JP5949426B2 - アルミナ−クロミア−マグネシア質耐火れんが - Google Patents
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Description
上述のように、アルミナ質耐火物にクロミアを添加する際には耐スポーリング性の低下が問題となるが、アルミナ−マグネシア質耐火れんがにおいても同様に耐スポーリング性の低下が問題となる。その問題を解決するため、本発明者らは、耐スポーリング性低下の原因についての調査したところ、以下のことが判明した。アルミナ質耐火物のマトリックスにアルミナ−クロミア固溶体を生成する条件では、緻密で高弾性率な耐火物となって、耐スポーリング性が低下する。同時の強度も上昇するが、弾性率が大きくなる影響の方が大きい。つまり、耐スポーリング性を向上させるためには、マトリックスでのアルミナ−クロミア固溶体の生成をできるだけ抑制すると良いことがわかった。
本発明のアルミナ−クロミア−マグネシア質耐火れんがは、アルミナ原料、クロミア原料及びマグネシア原料を主原料として使用するものである。
ここで、アルミナ質原料としては、ホワイト電融アルミナやブラウン電融アルミナのような電融アルミナや焼結アルミナ、焼成ボーキサイトや焼成バン土頁岩のような天然アルミナなどを使用することできる。
ここで、本明細書においては、粒径10μm以下の粒子を「超微粉」と記載し、粒径10μm以下の部分を「超微粉部」と記載するものとする。
本発明の耐火れんがにおいて、超微粉部のAl2O3含有量は、20質量%未満、好ましくは10質量%未満、更に好ましくは2質量%未満である。超微粉部にAl2O3とCr2O3が共存すると、Al2O3・Cr2O3固溶体が生成しやすくなり、その結果、前述のように耐スポーリング性が低下する。一方、耐火れんがに使用されるCr2O3は、通常超微粉であるため、Cr2O3を配合すると、超微粉部にCr2O3が必ず存在することになる。一方、Al2O3は、本発明の耐火れんがのベース原料であるため、各種の粒度に配合可能である。このため、本発明においては、超微粉部でのAl2O3を極力少なくすることが肝要である。超微粉部のAl2O3が20質量%以上になると、Cr2O3と反応によって生成するAl2O3・Cr2O3固溶体の生成量が多くなって焼結が進行し、緻密な高弾性率の材料となり、耐スポーリング性が低下するためこのましくない。
以下の表1及び表2に記載する原料配合及び化学成分割合にて、各種原料を配合し、必要に応じて水を添加して得た練土をフリクションプレスを用いて1トン/cm2の成形圧力で230mm×150mm×80mmに成形し、得られた成形体を200℃で24時間乾燥することにより本発明品及び比較品の耐火れんがを得た。
・クロミア質原料は、粒径10μm以下の超微粉である。
・電融マグネシアの粒度0.5mm以下の微粉量は、90質量%である;
・海水マグネシアクリンカーの粒度0.5mm以下の微粉量は、90質量%である;
・珪酸ナトリウムは、Na2O・nSiO2・xH2Oの化学組成を持つ粉末で、SiO2含有量は53質量%、Na2O含有量は25質量%である;
・フェノール樹脂は、樹脂分60質量%のノボラック型フェノール樹脂溶液である;
・10μm以下のクロミアとアルミナの質量比はそれぞれの原料中の10μm以下の質量比より計算した。なお、各原料の粒度分布は、45μm以上の粒子についてはJIS Z8801に規定する篩を用いて湿式篩法で測定し、45μm未満の粒子についてはレーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製:SALD−2200)で測定した;
・化学成分は、JIS R2216に従って蛍光X線分析法で測定した;
・1500℃焼成後試料の圧縮強度は約60mmの直方体試料を作成し、箱型電気炉を使用して5℃/分で昇温し、1500℃到達後3時間保持し焼結した試料を準備し、この試料についてJIS R2206に従って測定した;
・1500℃焼成後の弾性率及び残存膨張率は、115mm×35mm×35mmの試料を箱型電気炉を使用して5℃/分で昇温し、1500℃到達後3時間保持することにより焼結した試料を、弾性率は、グラインドソニック法(GS法)(J.W.LEMMENS-ELEKTONIKA製グラインドソニックMK3−S型)で測定し、残存膨張率は、長手方向の焼成前後の寸法変化より算出した;
・1500℃荷重下膨張率は、熱間クリープ測定用試料(φ50mm×50mm)を作成し、JIS R2658に従い、1MPaの荷重をかけた状態で昇温(5℃/分)して1500℃に達した時点で膨張量を測定した;
