JP2517192B2 - 樹脂結合炭素含有不定形耐火物 - Google Patents

樹脂結合炭素含有不定形耐火物

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JP2517192B2 JP4207864A JP20786492A JP2517192B2 JP 2517192 B2 JP2517192 B2 JP 2517192B2 JP 4207864 A JP4207864 A JP 4207864A JP 20786492 A JP20786492 A JP 20786492A JP 2517192 B2 JP2517192 B2 JP 2517192B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高炉樋、混銑車、転
炉、電気炉、脱ガス装置、タンディッシュ等の製鉄用溶
銑・溶鋼容器や精錬炉、及びその他の高温下で用いられ
る窯炉の内張り、裏張りに用いられる樹脂結合炭素含有
不定形耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、キャスタブル、プラスチッ
ク、スタンプ材、吹付材等の不定形耐火物が、各種用途
に応じて選択され、広く用いられている。特に、低セメ
ントキャスタブルは、充填性がよく、不純成分となる無
機質結合剤成分を少なく抑えることができるので、れん
がに勝るとも劣らない優れた耐食性を示し、溶銑・溶鋼
容器や各種精錬炉の内張り・裏張りに適用される例が多
くなってきた。しかしながら、これら従来タイプの材料
は、成形性を与えるために、水を液体分として用いる必
要があった。
【0003】一方、耐火れんがの分野では、炭素を含有
し、かつ加熱により炭素を形成する結合剤を用いた炭素
結合れんが、中でも鱗状黒鉛を用いた耐火物は、スラグ
成分の浸潤を抑制し、耐スポーリング性に優れるので、
特に精錬炉などの侵食の激しい用途に広く用いられるよ
うになった。
【0004】近年、不定形耐火物の分野でも、各種樹脂
を結合剤として使用し、加熱によりカーボンボンドを形
成させる炭素含有不定形耐火物が開発されてきたが、未
だ市場に浸透しているとは言い難い状況にある。
【0005】炭素を含有した不定形耐火物に関する従来
の技術の例を以下に示す。例えば特開昭57−92581号公
報には、MgOと黒鉛とを用い、バインダーとして縮合
燐酸ソーダ系バインダーとハイアルミナセメントとを用
いた塩基性キャスタブル耐火物が開示されている。黒鉛
を5〜35%添加することにより、耐食性が向上するこ
とを示している。しかしながら、黒鉛を添加混合した配
合物に、水を加えて混練する場合、黒鉛が水に濡れ難
く、更に鱗状黒鉛のように形状が偏平な黒鉛を用いる
と、分散性が悪く、かつ材料の運動を妨害してしまうた
め、施工作業性が著しく低下する。このため現実的に
は、添加水分量を増量してやる必要が生じ、結果的に充
填密度の低い施工体しか得られない。また、充填密度が
低く気孔率が高い施工体では、添加した黒鉛が加熱過程
で酸化されてしまい、かえって耐食性を低下させてしま
うことが多い。
【0006】特開昭59−227779号公報には、炭素質物質
2%以上、残部が塩基性材料からなる10〜90mmの
粗大粒を15〜60%配合した塩基性耐火物を提案して
いる。粗大粒に炭素が含有されており、粗大粒及びその
周辺へのスラグ侵入が少なくなり、また、粗大粒とマト
リックスとの一体化がなく、亀裂防止に効果があるとし
ている。しかしながら、粗大粒に炭素が含有されている
が故に、水と混練して使用されるときに、粗大粒と水と
のなじみが悪く、従って、水を媒体とする結合剤とのな
じみも必然的に不十分であり、強固な結合組織が得られ
ない。
【0007】特開平3−150272号公報は、特開昭59−22
7779号公報と類似の考え方による改良を提案している。
