JP2014084239A - 流し込み施工用耐火物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、耐熱衝撃性が大きく、亀裂の発生しにくい、緻密な組織を有する低水分量で施工可能な流し込み施工用耐火物を提供することにある。
【解決手段】本発明の流し込み施工用耐火物は、 AlとSiOを主成分とし、AlとSiOの合量が92質量%以上であり、Alの含有量が50〜70質量%の範囲内にある流し込み施工用耐火物において、Al含有量が50〜85質量%の範囲内にあり、且つ安息角32°以下のハイアルミナ質球状粒子を5〜30質量%用い、更に、結合材としてアルミナセメントを3〜10質量%を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、水等の液体を添加、混練して施工する流し込み施工用耐火物に関し、特に、耐スポーリング性に優れ、緻密な組織を有する低水分量で施工可能な流し込み施工用耐火物に関する。
製鋼分野等で用いられる溶融金属容器等、特に、連続鋳造用タンディッシュには、耐火物が内張り材としてライニングされており、内張り用耐火物としては、従来、ろう石質れんがや高アルミナ質れんが等が使用されている。しかし、稼動中、地金除去を容易にするために水冷を行うことから、耐火れんがのスポーリングによる割れ損傷が大きく、補修頻度が高いという問題があり、更に、耐火れんがと、マグネシア質コーティング材との焼付き等の問題があった。また、スラグ中のCaO、FeO、MnO等による溶損あるいはスラグの浸透による構造スポーリング、更には、目地開きによる地金差しの問題があった。
溶融金属容器の内張り耐火物の築炉作業は、重筋作業であり、このため、近年では、不定形化による流し込み施工が主流となってきている。この流し込み施工によれば、耐火れんがのような目地がなく、均一な施工体が得られ、継ぎ足し施工も可能であるため、省力化だけでなく、高耐用化に有効である。また、流し込み施工に用いられる材質としては、アルミナ−シリカ質流し込み施工用耐火物が広く使用されるようになり、溶融金属容器、特に、連続鋳造用タンディッシュの内張り耐火物の寿命は、従来使用されているろう石質れんがや高アルミナ質れんが等と比べて向上している。
一般的な連続鋳造用タンディッシュ内壁の構造は、高さ1〜1.5m、幅5〜10m程度の平板の側面で構成されており、その断面は樋状のU字形状である。広い平板に鋳込まれた流し込み施工用耐火物は、円形の取鍋等とは異なり壁の拘束力が小さく、使用過程における繰り返しの熱履歴を原因とした組織劣化や、スラグ等の外来成分が浸透することによる構造スポールが生じ易い。稼動面表面に発生した亀裂は、地金差しや、タンディッシュ本体壁の倒壊の原因となり、タンディッシュ本体内部に発生した稼動面に平行な亀裂は、剥離の原因となる。
アルミナ−シリカ質流し込み施工用耐火物の材料設計は、目的とする特徴を得るために化学組成のアルミナ/シリカ比を変化させる手法が一般的である。化学組成をシリカリッチとすることでスラグの浸透を低減することができるが、耐食性は低下する傾向にあり、タンディッシュ本体においてはスラグライン部の溶損が拡大する恐れがある。一方、耐食性向上させるために、化学組成をアルミナリッチとすると、スラグ浸透が増加する傾向となり、構造スポールやコーティング材の焼付きが増えることになる。コーティング材がタンディッシュ内張り材に焼付きくと、その除去作業の際、タンディッシュ内張り材の機械的損傷を助長することになる。
これらの対策として、例えば、特許文献1には、タンディッシュ内壁に内張りされその表面に断熱ボートあるいはコーティング材などを被覆して使用する内張り用キャスタブルにおいて、SiOとAlを主成分としてAlの含有量が40〜50重量%(質量%)で、ボンド部のSiO超微粉/Al超微粉の比が1.7〜2.5であることを特徴とするタンディッシュ内張り用キャスタブルが開示されている。同文献によれば、耐機械的衝撃性と耐熱衝撃性に優れ、コーティング材との焼き付きを抑制できるとしているが、Al含有量40〜50質量%の範囲内ではスラグに対する耐食性が不十分であり、スラグラインの局所溶損や、溶損部への地金差しにより壁が倒壊する危険性がある。