・耐食試験は、酸素−プロパン加熱による回転ドラム侵食試験により、長さ200mmで横断面が台形(「65/100mm、厚さ50mm」)の試料を用いて行い、侵食剤としてSiO2を34質量%、Fe2O3を15質量%、Al2O3を12質量%、CaOを30質量%含む合成スラグを用い、1600℃、5時間の条件で実施した。侵食剤は1時間毎に取り換え、試験後の試料を長手方向に中央で切断し、侵食量を測定した。なお、侵食量は、本発明品3を基準とし指数化したものである。また、試験後試料のスラグ浸潤量からスラグ浸潤性を評価した浸潤量も侵食量と同様に本発明品3を基準とし指数化したものである。
また、「1500℃焼成後弾性率」が高くなると、割れやすくなり耐スポーリング性が低下するため、「1500℃焼成後弾性率」は低いことが好ましい。
更に、「残存膨張」は、小さすぎると耐スラグ浸潤性が低下する問題が起こり、大きすぎると耐火れんがの応力に伴う剥離のような問題は発生する。
また、「荷重下膨張」は、小さすぎると摩耗など物理的な損耗に対して弱くなってしまい、大きすぎると十分な応力緩和が行われず、セリ割れ等の損傷が予想される。
更に、耐食試験における「侵食量」及び「浸潤量」は、高いことが好ましい。
これに対して、比較品1は、クロミアを含まず、比較例2はCr2O3含有量が本発明の範囲を下回っているものであるが、いずれも侵食量が大きく耐食性が不十分であることが判る。
また、比較品3は、Cr2O3含有量が本発明の範囲を上回っているものであり、耐食性は十分に持っているものの、1500℃焼成後圧縮強度が小さくなっている。これはクロミアの含有量が多くなりすぎ、焼結を阻害しているためと考えられる。圧縮強度が不足すると、実機使用中に圧壊・崩壊してしまう可能性がある。また、浸潤量も多くなっている。
比較品4は、MgO含有量が本発明の範囲を下回っているものであり、1500℃焼成後残存膨張率が小さくなっている。膨張率が不足していることと、MgO含有量が少ないことにより浸潤量が多くなっており、耐食性が低下している。
比較品5は、MgO含有量が本発明の範囲を上回っているものであり、残存膨張率が大きくなりすぎ、応力緩和性だけでは膨張を吸収しきれずセリ割れが懸念される。今回実施した耐食試験後の試料にも亀裂が確認され、耐火れんが形状がより大きい実機使用では問題がある。
比較例6は、SiO2含有量が本発明の範囲を下回っており、比較品8は、Na2O+K2Oの含有量が範囲を本発明の範囲を下回っているもので、どちらの試料でも1500℃荷重下膨張率が大きくなっている。これは高温での液相生成量が少ないためと考えられる。1500℃荷重下膨張率が大きいと、膨張に伴う応力を吸収しきれないと考えられ、実機使用時にはセリ割れや圧壊等が考えられる。
比較品7は、SiO2含有量が本発明の範囲を上回っており、比較品9は、Na2O+K2Oの含有量が範囲を本発明の範囲を上回っているもので、どちらの試料も侵食量が大きく、耐食性が低下している。また、1500℃荷重下膨張率が−4%を下回っており、熱間では過剰に液相が生成していると考えられる。このため発生した液相が耐食性を低下させており、クロミアを配合したことによる耐食性向上効果を打ち消してしまったと考えられる。
比較品10及び11は、超微粉部のアルミナ比率が本発明の範囲を上回っているものであり、どちらの試料も1500℃焼成後圧縮強度及び弾性率は高くなっているために好ましくない。これはアルミナとクロミアが固溶し、マトリックスにおいて焼結が進行したためである。また、耐食性についても本発明品3に比べて劣っており、熱間でマトリックスの焼結が進行すると、耐食性も低下するものと判断される。これらにより、超微粉部のアルミナ比率が本発明の範囲を超えると、耐用が低下してしまうため好ましくない。
Claims (2)
- アルミナ質原料、クロミア質原料及びマグネシア質原料を主原料として使用するアルミナ−クロミア−マグネシア質耐火れんがであって、Al2O3、Cr2O3及びMgOの合計量が85質量%以上であり、Cr2O3を5〜40質量%、MgOを4〜20質量%、SiO2を0.5〜5質量%、Na2OとK2Oの合計量で0.3〜2質量%及び不可避不純物を8質量%以下の量で含有してなり、残部がAl2O3よりなり、且つ10μm以下の超微粉領域でのAl2O3の割合が20質量%未満であることを特徴とするアルミナ−クロミア−マグネシア質耐火れんが。
- マグネシア質原料は、粒度0.5mm以下の微粉を90質量%以上含む、請求項1記載のアルミナ−クロミア−マグネシア質耐火れんが。
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