JPH0866809A - 主軸のツールクランプ装置 - Google Patents

主軸のツールクランプ装置

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JPH0866809A
JPH0866809A JP20246694A JP20246694A JPH0866809A JP H0866809 A JPH0866809 A JP H0866809A JP 20246694 A JP20246694 A JP 20246694A JP 20246694 A JP20246694 A JP 20246694A JP H0866809 A JPH0866809 A JP H0866809A
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JP
Japan
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spindle
tool
sliding member
drawbar
escape hole
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Application number
JP20246694A
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Inventor
Hideo Iwabuchi
秀雄 岩淵
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Hitachi Seiki Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Seiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 主軸にロータリジョイント等の圧油供給機構
が不要で摩擦熱の発生がなく、点検や部品の交換等の保
守作業が不要なツールクランプ装置を得る。 【構成】 主軸貫通穴3内に嵌装され、主軸軸線方向に
摺動自在に設けられるとともに、一端部がテーパ部13
bとして形成された摺動部材13と、この摺動部材の摺
動により前記ドローバ5をクランプ・アンクランプする
クランプ手段10と、摺動部材の他端側に設けられ、主
軸軸線方向に離間して配置された二つの被係合部15
a,15bと、この2つの被係合部の間に進退移動自在
に設けられ、一側に移動したときに一方の被係合部15
aと係合して摺動部材に押圧力を付与し、他側に移動し
たときに他方の被係合部15bと係合して摺動部材に引
張力を付与する係合部材14と、この係合部材を被係合
部の間の摺動部材と接触しない中立位置から一側または
他側に向けて移動させる進退移動手段20とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工作機械の主軸の一端
に工具を装着するためのツールクランプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械の主軸の一端に工具を装着する
ためのツールクランプ装置として、主軸貫通穴内に進退
移動自在に設けられたドローバで工具の一部と把持また
は係合して引っ張り、この状態でドローバをクランプし
て進退移動を規制するものが知られている。このような
形式のものとして例えば、図4に示すような、いわゆる
ソリッドツール方式のツールクランプ装置がある。符号
1′は工作機械の主軸、符号5′は主軸貫通穴3′内に
進退移動自在に設けられたドローバで、このドローバ
5′が他側方向(図面右方向)に移動することにより、
ドローバ5′の一端に設けられたコレット等の把持係合
手段6′で工具Tの被係合穴部Taと係合して引っ張
り、主軸1′の一端に工具Tを装着する。また、ドロー
バ5′が一側方向に移動することにより、工具Tの装着
が解除されて工具交換が可能な状態になる。
【0003】主軸貫通穴3′内には、ドローバ5′を支
持する摺動部材である円筒状のドローバ支持部材11′
が嵌入され、その一端部にはシリンダ室11c′が形成
されている。シリンダ室11c′内で進退移動するドロ
ーバ5′の途中部位には、テーパ面を有する溝5c′が
形成されていて、この溝5c′内に前記テーパ面に係合
する複数個の移動駒12′が挿入されている。一方、ド
ローバ支持部材11′には、一端部を内側に折り曲げて
なる規制部11d′が形成され、この規制部11d′の
先端が移動駒12′に当接している。これにより、移動
