JPH0859786A - ポリウレタンおよびその製造方法 - Google Patents

ポリウレタンおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH0859786A
JPH0859786A JP6220818A JP22081894A JPH0859786A JP H0859786 A JPH0859786 A JP H0859786A JP 6220818 A JP6220818 A JP 6220818A JP 22081894 A JP22081894 A JP 22081894A JP H0859786 A JPH0859786 A JP H0859786A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diol
polyurethane
polyester diol
chain extender
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6220818A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3325127B2 (ja
Inventor
Shizuo Iwata
志都夫 岩田
Michihiro Ishiguro
通裕 石黒
Koji Hirai
広治 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP22081894A priority Critical patent/JP3325127B2/ja
Publication of JPH0859786A publication Critical patent/JPH0859786A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3325127B2 publication Critical patent/JP3325127B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリエステルジオール(a)、有機ジイソシア
ネート(b)及び鎖伸長剤(c)の反応させて得たポリウレタ
ンであって、ポリエステルジオール(a)が1,9−ノナンジ
オール、2−メチル−1,8−オクタンジオール及び1,4−
ブタンジオールからなるジオール成分とジカルボン酸成
分との反応により得られ且つ数平均分子量2500〜3500で
あり;鎖伸長剤(c)が1,4−ブタンジオールと炭素数5以
上のジオールとからなり;そして(b)/[(a)+(c)](モ
ル比)が1.00〜1.08であるポリウレタン、その製法並び
にポリウレタン成形物。 【効果】 本発明のポリウレタンは押出成形性等の成形
性、耐熱性、耐寒性及び耐加水分解性に優れ、且つ圧縮
永久歪みも少なく、その熱可塑性という特性を利用し
て、押出成形、射出成形、ブロー成形、注型、流延成
形、カレンダー成形等の成形法により各種の成形物を極
めて円滑に成形性よく製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形性、耐熱性、耐寒
性、耐加水分解性に優れ、しかも圧縮永久歪みの少ない
ポリウレタン、その製造方法および該ポリウレタンより
なる成形物に関する。詳細には、本発明は、溶融状態に
ある時間が長くなっても溶融粘度が急激に増加すること
がなくて押出成形性などの成形性に優れ、軟化点が高く
て耐熱性に優れ、さらに耐寒性、耐加水分解性にも優れ
ていて、しかも圧縮永久歪みの小さい成形物を得ること
のできる熱可塑性のポリウレタン、その製造方法および
該ポリウレタンよりなる成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリウレタンは、高い弾性を有
していて、耐摩耗性、耐油性などの諸特性にも優れてお
り、しかも通常の熱可塑性樹脂の成形加工法が適用でき
ることから、従来のジエン系ゴムやポリオレフィン、そ
の他の汎用の熱可塑性重合体に替わる重合体素材とし
て、近年広範な用途に多量に使用されるようになってい
る。しかしながら、熱可塑性ポリウレタンのうちでも耐
熱性の良好なものは、溶融状態にある時間が長くなると
粘度が急激に増加する傾向があり、そのため溶融滞留時
間の比較的長い押出成形などの成形を円滑に行うことが
困難であり、成形上の制約が多い。また、既存の耐熱性
の熱可塑性ポリウレタンは圧縮永久歪みが大きく且つ充
分な耐加水分解性、耐寒性などを有しておらず、耐熱
性、圧縮永久歪み、耐加水分解性および耐寒性を兼ね備
えた熱可塑性ポリウレタンは未だ知られていない。かか
る点から、溶融状態にある時間が長くても粘度が急激に
上昇せず、押出成形などによっても円滑に成形を行うこ
とができ、圧縮永久歪みが小さく、しかも耐熱性、耐寒
性および耐加水分解性にも優れる熱可塑性ポリウレタン
が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
状態にある時間(以下「溶融滞留時間」という)が長く
ても粘度が急激に上昇せず、押出成形などによって成形
性良く成形物を製造することができ、圧縮永久歪みが小
さく、しかも耐熱性、耐寒性および耐加水分解性にも優
れる熱可塑性ポリウレタンおよびその製造方法を提供す
ることである。更に、本発明の目的は、上記した優れた
特性を備えたポリウレタンの成形物を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが検討を重ねた結果、特定のポリエステルジ
オールおよび特定の鎖伸長剤を選んで使用し、しかもそ
れらのポリエステルジオールおよび鎖伸長剤を有機ジイ
ソシアネートと特定の割合で反応させると、溶融滞留時
間が長くなっても溶融粘度が急激に上昇せず押出成形性
などに優れ、しかも圧縮永久歪みが小さく、且つ耐熱
性、耐寒性、耐加水分解性などの諸特性にも優れる、実
用価値の極めて高いポリウレタンが得られることを見出
して本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、ポリエステルジオー
ル、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により
得られたポリウレタンであって、 (i) 前記ポリエステルジオールが、1,9−ノナンジ
