JP3597493B2 - 加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、マシニングセンタ等の加工装置に係り、特に主軸ヘッドに支持された主軸に工具ホルダを着脱可能に装着し、その工具ホルダに取り付けられた研削用砥石やエンドミル等のエア駆動による回転工具を保持し研削や切削等の加工を行うようにした加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の加工装置としては、例えば特開平1−281861号公報に示されるような構成のものが知られている。
【0003】
この従来構成においては、工具ホルダに静圧軸受を介して回転軸が回転可能に支持され、その回転軸の先端に研削用砥石等の工具が取り付けられている。工具ホルダには、回転軸をエアの噴射によって回転駆動させるためのエア駆動機構としてのエアタービンが設けられている。主軸及び工具ホルダにはエア供給源に連結されるエア供給路が形成され、このエア供給路を介してエアタービンにエアが供給されて、回転軸が高速で回転駆動されると共に、エア供給路を介して静圧軸受にエアが供給されて、回転軸が工具ホルダに対し静圧的に支承されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の加工装置では、回転軸の回転を停止させるための停止機構が設けられていないため、工具交換のために工具ホルダを主軸から取り外す場合、エア駆動機構からのエアの噴射を停止した後、回転軸の惰性回転が所定回転数以下になるまで、工具ホルダの取り外し作業を待たなければならず、工具交換に長い作業時間を必要とするという問題があった。
【0005】
又、このような問題点を解消するため、工具ホルダに機械的なブレーキ機構を設けることも考えられるが、このように構成した場合には、構造が複雑になると共に、高速回転している回転軸を停止させる際に、ブレーキ機構のブレーキシュー等に磨耗が生じやすくて、耐久性に新たな問題が生じた。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであって、その目的は、工具交換のために工具ホルダを主軸から取り外す際に、回転軸の惰性回転を短時間に制動停止させることができて、工具の交換作業を短時間に行うことができ、しかも、回転軸を停止させるためにエア停止機構を採用して、停止機構の構成を簡素化することができると共に、工具ホルダを主軸に装着する際に、工具ホルダ内のエア駆動機構及びエア停止機構に対するエアの供給経路を自動的に接続することができる加工装置を提供することにある。
【0007】
さらに、この発明の他の目的は、クーラントを必要とする工具を使用して加工を行う際に、駆動用エア又は停止用エアのいずれか一方を供給するためのエア供給路を利用して、工具ホルダ上にクーラントを供給することができる加工装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は前記目的を達成するために、主軸ヘッドに支持された主軸の装着穴に、先端に工具を取り付けた回転軸を静圧軸受を介して回転可能に支持する工具ホルダが、着脱可能に装着される加工装置において、前記工具ホルダには、回転軸をエアの噴射によって回転駆動させるためのエア駆動機構と、回転軸の回転をエアの逆噴射によって停止させるためのエア停止機構とを設けると共に、エア駆動機構及びエア停止機構にそれぞれ連結された駆動用のエア通路及び停止用のエア通路を設け、前記主軸にはエア供給源に連結される駆動用のエア供給路及び停止用のエア供給路を設け、前記工具ホルダを装着穴に装着したときに互いに接続されるように、各エア通路のエア供給端を各エア供給路の開口端に接離可能に対応させ、前記駆動用エア供給路又は停止用エア供給路のいずれか一方は、クーラントを必要とする工具を使用して加工を行う際に工具ホルダにクーラントを供給するクーラント供給路と共用し、エア供給源とクーラント供給源とを前記一方のエア供給路に択一的に連結するための切換手段を備えたものである。
【0009】
【作用】
