JP4470372B2 - 黒鉛含有不定形耐火材料 - Google Patents

黒鉛含有不定形耐火材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性、耐スポーリング性および施工性に優れる黒鉛含有不定形耐火材料に係り、特に、施工耐火物の損傷部位の補修や厚みの薄い薄物耐火物に用いて好適な高炉鋳床樋用黒鉛含有不定形耐火材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、製鉄業で使用される耐火煉瓦としては、転炉用MgO−C煉瓦や連鋳設備用Al23−C煉瓦等の黒鉛含有耐火煉瓦が一般的となっている。こうした傾向は、不定形耐火材料についても同様の変化が起っており、高炉鋳床の主樋用スピネル−Al3−SiC−C系キャスタブル耐火材料や取鍋スラグライン用MgO−C系キャスタブル耐火材料などとして実用化されている。そして、これらの耐火材料の特徴は、耐スラグ浸透性に優れるだけでなく、高熱伝導性ならびに低熱膨張性を有し耐スポーリング性に優れる点にあり、そのために、高炉樋や混銑車、溶銑鍋、転炉、RH脱ガス装置、連続鋳造用ノズルなどの分野において、高耐用性耐火材料として広く使用されている。
【0003】
しかし、これらの黒鉛含有不定形耐火材料は、その中に含まれている黒鉛の種類によって異なる性質を示し、例えば、鱗状黒鉛や薄肉黒鉛は、耐スポーリング性には優れるが、水との濡れ性が悪いため、不定形耐火材料用原料として使用する場合、多量の水と混錬して施工性を確保する必要がある。そのために、施工された耐火物は気孔率が高くなり、耐用性を劣化させてしまうという問題点があった。なお、ここでいう施工性とは、不定形耐火材料を水と混錬したときの流動性を意味しており、該不定形耐火材料を所定の型枠内へ流し込んだり、吹付け材として配管内を吹付けノズルまで輸送するのに必要な特性である。
【0004】
このことから、不定形耐火材料用の黒鉛としては、水との濡れ性の良い人造黒鉛や土状黒鉛を用いることが多いが、一方でこれらの黒鉛は、耐スポーリング性が悪いため不定形耐火材料用原料としてはあまり好ましいものではない。そこで、従来、耐スポーリング性の良好な鱗状黒鉛や薄肉黒鉛を、水との濡れ性の良い材料を混合して用いることにより、不定形耐火材料用原料として使用することが考えられている。
【0005】
例えば、水との濡れ性の良い材料の一つとして、黒鉛を含む煉瓦屑を不定形耐火材料用原料として使用することが考えられる。それは、黒鉛を含む煉瓦屑というのは、酸化物が主体となり、その黒鉛自体もバインダーとして配合された樹脂によって覆われていることが多いため、単味の鱗状黒鉛や薄肉黒鉛ほどには水との濡れ性が悪くはなく、一方で耐スポーリング性もある程度は期待できるからである。
こうした背景の下で、従来、高炉鋳床樋カバー用流し込み耐火材料として、A123−SiC−C系煉瓦屑の1〜30 mmの粒子と黒鉛ならびにピッチとを共に加熱混錬した造粒物を、他の耐火物や結合材と混合したものが提案されている(特許文献1)。この材料は、粒径10 mmを超える煉瓦屑を使用すると共に、ピッチで造粒することにより、水との濡れ性の悪さに起因する施工性の低下を改善したものである。
【0006】
ここで、前記高炉鋳床樋カバーとは、高炉出銑口から排出される溶銑、溶滓を流す樋の上に防熱、防塵のために載置するカバーであり、1500 ℃程度の幅射熱を受けることと、溶銑や溶滓のスプラッシュ等による熱的スポーリング、さらには溶損による損傷を受け易いため、300〜500 mm程度の肉厚で施工するのが普通である。
