JPH09257988A - 耐食性、特に耐一様腐食性と耐水素吸収性に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心内構造材の製造方法 - Google Patents

耐食性、特に耐一様腐食性と耐水素吸収性に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心内構造材の製造方法

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JPH09257988A
JPH09257988A JP9017678A JP1767897A JPH09257988A JP H09257988 A JPH09257988 A JP H09257988A JP 9017678 A JP9017678 A JP 9017678A JP 1767897 A JP1767897 A JP 1767897A JP H09257988 A JPH09257988 A JP H09257988A
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Yoichi Ito
陽一 伊藤
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Nuclear Fuel Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来より高燃焼度および長期使用において十
分な耐食性を持つ、特に耐一様腐食性および耐水素吸収
性に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心構造材の製造
方法を提供する。 【解決手段】 Sn;0.8〜 1.2wt% とO;1000〜1500ppm あ
るいはSn;1.2〜1.7wt%,Fe;0.17〜0.28wt%,Cr;0.05 〜0.
15wt%,Ni;0.04 〜0.10wt%,Nb;0.01 〜0.09wt% および濃
度120ppm以下の不純物Siを含み、残部はZrからなるよう
に調節したジルコニウム合金を溶製して鋳片とした後β
焼入れ処理を施し、材料への総入熱量ΣAiが 1×10-19
〜 1×10-17 の範囲内に納まるように圧延及び焼鈍処理
を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉炉心内構造
材の製造方法に関するものであり、特に、高燃焼度およ
び長期使用における耐食性、特に耐一様腐食性および耐
水素吸収性に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心内構
造材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、原子炉の燃料集合体など炉心
内構造材にはジルコニウム合金が用いられている。例え
ば、沸騰水型原子炉(以下、BWRとする)において
は、燃料被覆管材料やウォータロッドにジルカロイ−2
が、チャンネルボックスにジルカロイ−4が、またスペ
ーサ部材にジルカロイ−2およびジルカロイ−4が使用
されていた。一方、加圧水型原子炉(以下、PWRとい
う)においては、燃料被覆管材、制御棒案内管材として
ジルカロイ−4が用いられていた。
【0003】歴史的には、ジルカロイ−2が先に開発さ
れ、そのジルカロイ−2の優れた耐食性を維持したまま
水素吸収性の低減を試みたジルカロイ−4が開発され
た。このようなジルカロイ−4が炉水の水素濃度の高い
PWRに、またBWRにおける燃料集合体部材であるス
ペーサおよびチャンネルボックスに使用されてきた。一
方、炉水水素濃度が比較的低いBWRでは、燃料被覆管
用にジルカロイ−2が使用されている。
【0004】ジルカロイ−2の耐水素吸収性はジルカロ
イ−4に比べると劣っているが、400℃以上の高温で
高圧の水蒸気中では、耐食性はジルカロイ−4に比べて
優れており、特に530℃の高温でも製造工程中の熱処
理を最適にした場合には、ノジュラー腐食(表面に白い
レンズ状腐食物が生じる)は発生しない。
【0005】このようなジルカロイ−2の組成はAST
M(American Society for Testingand Materials)お
よびJIS規格によって、Sn;1.20〜1.70w
t%,Fe;0.07〜0.20wt%,Cr;0.0
5〜0.15wt%,Ni;0.03〜0.08wt
%,Fe+Cr+Ni;0.18〜0.38wt%に規
定されている。
【0006】80年代前半までは、ノミナル値でSn
1.5wt%,Fe0.15wt%,Cr0.1wt
%,Ni0.05wt%程度で使用されていたが、80
年代後半より現在まで、耐食性、主にノジュラー腐食性
の一層の改善を計って、Snが下限値1.2%,Feが
上限値0.2%,Niが上限値0.08%,Crがノミ
ナル値0.1%とした合金組成をもつジルカロイ−2が
広く使用されている。
【0007】このような組成を持つジルカロイ−2の水
素吸収特性は、従来使用されている燃料集合体の燃焼度
範囲では、問題となることはなかった。また、一様腐食
(黒色皮膜状の腐食物が生じる)特性についても、ジル
