JPH0867954A - 高耐食性ジルコニウム合金の製造方法 - Google Patents
高耐食性ジルコニウム合金の製造方法Info
- Publication number
- JPH0867954A JPH0867954A JP20087194A JP20087194A JPH0867954A JP H0867954 A JPH0867954 A JP H0867954A JP 20087194 A JP20087194 A JP 20087194A JP 20087194 A JP20087194 A JP 20087194A JP H0867954 A JPH0867954 A JP H0867954A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat treatment
- heat
- working
- corrosion resistance
- heat treating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】原子力発電プラントの核燃料被覆管等に用いら
れる、高温水や高温水蒸気環境で優れた耐食性に優れ、
加工性も良好なジルコニウム合金の製造方法を提供す
る。 【構成】重量%で、Sn:0.4 〜1.7 %、Fe:0.25〜0.75
%、Cr:0.05〜0.30%、Ni: 0〜0.10%、Nb: 0〜 1.0
%を含有するジルコニウム合金素材を溶体化処理後熱間
加工および/または冷間加工を行うに際に、その加工に
伴なうα相領域での熱処理を、i番目の熱処理工程での
入熱量を下式の熱処理パラメーターAi で表す時に各熱
処理工程での熱処理パラメーターの合計値ΣAi が 8.5
×10-16 〜 2.1×10-14 となる範囲で行う高耐食性ジル
コニウム合金の製造方法。 Ai =ti ×exp(-65000/ RTi ) Ai :i番目の熱処理工程での熱処理パラメーター ti :i番目の熱処理工程での熱処理時間(時間) Ti :i番目の熱処理工程での熱処理温度(K) R:気体定数(cal/mol ・ K )
れる、高温水や高温水蒸気環境で優れた耐食性に優れ、
加工性も良好なジルコニウム合金の製造方法を提供す
る。 【構成】重量%で、Sn:0.4 〜1.7 %、Fe:0.25〜0.75
%、Cr:0.05〜0.30%、Ni: 0〜0.10%、Nb: 0〜 1.0
%を含有するジルコニウム合金素材を溶体化処理後熱間
加工および/または冷間加工を行うに際に、その加工に
伴なうα相領域での熱処理を、i番目の熱処理工程での
入熱量を下式の熱処理パラメーターAi で表す時に各熱
処理工程での熱処理パラメーターの合計値ΣAi が 8.5
×10-16 〜 2.1×10-14 となる範囲で行う高耐食性ジル
コニウム合金の製造方法。 Ai =ti ×exp(-65000/ RTi ) Ai :i番目の熱処理工程での熱処理パラメーター ti :i番目の熱処理工程での熱処理時間(時間) Ti :i番目の熱処理工程での熱処理温度(K) R:気体定数(cal/mol ・ K )
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力発電プラントの
核燃料被覆管等に用いられる、高温水や高温水蒸気環境
で優れた耐食性を有するジルコニウム合金の製造方法に
関する。
核燃料被覆管等に用いられる、高温水や高温水蒸気環境
で優れた耐食性を有するジルコニウム合金の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】炉心を水で冷却する原子炉の核燃料被覆
管等の構成部材として、熱中性子に対する吸収断面積が
他の原子核に比べて小さいジルコニウムが用いられてい
る。特に、加圧水型軽水炉(PWR)にはジルカロイ−
4 (ASTM B353,UNS No.R60804)が、沸騰水型軽水炉(B
WR)にはジルカロイ−2 (ASTM B353,UNS No.R60802)
が実用化されている。これらのジルコニウム合金は、微
量のSn、Fe、CrやNiを含有させることで高温水や高温水
蒸気環境で優れた耐食性を有している。
管等の構成部材として、熱中性子に対する吸収断面積が
他の原子核に比べて小さいジルコニウムが用いられてい
る。特に、加圧水型軽水炉(PWR)にはジルカロイ−
4 (ASTM B353,UNS No.R60804)が、沸騰水型軽水炉(B
WR)にはジルカロイ−2 (ASTM B353,UNS No.R60802)
が実用化されている。これらのジルコニウム合金は、微
量のSn、Fe、CrやNiを含有させることで高温水や高温水
蒸気環境で優れた耐食性を有している。
【0003】しかし、近年の電力供給源としての原子力
発電の比重が高まる中で、より効率的な発電のため核燃
料の高燃焼度化が計画されている。それに伴い核燃料被
覆管等の原子炉の構成部材に対しても従来以上の高耐食
化、長寿命化が望まれている。
発電の比重が高まる中で、より効率的な発電のため核燃