請求項1に記載の加工装置において、所定の工具を取り付けた工具ホルダが主軸の装着穴に装着されると、工具ホルダに設けられた駆動及び停止用のエア通路が主軸に設けられた駆動及び停止用のエア供給路に接続される。この状態で、駆動側のエア供給源から駆動用のエア供給路及びエア通路を介してエア駆動機構に駆動用エアが供給されて回転軸に噴射され、その回転軸が高速で回転駆動されて、回転軸の先端の工具により切削等の加工が行われる。
【0010】
この加工の終了後、工具交換のために工具ホルダを装着穴から取り外す場合には、エア駆動機構への駆動用エアの供給が停止されると共に、停止用のエア供給路からエア通路を介してエア停止機構に停止用エアが供給されて回転軸に逆噴射され、その回転軸の回転が制動される。従って、回転軸の惰性回転を短時間に制動停止させることができ、工具交換作業を短時間に行うことができる。
【0011】
さらに、クーラントを必要とする工具を使用して加工を行う際に、エア供給源に代えてクーラント供給源が駆動用又は停止用のエア供給路に連結され、このクーラント供給源から工具ホルダにクーラントが供給されながら加工が行われる。
【0012】
【実施例】
以下、この発明を具体化した自動工具交換装置を備える縦型マシニングセンタの一実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、マシニングセンタの主軸ヘッド1はほぼ箱型に形成され、その底部には支持筒2が固定されると共に、頂部には遮蔽筒3が固定されている。中空筒状の主軸4は軸受5を介して支持筒2に回転可能に挿通支持され、その下端にはテーパ状の装着穴4aが形成されている。回転筒6は主軸4の上端ネジ部7に螺合して緩み止めナット8により固定され、遮蔽筒3内に所定間隙をおいて回転可能に挿通されている。歯車9は主軸4の中間部に嵌合固定され、図示しないモータの回転に伴い、この歯車9を含む歯車伝達機構を介して主軸4が回転駆動される。
【0014】
工具ホルダ10は図示しない自動工具交換装置により前記主軸4の装着穴4aに着脱交換可能に装着され、そのホルダ本体11の上端には装着穴4aに嵌挿可能なテーパシャンク部11aが設けられると共に、外周には自動工具交換装置の交換用アームに係合可能な保持溝11bが形成されている。中空筒状のクランプ軸12は主軸4内に上下方向へ移動可能に挿通支持され、図2に示すように主軸4の上端から上方に突出されている。
【0015】
被作動部としての被押圧ナット13及び支持ナット14は前記クランプ軸12の中間ネジ部15に螺着され、この支持ナット14の下面には上バネ受けリング16が接合配置されている。下バネ受けリング17は主軸4の内底部に配設され、この下バネ受けリング17と上バネ受けリング16との間には第1付勢部材としての皿バネ18が介装されている。そして、この皿バネ18の付勢力によりクランプ軸12が上方に向かって移動付勢されている。
【0016】
プルスタッド式のクランプ機構19は前記クランプ軸12とホルダ本体11との間に設けられ、クランプ軸12の下端の支持孔20内に収容支持された複数のクランプボール21と、そのクランプボール21と係合するようにホルダ本体11の上端に設けられたプルスタッド22とから構成されている。そして、このクランプボール21がプルスタッド22に係合した状態で、クランプ軸12が皿バネ18の付勢力によりクランプ方向の上方へ引かれることにより、ホルダ本体11が装着穴4aに装着された状態でクランプされる。又、クランプ軸12が皿バネ18の付勢力に抗してアンクランプ方向の下方へ移動されることにより、クランプボール21がプルスタッド22から離脱して、ホルダ本体11のクランプが解除される。
【0017】
回転軸23は前記ホルダ本体11内に上下一対の軸受筒24,25を介して回転可能に支持され、その下端には研削用砥石等の工具26がチャック27を介して着脱可能に取り付けられている。多数の噴出ノズル28は軸受筒24,25に形成され、この噴出ノズル28から回転軸23と軸受筒24,25との間の間隙にエアが噴出されることによって、回転軸23を支承するための静圧軸受29が形成される。
【0018】