また、特許文献2には、AlとSiOを主成分とし、Alの含有量が50〜70重量%(質量%)の範囲にあり、かつ、粒径が45μm以下のAl粒子とSiO粒子の割合(Al/SiO)が、重量比で0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とするタンディッシュ内張り用キャスタブル耐火物(請求項1);AlとSiOを主成分とし、Alの含有量が50〜70重量%(質量%)の範囲にあり、かつ、粒径が45μm以下のAl粒子とSiO粒子の割合(Al/SiO)が、重量比で0.1〜1.0の範囲にあるとともに、シリカ超微粉4〜20重量%(質量%)と、アルミナ超微粉10重量%(質量%)以下と、CaO成分10〜30重量%(質量%)を含有するアルミナセメント3〜10重量%(質量%)とを含有していることを特徴とするタンディッシュ内張り用キャスタブル耐火物(請求項2)が開示されている。更に、特許文献3には、AlとSiOを主成分とし、Alの含有量が50〜70重量%(質量%)の範囲にあり、かつ、粒径が1μm以下のヒュームドシリカを4〜10重量%(質量%)の割合で含有していることを特徴とするタンディッシュ内張り用キャスタブル耐火物(請求項1);AlとSiOを主成分とし、Alの含有量が50〜70重量%(質量%)の範囲にあり、かつ、粒径が1μm以下のヒュームドシリカを4〜10重量%(質量%)の割合で含有しているとともに、平均粒径が45μm以下の溶融シリカを15重量%(質量%)以下の割合で含有していることを特徴とするタンディッシュ内張り用キャスタブル耐火物(請求項2);75μm以下のシリカ超微粉4〜25重量%(質量%)と、平均粒径20μm以下のアルミナ超微粉5〜10重量%(質量%)と、CaO成分10〜30%とを含有するアルミナセメント3〜10重量%(質量%)とを含有する前記タンディッシュ内張り用キャスタブル耐火物(請求項3)が開示されている。これらの文献によれば、スラグ浸透を抑制することで構造スポールを抑制できるとしているが、ヒュームドシリカの多量添加は高温で材料の収縮を伴い、かえって亀裂の発生を増加させる。
更に、特許文献4には、アルミナ・シリカ質のタンディッシュ内張り用キャスタブル耐火物であって、AlとSiOを主成分とし、Alの含有量が50〜70重量%(質量%)の範囲にあり、かつ、粒径が45μm以下のAl粒子とSiO粒子の割合(Al/SiO)が、重量比で0.1〜1.0の範囲にあるとともに、粒度が45μm〜3mmのアンダルサイト原料を1〜25重量%(質量%)含有していることを特徴とするタンディッシュ内張り用キャスタブル耐火物(請求項2);主原料として、キャスタブル耐火物原料として使用されるAlとSiOを主成分とするシリカ・アルミナ質原料を用い、添加成分として、リン酸塩、有機酸、耐熱鋼ファイバー、及び有機繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種を配合した前記タンディッシュ内張り用キャスタブル耐火物(請求項4)が開示されている。同文献では、高温での材料収縮を防止する目的でアンダルサイトを添加し、亀裂抑制を図ると共に、耐熱鋼ファイバーを添加して剥離を抑制しようとするものである。高温での膨張付与を期待しアンダルサイトを添加することは、タンディッシュ使用条件に特有な常温から高温までの繰り返し熱負荷の中で、組織劣化を生じさせ剥離の原因となる。また、耐熱鋼ファイバーの添加も、酸化により剥離を抑制する効果は十分ではなかった。
また、特許文献5には、アルミナ・シリカ質のタンディッシュの内張り用キャスタブルにおいて、0.3〜5mm粒度のα−石英を鉱物に含む膨張性骨材を2〜15質量%、アルミナセメントを4〜10質量%含有し、かつ、アルミナ超微粉およびシリカ質超微粉を含有し、このうちシリカ質超微粉/アルミナセメント比(質量比)が0.7〜1.5であることを特徴とするタンディッシュの内張り材用キャスタブル(請求項1)が開示されている。同文献5は、α−石英を鉱物に含む膨張性骨材を添加することで、高温での材料の焼結収縮を抑制し、冷却時の収縮による亀裂の発生、進展をも抑制しようとするものである。しかし、実機においては、溶鋼温度、鋳込み時間等、操業条件が常に一定ではないため、α−石英を鉱物に含む膨張性骨材の添加でタンディッシュ母材の膨張量を最適な状態でコントロールすることは、困難であった。
