JP3483804B2 - 耐食性ジルコニウム基合金管の製造方法 - Google Patents

耐食性ジルコニウム基合金管の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、水冷却型原子炉、
特に高燃焼度で運転される原子炉の燃料集合体を構成す
る燃料被覆管等として用いられるジルコニウム基合金管
の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】現在、水冷却型原子炉燃料集合体材料と
しては、例えば沸騰水型原子炉用としてジルカロイ2、
加圧水型原子炉用としてジルカロイ4が用いられてい
る。これらは、JISでは、管についてそれぞれZrTN802D
およびZrTN804Dとして規格化されている成分系である。 【0003】上記のジルカロイの改良合金も、例えば特
開昭60-36640号公報、特開平1-242747号公報、特許第25
48773号公報等によって種々提案されている。さらに、
特許第2515172号公報には、燃料集合体燃焼度が50GWd/t
を超える高燃焼度の圧力水型軽水炉においても十分な耐
食性を有し、かつ従来のジルコニウム基合金と同程度の
機械的性質を持つ被覆管を製造する方法が提案されてい
る。 【0004】上記特許第2515172号公報で提案された方
法は、管内面の[0002]面のfr値を0.65〜0.75とすべ
く、合金の化学組成を特定範囲に規制し、かつ管の製造
工程中で実施される焼鈍の入熱(入熱パラメータΣAi)
を一定の狭い範囲で厳密にコントロールすることが特徴
となっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】原子力発電のコスト削
減のため、原子炉の効率向上すなわち燃料の燃焼率の向
上、いわゆる高燃焼度運転が望まれている。その場合、
燃料集合体部材を長期間にわたって炉中で使用するた
め、冷却水との相互作用による腐食が懸念されている。
特に最も重要な部材である被覆管は一種の圧力容器であ
るから、核反応生成物による被覆管のクリープ変形も懸
念される。すなわち被覆管の場合には、腐食の防止とと
もにクリープ変形の抑制も課題となる。 【0006】もう一つの課題は、提供すべき材料が工業
的に安定して安価に製造できることである。すなわち必
要な性質が得られる製造条件の範囲が広く、かつ製造コ
ストが低いことである。 【0007】前記特許第2515172号公報で提案された方
法では、耐食性確保のために入熱パラメータの和(ΣA
i)を2×10-18から1.638×10-17という範囲にコントロ
ールすることが特徴となっている。しかし、製造条件の
管理の容易さという点からは、このΣAiの値の範囲は広
い方が望ましい。また、焼鈍に要するエネルギーの節
減、ひいては製造コストの低減という観点からは、ΣAi
はできるだけ小さいことが望ましい。 【0008】本発明の目的は、特許第2515172号公報に
開示される合金管の製造方法をさらに改良し、広い範囲
のΣAiでも優れた耐食性および機械的性質を持つ管を
造する新しい方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】ジルコニウム基合金の耐
食性および機械的性質に影響する主要な要因は、化学組
成と冷間加工時の焼鈍条件、特に焼鈍時の入熱量(前記
の入熱パラメータの和、ΣAi)である。本発明者等はこ
れらの要因について種々実験的検討を加えた結果、本発
明に到った。 【0010】本発明は、下記(1)の合金を素材とする
記(2)の管の製造方法を要旨とする。 【0011】(1) 質量%で、 Sn:0.90 〜1.20 %、 F
e:0.24 〜0.30 %、 Cr:0.13 〜0.19 %、Nb:0.08 〜