図1及び図3に示すように、エア駆動機構30は前記ホルダ本体11と回転軸23との間に設けられ、回転軸23の外周に形成された羽根車31と、その羽根車31に対向して上軸受筒24に形成された複数の噴射ノズル32とから構成されている。そして、前記主軸4が主軸ヘッド1に対して所定位置に位置決め停止された状態で、このエア駆動機構30の噴射ノズル32から羽根車31にエアが噴射されることによって、回転軸23が図3の反時計方向に高速で回転駆動される。
【0019】
エア停止機構33は前記エア駆動機構30の下方においてホルダ本体11と回転軸23との間に設けられ、回転軸23の外周に形成された羽根車34と、その羽根車34に対向して上軸受筒24に形成された複数の逆噴射ノズル35とから構成されている。そして、前記エア駆動機構30における噴射ノズル32からのエアの噴射が停止された後に、このエア停止機構33の逆噴射ノズル35から羽根車34にエアが逆噴射されることによって、回転軸23の惰性回転が制動停止される。
【0020】
図1に示すように、駆動用エア通路36は前記ホルダ本体11内に形成され、ホルダ本体11の内周面に設けられた環状通路37を介して各噴出ノズル28に連結されると共に、上軸受筒24の外周面に設けられた環状通路38を介してエア駆動機構30の各噴射ノズル32に連結されている。停止用エア通路39はホルダ本体11及びプルスタッド22内に形成され、上軸受筒24の外周面に設けられた環状通路40を介してエア停止機構33の各逆噴射ノズル35に連結されている。そして、前記駆動エア通路36のエア供給端はテーパシャンク部11aの外側においてホルダ本体11の上端面に180°位相を変えて2箇所に開口され、停止用エア通路39のエア供給端はプルスタッド22の開口されている。
【0021】
駆動用エア供給路としての第1エア供給路41は前記クランプ軸12の中空部内に設けられ、その下端がクランプ軸12の外周面に開口されている。2本の傾斜供給路42は装着穴4aに沿って下方へ延びるように形成され、その上端が環状通路43を介して第1エア供給路41に連結されると共に、下端が前記駆動用エア通路36の2つのエア供給端に対向して主軸4の下端面にそれぞれ開口されている。
【0022】
筒状のフロート部材44は前記傾斜供給路42の下端開口部に上下移動可能に嵌挿され、その下端には黄銅等の軟質材料よりなる接合体45が嵌着されている。バネ46は傾斜供給路42の下端開口部とフロート部材44との間に介装され、常にはこのバネ46の付勢力により、フロート部材44が規制ピン47にて規制される上下移動範囲の下方位置に突出保持されている。
【0023】
そして、主軸4が所定位置に位置決め停止された状態で、ホルダ本体11のテーパシャンク部11aが装着穴4aに図示しないキーを介して定位状態で嵌挿されたとき、フロート部材44がバネ46の付勢力に抗して上方に移動されて、接合体45がホルダ本体11の上端面に圧接される。このとき、傾斜供給路42がフロート部材44及び接合体45を介して駆動用エア通路36のエア供給端に接続される。
【0024】
停止用エア供給路としての第2エア供給路48は前記主軸4の中空部内に設けられ、その下端が前記停止用エア通路39の上端開口部と対向するように、クランプ軸12に形成された供給路49を介して装着穴4aの内頂部に開口されている。そして、ホルダ本体11が装着穴4aに嵌挿されたとき、この第2エア供給路48が供給路49を介して停止用エア通路39のエア供給端に接続される。
【0025】
図2に示すように、円筒状のシリンダ50は前記遮蔽筒3上に固定され、その上端には蓋体51が取り付けられている。作動部材としての中空筒状の作動軸52はシリンダ50内に上下動可能に収容され、その下端には凹所52aが形成されている。ピストン53はナット54により作動軸52の中間に固定され、このピストン53によりシリンダ50内のシリンダ室が下部加圧室50aと上部加圧室50bとに区画されている。
【0026】
押圧体55は前記凹所52a内においてネジ56により作動軸52の下端に固定され、前記被押圧ナット13の上面に接離可能に対向している。第2付勢部材としてのバネ57は蓋体51とピストン53との間に介装され、このバネ57の付勢力により作動軸52が下方に移動付勢されている。なお、この実施例においては、バネ57によって作動軸52に付与される下方への付勢力が、前記皿バネ18によってクランプ軸12に付与される上方への付勢力よりも小さくなるように設定されている。