このような厚みの大きい耐火物を施工するには、粒径が10 mmを超えるような粗骨材を粒径0.1〜10 mm程度の細骨材およびバインダーとなるアルミナセメントなどと混合してなる不定形耐火材料を使用している。この材料は、粗骨材を使用することで、高価なアルミナセメント等の微粉の使用量を減少させることができるので、経済的に有利である。ただし、粒径の大きい上記粗骨材を含有する不定形耐火材料では、最大粗骨材粒径の4〜5倍程度の施工厚さがないと均一な施工ができないと共に、粗骨材が大きくなればなるほど、該粗骨材表面とバインダー等からなるマトリックスとの接着性が悪くなり、強度の低下を招くようになる。その結果、高炉樋の内張り耐火物や、連続鋳造ノズル用耐火物のような、厚みの比較的薄い対象物(耐火物)に対しては使用できないという問題点があった。また、溶銑鍋や混銑車、転炉等であっても、損耗箇所の補修材として不定形耐火材料を施工する場合のように、厚みの薄い箇所が生じるような施工条件で使用できる、耐スポーリング性に優れる不定形耐火材料がなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−80159号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高炉鋳床の主樋メタルライン部への高炉スラグに対する耐食性の付与、あるいは傾注樋敷部への脱珪剤に対する耐食性の付与、とくに均質で耐食性や耐スポーリング性に富み高い耐用性を示すと共に、施工性の良好な高炉鋳床樋用黒鉛含有不定形耐火材料を提供することにある。
【0009】
【発明を解決する手段】
上掲の課題を解決し、上記目的を実現するために、発明者らは、骨材の粒径を種々調整して補修や薄物施工に支障のない不定形耐火物材料を選定すると共に、骨材、耐火物微粉、バインダー等の配合についての研究を行ない、以下に説明するような本発明を開発するに到った。即ち、本発明は細骨材、耐火性微粉、結合材を含み、これらが最大粒径10mm以下に調整されている、高炉鋳床の主樋メタルライン部や傾注樋敷部において用いられる高炉鋳床樋用黒鉛含有不定形耐火材料であって、上記細骨材としては、黒鉛を5〜40質量%含有するAl 2 3 −SiC−C系の煉瓦もしくは不定形耐火物の破砕品を10〜70質量%、および残部として、Al 2 3 とSiC、もしくはスピネルおよびAl 2 3 とSiCからなる前記破砕品以外の骨材が用いられることを特徴とする高炉鋳床樋用黒鉛含有不定形耐火材料である。即ち、本発明は、粗骨材を配合しない耐火材料である。
【0010】
本発明において、前記煉瓦の破砕品としては、廃棄煉瓦または廃棄不定形耐火物の破砕品を用いることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係る不定形耐火材料は、施工特性を改善して補修や肉薄耐火物の施工にも十分に対応できるようにするために、配合原料のうちの骨材成分として、とくに細骨材についてはその最大粒径を10 mm以下とした不定形耐火材料であり、好ましくは0.1〜10 mm、より好ましくは1mm以上10 mm以下の細骨材を用いることを特徴とする。従って、この材料は、不定形耐火材料の配合原料の最大粒径を10 mm以下としたことで、土木用モルタルと同様に、施工性に優れたものとなる共に、全体に均質な材料が得られるようになる。
【0012】
また、本発明に係る不定形耐火材料は、黒鉛を5〜40質量%含有する煉瓦の破砕品(以下、「黒鉛含有煉瓦屑」という。但し、この場合キャスタブル施工耐火物(不定形耐火物)の破砕品を含むものとする)を、細骨材として配合することが必要である。もし、このような煉瓦の破砕品(新品あるいは使用済みの回収煉瓦屑等であってもよい)について、黒鉛の含有量が5質量%未満では、耐スポーリング性改善の効果がなくなる。一方、その含有量が40質量 %を超えると、気孔率が高くなると共に耐酸化性や耐食性が劣り、その結果として、この煉瓦の破砕品を配合してなる不定形耐火材料自体の耐酸化性、耐食性に悪影響が出るので好ましくない。
