JP2914457B2 - Zirlo型材料 - Google Patents

Zirlo型材料

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、耐蝕性を向上させる組成を持つジルコニウ
ム系材料に関する。
〈従来の技術〉 加圧水型原子炉及び沸騰水型原子炉などの原子炉の開
発において燃料を設計する場合、クラッディング、グリ
ッド、ガイドチューブ等の炉心コンポーネントに課され
る要求が著しく大きくなる。従来は、これらのコンポー
ネントは、ジルカロイ−2(Zircaloy−2)及びジルカ
ロイ−4(Zircaloy−4)のようなジルコニウム系合金
類でつくられてきた。これらのコンポーネントに課され
る大きな要求とは、必要な滞留時間の長期化及び構造材
料をさらに薄くすることであり、これらは何れも潜在的
な腐蝕の問題と水素化物形成の問題とを惹き起こす。こ
のような大きな要求の存在により、耐蝕性及び水素化に
対する抵抗性が向上するとともに従来のジルカロイ類と
同等の加工性及び機械的諸特性を持つ合金類の開発が促
進されている。この種の材料類としては、ジルコニウ
ム、ニオブ、錫及び第三の合金成分を合むジルコニウム
合金類、たとえは、1重量%のニオブと、1重量%の錫
と、通常は少なくとも0.15重量%の鉄とを含有するジル
コニウム合金を、挙げることができる。既に提案されて
いるジルコニウム、ニオブ、錫及び鉄の合金類の例とし
ては、キャスタルデリ等(Castaldelli et al.)の提案
した合金類(原子力工業におけるジルコニウムの第5回
会議ASTM STP754、1982年、105〜126頁に収載の「将来
有望なジルコニウム合金類の長時間試験」と題する報文
を参照されたい)があり、キャスタルデリ等はジルコニ
ウム・1Nb・1Sn・0.5Fe合金を試験し、0.15〜0.20のFe
を合有するジルコニウム・1Nb・1Snに言及している。
オーゼンナイト0.5(Ozhennite 0.5)として知られて
いるもう一つの合金は、0.18〜0.22重量%のSnと、0.09
〜0.11重量%のNbと、0.09〜0.11重量%のFeと、0.09〜
0.11重量%のNiとを含有し、これらの元素類全てがZrと
合金したものである。1987年3月10日付で付与された米
国特許第4,649,023号(以下、ZIRLO特許という)は、0.
5〜2.0重量%のNbと、0.9〜1.5重量%のSnと、0.09〜0.
11重量%のFe、Cr、Mo、V、Cu、Ni、又はWから選択さ
れた第三成分とから成る組成物全般を包含し、冷間加工
工程間における焼鈍温度が500℃〜650℃(932゜F〜1202゜
F)である組成物及び製造方法に関する特許である。
〈本発明の目的物〉 本発明は、ZIRLOよりも鉄、クロム及びニッケルの総
量が多い組成を持つZIRLO型の材料に関する。
本発明による合金は、0.5〜2.0重量%のニオブと、0.
7〜1.5重量%の錫と、0.07〜0.14重量%の鉄と、少なく
とも0.03〜0.14重量%のニッケル及びクロムの1種とを
合有し、鉄、ニッケル及びクロムの総量が少なくとも0.
12重量%であり、最大220ppmの炭素を含有し、残部が本
質的にジルコニウムから成る。本発明合金は、好ましく
は、0.03〜0.08重量%のクロムと、0.03〜0.08重量%の
ニッケルとを合有する。また、好ましくは、本発明合金
は約649℃〜704℃(1200゜F〜1300゜F)の温度で中間再結
晶焼鈍を行ない、最終寸法にする前に2度ベータ冷却ま
たはベータ処理(beta guench)を行なう。
〈作用〉 本発明による材料は、ZIRLO特許の特許請求の範囲に
記載されているZIRLO組成物と同様の耐蝕性を示し、同
様の耐蝕性を維持しつつジルカロイの再利用ができ、組
成の制御も容易であるので、ZIRLOよりも経済的に製造
できる。
〈実施例〉 添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、
特許請求の範囲に記載の本発明はより明確になると考え
る。
本発明のZIRLO型材料は、0.5〜2.0重量%のニオブ
と、0.7〜1.5重量%の錫と、0.07〜0.14重量%の鉄と、
0.03〜0.14重量%の少なくともニッケル及びクロムの1
種とを含有し、鉄、ニッケル及びクロムの総量が少なく
とも0.12重量%であり、最大220ppmの炭素を含有し、残
部が本質的にジルコニウムである組成を持つ。一実施例
においては、0.08〜0.12重量%のFeと、300〜800ppmのC
rと、300〜800ppmのNiと、50〜200ppmのCとを含有する
(Cr+Niは600〜1200ppmである)。本発明の材料は、ZI