カロイ−2の長期使用に際して一様腐食が加速される現
象は、80年代のBWRでは知られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
組成を持ち、且つ耐食性(耐ノジュラー腐食性、耐一様
腐食性)に対して最適化された熱処理を施されているジ
ルコニウム合金を使用したものであっても、大幅な高燃
焼度または長期使用に対しては、耐一様腐食加速現象お
よび耐水素吸収特性が十分でないことが判明した。
【0009】また、スペーサ、ウオーターロッド、チャ
ンネルボックス等については、温度勾配がないために部
材両面からの水素の侵入がスムーズとなってしまい、一
方構造部材としてはより薄肉化が望まれることから、水
素脆化に対して被覆管以上に改善が望まれる。
【0010】またBWRプラントにおいても、ステンレ
ス綱の耐応力腐食割れ対策として炉水中に水素を添加す
る試みが始まり、炉心内構造材に使用されるジルコニウ
ム合金にとって、耐水素吸収性などさらに厳しい条件と
なりつつある。
【0011】本発明は、上記問題点に鑑み、従来より高
燃焼度および長期使用において十分な耐食性、特に耐一
様腐食性および耐水素吸収性に優れた原子炉炉心構造材
用ジルコニウム合金が得られる製造方法を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明に係る耐食性、特に耐一様腐
食性と耐水素吸収性に優れたジルコニウム合金系原子炉
炉心内構造材の製造方法では、錫(Sn);0.8〜
1.2wt%,鉄(Fe);0.17〜0.28wt
%,クロム(Cr);0.05〜0.15wt%,ニッ
ケル(Ni);0.04〜0.10wt%,ニオブ(N
b);0.01〜0.09wt%,酸素(O)1000
〜1500ppmおよび濃度120ppm以下の不純物
けい素(Si)を含み、残部はジルコニウム(Zr)と
なるように調節したジルコニウム合金を溶製して鋳片と
したのちβ焼入れ処理を施し、その後、下式で表される
材料への総入熱量ΣAi が1×10-19 〜1×10-17
の範囲内に納まるように圧延および焼鈍処理を施すもの
である。 ΣAi =Σti ・exp(−Q/RTi ) ti :β焼入れ後のi番目熱処理工程における処理時間
(時間) Ti :工程iの処理温度(K) Q:活性化エネルギー R:気体定数 Q/R:40000
【0013】また、請求項2に記載の発明に係る耐食
性、特に耐一様腐食性と耐水素吸収性に優れたジルコニ
ウム合金系原子炉炉心内構造材の製造方法では、錫(S
n);1.2〜1.7wt%,鉄(Fe);0.17〜
0.28wt%,クロム(Cr);0.05〜0.15
wt%,ニッケル(Ni);0.04〜0.10wt
%,ニオブ(Nb);0.01〜0.09wt%および
濃度120ppm以下の不純物けい素(Si)を含み、
残部はジルコニウム(Zr)となるように調節したジル
コニウム合金を溶製して鋳片としたのちβ焼入れ処理を
施し、その後、下式で表される材料への総入熱量ΣAi
が1×10-19 〜1×10-17 の範囲内に納まるように
圧延および焼鈍処理を施すものである。 ΣAi =Σti ・exp(−Q/RTi ) ti :β焼入れ後のi番目熱処理工程における処理時間
(時間) Ti :工程iの処理温度(K) Q:活性化エネルギー R:気体定数 Q/R:40000
【0014】
【発明の実施の形態】ジルカロイの耐食性は構造材とし
ての最終成形品に至るまでの製造工程中における熱処理
条件により影響される。ジルカロイによる構造材の製造
工程はビレットの段階でβ焼入れと呼ばれる溶体化処理
が行なわれ、次に熱間押出、真空焼鈍を行ない、その
後、冷間圧延および真空焼鈍を繰返して行なう、という
ものである。
【0015】β焼入れ後におけるα相領域での総入熱量
を表したパラメータとして、次式に示す累積入熱パラメ
ータΣAi があり、このパラメータΣAi がジルカロイ
の耐食性と良い相関を持つことが提案されている。ΣA
i が小さいと耐ノジュラー腐食特性が向上し、ΣAi
大きいと耐一様腐食特性が向上する。
【0016】ΣAi =Σti ・exp(−Q/RTi ) (但し、ti はβ焼入れ処理後のα相温度における熱処
理工程iの処理時間(単位:時間)を示し、Ti は工程
iの処理温度(単位:K)を示し、Qは活性化エネルギ
ー(単位:J/mol・K)を示し、Q/R=4000
0Kである。)
【0017】従来のジルカロイ−2についてこの総入熱
量ΣAi を検討したところ、ΣAiが1×10-19 より
少ない場合、得られるジルコニウム合金は耐ノジュラー
腐食性に優れるものの耐一様腐食性が劣り、一方1×1
-17 を越える場合、耐一様腐食性は優れるものの耐ノ
ジュラー腐食性が劣ることがわかっている。
【0018】従って、従来のジルカロイ−2において
も、β焼入れ後の圧延および焼鈍処理における材料への
総入熱量ΣAi を1×10-19 〜1×10-17 の範囲内
とすれば耐ノジュラー腐食性と耐一様腐食性との双方に
最適化させることができるが、この最適化範囲内であっ
ても、一様腐食性は1200日の長期試験の結果から約
600日程度で腐食速度が加速されることが判明した。
