JPH08175875A

JPH08175875A - キャスタブル耐火物

Info

Publication number: JPH08175875A
Application number: JP6338200A
Authority: JP
Inventors: Toshihide Yumoto; 俊秀湯元; Mitsuteru Aoyama; 光輝青山
Original assignee: Kawasaki Refractories Co Ltd
Current assignee: JFE Refractories Corp
Priority date: 1994-12-26
Filing date: 1994-12-26
Publication date: 1996-07-09

Abstract

(57)【要約】【目的】流し込み施工時の作業性の低下を招くことな
く、亀裂の発生の少ない施工体を形成することが可能な
キャスタブル耐火物を提供する。【構成】アルミナセメントの使用量を２〜８重量％と
し、ムライト球状粒子を３〜２７重量％の割合で配合す
る。また、ムライト球状粒子として、粒度が１mm以下の
ものを用いる。さらに、ムライト球状粒子として、Ａｌ
₂Ｏ₃：６０重量％以上、ＳｉＯ₂：４０重量％以下の組
成を有するものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はキャスタブル耐火物に関
し、詳しくは、転炉や取鍋のライニング、溶銑予備処理
の被覆などに用いるのに適した、アルミナセメントを結
合材として用いるキャスタブル耐火物に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
転炉や取鍋のライニング、溶銑予備処理の被覆などに用
いられるキャスタブル耐火物の寿命は、施工体の耐溶損
性、耐スポーリング性、及び亀裂を抑制する能力（以下
「亀裂抑制力」という）のいかんによって決定されるこ
とが多い。

【０００３】従来、耐溶損性を向上させる方法として
は、各種の異質原料の複合使用により低融点物質の生成
を抑制する方法がとられている。

【０００４】また、耐スポーリング性を向上させる方法
としては、有機繊維などを添加する方法が用いられてい
る。

【０００５】さらに、亀裂を抑制するための方法として
は、金属ファイバーを例えば１〜３重量％の割合で添加
して亀裂の進展を防止する方法がとられている。

【０００６】しかし、金属ファイバーは、亀裂の進展を
抑制、防止する働きをするが、亀裂発生の初期における
抑制力を増大させる、すなわち、亀裂の発生自体を抑制
する働きをするものではないため、亀裂の進展を必ずし
も十分に抑制、防止することができないのが実情であ
る。

【０００７】それゆえ、亀裂の発生をより効果的に抑制
して施工体の寿命を延すためには、亀裂の発生自体を抑
制、防止することが必要になる。

【０００８】ところで、亀裂を抑制する能力（亀裂抑制
力）は、熱衝撃抵抗係数（耐火物が急熱・急冷される際
に発生する熱応力に耐えて亀裂が発生しない耐用度を表
す係数）と密接に関係するものであり、焼成時の弾性率
を低下させ、熱衝撃抵抗係数を増大させて強度を向上さ
せることにより亀裂抑制力を増大させることが可能にな
る。

【０００９】しかしながら、流し込み施工法によりその
施工が行われるキャスタブル耐火物においては、亀裂抑
制力の向上のみを追及した場合には、流し込み施工時の
作業性が低下するという問題点がある。

【００１０】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、流し込み施工時の作業性の低下を招くことなく、亀
裂の発生の少ない施工体を形成することが可能なキャス
タブル耐火物を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、発明者等は、種々の実験、検討を行い、ムライト球
状粒子を配合することにより、流し込み施工時の流動
性、充填性に優れ、耐熱衝撃性が大きく、亀裂の発生し
にくいキャスタブル耐火物が得られることを知り、さら
に実験、検討を行って発明を完成した。

【００１２】すなわち、本発明のキャスタブル耐火物
は、アルミナセメントを結合材として用いるキャスタブ
ル耐火物において、アルミナセメント２〜８重量％と、
ムライト球状粒子３〜２７重量％とを含有することを特
徴としている。