RLO特許に記載の組成を持つZIRLO材料と同等の耐蝕性を
示す。本発明組成物は、ジルカロイ材料の相当割合の再
利用を可能にする。
帯状材料の製造実験で用いた処理手順を図に概略的に
示してある。帯状材料処理方法は、ZIRLO特許に記載の
チューブ処理と同様である。最終寸法にする前の2度ベ
ータ冷却による寸法変化を受けた配管を合む配管につい
ての長期間腐蝕の結果を表1に示す。ベータ冷却の結
果、後転移腐蝕率(post-transition corrosion rate)
が僅かに減少する。
3回、4回又は5回縮径を行なうことにより、TREXを
最終寸法の配管にすることができる。成功した幾つかの
管シェル縮径工程を表2に列挙1する。押出品に約593
℃(1100゜F;アルファ相領域)において押出後焼鈍処理
を施すのが好ましい。試料の一般的な中間焼鈍温度は53
9℃(1100゜F)であるが、特に沸騰水型原子炉での耐蝕
性向上のためには、後述するように中間再結晶焼鈍を64
9℃〜704℃(1200゜F〜1300゜F)で行なうのが好ましい。
さらに耐蝕性を向上させるためには、合金を後工程ベー
タ冷却処理するのが好ましい。
上述したように、寸法減少の後工程時に管シェルのベ
ータ冷却処理を行なうことにより幾分かの耐蝕性の向上
が得られるけれども、ベータ冷却処理によって熱クリー
プ二次速度が幾分か増大する。上記の同時出願明細書に
記載したように、後工程でのベータ冷却処理を施したZI
RLOの面積減縮を減少させ若しくは中間焼鈍温度を高め
又はこれらの両処理を併用することにより、二次熱クリ
ープをたとえば1.68×10-5/時間程度に低下させること
もできる。
実施例I ジルコニウム・スポンジを用いて調製した一連のZIRL
OインゴットをC、Cr及びNi付加物とともに溶融してこ
れらの元素類がZIRLOの腐蝕に及ぼす影響を調べた。イ
ンゴットの組成を表3に示す。ZLと標識されている試料
はZIRLOを示し、ZLCと標識されている試料はZIRLOに炭
素を付加した試料を示し、ZL4と標識きれた試料は約50
%の再利用ジルカロイ−4を含有する本発明による材料
を示し、ZL2と標識された試料は約50%の再利用ジルカ
ロイ−2を含有する本発明による材料を示す。管製造法
を模擬した製造方法により、インゴットから厚さ1.524m
m(0.060インチ)の帯片を製造した。行なった試験は、
約400℃(750゜F)での水蒸気腐蝕試験及び70ppmの酸化
リチウム付加水による腐蝕試験(これらの試験は加圧水
型原子炉に適用できるものと考えられ、その結果は表4
に示してある)及び520℃での水蒸気腐蝕試験(この試
験は沸騰水型原子炉に適用できると考えられ、その結果
は表5に示してある)である。表4及び表5に示す腐蝕
試験での重量増加はmg/dm2単位で表示してある。ZIRLO
帯片試料を593℃(1100゜F)、677℃(1250゜F)及び762
℃(1350゜F)で中間焼鈍処理した。表4及び表5には試
料ZL−A及び試料ZL−Bの腐蝕試験結果を示してある
が、これらの試料はZLと同一組成であり試料ZLの場合に
行なった593℃(1100゜F)の中間焼鈍温度に代えてそれ
ぞれ677℃(1250゜F)及び762℃(1350゜F)の中間焼鈍温
度を用いた試料である。特に中間焼鈍温度を677℃(125
0゜F)にすることにより、重量増加によって示される400
℃での水蒸気腐蝕及び520℃での水蒸気腐蝕が減少して
いる。従って、合金は約649℃(1200゜F)乃至704℃(13
00゜F)の温度で中間再結晶焼鈍処理するのが好ましい
(同様に、最終寸法にする前に2段階のベータ冷却処理
するのが好ましい)。
400℃及び520℃での水蒸気腐蝕試験及び360℃での70p
pmのLiを含有する水による腐蝕試験における試料ZLCの
挙動からわかるように、本発明の合金中においては炭素
は腐蝕を増大させないので最大220ppmの炭素の含有が許
容される。520℃における長時間試験にもかかわらず、
何れの試料についても白色球状腐蝕(white nodular co
rrosion)は認められなかった。この結果と重量増加が
少ないこととも考え合わせると、試験に供した合金の全
てが沸騰水型原子炉の環境条件下において耐腐蝕性が極
めて高いことを示している。試料ZL及び試料ZLCの挙動
は、約120乃至290ppmのクロムの添加によっては、400℃
及び520℃における水蒸気による腐蝕は増大しないこと
を示している。試料ZLC及び試料ZL4の挙動はクロムの付
加量を約290ppmから645ppmに増大すると、400℃及び520
℃における水蒸気による腐蝕が増大することを示してい
る。試料ZL4及び試料ZL2の挙動は、ニッケルの添加によ