0.15 %、 Ni:50 〜140 ppm、 O:1000 〜1500 ppm、 S
i:120ppm以下、 C:100〜200ppm、残部ジルコニウムお
よび不可避の不純物からなることを特徴とする耐食性ジ
ルコニウム基合金(以下、この合金を「本発明の合金」
または「本発明合金」と記す)。 【0012】(2) 上記(1)の合金の熱間加工材に、冷間
加工と焼鈍をそれぞれ1回以上施して管を製造する際
に、下記の式で表される焼鈍時の入熱パラメータAiの
和、即ち、ΣAiを2×10-18未満とすることを特徴とする
耐食性ジルコニウム基合金管の製造方法。 【0013】 Ai = ti・exp{−Q/(R・Ti)}・・・・・式 ただし、 tiは、i番目の焼鈍工程における加熱時間
[hr] Tiは、i番目の焼鈍工程における加熱温度[K] Qは、活性化エネルギー[80 kcal / mol] Rは、ガス定数[1.987 cal / mol・K] である。焼鈍の入熱パラメータAi(Annealing Paramete
r)は、前記特許第2515172号公報等によって既に公知で
ある。以下の説明では、入熱パラメータの和(ΣAi)を
「入熱量」という。 【0014】 【発明の実施の形態】(1) 本発明の合金について この合金は、製造条件の管理が容易な方法で安価に、優
れた耐食性と機械的性質を併せ持つ管が得られるように
新たに開発した合金である。この合金は、後述する本発
明の製造方法で素材として用いるのに特に好適である。 【0015】以下、合金成分の作用と含有量の限定理由
を説明する。なお、成分含有量に関する%およびppm
は、それぞれ質量%および質量ppmである。 【0016】Snは、ジルカロイに従来から添加されてき
た元素で、耐食性と機械的強度を確保するために重要な
元素である。ジルコニウム基合金には不可避的不純物と
してN(窒素)が含まれるが、SnはNを固定してその悪影
響をうち消す。しかし、近年、ジルコニウム基合金の製
造技術が進歩して、不純物としてのN量が非常に低いレ
ベルに抑制できるようになってきたので、Snの添加量も
従来のジルカロイよりは少なくてよい。低窒素のジルコ
ニウム基合金においては、過剰なSnは、むしろ耐食性に
悪影響を及ぼす。これらを総合的に考慮した場合、Snの
適正含有量は、0.90〜1.20%である。 【0017】Feは、ジルコニウム基合金の耐食性および
機械的性質の改善に寄与する。特に高燃焼度運転を行う
原子炉では、耐食性の一層の改善が望まれるので、従来
のジルカロイよりも多い0.24%以上の含有が必要であ
る。一方、過剰なFeは、合金の冷間加工性を損ない、冷
間加工の際に疵を発生させるおそれがあるので、0.30%
を上限とする。 【0018】Crは、ジルコニウム基合金においては、Fe
とほぼ同様の作用効果を持つ。Crのジルコニウムへの固
溶限は比較的小さいので、CrはZrCr2として析出し、こ
れにFeが固溶してZr(Cr,Fe)2の形の粗大な金属間化合
物を形成する。前記のように、本発明合金では、Feを比
較的多めに添加するので、Cr含有量が少ないと少数の粗
大なZr(Cr,Fe)2がまばらに存在することになって合金
の均質性が損なわれる。従って、本発明では、比較的高
いFeの含有量に合わせてCrの含有量を0.13%以上とし
た。しかし、Cr含有量が多すぎると、前記金属間化合物
の析出量が過剰になって、合金の冷間加工性が損なわれ
るので、上限を0.19%とした。 【0019】O(酸素)は、合金の強度を増大させる反
面、延性を低下させる。強度の確保上、1000ppm以上が
必要であるが、延性の低下を避けるため上限は1500ppm
に抑える必要がある。Cは、合金の強度を増大させる。
その効果を得るには100ppm以上含有させる必要がある。
一方、Cは、原子炉中での放射線照射による材料の寸法