これは、鱗状黒鉛と耐火材料に結合剤を添加した配合物
をブリケットマシーンで10〜60mmに成形し、加熱
処理した造粒物を、骨材全体に対して10〜60%配合
した塩基性流し込み材である。ブリケットは低通気率で
耐酸化性に強く、造粒物表面の摩擦が小さいので施工水
分量を減少できるとしている。また、この技術による塩
基性流し込み材は、熱膨張応力による亀裂発生の問題を
解決したとしている。しかし、この技術も特開昭59−22
7779号公報と同様に、炭素を含有した造粒物を混合使用
した流し込み材であり、従来と同様に水を液体分として
用いて施工する必要があり、炭素含有造粒物と水との濡
れ性が悪いことは同じであり、従って、結合力の弱い施
工体しか得られない。実際の炉に使用すると、造粒物が
使用面に露出した状態を呈すると、造粒物は周囲との結
合が弱いために、容易に抜け落ちてしまい、急激に損傷
が進んでしまうという欠点があり、実用は非常に困難で
ある。いずれにしても、炭素を含有した材料を、水及び
水を必要とする結合剤を用いて施工または成形すること
自体に、大きな問題が存在していると考えるべきであ
る。
【0008】一方、特開昭61−124513号公報には、転炉
ウェアれんがの一部を突起させてスタッドとし、ここに
充填するマグネシア系粗骨材を含む非水系不定形材料に
ついて示している。また、特開昭63−215572号公報は、
塩基性原料70〜95%、炭素質原料5〜30%と、耐
火材の最大粒径の1.5倍よりも大きく30mm以下で
あるマグネシア、ドロマイト等の塩基性粗大粒を30〜
130%及び熱硬化性樹脂4〜15%を添加する耐火組
成物を開示している。これらはいずれも炭素を含有し、
かつ加熱により炭素結合を生成する結合剤を使用した不
定形耐火物である。樹脂やタール等を結合剤に用いるの
で、炭素材料に対する濡れ性は良好であるが、鱗状黒鉛
等の偏平な炭素を使用する場合には、水系の材料と同様
に、黒鉛の形状がその他の材料粒子の運動を妨害するの
で、施工性が大幅に低下し、十分な充填性を得ることが
できない。また、粗骨材または粗大粒を添加することに
より、構造安定性、耐食性を向上させようとしたもので
あるが、マグネシアやドロマイト等の塩基性材料は、基
本的に大きな熱膨張率をもち、温度変化に応じて体積の
変動が大きく、特に、大きな粒を用いた場合、周囲の炭
素結合組織との間の熱膨張差により、隙間が生じる。こ
のため、温度変化のある使用条件下では、粗骨材または
粗大粒の添加による構造安定化の効果はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、炭素を含
有する不定形耐火物の施工時には、れんがを成形すると
きの高圧プレスのような大きなエネルギーを与えること
ができないため、炭素に対する結合剤の濡れ性や、炭素
の形状自体が施工作業性、即ち成形性に大きな影響を与
えるので、安定した良好な充填性を得ることが困難であ
った。また、大きな耐火材の粒を混合使用しても結合性
に問題があり、実用上の信頼性のあるものではなかっ
た。
【0010】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、高
熱伝導率による耐スポーリング性の向上や強度特性の向
上に効果の大きい鱗片状や繊維状の炭素を含有しつつ、
充填性に優れ、かつ安定した結合組織を形成することが
できる樹脂結合炭素含有不定形耐火物を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る樹脂結合炭
素含有不定形耐火物は、耐火性粉体部100重量部及び
樹脂液部4〜15重量部からなる樹脂結合炭素含有不定
形耐火物において、前記耐火性粉体部が、ペレット及び
耐火材料よりなり、該ペレットが少なくとも5重量%の
鱗状黒鉛及び/または炭素質繊維と残部が耐火材料から
なる混合物に結合剤として前記樹脂液部と同種の樹脂を