【0019】そこで請求項1に記載した第1発明の実施
形態としての製造方法では、前記ΣAi の最適化範囲内
で更に長期の耐一様腐食性を得るべく、まず、錫(S
n);0.8〜1.2wt%,鉄(Fe);0.17〜
0.28wt%,クロム(Cr);0.05〜0.15
wt%,ニッケル(Ni);0.04〜0.10wt
%,ニオブ(Nb);0.01〜0.09wt%,酸素
(O);1000〜1500ppmおよび濃度120p
pm以下の不純物けい素(Si)を含み、残部はジルコ
ニウム(Zr)からなるように調節したジルコニウム合
金素材を溶製して鋳片とする。
【0020】ここで、Snは、その添加により合金の強
度を増加させ、水素吸収量を低く抑える効果を有し、ま
た合金表面に形成された酸化膜の剥離を防止する働きが
ある。但し、含有率が0.7wt%以下では充分な強度
が得られず、また、含有率が1.7wt%以上となる場
合には、一様腐食を加速させることがある。
【0021】本実施形態においては、Snは0.8〜
1.2wt%の含有率とし、高燃焼度および長期使用に
あたって十分な強度と耐水素吸収特性を発揮させるもの
とする。この含有率の範囲は、従来のASTM規格の下
限以下であり、さらに耐食性に関して優れた性能を発揮
するものである。
【0022】但しこの含有率は、合金の強度増加という
点で比較的低い範囲にあり、また、酸素は従来よりジル
コニウム合金への添加に実績があってジルコニウム合金
の耐食性に影響を与えることなく強度を向上させる効果
があることから、ここではSnによる強度増強効果を補
うために、1000〜1500ppmの範囲内で酸素を
添加した。
【0023】また、Feは、その添加によりジルコニウ
ム合金に対してCrおよびNiの添加量を変化させるこ
となく、添加量増加に伴って耐一様腐食性および耐ノジ
ュラー腐食性、耐水素吸収性を向上させる。但し、Fe
の含有率が0.15wt%以下では一様腐食およびノジ
ュラー腐食に対して十分な耐食性が得られず、含有率が
0.28wt%を越えた場合はノジュラー腐食、水素吸
収特性は改善される反面、酸化皮膜中に過剰にFeが固
溶することにより、一様腐食および溶接熱影響部の耐食
性の劣化がおこる。
【0024】従って、本実施形態において、Feは0.
17〜0.28wt%の含有率とし、耐一様腐食性、耐
ノジュラー腐食性、耐水素吸収性および溶接熱影響部の
耐食性についての特性を発揮させるものとする。
【0025】また、Niは、その添加によりジルコニウ
ム合金の耐食性向上の効果を有する一方、水素吸収率を
高める性質がある。水素吸収率を高めないで耐食性の向
上が得られるNiの含有率の範囲として、本実施形態に
おけるNiは0.04〜0.10wt%の含有率とし
た。
【0026】Crは、その添加によってジルコニウム合
金の強度に影響を与えることなく、Feの効果に比べれ
ば弱いながらも耐食性を向上させると共に、水素吸収率
を低減する働きを持つものである。但し、Crの含有率
が0.15wt%を越えた場合には、Feと同様に一様
腐食および溶接熱影響部の耐食性の劣化が顕著となる。
従って、水素吸収率を高めないで耐食性の向上が得られ
るCr含有率として、本実施形態においては、Crは
0.05〜0.15wt%の含有率とした。
【0027】また、Nbは、その添加によってジルコニ
ウム合金の強度を増加させ、水素吸収率を低く抑え、更
に溶接部の耐食性を向上させる効果を有する。また、F
e含有率が0.2wt%以下の場合には、耐ノジュラー
腐食および耐一様腐食を向上させる効果を有する。但
し、Nbの含有率が0.10wt%を越えると、耐一様
腐食の低下が顕著になる。従って、本実施形態では、N
bは0.01〜0.1wt%の含有率とし、耐一様腐
食、耐ノジュラー腐食、耐水素吸収特性および溶接熱影
響部の耐食性に付いての特性を発揮させるものとする。
【0028】なお、不純物元素であるSiは、ジルコニ
ウム合金の耐ノジュラー腐食性に影響を及ぼすものであ
り、濃度が120ppm以上の場合は、ノジュラー腐食
が生じることがあるため、一般的に120ppm以下の
濃度に抑える必要があり、この数値はASTM規格でも
定められている。従って、本発明においてもSiの濃度
は120ppm以下とし、もちろん、例えば90ppm
以下,60ppm以下とさらに減じることが望ましいこ
とは言うまでもない。
【0029】上記の如き第1発明の実施形態による製造
方法で得られたジルコニウム系合金の原子炉炉心内構造
材は、一様腐食性の長期試験において1200日経過し
ても腐食速度が加速されることのないものであり、例え
ばBWR燃料集合体取り出し燃焼度39000MWD/
t以上の高燃焼度条件下であっても、従来と同程度の良
好な耐ノジュラー腐食性を持ちながら、優れた耐一様腐
食性および耐水素吸収性を示すものである。
【0030】次に、請求項2に記載した第2発明の実施
形態としての製造方法において、前記第1発明の実施形
態と同様に、ΣAi の最適化範囲内で更に長期の耐一様
腐食性を得るべく、まず、錫(Sn);1.2〜1.7
wt%,鉄(Fe);0.17〜0.28wt%,クロ
ム(Cr);0.05〜0.15wt%,ニッケル(N
i);0.04〜0.10wt%,ニオブ(Nb);
