが困難となる。なお、低温側と高温側の温度差の上限は、特に規定するものではないが、通常の操業条件を考慮すると、500℃程度である。
上記した熱履歴を連続的に複数回与えると、動弾性率は減衰し、その傾向は材料毎に異なるが、やがて一定値に収束する。ここで、熱履歴を与える前の動弾性率の値に対して、履歴を連続的に複数回与えて一定値に収束した動弾性率の値が近いほど、耐火物の組織安定性が優れていることになる。
そこで、本発明者は、動弾性率の減衰率を上記式〔1〕の通りに定義し、この値が、50%以下であると、長期間の繰り返し熱履歴に対して、優れた組織安定性を有することを確認した。このような条件を満足することにより、組織劣化が抑制されると共に耐食性の低下を抑制でき、窯炉寿命トータルで一貫して安定した耐食性が得られる。
動弾性率の減衰率が50%を超えると長期間の繰り返し熱履歴に対する組織安定性が劣り、耐食性の悪化を引き起こす。なお、動弾性率の減衰率の下限値は0%を含み、この値が小さいほど組織劣化が軽微であることを示す。
なお、上記式〔1〕を用いる場合、Eが一定値に収束するまで繰り返し熱履歴を与え続け、その動弾性率を評価に用いるのが理想である。しかし、Eが一定値に収束するまで繰り返し熱履歴を与え続けると、場合によっては膨大な回数の熱履歴を繰り返すことになり、コストや時間の効率化の観点から好ましくない。
従って、本発明者の検討によると、熱履歴をn回与えた際の動弾性率と、熱履歴を(n−1)回与えた際の動弾性率との差の絶対値が1GPa以下となれば、Eがほぼ一定値に収束したものとみなしても問題がないことが確認できた。また、このことにより、上記の動弾性率との差の絶対値が1GPa以下となることで、耐火物の組織劣化がこれ以上進行しないと捉えることができる。もちろん、上記の動弾性率との差の絶対値が1GPa以下となった以降に、さらに、熱履歴を与えても構わない。
(I)サンプルの作成
以下に、本発明の一実施例(サンプル1、2)と、参考例(サンプル3、4)と、その比較例(サンプル5〜7)を表1に示す。
表1に示す各サンプルは、原料としてマグネシア系耐火材と炭素系耐火材との配合物に、Al粉またはAl―Mg粉を外掛けで添加し、さらにバインダーとしてフェノール樹脂を外掛けで3質量部添加し、混練、成型、硬化処理(250℃×10時間)を施して得た。
原料組成中のマグネシア系耐火材は、純度98質量%以上の電融マグネシアを使用し、炭素系耐火材は、純度98質量%以上の天然鱗状黒鉛を使用した。
このようにして得られたサンプルを使用し、マグネシア−カーボン質耐火物の長期安定性について調査を行なった。
(II)組織劣化の調査
表1に示す各サンプルから30×30×100mmの試験片を切り出し、炭化珪素質の隔壁箱に入れ、コークス粉末を充填した後、蓋をして電気炉で熱処理を行なった。なお、蓋と隔壁箱の間には、密閉性を高めるためモルタルを塗布した。
マグネシア−カーボン質耐火物を窯炉設備に内張りし、予熱工程を模擬した実験として、表1に示す各サンプルに係るそれぞれの試験片について、1000℃の還元雰囲気下で3時間焼成した。なお、還元雰囲気は試験片を隔壁箱に入れ、コークスブリーズで充填することで得た。
そして、焼成後の表1に示す各サンプルに係る試験片について、室温にて、超音波パルス法により動弾性率を測定した。
また、予熱工程に引き続いて、操業と空炉の繰り返しによる熱履歴を模擬した実験として、表1に示す各サンプルに係るそれぞれの試験片について、700℃〜1500℃の熱履歴を繰り返し与えた。そして、所定熱履歴回数ごとに熱処理を止め、室温にて、超音波パルス法により動弾性率を測定した。
表1に示す各サンプルに係るそれぞれの試験片について、上述の熱履歴を繰り返し30回与えた際の動弾性率と、上述の熱履歴を繰り返し29回与えた際の動弾性率との差が1GPa以内となったため、熱履歴の繰り返し回数は30回で統一した。なお、各試験片の動弾性率が一定の値に収束するまで、上述の熱履歴を与えることが理想的である。
このようにして得た、30回の熱履歴を与えた際の各試験片の動弾性率に基づいて、各試験片の動弾性率の減衰率を上記式〔1〕により算出した。