用いて加圧成形された気孔率3〜12%のものであり、
かつ(ペレットの総炭素量)/(耐火性粉体部の総炭素量)
の重量比が0.5以上であることを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の炭素含有樹脂結合不定形耐火物(以
下、単に不定形耐火物と呼ぶ)では、炭素質材料と結合
剤との濡れ性を確保することが安定した結合組織を得る
ための必要条件であると考え、結合剤及び成形性を与え
る液体分として樹脂液部を用いる。本発明の不定形耐火
物に用いられる樹脂液部は、従来の炭素含有耐火物に必
要とされる特性と同様に、加熱後のカーボンボンドを形
成するためにできるだけ高い残炭率が望まれる。また、
炭素質材料に対して濡れ性が良好なものでなければなら
ない。このような面で、フェノール樹脂、フラン樹脂、
エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユレア樹脂、レゾルシノ
ール樹脂、フルフリルアルコールの重合物等が使用でき
るが、中でもフェノール樹脂が最も好適であり、レゾー
ル型、ノボラック型のいずれも良好に適用できる。
【0013】樹脂液部は、各種の不定形耐火物の施工方
法に応じて、最適の粘度に調整した液を用いるべきであ
る。例えば、流し込み成形では、流動性を向上させるた
め、できるだけ粘度の低い樹脂液が好ましく、一方、ス
タンプ成形材では、適度に粘度が高い方が施工し易く、
およそ50センチポイズ以上のものが好ましい。いずれ
にしても、樹脂液部の粘度は、樹脂の溶剤の種類及び添
加量を変えることで調整可能である。溶剤としては一般
に知られている、アルコール類、グリコール類等が使用
できる。しかし、ここで注意すべきことは、粘度を調整
するために溶剤の添加量を増加し過ぎると、溶剤は加熱
により揮発・燃焼してしまうので、加熱後の残留炭素量
が減少し、結合強度の低下を招く。従って、樹脂液中の
樹脂分の濃度が少なくとも35%以上であることが好ま
しい。
【0014】なお、使用条件によって、施工後常温で硬
化させる必要がある場合には、樹脂を常温硬化させるた
めの硬化剤を添加する必要がある。硬化剤には、パラト
ルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスル
ホン酸、スルファミン酸、オキシカルボン酸、アミノ酸
等の酸性物質や各種エステル類が使用可能である。これ
らの硬化剤は、その性状、即ち粉末か液体か、樹脂と直
接反応するか二次的に反応するか等の違いにより、耐火
性粉体部に添加混合するか、樹脂液部に混合するかを決
定して使用される。
【0015】また、100〜200℃程度の温間で施工
される場合や、施工後加熱養生される場合には、熱硬化
性タイプの樹脂、例えばレゾール型フェノール樹脂等を
用いるか、または熱可塑性のノボラック型フェノール樹
脂等に熱硬化性を与える硬化剤、例えばヘキサミン等を
添加してもよい。更に、高温で施工される場合には、硬
化剤を加えないで、熱可塑性の樹脂だけを使用すること
も可能である。
【0016】本発明の不定形耐火物においては、耐火性
粉体部に、少なくとも5重量%の鱗状黒鉛及び/または
炭素質繊維を含有し、残部が耐火原料よりなり、この不
定形耐火物の結合剤である樹脂液と同種の樹脂を用いて
加圧成形され、かつ気孔率が3〜12%であるペレット
を配合することを特徴とする。
【0017】前記のように結合剤として炭素に対して濡
れ易い樹脂液部を用いても、それだけでは結合剤と炭素
質材料との結合性は向上するが、不定形耐火物としての
施工性はほとんど改善されない。鱗状黒鉛及び/または
炭素質繊維は、耐火材料のような粒状物と比べ、表面積
が大きいため、個々の粒子表面を覆うための液体分を多
く必要とする。また、形状が偏平であったり繊維状であ
るため、通常のミキサーでは混練されにくく、均一に分
散させることが困難であり、施工時においても材料粒子