0.01〜0.09wt%および濃度120ppm以下
の不純物けい素(Si)を含み、残部はジルコニウム
(Zr)からなるように調節したジルコニウム合金素材
を溶製して鋳片とする。
【0031】前述したように、Snは、その添加により
合金の強度を増加させ、水素吸収量を低く抑える効果を
有し、また合金表面に形成された酸化膜の剥離を防止す
る働きがある。但し、含有率が0.7wt%以下では充
分な強度が得られず、また、含有率が1.7wt%以上
となる場合には、一様腐食を加速させることがある。本
実施形態では、Snを1.2〜1.7wt%と比較的高
い含有率とすることによって、高燃焼度および長期使用
にあたって充分な強度と耐水素吸収特性を発揮させるも
のとする。したがって、前記第1の発明のように、強度
増強効果を補うための酸素の添加は必要ない。
【0032】また、その他のFe,Cr,Ni,Nb,
Siの含有率の範囲は、上記第1発明と同様である。こ
のような第2発明の実施形態による製造方法で得られた
ジルコニウム系合金の原子炉炉心内構造材は、一様腐食
性の長期試験において1200日経過しても腐食速度が
加速されることのないものであり、例えばBWR燃料集
合体取り出し燃焼度39000MWD/t以上の高燃焼
度条件下であっても、従来と同程度の良好な耐ノジュラ
ー腐食性を持ちながら、優れた耐一様腐食性および耐水
素吸収性を示すものである。
【0033】
【実施例】本発明による製造方法で得られた種々の組成
のジルコニウム合金系原子炉炉心内構造材について、比
較例と共に、それぞれBWR高燃焼度運転の炉内環境相
当の条件下における耐ノジュラー腐食試験、耐一様腐食
試験、耐水素吸収性試験、耐溶接部腐食試験、機械特性
試験によって材料評価を行なった。
【0034】まず製造工程は、図1のフローチャート図
で示すように、各組成の素材を溶製してそれぞれインゴ
ットを製造し、1015℃以上でβ焼入れを行なった
後、それぞれ総入熱量ΣAi が1×10-20 〜1×10
-16 の範囲内の或る値におさまるように熱間圧延、焼
鈍、複数回の冷間圧延と焼鈍の繰返し(最終焼鈍577
℃)を行なって、原子炉炉心内構造材としての最終成形
品を得た。
【0035】
【表1】
【0036】上記工程で得られた製品を試験片として、
表1に示すごとく、各種耐食試験を行なった。即ち、耐
ノジュラー腐食試験では試験片を循環式オートクレー
ブ内で530℃,105気圧の条件下に24時間置いた
後、腐食増量を測定した。ここで、腐食増量が100m
g/dm2 以下のものをランクAとし、それ以上の腐食
増量の大きいものをランクBと評価した。
【0037】また、耐一様腐食試験では、試験片を循
環式オートクレーブ内で400℃,105気圧の条件下
に置き、1200日という長期の間、一様腐食増量を継
続的に測定し、腐食の加速が生じているかどうかを観測
した。観測結果の評価は、図2のグラフに示したように
A’A,B,Cの4つにレベル別けした。
【0038】即ち、加速が生じていないものをランクA
と評価し、また、加速が生じているもののうち、試験開
始600日目ぐらいから加速し始めた加速程度が遅いも
のをランクB、試験開始400日目ぐらいから加速し始
めた加速程度が早いものをランクCと評価した。また、
加速が生じていないもののうち、特に腐食則打緒がラン
クAより小さく耐食性が良好なものをランクA’とし
た。
【0039】また、耐水素吸収性試験では、上記耐一
様腐食試験における400℃,105気圧条件下で20
00時間(83.3日)置いた試験片について、腐食測
定後に水素吸収率を測定した。水素吸収率45%以下の
ものをランクA、45%以上のものをランクBと評価し
た。
【0040】また、耐溶接(熱影響)部腐食試験とし
て、上記耐一様腐食試験における400℃,105気圧
条件下で450日置いた試験片について、腐食測定後に
熱影響部の酸化皮膜厚を測定し、熱影響部以外の母材の
酸化皮膜厚と同等のものをランクA、母材の酸化皮膜厚
より大きいものをランクBと評価した。
【0041】機械特性試験としては室温における引張
試験を行なった。この場合、引張強さが50kg/mm
2 以上であると共に耐力が35kg/mm2 以上、且つ
伸び30%以上のものをランクAとし、これらの条件を
満たさないものをランクBと評価した。
【0042】まず、Snの含有率を従来の範囲内である
1.3〜1.5wt%とし、Feを本発明の範囲下限及
び上限を越えた範囲の含有率0.10〜0.58wt%
とした場合について、Cr;0.09〜0.10wt
%,Ni;0.07〜0.08wt%と従来と同様の組
成を持ち、残りZrという各組成の素材について、総入
熱量ΣAi を従来の最適化領域である1×10-19 〜1
×10-17 で製造した試験片 No.1〜9について、上記
〜の評価試験を行なった。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】表2からもわかるように、Snの含有率が
1.3〜1.5wt%と比較的高い場合には、Feの含
有率が0.10〜0.18wt%の範囲内にあってはい
ずれにしても耐一様腐食試験でランクB以下の加速腐
食が見られた。第1発明では、まずSnの含有率が0.