オール、2−メチル−1,8−オクタンジオールおよび
1,4−ブタンジオールから主としてなるジオール成分
と、ジカルボン酸成分との反応により得られた数平均分
子量2500〜3500のポリエステルジオールであ
り; (ii) 前記鎖伸長剤が、1,4−ブタンジオールと下記
の一般式(I);
【0006】
【化3】 HO−(CH2)n−OH (I) (式中、nは5〜9の整数を示す)で表される脂肪族ジ
オールとの混合物からなっており;そして、 (iii) 前記ポリエステルジオール、有機ジイソシアネ
ートおよび鎖伸長剤の割合が、下記の数式;
【0007】
【数5】 1.00≦b/(a+c)≦1.08 [上記式中、aはポリエステルジオールのモル数、b
は有機ジイソシアネートのモル数およびcは鎖伸長剤の
モル数を示す]を満足する;ことを特徴とするポリウレ
タンである。
【0008】そして、本発明は、ポリエステルジオー
ル、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させて
ポリウレタンを製造する方法であって、 (i) 前記ポリエステルジオールとして、1,9−ノ
ナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール
および1,4−ブタンジオールから主としてなるジオー
ル成分と、ジカルボン酸成分との反応により得られた数
平均分子量2500〜3500のポリエステルジオール
を使用し; (ii) 前記鎖伸長剤として、1,4−ブタンジオール
と下記の一般式(I);
【0009】
【化4】 HO−(CH2)n−OH (I) (式中、nは5〜9の整数を示す)で表される脂肪族ジ
オールとの混合物を使用し;そして、 (iii) 前記ポリエステルジオール、有機ジイソシアネ
ートおよび鎖伸長剤を、下記の数式;
【0010】
【数6】 1.00≦b/(a+c)≦1.08 [上記式中、aはポリエステルジオールのモル数、b
は有機ジイソシアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル
数を示す]を満足する割合で反応させる;ことを特徴と
するポリウレタンの製造方法である。更に、本発明は、
上記のポリウレタンから得られた成形物を包含する。
【0011】上記したように、本発明では、ポリウレタ
ンを構成するポリエステルジオールとして、1,9−ノ
ナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール
および1,4−ブタンジオールから主としてなるジオー
ル成分と、ジカルボン酸成分との反応により得られたポ
リエステルジオールを用いることが、耐熱性が良好で、
圧縮永久歪みが小さく、しかも耐寒性、耐加水分解性に
優れるポリウレタンを得る上で重要である。
【0012】その場合に、ポリエステルジオールを構成
するジオール成分の80モル%以上、より好ましくは9
0モル%以上が、1,9−ノナンジオール、2−メチル
−1,8−オクタンジオールおよび1,4−ブタンジオ
ールからなっているのがよい。そして、ポリエステルジ
オールを構成するジオール成分が、下記の数式;
【0013】
【数7】 0.40≦(d1+d2)/(d1+d2+d3)≦0.70 (上記式中、dは1,9−ノナンジオールのモル分
率、d2は2−メチル−1,8−オクタンジオールのモ
ル分率、d3は1,4−ブタンジオールのモル分率を示
す)を満足する1,9−ノナンジオール、2−メチル−
1,8−オクタンジオールおよび1,4−ブタンジオー
ルの混合ジオールからなっているのが特に好ましい。ジ
オール成分において、(d1+d2)/(d1+d2
3)の値が0.40よりも小さいと得られるポリウレ
タンの耐熱性および耐加水分解性が低下し且つ圧縮永久
歪みが大きくなり易く、一方0.70よりも大きいと得
られるポリウレタンの耐寒性および成形性が不良となり
易い。
【0014】本発明では、ポリエステルジオールを構成
するジオール成分が場合によっては少量(通常全ジオー
ル成分の20モル%未満、好ましくは10モル%未満)
の他のジオール成分を含んでいてもよいが、その場合の
他のジオール成分の例としてはエチレングリコール、ジ
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3
−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタ
ンジオールなどを使用することができる。
【0015】また、ポリエステルジオールを構成するジ
カルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸(例えば
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、ドデカン二酸など)、芳香族ジカルボン酸
(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など)
またはそれらのエステル形成性誘導体を挙げることがで
き、これらのジカルボン酸成分は単独で使用してもまた
は2種以上を併用してもよい。そのうちでも、ポリエス
テルジオールを構成するジカルボン酸成分として、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの炭素数6〜1
0の脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導
体を用いるのが、耐熱性および耐寒性が良好で且つ圧縮
永久歪みの小さいポリウレタンが得られる点から好まし
い。
【0016】また、ポリウレタンを構成するポリエステ
ルジオールは、その数平均分子量が2500〜3500
であることが必要であり、2700〜3300であるこ
とが好ましい。ポリエステルジオールの数平均分子量が
2500よりも小さいと、得られるポリウレタンの耐熱
性が低下し且つ圧縮永久歪みや成形歪みが大きくなり、
一方3500を超えると得られるポリウレタンの成形
性、引張強さおよび透明性が低下する。 ここで、本明細書でいうポリエステルジオールの数平均
分子量は、いずれもJIS K 1577に準拠して測
定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量であ
る。