変化を増大させる。これを防ぐために上限は200ppmとす
る。Nbは、ジルコニウムの耐食性を向上させ、水素吸収
性を抑制する重要な元素である。これらの効果が得られ
る下限値が0.08%である。耐食性の点からは0.1%前後
が最も望ましいが、水素吸収性の抑制という点では、更
に多量でもよく、2.5%程度のNbを含む合金も存在す
る。しかし、多量のNbはクリープ強度を低下させるの
で、燃料被覆管のようにクリープ特性を重視する用途を
想定し、本発明では、Nbの上限を0.15%とした。 【0020】なお、Nb含有量を0.08%以上とすることに
よって、特許第2515172号の合金のように管内面の[000
2]面のfr値を0.65〜0.75にコントロールすることは
必要でなくなる。これは、上記fr値が従来の範囲でも
よい、ということを意味し、管の製造条件が緩和され、
製造が容易になることを意味する。 【0021】Niは、微量で耐食性の向上に大きく寄与す
る。ただし、その作用効果は、ΣAiと密接に関係する。
前記の特許第2515172号の発明では、素材合金のNi含有
量を50〜200ppmとした上で、その合金においてはΣAiを
2×10-18から1.638×10-17としたときに耐食性が最良
になる、としている。しかしながら、本発明者等が更に
探求した結果、上記のΣAiの範囲で耐食性が最良になる
のは、Ni含有量が比較的高い場合であって、Ni含有量が
低いときには、異なった現象が現れることが判明した。 【0022】図2は、後述する実施例のデータをΣAiと
腐食増量との関係で整理したグラフである。図中、●
(本発明例)として示したのがNi含有量が82ppmと低い
場合、○(比較例)として示したのがNi含有量が180ppm
と高い場合である。この図から明らかなように、Ni含有
量が高い場合は確かにΣAiが2×10−18から1.638×1
0−17の範囲にあるときに腐食増量が小さくなる。し
かし、Ni含有量が低い場合は、腐食増量の少ないΣAiの
範囲(耐食性が良好なΣAiの範囲)は、はるかに拡大
し、2×10−18未満の範囲でもなお優れた耐食性が得
られている。このような現象が現れる理由は定かではな
いが、次のように推定できる。 【0023】マトリックスに固溶したNiおよびFeは、ジ
ルコニウム基合金の耐食性を改善すると言われている。
しかし、耐食性を改善するこれらの元素の固溶量には適
正な範囲があると考えられる。 【0024】NiはZrと結合して金属間化合物(Zr2Ni)
を形成する。ΣAiが大きくなるほどその金属間化合物の
析出・成長が進んで、マトリックス中のNiは減少する。
図2に破線と○印で示したNi含有量の高い合金におい
てΣAiが2×10-18以下の範囲ではΣAiが大きくなるほ
ど耐食性が改善されるのは、ΣAiの増加に伴って上記金
属間化合物の析出量が増え、固溶Niが減少して適正範囲
に近づくからであろう。一方、ΣAiが約1.6×10-17
以上の範囲で、耐食性の悪化が見られるのは、ΣAiの増
加につれて増加しかつ成長した金属間化合物(Zr2Ni)
の中にマトリックス中のFeが取り込まれて、Feの固溶量
が減ってしまうからであろうと推測される。 【0025】図2に●印と実線で示したNi含有量の低い
合金(本発明例)の場合には、Niのマトリックス中の固
溶量は、もともと適正であるから、上記のようなΣAiが
2×10-18よりも小さい範囲でも優れた耐食性が得られ
るのである。ΣAiが2×10-18以上になると耐食性がや
や低下していく傾向が見られるが、少なくとも1×10
-16の範囲まででは、高Ni合金(○印)の最良の耐食性
に匹敵する耐食性が得られている。このことは、Ni含有
量を低めの適正範囲に選ぶことにより、広いΣAiの範囲
で耐食性に優れた合金が製造できることを意味する。 【0026】図1は、後述の実施例において、Ni含有量