特公平4−38713号公報 特開2003−206182号公報 特開2003−206183号公報 特開2004−131310号公報 特許第3756500号明細書
従って、本発明の目的は、耐熱衝撃性が大きく、亀裂の発生しにくい、緻密な組織を有する低水分量で施工可能な流し込み施工用耐火物を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らは、耐熱衝撃性が大きく、亀裂の発生しにくい流し込み施工用耐火物について鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の流し込み施工用耐火物は、 AlとSiOを主成分とし、AlとSiOの合量が92質量%以上であり、Alの含有量が50〜70質量%の範囲内にある流し込み施工用耐火物において、Al含有量が50〜85質量%の範囲内にあり、且つ安息角32°以下のハイアルミナ質球状粒子を5〜30質量%用い、更に、結合材としてアルミナセメントを3〜10質量%を含有することを特徴とする。
また、本発明の流し込み施工用耐火物は、ハイアルミナ質球状粒子の粒度が3mm以下のものであることを特徴とする。
更に、本発明の流し込み施工用耐火物は、ハイアルミナ質球状粒子が風砕法により製造されたものであることを特徴とする。
また、本発明の流し込み施工用耐火物は、タンディッシュ内張り材として使用されることを特徴とする。
本発明の流し込み施工用耐火物によれば、Al含有量が50〜85質量%の範囲内にあり、また、ハイアルミナ質球状粒子を配合することにより、流動性が向上して流し込み施工時の混練水量を低減することができる。その結果、得られる施工体の組織が緻密化して中間及び低温度域の強度が向上し、更に、施工体が緻密化することによって気孔量の減少と気孔径の低減が図れ、スラグ浸透を抑制することができる。これらの効果によって、流し込み材の稼働面側と背面側の物性差の発生が抑制され、構造スポールが減少し耐用性の向上につながる。
本発明の流し込み施工用耐火物は、Al含有量が50〜85質量%の範囲内にあるハイアルミナ質球状粒子を使用することで、流し込み施工用耐火物の特性を向上させて耐用を向上させるものである。前記ハイアルミナ質球状粒子を使用することで、流し込み施工時の流動性、充填性に優れるようになり、このことによって低水分施工が可能となり、施工体組織をより緻密化することができ、施工体の強度を向上させることができる。特に、低温、中間温度域での強度向上は、稼働面側との強度差低減に働き、構造スポールの発生緩和に効果的である。一方、低水分化により気孔率が低下し、スラグ浸透も抑制される。スラグ浸透は、稼働面側の緻密化を促し、背面側との物性差を大きくすることで、構造スポールを助長する。スラグ浸透層が厚いと、稼働面から深い位置に稼働面と平行な亀裂が生じ、剥離厚みを増すことでタンディッシュ本体の耐用性を大きく低下させることになる。また、タンディッシュ本体は上記のような大きな剥離以外にも、コーティング材を介して浸透したスラグとタンディッシュ本体が反応することにより、コーティング材除去時に毎回、数ミクロンから数ミリ単位でタンディッシュ本体も薄く剥ぎ取られている。タンディッシュ本体を緻密化することにより得られるスラグ浸透抑制効果により、この剥ぎ取られ厚みも軽減することが可能となり、タンディッシュ本体の損耗速度が低減できる。
更に、ハイアルミナ質球状粒子のAl含有量を特定することで、耐熱衝撃性を向上させ、長期間使用時の安定債が確保される。ムライト骨材と比較し熱膨張差が無いと耐熱衝撃性向上には役立たず、また、熱膨張差が大きすぎると耐熱衝撃性向上には役立つが、組織劣化をともなうため、長期間の使用によって剥離に至る。故に、適切な膨張差があることが有効であり、その結果として亀裂の発生自体が抑制され、施工体の耐用性を向上させることができる。
以下、本発明の流し込み施工用耐火物について具体的に説明する。
本発明の流し込み施工用耐火物は、AlとSiOを主成分とし、AlとSiOの合量が92質量%以上であり、Alの含有量が50〜70質量%の範囲内にある流し込み施工用耐火物において、Al含有量が50〜85質量%の範囲内にあるハイアルミナ質球状粒子を5〜30質量%用いることを特徴とするものである。