【0027】
切換用エアポート58は前記シリンダ50に形成され、下部加圧室50aに連通されている。油圧ポート59は蓋体51に形成され、上部加圧室50bに連通されている。エア供給口60は作動軸52及び押圧体55に形成され、前記第2エア供給路48の上端開口部に対向して凹所52a内に開口されている。停止用エアポート61はシリンダ50に形成され、環状通路62を介してエア供給口60に連結されている。
【0028】
接続筒63は前記回転筒6の上端に固定又は一体に突出形成され、この接続筒63と接離可能に対向するように、凹所52aの下端内面にはシールリング64が設けられている。そして、この接続筒63とシールリング64とにより接続手段が構成され、図4に示すように、作動軸52がバネ57の付勢力により下方に移動されて、押圧体55がクランプ軸12上の被押圧ナット13に当接されたとき、シールリング64が接続筒63に接触係合し、この状態でエア供給口60が凹所52aを介して第2エア供給路48に接続される。
【0029】
支持ブラケット65は前記主軸ヘッド1の上面に取り付けられ、この支持ブラケット65上には筒状のカップリング66が軸受67を介して回転可能に支持されている。駆動エア及びクーラント供給用の回転継手68は支持ブラケット65上に図示しない取付板を介して取り付けられ、その下面に突出した回転管68aがカップリング66にねじ込み固定されている。そして、カップリング66には前記クランプ軸12の上端が一体回転可能に且つ軸線方向へ相対移動可能に嵌挿され、回転継手68の内部がカップリング66を介してクランプ軸12内の第1エア供給路41に連結されている。
【0030】
図2に示すように、前記シリンダ50内の加圧室50a,50bにエア又は油圧を供給するための供給回路は、エア供給源としてのエアポンプ69と、切換弁70と、大気に連通する排気部71,72と、第1及び第2のエア経路73,74と、エアハイドロブースタ75とを備えている。切換弁70は第1〜第3の3つの切換部70a,70b,70cを備え、その切換によって第1及び第2エア経路73,74がエアポンプ69又は排気部71,72に対して任意に接続される。
【0031】
前記エアハイドロブースタ75はシリンダ室76及び増圧室77を備えている。ピストン78はシリンダ室76内に移動可能に設けられ、このピストン78によりシリンダ室76が第1及び第2の加圧室76a,76bに区画されている。ピストンロッド79はピストン78から増圧室77内に突出され、油タンク80より増圧室77に供給されている油が、このピストンロッド79の移動によって増圧される。
【0032】
前記第1エア経路73は2つのエア経路73a,73bに分岐され、その一方のエア経路73aが切換用エアポート58を介してシリンダ50内の下部加圧室50aに連結されると共に、他方のエア経路73bがエアハイドロブースタ75の第1加圧室76aに連結されている。又、第2エア供給路74はエアハイドロブースタ75の第2加圧室76bに連結されている。さらに、増圧室77は油圧出力経路81により、前記油圧ポート59を介してシリンダ50内の上部加圧室50bに連結されている。
【0033】
図2に示すように、前記回転継手68を介して第1エア供給路41に駆動用エア及びクーラントを供給するための供給回路は、駆動用エア供給源としてのエアポンプ82と、クーラント供給源としてのクーラント供給ポンプ83と、そのエアポンプ82及びクーラント供給ポンプ83を回転継手68に択一的に連結するために、それらの供給経路に接続された切換手段としての開閉弁84,85とを備えている。
【0034】
そして、図1に示すように、工具ホルダ10の回転軸23に取り付けられたエンドミル等のエア駆動による回転工具26を使用して加工を行う場合には、一方の開閉弁84が開放されて、エアポンプ82から第1エア供給路41等を介して、工具ホルダ10内のエア駆動機構30に駆動用エアが供給される。又、図示しないがクーラントを必要とするいわゆる軸心給油用の工具を使用して加工を行う場合には、他方の開閉弁85が開放されて、クーラント供給ポンプ83から第1エア供給路41等を介して、工具ホルダにクーラントが供給される。