8〜1.2wt%と比較的低い範囲内において優れた耐
一様腐食性を有する製品を得ようとするものである。
【0045】以下、Snの含有率が0.8〜1.2wt
%という第1発明の範囲内にある場合、実際には1.0
wt%とした時に得られた製品(試験片)における上記
〜の評価試験を行ない、その結果を表3( No.10〜
36)に示す。なお、ここでは、表3中には記載していな
いが、Snによる強度増強効果を補うために、1000
〜1500ppmの範囲内で酸素を添加した。
【0046】このとき、Feが第1発明における範囲下
限および上限を越えた含有率0.10〜0.59wt%
である場合について、Cr;0.09〜0.10wt
%,Ni;0.07〜0.08wt%と従来材と同様の
組成を持ち、Si濃度120ppm以下(表3中に記載
せず)、残りZrという各組成の素材において、総入熱
量ΣAi を従来の最適化領域である1×10-19 〜1×
10-17 およびその下限を越えた1×10-20 と上限を
越えた1×10-16 とでそれぞれ製造した試験片をそれ
ぞれ評価した。
【0047】
【表3】
【0048】表3の示す結果より、まず、Fe含有率範
囲のうち低い側の場合で、さらに総入熱量ΣAi が高い
ほど、耐ノジュラー腐食性はランクBと劣っているが、
第1発明のFe;0.17〜0.28wt%の含有率範
囲内で、総入熱量ΣAi が1×10-19 〜1×10-17
である場合(No.17,20,23 )は、いずれも耐ノジュラー
腐食性はランクAと良好になっている。
【0049】また、耐一様腐食性については、総入熱量
ΣAi が第1発明における範囲領域とした1×10-19
〜1×10-17 である場合、Fe含有率が0.15〜
0.59wt%である時(No.14,17,20,23,26,29,32,3
5)にランクA以上と良好であり、特にFe含有率が
0.20〜0.26wt%であるとき、耐一様腐食性が
ランクA’となっている。その他についてはランクBあ
るいはランクCの加速腐食が生じていた。さらに、ΣA
i が1×10-20 と小さい場合(No.10,13,16,28,31,3
4)にはFe含有率が0.10〜0.18wt%および
0.31wt%以上の組成においてランクB以下と劣っ
ていた。
【0050】一方、耐水素吸収性については、Fe含有
率が0.18wt%以下の組成のもの(No.10 〜18)が
ランクB、耐溶接熱影響部腐食性については、Fe含有
率が0.20wt%以上の組成のもの(No.19 〜36)で
ランクBとなっている。
【0051】以上の結果から、Sn;0.8〜1.2w
t%,Fe;0.17〜0.28wt%,総入熱量ΣA
i が1×10-19 〜1×10-17 という表3において最
も好ましい結果が得られる条件の組成であっても、耐水
吸収特性および耐溶接熱影響部腐食性の何れかにおいて
ランクBとなるものが生じているため、更なる改良が必
要であることが判る。
【0052】そこで、更なる耐水素吸収特性および耐溶
接熱影響部腐食性の向上を検討した結果、微量のNbを
さらに添加することによって、これらの特性を改善し得
ることを見出し、第1発明に至ったものである。
【0053】ここで、Snの含有率を1.0wt%とし
たときの、Nbの含有率が第1発明における範囲の0.
01〜0.09wt%である場合と、この範囲の下限を
越えた50ppm以下である場合と、上限を越えた0.
