JPH0868212A - スライディングネット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高層建築物等の施工躯体において、作業員、
作業工具、資材などの落下を確実に防止することがで
き、しかも盛り替え作業に多大な手間を要することな
く、簡易に盛り替えることができるスライディングネッ
トを提供すること。 【構成】 高層建築物等の施工躯体の外周に沿って立設
される少なくとも一対の支柱と、該支柱を交互に上昇或
いは降下させる昇降手段と、上記支柱に張設され、施工
躯体の所定階分を被覆するネット部材とを備えてなるこ
とを特徴とするスライディングネット。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はスライディングネット、
更に詳細には高層建築物等の施工躯体の外周において所
定階分を被覆し、上下方向に滑動し得るスライディング
ネットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、高層建築物等の施工において
は、床スラブの完成後に、作業員、作業工具、資材など
の落下を防止するために、施工躯体外周の各柱間にワイ
ヤーロープを張設したり、上層階よりネットを吊り下げ
て施工躯体の下層階外周を被覆するなどといった対策が
とられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
施工躯体外周の各柱間にワイヤーロープを張設するとい
った対策では、床スラブ上の所定の高さに単にワイヤー
ロープを張ったに過ぎないため作業員、作業工具などの
落下を確実に防止することが難しかった。一方、後者の
上層階よりネットを吊り下げて下層階外周を被覆すると
いった対策では、盛り替え作業に多大な手間を要するう
え、高所での作業となるため危険が伴うといった欠点が
ある。

【０００４】本発明は上記従来の技術の欠点に着目し、
これを解決せんとしたものであり、その目的は高層建築
物等の施工躯体において、作業員、作業工具、資材など
の落下を確実に防止することができ、しかも盛り替え作
業に多大な手間を要することなく、簡易に盛り替えるこ
とができるスライディングネットを提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的に鑑
みてなされたものであり、その要旨とするところは、高
層建築物等の施工躯体の外周において立設される少なく
とも一対の支柱と、該支柱を交互に上昇或いは降下させ
る昇降手段と、上記支柱に張設され、施工躯体の所定階
分を被覆するネット部材とを備えてなることを特徴とす
るスライディングネットにある。

【０００６】上記支柱は、プラスチック、鉄、ステンレ
ス等の適当な材料から成形することができるが、軽量化
するために、アルミニウム等の材料から成形することが
好ましい。また、所定階分を被覆する上記ネット部材の
張設に対応して、少なくとも一方の支柱を施工躯体の複
数階分に相当する高さに設計する。

【０００７】昇降手段としては、各支柱を互いに連繋
し、交互に上昇或いは降下させるようなワイヤー式巻き
上げ装置、油圧シリンダーを備えるジャッキ装置、スク
リューネジジャッキ、ボールスクリュー等適当な手段を
用いることができ、支柱に張設したネット部材を簡易に
上下方向に滑動させることができる。

【０００８】ネット部材としては、繊維状体或いは索条
体のものをから編成した網（ネット）、シートカバー等
を掲げることができ、適当なものを用いることができ
る。これによって作業員、作業工具、資材等の落下を確
実に防止することができる。また、ネット部材がスムー
ズに張設できるように、例えば複数のポール等を上記支
柱に実質的に直角に交差する水平方向に並設して用いる
ことも可能である。

【０００９】

【作用】本発明のスライディングネットは、施工躯体の
外周に沿って立設した少なくとも一対の支柱が、昇降手
段によって交互に上昇或いは降下する。これに伴って支
柱に張設したネット部材が、施工躯体の所定階分を被覆
しながら上下方向に滑動する。これによって高層建築物
等の施工躯体において、作業員、作業工具、資材などの
落下を確実に防止することができると共に、上記ネット
部材を簡易に盛り替えることができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

【００１１】図１は本発明のスライディングネットの実
施例を示す概略正面図、図２は図１の概略左側面図、図
３は図１の３−３線に沿う概略断面図、図４は図１の４
−４線に沿う概略断面図である。

【００１２】施工躯体において作業員、作業工具、資材
などの落下を確実に防止する本発明のスライディングネ
ットは、図１及び図２に図示するように、高層建築物等
の施工躯体の外周において立設する支柱１０，１０’
と、該支柱１０，１０’を交互に上昇或いは降下させる
ウインチ２０，２０’と、上記支柱１０，１０’に張設
され、施工躯体の３階分を被覆するネット３０とで主要
部が構成される。

【００１３】支柱１０，１０’は、横断面が正方形状に
形成されたプラスチック製のパイプであり、軸方向に適
当な間隔をおいて後述する各部材（２０，２１，２８）
を取り付けるための取付孔１０ａ（図３）、及び取付作
業用孔１０ｂ（図４及び図５）を複数備える。