料の高燃焼度化が計画されている。それに伴い核燃料被
覆管等の原子炉の構成部材に対しても従来以上の高耐食
化、長寿命化が望まれている。
【0004】特開昭63−213629号公報には、ASTM規格で
規定されたジルコニウム合金よりもSn量を低くし、Sn、
Fe、Crの合計量を規定することで高耐食性を達成させる
技術が、特開昭61−270360号公報には、押出工程、冷間
圧延の間でα相領域の625 〜750 ℃で、熱処理パラメー
ターA(本発明のΣAi に相当する)が2.3 ×10-14の
臨界値を超える条件で焼鈍を行うことで耐食性を向上さ
せる技術が開示されている。
規定されたジルコニウム合金よりもSn量を低くし、Sn、
Fe、Crの合計量を規定することで高耐食性を達成させる
技術が、特開昭61−270360号公報には、押出工程、冷間
圧延の間でα相領域の625 〜750 ℃で、熱処理パラメー
ターA(本発明のΣAi に相当する)が2.3 ×10-14の
臨界値を超える条件で焼鈍を行うことで耐食性を向上さ
せる技術が開示されている。
【0005】しかし、核燃料の高燃焼度化の動きの中
で、より高い耐食性が要求されており、特開昭63−2136
29号公報や特開昭61−270360号公報に開示された技術で
は不十分であった。さらに、特開昭61−270360号公報に
開示された技術は、各焼鈍工程の入熱量が大きい高温、
長時間の焼鈍が必要なため、エネルギーコストの上昇や
生産性の低下といった問題を有している。
で、より高い耐食性が要求されており、特開昭63−2136
29号公報や特開昭61−270360号公報に開示された技術で
は不十分であった。さらに、特開昭61−270360号公報に
開示された技術は、各焼鈍工程の入熱量が大きい高温、
長時間の焼鈍が必要なため、エネルギーコストの上昇や
生産性の低下といった問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解消し、原子力発電プラントの核燃料被覆管等に用
いられる、高温水や高温水蒸気環境で優れた耐食性を有
するジルコニウム合金の製造方法を提供することにあ
る。
点を解消し、原子力発電プラントの核燃料被覆管等に用
いられる、高温水や高温水蒸気環境で優れた耐食性を有
するジルコニウム合金の製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
より高耐食性を有するジルコニウム合金を得るために検
討を重ねた結果、 ASTMの規定よりも高いFe含有量とすることで耐食性が
向上すること。
より高耐食性を有するジルコニウム合金を得るために検
討を重ねた結果、 ASTMの規定よりも高いFe含有量とすることで耐食性が
向上すること。
【0008】Fe含有量を高めた場合、加工に伴う熱処
理条件を従来の知見とは逆に低温で短時間側の低入熱量
とすることで、従来レベルよりも良好な耐食性を有する
製品が得られること。
理条件を従来の知見とは逆に低温で短時間側の低入熱量
とすることで、従来レベルよりも良好な耐食性を有する
製品が得られること。
【0009】以上の知見を得、本発明を完成させるに至
った。
った。
【0010】ここに本発明は、重量%で、Sn:0.4 〜
1.7%、Fe:0.25〜0.75%、Cr:0.05〜0.30%、Ni:0
〜0.10%、Nb: 0〜 1.0%を含有するジルコニウム合金
素材を用いて、溶体化処理後熱間加工および/または冷
間加工を行うに際して、その加工に伴なうα相領域での
熱処理を、i番目の熱処理工程での入熱量を下式の熱処
理パラメーターAi で表す時に各熱処理工程での入熱量
の合計値ΣAi が 8.5×10-16 〜 2.1×10-14 の範囲で
行う高耐食性ジルコニウム合金の製造方法である。
1.7%、Fe:0.25〜0.75%、Cr:0.05〜0.30%、Ni:0
〜0.10%、Nb: 0〜 1.0%を含有するジルコニウム合金
素材を用いて、溶体化処理後熱間加工および/または冷
間加工を行うに際して、その加工に伴なうα相領域での
熱処理を、i番目の熱処理工程での入熱量を下式の熱処
理パラメーターAi で表す時に各熱処理工程での入熱量
の合計値ΣAi が 8.5×10-16 〜 2.1×10-14 の範囲で
行う高耐食性ジルコニウム合金の製造方法である。
【0011】Ai =ti ×exp(-65000/ RTi ) Ai :i番目の熱処理工程での熱処理パラメーター ti :i番目の熱処理工程での熱処理時間(時間) Ti :i番目の熱処理工程での熱処理温度(K) R:気体定数(cal/mol ・ K )
【0012】
【作用】次に、本発明を詳細に説明する。
【0013】まず、本発明のジルコニウム合金の組成に
ついて説明するが、以下「%」は「重量%」のことであ
る。
ついて説明するが、以下「%」は「重量%」のことであ
る。
【0014】Sn:0.4 〜1.7 % Snは不可避不純物である窒素による耐食性の劣化を抑制
するために含有させる。また、機械的強度を確保する働