【0013】
本発明において前記細骨材とは、上述したように、基本的に粒径0.1〜10 mmのものをいうが、好ましくは1〜10 mmのものを用いる。従って、粒径1mm未満で0.074 mm超えのものや粒径0.074 mm以下のものとは一応区別する。
本発明の耐火材料において、粒径を上記のように限定する理由は、10 mmを超えるものでは、流動性が低下し、施工性が悪化する。しかも、施工体中に黒鉛が偏在する度合いが大きく、耐スポーリング性の向上効果が小さいからである。
一方、0.1 mm未満では、施工性が悪化したり、黒鉛含有煉瓦屑中に含まれるAl化合物が水和し、施工体が膨張するなどの問題が起るからである。特に好ましい黒鉛含有煉瓦屑の粒径は、3mm〜8mmである。
【0014】
本発明において、不定形耐火材料への黒鉛含有煉瓦屑の添加量は、10〜70 質量%、好ましくは10〜50 質量%とする。その理由は、10 質量%未満では、耐食性、および耐スポーリング性の向上効果が小さく、一方70 質量%超では、セメントや繋ぎ成分であるペーストが不足して流動性が悪化して緻密な施工体が得られなくなると共に、煉瓦屑の表面から混練水が吸収され、混練水量が増量して、品質管理が困難となるからである。
【0015】
本発明の不定形耐火材料は、黒鉛含有煉瓦屑をあらかじめ他の材料とミキサー等で混合しておいても、現場で混合してもよい。黒鉛含有煉瓦屑、その他のキャスタブル耐火物成分をミキサーで混合した後、水を添加して、さらにミキサーで混合した後、施工部位に流し込み、必要に応じて棒状バイブレータ等で振動を加え、緻密な施工体を施工する。硬化後は、ガスバーナー等により、乾燥、予熱を行う。
【0016】
前記黒鉛含有煉瓦屑としては、黒鉛を含有する煉瓦やキャスタブル耐火物の破砕品であればよく、この不定形耐火物の使途に応じて、スピネル(MgO・Al23)、アルミナ(Al23)、アルミナ−黒鉛、アルミナ−マグネシア−黒鉛、スピネル−アルミナ−SiC−C、アルミナ−SiC−C、マグネシア−Cなどの煉瓦屑等を適宜に選択して使用する。これらの煉瓦屑中に含まれる黒鉛の形態としては、鱗状黒鉛、薄肉黒鉛、人造黒鉛などいずれであってもよく、使用できる黒鉛に特に制約はない。ただし、耐スポール性改善の効果を考えると、好ましい方から薄肉黒鉛>鱗状黒鉛>人造黒鉛の順となる。
【0017】
本発明において用いる上記煉瓦屑としては、トピード煉瓦やSNプレート等の連鋳設備用煉瓦の新品または使用済みの煉瓦、即ち廃棄煉瓦を破砕し分級したもの(破砕品)を使用することが好ましい。それは、廃棄煉瓦には新品煉瓦のようにバインダー等の揮発性分が含まれておらず、環境衛生上の観点において好ましいばかりでなく、経済的な観点からも好適だからである。
【0018】
本発明の不定形耐火材料中に含まれる黒鉛含有煉瓦屑(細骨材)以外の構成物は、以下のものが用いられる。
(1)耐火性を付与するために用いられる原料としては、アルミナ,スピネル,炭化珪素、これらの混合物や化合物の1種以上のものが用いられる。もちろん、その他の天然鉱物や電融品,焼成品,仮焼品などの細骨材を配合してもよい。これらの原料は、基本的には、黒鉛含有煉瓦屑と同じように0.1〜10mm程度の大きさのものが使用される。