駒12′は主軸軸線方向に移動しないようになってい
る。
【0004】シリンダ室11c′内には、スライダ1
3′が嵌装され、その一端側の内周面に形成されたテー
パ面13a′が移動駒12′と摺接している。また、ド
ローバ支持部材11′内に形成された二つの油路11
a′,11b′がシリンダ室11c′の両端に開口して
いて、油路11a′,11b′からそれぞれシリンダ室
11c′内に供給される圧油により、スライダ13′が
シリンダ室11c′内を図中矢印の方向に進退移動でき
るようになっている。また、シリンダ室11c′の他方
側にはシリンダ室11f′が設けられ、このシリンダ室
11f′に連通する油路11e′から供給される圧油に
より、ドローバ5′が一方側に移動するようになってい
る。
【0005】一方の油路11b′からシリンダ室11
c′に圧油が供給されてスライダ13′が一方側(図面
左方向側)に移動すると、スライダ13′のテーパ面1
3a′の形状に沿って移動駒12′が内側(主軸軸心
側)に移動する。移動駒12′は、溝5c′のテーパ面
に沿って内側に移動するが、規制部11d′により主軸
軸線方向の移動が規制されているので、この移動駒1
2′の内側への移動によりドローバ5′が他方側(図面
右方向側)へ移動することになる。そして,ドローバ
5′は移動駒12′により前記テーパ面上で上下からク
ランプされるので、進退移動が規制されることになる。
他方の油路11a′からシリンダ室11c′に圧油が供
給されると、スライダ13′が前記と逆方向、すなわ
ち、他方側へ移動して移動駒12′によるドローバ5′
の規制を解除する。そして、油路11e′を介してシリ
ンダ室11f′に圧油が供給されることにより、ドロー
バ5′が主軸軸線と平行に一方向側に移動して主軸先端
での工具Tの装着を解除する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の従来のソリッドツールロック方式のツールクランプ
装置は、スライダ13′の移動を圧油により行っている
ので、回転する主軸1′に固定側から圧油を供給するた
めに主軸1′の他端に図示しないロータリジョイントを
設けている。しかしながら、このようなロータリジョイ
ントは、ロータリジョイント本体側の固定部と主軸側の
回転部との間に設けられるシール部材が常時接触状態に
あり、固定部と回転部との間で摩擦熱が生じる。また、
固定部に対して回転部を支持する軸受部よりも発熱を生
じる。そのうえ、主軸を高速で回転させて切削加工等を
行う場合には、発生する熱量も大きくなり、その熱の一
部が主軸に伝わって加工精度に悪影響を与えるという問
題がある。さらに、固定部と回転部の磨耗が激しく、定
期的に点検を行って固定部または回転部の磨耗した部品
やシール部材などを交換しなければならないといった問
題がある。本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたも
ので、ロータリジョイント等の圧油供給機構が不要で摩
擦熱の発生がなく、定期的な点検や部品の交換等の保守
作業が不要な簡素な構成のソリッドツールロック方式の
工具クランプ装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に本発明の主軸のツールクランプ装置は、主軸貫通穴内
に進退移動自在にドローバが設けられ、主軸の一端に形
成された工具装着部に挿入された工具の一部と把持係合
するとともに、前記工具を他側に引っ張っている前記ド
ローバをクランプして進退移動を規制することにより前
記工具装着部に前記工具を装着するようにした主軸のツ
ールクランプ装置において、前記主軸貫通穴内に嵌装さ
れ主軸軸線方向に摺動自在に設けられるとともに、一端
部にテーパ面が形成された摺動部材と、この摺動部材の
摺動により前記テーパ面に沿って前記ドローバをクラン
プ・アンクランプ動作するドローバクランプ手段と、前
記摺動部材の他端側に設けられ、主軸軸線方向に離間し
て設けられた二つの被係合部と、この2つの被係合部の
間で進退移動自在に設けられ、一側に移動したときに一
方の前記被係合部と係合して前記摺動部材に押圧力を付
与し、他側に移動したときに他方の前記被係合部と係合
して前記摺動部材を引っ張る係合部材と、前記被係合部
の間にあって前記摺動部材と接触しない中立位置から前
記一側または前記他側に向けて前記係合部材を移動させ
る進退移動手段とからなることを特徴とする。
【0008】また、前記摺動部材の外周面に穿設された
逃げ穴と、この逃げ穴に出没自在に設けられた球体と、
前記摺動部材が前記一側に移動したときに前記逃げ穴が