きもある。Sn含有量が 0.4%未満では機械的強度が確保
できない。一方、 1.7%を超えて含有させると逆に耐食
性を低下させる。したがい、Snの含有量を0.4 〜1.7 %
とした。
するために含有させる。また、機械的強度を確保する働
きもある。Sn含有量が 0.4%未満では機械的強度が確保
できない。一方、 1.7%を超えて含有させると逆に耐食
性を低下させる。したがい、Snの含有量を0.4 〜1.7 %
とした。
【0015】Fe:0.25〜0.75% Feは耐食性および機械的強度を確保するために含有させ
る。Fe含有量が0.25%未満では耐食性を確保することが
できず、機械的強度も不十分となる。一方、Fe含有量が
0.75%を超えると、本発明の熱処理条件では加工性が低
下し、冷間加工時に表面肌荒れが発生し、割れに至る場
合もある。したがい、Feの含有量は0.25〜0.75%とした
が、強度確保の点からは、 0.4%超えた量、また、加工
性確保の点から0.65%以下とするのが好ましい。
る。Fe含有量が0.25%未満では耐食性を確保することが
できず、機械的強度も不十分となる。一方、Fe含有量が
0.75%を超えると、本発明の熱処理条件では加工性が低
下し、冷間加工時に表面肌荒れが発生し、割れに至る場
合もある。したがい、Feの含有量は0.25〜0.75%とした
が、強度確保の点からは、 0.4%超えた量、また、加工
性確保の点から0.65%以下とするのが好ましい。
【0016】Cr:0.05〜0.30% CrはFeと同様に耐食性、強度確保のために含有させる。
Cr含有量が0.05%未満では耐食性の向上効果が認められ
ない。一方、0.30%を超えて含有させると加工性が低下
するため、Crの含有量は0.05〜0.30%とした。
Cr含有量が0.05%未満では耐食性の向上効果が認められ
ない。一方、0.30%を超えて含有させると加工性が低下
するため、Crの含有量は0.05〜0.30%とした。
【0017】Ni:0 〜0.10% Niはさらなる耐食性改善のため必要に応じて含有させる
元素である。この効果を得るためにNiを積極的に含有さ
せる場合は、 0.005%以上とするのが好ましい。また、
腐食反応で発生した水素を吸収する働きもあり、過度の
含有は機械的性質に悪影響を及ぼすため、含有させる場
合の上限は0.10%である。
元素である。この効果を得るためにNiを積極的に含有さ
せる場合は、 0.005%以上とするのが好ましい。また、
腐食反応で発生した水素を吸収する働きもあり、過度の
含有は機械的性質に悪影響を及ぼすため、含有させる場
合の上限は0.10%である。
【0018】Nb:0 〜1.0 % Nbは、Niと同様にさらなる耐食性の向上のため必要に応
じて含有させる元素である。その効果を得るために積極
的に含有させる場合は、0.05%以上が好ましい。一方、
1.0 %を超えて含有すると耐食性、加工性を低下させる
ため上限は1.0 %とした。
じて含有させる元素である。その効果を得るために積極
的に含有させる場合は、0.05%以上が好ましい。一方、
1.0 %を超えて含有すると耐食性、加工性を低下させる
ため上限は1.0 %とした。
【0019】次に、熱処理条件について説明する。
【0020】ジルコニウム合金素材からジルコニウム合
金を製造する工程は、まず溶体化処理を行った後に、熱
間加工を行い、その後数回の冷間加工を行うが、熱間加
工や冷間加工前後での軟化および冷間加工後の歪取りを
目的としてα相領域での熱処理が行われる。α相領域で
熱処理を行うのは、固溶限を超えて析出した金属間化合
物を再固溶させないためである。また、組成によって若
干異なるが、好ましい温度範囲は 560〜 700℃である。
ただし、工程の最後に行う最終焼鈍は、製品の歪取りを
目的としているため、 450〜 500℃の範囲で行えばよ
い。
金を製造する工程は、まず溶体化処理を行った後に、熱
間加工を行い、その後数回の冷間加工を行うが、熱間加
工や冷間加工前後での軟化および冷間加工後の歪取りを
目的としてα相領域での熱処理が行われる。α相領域で
熱処理を行うのは、固溶限を超えて析出した金属間化合
物を再固溶させないためである。また、組成によって若
干異なるが、好ましい温度範囲は 560〜 700℃である。
ただし、工程の最後に行う最終焼鈍は、製品の歪取りを
目的としているため、 450〜 500℃の範囲で行えばよ
い。
【0021】さらに、本発明の熱処理条件は、熱間加工
や冷間加工に伴なうα領域での熱処理を、i番目の熱処
理工程での入熱量を下式の熱処理パラメーターAi で表
す時に、各熱処理工程での熱処理パラメーターの合計値
ΣAi が 8.5×10-16 〜 2.1×10-14 の範囲で行うこと
が必要である。
や冷間加工に伴なうα領域での熱処理を、i番目の熱処
理工程での入熱量を下式の熱処理パラメーターAi で表
す時に、各熱処理工程での熱処理パラメーターの合計値
ΣAi が 8.5×10-16 〜 2.1×10-14 の範囲で行うこと
が必要である。