(2)また、微粉成分としては、粒径が0.074mm以下の耐火性微粉とカーボンブラック、Si、Al、Al−Si合金等の金属微粉、B4C、SiC等の炭化物微粉、シリカ微粉、アルミナセメント、各種分散剤等の通常の微粉を用いることができる。前記耐火性微粉は、Al23および/またはSiCなどである。好ましい微粉の粒径は、0.0001〜0.074mmである。
流し込み用不定形耐火物の流動性を向上させるためにはさらに、0.1〜10μm程度の粒径を持つアルミナ超微粉(5〜20質量%)またはシリカ超微粉(1〜10質量%)を配合することが好ましい。
(3)上記の細骨材を繋ぎ止めるための原料(結合材)としては、石油系、石炭系のピッチ、アルミナセメント,リン酸塩,珪酸ソーダ,マグネシアセメント,シリカゾル,粘土,アルミナフラワー,シリカフラワー,有機レジンなどを用いることができる。
(4)黒鉛含有煉瓦破砕品の不定形耐火材料への分散特性を改善するために、有機減水剤、有機分散剤等を使用する。水系流し込み材または吹付け材として使用する場合は、ポリカルボン酸系のAE減水剤等を使用する
【0019】
本発明にかかる不定形耐火材料は、前記結合材の選定、その他原料の適宜の配合によって、流し込み材やプラスチック耐火物,吹き付け材などとして使用することができる。流し込み材としては、主として、アルミナセメント,リン酸塩,シリカゾル,粘土,アルミナフラワー,シリカフラワーなどを結合材とし、広範囲に渡って連続的で滑らかな粒度分布になるようにすることで流動性を持たせることが好ましい。プラスチック耐火物としては,粘土やリン酸塩,珪酸ソーダ,有機レジンなどを結合材とし、比較的、微粉の少ない配合とし,施工時に粘土状となる比較的硬い材料に仕上げることが好ましい。そして、吹き付け材としては、流し込み材系またはプラスチック耐火物系の材料を吹き付けしやすいように、低粘度化するなどの修正を行って使用することが好ましい。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例につき説明する。
(試験1)
(a) 混銑車用煉瓦であるアルミナ−15 質量%、鱗状黒鉛−7質量%、残部主として SiCからなる煉瓦を破砕し、その煉瓦破砕品をさらに所定の粒度に調整し、煉瓦屑とした。
(b) カーボンブラック:0.5 質量%、粉末ピッチ:1.5 質量%、ハイアルミナセメント:3質量%、アルミナ超微粉末:12質量 %、アルミナ細骨材:残部からなる不定形耐火材料をベースに、上記煉瓦屑を添加して本発明の不定形耐火材料を作製した。
【0021】
こうして得られた不定形耐火材料に所定量の水を添加して万能ミキサーで混練し、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に準拠してフロー試験を行い、フロー値が180となるようにし、40×40×160 mmの角柱状の試験片、上底60 mm×下底100 mm×高さ40 mmの台形断面の長さ160 mmの溶損試験片、を作製した。24時間養生後、脱枠し、110 ℃で24 時間の乾燥を行った後、角柱試験片は、コークスブリーズ中1400 ℃で3時間保持して焼成を行った。
溶損試験片は、乾燥後、コークスブリーズ中600 ℃で3時間保持して仮焼成した後、試験片8本で坩堝を組み、溶銑および高炉スラグを溶解し、1600 ℃で3時間の溶損試験を行った。試験片の最大溶損部の長さを成型煉瓦(比較例5)の値を100として相対比較した溶損指数とし、耐食性を評価した。溶損指数は数値が大きい方が、溶損が大きいことを意味する。
また、40×40×160 mmの角柱試験片は、Ar雰囲気中、1200 ℃に保持した炉に投入し、15分保持した後、水中に投入し、熱衝撃を与えた。熱衝撃前後の試験片について、弾性率を測定し、熱衝撃前の弾性率に対する熱衝撃後の弾性率の比(以下、残存弾性率E/E0と呼ぶ)によって、耐スポーリング性を評価した。
