JP3088096B2 - 高耐食性アルミナ−クロム系耐火物 - Google Patents

高耐食性アルミナ−クロム系耐火物

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JP3088096B2
JP3088096B2 JP09358490A JP35849097A JP3088096B2 JP 3088096 B2 JP3088096 B2 JP 3088096B2 JP 09358490 A JP09358490 A JP 09358490A JP 35849097 A JP35849097 A JP 35849097A JP 3088096 B2 JP3088096 B2 JP 3088096B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高耐食性アルミナ
−クロム系耐火物、とくに、都市塵、土木及び建築廃
材、産業廃棄物の溶融処理炉の内張り用耐火物に適した
アルミナ−クロム系耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塵及び廃材の焼却炉では、耐食性
を狙って高アルミナ質耐火物が、また難付着性と高耐食
性を狙って炭化珪素質耐火物が採用されてきた。
【0003】しかしながら、溶融炉では、焼却炉に比し
て格段に処理温度が高くなるなど処理条件が厳しい上
に、溶融物の後処理用に付設する水中投入装置による水
蒸気の発生のため、一般的にアルミナ成分が90重量%
以上の純度を高めた高アルミナ質耐火物が採用されてき
ている。しかしアルミナ成分が90重量%以上の高アル
ミナ質耐火物を使用してもなお、溶損が大きく耐用性は
不十分であった。
【0004】塵溶融炉では処理温度が高いこと、水蒸気
の影響を受けることなどから、塵焼却炉で使用されてい
た高アルミナ質耐火物では十分な耐食性を得ることがで
きず、また耐スポーリング性の向上も必要とされ、単純
にSiO2成分を減らしてアルミナ純度を上げただけで
は十分な耐食性を得ることができないだけでなく、耐ス
ポーリング性も不十分である。
【0005】この対策として、耐食性を向上させる目的
でクロム成分を添加することが多く提案されており、例
えば、特公昭57−32031号公報にはクロム成分を
クロム鉱粉末の形で配合したものが開示されているが、
クロム鉱粉末が30重量%以上と多量に使用するため必
然的に鉄分が過剰となって耐スポーリング性が低下し、
耐食性もクロム成分の割には向上していない。
【0006】また、特公昭60−59189号公報に開
示されているクロム成分を含有したアルミナ−クロム系
耐火物は、気孔率が3%以下であり、また粒径74μm
以下の粉末で構成されており、耐スポーリング性に劣
る。
【0007】また、特開昭61−10055号公報に記
載のものは、クロム成分量が45〜85重量%と多量で
あり、また高アルミナ質骨材が使用されていないため耐
スポーリング性は期待できない。
【0008】さらに、特公平2−40017号公報に
は、電鋳耐火物が開示されているが、巣の部分を除けば
気孔率が極端に低いため一般的な焼成耐火物に比較して
耐スポーリング性が劣っている。
【0009】さらには、特公平3−64467号公報に
は、同様に粒径200μm以下の粉末で構成されたもの
が開示されているが、耐スポーリング性に劣るという欠
点がある。
【0010】また、Journal of Canad
ian Ceramic Society Volum
e 45、1976 頁21−22には、ガラス炉用耐
火物として焼成アルミナ−クロムれんがが示されている
が、これは、SiO2成分が0.5重量%と少なすぎて
耐スポーリング性に劣る。
【0011】耐食性を上げる手段として、クロム成分を
添加したアルミナ−クロム系耐火物が種々検討されてき
たが、溶融炉への適用条件下で耐食性の向上を求めた場
合、逆に耐スポーリング性が損なわれてしまい、結果と
して十分な耐用性を発揮することができずにいた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、耐食性に優れたアルミナ−クロム系耐火物