り400℃及び520℃における水蒸気による腐蝕が減少する
ことを示している。なお、ここで注目すべきことは、ク
ロム及びニッケルの添加によって70ppmのリチウムを合
む360℃の水による腐蝕は増大しないということであ
る。上述の工程変更を加えた本発明によるZIRLO合金
は、上記のZIRLO特許で処理されたZIRLOよりも優れてい
る可能性が大きい。しかしながら、さらに重要なこと
は、本発明によるZIRLO合金は、ジルカロイの再利用を
可能にするので、より経済的に製造でき、しかも本質的
に少なくともZIRLOと同等の耐蝕性を有することであ
る。また、組成範囲が広いことからも、より経済的に製
造できる。試料ZLC及び試料ZL4の挙動が示すように、ク
ロムの付加量を約290ppmから645ppmに増加すると、400
℃及び520℃での水蒸気による腐蝕が増大する。試料ZL4
及び試料ZL2の挙動が示すように、ニッケルの添加によ
り400℃及び520℃での水蒸気による腐蝕は減少する。
【図面の簡単な説明】
添付の図面は、処理手順を概略的に示す工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 サミュエル・オースチン・ウースター アメリカ合衆国,モンタナ州,ブッテ, レッドウッド・ドライブ 18 (72)発明者 ジョージ・ポール・サボル アメリカ合衆国,ペンシルベニア州,エ キスポート,モリス・ストリート 37 (56)参考文献 特公 昭50−20938(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 16/00 C22F 1/18

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.5〜2.0重量%のニオブと、0.7〜1.5重量
    %の錫と、0.07〜0.14重量%の鉄と、0.03〜0.14重量%
    のニッケル及びクロムの少なくとも1種とを含有し、
    鉄、ニッケル及びクロムの総量が少なくとも0.12重量%
    であり、最大220ppmの炭素を含有し、残部が本質的にジ
    ルコニウムから成ることを特徴とする合金。
  2. 【請求項2】前記合金が0.03〜0.08重量%のクロムと、
    0.03〜0.08重量%のニッケルとを含有することを特徴と
    する請求項第1項に記載の合金。
  3. 【請求項3】前記合金が少なくとも0.0250重量%のクロ
    ムと、少なくとも0.0075重量%のニッケルとを含有する
    ことを特徴とする請求項第1項に記載の合金。
  4. 【請求項4】前記合金が少なくとも0.0075重量%のクロ
    ムと、少なくとも0.0250重量%のニッケルとを含有する
    ことを特徴とする請求項第1項に記載の合金。
  5. 【請求項5】前記合金が少なくとも0.0150重量%の炭素
    を含有することを特徴とする請求項第1項に記載の合
    金。
  6. 【請求項6】前記合金が0.030〜0.045重量%のクロム
    と、0.040〜0.080重量%のニッケルとを含有することを
    特徴とする請求項第1項に記載の合金。
  7. 【請求項7】ジルコニウムを合金にし、押出後焼鈍を行
    ない、一連の中間面積減縮及び中間再結晶焼鈍を行な
    い、中間再結晶焼鈍の少なくとも一工程は後工程ベータ
    冷却であり、次いで最終焼鈍を行なう材料処理方法にお
    いて、ジルコニウムを合金にして、0.5〜2.0重量%のニ
    オブと、0.7〜1.5重量%の錫と、0.07〜0.14重量%の鉄
    と、0.03〜0.14重量%の少なくともニッケル及びクロム
    の1種とを含有し、鉄、ニッケル及びクロムの総量が少
    なくとも0.12重量%であり、最大220ppmの炭素を含有
    し、残部が本質的にジルコニウムから成る合金を製造
    し、前記合金を少なくとも649℃乃至704℃(1200゜F乃至
    13000゜F)の温度で中間再結晶焼鈍することを特徴とす
    る方法。
  8. 【請求項8】前記合金を後工程ベータ冷却処理すること
    を特徴とする請求項第7項に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記合金が0.08〜0.12重量%のFeと、300
    〜800ppmのCrと、300〜800ppmのNiと、50〜220ppmのC
    とを含有し、Cr+Niが600〜1200ppmであることを特徴と
    する請求項第1項に記載の合金。
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