【0035】
図2に示すように、前記停止用エアポート61からエア供給口60を介して第2エア供給路48に停止用エア等を供給するための供給回路は、エアポンプ86と、圧切換手段を構成する停止用減圧弁87とクリーニング用減圧弁88と停止用減圧弁87及びクリーニング用減圧弁88を停止用エアポート61に択一的に連結するようにそれらの供給経路に接続された開閉弁89,90とを備えている。なお、エアポンプ69,82,86は別々に符号を付してあるが、実際には1つのものである。
【0036】
そして、加工の終了後に、工具ホルダ10内の回転軸23の回転が停止される際には、駆動用エアの供給が停止された後、図4に示すように、作動軸52の下方移動に伴いシールリング64と接続筒63との接触係合により、エア供給口60が凹所52aを介して第2エア供給路48に接続された状態で、一方の開閉弁89が開放され、エアポンプ86から停止用減圧弁87を通して減圧された停止用エアが、第2エア供給路48等を介して工具ホルダ10内のエア停止機構33に供給される。
【0037】
又、回転軸23が所定回転数以下まで制動され停止用エアの供給が停止された後、図5に示すように、作動軸52の下方移動によりクランプ軸12が下方に移動されて、工具ホルダ10が主軸4の装着穴4aから取り外される際には、他方の開閉弁90が開放されて、エアポンプ86からクリーニング用減圧弁88を通して減圧されたクリーニング用エアが、第2エア供給路48等を介して装着穴4aに供給される。
【0038】
なお、この実施例においては、図1に鎖線で示すように、前記回転軸23又はチャック27に対向して回転センサ91が配設され、この回転センサ91によって、回転軸23の回転数が検出されるようになっている。又、支持筒2内に振動センサ92を内蔵して、振動の変化によって回転軸23の回転数が検出されるようにしてもよい。
【0039】
そして、この検出値は回転軸23の駆動時における所定回転数の確認を行なうとともに、回転軸23の制動停止時には開閉弁89の切換信号として使用される。
【0040】
次に、前記のように構成されたマシニングセンタについて動作を説明する。
さて、図1及び図2は、主軸4が主軸ヘッド1に対して所定位置に位置決め停止され、その主軸4の装着穴4aに工具ホルダ10が装着されて、クランプ機構19により工具ホルダ10が主軸4にクランプされた状態を示すものである。この状態においては、駆動用エア通路36のエア供給端が傾斜供給路42の下端開口部の接合体45に接続され、駆動用エア通路36が傾斜供給路42を介してクランプ軸12内の第1エア供給路41に連結されている。又、停止用エア通路39の上端開口部が供給路49の下端開口部に接続され、停止用エア通路39が供給路49を介して主軸4内の第2エア供給路48に連結されている。
【0041】
さらに、この状態においては、エア及び油圧供給回路の切換弁70が切換部70aに切り換えられ、エアポンプ69からのエアが、第1エア経路73からエア経路73aを介してシリンダ50内の下部加圧室50aに供給されると共に、エア経路73bを介してエアハイドロブースタ75の第1加圧室76aに供給されている。このため、エアハイドロブースタ75のピストン78及びピストンロッド79が図2の上方に移動されて、増圧室77の油圧がゼロになり、シリンダ50の上部加圧室50bの圧力もゼロとなっている。
【0042】
それにより、図2に示すように、シリンダ50内のピストン53がバネ57の付勢力に抗して上方に移動され、作動軸52が上方位置に保持されて、押圧体55がクランプ軸12上の被押圧ナット13から離間されると共に、シールリング64が接続筒63から離脱された状態にある。従って、クランプ軸12が皿バネ18の付勢力によりクランプ方向に引き上げられ、クランプ機構19はクランプ状態に維持されている。
【0043】