開口するように前記逃げ穴よりも主軸内周面の一側寄り
に設けられた係合溝と、前記係合溝の他側壁に形成さ
れ、主軸が回転して前記球体が前記係合溝内に突出した
ときに係合するテーパ面とからなり、前記球体に負荷さ
れる遠心力を主軸軸線と平行な前記一側方向への力に分
解して前記摺動部材に付与するようにしたバックアップ
手段を設けるものとしてもよい。
【0009】さらに、前記摺動部材の外周面に穿設され
た逃げ穴と、この逃げ穴に出没自在に設けられたストッ
パと、前記摺動部材が前記一側に移動したときに前記逃
げ穴が開口するように前記逃げ穴よりも主軸内周面の一
側寄りに設けられた係合溝と、前記逃げ穴内に設けられ
前記ストッパを常時逃げ穴内に格納する方向に付勢する
付勢部材とからなる緩防止手段を設けるものとしてもよ
い。
【0010】
【作用】本発明は上述のように構成されているので以下
のように作用する。主軸の一端に工具を挿入して係合部
材の進退移動手段を駆動すると、係合部材が摺動部材の
一部に設けられた被係合部と係合して摺動部材を一方側
に移動させる。ドローバは他方側へ移動して工具の一部
を把持するとともに,工具を他側に引っ張って主軸の一
端に装着する。進退移動手段は係合部材を中立位置から
一側に移動させて一方の被係合部と係合させ、摺動部材
を一方側へ移動させる。これにより、工具を引っ張って
いる状態にあるドローバをドローバクランプ手段がクラ
ンプし、その進退移動を規制する。主軸回転中には、進
退移動手段により係合部材は摺動部材の被係合部と接触
しない中立位置にあるので、両者間に摩擦熱が発生する
ことがない。工具を交換する際には、進退移動手段は係
合部材を中立位置から他側へ移動させて他方の被係合部
と係合させ、摺動部材を他方側へ引っ張って移動させ
る。これにより、ドローバのクランプが解除され、ドロ
ーバの進退移動が可能になる。バックアップ手段を設け
たものは、主軸の回転数に応じた大きさの付勢力を摺動
部材に付与して、より強固にドローバをクランプさせる
とともにクランプ力の緩みを防止することができる。さ
らに、緩防止手段を設けたものは、係合溝に突出したス
トッパが溝側壁と係合して摺動部材の他側への移動を妨
げるので、主軸の回転や振動等によりドローバのクラン
プが緩むことがない。
【0011】
【実施例】本発明の好適な一実施例を図面に従って詳細
に説明する。図1,2は本発明のツールクランプ装置を
備えた工作機械の主軸頭にかかり、図1は主軸の一側部
分の断面図、図2は主軸の他側部分の断面図である。な
お、以下の説明において「一側」または「一方」という
ときには図面左側を、「他側」または「他方」というと
きには図面右側を示すものとする。軸受Bにより主軸頭
のハウジングH内で回転自在に支持された主軸1の一側
端部には、工具装着部2が形成され、この工具装着部2
に工具Tが装着される。この工具装着部2から、主軸1
の他側端部まで主軸貫通穴3が形成され、この主軸貫通
穴3を挿通してドローバ5が主軸軸線方向に進退移動自
在に設けられている。
【0012】ドローバ5の一側端部には、ドローバ5が
他方側へ移動するときに工具TのプルスタッドTaを把
持して工具Tを工具装着部2内に引き込み装着する公知
の工具把持係合手段6が設けられている。図1には、ボ
ール引っ張り式の工具把持係合手段6を図示している
が、コレット引っ張り式でもよく、さらに、工具に設け
られた被把持部(被係合部)を把持(係合)して軸線方
向に引っ張る方式のものであってもよい。また、ドロー
バ5の中心にはエアブロー用のエアが流通するエア流通
穴8が貫通形成されている。主軸1内に形成された主軸
貫通穴3は、図に示すように、主軸の一側から他側まで
段階的に内径が大きくなるように形成されていて、主軸
貫通穴3の内径が変化する段付部3aの近傍に、工具T
を装着したときにドローバ5をクランプして主軸貫通穴
3内での進退移動を規制するドローバクランプ手段10
が設けられている。
【0013】ドローバクランプ手段10は、ドローバ5
に外嵌され主軸貫通穴3内でドローバ5を支持するとと
もに、主軸軸線方向に摺動自在な摺動部材としてのドロ
ーバ支持部材13と、このドローバ支持部材13の一端
部に形成された大径部13a内でドローバ5の外周面に
主軸1の半径方向に移動自在な複数個の移動駒12,1
2と、一側が段付部3aに当接して一方側への移動を規
制されるとともに、他側が移動駒12,12に当接して
移動駒12,12の主軸軸線方向の移動を規制する規制
部材11とからなっている。
【0014】ドローバ支持部材13の一側端部の内周面