の運動を妨害し充填性を低下させる。そこで本発明の不
定形耐火物では、このような施工作業性を低下させる原
因である鱗状黒鉛及び/または炭素質繊維を、耐火原料
と共にペレットに成形して粒状物として扱える形状とし
て添加するものである。
【0018】鱗状黒鉛及び/または炭素質繊維を用いな
い配合物、もしくは添加量が5重量%未満の場合には、
本発明のようにペレット化して配合する必要がない。少
なくとも5重量%の鱗状黒鉛及び/または炭素質繊維を
含有するペレットでなければ、本発明の効果が明確に表
れない。ペレットには、鱗状黒鉛及び/または炭素質繊
維に加えて、炭素質材料として、人造黒鉛、コークス、
カーボンブラック等の炭素や、樹脂粉末、ピッチ粉等の
加熱により炭素を形成する材料を混合使用することもで
きる。
【0019】ペレットを構成する炭素質材料以外の要素
は、耐火原料である。ペレットに使用される耐火原料は
特に限定されるものではないが、不定形耐火物全体を構
成する主たる耐火材料と同質の耐火原料が好ましい。例
えば、不定形耐火物全体として、アルミナ−カーボン質
である場合には、ペレットに使用される耐火原料も、ア
ルミナを主体とするものが好ましく、マグネシア−カー
ボン質である場合には、マグネシアを主体としたものが
好ましい。ペレット以外の耐火性粉体部とペレットとの
結合強度を安定なものにするため、両者の特性の差異を
考慮して高温下で使用される状態で、不要な歪み等を生
じさせないよう配慮すべきである。
【0020】ペレットを成形するにあたって、結合剤と
して不定形耐火物全体を結合するのに用いられるのと同
種の樹脂を用いることが、本発明の重要な要素である。
即ち、ペレットに使用される結合剤が、不定形耐火物全
体の結合剤である樹脂液部と異なるものである場合、不
定形耐火物全体としてみると、ペレットの内外で結合が
連続的でなく、また、結合様式の違いに起因した特性の
差異、例えば熱膨張・収縮特性などの差により、加熱中
もしくは高温下において、ペレットと周囲との結合が切
れてしまうことが経験された。従って、不定形耐火物全
体を結合する樹脂液部と同種の樹脂を結合剤として用い
てペレットを成形することにより、施工時には樹脂液部
のペレットへの浸潤性及びなじみ性が良好となり、加熱
昇温時並びに高温下での使用時のいずれの状態において
も、施工体全体として安定した結合を保つことが可能と
なった。なお、ここで同種の樹脂とは、樹脂液部に例え
ばフェノール樹脂溶液を用い、不定形耐火物全体の結合
剤とする場合には、ペレットの結合剤にもフェノール樹
脂を用いるということであり、これが液体であるか粉末
であるか、粘度に違いがあるか等の樹脂の特性に拘わる
点については、余り考慮する必要はない。
【0021】ペレットを成形する方法について、種々検
討した結果、少なくとも加圧して造粒する方法でなけれ
ば、鱗状黒鉛及び/または炭素質繊維を含有する混合材
料を、均質にかつ緻密にペレット状に成形することは困
難であることが判明した。ペレットを構成する材料、特
に変形できない耐火原料の粒度や、必要とするペレット
の大きさにより、使用できる成形機の形式が左右される
が、例えば単発形、圧縮ロータリ形等の打錠形造粒機、
ブリケット形造粒機、押出式ではあるが高圧力で押し込
むディスクペレッター等を使用するのがよい。重要なこ
とは、このような造粒機を用いて成形されたペレットの
気孔率である。
【0022】ペレットの配合、成形方法によっては、気
孔率を1.5〜2%にすることも可能であるが、本発明
の不定形耐火物では、気孔率が3〜12%のペレットを
用いる。ペレット自体を考えれば、気孔率が小さい方
が、耐食性に優れ、強度も高く、良好であると判断され
る。しかし、不定形耐火物全体においては、ペレットは
他の耐火材料と同様に粒として挙動する。従って、個々
のペレットの気孔率が低過ぎると、不定形耐火物全体と
して施工されたとき、結合剤である樹脂液部が十分にペ