10wt%以上である場合とで、それぞれFeが第1発
明における範囲の下限および上限を越えた0.15〜
0.31wt%の含有率で、Cr;0.09〜0.10
wt%,Ni;0.07〜0.08wt%,と従来材と
同等の含有率を持ち、残りZrという各組成の素材につ
いて、総熱量ΣAi を従来から最適化領域とされている
1×10-19 〜1×10-17 で製造した試験片 No.40〜
54について上記〜の評価試験を行なった。その結果
は以下の表4に示す。なお、ここでも、表中には記載し
ていないが、Snによる強度増強効果を補うために10
00〜1500ppmの範囲内で酸素を、また、Siを
120ppm以下の濃度で添加した。
【0054】
【表4】
【0055】まず、表4から明らかなように、Fe含有
率が第1発明における範囲内にある0.18wt%で
は、Nbが0.01〜0.09wt%の含有率で添加さ
れたもの( No.44)は、同様の組成でNb添加なしの場
合(表3のNo.17 )に対して耐水素吸収特性がランクB
からランクAへ改善されていることが判る。
【0056】しかしながら、Nbが含有率0.1wt%
以上で添加されたもの(No.42,45,48,51,54 )では、逆
に耐一様腐食性はランクBで劣っており、また、Feの
含有率が0.31wt%と上記第1発明の範囲の上限を
越えて高い場合には、Nbが第1発明における含有率範
囲の0.01〜0.09wt%であるとき(No.53 )で
も耐一様腐食性はランクBとなっている。
【0057】また、Feの含有率が0.20wt%以上
であるときの耐溶接熱影響部腐食性は、Nbが0.01
〜0.09wt%および0.1wt%以上の含有率で添
加されたもの(No.47,50,51,53,54 )については、同様
の組成でNb添加なしの場合(表3のNo.20,23,26 )に
対してランクBからランクAに改善されていることが判
る。
【0058】なお、耐ノジュラー腐食性については、F
e含有率が0.15wt%と上記第1発明の範囲の下限
を越えて低い場合には、Nbを0.01〜0.09wt
%および0.1wt%以上の含有率で添加した場合(N
o.41,42) に、同様の組成でNb添加なしの場合(表3
のNo.14 )に対してランクBからランクAへの改善が見
られる。
【0059】このように、Snの含有率が1.0wt%
で、Fe含有率が第1発明の範囲0.17〜0.28w
t%内であるとき、Nbを0.01〜0.09wt%の
含有率で添加した場合(No.44,47,50 )には、耐水素吸
収特性および耐溶接熱影響部腐食性がより改善され、前
記〜の評価試験で全てランクA以上となることがわ
かった。この結果は、Snの含有率が上記のものを中心
として幅を持たせた0.8〜1.2wt%の範囲内であ
れば同様に見られるものと考えられる。
【0060】ここで、表4中には示していないが、表4
で示したうち耐ノジュラー腐食試験でランクAを示し
たのものの組成および入熱量と同一条件で、但し合金素
材のSiの濃度が120ppmを越えるよう調製したも
のについて、耐ノジュラー腐食試験を別途に行なったと
ころ、評価はランクBと耐食性の劣るものであった。ま
た、Siの濃度を120ppm以下とすると、耐ノジュ
ラー腐食特性は向上し、90ppm以下でランクAとな
る。
【0061】以上の結果から、第1の発明では、合金素
材の組成において、Snの含有率が0.8〜1.2wt
%と比較的低く、酸素を1000〜1500ppmの濃
度範囲で添加し、Feの含有率を0.17〜0.28w
t%と従来より高くし、さらにNbを0.01〜0.0
9wt%の含有率で添加し、総入熱量ΣAi を1×10
-19 〜1×10-17 としてジルコニウム合金系構造材を
製造することによって、高燃焼度または長期使用の原子
炉炉心内構造材として、特に耐一様腐食性と耐水素吸収
性が従来のジルコニウム系合金に比べて改善されたもの
が得られることがわかる。なお、第3冷間圧延後の最終
焼鈍処理によって内部歪や応力を除去した構造材とする
こともできるのは述べるまでもない。
【0062】また、第2発明では、Snの含有率を1.