本発明の流し込み施工耐火物において、Al23とSiOを主成分とし、AlとSiOの合量が92質量%以上である。流し込み施工耐火物には、不可避不純物が含まれるが、不可避不純物量が増加して、AlとSiOの合量が92質量%未満になると、得られる施工体の耐食性が低下し、また、高温での液相生成による軟化変形が起こりやすくなる。AlとSiOの合量は、95質量%以上であることが好ましい。
また、Alの含有量は、50〜70質量%の範囲内、好ましくは53〜65質量%の範囲内である。Alの含有量が50質量%未満であると、耐食性が十分でないために好ましくない。また、Alの含有量が70質量%を超えると、熱膨張係数が大きくなりすぎて耐スポーリング性に劣るため好ましくない。
本発明の流し込み施工用耐火物には、Al含有量が50〜85質量%の範囲内にあるハイアルミナ質球状粒子を用いる。ハイアルミナ質球状粒子のAl含有量がこの範囲を外れると、流し込み施工用耐火物を構成する母材との熱膨張差が大きくなり、使用中に組織劣化し寿命に悪影響を及ぼすことによるためである。ハイアルミナ質球状粒子のAl含有量は、好ましくは70〜80質量%の範囲内である。
なお、本明細書に記載する述語「球状粒子」は、角が丸くなったラウンド粒や、円盤状、あるいは碁石のような扁平の粒子ではなく、真球に限りなく近い形状の粒子であることが好ましい。また、粒子表面も極めて平滑なものであることが好ましい。
ハイアルミナ質球状粒子の配合割合は、5〜30質量%の範囲内、好ましくは10〜20質量%の範囲内である。ハイアルミナ質球状粒子の配合割合が、5質量%未満になると、ハイアルミナ質球状粒子を未添加の流し込み施工用耐火物のフロー値合よりは改善されるものの、満足なフロー値を得ることができないために好ましくない。また、ハイアルミナ質球状粒子の配合割合が、30質量%を超えると、それに見合う添加効果が発現しない。
なお、ハイアルミナ質球状粒子の安息角は、32°以下であり、30°以下であることが好ましい。ハイアルミナ質球状粒子の安息角が、32°を超えると、流し込み施工用耐火物へハイアルミナ質球状粒子を添加した際の流動性付与効果が顕著ではないために好ましくない。ハイアルミナ質球状粒子の安息角を32°より小さいことで、流し込み施工用耐火物の流動性特性が向上し、その結果、一定の流動性を得るに必要な添加水分量が低減することができ、それによって、乾燥後の施工体の気孔率が低減し、耐食性と耐スラグ浸透性に優れた施工体を得ることができる。
安息角が32°以下のハイアルミナ質球状粒子を使用することにより、流し込み施工用耐火物の流動性をより向上させることができる理由は以下のように考えられる。即ち、ハイアルミナ質球状粒子の安息角を32°以下とするためには、できるだけ真球に近い形状を有することと、粒子表面が滑らかであることの双方の特性を持ち合わせる必要がある。真球に近い球状粒子自体が回転することによって接触した別の粒子を回転させる効果と共に、表面が滑らかなことによって球状粒子の表面で別の粒子が滑ることができるような特性とを併せ持つことにより、安息角が低下し、特に、流し込み施工用耐火物の流動特性が向上する。できるだけ真球に近い形状を有することと、粒子表面が滑らかとすることはそれぞれ安息角を低減する効果があるものの、その片方の特性だけでは、安息角の低減化はある程度限られる。
また、ハイアルミナ質球状粒子の粒径は、3mm以下、好ましくは0.1〜1mmの範囲内である。ハイアルミナ質球状粒子の粒径が3mmを超えると、ハイアルミナ質球状粒子を使用しても、作業性が効果的に改善しないために好ましくない。なお、ハイアルミナ質球状粒子の粒径の下限は特に限定されるものではないが、粒径0.075μm以下の球状球のような超微粉領域のハイアルミナ質球状粒子は、現状では工業的に製造することが難しい。
なお、上述のようなハイアルミナ質球状粒子は、特に限定されるものではないが、例えば溶融法によって製造されたハイアルミナ質球状粒子は、その表面が液体の自由表面に近い性状となっているため、他の方法に比べて滑らかで、32°以下の安息角を得やすいため好ましい。溶融法の中でも、特に、風砕法によって得られたハイアルミナ質球状粒子が最も好ましい。風砕法では、高圧エアを吹き付けることによって溶融体が細かくなって吹き飛ばされ、それぞれの粒子は表面張力によって真円に近い球状になる。それら粒子が空中にある間に冷却・固化する。そのため、真球に近い形状と、自由表面の固化による極めて滑らかな表面とを同時に併せ持った球状粒子となり、前述のように安息角が32°以下のハイアルミナ質球状粒子となるのである。また、表面が極めて滑らかで真球に近い球状粒子が比較的安価に得られるという利点もある。
