JP2018184315A - カーボン含有キャスタブル耐火物およびカーボン含有キャスタブル耐火物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭化珪素を40質量%以上含む使用後の高炉樋スラグライン材14を再利用したカーボン含有キャスタブル耐火物であって、粒径2mm以下の使用後の高炉樋スラグライン材14を3〜50質量%と、粒径20μm以下の易焼結性アルミナ及び/又は仮焼アルミナを3〜25質量%と、スピネル含有物及び/又はアルミナ含有物を20〜80質量%とを、骨材の一部又は全部として含有し、上記骨材の合計量が87〜99.5質量%である、カーボン含有キャスタブル耐火物。ただし、上記アルミナ含有物は、上記易焼結性アルミナ及び上記仮焼アルミナ以外のアルミナ含有物である。
【選択図】図1
Description
このため、高炉樋耐火物のうち、スラグライン部に使用されるスラグライン材は、耐火物原料としては高価な炭化珪素を40質量%以上含んでいるが、ほとんど再利用されていない。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
粒径2mm以下の使用後の高炉樋スラグライン材を3〜50質量%と、
粒径20μm以下の易焼結性アルミナ及び/又は仮焼アルミナを3〜25質量%と、
スピネル含有物及び/又はアルミナ含有物を20〜80質量%とを、骨材の一部又は全部として含有し、
上記骨材の合計量が87〜99.5質量%である、カーボン含有キャスタブル耐火物。
ただし、上記アルミナ含有物は、上記易焼結性アルミナ及び上記仮焼アルミナ以外のアルミナ含有物である。
(2) 上記(1)に記載されるカーボン含有キャスタブル耐火物であって、さらに、
アルミナセメント、シリカゾル及びアルミナゾルからなる群より選択される少なくとも1種の結合剤を0.5〜10質量%と、
ポリアクリル酸系分散剤及び/又はリグニンスルホン酸系分散剤を外掛けで0.03〜0.6質量%と、
ナフタレンスルホン酸系分散剤を外掛けで0.03〜0.6質量%とを含有する、カーボン含有キャスタブル耐火物。
ただし、上記アルミナゾルは上記易焼結性アルミナ及び仮焼アルミナ以外のアルミナのゾルである。
(3) 上記(1)又は(2)に記載されるカーボン含有キャスタブル耐火物であって、さらに、
炭素質原料を6質量%以下、及び/又は、炭化珪素を5質量%以下含有する、カーボン含有キャスタブル耐火物。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載のカーボン含有キャスタブル耐火物であって、さらに、
金属アルミニウムを外掛けで0.01〜1.0質量%含有する、カーボン含有キャスタブル耐火物。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の各原料を配合し、混合することで、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のカーボン含有キャスタブル耐火物を製造するカーボン含有キャスタブル耐火物の製造方法であって、
上記使用後の高炉樋スラグライン材を、高炉樋スラグライン部を解体後、粉砕し最大粒径が5mm以上40mm以下の粒子を一次磁選で地金除去した後に、その後の二次磁選で一次磁選より高い磁場を印加し酸化鉄を含むスラグを除去することで製造する、カーボン含有キャスタブル耐火物の製造方法。
より具体的には、本発明の使用後の高炉樋スラグライン材を原料として含むカーボン含有キャスタブル耐火物は、混水量を増やすことなく高炉樋耐火物(特に、炭化珪素を10〜25質量%含むメタルライン材)や傾注樋耐火物、焼却炉炉体耐火物として施工できる。これにより、施工後の見かけ気孔率が高くなることを抑制でき、耐食性の低下を抑制できる。
また、本発明によれば、上記カーボン含有キャスタブル耐火物の製造方法を提供することができる。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明の耐火物が各原料について複数の原料を含有する場合、その原料の含有量とは合計の含有量を指す。
本発明のカーボン含有キャスタブル耐火物(以下、単に「本発明の耐火物」とも言う)は、炭化珪素を40質量%以上含む使用後の高炉樋スラグライン材を再利用したカーボン含有キャスタブル耐火物であって、粒径2mm以下の使用後の高炉樋スラグライン材を3〜50質量%と、粒径20μm以下の易焼結性アルミナ及び/又は仮焼アルミナを3〜25質量%と、スピネル含有物及び/又はアルミナ含有物を20〜80質量%とを、骨材の一部又は全部として含有し、上記骨材の合計量が87〜99.5質量%である。ただし、上記アルミナ含有物は上記易焼結性アルミナ及び上記仮焼アルミナ以外のアルミナ含有物である。