において、その耐食性を損なうことなく、耐スポーリン
グ性を向上させることにあって、とくに、塵及び産業廃
棄物の溶融炉に適した内張耐火物を得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルミナ−ク
ロム系耐火物において、適正な粒度範囲のアルミナ系粉
末を使用し、クロム成分を酸化クロムの形で添加するこ
とによって、耐食性を確保し、耐スポーリング性を向上
できることに着眼して完成した。
【0014】すなわち、本発明は、0.21mm以上の
粒径を有する粉末粒子を50%以上含み、且つ、TiO
2を0.5〜3重量%、SiO2を0.5〜5重量%含有
する焼結クロム粉末を5〜40重量%と、酸化クロムが
2〜20重量%と、0.21mm以上の粒径分布が50
%以上でありかつSiO2を18〜42重量%含有する
高アルミナ粉末が5〜25重量%と、粒径が0.lmm
以下の粘土、シリカ、ジルコンの1種または2種以上の
粉末を1〜8重量%とを含有し、残部が実質的にアルミ
ナ粉末からなる高耐食性アルミナ−クロム系耐火物であ
る。
【0015】本発明のアルミナ−クロム系耐火物におい
ては、耐食性を向上させるためにクロム成分が必須とさ
れているが、クロム成分をクロム鉱の形で添加すると必
然的に鉄分が含まれ、その添加量が増えるに従って耐ス
ポーリング性が低下し、クロム成分量の割合ほどには耐
食性は向上しない。したがってクロム成分は酸化クロム
主体の形で添加しなければならない。
【0016】しかしながら、酸化クロムは粉末であるた
め酸化クロムの添加だけでは、マトリックス部分の耐食
性しか強化されず、耐火物全体としては耐食性が不足す
る。このため骨材部分の耐食性強化のために焼結クロム
粒の添加が必要となる。
【0017】焼結クロムは、その粒径分布において粒径
0.21mm以上の粒が50%以上存在しなければ骨材
部分の耐食性強化の効果が少なく、かつ粒内部にTiO
2、SiO2が適正量含有されていないと溶融物の浸入に
よって粒の崩壊が起こり十分な耐食性が発揮されない。
【0018】また逆にTiO2、SiO2の量が多すぎる
と焼結クロム粒そのものの耐食性が劣ってしまう。Ti
2の適正量は0.5〜3重量%で有り、SiO2の適正
量は0.5〜5重量%である。焼結クロム自体の適正添
加量は5〜40重量%で有り5%より少なければ骨材で
の耐食性強化が生じなく、40%を越えると耐スポーリ
ング性が低下する。
【0019】焼結クロムの粒径のトップサイズは、3m
m程度が好ましく、0.21mm以上の粒径分布は50
%以上が必要であるが、その量は多ければ多い程骨材部
分の耐食性強化の効果が得られる。
【0020】酸化クロムの添加は、マトリックス部分の
耐食性向上に効果があり、その適正添加量は2〜20重
量%である。酸化クロムはその粒度が非常に細かい粉末
であるために、その添加量が必要以上に多くなると、ア
イソスタティックプレス等の特殊な成形機または生産性
に劣る鋳込み成形以外では歩留まり上の問題を生じさせ
ることなく成形することができない。また酸化クロムの
添加量を必要以上に増やすことは逆に耐食性向上効果が
伴わず、単にコストアップの原因となるだけである。
【0021】0.21mm以上の粒径分布が50%以上
でありかつSiO2を18〜42重量%を含有する高ア
ルミナ粉末は、中粒域の骨材に耐スポーリング性を付与
することができ、その適正添加量は5〜25重量%であ
る。
【0022】高アルミナ粉末の粒径のトップサイズは、
lmm程度が好ましく、0.21mm以上の粒径分布
は、多ければ多いほど好ましい。
【0023】高アルミナ粉末を必要量以上に添加すると
SiO2成分が過剰となって耐食性は低下する。また添
加量が少なければ耐スポーリング性の付与効果が現れな
い。高アルミナ粉末中のSiO2含有量が少なすぎると
耐火物骨材部分の熱膨張率の低下が小さく耐スポーリン
グ性付与効果が小さく、多すぎると骨材部分の耐食性の
低下が大きくなる。
【0024】粘土、シリカ、ジルコン等の微粉は、塵及
び廃棄物からの溶融物の粘性を高める働きがあり、溶融
物が耐火物中に深く浸潤するのを防止するために必要で
あり、したがって溶融物との反応性からその粒径は0.