【0017】ポリエステルジオールの製造法は特に制限
されず、上記したジカルボン酸成分およびジオール成分
を用いて、従来既知のエステル交換反応、直接エステル
化反応などによって重縮合させて製造することができ
る。その場合に、ポリエステルジオールを製造するため
の重縮合反応をチタン系重縮合触媒の存在下に行うのが
望ましく、チタン系重縮合触媒を用いた場合には重縮合
反応の終了後にポリエステルジオールに含まれるチタン
系重縮合触媒を失活させておくのが好ましい。チタン系
重縮合触媒の失活処理を行わない場合は、得られるポリ
ウレタンの耐加水分解性、耐寒性および耐熱性が低下し
易く、圧縮永久歪みが大きくなり易い。
【0018】チタン系重縮合触媒の存在下に重縮合した
ポリエステルジオールを用いる場合は、チタン系重縮合
触媒としてはポリエステルジオール系の重合体を製造す
る際に従来から使用されているチタン系触媒のいずれも
が使用でき特に制限されないが、好ましいチタン系触媒
の例としては、チタン酸、テトラアルコキシチタン化合
物、チタンアシレート化合物、チタンキレート化合物な
どを挙げることができる。より具体的には、テトライソ
プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、
テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラステア
リルチタネート等のテトラアルコキシチタン化合物、ポ
リヒドロキシチタンステアレート、ポリイソプロポキシ
チタンステアレート等のチタンアシレート化合物、チタ
ンアセチルアセトネート、トリエタノールアミンチタネ
ート、チタンアンモニウムラクテート、チタンエチルラ
クテート、チタンオクチレングリコレート等のチタンキ
レート化合物などを挙げることができる。その場合のチ
タン系重縮合触媒の使用量は特に制限されないが、一般
に、ポリエステルジオールを形成するためのジカルボン
酸成分およびジオールの合計重量に対して、約0.1〜
50ppmであるのが好ましく、約1〜30ppmがよ
り好ましい。
【0019】また、ポリエステルジオール中に含まれる
チタン系重縮合触媒の失活方法としては、例えば重縮合
反応により得られたポリエステルジオールを加熱下に水
や水蒸気と接触させて失活する方法、ポリエステルジオ
ールをリン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エ
ステル等のリン化合物で処理する方法を挙げることがで
き、それらのうちでも加熱下に水や水蒸気と接触させる
前者の方法が好ましい。水と接触させてチタン系重縮合
触媒を失活させる場合は、重縮合反応により得られたポ
リエステルジオールに水を1重量%以上添加し、70〜
150℃、好ましくは90〜130℃の温度で1〜3時
間加熱するとよい。チタン系重縮合触媒の失活処理は常
圧下で行っても、または加圧下で行ってもよく、チタン
系重縮合触媒を失活させた後に系を減圧にすると、失活
に使用した水分を除去することができ、望ましい。
【0020】そして、本発明ではポリウレタンの製造に
用いる有機ジイソシアネートとして、ポリウレタンの製
造に従来用いられている有機ジイソシアネートのいずれ
もが使用でき、その種類は特に制限されず、芳香族ジイ
ソシアネート、脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイソ
シアネートのうちの1種または2種以上を使用すること
ができる。そのうちでも、p−フェニレンジイソシアネ
ート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイ
ソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが好まし
く、特に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
が好ましい。
【0021】また、本発明では、鎖伸長剤として、1,
4−ブタンジオールと下記の一般式(I);
【0022】
【化5】 HO−(CH2)n−OH (I) (式中、nは5〜9の整数を示す)で表される脂肪族ジ
オールの混合物を使用するのが、成形性が一層良好なポ
リウレタンを得る上で重要である。特に、鎖伸長剤とし
て、1,4−ブタンジオールおよび上記の一般式(I)で
表される脂肪族ジオールを、下記の数式;
【0023】
【数8】 0.70≦e/(e+f)≦0.98 [上記式中、eは1,4−ブタンジオールのモル分率
およびfは上記の一般式(I)で表される脂肪族ジオール
のモル分率を示す]を満足する割合で含有する混合物を
用いると、耐熱性、耐寒性および耐加水分解性に一層優
れ且つ圧縮永久歪みがより小さく、しかも成形性に一層
優れるポリウレタンを得ることができるので望ましい。
【0024】鎖伸長剤として用いる上記の一般式(I)
で表される脂肪族ジオールの具体例としては、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8
−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールなどを挙
げることができ、こられは単独で使用しても2種以上を
併用してもよい。そのうちでも、1,9−ノナンジオー
ルおよび/または1,6−ヘキサンジオールが耐熱性が
良好で圧縮永久歪みの小さいポリウレタンを得る上で好
ましく、1,9−ノナンジオールがより好ましい。
【0025】そして、上記したポリエステルジオール、
有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を反応させること
によって本発明のポリウレタンが製造されるが、ポリウ
レタンの製造に当たっては、ポリエステルジオールのモ
ル数をa、有機ジイソシアネートのモル数をbおよび鎖
伸長剤のモル数をcとしたときに、上記した数式を満
足するようにしてポリエステルジオール、有機ジイソシ
アネートおよび鎖伸長剤をも用いて反応させることが必
要である。b/(a+c)の値が上記した数式の範囲
から外れて1.00よりも小さいと、得られるポリウレ
タンは成形後の分子量が不充分となることから、成形物
の耐熱性が低下し、しかも圧縮永久歪みが大きくなる。
一方、b/(a+c)の値が上記した数式の範囲から
外れて1.08よりも大きいと、得られるポリウレタン