【0022】Ai =ti ×exp(-65000/ RTi ) Ai :i番目の熱処理工程での熱処理パラメーター ti :i番目の熱処理工程での熱処理時間(時間) Ti :i番目の熱処理工程での熱処理温度(K) R:気体定数(cal/mol ・ K ) ΣAi が 8.5×10-16 未満の場合は、加工性が低下し、
冷間加工時の表面肌荒れが発生して割れに至る場合もあ
る。さらに、耐食性も低下する。一方、ΣAiが 2.1×1
0-14 を超えると耐食性が低下すると共に、高温、長時
間の熱処理となるため、エネルギーコストの上昇や生産
性の低下を招くこととなり好ましくない。
冷間加工時の表面肌荒れが発生して割れに至る場合もあ
る。さらに、耐食性も低下する。一方、ΣAiが 2.1×1
0-14 を超えると耐食性が低下すると共に、高温、長時
間の熱処理となるため、エネルギーコストの上昇や生産
性の低下を招くこととなり好ましくない。
【0023】また、本発明の熱処理条件は溶体化処理以
降の熱処理工程での個々の入熱量の合計値で規定してい
るが、加工に伴うα相領域での熱処理は必須であり、加
工前または加工後の熱処理を省略して次の加工工程を行
った場合は、加工時に表面の肌荒れや割れが発生する。
降の熱処理工程での個々の入熱量の合計値で規定してい
るが、加工に伴うα相領域での熱処理は必須であり、加
工前または加工後の熱処理を省略して次の加工工程を行
った場合は、加工時に表面の肌荒れや割れが発生する。
【0024】個々の熱処理工程の条件は特に規定しな
く、α相領域に加熱されていればよい。熱処理パラメー
ターAi も特に限定しないが、各加工工程の間で行う熱
処理では 1.8×10-17 〜 5.0×10-15 、最終焼鈍では
3.4×10-20 〜 6.3×10-19 の範囲が好ましい。
く、α相領域に加熱されていればよい。熱処理パラメー
ターAi も特に限定しないが、各加工工程の間で行う熱
処理では 1.8×10-17 〜 5.0×10-15 、最終焼鈍では
3.4×10-20 〜 6.3×10-19 の範囲が好ましい。
【0025】以上のように、本発明は、従来の高温、長
時間の熱処理で耐食性が向上するという知見とは全く逆
の知見であり、Fe含有量を従来品より高めたジルコニウ
ム合金において、その加工に伴う熱処理条件を従来より
低入熱側に規定することにより、耐食性に優れたジルコ
ニウム合金を得ることができた。
時間の熱処理で耐食性が向上するという知見とは全く逆
の知見であり、Fe含有量を従来品より高めたジルコニウ
ム合金において、その加工に伴う熱処理条件を従来より
低入熱側に規定することにより、耐食性に優れたジルコ
ニウム合金を得ることができた。
【0026】その理由は、合金母材の結晶粒界近傍に析
出する金属間化合物が微細に、かつ高密度に分布するた
め、粒界近傍に酸化反応に対する保護領域が形成される
ためと考えられる。
出する金属間化合物が微細に、かつ高密度に分布するた
め、粒界近傍に酸化反応に対する保護領域が形成される
ためと考えられる。
【0027】また、本発明でいう熱間加工、冷間加工と
は、板材の場合には鍛造、圧延等が、管状材、棒材、線
材等の場合は鍛造、押出、抽伸等の加工方法が挙げられ
る。
は、板材の場合には鍛造、圧延等が、管状材、棒材、線
材等の場合は鍛造、押出、抽伸等の加工方法が挙げられ
る。
【0028】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例に基づいて説明
する。
する。
【0029】真空溶解、鋳造および鍛造にて表1に示す
組成を有する 177mmφのジルコニウム合金素材を準備し
た。その素材を表2および表3に示す工程に従い核燃料
被覆管用ジルコニウム合金管を製造した。なお、表中の
熱間加工は熱間押出、冷間加工は冷間圧延であり、熱処
理パラメーターの合計値ΣAi は表2および表3の処理
〜熱処理の個々の入熱量A1 〜A7 を合計した値で
ある。
組成を有する 177mmφのジルコニウム合金素材を準備し
た。その素材を表2および表3に示す工程に従い核燃料
被覆管用ジルコニウム合金管を製造した。なお、表中の
熱間加工は熱間押出、冷間加工は冷間圧延であり、熱処
理パラメーターの合計値ΣAi は表2および表3の処理
〜熱処理の個々の入熱量A1 〜A7 を合計した値で
ある。
【0030】この工程で製造されたジルコニウム合金管
の加工性を評価するために管表面の肌荒れ、割れ発生状
況を観察した。さらに、管から、長さ50mmのサンプルを
切り出し、表面を研磨して試験片とし、試験片を 400℃
の高圧水蒸気中に 150日間暴露し、試験前後の試験片の
重量測定により腐食増量を求めて耐食性の評価を行っ
た。その結果を表1に合わせて示す。
の加工性を評価するために管表面の肌荒れ、割れ発生状
況を観察した。さらに、管から、長さ50mmのサンプルを
切り出し、表面を研磨して試験片とし、試験片を 400℃
の高圧水蒸気中に 150日間暴露し、試験前後の試験片の
重量測定により腐食増量を求めて耐食性の評価を行っ