この状態で、駆動用エア供給回路の開閉弁84が開放されると、エアポンプ82からの駆動用エアが、回転継手68、カップリング66、第1エア供給路41及び傾斜供給路42を介して工具ホルダ10内の駆動用エア通路36に導かれ、その後、各噴出ノズル28から回転軸23と軸受筒体24,25との間の間隙に噴出されて静圧軸受29が形成され、回転軸23がホルダ本体11に対して静圧的に支承される。それと共に、駆動用エアが前記駆動用エア通路36からエア駆動機構30に導かれ、その噴射ノズル32から羽根車31に向けて噴射されて、回転軸23が図3の時計方向に高速で回転駆動される。これにより、回転軸23の先端の工具26にてワークに対し切削等の加工が行われる。
【0044】
一方、クーラントを必要とする工具を備えた工具ホルダを主軸4に装着した状態で加工を行う場合には、クーラント供給回路の開閉弁85が開放されて、クーラント供給ポンプ83からのクーラントが、回転継手68、カップリング66、第1エア供給路41及び傾斜供給路42を介して工具ホルダに供給されて、工具やワークの加工部が冷却される。
【0045】
そして、前記回転軸23上の工具26による加工が終了すると、駆動用エア供給回路の開閉弁84が閉じられて、エアポンプ82からエア駆動機構30等への駆動用エアの供給が停止される。その後、エア及び油圧供給回路の切換弁70が切換部70bに切り換えられ、エアポンプ69からのエア供給が遮断されると共に、第1及び第2エア経路73,74が排気部71,72に接続されて大気圧になり、エアハイドロブースタ75の両加圧室76a,76b及びシリンダ50内の両加圧室50a,50bの圧力がゼロになる。
【0046】
これにより、図4に示すように、作動軸52がピストン53と一体的にバネ57の付勢力にて下方へ移動され、押圧体55がクランプ軸12上の被押圧ナット13に当接されると共に、シールリング64が接続筒63に接触係合して、エア供給口60が凹所52aを介して第2エア供給路48に接続される。このとき、バネ57によって作動軸52に付与される下方への付勢力が、皿バネ18によってクランプ軸12に付与される上方への付勢力よりも小さくなるように設定されているため、クランプ軸12が下方に移動されアンクランプ動作されることはない。
【0047】
そして、この状態で、停止用エア供給回路の開閉弁89が開放され、エアポンプ86から停止用減圧弁87を通して減圧された停止用エアが、停止用エアポート61、エア供給口60、第2エア供給路48及び供給路49を介して、工具ホルダ10内の停止用エア通路39に導かれる。その後、停止用エアが停止用エア通路39からエア停止機構33に導かれ、その逆噴射ノズル35から羽根車34に向けて逆噴射されて、回転軸23の回転が制動される。従って、回転軸23が長時間に亘って惰性回転することはなく、その回転軸23の惰性回転を短時間に制動停止させることができて、その後の自動工具交換装置による工具ホルダ10の交換作業を迅速かつ短時間に行うことができる。
【0048】
このように回転軸23の回転が制動されて、その回転数が所定値以下まで低下したことが回転センサ91によって検出されると、開閉弁89が閉じて停止用エアの供給が止まる。そして、図示しない自動工具交換装置の交換用アームが工具ホルダ10の保持溝11bをつかむと、エア及び油圧供給回路の切換弁70が切換部70cに切り換えられ、エアポンプ69からのエアが、第2エア経路74を介してエアハイドロブースタ75の第2加圧室76bに供給される。それにより、エアハイドロブースタ75のピストン78及びピストンロッド79が図2の下方に移動されて、増圧室77の油圧が増圧され、その油圧が油圧出力経路81を介してシリンダ50内の上部加圧室50bに供給される。
【0049】
これにより、図5に示すように、作動軸52がピストン53と一体的に、回転筒6と当接する位置まで下方へさらに移動されて、クランプ軸12が押圧体55及び被押圧ナット13を介してアンクランプ方向の下方に移動され、クランプ機構19によるクランプが解放される。この後、交換用アームによって工具ホルダ10が主軸4の装着穴4aから取り外される。このとき、クリーニング用エア供給回路の開閉弁90が開放され、エアポンプ86からクリーニング用減圧弁88を通して減圧されたクリーニング用エアが、停止用エアポート61、エア供給口60、第2エア供給路48及び供給路49を介して装着穴4aに供給され、装着穴4aや工具ホルダ10のテーパシャンク部11aがクリーニングされる。