レットに浸潤することができず、表面接着に止まり、強
固な結合組織を形成することができない。一方、ペレッ
トの気孔率が12%を超えると、ペレット自体の強度が
不足し、混練中に割れを生じることがある。また、高気
孔率のペレットでは、鱗状黒鉛や炭素質繊維の添加によ
る充填性の悪さをカバーするために、わざわざペレット
に成形した意味がなくなる。このような理由から、ペレ
ットの気孔率は3〜12%がよい。
【0023】ペレットのサイズは不定形耐火物の施工方
法によって変更されるべきであるが、通常最大長さが3
〜100mm程度のものが使用される。3mm未満のサ
イズのペレットでは、気孔率のばらつきが大きく安定し
た物性のものが得られにくい。最大サイズは、本発明の
不定形耐火物が施工される施工体の大きさにもよるが、
100mmを超えると混練しにくく実用的ではない。最
も好ましくは、4〜50mm程度のサイズである。ペレ
ットは他の耐火材料と同様に不定形耐火物全体の粒度構
成を考慮して2種以上の異なるサイズのペレットを粒度
配分して混合使用するのが好ましい。ただし、原料であ
る鱗状黒鉛の粒度や炭素質繊維の長さによっては、ペレ
ットのサイズがある程度限定されることもあるので、特
定サイズのペレットを集中使用した方が良い場合もあ
る。
【0024】なお、本発明の不定形耐火物に使用するペ
レットは、成形されたそのままの形状であることが必要
である。大型形状に成形した後、破砕等により粒状とし
たものは、破砕された粒の表面に、鱗状黒鉛や炭素質繊
維の一端が現れ、施工性が低下するので好ましくない。
【0025】本発明の不定形耐火物の耐火性粉体部は、
基本的には、従来の炭素含有不定形耐火物と同様に耐火
材料と炭素質材料とその他の添加物とからなる。ここ
で、本発明の不定形耐火物では、耐火性材料と同様に粒
状物として扱える炭素質材料の一種として前記ペレット
を混合使用するものであり、(ペレットの総炭素量)/
(耐火性粉体部の総炭素量)の重量比が0.5以上であ
る、即ち、耐火性粉体部中の総炭素量の50%以上がペ
レットから供給されるようにペレット中の鱗状黒鉛及び
/または炭素質繊維並びに他の炭素質材料の配合量やペ
レットの配合量を調整する。
【0026】鱗状黒鉛を炭素源とし、マグネシアを耐火
材料とした不定形耐火物について試作実験を行った結果
を図1に示す。鱗状黒鉛20%、2mm以下に粒度調整
した海水マグネシアクリンカー80%からなる配合物
に、レゾール型フェノール樹脂液を3%添加混練し、ブ
リケッティング造粒機により、最大長さ約10mmのペ
レットを成形し、150℃で24時間加熱処理を行っ
た。ペレットの気孔率は、n=5の平均値で5.1%で
あった。耐火性粉体部を形成する耐火材料には、海水マ
グネシアクリンカーを使用し、6mm以下の粒度で粒度
調整を行った。ペレットとマグネシアクリンカーと鱗状
黒鉛とを混合し、総炭素量が15%となるような耐火性
粉体部を配合・作成した。ただし、この実験ではペレッ
トは1種類の形状のものを使用したので、流し込み配合
物にするため、微粉にはマグネシアを使用する必要があ
り、ペレットの最大添加量は75%であった。これにレ
ゾール型フェノール樹脂液を添加混練し、振動流し込み
を行い40×40×160mmの試料を作成した。試料
を非酸化雰囲気1000℃で3時間加熱した後の見掛け
気孔率及び3点曲げ強度を測定した。耐火性粉体部中の
15%の総炭素量のうち、ペレットから供給される炭素
量比率を横軸に、気孔率及び曲げ強度を縦軸にプロット
したのが図1である。
【0027】ペレットを全く用いないものでは、試料の
気孔率は50%近い。(ペレットの総炭素量)/(耐火性
粉体部の総炭素量)の重量比が約0.5程度以上で気孔率
を大幅に低下させることができる。該重量比が約0.
領域では、安定して低気孔率の施工体が得られる。曲
げ強度は、気孔率の変化とは対称的に該重量比が約0.