lmm以下の微粉であることが好ましい。粘土、シリ
カ、ジルコンの1種または2種以上の適正添加量は、1
〜8重量%である。添加量が多くなり過ぎるとマトリッ
クス中のSiO2成分が過剰となって耐食性の低下が大
きくなり、添加量が少ないと耐浸潤性が低下し構造スポ
ーリングを起こしやすくなり、使用中に稼働面に平行な
亀裂の発生または剥離の可能性が増大する。この微粉の
配合については、粉末の形での添加だけでなく、スリッ
プ状もしくはスリップ十粉末の形での添加が可能であ
る。もちろん低水量でスリップになる粘土は限定される
し、スリップにする時の解膠材によるアルカリ分の増加
に注意すればよい。
【0025】本発明のアルミナ−クロム系耐火物の耐ス
ポーリング性をさらに向上させるためには、高アルミナ
粉末の一部もしくは全部をアルミナ−ジルコニア−シリ
カ系粉末によって置換することが可能である。その置換
量は、コストと耐スポーリング性向上効果、及び耐浸食
性の確保の程度により決められ全配合量の5〜25重量
%の範囲であることが好ましい。
【0026】アルミナ−ジルコニア−シリカ系粉末中の
ZrO2含有量が多いとジルコニアの変態に伴う粒子の
残存膨張性が強くなりれんがの焼成中の組織崩壊、使用
中のれんがの競り割れの原因となる。少ないとジルコニ
アの変態の影響が小さくなり耐スポーリング性の付与効
果が不足し、耐スポーリング性が不十分となる。ZrO
2成分の適正含有量は、15〜45重量%である。Si
2含有量が多くなると耐食性が低下し、少ないと耐ス
ポーリング性が低下する。SiO2成分の適正含有量
は、7〜30重量%である。
【0027】酸化クロムの代わりにコストダウンを目的
に少量で有ればクロム鉱を使用することは可能である
が、置換量が多すぎると鉄分が過剰となって耐スポーリ
ング性、および耐食性が低下する。酸化クロムとクロム
鉱の併用時であっても酸化クロムの使用量が2重量%よ
り少なければ耐食性が低下する。クロム鉱の置換許容量
は、全体配合から見て5重量%以下である。
【0028】本発明の配合物の成形方法については、オ
イルプレス、フリクシヨンプレス、ランマープレス、鋳
込み成形、CIP等を成形個数、形状、能率を考えて適
宜選択すればよい。
【0029】成形圧についても、成形能率、成形体の品
質を考慮して適宜選択すればよい。本発明の耐火物の焼
成温度は、1350〜1650℃であることが好まし
い。焼成温度が低すぎると焼結性不足で耐食性が低下す
る。焼成温度が高すぎると焼結過多で耐スポーリング性
が低下する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、表1から表8に示す実施例
によって本発明の具体的な実施の形態を説明する。
【0031】各表に示す配合物を混練し、230mm×
100mm×65mmの並型類似形状をオイルプレスを
用いて成形圧2トン/cm2で成形し、乾燥後、特に指
定のない場合は1450℃で焼成した。
【0032】侵食試験は、LPGと空気によるバーナ一
加熱の横型回転侵食試験装置を使用して、C/S=0.