は、徐々に内径が拡大しながら開口するテーパ面13b
として形成され、このテーパ面13bで移動駒12,1
2とが常時係合している。ドローバ支持部材13が一方
側に移動すると、テーパ面13bに摺接する移動駒1
2,12が内側(主軸中心側)に移動する。移動駒1
2,12はドローバ5のテーパ部5cに摺接していると
ともに、規制部材11により主軸軸線方向の移動を規制
されているので、移動駒12,12の内側への移動はド
ローバ5を他方側に移動させることにほかならない。そ
して、工具Tを主軸装着部2に完全に引き込んだ状態
で、ドローバ5の他方側への移動が規制されるので、テ
ーパ部5c,テーパ面13bと移動駒12、12との楔
結合作用により、ドローバ5が強固にクランプされる。
【0015】図2に示すように、主軸1の他端から突出
するドローバ支持部材13の他端部には、外周面を全周
にわたって旋削して、凹状の溝15が形成されている。
この溝15に、半割円環状に形成された係合部材14,
14の先端に設けられた爪部材14a,14aが、溝1
5の底部と接触しないように嵌装されている。この爪部
材14a,14aは、主軸1の他側に設けられた係合部
材14,14の進退移動手段20により、係合部材1
4,14とともに溝15内で主軸軸線と平行方向に移動
できるようになっている。爪部材14a,14aが一方
側へ移動すると、一方の被係合部である溝15の一側壁
15aと当接してドローバ支持部材13を主軸1の一方
側に押圧する。爪部材14a,14aが他方側へ移動す
ると、他方の被係合部である溝15の他側壁15bと係
合して、ドローバ支持部材13を他方側へ引っ張る。な
お、爪部材14a,14aは、工具Tの交換時以外は、
一側壁15aおよび他側壁15bの間のドローバ支持部
材13と接触しない中立位置(図2で示す位置)で待機
している。
【0016】次に、爪部材14a,14aを前記した中
立位置から一方側または他方側に進退移動させる進退移
動手段20の構成を説明する。ハウジングHの固定部に
は、主軸1側から順に第1シリンダ室25aおよびこれ
より小径の第2シリンダ室25bが形成され、それぞれ
に第1ピストン24,第2ピストン21aが移動自在に
嵌入されている。第2ピストン21aは、一側端部に係
合部材14,14が取り付けられ、第2ピストン21a
とともに主軸軸線方向に進退移動するロッド21に一体
に設けられている。また、第1ピストン24は、ロッド
21に摺動自在に外嵌されている。各シリンダ室25
a,25bの一側端部および他側端部には、各シリンダ
室25a,25bに圧油を供給するための油路28,2
9,30が連通状に連結されている。
【0017】ロッド21内には、第2シリンダ室25b
より長いストロークを有する第3シリンダ室21bが形
成されていて、この第3シリンダ室21b内に第3ピス
トン22aが進退移動自在に嵌入されている。この第3
ピストン22aは、ロッド21内に進退移動自在に嵌装
されドローバ5の他端に当接してドローバ5を押圧し、
一方側に移動させるためのロッド22に一体に設けられ
ている。また、ロッド22内には、ドローバ5を押圧す
る際にドローバ5内に形成されたエア流通穴8と連通し
て清掃用のエアを供給するためのエア流通穴23が形成
されている。第3シリンダ室21bの一側端部および他
側端部にも、圧油を供給するための油路31,32が連
通状に連結されている。一方の油路31は、第3シリン
ダ室21bの一側端部と第2シリンダ室25bの他側と
を連通状に連結し、他方の油路32は、第3シリンダ室
21bの他側端部と第1および第2シリンダ室25a,
25bの間とを連通状に連結している。なお、図2に示
すように、一方の油路31の先端は第2シリンダ室25
bの他側寄りの途中に開口しているが、これは油路30
からの供給された圧油を遅延して第3シリンダ室21b
に供給することにより、第2ピストン21aの移動に遅
延して第3ピストン22aを移動させるようにするため
である。
【0018】上記の態様により、油路30から第2シリ
ンダ室25b内に圧油を供給すると、第2ピストン21
aおよびロッド21が一方側に移動する。第2ピストン
21aが第1シリンダ室25aまで移動してきて第1ピ
ストン24に当接すると、第1ピストン24は第2ピス
トン21aに押されて第2ピストン21aとともに一側
に移動する。また、第2シリンダ室25b内の圧油の一
部が油路31を通って第3シリンダ室21bの一側端部
から流入するので、第3ピストン22aおよびロッド2
2が他方側へ移動する。すなわち、油路30から圧油を