5以上の領域で高い値が得られる。この実験から明白な
ように、不定形耐火物全体に必要な炭素源を、そのまま
耐火材料と混合使用するのでは、鱗状黒鉛のような偏平
な形状の炭素の場合、成形時の充填性が得られず、高気
孔率で低強度の施工体しか得られない。即ち、(ペレッ
トの総炭素量)/(耐火性粉体部の総炭素量)の重量比が
約0.5以上とすることにより、気孔率の低下、強度向
上の効果が著しいことが判る。
【0028】本発明の不定形耐火物の耐火性粉体部にお
けるペレット以外の耐火材料は、特に限定されるもので
はないが、ペレットを構成する耐火材料と類似の性質を
もつ耐火材料が好ましい。耐火材料の種類は、本発明の
不定形耐火物が使用される用途の環境、例えば使用温
度、雰囲気成分、スラグ成分等によって選択されるべき
であり、高炉樋や混銑車等の比較的酸性度の強いスラグ
にさらされる用途では、SiO2、ZrO2、Al23
SiC等を主体とする酸性ないし中性の耐火材がよく、
一方、転炉や電気炉等の塩基度の比較的高いスラグに対
してはMgO、CaO、Al23、Cr23等を主体と
する塩基性ないし中性の耐火材料が適当である。
【0029】ペレットと耐火材料とからなる耐火性粉体
部中の総炭素量は、少なくとも5%以上が好ましい。5
%未満では炭素添加の効果が少なく、一方、実用的に3
5%以下の量で充分な効果がある。また、これらの耐火
材料は、不定形耐火物のそれぞれの施工方法に応じた適
切な粒度構成となるように調整されて用いられるべきで
ある。例えば、振動流し込み施工用の場合には、流動性
を重視して粗粒ないし微粉域までの連続粒度とすること
が一般的である。他の施工法として、スタンプ、振動加
圧、吹付け、こて塗り、圧入等があるが、それぞれの施
工性、充填性を考慮して粒度調整を行った耐火材料を用
いることが好ましい。流動性改善、充填性の向上のため
に、超微粉を添加した粒度配合も必要な場合がある。
【0030】本発明の不定形耐火物の耐火性粉体部に
は、ペレットとは別に炭素質材料を少量添加した方がよ
いことがある。前記したように、充填性の面からは鱗状
黒鉛や炭素質繊維を混合しない方がよいが、ペレットは
あくまで粒であり、粉ではないので、炭素質材料の全量
をペレットに依存する配合物の場合、微粉マトリックス
部には結合剤である樹脂液部の炭化による炭素分以外に
炭素質材料がない状態となり、ペレットとの間に熱的、
機械的特性差が生じ、かえって好ましくない状態となる
ことがある。これは、特に総炭素量が20%以上という
ように多く含有する不定形耐火物で顕著である。そこ
で、耐火性粉体部には施工性、即ち成形性を余り阻害し
ない炭素質材料として、できるだけ人造黒鉛、コーク
ス、カーボンブラック等や、鱗状黒鉛をピッチや樹脂な
どでコーティングしたり耐火性微粉と強制混合するなど
の前処理によって粒状物とした形態で添加することが好
ましい。いずれにしても、ペレットとは別に添加する炭
素質材料の添加量は、(ペレット総炭素量)/(耐火性
粉体部の総炭素量)の重量比が0.5以上に止どめるべ
きである。
【0031】なお、本発明の不定形耐火物の耐火性粉体
部には、微粉の分散性を高めるために少量の界面活性剤
を添加することが可能である。更に、加熱後の樹脂の炭
化によるカーボンボンドを安定にさせたり、熱間強度を
向上させるために、Al、Si、Mg等の金属粉または
合金粉や、SiC、B4C、CaB6等の炭化物や硼化物
等を添加することもできる。樹脂液部の炭化によるカー
ボンボンドを補強するために、粉末の樹脂や、ピッチ、
メソフェーズカーボン等の加熱により炭素を生成する粉
末状の材料を少量添加することも可能である。また、こ
れらの界面活性剤、金属粉、合金粉、炭化物、硼化物、
炭素生成材料などをペレット中に少量添加することも可
能である。
【0032】
【実施例】表1に示すように、6種のペレットを作成し
た。1〜4は本発明の不定形耐火物に用いられるペレッ