【0050】
なお、この発明は前記実施例の構成に限定されるものではなく、この発明の趣旨から逸脱しない範囲で、次のように変更して具体化することも可能である。
(1)クランプ軸12内の第1エア供給路41を停止用エア供給路として使用すると共に、主軸4内の第2エア供給路48を駆動用エア供給路として使用し、作動軸52の下方移動に伴い、シールリング64が接続筒63に接触係合して、エア供給口60が第2エア供給路48に接続された状態で、エア供給口60から第2エア供給路48内に、駆動用エア又はクリーニング用エアを選択的に供給するように構成すること。
【0051】
(2)静圧軸受29の噴出ノズル28にエアを供給するためのエア通路を、駆動用エア通路36及び停止用エア通路39と区別して、ホルダ本体11に形成すること。
【0052】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているため、次のような優れた効果を奏する。
【0053】
この発明によれば、工具交換のために工具ホルダを主軸から取り外す際に、回転軸の惰性回転を短時間に制動停止させることができて、工具の交換作業を短時間に行うことができる。又、回転軸を停止させるためにエア停止機構を設けたので、停止機構の構成を簡素化して耐久性を向上させることができる。さらに、工具ホルダを主軸に装着する際に、工具ホルダ内のエア駆動機構及びエア停止機構に対するエアの供給経路が自動的に接続形成されるため、工具交換作業を迅速に行うことができる。
【0054】
また、クーラントを必要とする工具を使用して加工を行う際に、駆動用エア又は停止用エアのいずれか一方を供給するためのエア供給路を利用して、工具ホルダ上にクーラントを供給することができて、駆動用エア及びクーラントの供給経路を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の加工装置を縦型マシニングセンタに具体化した一実施例を示すもので、特に主軸ヘッドのほぼ下半部を示す部分断面図である。
【図2】主軸ヘッドのほぼ上半部を示す部分断面図である。
【図3】図1のA−A線における拡大断面図である。
【図4】作動軸が図2に示す位置から所定量下方に移動された状態を示す部分断面図である。
【図5】作動軸が図4に示す位置からさらに下方へ移動された状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 主軸ヘッド、4 主軸、4a 装着穴、10 工具ホルダ、23 回転軸、26 工具、29 静圧軸受、30エア駆動機構、33 エア停止機構、36駆動用エア通路、39 停止用エア通路、41 駆動用エア供給路としての第1エア供給路、48 停止用エア供給路としての第2エア供給路、82 駆動用エア供給源としてのエアポンプ、83 クーラント供給源としてのクーラント供給ポンプ、84,85 切換手段を構成する開閉弁。
Claims (1)
- 主軸ヘッドに支持された主軸の装着穴に、先端に工具を取り付けた回転軸を静圧軸受を介して回転可能に支持する工具ホルダが、着脱可能に装着される加工装置において、
前記工具ホルダには、回転軸をエアの噴射によって回転駆動させるためのエア駆動機構と、回転軸の回転をエアの逆噴射によって停止させるためのエア停止機構とを設けると共に、エア駆動機構及びエア停止機構にそれぞれ連結された駆動用のエア通路及び停止用のエア通路を設け、前記主軸にはエア供給源に連結される駆動用のエア供給路及び停止用のエア供給路を設け、前記工具ホルダを装着穴に装着したときに互いに接続されるように、各エア通路のエア供給端を各エア供給路の開口端に接離可能に対応させ、
前記駆動用エア供給路又は停止用エア供給路のいずれか一方は、クーラントを必要とする工具を使用して加工を行う際に工具ホルダにクーラントを供給するクーラント供給路と共用し、エア供給源とクーラント供給源とを前記一方のエア供給路に択一的に連結するための切換手段を備えていることを特徴とする加工装置。
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