を変化させた合金についてΣAiと腐食増量の関係を調べ
た結果である。この図からもNi含有量を低めの適正範囲
に選ぶことの重要さが明らかである。 【0027】上記のように、ΣAiの値の影響を大きく受
けずに、ΣAiの低い範囲でも優れた耐食性を確保できる
Niの含有量の範囲が50ppmから140ppmの範囲である。こ
の範囲であれば、図2に示したように、ΣAiの適正範囲
が広くなって管等の製造条件が緩和され、安定製造が可
能になる。また、入熱量を少なくしても良好な耐食性が
得られるので、加熱時間を短くすること、または加熱温
度を下げることが可能であり、製造コスト削減の効果が
得られる。 【0028】Siの含有量もジルコニウム基合金の耐食性
に影響する。その含有量が多すぎると、特にΣAiが大き
くなった場合に、Zr2Niの析出核になってその析出を促
し、マトリックスからのNiおよびFeの取り込み量が増
え、結果として固溶Niおよび固溶Feを減らすことになっ
て、合金の耐食性を劣化させるものと考えられる。図2
に示した2種類の合金ではSi含有量にも差があるが、●
(本発明例)の方が耐食性が優れているのは、このSi含
有量の差にも依存していると考えられる。このような新
しい知見に基づいて、本発明では、Si含有量を120ppm以
下と定めた。 【0029】なお、クリープ強度の向上には、ある程度
の金属間化合物の析出は有効である。従って、燃料被覆
管のようにクリープ特性も重視される部材用の合金で
は、Siを添加して60ppm程度以上の含有量を確保するの
が望ましい。クリープ特性がさほど重視されない場合に
はSiは無添加でよく、その場合、Si含有量は不可避的な
混入量となる。 【0030】(2)管の製造方法について この製造方法で使用する素材合金は、前述の本発明合金
である。その合金を通常の方法で溶製し鋳造してインゴ
ットとし、これに固溶化処理等の熱処理を施した後、熱
間加工材(素管)とする。この熱間加工材を焼鈍した
後、冷間加工を施して管とする。このとき冷間加工を複
数回実施することもあるが、その間では中間焼鈍を行
う。さらに、最終の冷間加工の後にも焼鈍を実施する。 【0031】本発明方法の特徴は、上記の複数回の焼鈍
の入熱量を前記式で表させる入熱パラメータの和(Σ
Ai)で2×10-18未満に調整することにある。 【0032】先に述べたように、入熱パラメータAiその
ものはすでに知られている。そして、ΣAiがジルコニウ
ム基合金の耐食性に影響することも知られている。しか
しながら、その値を2×10-18未満という小さい値にし
てもなお優れた耐食性が得られることは、これまで知ら
れていなかった。本発明方法は、先に述べた合金組成と
ΣAiとの関係についての詳細な検討の結果、はじめて開
発されたものである。 【0033】先に述べたように、ΣAiの広い範囲で優れ
た耐食性が確保できるということは、入熱量の変動によ
って耐食性が敏感に影響されず、製造工程の管理が容易
になるということであり、また、製品品質の安定性が高
まるということである。さらに、2×10-18未満という
ΣAiの小さい領域でも耐食性に優れた製品が製造できる
ということは、焼鈍時のエネルギー節減および処理時間
の短縮が可能であることを意味する。即ち、本発明方法
によれば、必要な性質を備えた製品管を低コストで製造
することができる。 【0034】なお、製品管がクリープ特性も重視される
燃料被覆管である場合は、焼鈍の入熱をΣAiが6.6×10
-19から以上にするのが望ましい。次の実施例で示すよ
うに、焼鈍時の入熱量が減少し、ΣAiが6.6×10-19を下
回るとクリープ伸びが急増して、燃料被覆管として長時
間使用するには不適当になるからである。ΣAiが6.6×1
0-19以上の範囲では、クリープ特性には大きな変動はな