4、Fe23=8.5、アルカリ分=8.5%の塵焼却
灰溶融物想定スラグを投入し、1600℃×30分毎に
スラグを取り替えて合計30cy.で実施した。
【0033】比較例1に示すれんがを標準品として、そ
の溶損量を100として溶損指数を求めた。溶損指数が
小さいほど耐食性が良好である。
【0034】 溶損指数=(対象品溶損量/標準品溶損量)×100 スポーリングテストは、60mm×60mm×60mm
のサンプルを切り出して、1300℃で15分急熱後直
ちに5分水冷後、10分空冷をlcy.として最多30
cy.繰り返した。剥落発生時のcy.数が大きいほど
耐スポーリング性が良好である。
【0035】
【表1】 表1は、本発明の焼結クロム粉末の使用に際して、その
粒度構成がその特性に与える影響を示す。
【0036】同表の比較例1と実施例1の比較によっ
て、本発明に規定する範囲の焼結クロム粉末の使用によ
って粗粒〜中粒部の耐食性改良により、全体の耐食性が
向上している。実施例2と比較例2の比較において、焼
結クロム粉末の粒径分布において、0.21mm以上の
粒が50%以上ないと粗粒〜中粒部の耐食性改良が十分
でないことがわかる。実施例1に対して比較例3を比較
すると、焼結クロム粉末の添加量が5%より多くないと
耐食性改良が不十分である。実施例3と比較例4の比較
によって、焼結クロム粉末の添加量が40%以下でない
と耐食性の向上は認められるものの耐スポーリング性は
低下している。
【0037】
【表2】 表2は添加焼結クロム粉末中のTiO2量とSiO2量と
の耐食性に与える影響について示す。
【0038】この表2の実施例4に対して比較例5を比
較すると、添加焼結クロム粉末中のTiO2量が0.5
重量%以上でないとTiO2量が不足して溶融物接触時
の粒の安定性に欠けるためか、十分なる耐食性が得られ
ていない。また、実施例5と比較例6の比較において、
添加焼結クロム粉末中のTiO2量が3重量%以下でな
いとTiO2量が過剰となって粒の耐食性が不足し、結
果として全体の耐食性が不足している。また、実施例6
に対する比較例7との比較において、添加焼結クロム粉
末中のSiO2量が0.5重量%以上でないとSiO2
が不足して溶融物接触時の粒の安定性に欠けるためか、
十分な耐食性が得られていない。さらに、実施例7に対
して比較例8を比較すると、添加焼結クロム粉末中のS
iO2量が5重量%以下でないとSiO2量が過剰となっ
て粒の耐食性が不足し、結果として全体の耐食性が不足
している。
【0039】
【表3】 表3は、本発明の耐火物の特性に対する酸化クロム量と
高アルミナ粉末のSiO2含有量の影響について示す。
【0040】同表の実施例8に対して比較例9を比較す
ると、酸化クロム量が2重量%より少ないとマトリック
ス部の耐食性が低下して全体としての耐食性が不十分と
なり、耐浸潤性も低下して構造スポーリング発生の危険
性が増大する。
【0041】また、実施例9に対して比較例10を比較
すると、酸化クロム量が20重量%より多くなると微粉
過剰となってれんがの成形性が低下し、その結果、れん
がの気孔率が上昇し、耐食性のさらなる向上の効果は認
められなかった。また微粉過剰の影響で耐スポーリング
性も低下した。また、比較例10では、脱気成形を実施
したにもかかわらず、成形後、成形面に平行な亀裂(通
称ガバ)の発生が認められた。
【0042】さらに、実施例10に対する比較例11の
比較において、高アルミナ粉末のSiO2含有量が18
重量%より少なくなると耐スポーリング性が低下してい
ることがわかる。
【0043】またさらに、実施例11に対して比較例1
2を比較すると、高アルミナ粉末のSiO2含有量が4
2重量%より多くなると耐食性が低下し、また逆にれん
が焼成後の高アルミナ骨材中のムライト量が減少し、耐
スポーリング性が低下する。
【表4】 表4は、配合した高アルミナ粉末の耐火物の特性に与え
る影響を示す。
【0044】同表に示す実施例12に対する比較例13
の比較によって、高アルミナ粉末の50重量%が、粒径
0.21mm以上でないと添加した高アルミナ粉末によ
る耐スポーリング性付与効果が不十分となり、耐スポー