は溶融滞留時間が長くなった場合に急激にその溶融粘度
が上昇して押出成形などの成形が行いにくくなり成形性
が低下する。得られるポリウレタンの成形性、耐熱性、
圧縮永久歪みの諸性能が特に良好になる点から、b/
(a+c)の値が1.005〜1.06の範囲になるよ
うにして各成分を反応させるのが好ましい。
【0026】なお、本発明においては、ポリウレタンの
原料成分として、上記したポリエステルジオール、有機
ジイソシアネートおよび鎖伸長剤と共に、少量であれ
ば、上記のポリエステルジオール以外の高分子ジオール
および/または他の鎖伸長剤などを、必要に応じて用い
ることもできる。
【0027】更に、本発明では、上記したポリエステル
ジオール、有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を用い
てポリウレタンを製造するに当たって、ウレタン化反応
に対して触媒活性を有するスズ系ウレタン化触媒を使用
してもよい。スズ系ウレタン化触媒を使用する場合は、
スズ原子換算で、得られるポリウレタン[すなわち、ポ
リウレタンの製造に用いるポリエステルジオール、有機
ジイソシアネート、鎖伸長剤などの反応性原料成分の全
重量]に対して0.2〜15ppm程度の割合で用いる
のが好ましく、0.5〜12ppmであるのがより好ま
しい。
【0028】生成するポリウレタン中に上記した量のス
ズ系ウレタン化触媒が含まれていると、成形後もポリウ
レタンの分子量が充分に高い水準に維持されて、その物
性、特に耐加水分解性、耐熱性、耐寒性などが良好に保
たれる。しかしながら、ポリウレタン中におけるスズ系
ウレタン化触媒の含有量がスズ原子換算で15ppmを
超えると、耐加水分解性や熱安定性の低下を招くので好
ましくない。適量のスズ系ウレタン化触媒を含有すると
ポリウレタンの物性が良好に保たれる理由は明確ではな
いが、スズ系ウレタン化触媒が存在すると、ポリウレタ
ンの加熱成形時の熱解離などによって生じたイソシアネ
ート基と水酸基との間の再結合、過剰のイソシアネート
基と水との間の反応促進などが促進されてポリウレタン
の分子量回復が行われて高い分子量が維持されることに
よるものと推定される。
【0029】スズ系ウレタン化触媒を使用する場合は、
スズ系ウレタン化触媒として、例えば、オクチル酸ス
ズ、モノメチルスズメルカプト酢酸塩、モノブチルスズ
トリアセテート、モノブチルスズモノオクチレート、モ
ノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズマレイン
酸塩、モノブチルスズマレイン酸ベンジルエステル塩、
モノオクチルスズマレイン酸塩、モノオクチルスズチオ
ジプロピオン酸塩、モノオクチルスズトリス(イソオク
チルチオグリコール酸エステル)、モノフェニルスズト
リアセテート、ジメチルスズマレイン酸エステル塩、ジ
メチルスズビス(エチレングリコールモノチオグリコレ
ート)、ジメチルスズビス(メルカプト酢酸)塩、ジメ
チルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸)塩、ジメ
チルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、
ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエー
ト、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジラウ
レート、ジブチルスズマレイン酸塩、ジブチルスズマレ
イン酸塩ポリマー、ジブチルスズマレイン酸エステル
塩、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸)、ジブチルス
ズビス(メルカプト酢酸アルキルエステル)塩、ジブチ
ルスズビス(3−メルカプトプロピオン酸アルコキシブ
チルエステル)塩、ジブチルスズビス(オクチルチオグ
リコールエステル)塩、ジブチルスズ(3−メルカプト
プロピオン酸)塩、ジオクチルスズマレイン酸塩、ジオ
クチルスズマレイン酸エステル塩、ジオクチルスズマレ
イン酸塩ポリマー、ジオクチルスズラウレート、ジオク
チルスズビス(イソオクチルメルカプトアセテート)、
ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エ
ステル)、ジオクチルスズビス(3−メルカプトプロピ
オン酸)塩等のスズのアシレート化合物、メルカプトカ
ルボン酸塩などのスズ系ウレタン化触媒の1種または2
種以上を用いることができる。
【0030】上記したスズ系ウレタン化触媒のうちで
も、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレ
ートなどのジアルキルスズジアシレート、ジブチルスズ
ビス(3−メルカプトプロピオン酸エトキシブチルエス
テル)塩などのジアルキルスズビスメルカプトカルボン
酸エステル塩などが好ましい。スズ系ウレタン化触媒
は、ポリウレタンの製造時に、ポリエステルジオール、
鎖伸長剤および有機ジイソシアネートなどと同時に添加
しても、またはこれらのポリウレタン用原料のうちの1
者または2者以上に予め混合しておいてもよく、ポリエ
ステルジオール中に予め混合しておくのが、スズ系ウレ
タン化触媒を均一に混合・分散させることができ望まし
い。
【0031】本発明のポリウレタンを得るための反応方
法は特に制限されず、上記したポリエステルジオール、
有機ジイソシアネートおよび鎖伸長剤を使用して、公知
のウレタン化反応技術を利用して、プレポリマー法およ
びワンショット法のいずれで製造してもよい。そのうち
でも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好
ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融
重合が好ましい。使用するポリエステルジオールの内
容、有機ジイソシアネートの種類、鎖伸長剤の内容等に
応じて変わり得るが、多軸スクリュー型押出機を使用し
て本発明のポリウレタンを製造するに当たっては、一般
にそれらの成分を同時またはほぼ同時に押出機に連続的
に供給して190〜280℃、好ましくは200〜26
0℃で連続溶融重合させてポリウレタンを製造した後押