弾性率の測定はJIS R 1602(ファインセラミックスの弾性率試験方法)に準じて超音波パルス法で行った。
なお、熱衝撃によって内部亀裂が発生すると弾性率が低下するので、残存弾性率が1に近いほど、耐スポーリング性に優れることがわかる。
表1に本発明実施例(発明例)および比較例の評価結果をまとめた。
【0022】
【表1】
Figure 0004470372
【0023】
上記表1に示す結果からわかるように、黒鉛を含有する煉瓦を0.1〜10 mmの粒度に破砕したものを用いることで、発明例1〜8はいずれも成型煉瓦(比較例5)に匹敵するような耐スポーリング性を有する不定形耐火材料が得られている。一方、破砕粒度が10 mmを超えると(比較例1)、不定形耐火材料の均質性に問題を生じ、破砕粒度が大きくなるほど破砕粒とマトリックス部の界面での破壊が起こり易くなり、耐スポーリング性の改善効果も低い。また、施工厚さが十分にないと施工も困難であった。なお、比較例2に示すように、破砕粒(煉瓦屑)が0.1 mm未満のものが多くなると、不定形耐火材料の流動性が損なわれるばかりでなく、煉瓦破砕物ではなく黒鉛材料を添加するのと何ら変りがなくなり、その結果、気孔率が大幅に増加し、耐食性(溶損指数)が悪化した。
【0024】
また、表1に示す結果からは、煉瓦破砕物の添加量は10〜70 質量%がよいことがわかった。即ち、煉瓦破砕物の配合量が、70質量 %を超える(比較例6)と、微粉部分が不足し、その結果気孔率が大きくなるため、溶損指数が極めて大きくなり、耐食性が悪化する。一方、10 質量%未満(比較例3)の場合は残存弾性率が低下して耐スポーリング性が悪化して好ましくない結果となった。
また、破砕用煉瓦の黒鉛含有量は、5〜40 質量%が好ましく、2質量%黒鉛含有煉瓦を使用した場合(比較例4)は、破砕品を70質量 %まで添加しても耐スポーリング性の改良は望めないことがわかった。
【0025】
(試験2)
A123−SiC−C系煉瓦の代表であるトピード煉瓦、SNプレートのそれぞれ新品煉瓦と、使用後回収煉瓦を破砕分級して、煉瓦屑細骨材A〜Fを得た。このうち、煉瓦屑細骨材A〜Dを使用し、表2中の発明例21〜26に示すような配合組成でA123−SiC−C系不定形耐火材料を製造した。
比較例として、煉瓦屑細骨材A〜Fを用いずに、A123、SiC、黒鉛を原料としてA123−SiC−C系不定形耐火材料を製造した(比較例21)。また、煉瓦屑の微粉(煉瓦屑E)を使用した不定形耐火材料、製鋼用耐火材料に一般的に使用されているように、20〜40 mmの煉瓦屑Fを使用した不定形耐火材料を製造した(比較例22、23)。また、煉瓦屑の配合量が本発明のものよりも少ない配合、および多い配合で不定形耐火材料を製造した(比較例24、25)。
【0026】
これらの不定形耐火材料に水を添加し、2分間混練した後、JIS R5201(セメントの物理試験方法)に準拠してフロー試験を行い、フロー値が160±10となるような混水量を求め、親水性の尺度とした。
これら不定形耐火材料を混練後、40×40×160 mmの金型に流し込み成型し、1分間振動させて施工体中に巻き込まれた空気を脱泡した。成形後、1日養生し、110 ℃で24時間乾燥した後、1400 ℃で3時間還元焼成を行って得た焼成体の気孔率を測定した。その後1200 ℃のAr雰囲気にした電気炉内で30分間保持し、水冷した。この処理の前後における弾性率の変化を求め、残存弾性率E/E0を求めた。
【0027】