供給することにより、ロッド22はロッド21に移動方
向に対して逆方向に移動することになる。
【0019】次に、油路28から第1シリンダ室25a
に圧油を供給すると、第1ピストン24は第2ピストン
21aを押しながら他方側に移動するが、この移動は、
両シリンダ室25a,25bの間の段付部に第1ピスト
ン24が当接することにより停止する。なお、このとき
の爪部材14a,14aは中立位置である。さらに、油
路28内の油圧力を一定に保ったまま、油路29から第
1および第2シリンダ室25a,25bの間に圧油を供
給すると、第2ピストン21aのみが他方側に移動す
る。このとき、油路32を通って第3シリンダ室21b
内にも他側端部から圧油が流入するので、この場合もロ
ッド22はロッド21の移動方向と逆方向に移動するこ
とになる。
【0020】なお、移動駒12とドローバ支持部材13
のテーパ部13bとは楔作用により強固に係合してい
て、容易に離脱することはないが、主軸1の高速回転や
回転中の振動などにより両者の係合が緩むおそれがあ
る。そのため、この実施例のクランプ装置においては、
移動駒12とドローバ支持部材13の係合が緩まないよ
うに、主軸1の回転速度に比例するバックアップ力をド
ローバクランプ手段10の他方側から付与するバックア
ップ手段35が設けられている。以下にその構成を説明
する。ドローバ支持部材13の他端側の外周面に均等間
隔で複数個(この実施例では4個)の逃げ穴36が穿設
され、この逃げ穴36のそれぞれに球体38が出没自在
に挿入されている。この逃げ穴36は、主軸2の先端に
工具を装着しない状態、すなわち、ドローバ支持部材1
3が他方側に移動している状態においては、主軸1の内
周面により塞がれている。また、主軸内周面の逃げ穴3
6よりも一側寄り近傍には、係合溝37が形成されてい
る。
【0021】主軸装着部2に工具Tを挿入してドローバ
支持部材13を一方側へ移動させると、逃げ穴36が係
合溝37に達して係合溝37側に開口し、球体38が逃
げ穴36から出没可能な状態になる。そのため、主軸1
が回転を開始すると、球体38に作用する遠心力により
球体38が逃げ穴36から係合溝37内に突出する。係
合溝37の他側の側壁は逃げ穴36側に傾斜するテーパ
面37aとして形成されているので、球体38に付与さ
れる遠心力がこのテーパ面37aにより、主軸軸線と平
行方向の力とテーパ面37aに沿った方向の力とに分解
される。従って、球体38は逃げ穴36の周縁部を介し
てドローバ支持部材13を一方側へ付勢することにな
る。なお、テーパ面37aの傾斜角を45度とすると、
ドローバ支持部材13には、理論上は遠心力と等しい力
の付勢力が付与されることになる。
【0022】ところで、移動駒12とドローバ支持部材
13の係合状態が緩まないようにするには、図3に示す
ような緩防止手段を設けるものとしてもよい。図3に示
す緩防止手段は、ストッパを設けることにより、ドロー
バ5をクランプしている状態にあるドローバ支持部材1
3の他方側への移動を規制しようとするものである。す
なわち、ドローバ支持部材13のドローバクランプ手段
10よりも他端寄りには、円周方向に均等間隔で複数個
(この実施例では2個)の有底穴41が形成され、この
有底穴41内にストッパ42が出没自在に挿入されてい
る。このストッパ42は、有底穴41内に設けられた戻
しばね43により、有底穴41内に収納される方向に常
時付勢されている。また、有底穴41よりも主軸一端寄
りの主軸内周面には、ストッパ42が挿脱自在な係合溝
44が形成され、ドローバ支持部材13が一方側に移動
すると有底穴41が係合溝44に開口するようになって
いる。そして、主軸1が回転を開始すると、ストッパ4
2に作用する遠心力により、ストッパ42が戻しばね4
3の付勢力に抗して有底穴41から係合溝44内に突出
する。なお、上記において有底穴41としたのは、ばね
43の一端部を固定するためであり、ばね43の一端部
を固定することができるものであれば、必ずしも有底穴
である必要はない。
【0023】これにより、ドローバ支持部材13と移動
駒12の係合が緩んでドローバ支持部材13が後退しよ
うとしても、ストッパ42が係合溝44の側壁と係合し
てドローバ支持部材13の他方側への移動を阻止するの
で、移動駒12とドローバ支持部材13の係合が緩むこ
とがない。先の実施例で示したバックアップ手段35に
よれば、主軸1の回転数に比例する大きさの付勢力がド
ローバ支持部材13に付与されることになり、従って主
軸1の回転数が大きいほど緩み止めの効果は大きいが、
この実施例における緩防止手段は主軸1の回転数の大き