し出し、切断して、ペレットやチップなどの形状のポリ
ウレタンを製造するとよい。
【0032】また、ポリウレタンの重合過程または重合
後に、必要に応じて着色剤、滑剤、結晶化核剤、難燃
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候性改良剤、耐加水
分解安定剤、粘着性付与剤、防黴剤等の添加剤の1種ま
たは2種以上を適宜加えてもよい。
【0033】そして、本発明のポリウレタンは、その硬
度(JIS−A硬度)が85以上であるのが好ましく、
87以上であるのがより好ましい。ポリウレタンの硬度
(JIS−A硬度)が85以上であると、成形性、耐熱
性、低圧縮永久歪み性などの性能が一層良好となるので
好ましい。
【0034】また、本発明のポリウレタンは、対数粘度
(ηinh)が0.5〜2.1dl/gの範囲内にあるこ
とが好ましい。ポリウレタンの対数粘度をこの範囲内と
することにより、押出成形性などの成形性、耐熱性およ
び耐加水分解性が一層良好になり、且つ圧縮永久歪みが
一層小さくなる。なお、ここでいう対数粘度とは、ポリ
ウレタン試料を0.5g/dlとなるように0.05M
のn−ブチルアミンのN,N−ジメチルホルムアミド溶
液に溶解し、24時間後に30℃でウッベローデ型粘度
計により溶液粘度を測定し、次式により求めたときの値
をいう。
【0035】
【数9】ηrel=t/t0 ηinh=ln(ηrel)/CPU [上記式中、t=溶液の流下時間(秒)、t0=溶媒の流
下時間(秒)、ηrel=比粘度、ηinh=対数粘度、CPU
ポリウレタンの濃度(g/dl)を表す]
【0036】本発明のポリウレタンは溶融滞留時間が長
くても溶融粘度の急激な上昇がなく、例えば180℃以
上の温度で1時間以上にわたって溶融滞留させても溶融
粘度の増加が少ないことから、押出成形、射出成形、ブ
ロー成形、カレンダー成形などの種々の成形法によって
種々の成形物を円滑に製造することができる。そして、
それらの成形法により得られる成形物は、耐熱性、耐寒
性および耐加水分解性に優れ、しかも圧縮永久歪みが小
さく、極めて優れた特性を有しているので、例えばチュ
ーブ、フイルム、シート、ベルト、ホース、各種ロー
ル、スクリーン、キャスター、ギヤ、パッキング材、自
動車部品、スクィージ、紙送りロール、複写機用クリー
ニングブレード、スノープラウ、チェーン、ライニン
グ、ソリッドタイヤ、防振材、制振材、靴底、スポーツ
靴、マーキング材、バインダー、接着剤、皮革、弾性繊
維、機械部品などの広範囲な用途に有効に使用すること
ができる。
【0037】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の例
において、ポリウレタンの対数粘度、押出成形性、ポリ
ウレタンから得られる成形物の硬度、耐熱性(ビカット
軟化温度)、圧縮永久歪み、耐寒性および耐加水分解性
は、下記の方法により測定または評価した。
【0038】[対数粘度]溶融重合により製造したポリ
ウレタンペレットまたはこれからなる射出成形物を用い
て、上記した方法によりポリウレタンの対数粘度を求め
た。
【0039】[押出成形性]高化式フローテスターを用
いて、荷重50kgf、ノズル寸法1φ×10mm、温
度205℃の条件下で、ポリウレタンのペレットを20
5℃で6分間および205℃で60分間、それぞれ溶融
滞留状態に保った後にその溶融粘度をそれぞれ測定し、
次式から溶融粘度増加率を求め、その値を押出成形性の
指標とした。
【0040】
【数10】 溶融粘度増加率(%)={(η−η0)/η0}×100 η0=205℃で6分間溶融滞留させた後の溶融粘度
(ポイズ) η =205℃で60分間溶融滞留させた後の溶融粘度
(ポイズ)
【0041】[硬 度]日精樹脂工業株式会社製の小型
射出成形試験機を用いて、溶融温度200℃、射出ノズ
ル圧力60kgf/cm2、金型温度 ℃の条件下に
射出成形を行って得られた厚さ6mmの試験片を用い
て、ショアーA硬度計で測定した。
【0042】[耐熱性(ビカット軟化温度)]上記と同
様にして射出成形を行って得られた厚さ4mmの試験片
を用いて、JIS K−7206に準じて測定荷重1k
gfの条件下にビカット軟化温度を測定した。そして、
測定により得られたビカット軟化温度の値を耐熱性の指
標として、ポリウレタン(ポリウレタン成形物)の耐熱
性を評価した。
【0043】[圧縮永久歪み]上記と同様にして射出成
形を行って得られた厚さ12mmの試験片を用いて、J
IS K−6301に準拠した方法(熱処理条件:70
℃で22時間)で測定を行った。
【0044】[耐加水分解性]上記と同様にして射出成
形を行って得られた厚さ2mmの円板からダンベル状試
験片を作製し、これを70℃、95%RHの相対湿度下
に3週間放置し、その前後での試験片の破断強度を測定
し、該放置前の破断強度に対する放置後の破断強度の保
持率を求めて耐加水分解性の指標とした。
【0045】[耐寒性]上記と同様にして射出成形を行
って得られた厚さ2mmの円板から試験片を作製し、こ
の試験片の動的粘弾性を周波数11Hzで測定し、動的
損失弾性率(E")がピークとなる温度(Tα)を求め、
これを耐寒性の指標とした。
【0046】また、下記の参考例、実施例および比較例
で用いた化合物に関する略号とその化合物内容は、以下
の表1に示すとおりである。
【0047】
【表1】 略 号 : 化 合 物 BD :1,4−ブタンジオール EG :エチレングリコール HD :1,6−ヘキサンジオール MOD :2−メチル−1,8−オクタンジオール ND :1,9−ノナンジオール Ad :アジピン酸 PNOBA:ND、MOD、BD及びAdから得られたポリエステルジオール PNA :NDとAdとから得られたポリエステルジオール PBA :BDとAdから得られたポリエステルジオール MDI :4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート DBA :ジブチルスズジアセテート
【0048】《参考例1》[PNOBA3000の製
造] NDの3112g、MODの1334g、BDの250
0gおよびAdの7142gを反応器に仕込み、常圧下
に200℃で生成する水を系外に留去しながらエステル
化反応を行った。反応物の酸価が30以下になった時点
でテトライソプロピルチタネートを90mg加えて、2