2〜1.7wt%と比較的高くした場合にも優れた耐一
様腐食性を有する製品を得ようとするものである。この
場合、強度増強効果を補う必要がないので酸素の添加は
行なわなかった。
【0063】以下、Snの含有率が1.2〜1.7wt
%という第2発明の範囲内にある場合、実際には1.3
〜1.5wt%とした時に得られた製品(試験片)にお
ける上記〜の評価試験を行ない、その結果を表5
( No.60〜86)に示す。
【0064】このとき、Feが第2発明における範囲下
限および上限を越えた含有率0.10〜0.59wt%
である場合について、Cr;0.09〜0.10wt
%,Ni;0.07〜0.08wt%と従来材と同様の
組成を持ち、Si濃度120ppm以下(表3中に記載
せず)、残りZrという各組成の素材において、総入熱
量ΣAi を従来の最適化領域である1×10-19 〜1×
10-17 およびその下限を越えた1×10-20 と上限を
越えた1×10-16 とでそれぞれ製造した試験片をそれ
ぞれ評価した。
【0065】
【表5】
【0066】表5より、まず、Fe含有率範囲のうち低
い側の場合で、さらに総入熱量ΣAi が高いほど、耐ノ
ジュラー腐食性はランクBと劣っているが、第2発明に
おけるFe;0.17〜0.28wt%の含有率範囲内
で、総入熱量ΣAi が1×10-19 〜1×10-17 であ
る場合(No.67,70,73 )は、いずれも耐ノジュラー腐食
性はランクAと良好になっている。
【0067】また、耐一様腐食性については、総入熱量
ΣAi が第2発明における範囲領域とした1×10-19
〜1×10-17 である場合、Fe含有率が0.20〜
0.42wt%である時(No.70,73,76,79)にランクA
と良好であるが、その他、即ち一部が第2発明のFe含
有率範囲に重なる0.10〜0.18wt%(No.61,6
4,67 )および0.50〜0.59wt%(No.82,85)
という含有率の場合においてはランクBあるいはランク
Cの加速腐食が生じていた。さらに、ΣAi が1×10
-20 と小さい場合(No.60,63,66,69,72,75,78,81,84 )
にはいずれのFe含有率の組成においてもランクB以下
と劣っていた。
【0068】一方、耐水素吸収性については、Fe含有
率が0.18wt%以下の組成のもの(No.60 〜67)が
ランクB、耐溶接熱影響部腐食性については、Fe含有
率が0.20wt%以上の組成のもの(No.69 〜86)で
ランクBとなっている。
【0069】このように、Sn;1.3〜1.5wt
%,Fe;0.17〜0.28wt%,総入熱量ΣAi
が1×10-19 〜1×10-17 という表5において最も
好ましい結果が得られる条件の組成であっても、耐一様
腐食性、耐水吸収特性および耐溶接熱影響部腐食性の何
れかにおいてランクBとなるものが生じているため、更
なる改良が必要であることが判る。
【0070】そこで、更なる耐一様腐食性、耐水素吸収
特性および耐溶接熱影響部腐食性の向上を検討した結
果、微量のNbをさらに添加することによって、これら
の特性を改善し得ることを見出し、第2発明に至ったも
のである。
【0071】ここで、Snの含有率を1.3〜1.5w
t%としたときの、Nbの含有率が第2発明における範
囲の0.01〜0.09wt%である場合と、この範囲
の下限を越えた50ppm以下である場合と、上限を越
えた0.10wt%以上である場合とで、それぞれFe
が第2発明における範囲の下限および上限を越えた0.
15〜0.31wt%の含有率で、Cr;0.09〜
0.10wt%,Ni;0.07〜0.08wt%,と
従来材と同等の含有率を持ち、残りZrという各組成の
素材について、総熱量ΣAi を従来から最適化領域とさ
れている1×10-19 〜1×10-17 で製造した試験片
No.90〜104 について上記〜の評価試験を行なっ
た。その結果は以下の表6に示す。なお、ここでも、表
中には記載していないが、Siを120ppm以下の濃
度で添加した。
【0072】
【表6】
【0073】まず、表6から明らかなように、Fe含有
率が第2発明における範囲内にある場合には、Nbが
0.01〜0.09wt%の含有率で添加されたもの
( No.94,97,100 )は、同様の組成でNb添加なしの場
合(表5のNo.67,70,73 )に対して耐一様腐食性あるい
は耐水素吸収特性または耐溶接熱影響部腐食性がランク
BからランクAへ改善されていることが判る。
【0074】しかしながら、Nbが含有率0.1wt%
以上で添加されたもの(No.92,95,98,101,104 )では、
逆に耐一様腐食性はランクBで劣っており、また、Fe
の含有率が0.31wt%と上記第2発明の範囲の上限
を越えて高い場合には、Nbが第2発明における含有率
範囲の0.01〜0.09wt%であるとき(No.103)
でも耐一様腐食性はランクBとなっている。
【0075】また、Feの含有率が0.20wt%以上
であるときの耐溶接熱影響部腐食性は、Nbが0.01
〜0.09wt%および0.1wt%以上の含有率で添
加されたもの(No.97,98,100,101,103,104)について
は、同様の組成でNb添加なしの場合(表5のNo.70,7
3,76 )に対してランクBからランクAに改善されてい
ることが判る。
【0076】なお、耐ノジュラー腐食性については、F
e含有率が0.15wt%と上記第2発明の範囲の下限
を越えて低い場合には、Nbを0.01〜0.09wt
%および0.1wt%以上の含有率で添加した場合(N
o.91,92) に、同様の組成でNb添加なしの場合(表5
のNo.64 )に対してランクBからランクAへの改善が見
られる。
【0077】このように、Snの含有率が1.3〜1.