さにかかわらず、広い範囲で使用できて確実に緩みを防
止できるという特徴がある。 主軸2の回転が停止する
と、戻しばね43の付勢力によりストッパ42が有底穴
41内に収納されるので、ドローバ支持部材13の後退
が可能になる。なお、ストッパ42と係合溝44の側壁
とが係合して戻しばね43の付勢力のみではストッパ4
2が戻らないようなおそれがある場合には、進退移動手
段20を駆動してドローバ支持部材13をわずかに一方
側に移動させて係合を解除した後、進退移動手段20を
逆駆動してドローバ支持部材13を引張り、他方側へ移
動させるようにすればよい。
【0024】次に上記構成の本発明のツールクランプ装
置の作用を説明する。主軸1の工具装着部2に工具Tを
挿入し、進退移動手段20の油路30から第2シリンダ
室25bに圧油を供給すると、第2ピストン21aが一
方側に移動する。これにより、溝15内にある爪部材1
4a,14aが一側壁15aに当接してドローバ支持部
材13を押し一方側に移動させる。このとき、第3シリ
ンダ室21bの一方側に油路31を介して供給された圧
油によりロッド22はロッド21に対して逆向きに移動
するので、ロッド22とドローバ5の他端との間隙が保
たれる。ドローバ支持部材13が一方側に移動すると、
移動駒12,12が内側に移動するとともに、テーパ部
5cに沿ってドローバ5を他方側へ移動させる。これに
より、工具Tが主軸装着部2内に引き込まれて主軸1の
一側端部に装着される。ドローバ5は、テーパ部5cと
移動駒12,12との係合および移動駒12,12とド
ローバ支持部材13のテーパ面13bとの係合による楔
作用により、強固にクランプされる。この後、油路28
から第1シリンダ室25aに圧油を供給すると、第1ピ
ストン24が第2ピストン21aを押しながら他側へ移
動する。第1ピストン24の移動は、第1シリンダ室2
5aと第2シリンダ室25bの間の段付部に当接して停
止するが、このとき、爪部材14,14は溝15内の中
立位置に位置している。そのため、主軸1が回転を開始
しても、ドローバ支持部材13と爪14aとが非接触状
態に保たれているので、摩擦熱が生じることがない。
【0025】工具Tを交換する際には、進退移動装置2
0の油路29から第2ピストン21aと第1ピストン2
4との間に圧油を供給する。なお、この際、第1ピスト
ン24が移動しないように、油路28内の油圧力を一定
に保っておく。これにより、第2ピストン21aのみが
他方側へ移動するので、爪部材14aと溝15の他側壁
15bとが係合し、ドローバ支持部材13が引っ張られ
て他方側へ移動する。ドローバ支持部材13が他側へ移
動すると、移動駒12,12によるドローバ5のクラン
プが解除されてドローバ5が移動可能な状態になる。油
路29から圧油を供給することにより、油路32を経て
第3シリンダ室21b内にも圧油が流入するので、ロッ
ド22が一方向側へ移動してドローバ5を移動させ、ド
ローバ5がプルスタッドを押すことにより工具Tを主軸
より離脱させる。この際、ドローバ5内のエア流通穴8
とロッド22内のエア流通穴23が連通状態になり、エ
ア流通穴8、23に供給されたエアが、工具装着部2お
よび工具Tに吹きつけられて清掃を行う。
【0026】なお、主軸1の回転中は、バックアップ手
段35の球体38がドローバ支持部材13を一方側に付
勢しているので、移動駒12とドローバ支持部材13と
の係合がより強固になるとともに、ドローバ支持部材1
3が主軸1の回転や振動により後退して両者の係合を緩
めるということがない。
【0027】本発明の好適な実施例について説明してき
たが、本発明は上記の実施例に限られるものではない。
例えば、進退移動装置20は上記の実施例にものに限ら
れず、溝13a内で爪部材14aを一側,中立位置,他
側の三位置間で往復移動させることができるものであれ
ば他の構成の駆動手段であってもよい。また、上記の実
施例で被係合部は、ドローバ支持部材13の外周に凹状
溝15を削成し、対向する両側壁15a,15bである
として説明したが、ドローバ支持部材13の表面に爪部
材14aと係合できる係合突起により被係合部を形成す
ることもできる。さらに,上記の実施例でドローバクラ
ンプ手段10はいわゆるソリッドステート型のものとし
て説明したが、ドローバ5をクランプして進退動作を規
制できることができるものであれば、例えばコレットを
利用したドローバクランプ手段にも本発明を適用できる
ことはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、以下のような効果を奏する。ツールクランプ装置の