また、上述のハイアルミナ質球状粒子以外の本発明の流し込み施工用耐火物に使用される耐火原料としては、焼結アルミナ、電融アルミナ、バン土頁岩、ムライト質、シャモット、シリマナイト鉱物、アルミナ超微粉などを挙げることができる。これらの原料の配合比率を変えることで、所定のAl及びSiO含有量を有する流し込み施工用耐火物を構成することができる。
また、シリカ超微粉を3〜10質量%の範囲内、好ましくは4〜8質量%の範囲内で配合することもできる。
更に、アルミナセメントを3〜10質量%の範囲内、好ましくは5〜7質量%の範囲内で配合する。アルミナセメントの配合量が、3質量%未満になると、骨材間の結合力が弱まり、粗粒と微粉が分離して施工体にばらつきを生じ、一定の品質が得られなくなるために好ましくない。また、アルミナセメントの配合量が、10質量%を超えると、骨材間の粘性が大きくなり、硬めの配合となるため、施工時の充填性が悪くなり、品質に悪影響を及ぼすために好ましくない。
ここで、アルミナセメントとしては、例えばCaO含有量が30質量%以下、好ましくは10〜30質量%の範囲内にあるものを使用することが好ましい。CaO含有量が30質量%を超えると、耐食性の低下や、作業性としての硬化時間をコントロールすることが困難になることがあるために好ましくない。これに相当するアルミナセメントとしては、例えばAlが70質量%クラスのアルミナセメント、Alが80質量%クラスのアルミナセメントなどの市販のアルミナセメントが利用できる。
また、本発明の流し込み施工用耐火物には、高温での焼結収縮を抑制するために、膨張性原料を添加したり、剥離を抑制するために金属ファイバーを添加することもできる。
本発明の流し込み施工用耐火物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、通常方法で秤量後、アジテーターミキサー、ナウターミキサー、オムニミキサー、パドルミキサーなどの方法によって混合する。ハイアルミナ質球状粒は、その他原料と同様に混合することができる。
また、本発明の流し込み施工用耐火物の混練方法も、特に限定されるものではなく、多量に混練する場合では、ボルテックスミキサーなどが利用でき、また、少量の混練であれば平ミキサーなどが利用できる。更に、施工方法も特に限定されるものではなく、例えば、型枠や中子などを使用して、通常の流し込み材と同様の施工が可能である。
上述のように、本発明の流し込み施工用耐火物は、Al含有量が50〜85質量%の範囲内にあるハイアルミナ質球状粒子を5〜30質量%の割合で配合しているので、流し込み施工用耐火物の施工時の流動性を向上させ、低水分施工による緻密化が可能となる。その結果、稼動面と背面との強度差が小さく、またスラグが浸透し難いことから、構造スポールの起こり難い施工体を得ることができる。更に、ハイアルミナ質球状粒子と、流し込み施工用耐火物を構成する母材との適切な熱膨張差により耐熱スポーリング性にも優れた流し込み施工用耐火物となる。本発明の流し込み施工用耐火物は、亀裂や剥離損傷に強い施工体を得ることが可能となり、溶融金属容器、特に、タンディッシュ本体用の流し込み施工用耐火物として有用である。
以下、実施例により本発明の流し込み施工用耐火物を更に具体的に説明する。
以下の表1及び2に記載する配合割合にて各原料を配合して、本発明品及び比較品にかかる流し込み施工用耐火物を調製し、得られた施工体の諸特性(気孔率、強度)を調べた。得られた結果を表1及び2に併記する。
Figure 2014084239
Figure 2014084239
Figure 2014084239
表中、
・アルミナセメントは、CaO含有量が24.7質量%のAl70質量%クラスのアルミナセメントである;