00mmHg〜100mmHgに減圧しながら反応を続
けた。酸価が1.0になった時点で真空ポンプにより徐
々に真空度を上げて反応を完結させた。その結果、数平
均分子量3000、ND/MOD/BD=7/3/10
(モル比)のPNOBA(以下これをPNOBA−Aと
いう)が11800g得られた。
【0049】《参考例2》[チタン系触媒を失活させた
PNOBA3000の製造] 上記の参考例1で得られたPNOBA−Aの5000g
を100℃に加熱し、これに水150g(3重量%)を
加えて撹拌しながら2時間加熱することによりチタン系
触媒を失活させた。得られた混合物から減圧下で水を留
去することにより、チタン系触媒を失活させたPNOB
A(以下これをPNOBA−Bという)が得られた。
【0050】《参考例3》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPNOBA3000の製造] 上記の参考例2で得られたPNOBA−Bの5000g
を100℃に加熱し、これにスズ系ウレタン化触媒とし
てジブチルスズジアセテート(DBA)を10ppm
(スズ原子に換算して3.4ppm)を加えて1時間撹
拌した。これにより、チタン系触媒を失活させた後にス
ズ系ウレタン化触媒を添加したPNOBA(以下これを
PNOBA−Cという)が得られた。
【0051】《参考例4》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPNOBA2500の製造] NDの2206g、MODの1188g、BDの190
9gおよびAdの5898gを反応器に仕込み、参考例
1と同様にしてエステル化および重縮合反応を行うこと
により、数平均分子量2500、ND/MOD/BD=
6.5/3.5/10(モル比)のPNOBAを996
0g得た。これを用いて参考例2と同様にしてチタン系
触媒を失活させた後、減圧下で水を留去し、さらに参考
例3と同様にスズ系ウレタン化触媒としてジブチルスズ
ジアセテートを10ppm(スズ原子に換算して3.4
ppm)添加することにより、チタン系触媒を失活させ
た後にジブチルスズジアセテート(DBA)をを添加し
たPNOBA(以下これをPNOBA−Dという)を得
た。
【0052】《参考例5》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPNOBA5000の製造] NDの2439g、MODの1045g、BDの196
0gおよびAdの6056gを反応器に仕込み、参考例
1と同様にしてエステル化および重縮合反応を行うこと
により、数平均分子量5000、ND/MOD/BD=
7/3/10(モル比)のPNOBAを9890g得
た。これを用いて参考例2と同様にしてチタン系触媒を
失活させ、減圧下で水を留去した後、参考例3と同様に
スズ系ウレタン化触媒としてジブチルスズジアセテート
を10ppm(スズ原子に換算して3.4ppm)添加
することにより、チタン系触媒を失活させた後にジブチ
ルスズジアセテート(DBA)を添加したPNOBA
(以下これをPNOBA−Eという)を得た。
【0053】《参考例6》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPNOBA1000の製造] NDの1388g、MODの595g、BDの1115
gおよびAdの2716gを反応器に仕込み、参考例1
と同様にしてエステル化および重縮合反応を行うことに
より、数平均分子量1000、ND/MOD/BD=7
/3/10(モル比)のPNOBAを4890g得た。
これを用いて参考例2と同様にしてチタン系触媒を失活
させ、減圧下で水を留去した後、参考例3と同様にスズ
系ウレタン化触媒としてジブチルスズジアセテートを1
0ppm(スズ原子に換算して3.4ppm)添加する
ことにより、チタン系触媒を失活させた後にジブチルス
ズジアセテート(DBA)を添加したPNOBA(以下
これをPNOBA−Fという)を得た。
【0054】《参考例7》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPNA3000の製造] NDの5796gおよびAdの4599gを反応器に仕
込み、参考例1と同様にしてエステル化および重縮合反
応を行うことにより、数平均分子量3000のPNAを
8870g得た。これを用いて参考例2と同様にしてチ
タン系触媒を失活させ、減圧下で水を留去した後、参考
例3と同様にスズ系ウレタン化触媒としてジブチルスズ
ジアセテートを10ppm(スズ原子に換算して3.4
ppm)添加することにより、チタン系触媒を失活させ
た後にジブチルスズジアセテート(DBA)を添加した
PNA(以下これをPNA−Aという)を得た。
【0055】《参考例8》[スズ系ウレタン化触媒を添
加したPBA3000の製造] BDの2750gおよびAdの4249gを反応器に仕
込み、参考例1と同様にしてエステル化および重縮合反
応を行うことにより、数平均分子量3000のPBAを
5980g得た。これを用いて参考例2と同様にしてチ
タン系触媒を失活させ、減圧下で水を留去した後、参考
例3と同様にスズ系ウレタン化触媒としてジブチルスズ
ジアセテートを10ppm(スズ原子に換算して3.4
ppm)添加することにより、チタン系触媒を失活させ
た後にジブチルスズジアセテート(DBA)を添加した
PBA(以下これをPBA−Aという)を得た。
【0056】《実施例1》 (1) 上記の参考例3で得られたPNOBA−C、鎖
伸長剤(BD)および50℃に加熱溶融したMDIを、
下記の表2に示すように、[PNOBA−C]:[MD
I]:[BD]:[ND]=[1.0]:[6.7
3]:[5.04]:[0.56](モル比)で、かつ
これらの総送量が200g/分となるように、定量ポン
プから同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(3
0φ、L/D=36)に連続的に供給して260℃の温
度で連続溶融重合を行った。生成したポリウレタンの溶
融物をストランド状で水中に連続的に押し出し、次いで
ペレタイザーで切断してペレットを製造した。このペレ
ットを50℃で5時間除湿乾燥した後、その押出成形性
を上記した方法で測定した。また除湿乾燥後のペレット
を用いて、物性の測定または評価用のそれぞれの試験片