本発明の耐火物は、このような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
上述のとおり、本発明の耐火物は、粒径20μm以下の易焼結性アルミナ及び/又は仮焼アルミナ(以下、粒径20μm以下の易焼結性アルミナと仮焼アルミナをまとめて「特定アルミナ」とも言う)を含有する。特定アルミナは粒径が小さいため、上記使用後スラグライン材等の他の原料と混ざり易く、また、特定アルミナの表面は上記使用後スラグライン材等の他の原料との親和性が高い。そのため、本発明の耐火物を用いて施工した場合、見かけ気孔率が低く、且つ、極めて均質な成形体が得られるものと考えられる。結果として、本発明の耐火物は優れた耐食性を示すものと推測される。
上述のとおり、本発明の耐火物は、粒径2mm以下の使用後の高炉樋スラグライン材を3〜50質量%含有する。なお、本明細書において、各原料の含有量は、使用後スラグライン材、特定アルミナ、使用後スラグライン材及び特定アルミナ以外の骨材(例えば、スピネル含有物及び/又はアルミナ含有物)、炭素質原料(ピッチ、カーボンブラック等)、炭化珪素、並びに、結合剤の合計を100質量%とした値である。以下、「使用後の高炉樋スラグライン材」を「使用後スラグライン材」とも言う。
粒径2mm以下の使用後スラグライン材の含有量が3質量%に満たないと、炭化珪素の添加量が少なくなり、カーボンの酸化を防止する効果が低下するので好ましくない。また、粒径2mm以下の使用後スラグライン材の含有量を50質量%より多くすると、炭化珪素の添加量が多くなりすぎて、高炉樋メタルライン材へ適用した場合には溶銑に対する耐食性が低下するので好ましくない。
粒径2mm以上の使用後スラグライン材は、炭化珪素の粒径が大きく、カーボンの酸化防止剤としての性能が低下する上に、5質量%を超えて混入すると、高炉樋メタルライン材へ適用した場合には溶銑による浸食を受けたときに、一度に大きく浸食されてしまうために、好ましくない。
また、本発明の効果がより優れる理由から、本発明の耐火物に使用される使用後スラグライン材には炭化珪素が40質量%以上含まれることが好ましい。
上記使用後スラグライン材の粒径の下限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.01mm以上であることが好ましい。
なお、粒径が2mm以下とは、目開き2mmの篩いでふるい、篩下に篩分けされる粒径である。
以下に、本発明で使用される使用後スラグライン材を製造する製造方法の好適な態様を示す。ただし、これに限定されるものではない。
なお、メタルライン材12およびスラグライン材14は、キャスタブル耐火物を流し込み施工されることで形成されるのが好ましい。また、メタルライン材12は炭化珪素を10〜25質量%、スラグライン材14は、炭化珪素を50質量%以上含有するのが好ましい。
スラグライン材の成分は通常Al2O3=11〜30質量%、SiC=64〜82質量%、SiO2=1〜2%、C=2〜5質量%、メタルライン材の成分はAl2O3=60〜74質量%、MgO=3〜17.5質量%、SiC=10〜25質量%、SiO2=0.2〜1%、C=3.5〜6質量%が一般的である。
上述のとおり、本発明の耐火物は、粒径20μm以下の易焼結性アルミナ及び/又は仮焼アルミナを3〜25質量%含有する。以下、「粒径20μm以下の易焼結性アルミナ及び/又は仮焼アルミナ」を「特定アルミナ」とも言う。
特定アルミナの含有量を3質量%より少なくすると、微粉中のアルミナ濃度が低く、使用後の高炉樋スラグライン屑中に存在する炭素や炭化珪素によって疎水性が高まるので良好な流動性が得られない。また、特定アルミナの含有量を25質量%よりも多くすると、混水量は、原料の比表面積に比例して増やすので、混水量が増えることによって緻密な施工体が得られない。
なお、本発明の耐火物が易焼結性アルミナ及び仮焼アルミナの両方を含む場合には、特定アルミナの含有量とは合計の含有量である。
特定アルミナの粒径は、本発明の効果がより優れる理由から、0.3〜20μmであることが好ましい。
なお、本明細書において、特定アルミナの粒径は、レーザ回折法により測定したものとする。
上述のとおり、本発明の耐火物は、スピネル含有物及び/又はアルミナ含有物を20〜80質量%含有する。ただし、上記アルミナ含有物は、上述した特定アルミナ以外のアルミナ含有物である。
本発明の耐火物に含有されるスピネル含有物は特に制限されないが、例えば、電融スピネル、焼結スピネルなどが挙げられる。なお、以下、スピネル含有物を単に「スピネル」とも言う。
また、アルミナ含有物は特に制限されないが、例えば、ブラウンアルミナ、電融アルミナ、焼結アルミナ、ボーキサイト、ダイアスポア、ばん土頁岩などが挙げられる。なお、以下、アルミナ含有物を単に「アルミナ」とも言う。