その結果、表1に示す通り、粒度0.1mm以下の材料の含有率が7質量%未満の電融マグネシアを用いた実施例(サンプル1、2)と参考例(サンプル3、4)では、比較例(サンプル5〜7)と比較して、動弾性率の減衰率が低く、長時間の繰り返し熱履歴による組織劣化が軽微であることが確認できた。
(III)組織劣化による耐食性への影響の調査
表1に示す各サンプルから台形柱状の試験片を切り出し、それぞれについて上記(II)と同様の熱処理を施し、1000℃で3時間還元焼成した状態の各試験片と、700℃から1500℃の熱履歴を繰り返し30回与えた状態の各試験片とを準備した。
この試験片を回転ドラムに装填し、ドラムを回転させながら、酸素:プロパン=4:1の割合の火炎をドラム内に吹き込んで1650℃に加熱した。次に、1650℃に保持したまま塩基度(質量ベースでCaO/SiO)=3.4、トータルFe30質量%のスラグを投入して、30分間侵食試験を行った。その後、スラグを排出し、同じ組成の新たなスラグを投入して同様に侵食試験を行った。このサイクルを10回繰り返した後、試験片を切断して溶損量を測定した。
表1に示す各サンプルについて、700℃から1500℃の熱履歴を繰り返し30回与えた試験片の溶損量を、1000℃で3時間還元焼成した試験片の溶損量で割って溶損量比を得て、この溶損量比により各サンプルの耐食性を評価した。なお、溶損量比が大きいほど、耐火物の組織劣化による耐食性の悪化が顕著であることを意味し、現実には耐火物使用中に耐食性が悪化する傾向が強いということを意味している。
その結果、表1に示す通り、粒度0.1mm以下の材料の含有率が7質量%未満の電融マグネシアを用いた実施例(サンプル1、2)と参考例(サンプル3、4)では、比較例(サンプル5〜7)と比較して、溶損量比が低く、安定した耐食性を示すことが確認できた。
また、上記(II)(III)から、粒度0.1mm以下の材料の含有率が7質量%未満の電融マグネシアの配合割合と、動弾性率の減衰率および溶損量比との関係では、正相関が得られることが確認できた。
そこで、図1に示すように、動弾性率の減衰率と溶損量比の関係を見たところ、やはり正相関が認められることが確認できる。従って、組織安定性が優れるほど、溶損量比が小さく安定的な耐食性を示すことがわかる。
本発明の一実施例における溶損量比に対する動弾性率の減衰率の関係を示した図である。

Claims (4)

  1. 耐火材が、マグネシア系耐火材と炭素系耐火材とからなるマグネシア−カーボン質耐火物において、
    80〜97質量部のマグネシア系耐火材と、3〜20質量部の炭素系耐火材とを含んで構成され、
    前記マグネシア系耐火材80〜97質量部のうち、粒度0.1mm以下の材料の含有率が1質量%以上3.2質量%以下である
    ことを特徴とするマグネシア−カーボン質耐火物。
  2. 更に、Al金属、Si金属、及びAl−Mg合金、並びに の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載のマグネシア−カーボン質耐火物。
  3. 1000℃以上の還元雰囲気で3時間焼成した後の動弾性率が18GPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマグネシア−カーボン質耐火物。
  4. 式〔1〕で示される動弾性率の減衰率が50%以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマグネシア−カーボン質耐火物。
    :1000℃以上で3時間還元焼成した後の動弾性率。
    :1500℃以上の高温側での熱処理、および、この熱処理温度よりも500℃以上低い低温側での熱処理を還元雰囲気下にて実施することを熱履歴1回分と定義したときに、この熱履歴を連続的にn(nは2以上の整数)回与えた際の動弾性率(但し、前記熱履歴を連続的にn回与えた際の動弾性率と、前記熱履歴を連続的に(n−1)回与えた際の動弾性率との差の絶対値が、1GPa以下となることを条件とする。)。
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