【００１４】また、支柱１０の下端付近の側面にはウイ
ンチ２０が設けられており、支柱１０’の下端付近の側
面にはウインチ２０’が設けられている（図１）。支柱
１０に設けたウインチ２０では、支柱１０’上端のフッ
ク２６に連繋したワイヤーロープ２２を弛張調整でき、
支柱１０’に設けたウインチ２０’では、支柱１０下端
のフック２７に連繋したワイヤーロープ２３を弛張調整
できるようになっている。

【００１５】更に、支柱１０の軸方向には、各支柱１
０，１０’を互いに摺動し得る状態で一体化するスライ
ドガイド２１が（図１及び図２）、図３に図示するよう
に、スライドガイド２１の固着孔２１ａ及び支柱１０の
ガイド取付孔１０ａに嵌挿したボルト２１ｂの締着によ
って、適当に間隔をおいて取り付けられていると共に、
当該支柱１０，１０’を施工躯体の外周において立設す
るファスナー２８が（図２）、図４に図示するように、
ファスナー２８の固着孔２８ａ及び支柱１０のファスナ
ー取付孔１０ｂに嵌挿したボルト２８ｂを締着すること
で、等間隔に取り付けられている。このファスナー２８
の取付作業は、支柱１０において（図４）、ファスナー
取付孔１０ｂに対抗する位置に設けた取付作業用孔１０
ｄからトルクレンチ（図示する）を挿入し、上記ボルト
２８ｂを締着するといった手順で行なわれている。

【００１６】上記ファスナー２８は、図５に図示するよ
うに、鉄、ステンレス、アルミニウム等の材料から成形
されたＬ型の部材であって、上記固着孔２８ａを各面に
４つ穿設している。ここでファスナー２８は、支柱１０
に取り付けられており、これを施工躯体の床スラブに固
定することにより、上述した摺動可能に一体化した支柱
１０，１０’を施工躯体の外周において立設することが
できる（図２）。

【００１７】上述したように施工躯体の外周において立
設した支柱１０には、ネット部材３０を簡易に張設する
ためのネットポール３１が、ネットポール固定部１１に
取り付けられるようになっており、ネットポール固定部
１１にネットポール３１を取り付けることによってネッ
ト部材３０の簡易な張設が可能となる。また、施工躯体
の床スラブと、支柱１０に張設されたネット部材３０と
の間にできる支柱厚の隙間は、帯状等の他のネット部材
（図示せず）を用いて塞ぐことができる。

【００１８】上記支柱１０，１０’を交互に上昇或いは
降下させるためのウインチ２０は、図６に図示するよう
に、ワイヤーロープ２２を回巻した巻取りリール２０ａ
と、該巻取りリール２０ａを回転軸２０ｇを介して回転
させ得る大歯車２０ｂと、該大歯車２０ｂと噛合し得る
小歯車２０ｃと、該小歯車２０ｃを回転軸２０ｈを介し
て回転させ得る逆転防止車２０ｄと、該逆転防止車２０
ｄの逆回転を掛止し得る逆転防止爪２０ｅと、上記回転
軸２０ｈと一体的に形成したハンドル２０ｆとで構成さ
れており、該ウインチ２０の固着孔２０ｉ及び支柱１０
のウインチ取付孔１０ｃに嵌挿したボルト２０ｊを締着
することによって支柱１０に取り付けられている。この
取り付け作業も、上述したファスナー２８の取り付けと
同様に、ウインチ取付孔１０ｃに対抗する位置に設けた
取付作業用孔１０ｄからトルクレンチ（図示する）を挿
入し、上記ボルト２０ｊを締着するといった手順で行な
われる。図７には図６のウインチ２０の概略左側面図を
示されており、ウインチ２０の側面には、逆転防止車２
０ｄの逆回転を掛止し得る逆転防止爪２０ｅのＯＮ／Ｏ
ＦＦを制御する切り換えスイッチ２０ｋと、上記ハンド
ル２０ｆが配設されている。

【００１９】また、図８には図６の逆転防止爪２０ｅ及
び逆転防止爪車２０ｄの側面図を示されている。図６〜
図８を参照してウインチ２０の操作を説明すると、まず
ハンドル２０ｆを回すことによって回転軸２０ｈを介し
て逆転防止爪車２０ｄを回転させることができる（図
８）。そして回転軸２０ｈの回転に従って小歯車２０ｃ
が回転する。次いで小歯車２０ｃと噛合する大歯車２０
ｂが回転すると共に、回転軸２０ｈを介して巻取りリー
ル２０ａが回転する。こうしてワイヤーロープ２２を巻
取ることができる。