た。その結果を表1に合わせて示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】表1〜表3から、本発明の範囲内の組成お
よび熱処理条件で製造されたジルコニウム合金は耐食
性、加工性共に良好な結果を示している。一方、従来材
である合金NoA1は本発明範囲の熱処理条件であっても
耐食性が低下しており、Fe含有量が本発明範囲より高い
合金NoA4では耐食性は良好であるが、加工後の管表面
に肌荒れや割れが発生している。さらに、Sn含有量が本
発明範囲より高い合金No6では耐食性が低下している。
よび熱処理条件で製造されたジルコニウム合金は耐食
性、加工性共に良好な結果を示している。一方、従来材
である合金NoA1は本発明範囲の熱処理条件であっても
耐食性が低下しており、Fe含有量が本発明範囲より高い
合金NoA4では耐食性は良好であるが、加工後の管表面
に肌荒れや割れが発生している。さらに、Sn含有量が本
発明範囲より高い合金No6では耐食性が低下している。
【0035】また、熱処理時のΣAi が本発明範囲より
低い工程イで製造された管は耐食性、加工性共に悪くな
っており、ΣAi が本発明範囲より高い工程ホ(従来の
入熱量)で製造された管は耐食性の低下が見られる。ま
た、加工後の熱処理を省略した工程ヌで製造された管で
は割れが発生していた。
低い工程イで製造された管は耐食性、加工性共に悪くな
っており、ΣAi が本発明範囲より高い工程ホ(従来の
入熱量)で製造された管は耐食性の低下が見られる。ま
た、加工後の熱処理を省略した工程ヌで製造された管で
は割れが発生していた。
【0036】さらに、合金元素としてNi、Nbを添加した
鋼NoB1、B2、C1、C2、D1では添加しないもの
よりも優れた耐食性を示すが、従来の工程ホで製造した
場合には耐食性が低下している。
鋼NoB1、B2、C1、C2、D1では添加しないもの
よりも優れた耐食性を示すが、従来の工程ホで製造した
場合には耐食性が低下している。
【0037】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、高温水や高
温水蒸気環境で優れた耐食性を有するジルコニウム合金
を製造でき、核燃料被覆管等の原子力用構造部材の長寿
命化が図れると共に、従来より低い熱処理パラメーター
の熱処理が可能となり、エネルギーコストの低減だけで
なく、生産性の向上にも寄与できる。
温水蒸気環境で優れた耐食性を有するジルコニウム合金
を製造でき、核燃料被覆管等の原子力用構造部材の長寿
命化が図れると共に、従来より低い熱処理パラメーター
の熱処理が可能となり、エネルギーコストの低減だけで
なく、生産性の向上にも寄与できる。
【0038】
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、Sn: 0.4〜1.7 %、Fe:0.25〜
0.75%、Cr:0.05〜0.30%、Ni:0〜0.10%、Nb:0 〜
1.0 %を含有するジルコニウム合金素材を溶体化処理後
熱間加工および/または冷間加工するジルコニウム合金
の製造方法であって、前記加工に伴なうα相領域での熱
処理を、i番目の熱処理工程での入熱量を下式の熱処理
パラメーターAi で表す時に各熱処理工程での熱処理パ
ラメーターの合計値ΣAi が 8.5×10-16 〜 2.1×10
-14 の範囲で行うことを特徴とする高耐食性ジルコニウ
ム合金の製造方法。 Ai =ti ×exp(-65000/ RTi ) Ai :i番目の熱処理工程での熱処理パラメーター ti :i番目の熱処理工程での熱処理時間(時間) Ti :i番目の熱処理工程での熱処理温度(K) R:気体定数(cal/mol ・ K )
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20087194A JPH0867954A (ja) | 1994-08-25 | 1994-08-25 | 高耐食性ジルコニウム合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20087194A JPH0867954A (ja) | 1994-08-25 | 1994-08-25 | 高耐食性ジルコニウム合金の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0867954A true JPH0867954A (ja) | 1996-03-12 |
Family
ID=16431626
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20087194A Pending JPH0867954A (ja) | 1994-08-25 | 1994-08-25 | 高耐食性ジルコニウム合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0867954A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006028553A (ja) * | 2004-07-13 | 2006-02-02 | Toshiba Corp | ジルコニウム合金およびそれを利用したチャンネルボックス |