なお、気孔率の測定は、JIS R2205(耐火煉瓦の見掛け気孔率・吸水率・比重測定方法)の真空法に準じて行った。また、弾性率の測定は、JIS R 1602(ファインセラミックスの弾性率試験方法)に準じて超音波パルス法で行った。さらに、全ての発明例、比較例について、高周波内張り法によるスラグ侵食試験を行った。この試験は、53(78)×厚み35×長さ160 mmの台形柱を成形、乾燥後、800 ℃×3時間還元焼成を行い、得られた焼成体を8本組にして、その中で銑鉄6.8 kgを溶解し、1600 ℃×3時間、脱珪スラグ200 g/時間の侵食を測定した。スラグは1時間毎に入れ替えた。この時、8本の中に必ず比較例21を入れるものとし、溶損指数を試験前後の寸法変化から比較例21を100とした指数として求めた。
【0028】
【表2】
Figure 0004470372
【0029】
その結果、発明例21〜27では、比較例21と比較し、いずれも必要混水量は多くなり、乾燥体の気孔率が大きくなるものの、溶損指数は100未満となり、耐食性は良好となった。また、残存弾性率も、いずれも比較例21より大きくなり、耐スポーリング性が良好である。
【0030】
これに対し、比較例22では、煉瓦屑の微粉を利用しているため、黒鉛と水との接触面積が大きくなり、疎水性が大きくなった。そのため、耐スポーリング性は比較例21よりも良好であるものの、必要混水量が多く、気孔率も発明例21〜27よりかなり大きくなり、耐食性が比較例21より大幅に劣化した。また、比較例23では、粗骨材の耐食性が良好であるため、耐食性は良好であるものの、比較例21と比較して、粗骨材を添加している分、流動性が低下して必要混水量が多くなった。また、煉瓦屑の粒径が大きく黒鉛が施工体中に均一に分散しないため、煉瓦屑の添加量がほぼ同等の発明例21と比較して、スポーリング指数が小さく、耐スポーリング性の向上効果は小さい。比較例24では、煉瓦屑の添加量が少ないため、耐食性、耐スポーリング性は煉瓦屑を添加しない比較例21とほとんど変わらない。比較例25では、煉瓦屑の添加量が多く、必要混水量が多くなり、気孔率も大きくなって、耐食性は比較例21よりも大きく悪化した。しかしながら、耐スポーリング性は向上した。
【0031】
(試験3)
A123−SiC−C系煉瓦の代表であるトピード煉瓦、SNプレートのそれぞれ新品煉瓦、使用後回収煉瓦を破砕、分級して、煉瓦屑骨材A〜Fを得た。このうち、煉瓦屑骨材A〜Dを使用し、表3中の発明例31〜36に示すような配合組成でスピネル−A123−SiC−C系不定形耐火材料を製造した。
比較例として、煉瓦屑骨材A〜Fを用いずに、スピネル−A123−SiC−C系不定形耐火材料を製造した(比較例31)。また、煉瓦屑の微粉(煉瓦屑E)を使用した不定形耐火材料、製鋼用耐火材料に一般的に使用されているように、20〜40 mmの煉瓦屑Fを使用した不定形耐火材料を製造した(比較例32、33)。また、煉瓦屑の配合量が本発明より少ない配合、及び多い配合で不定形耐火材料を製造した(比較例34、35)。
【0032】
これらの不定形耐火材料に水を添加し、2分間混練した後、JIS R5201(セメントの物理試験方法)に準拠してフロー試験を行い、フロー値が160±10となるような混水量を求め、親水性の尺度とした。
これら不定形耐火物を混練後、40×40×160 mmの金型に流し込み成形し、1分間振動させて施工体中に巻き込まれた空気を脱泡した。成形後、1日養生し、110 ℃で24時間乾燥し、その後、1400 ℃で3時間還元焼成を行って得た焼成体の気孔率を測定するとともに、1200 ℃のAr雰囲気にした電気炉内で30分間保持し、水冷した。そして、この処理の前後における弾性率の変化を求め、熱衝撃に対する抵抗(耐スポーリング性)の目安として、残存弾性率(=(処理後の弾性率÷処理前の弾性率))を計算した。