・ハイアルミナ質球状粒子の製法において、「A」は、風砕法により製造したものであり、「B」は、ロータリーキルンにより焼成した焼結粒子を粉砕せずに利用したアルミナラウンド粒である。なお、ハイアルミナ質球状粒子の粒径はいずれも0.075〜0.6mmの範囲内のものである;
・耐スポーリング性は、
(1)試料寸法: 並型(230mm×114mm×65mm)
(2)加熱方法:1400℃電気炉中に114mm×65mm面を先端より20mm挿入
(3)冷却方法:空冷及び加熱面を流水中に挿入
(4)試験サイクル:(15分加熱+15分冷却)×30回
の条件で試験を行った結果である。耐スポーリング性が、特に良好なものを◎、良好なものを○、不良なものを×として評価した;
・耐食性はロータリースラグ浸食試験により、以下の条件で試験を行った結果である。耐食性が特に良好なものを◎、良好なものを○、不良なものを×として評価した:
(1)試験条件:1600℃×3時間
(2)使用スラグ:タンディッシュパウダー(Al=20質量%、SiO=4.5質量%、CaO=65質量%)
・試料の流動性は、水を適宜添加して混練した混練物のフロー値をJIS R 2521のフローコーンを用い、振動テーブル上で1.3G×60秒の振動を与えフロー値を測定し、添加水量を変化させて200mmのフロー値が得られた時の混練水量(質量%)で評価した。混練水量が少ないほど、流動性に優れ、低水分で施工が可能となることを示す;
・気孔率及び曲げ強度は、混練物を40×40×160mmの大きさに成形し、110℃×10時間、1000℃×3時間、1300℃×3時間、1500℃×3時間でそれぞれ焼成して試料を得、気孔率については、JIS R 2205により、曲げ強度については、JIS R 2213に従って求めた;
表1より、本発明品1〜19については、耐スポーリング性、耐食性、流動性、気孔率と曲げ強度に関し良好な結果が得られていることがわかる。
一方、比較品1では、配合全体のAl3とSiOの合計量が本発明の範囲より少なく、不純物が多いため、耐スポーリング性、耐食性の結果が不良であった。
比較品2は、Al3とSiOの合量は92質量%以上あるものの、Al3含有量が50質量%未満であるため、耐食性が不十分であった。
比較品3は、Al3含有量が多過ぎたため、耐スポーリング性に劣る結果となった。
比較品4は、ハイアルミナ質球状粒のAl23含有量が本発明の範囲未満であり、また、比較品5は、ハイアルミナ質球状粒のAl23含有量が本発明の範囲を超えるものであり、耐スポーリング性の結果が不良であった。
比較品6〜7は、ハイアルミナ質球状粒の安息角が本発明の範囲を超えるものであり、流動性が不良であるため混練時の混練水量が増加し、それに伴って気孔率が増加し、スラグ浸透による剥離が生じ易くなる。
比較品8は、ハイアルミナ質球状粒の添加量が本発明の範囲未満であるため、低水分化することができず、低気孔率化を図ることができなかった。
比較品9は、ハイアルミナ質球状粒の添加量を35質量%まで増量したが、ハイアルミナ質球状粒を30質量%添加した本発明品16と比較し、それ以上の流動性向上効果は得られておらず、気孔率も増加傾向にあり好ましくない。
比較品10は、アルミナセメントの添加量が少ないため、成形体を脱枠する際に欠損を生じ、また、乾燥時に爆裂が発生した。
比較品11は、アルミナセメントの添加量が多いため、流し込み施工用耐火物の粘性が増し、混練水量が多くなり、それに伴って気孔率が増加したため好ましくない。

Claims (4)

  1. AlとSiOを主成分とし、AlとSiOの合量が92質量%以上であり、Alの含有量が50〜70質量%の範囲内にある流し込み施工用耐火物において、Al含有量が50〜85質量%の範囲内にあり、且つ安息角32°以下のハイアルミナ質球状粒子を5〜30質量%用い、更に、結合材としてアルミナセメントを3〜10質量%を含有することを特徴とする流し込み施工用耐火物。
  2. ハイアルミナ質球状粒子の粒度が3mm以下のものである、請求項1記載の流し込み施工用耐火物。
  3. ハイアルミナ質球状粒子が風砕法により製造されたものである、請求項1または2記載の流し込み施工用耐火物。
  4. タンディッシュ内張り材として使用される、請求項1ないし3のいずれか1項記載の流し込み施工用耐火物。
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