い。 燃料被覆管以外の管材では、クリープ変形の問題
は殆どない。従って、クリープ変形を考慮したΣAiの下
限設定は不必要である。しかし、冷間加工における疵発
生を防ぐという観点から、その下限は1.4×10-20程度と
するのが望ましい。 【0035】 【実施例1】この実施例は、実際の製造工程を経て試作
した合金について本発明の効果を立証するためのもので
ある。 【0036】表1に示す組成の6種類の合金(No.1はS
i無添加)の15 mm× 70 mm×90mmのインゴットを真空溶
解により溶製し、1100℃に加熱した後水冷する固溶化処
理を施した。その後、650℃で板厚 5mmまで圧延し、650
℃× 1.5hrの真空焼鈍を施した。 【0037】上記の熱間圧延板を、まず板厚2.5mmまで
冷間圧延し、第2回目の中間焼鈍を635〜780℃間の3種
の温度で行い、さらに肉厚0.8mmまで冷間圧延し、最後
に強度調整のために450℃×2.5hrの最終焼鈍を施して供
試材とした。この間、前記Aiを求め、その和(ΣAi)を
算出した。 【0038】以上の工程により製造した板を腐食試験に
供し、腐食増量を測定した。腐食試験片は30mm×50mm
×0.8mmであり、表面は#600エメリー紙で仕上げた。腐
食試験は360℃で200kgf/cm2の純水中に240日浸漬する試
験である。この腐食試験後、重量増を測定して試験結果
とした。 【0039】表2に供試材に関する焼鈍条件、入熱量
(入熱パラメータの和、ΣAi)ならびに5個の試験片の
腐食増量およびその平均値を併記する。図1は、表2に
示す入熱量と腐食増量との関係を整理して示したもので
ある。 【0040】図1から明らかなように、Ni含有量が140p
pm以下の本発明合金の場合には、入熱量ΣAiの広い範囲
で腐食増量が少ない。即ち、優れた耐食性が確保されて
いる。 それに対して、比較例のようにNi含有量が多く
なると、腐食増量はΣAiの影響を強く受けるようになる
から、ΣAiの範囲を厳しく制限する必要が生じる。 【0041】 【表1】【0042】 【表2】 【0043】 【実施例2】実際の製造工程を経て試作した合金につい
て、入熱パラメータと合金のNi含有量とが耐食性に及ぼ
す影響をより詳細に明らかにするため、下記の試験を実
施した。 【0044】表3に示す組成の2種類の合金から板状供
試材を実施例1と同じ工程で製造し、第2回目の中間焼
鈍温度のみ635〜780℃の間の各種温度とした。これらの
供試材について実施例1と同様の腐食試験を行った。表
4に焼鈍条件、入熱量、5個の試験片の腐食増量および
その平均値を併記する。 【0045】図2は、表4に示す入熱量と腐食増量との
関係を本発明例(●)と比較例(○)とに分けて示した
ものである。図示のとおり、ΣAiの全領域にわたって、
本発明例が比較例に勝っている。とりわけ、ΣAiが2×1
0-18未満の領域では、比較例の耐食性が劣るのに対し
て、本発明例では一層の耐食性向上が見られる。この効
果は、先に述べたNiとSiの含有量の適正化によるもので
ある。 【0046】 【表3】 【0047】 【表4】 【0048】 【実施例3】この実施例では、実際の製造工程を経て試
作した管について本発明の効果を確認した。 【0049】表5に示す組成の3種類の合金を用いて、
直径600mmのインゴットを真空溶解により溶製し、1100
℃を上限として熱間鍛造して直径200mmのビレットを作
製し、β温度領域(1100℃)で加熱し水冷する固溶化処
理を施した。そのビレットを650℃で熱間押出し加工し
て直径85mm×肉厚15mmの素管とした。この素管を押し出
しのまま、または素管に最初の中間焼鈍を加えた後、冷
間圧延と軟化のための中間焼鈍(580〜788℃ ×2hr)を
繰り返し加え、最終冷間圧延により外径9.5mm、肉厚 0.