【００１３】また、本発明のキャスタブル耐火物は、前
記ムライト球状粒子の粒度が１mm以下であることを特徴
としている。

【００１４】さらに、前記ムライト球状粒子がＡｌ
₂Ｏ₃：６０重量％以上、ＳｉＯ₂：４０重量％以下の組
成を有するものであることを特徴としている。

【００１５】本発明のキャスタブル耐火物において用い
られるムライト球状粒子は、耐火度が高い（１８２５℃）、硬度が高く、機械的衝撃や熱衝撃に強い、熱膨張係数が小さく、安定している、球状であるため、流動性、充填性に優れているなどの特徴を有している。

【００１６】本発明のキャスタブル耐火物においては、
このムライト球状粒子を配合することにより、流動性が
向上して流し込み施工時の作業性が改善されるととも
に、焼成時の弾性率が低下し、強度が増大することによ
り、熱衝撃抵抗係数が大きくなって亀裂抑制力が増大す
る。そして、その結果として、亀裂の発生自体が抑制さ
れ、施工体の耐用性が向上する。

【００１７】なお、本発明のキャスタブル耐火物におい
て、アルミナセメント量は、２〜８重量％の範囲とする
ことが好ましいが、これは、アルミナセメント量が２重
量％未満になると骨材間の結合力が弱まり、粗粒と微粉
が分離して施工体にばらつきを生じ、一定の品質が得ら
れなくなること、８重量％を越えると骨材間の粘性が大
きくなり、硬めの配合となるため、施工時の充填性が悪
くなり、品質に悪影響を及ぼすことによる。

【００１８】また、本発明のキャスタブル耐火物におい
て、ムライト球状粒子の配合割合は、３〜２７重量％の
範囲とすることが好ましいが、これは、ムライト球状粒
子が３重量％未満になるとムライト球状粒子を添加しな
い場合よりは作業性が改善されるものの目標とするフロ
ー値を満足せず、また、２７重量％を越えるとムライト
球状粒子をこれ以上添加しても作業性改善の効果がそれ
ほど向上しなくなることによる。

【００１９】また、ムライト球状粒子としては、粒度が
１mm以下のものを用いることが好ましいが、これは、粒
度が１mm以上のムライト球状粒子を使用すると、粗粒に
Ａｌ2Ｏ₃量が少なく、ＳｉＯ₂量が多い化学組成となる
ため、使用時におけるガラス化が著しく、寿命が低下す
ることによる。

【００２０】また、ムライト球状粒子としては、Ａｌ₂
Ｏ₃：６０重量％以上、ＳｉＯ₂：４０重量％以下の組成
を有するものを用いることが好ましいが、これは、組成
がこの範囲を外れるものを使用すると、Ａｌ₂Ｏ₃量が低
下すると耐火度が下がるために寿命に影響を及ぼすこと
による。

【００２１】なお、キャスタブル耐火物の施工体におい
て、亀裂の発生を避けられない場合の熱衝撃抵抗係数
（損傷抵抗係数）Ｒは、通常、式(1)により表される。Ｒ＝｛ｒ／（Ｅ・α²）｝^1/2 ……(1) ｒ：破壊エネルギーＥ：弾性率 α：線膨張係数

【００２２】

【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに示し
て、発明の特徴をさらに詳しく説明する。

【００２３】この実施例においては、表１，２に示すよ
うな配合割合で、アルミナセメント、アルミナ、マグネ
シア微粉、ムライト非球状粒子、ムライト球状粒子、金
属ファイバー、表面活性剤、硬化遅延剤、添加水などを
配合し、得られた各配合組成物５kgを万能ミキサーで混
練した。なお、添加水量は、各材料を混練することが可
能な最小量とした。

【００２４】

【表１】

【００２５】

【表２】

【００２６】なお、表１，２において、試料番号に*印
を付したものは、本発明の範囲外の比較例である。

【００２７】それから、上記混練物を型に注入して４０
mm×４０mm×１６０mmの成形体を各配合ごとに３本製作
し、型から取り出した後、１１０℃×２４ｈの乾燥を行
った。それから、電気炉で１５００℃×３ｈの焼成を行
うことにより焼成体を得た。そして、この焼成体を試料
として、各物性を測定した。その結果を表１，２に併せ
て示す。