を上記した方法で射出成形により製造した。それぞれ試
験片を用いて、対数粘度、硬度、ビカット軟化温度、圧
縮永久歪み、耐寒性および耐加水分解性を上記した方法
で測定または評価した。その結果を下記の表3に示す。
【0057】《実施例2〜3》下記の表2に示すポリエ
ステルジオールを、表2に示す鎖伸長剤およびMDI
と、表2に示すモル比で反応させた以外は実施例1と同
様にして、連続溶融重合、ポリウレタンペレットの製造
および除湿乾燥、射出成形による各試験片の製造を行っ
て、実施例1と同様の物性の測定または評価を行った。
その結果を下記の表3に示す。
【0058】《比較例1》ポリエステルジオールとして
参考例5で得られたPNOBA−Eを使用し、PNOB
A−Eを表2に示す鎖伸長剤およびMDIと、表2に示
すモル比で反応させた以外は実施例1と同様にして、連
続溶融重合、ポリウレタンペレットの製造および除湿乾
燥、射出成形による各試験片の製造を行って、実施例1
と同様の物性の測定または評価を行った。その結果を下
記の表3に示す。
【0059】《比較例2〜6》下記の表2に示すポリエ
ステルジオールを、表2に示す鎖伸長剤およびMDI
と、表2に示すモル比で反応させた以外は実施例1と同
様にして、連続溶融重合、ポリウレタンペレットの製造
および除湿乾燥、射出成形による各試験片の製造を行っ
て、実施例1と同様の物性の測定または評価を行った。
その結果を表3に示す。
【0060】《比較例 7》ポリエステルジオールとし
て参考例3で得られたPNOBA−Cを使用し、このP
NOBA−CをBD/EG=85/15(モル比)の鎖
伸長剤およびMDIと下記の表2に示すモル比で反応さ
せた以外は実施例1と同様にして連続溶融重合を行った
が、EGのウレタン化反応速度が低いために重合が充分
に行われず、ペレットを製造することができなかった。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】上記の表2および表3の結果から、上記し
た(i)〜(iii)の要件のすべてを満足する実施例1
〜3のポリウレタンは、溶融滞留時間が長くなっても粘
度が急激に上昇せず押出成形性などの成形性に優れてい
ること、しかも実施例1〜3のポリウレタンから得られ
た成形物は、硬度、耐寒性および耐加水分解性に優れ、
ビカット軟化温度が高く耐熱性にも優れており、かつ圧
縮永久歪みが小さいことがわかる。
【0064】一方、本発明における上記した(i)〜
(iii)の要件のいずれかを欠いている比較例1〜6の
ポリウレタンは、押出成形性、硬度、耐寒性、耐加水分
解性、耐熱性(ビカット軟化温度)、圧縮永久歪みのい
ずれか一つ、または二つ以上の物性において、実施例1
〜3のポリウレタンに比べて大幅に劣っていることがわ
かる。より具体的に説明すると、上記した表2および表
3の結果から、数平均分子量が5000のポリエステル
ジオールを用いて製造された比較例1のポリウレタンは
その溶融粘度の増加率が極めて高く成形性に著しく劣っ
ており、しかもその成形物は圧縮永久歪みが大きいこ
と、また数平均分子量が1000のポリエステルジオー
ルを用いて製造された比較例2のポリウレタンはビカッ
ト軟化点が低くて耐熱性に劣り且つ耐寒性および耐加水
分解性にも劣っていることがわかる。
【0065】また、ジオール成分としてNDのみを使用
して得られた参考例7のポリエステルジオールを用いて
製造された比較例3のポリウレタンは耐寒性に劣ってい
ること、ジオール成分としてBDのみを使用して得られ
た参考例8のポリエステルジオールを用いて製造された
比較例4のポリウレタンはビカット軟化点が低く耐熱性
に劣り、耐加水分解性も低く、しかも圧縮永久歪みが大
きいことがわかる。更に、鎖伸長剤としてBDのみを使
用して得られた比較例5のポリウレタンは溶融粘度の増
加率が極めて高く、成形性に著しく劣っており、またポ
リウレタンを製造する際の、MDI/(ポリエステルジ
オール+鎖伸長剤)の値が上記の数式の範囲から外れ
て、0.98である比較例6のポリウレタンは、耐熱性
および耐加水分解性に劣り、しかも圧縮永久歪みが大き
いことがわかる。
【0066】
【発明の効果】本発明によって、押出成形性などの成形
性、耐熱性、耐寒性および耐加水分解性の全ての性能に
優れ、しかも圧縮永久歪みの少ない、極めて良好な諸特
性を兼ね備えるポリウレタンが提供され、このポリウレ
タンからはその熱可塑性を利用して、押出成形、射出成
形、ブロー成形、注型、流延成形、カレンダー成形など
の成形法によって各種の成形物を極めて円滑に成形性よ
く製造することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルジオール、有機ジイソシア
    ネートおよび鎖伸長剤の反応により得られたポリウレタ
    ンであって、 (i) 前記ポリエステルジオールが、1,9−ノナンジ
    オール、2−メチル−1,8−オクタンジオールおよび
    1,4−ブタンジオールから主としてなるジオール成分
    と、ジカルボン酸成分との反応により得られた数平均分
    子量2500〜3500のポリエステルジオールであ
    り; (ii) 前記鎖伸長剤が、1,4−ブタンジオールと下記
    の一般式(I); 【化1】 HO−(CH2)n−OH (I) (式中、nは5〜9の整数を示す)で表される脂肪族ジ
    オールとの混合物からなっており;そして、 (iii) 前記ポリエステルジオール、有機ジイソシアネ
    ートおよび鎖伸長剤の割合が、下記の数式; 【数1】 1.00≦b/(a+c)≦1.08 [上記式中、aはポリエステルジオールのモル数、b
    は有機ジイソシアネートのモル数およびcは鎖伸長剤の
    モル数を示す]を満足する;ことを特徴とするポリウレ
    タン。
  2. 【請求項2】 前記ポリエステルジオールが、ジカルボ
    ン酸成分と、下記の数式; 【数2】 0.40≦(d1+d2)/(d1+d2+d3)≦0.70 (上記式中、dは1,9−ノナンジオールのモル分
    率、d2は2−メチル−1,8−オクタンジオールのモ
    ル分率、d3は1,4−ブタンジオールのモル分率を示
    す)を満足するジオール成分との反応により得られたポ
    リエステルジオールである請求項1のポリウレタン。
  3. 【請求項3】 前記ポリエステルジオールがチタン系重