リング性が低下することが分かる。
【0045】実施例13に対して比較例14を比較する
と、高アルミナ粉末の添加量が5重量%より少ないと、
添加高アルミナ粉末による耐スポーリング性付与効果が
不十分であり、耐スポーリング性が低下する。実施例1
4と比較例15の比較によって、高アルミナ粉末の添加
量が25重量%より多いと、SiO2成分が過剰となる
ためか、耐食性が低下する。
【0046】同じく表4の実施例13と実施例15の比
較によって、高アルミナ粉末と同等にアルミナ−ジルコ
ニア−シリカ粉末が使用可能であることが分かる。実施
例15に対して比較例16を比較すると、アルミナ−ジ
ルコニア−シリカ粉末の添加量が5%より少ないとアル
ミナ−ジルコニア−シリカ粉末による耐スポーリング性
付与効果が不十分となり、耐スポーリング性が低下して
いる。
【0047】
【表5】 表5は、本発明の耐火物の特性に対するアルミナ−ジル
コニア−シリカ粉末とマトリックス添加材の影響につい
て示す。
【0048】同表の実施例16に対する比較例17の比
較によって、アルミナ−ジルコニアーシリカ粉末の添加
量が25重量%より多くなると、アルミナ粉末や焼結ク
ロム粉末に比較して耐食性の劣るアルミナ−ジルコニア
−シリカ粉末の量が過剰となって耐食性が低下すること
が分かる。
【0049】同表の実施例17に対して比較例18を比
較すると、マトリックス添加材としてのシリカ粉末の量
が1.0重量%より少ないと、添加材による浸潤防止効
果が不足して浸潤厚みが増加し、構造スポーリングの発
生傾向が認められる。また侵食試験後の試料切断面に稼
働表面と平行な亀裂の発生が認められた。
【0050】また、同表の実施例18から、マトリック
ス添加材として粘土粉末とジルコン粉末の併用が可能で
あり、それぞれの配合効果が認められる。
【0051】実施例19に対して比較例19を比較する
と、マトリックス添加材の添加量が8重量%を越えると
マトリックス部の耐食性が低下して全体としての耐食性
も低下することが分かる。
【0052】同じく実施例19と比較例20の比較によ
って、マトリックス添加材の添加粒度が粗いとマトリッ
クス部の耐食性が低下して、全体としての耐食性も低下
することがいえる。
【0053】同表実施例17、18、19によって、高
アルミナ粉末とアルミナ−ジルコニア−シリカ粉末の併
用によって効果が挙がることが分かる。
【0054】
【表6】 表6は、本発明の配合物の焼成温度の耐火物に与える影
響を示すもので、表2に示す実施例6の配合物を使用し
てれんがの焼成温度の検討を行った結果を示す。 実施
例20に対する比較例21の比較において、れんがの焼
成温度が1350℃より低くなるとれんがの焼結が不足
となり、強度が低下し、その結果耐食性が低下したこと
が分かる。実施例21と比較例22の比較によって、れ
んがの焼成温度が1650℃より高くなるとれんがの焼
結が過剰となり、強度が上昇し、耐スポーリング性が低
下している。
【0055】
【表7】 アルミナ−ジルコニア−シリカ系粉末の配合に際して、
耐火物の特性に対するZrO2量の影響を調べた結果を
示す。
【0056】表2の実施例6の高アルミナ粉末を全量、
同一粒度でアルミナ−ジルコニア−シリカ系粉末で置換
し、アルミナ−ジルコニア−シリカ系粉末の化学組成の
耐火物の特性に与える影響を調べた。
【0057】ジルコニア含有粉末を微粉以外で使用した
場合、ジルコニアの変態に伴う使用れんがの繰り返し加
熱後の残存膨張の程度を、れんがから切り出した100
mm×20mm×20mmのサイズの試料を、電気炉を
用いて大気雰囲気中で1500℃×800℃の30サイ
クルの繰り返し加熱試験によって評価した。
【0058】表7に示す実施例22に対して比較例23
を比較するとアルミナ−ジルコニア−シリカ系粉末のZ
rO2量が15重量%より少ないと、ジルコニアの変態
に伴う熱間での膨張低減効果が減少し、耐スポーリング
性が低下している。
【0059】また、同表に示す実施例23に対して比較
例24を比較すると、アルミナ−ジルコニア−シリカ系
粉末のZrO2量が45重量%より多いと、ジルコニア