なお、気孔率の測定はJIS R 2205(耐火煉瓦の見掛け気孔率・吸水率・比重測定方法)の真空法に準じて行った。また、弾性率の測定は、JIS R 1602(ファインセラミックスの弾性率試験方法)に準じて超音波パルス法で行った。さらに、全発明例、比較例について、高周波内張り法によるスラグ侵食試験を行った。この試験は、53(78)×厚み35×長さ160 mmの台形柱を成形、乾燥後、800 ℃×3時間還元焼成を行った。得られた焼成体を8本組にして、その中で銑鉄6.8 kgを溶解し、1600 ℃×3時間、水砕スラグ200 g/時間の侵食実験を行った。スラグは1時間毎に入れ替えた。この時、8本の中に必ず比較例31を入れるものとし、溶損指数を試験前後の寸法変化から比較例31を100とした指数として求めた。
【0033】
【表3】
Figure 0004470372
【0034】
上記各試験の結果、発明例31〜36は、いずれも、比較例31と比較し、必要混水量は多くなり、乾燥体の気孔率が大きくなるものの、溶損指数は100前後となり、耐食性は煉瓦屑を添加していない比較例31と同レベルのまま維持される。また、残存弾性率は、煉瓦屑中の黒鉛の添加効果によりいずれも比較例31より大きくなり、耐スポーリング性が良好であった。
【0035】
これに対し、比較例32では、煉瓦屑の微粉を利用しているため、黒鉛と水との接触面積が大きくなり、疎水性が大きくなった。そのため、耐スポーリング性は比較例31よりも良好であるものの、必要混水量が多く、気孔率も発明例31〜36よりかなり大きくなり、耐食性が比較例31より劣化した。比較例33では、比較例31と比較して、粗骨材を添加している分、流動性が低下して必要混水量が多くなった。また、粗骨材の耐食性が良好でないため、耐食性が劣化した。比較例34では、煉瓦屑(細骨材)の添加量が少ないため、耐食性、耐スポーリング性は煉瓦屑を添加しない比較例31とほとんど変わらない。比較例35では、煉瓦屑の添加量が多く、その分必要混水量が多くなり、気孔率も大きくなる上、煉瓦屑の耐食性が良好でないため耐食性は比較例31、発明例31〜36と比較して良いとは言えない。しかしながら、耐スポーリング性は向上した。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明に明らかなとおり、本発明の不定形耐火材料は、煉瓦屑中の、黒鉛の作用により耐スポーリング性が良好になると共に、耐食性のよくない煉瓦屑を破砕して使うことにより、耐食性の維持が可能になり、しかも細骨材を中心として配合しているので、厚みの薄い耐火物の施工や、耐火物の損傷部位の補修のように、肉薄施工の場合にも好適に用いられ、このような場合であっても、均質で耐食性や耐スポーリング性ならびに施工性が良好である共に、高耐久型の耐火物施工を実現することができる。

Claims (2)

  1. 細骨材、耐火性微粉、結合材を含み、これらが最大粒径10mm以下に調整されている、高炉鋳床の主樋メタルライン部や傾注樋敷部において用いられる高炉鋳床樋用黒鉛含有不定形耐火材料であって、上記細骨材としては、黒鉛を5〜40質量%含有するAl 2 3 −SiC−C系の煉瓦もしくは不定形耐火物の破砕品を10〜70質量%、および残部として、Al 2 3 とSiC、もしくはスピネルおよびAl 2 3 とSiCからなる前記破砕品以外の骨材が用いられることを特徴とする高炉鋳床樋用黒鉛含有不定形耐火材料。
  2. 前記煉瓦の破砕品として廃棄煉瓦または廃棄不定形耐火物の破砕品を用いること特徴とする請求項1に記載の黒鉛含有不定形耐火材料。
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