US7292671B1 (en) * | 1998-12-11 | 2007-11-06 | Westinghouse Electric Sweden Ab | Zirconium based alloy and component in a nuclear energy plant |
EP1225243B2 (en) † | 2001-01-19 | 2013-09-04 | Korea Atomic Energy Research Institute | Method for manufacturing a tube and a sheet of niobium-containing zirconium alloy for a high burn-up nuclear fuel |
US9099205B2 (en) | 2012-02-28 | 2015-08-04 | Korea Atomic Energy Research Institute | Zirconium alloys for a nuclear fuel cladding having a superior oxidation resistance in a reactor accident condition, zirconium alloy nuclear fuel claddings prepared by using thereof and methods of preparing the same |
US9111650B2 (en) | 2012-02-28 | 2015-08-18 | Korea Atomic Energy Research Institute | Zirconium alloys for a nuclear fuel cladding having a superior oxidation resistance in a severe reactor operation condition and methods of preparing a zirconium alloy nuclear cladding by using thereof |
US9202597B2 (en) | 2012-02-28 | 2015-12-01 | Korea Atomic Energy Research Institute | Zirconium alloys for a nuclear fuel cladding having a superior corrosion resistance by reducing an amount of alloying elements and methods of preparing a zirconium alloy nuclear fuel cladding using thereof |
-
1994
- 1994-08-25 JP JP20087194A patent/JPH0867954A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7292671B1 (en) * | 1998-12-11 | 2007-11-06 | Westinghouse Electric Sweden Ab | Zirconium based alloy and component in a nuclear energy plant |
EP1225243B2 (en) † | 2001-01-19 | 2013-09-04 | Korea Atomic Energy Research Institute | Method for manufacturing a tube and a sheet of niobium-containing zirconium alloy for a high burn-up nuclear fuel |
JP2006028553A (ja) * | 2004-07-13 | 2006-02-02 | Toshiba Corp | ジルコニウム合金およびそれを利用したチャンネルボックス |
US9099205B2 (en) | 2012-02-28 | 2015-08-04 | Korea Atomic Energy Research Institute | Zirconium alloys for a nuclear fuel cladding having a superior oxidation resistance in a reactor accident condition, zirconium alloy nuclear fuel claddings prepared by using thereof and methods of preparing the same |