動作を、主軸外側に設けた油圧駆動機構により行うこと
としているので、主軸内に圧油を供給するための複雑な
圧油供給機構が不要となるうえ、主軸回転中においても
固定部と回転部とが接触することがなく、従って固定部
と回転部との間で摩擦熱が発生し、加工精度を悪化させ
るということもない。また、部品の磨耗による定期的な
点検や部品の頻繁な交換などの煩わしい保守、点検作業
が不要となって作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ツールクランプ装置を備えた工作機械の主軸頭
にかかり、主軸頭の一側部分の断面図である。
【図2】ツールクランプ装置を備えた工作機械の主軸頭
にかかり、主軸頭の他側部分の断面図である。
【図3】主軸回転中にドローバクランプ手段の係合が緩
まないように防止する緩防止手段の実施例にかかり、そ
の要部の拡大断面図である。
【図4】本発明の従来例にかかり、欧州特許公開EP0
219594A1号公報で開示されたツールクランプ装
置の要部の断面図ある。
【符号の説明】
T 工具 B 軸受 1 主軸 2 工具装着部 3 主軸貫通穴 5 ドローバ 10 ドローバクランプ手段 13 ドローバ支持部材(摺動部材) 14 係合部材 14a 爪部材 15 溝 15a,15b 側壁(被係合部) 20 進退移動手段 35 バックアップ手段 36 逃げ穴 37 係合溝 38 球体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主軸貫通穴内に進退移動自在にドローバ
    が設けられ、主軸の一端に形成された工具装着部に挿入
    された工具の一部と把持係合するとともに、前記工具を
    他側に引っ張っている前記ドローバをクランプして進退
    移動を規制することにより前記工具装着部に前記工具を
    装着するようにした主軸のツールクランプ装置におい
    て、 前記主軸貫通穴内に嵌装され主軸軸線方向に摺動自在に
    設けられるとともに、一端部にテーパ面が形成された摺
    動部材と、 この摺動部材の摺動により前記テーパ面に沿って前記ド
    ローバをクランプ・アンクランプ動作するドローバクラ
    ンプ手段と、 前記摺動部材の他端側に設けられ、主軸軸線方向に離間
    して設けられた二つの被係合部と、 この2つの被係合部の間で進退移動自在に設けられ、一
    側に移動したときに一方の前記被係合部と係合して前記
    摺動部材に押圧力を付与し、他側に移動したときに他方
    の前記被係合部と係合して前記摺動部材を引っ張る係合
    部材と、 前記被係合部の間にあって前記摺動部材と接触しない中
    立位置から前記一側または前記他側に向けて前記係合部
    材を移動させる進退移動手段と、 からなることを特徴とする主軸のツールクランプ装置。
  2. 【請求項2】 前記摺動部材の外周面に穿設された逃げ
    穴と、この逃げ穴に出没自在に設けられた球体と、前記
    摺動部材が前記一側に移動したときに前記逃げ穴が開口
    するように前記逃げ穴よりも主軸内周面の一側寄りに設
    けられた係合溝と、前記係合溝の他側壁に形成され、主
    軸が回転して前記球体が前記係合溝内に突出したときに
    係合するテーパ面とからなり、前記球体に付与される遠
    心力の主軸軸線方向への分力により前記摺動部材を付勢
    するようにしたバックアップ手段を有することを特徴と
    する請求項1に記載の主軸のツールクランプ装置。
  3. 【請求項3】 前記摺動部材の外周面に穿設された逃げ
    穴と、この逃げ穴に出没自在に設けられたストッパと、
    前記摺動部材が前記一側に移動したときに前記逃げ穴が
    開口するように前記逃げ穴よりも主軸内周面の一側寄り
    に設けられた係合溝と、前記逃げ穴内に設けられ前記ス
    トッパを常時逃げ穴内に格納する方向に付勢する付勢部
    材とからなる緩防止手段を有することを特徴とする請求
    項1に記載の主軸のツールクランプ装置。
JP20246694A 1994-08-26 1994-08-26 主軸のツールクランプ装置 Pending JPH0866809A (ja)

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Cited By (4)

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