【００２８】表１，２に示すように、各試料は、そのア
ルミナセメント添加量によってそれぞれ流動性が異なっ
ているが、振動フロー値が１３０以上の範囲を一応流し
込み可能な範囲と考えることができる。

【００２９】また、表１，２の振動フロー値は、１．３
Ｇ×１minの条件で振動させた場合の、最長流動径とそ
の直角方向の径の平均値である。

【００３０】なお、表１，２の物性値は、それぞれ３本
の試料について測定した値の平均値である。

【００３１】また、熱損傷抵抗係数は、１５００℃のデ
ータに基づいて、前述の式(1)により求めた値である。

【００３２】なお、熱損傷抵抗係数を求めるのに必要な
線膨張係数としては、１５００℃と１１０℃の線変化率
の差を温度差で除した値を用い、破壊エネルギーは、曲
げ強さの値を用いた。

【００３３】これらの試験の結果、表１の試料番号１〜
６（比較例）のように、ムライト球状粒子の使用量が本
発明の範囲内にある場合にも、アルミナセメント量が本
発明の範囲からはずれた場合には、施工が困難あるいは
不可能になる。すなわち、アルミナセメント量が１重量
％の場合（試料番号１〜３）には、混練、施工時に分離
状態となり、また、アルミナセメント量が９重量％以上
の場合（試料番号４〜６）には、施工不可能になる。

【００３４】また、表１，２に示すように、アルミナセ
メント量が本発明の範囲内にある場合（試料番号７，１
１，１２，１６，１７，２１（比較例））にも、ムライ
ト球状粒子の使用量が本発明の範囲から外れた場合に
は、弾性率が増大して損傷抵抗係数が小さくなり、亀裂
抑制力が不十分になる。

【００３５】これに対して、試料番号８〜１０，１３〜
１５，１８〜２０のように、アルミナセメント及びムラ
イト球状粒子の使用量が本発明の範囲内にある実施例の
場合には、良好な施工性が確保されるとともに、損傷抵
抗係数が大きくなり、良好な亀裂抑制力が得られる。

【００３６】このように、キャスタブル耐火物に使用す
るアルミナセメントの使用量を２〜８重量％とし、か
つ、ムライト球状粒子を３〜２７重量％の割合で配合す
ることにより、作業性を改善することが可能になるとと
もに、亀裂抑制力を向上させることが可能になる。

【００３７】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、耐火骨材の種類や粒度、金属ファイバー
の配合割合、あるいはその他の微量添加物の添加の有無
や添加量などに関し、発明の要旨の範囲内において種々
の応用、変形を加えることが可能である。

【００３８】

【発明の効果】上述のように、本発明のキャスタブル耐
火物は、アルミナセメントの使用量を２〜８重量％と
し、かつ、ムライト球状粒子を３〜２７重量％の割合で
配合するようにしているので、施工時の流動性を向上さ
せ、作業性を向上させることができる。

【００３９】また、低温域から高温域までの線変化率が
安定するとともに損傷抵抗係数が増大するため、亀裂抑
制力が増加し、施工体の寿命を延すことが可能になる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】アルミナセメントを結合材として用いる
キャスタブル耐火物において、アルミナセメント２〜８重量％と、ムライト球状粒子３
〜２７重量％とを含有することを特徴とするキャスタブ
ル耐火物。
【請求項２】前記ムライト球状粒子の粒度が１mm以下
であることを特徴とするキャスタブル耐火物。
【請求項３】前記ムライト球状粒子がＡｌ₂Ｏ₃：６０
重量％以上、ＳｉＯ2：４０重量％以下の組成を有する
ものであることを特徴とする請求項１又は２記載のキャ
スタブル耐火物。