US9111650B2 (en) | 2012-02-28 | 2015-08-18 | Korea Atomic Energy Research Institute | Zirconium alloys for a nuclear fuel cladding having a superior oxidation resistance in a severe reactor operation condition and methods of preparing a zirconium alloy nuclear cladding by using thereof |
US9202597B2 (en) | 2012-02-28 | 2015-12-01 | Korea Atomic Energy Research Institute | Zirconium alloys for a nuclear fuel cladding having a superior corrosion resistance by reducing an amount of alloying elements and methods of preparing a zirconium alloy nuclear fuel cladding using thereof |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4536119B2 (ja) | 耐クリープ性並びに水及び水蒸気に対する耐食性のジルコニウム系合金よりなる、原子炉に用いられる要素及びその製造方法 | |
KR100441562B1 (ko) | 우수한 내식성과 기계적 특성을 갖는 지르코늄 합금핵연료 피복관 및 그 제조 방법 | |
KR100441979B1 (ko) | 핵연료 어셈블리용 튜브 및 그 튜브의 제조방법 | |
JP2914457B2 (ja) | Zirlo型材料 | |
US20050205175A1 (en) | Zirconium-based alloy having a high resistance to corrosion and to hydriding by water and steam and process for the thermomechanical transformation of the alloy | |
KR20060123781A (ko) | 개선된 부식저항력을 지닌 지르코늄합금 및 그에 관련된제조방법 | |
CZ281896B6 (cs) | Jaderný palivový článek a způsob jeho výroby | |
KR101604105B1 (ko) | 우수한 내식성 및 크리프 저항성을 갖는 지르코늄 합금과 그 제조방법 | |
JPS6145699B2 (ja) | ||
CN101265538B (zh) | 一种用于轻水反应堆的锆基合金 | |
JPH08240673A (ja) | 核燃料集合体用のジルコニウム基合金管およびその製造方法 | |
JPH11133174A (ja) | 耐蝕性の原子炉構成部材、核燃料棒被覆管、水性環境に使用するためのジルコニウム合金、および原子炉燃料集成体用構造部材 | |
JPH0867954A (ja) | 高耐食性ジルコニウム合金の製造方法 | |
US10221475B2 (en) | Zirconium alloys with improved corrosion/creep resistance | |
JPH01301830A (ja) | 高耐食性ジルコニウム合金 | |
JP2515172B2 (ja) | 核燃料用被覆管の製造法 | |
JP3483804B2 (ja) | 耐食性ジルコニウム基合金管の製造方法 | |
JPS6358223B2 (ja) | ||
KR20080065749A (ko) | 냉각수 및 수증기 부식 저항성이 우수한 지르코늄 합금조성물 | |
JP3336561B2 (ja) | 高耐食性ジルコニウム合金 | |
JP3235611B2 (ja) | 耐食性に優れた水素吸収の少ないジルコニウム合金とその製造方法 | |
JPH09257988A (ja) | 耐食性、特に耐一様腐食性と耐水素吸収性に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心内構造材の製造方法 | |
JPH07173587A (ja) | ジルコニウム合金溶接部材の製造方法 | |
JPH0961570A (ja) | 耐食性、特に耐一様腐食性と耐水素吸収性に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心内構造材の製造方法 | |
JPH09272959A (ja) | 耐食性、特に耐一様腐食性と耐水素吸収性に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心内構造材の製造方法 |