5wt%と比較的高い場合でも、Fe含有率が第2発明
の範囲0.17〜0.28wt%内であるとき、Nbを
0.01〜0.90wt%の含有率で添加した場合(N
o.94,97,100)には、耐ノジュラー腐食性、耐一様腐食
性、耐水素吸収特性および耐溶接熱影響部腐食性がより
改善され、前記〜の評価試験で全てランクAとなる
ことがわかった。この結果は、Snの含有率が上記範囲
より若干広い1.2〜1.7wt%という範囲内におい
ても同様に見られると考えられる。
【0078】ここで、表6中には示していないが、表6
で示したうち耐ノジュラー腐食試験でランクAを示し
たのものの組成および入熱量と同一条件で、但し合金素
材のSiの濃度が120ppmを越えるよう調製したも
のについて、耐ノジュラー腐食試験を別途に行なったと
ころ、評価はランクBと耐食性の劣るものであった。ま
た、Siの濃度を120ppm以下とすると、耐ノジュ
ラー腐食特性は向上し、90ppm以下でランクAとな
る。
【0079】以上の結果から、第2の発明では、合金素
材の組成において、Snの含有率が1.2〜1.7wt
%と比較的高い場合であっても、Feの含有率を0.1
7〜0.28wt%と従来より高くし、さらにNbを
0.01〜0.09wt%の含有率で添加し、総入熱量
ΣAi を1×10-19 〜1×10-17 としてジルコニウ
ム合金系構造材を製造することによって、高燃焼度また
は長期使用の原子炉炉心内構造材として、特に耐一様腐
食性と耐水素吸収性が従来のジルコニウム系合金に比べ
て改善されたものが得られることがわかる。なお、第3
冷間圧延後の最終焼鈍処理によって内部歪や応力を除去
した構造材とすることもできるのは述べるまでもない。
【0080】
【発明の効果】第1発明は、以上説明したとおり、Sn
の含有率が0.8〜1.2wt%と比較的低い場合で
も、充分な合金強度を持ちながら、耐食性、特に長期の
耐一様腐食性および耐水素吸収性に優れたジルコニウム
合金系原子炉炉心内構造材が得られるという効果があ
る。従って、このような耐一様腐食性および耐水素吸収
性に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心内構造材は例
えばBWR燃料集合体取り出し燃焼度39000MWD
/t以上の高燃焼度条件下において、或はPWRにおい
てもより長期間用いることが可能となる。
【0081】また、第2発明は、以上説明したとおり、
Snの含有率が1.2〜1.7wt%と比較的高い場合
であっても、耐食性、特に長期の耐一様腐食性および耐
水素吸収性に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心内構
造材が得られるという効果がある。従って、このような
耐一様腐食性および耐水素吸収性に優れたジルコニウム
合金系原子炉炉心内構造材は例えばBWR燃料集合体取
り出し燃焼度39000MWD/t以上の高燃焼度条件
下において、或はPWRにおいてもより長期間用いるこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるジルコニウム合金系原
子炉炉心内構造材の製造工程を示すフローチャート図で
ある。
【図2】耐一様腐食試験における腐食加速レベルに応じ
た評価ランク別けを説明するためのグラフ図であり、横
軸に試験時間;日,縦軸に(一様)腐食増量;mg/d
2 を示したものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 錫(Sn);0.8〜1.2wt%,鉄
    (Fe);0.17〜0.28wt%,クロム(C
    r);0.05〜0.15wt%,ニッケル(Ni);
    0.04〜0.10wt%,ニオブ(Nb);0.01
    〜0.09wt%,酸素(O)1000〜1500pp
    mおよび濃度120ppm以下の不純物けい素(Si)
    を含み、残部はジルコニウム(Zr)となるように調節
    したジルコニウム合金を溶製して鋳片としたのちβ焼入
    れ処理を施し、その後、下式で表される材料への総入熱
    量ΣAi が1×10-19 〜1×10-17 の範囲内に納ま
    るように圧延および焼鈍処理を施すことを特徴とする耐
    食性、特に耐一様腐食性と耐水素吸収性に優れたジルコ
    ニウム合金系原子炉炉心内構造材の製造方法。 ΣAi =Σti ・exp(−Q/RTi ) ti :β焼入れ後のi番目熱処理工程における処理時間
    (時間) Ti :工程iの処理温度(K) Q:活性化エネルギー R:気体定数 Q/R:40000
  2. 【請求項2】 錫(Sn);1.2〜1.7wt%,鉄
    (Fe);0.17〜0.28wt%,クロム(C
    r);0.05〜0.15wt%,ニッケル(Ni);
    0.04〜0.10wt%,ニオブ(Nb);0.01
    〜0.09wt%および濃度120ppm以下の不純物
    けい素(Si)を含み、残部はジルコニウム(Zr)と
    なるように調節したジルコニウム合金を溶製して鋳片と
    したのちβ焼入れ処理を施し、その後、下式で表される
    材料への総入熱量ΣAi が1×10-19 〜1×10-17
    の範囲内に納まるように圧延および焼鈍処理を施すこと
    を特徴とする耐食性、特に耐一様腐食性と耐水素吸収性
    に優れたジルコニウム合金系原子炉炉心内構造材の製造
    方法。 ΣAi =Σti ・exp(−Q/RTi ) ti :β焼入れ後のi番目熱処理工程における処理時間
    (時間) Ti :工程iの処理温度(K) Q:活性化エネルギー R:気体定数 Q/R:40000
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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