トであり、5は結合剤に樹脂ではなく燐酸ソーダを用い
たペレットであり、6はマグネシアクリンカーの粒度及
びブリケッターへの材料供給速度の調整により、気孔率
を1.8%としたものである。
【0033】
【表1】
【0034】これらのペレットを用いて表2に示す不定
形耐火物を作成し、各施工法による施工体を成形した。
本発明品1、2及び5は、振動をかけながら流し込み施
工を行い、本発明品3は、振動をかけながら振動板の自
重で加圧しながら施工し成形体を得た。成形体を110
℃−24時間加熱後40×40×160mmに切り出
し、試料とした。本発明品4は、成形方法としては熱間
流し込みであるが、いわゆる熱間補修用に用いられる焼
付材であり、1000℃の熱間で耐火物製のサヤに鋳込
み、冷却後40×40×160mmに切り出して試料と
した。比較品6〜8は、いずれも本発明品1、2及び5
と同様に振動をかけながら流し込み成形を行った。これ
らの試料を還元雰囲気下1000℃で3時間加熱処理し
た後の、見掛気孔率と曲げ強度を測定した。また、14
00℃での熱間曲げ強度の比較試験を行った。
【0035】
【表2】
【0036】表2から明らかなように、本発明品は、い
ずれも炭素を含有した不定形耐火物として低気孔率であ
り、かつ高強度である。一方、比較品6は、ペレットを
使用しない不定形耐火物であるが、気孔率が著しく高
く、強度も低い。比較品7は、結合剤に燐酸ソーダを用
いたペレットを添加し、アルミナセメントを不定形耐火
物の結合剤としたものであるが、1000℃加熱後の気
孔率は低いにも拘わらず、強度が著しく低い。比較品8
は、気孔率が低いペレットを用いたもので、(ペレット
の総炭素量)/(耐火性粉体部の総炭素量)の重量比が0.
417である不定形耐火物であり、気孔率がかなり高
く、強度も低い。
【0037】
【発明の効果】鱗状黒鉛及び/または炭素質繊維は、耐
火物の耐スポーリング性や強度向上のために非常に効果
的な材料であり、既に耐火れんがにおいては広く実用さ
れているが、不定形耐火物の場合、特に成形性を低下さ
せることに起因して満足な充填性もしくは施工体強度を
得るのが困難であった。本発明の不定形耐火物により、
このような鱗状黒鉛や炭素質繊維を多量に添加使用して
も、施工性に優れ、低気孔率であり、加熱後及び熱間で
高強度である施工体を容易に得ることができる。このよ
うに、鱗状黒鉛や炭素質繊維を含有しつつ、緻密で高強
度の施工体が得られるので、炭素のスラグに対する濡れ
性が悪いという性質によって、スラグ浸潤が少なく、ス
ラグ侵食抵抗性に優れた不定形耐火物が得られるように
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】不定形耐火物における(ペレットの総炭素量)/
(耐火性粉体部の総炭素量)の重量比と気孔率(%)及び曲
げ強度の関係を示す図である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火性粉体部100重量部及び樹脂液部
    4〜15重量部からなる樹脂結合炭素含有不定形耐火物
    において、前記耐火性粉体部が、ペレット及び耐火材料
    よりなり、該ペレットが少なくとも5重量%の鱗状黒鉛
    及び/または炭素質繊維と残部が耐火材料からなる混合
    物に結合剤として前記樹脂液部と同種の樹脂を用いて加
    圧成形された気孔率3〜12%のものであり、かつ(ペ
    レットの総炭素量)/(耐火性粉体部の総炭素量)の重量
    比が0.5以上であることを特徴とする樹脂結合炭素含
    有不定形耐火物。
  2. 【請求項2】 ペレットの最大寸法が3〜100mmで
    ある請求項1記載の樹脂結合炭素含有不定形耐火物。
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