【００２０】一方、ウインチ２０’は、上述したウイン
チ２０と実質的に同様の機能を備えており、同様の手順
によって支柱１０’に取り付けられるものである。ここ
では、図６中において対称部材に括弧書番号を付し重複
説明を避ける。

【００２１】次に、施工躯体の外周において立設した本
発明のスライディングネットの盛り替え手順を図９
（ａ）〜（ｄ）に基づいて説明する。

【００２２】図９（ａ）には上述したスライディングネ
ットを施工躯体の外周において立設した状態を示してい
る。この時、ファスナー２８は支柱１０に取り付けられ
ており、これによって施工躯体に固定されている。ま
ず、ウインチ２０において切り換えスイッチ２０ｋをＯ
Ｎ（逆転防止爪２０ｅによって逆転防止爪車２０ｄの逆
転を掛止する）にすると共に、ウインチ２０’において
切り換えスイッチ２０ｋ’をＯＦＦ（逆転防止爪２０
ｅ’による逆転防止爪車２０ｄ’の逆転掛止を解除す
る）にしておき、ウインチ２０のハンドルｆを回すこと
によってワイヤーロープ２２を巻取り、図９（ｂ）に図
示するように支柱１０’を上昇させる。次いで、支柱１
０’にファスナー２８を取り付けて、施工躯体に固定し
た後、支柱１０に取り付けていたファスナー２８を取り
外す。そして、ウインチ２０’において切り換えスイッ
チ２０ｋ’をＯＮ（逆転防止爪２０ｅ’によって逆転防
止爪車２０ｄ’の逆転を掛止する）にすると共に、ウイ
ンチ２０において切り換えスイッチ２０ｋをＯＦＦ（逆
転防止爪２０ｅによる逆転防止爪車２０ｄの逆転掛止を
解除する）にする（図９（ｃ））。支柱１０’に取り付
けたウインチ２０’のハンドルｆ’を回すことによって
ワイヤーロープ２３を巻取り、図９（ｄ）に図示するよ
うに支柱１０を上昇させ、これに伴って支柱１０に張設
したネット部材を上昇させることができる。

【００２３】また、スライディングネットを降下させる
手順は、上述した盛り替え手順の逆を行なうことによっ
て簡易に行なうことができる（図示せず）。

【００２４】図１０（ａ）及び（ｂ）には、本発明のス
ライディングネットの他の態様を示している。ここで
は、図示するように複数組の支柱１０，１０’を備える
Ａ及びＢのブロックからなっている（図１０（ａ））。
これを盛り替える際には、図１０に図示するように、上
述した盛り替え作業を各ブロックＡ，Ｂ毎に行なうこと
で上層階へ盛り替えることができる。この時、各ブロッ
クＡ，Ｂにおける複数組の支柱１０，１０’は同期して
上昇させる。

【００２５】

【発明の効果】本発明のスライディングネットでは、高
層建築物等の施工躯体の外周において交互に上昇或いは
降下する少なくとも一対の支柱を立設すると共に、この
支柱に上記施工躯体の所定階分を被覆するネット部材を
張設するようにしたので、支柱の上昇或いは降下に伴っ
てネット部材が上記施工躯体の所定階分を被覆しながら
上下方向に滑動し、高層建築物等の施工躯体において、
作業員、作業工具、資材などの落下を確実に防止するこ
とができ、しかも当該ネット部材の盛り替え作業をも簡
易に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のスライディングネットの実施例を示す
概略正面図である。

【図２】図１の概略左側面図である。

【図３】図１の３−３線に沿う概略断面図である。

【図４】図１の４−４線に沿う概略断面図である。

【図５】図２のファスナー２８を拡大して示す概略斜視
図である。

【図６】図１のウインチ２０を拡大して示す概略正面図
である。

【図７】図６の概略右側面図である。

【図８】図６の逆転防止爪２０ｈ及び逆転防止爪車２０
ｅを示す側面図である。

【図９】（ａ）〜（ｄ）は本発明のスライディングネッ
トの上昇手順を示す概略工程図である。

【図１０】（ａ）〜（ｂ）は本発明のスライディングネ
ットの他の態様を示す概略正面図である。

【符号の説明】

１０，１０’ 支柱 １１ ネットポール固定部 ２０，２０’ ウインチ ２１ スライドガイド ２２，２３ ワイヤーロープ ２４，２５ プーリー ２６，２７ フック ２８ ファスナー ３０ ネット ３１ ネットポール Ａ，Ｂ ブロック

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高層建築物等の施工躯体の外周において
   立設される少なくとも一対の支柱と、該支柱を交互に上
   昇或いは降下させる昇降手段と、上記支柱に張設され、
   施工躯体の所定階分を被覆するネット部材とを備えてな
   ることを特徴とするスライディングネット。