本発明の組成物において、骨材の合計量は、87〜99.5質量%である。
本発明の耐火物は、その他の原料を含有していてもよい。
そのような原料としては、例えば、その他骨材(上述した使用後スラグライン材、特定アルミナ、スピネル含有物、及び、アルミナ含有物以外の骨材)、炭素質原料、炭化珪素、結合剤、並びに、分散剤がある。必要に応じて更に、繊維類、硬化時間調整剤、及び、増粘剤等を外掛けで1%以下程度含んでもよい。
なお、本明細書において、外掛けとは、含有量の基準となる「上述した合計100質量%」に当該原料を含めないことを意図する。
上述した使用後スラグライン材及び特定アルミナ以外の骨材としては、従来公知の原料を用いることができ、例えば、炭化硼素質原料等が挙げられる。
本発明の耐火物には、本発明の効果がより優れる理由から、ピッチ、カーボンブラック等の炭素質原料が含まれることが好ましい。また、本発明の効果がより優れる理由から、上述した使用後スラグライン材には炭素質原料が含まれることが好ましい。原料に、炭素質原料が含まれる使用後スラグライン材を使用することで、本発明の耐火物には、これら炭素質原料が含有されるが、それに加えて、適宜ピッチ、カーボンブラック等の炭素質原料を6質量%以下添加してもよい。
本発明の耐火物には、本発明の効果がより優れる理由から、炭化珪素も含まれることが好ましい。原料に、炭化珪素が含まれる使用後スラグライン材を使用することで、本発明の耐火物には、炭化珪素が含有されるが、それに加えて、適宜炭化珪素を5質量%以下添加してもよい。
上記結合剤としては、アルミナセメント、シリカゾル、アルミナゾル、水硬性遷移アルミナ、ケイ酸塩、リン酸塩などが挙げられる。ただし、上記アルミナゾルは上述した特定アルミナ以外のアルミナのゾルである。
本発明の耐火物は、本発明の効果がより優れる理由から、アルミナセメント、シリカゾル及びアルミナゾルからなる群より選択される少なくとも1種の結合剤を含有するのが好ましく、アルミナセメントを含有するのがより好ましい。
本発明の耐火物において、結合剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.5〜10質量%であることが好ましく、2〜2.5質量%であることがより好ましい。
上記分散剤としては、特に限定されないが、例えば、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性ヘキサメタリン酸ソーダなどのアルカリ金属リン酸系分散剤;ポリカルボン酸ソーダなどのポリカルボン酸系分散剤;アルキルスルホン酸系分散剤;ナフタレンスルホン酸系分散剤などの芳香族スルホン酸系分散剤;ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸系分散剤;リグニンスルホン酸系分散剤;等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ナフタレンスルホン酸系分散剤、ポリアクリル酸系分散剤、及び、リグニンスルホン酸系分散剤が好ましい。
本発明の耐火物において、分散剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述した合計100質量%に対して、外掛けで、0.01〜1.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.25質量%であることが好ましい。
本発明の耐火物において、ポリアクリル酸系分散剤及び/又はリグニンスルホン酸系分散剤の含有量(ポリアクリル酸系分散剤及びリグニンスルホン酸系分散剤を含有する場合は合計の含有量)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述した合計100質量%に対して、外掛けで、0.03〜0.6質量%であることが好ましく、0.05〜0.1質量%であることがより好ましい。
また、本発明の耐火物において、ナフタレンスルホン酸系分散剤は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述した合計100質量%に対して、外掛けで、0.03〜0.6質量%であることが好ましく、0.05〜0.1質量%であることがより好ましい。
このような態様にすることにより耐食性がより向上する理由は明らかではないが、流動性がさらに向上し、結果として、見かけ気孔率がさらに低減するためと推測される。
本発明の耐火物は、本発明の効果がより優れる理由から、金属アルミニウムを含有するのが好ましい。