の変態の影響が大きくなって繰り返し加熱後の残存膨張
が過剰となって、れんが組織が脆弱化されるためか耐食
性が低下した。浸潤厚みも増加し、耐浸潤性も低下して
構造スポーリング発生の危険性が増加していることが分
かる。
【0060】さらに、同表に示す実施例24に対して比
較例25を比較すると、アルミナ−ジルコニア−シリカ
系粉末のSiO2量が7重量%より少ないとジルコニア
の変態防止効果が減少し、繰り返し加熱後の残存膨張が
過剰となって、れんが組織が脆弱化され耐食性が低下し
ていることが分かる。浸潤厚みも増加し、耐浸潤性も低
下して構造スポーリング発生の危険性が増加している。
比較例24と比較例25の侵食試験後の試料の切断面に
は稼働表面に平行な亀裂の存在が認められた。実施例2
5に対する比較例26の比較において、SiO2量が3
0重量%より多くなると耐食性が低下している。
【0061】
【表8】 表8は耐火物配合における酸化クロムの影響と、これを
クロム鉱で置換したときの耐火物の特性に与える影響を
調べた結果を示す同表に示す試料は、酸化クロムと少量
のクロム鉱の併用を検討するために表3の実施例9をベ
ースに配合粒度がなるべく同一となるような形で試作し
たものである。
【0062】同表に示す実施例26に対して比較例27
を比較すると、置換クロム鉱の添加量が5重量%より多
くなると、クロム鉱中の鉄分が影響し、耐スポーリング
性が低下し、耐食性の向上は認められない。
【0063】実施例27に対して比較例28を比較する
と、酸化クロムの添加量が2重量%より少なくなると、
耐食性が低下する。また浸潤厚みも増加し、耐浸潤性も
低下傾向にある。
【0064】実施例9と実施例28を対比すると、クロ
ム鉱で酸化クロムを置換すると耐食性は低下するが問題
となるほどではなく、本発明の規定内であれば、クロム
鉱で酸化クロムを置換することは可能であることが分か
る。
【0065】
【発明の効果】本発明によって、耐食性に優れたアルミ
ナ−クロム系耐火物において、その耐食性を損なうこと
なく耐スポーリング性を向上させることができ、とく
に、塵及び産業廃棄物の溶融炉に適した内張耐火物を得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/101 F27D 1/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.21mm以上の粒径を有する粉末粒
    子を50%以上含み、且つ、TiO2を0.5〜3重量
    %、SiO2を0.5〜5重量%含有する焼結クロム粉
    末を5〜40重量%と、 酸化クロムが2〜20重量%と、 0.21mm以上の粒径分布が50%以上でありかつS
    iO2を18〜42重量%含有する高アルミナ粉末が5
    〜25重量%と、 粒径が0.lmm以下の粘土、シリカ、ジルコンの1種
    または2種以上の粉末を1〜8重量%とを含有し、 残部が実質的にアルミナ粉末からなる高耐食性アルミナ
    −クロム系耐火物。
  2. 【請求項2】 高アルミナ粉末が、ZrO2を15〜4
    5重量%とSiO2を7〜30重量%含有するアルミナ
    −ジルコニア−シリカ系粉末によって全体配合物中の5
    〜25重量%置換された請求項1に記載の高耐食性アル
    ミナ−クロム系耐火物。
  3. 【請求項3】 酸化クロムが、クロム鉱によって全体配
    合から見て5重量%以下の割合で置換され、かつ酸化ク
    ロムが2重量%以上含有される請求項1または請求項2
    に記載の高耐食性アルミナ−クロム系耐火物。
  4. 【請求項4】 配合物を混練、成形、焼成した高耐食
    性、高スポーリング性を有する塵及び産業廃棄物溶融炉
    の内張りに適した高耐食性アルミナ−クロム系耐火物。
JP09358490A 1997-12-25 1997-12-25 高耐食性アルミナ−クロム系耐火物 Expired - Fee Related JP3088096B2 (ja)

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