6mmの管とし、その後、応力除去のために470℃×2.5hr
の最終焼鈍を施して製品の管とした。 この間、前記Ai
値を求めて和(入熱量)を算出した。 【0050】以上の工程により製造した管について腐食
増量、内圧クリープ試験における円周方向伸びを測定し
た。同時に管内面での[0002]面のfr値を測定した。
なお、内圧クリープ試験は、管円周方向応力15kgf/mm2
として、390℃で240時間実施し、腐食試験は360℃の高
圧純水中に840日浸漬して行った。 【0051】表6に供試材に関する焼鈍条件、入熱量お
よび製品特性(内圧クリープ円周方向伸び、腐食増量、
管内面での[0002]面のfr値)を併記する。 【0052】 【表5】【0053】 【表6】【0054】図3は、表6に示す供試合金No.9(本発
明例)および供試合金No.10(比較例)のそれぞれの入
熱量と腐食増量との関係を示したものであり、入熱量が
2×10-18未満の領域では、本発明合金を用いれば、腐食
増量が比較例より著しく小さいことが明らかである。図
4は、同じく表6に示す供試合金No.9(本発明例)お
よび供試合金No.10(比較例)のそれぞれの入熱量と内
圧クリープ試験における円周方向伸びとの関係を示す図
である。クリープ伸びに関しては、本発明合金と比較例
の合金とに大きな差違はない。しかし、入熱量が6.6×1
0-19よりも小さくなると、クリープ伸びが急激に増大す
る。従って、燃料被覆管として使用される管材の製造に
おいては入熱量(ΣAi)は6.6×10-19以上とするのが望
ましい。 【0055】 【発明の効果】本発明のジルコニウム基合金を用いれ
ば、焼鈍時の入熱量の広い範囲で安定して従来の合金製
品に勝る管を製造することができる。本発明の管の製造
方法によれば、少ない入熱量で、耐食性、あるいは更に
クリープ特性にも優れた管が低コストで製造できる。 【0056】本発明は、特に高燃焼度の運転を行う水冷
却型原子炉の燃料集合体用材料を安価にかつ製品特性の
変動なしに製造する上で、大きく役立つものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明合金と比較合金との焼鈍時の入熱量(Σ
Ai)と腐食増量との関係を示す図である。 【図2】Ni含有量の異なる合金の焼鈍時の入熱量(ΣA
i)と腐食増量との関係を示す図である。 【図3】本発明合金と比較合金とを用いて製造した管の
焼鈍時の入熱量(ΣAi)と腐食増量との関係を示す図で
ある。 【図4】おなじく入熱量(ΣAi)とクリープ伸びとの関
係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22F 1/00 641 C22F 1/00 691B 691 691C G21C 3/06 N (56)参考文献 特開 平4−128687(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/00 - 49/14 C22F 1/00 - 3/02 G21C 3/07

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】質量%で、Sn:0.90 〜1.20 %、 Fe:0.24
    〜 0.30 %、 Cr:0.13 〜0.19 %、Nb:0.08 〜0.15
    %、Ni:50 〜140 ppm、O:1000 〜 1500 ppm、Si:120
    ppm以下、C:100 〜200 ppm、残部ジルコニウムおよび
    不可避の不純物からなる合金の熱間加工材に、冷間加工
    と焼鈍をそれぞれ1回以上施して管を製造する際に、下
    記の式で表される焼鈍時の入熱パラメータAiの和を2
    ×10−18未満とすることを特徴とする耐食性ジルコニ
    ウム基合金管の製造方法。 Ai = ti・exp{−Q/(R・Ti)} ・・・・・式 ただし、 tiは、i番目の焼鈍工程における加熱時間
    [hr] Tiは、i番目の焼鈍工程における加熱温度[K] Qは、活性化エネルギー[80 kcal / mol] Rは、ガス定数[1.987 cal / mol・K] である。
JP18901399A 1999-06-28 1999-07-02 耐食性ジルコニウム基合金管の製造方法 Expired - Lifetime JP3483804B2 (ja)

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