本発明の耐火物において、金属アルミニウムの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述した合計100質量%に対して、外掛けで、0.01〜1.0質量%であることが好ましい。
金属アルミニウムの粒径は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1〜75μmであることが好ましい。
なお、本明細書において、金属アルミニウムの粒径は、レーザ回折法により測定したものとする。
上述した本発明の耐火物をする方法は特に制限されないが、得られる耐火物の耐食性がより優れる理由から、
上述した各原料を配合し、混合することで、上述した本発明の耐火物を製造する方法であって、上述した使用後の高炉樋スラグライン材を、高炉樋スラグライン部を解体後、粉砕し最大粒径が5mm以上40mm以下の粒子を一次磁選で地金除去した後に、その後の二次磁選で一次磁選より高い磁場を印加し酸化鉄を含むスラグを除去することで製造する方法であることが好ましく、
上述した各原料を配合し、混合することで、上述した本発明の耐火物を製造する方法であって、上述した使用後の高炉樋スラグライン材を、高炉樋スラグライン部を解体後、粉砕し最大粒径が5mm以上40mm以下の粒子を一次磁選で地金除去した後に、その後の二次磁選で一次磁選より高い磁場を印加し酸化鉄を含むスラグを除去し、密度差を利用してスラグライン材のみを分離し、2mm以下に粉砕することで製造する方法であることがより好ましい。本発明の耐火物、及び、粒径2mm以下の使用後の高炉樋スラグライン材の製造方法については、上述のとおりである。
下記表1〜4に示される各原料を同表に示される割合(質量%)で配合し(合計2.5kg)、混合することで各キャスタブル耐火物を製造した。
なお、表1〜4中、金属アルミニウム及び分散剤の割合は、骨材(使用後スラグライン材、スピネル、アルミナ(電融アルミナ、焼結アルミナ、易焼結性アルミナ、仮焼アルミナを含む))と炭化珪素と炭素質原料(カーボンブラック、ピッチ)と結合剤(アルミナセメント)との合計100質量%に対する外掛けの割合(質量%)を表す。
また、表1〜4中、粒径は各原料の粒径を表す。例えば、「8−0mm」は粒径が8mm以下(0mm超8mm以下)であることを表す。
また、本発明例11で使用した使用後スラグライン材は、高炉主樋を解体した後、0.3テスラ未満の磁力(磁束密度)でもって1回目の磁力選鉱(一次磁選)により地金を除去し、0.3テスラ以上の磁力(磁束密度)でもって2回目の磁力選鉱(二次磁選)を行ったものからスラグライン材を密度分離し、粉砕して得たものであり、Al2O3を38.8質量%、SiCを42.0質量%、Cを3.2質量%、SiO2を4.9質量%、MgOを7.0質量%で含むものである。
得られたキャスタブル耐火物に下記表1〜4の混水量に示される量の水を添加して混練した。ここで、混水量とは、流し込み施工を行うのに最低限必要な水の量であり、値は、上記キャスタブル耐火物の合計100質量%に対する外掛けの割合(質量%)である。
そして、混練後のキャスタブル耐火物を(53/78)×35×160mmの台形柱及び40×40×160mmの直方体の型枠に鋳込んで卓上バイブレータにて20秒間加振した。その後、1日放置したのち脱枠し、110℃×24時間乾燥した。このようにして成形体を作製した。
得られた成形体(40×40×160mm)について、水を用いたアルキメデス法を用いて見かけ気孔率を測定した。結果を表1〜4に示す。見かけ気孔率は小さい方が好ましい。
得られた成形体((53/78)×35×160mm)について、耐食性を評価した。具体的には、コークスブリーズ中にて1400℃×3時間の還元焼成を行った後、8本一組にして高周波誘導炉内に設置した。その中に銑鉄6.8kgを溶解して1600℃×3時間保持した。1600℃に到達した後に高炉スラグを200g投入し、1時間毎にスラグを入れ替えた。そして、試験前後の寸法変化が最も大きかった部位の寸法変化を測定した。結果を表1〜4に示す。結果は、バージン原料を用いた参考例1(表1〜2)又は参考例2(表3〜4)の試験前後の寸法変化を100とした指数(溶損指数)で表した。溶損指数が小さい方が耐食性に優れることを意味する。また、溶損指数が105以下であると、炭化珪素を10〜25質量%含む高炉メタルライン材として耐食性に優れることを意味する。
本発明例1と2との対比から、使用後スラグライン材の含有量が20質量%以下である本発明例2は、より優れた耐食性を示した。
また、本発明例1と3との対比から、特定アルミナの粒径が20μm以下である本発明例3は、使用後スラグライン材の含有量が多いにも関わらず、より優れた耐食性を示した。同様に、本発明例12と15と16との対比から、特定アルミナの粒径が20μm以下である本発明例16は、使用後スラグライン材の含有量が多いにも関わらず、より優れた耐食性を示した。
また、本発明例1と9との対比から、使用後スラグライン材が同量の場合、全骨材の含有量が92質量%である本発明例1より97.5質量%である本発明例9の方がより優れた耐食性を示した。同様に、本発明例10と18との対比から、使用後スラグライン材が同量の場合、全骨材の含有量が92.5質量%である本発明例10より98質量%である本発明例18の方がより優れた耐食性を示した。
また、本発明例9と本発明例10を比較すると、本発明例10の方が、アルミナセメント量が0.5質量%と少なく、全骨材量の含有量が99.5質量%と多いが、溶損指数はほぼ同等であった。
また、本発明例1と5との対比から、仮焼アルミナを含有する本発明例5は、使用後スラグライン材の含有量が多いにも関わらず、より優れた耐食性を示した。
また、本発明例2と6との対比から、ポリアクリル酸系分散剤を含有する本発明例2は、より優れた耐食性を示した。
また、本発明例1と8との対比から、ポリアクリル酸系分散剤及び/又はリグニンスルホン酸系分散剤を外掛けで0.03〜0.6質量%とナフタレンスルホン酸系分散剤を外掛けで0.03〜0.6質量%とを含有する本発明例1は、より優れた耐食性を示した。同様に、本発明例12と19との対比から、ポリアクリル酸系分散剤及び/又はリグニンスルホン酸系分散剤を外掛けで0.03〜0.6質量%とナフタレンスルホン酸系分散剤を外掛けで0.03〜0.6質量%とを含有する本発明例12は、より優れた耐食性を示した。
また、本発明例1と本発明例11を比較すると、本発明例11は使用後スラグライン材中の炭化珪素の含有量が42.0質量%と本発明例1の52.0質量%より少ないが、使用後スラグライン材をキャスタブル耐火物中に30質量%と本発明例1より多く添加することにより、同等の耐食性を得ることが出来た。
そして、上述した使用後スラグライン材の代わりに、使用後スラグライン材(A〜E)を用いた以外は上述した本発明例と同様にキャスタブル耐火物を製造し、評価を行ったところ、同様の結果が得られ、いずれの使用後スラグライン材(A〜E)を使用した場合にも優れた耐食性を示すことが確認された。
12 メタルライン材
14 スラグライン材
16 溶銑
18 高炉スラグ
19 永久張りキャスタブル
Claims (5)
- 炭化珪素を40質量%以上含む使用後の高炉樋スラグライン材を再利用したカーボン含有キャスタブル耐火物であって、
粒径2mm以下の使用後の高炉樋スラグライン材を3〜50質量%と、
粒径20μm以下の易焼結性アルミナ及び/又は仮焼アルミナを3〜25質量%と、
スピネル含有物及び/又はアルミナ含有物を20〜80質量%とを、骨材の一部又は全部として含有し、
前記骨材の合計量が87〜99.5質量%である、カーボン含有キャスタブル耐火物。
ただし、前記アルミナ含有物は、前記易焼結性アルミナ及び前記仮焼アルミナ以外のアルミナ含有物である。 - 請求項1に記載されるカーボン含有キャスタブル耐火物であって、さらに、
アルミナセメント、シリカゾル及びアルミナゾルからなる群より選択される少なくとも1種の結合剤を0.5〜10質量%と、
ポリアクリル酸系分散剤及び/又はリグニンスルホン酸系分散剤を外掛けで0.03〜0.6質量%と、
ナフタレンスルホン酸系分散剤を外掛けで0.03〜0.6質量%とを含有する、カーボン含有キャスタブル耐火物。
ただし、前記アルミナゾルは前記易焼結性アルミナ及び仮焼アルミナ以外のアルミナのゾルである。 - 請求項1又は2に記載されるカーボン含有キャスタブル耐火物であって、さらに、
炭素質原料を6質量%以下、及び/又は、炭化珪素を5質量%以下含有する、カーボン含有キャスタブル耐火物。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボン含有キャスタブル耐火物であって、さらに、
金属アルミニウムを外掛けで0.01〜1.0質量%含有する、カーボン含有キャスタブル耐火物。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の各原料を配合し、混合することで、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーボン含有キャスタブル耐火物を製造するカーボン含有キャスタブル耐火物の製造方法であって、
前記使用後の高炉樋スラグライン材を、高炉樋スラグライン部を解体後、粉砕し最大粒径が5mm以上40mm以下の粒子を一次磁選で地金除去した後に、その後の二次磁選で一次磁選より高い磁場を印加し酸化鉄を含むスラグを除去することで製造する、カーボン含有キャスタブル耐火物の製造方法。
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