    縮合触媒の存在下にジカルボン酸成分とジオール成分と
    を重縮合反応させた後、チタン系重縮合触媒を失活して
    得られたポリエステルジオールである請求項1または2
    のポリウレタン。
  4. 【請求項4】 ポリエステルジオール、有機ジイソシア
    ネートおよび鎖伸長剤を反応させてポリウレタンを製造
    する方法であって、 (i) 前記ポリエステルジオールとして、1,9−ノ
    ナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール
    および1,4−ブタンジオールから主としてなるジオー
    ル成分と、ジカルボン酸成分との反応により得られた数
    平均分子量2500〜3500のポリエステルジオール
    を使用し; (ii) 前記鎖伸長剤として、1,4−ブタンジオール
    と下記の一般式(I); 【化2】 HO−(CH2)n−OH (I) (式中、nは5〜9の整数を示す)で表される脂肪族ジ
    オールとの混合物を使用し;そして、 (iii) 前記ポリエステルジオール、有機ジイソシアネ
    ートおよび鎖伸長剤を、下記の数式; 【数3】 1.00≦b/(a+c)≦1.08 [上記式中、aはポリエステルジオールのモル数、b
    は有機ジイソシアネートのモル数、cは鎖伸長剤のモル
    数を示す]を満足する割合で反応させる;ことを特徴と
    するポリウレタンの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ポリエステルジオールとして、ジカ
    ルボン酸成分と、下記の数式; 【数4】 0.40≦(d1+d2)/(d1+d2+d3)≦0.70 (上記式中、dは1,9−ノナンジオールのモル分
    率、d2は2−メチル−1,8−オクタンジオールのモ
    ル分率、d3は1,4−ブタンジオールのモル分率を示
    す)を満足するジオール成分との反応により得られたポ
    リエステルジオールを使用する請求項4の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ポリエステルジオールがチタン系重
    縮合触媒の存在下にジカルボン酸成分とジオール成分と
    を重縮合反応させた後、チタン系重縮合触媒を失活して
    得られたポリエステルジオールである請求項4または5
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれか1項のポリウレ
    タンから得られた成形物。
JP22081894A 1994-08-24 1994-08-24 ポリウレタンおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP3325127B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22081894A JP3325127B2 (ja) 1994-08-24 1994-08-24 ポリウレタンおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22081894A JP3325127B2 (ja) 1994-08-24 1994-08-24 ポリウレタンおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0859786A true JPH0859786A (ja) 1996-03-05
JP3325127B2 JP3325127B2 (ja) 2002-09-17

Family

ID=16757042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22081894A Expired - Fee Related JP3325127B2 (ja) 1994-08-24 1994-08-24 ポリウレタンおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3325127B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017110546A1 (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 住友電気工業株式会社 絶縁シート及びフラットケーブル

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017110546A1 (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 住友電気工業株式会社 絶縁シート及びフラットケーブル
JP2017117627A (ja) * 2015-12-24 2017-06-29 住友電気工業株式会社 絶縁シート及びフラットケーブル

Also Published As

Publication number Publication date
JP3325127B2 (ja) 2002-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5688890A (en) Thermoplastic polyurethane composition
EP0299068B1 (en) Process for producing polyurethane
TW201307416A (zh) 具有降低起霧傾向之源自生物基質二醇之熱塑性聚胺甲酸酯
JP7484967B2 (ja) ポリウレタンエラストマー及びその製造方法
JP3449883B2 (ja) エステル系高分子ポリオール組成物およびその製造方法
JP3983321B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物およびその製造方法
JP3325127B2 (ja) ポリウレタンおよびその製造方法
JP3410581B2 (ja) ポリウレタンおよびそれからなる成形品
JPH08325346A (ja) 熱可塑性ポリウレタンおよびその成形物
JP3325125B2 (ja) ポリウレタン、その製造方法およびポリウレタン成形物
JPH08239570A (ja) ポリウレタン樹脂組成物
JP3325124B2 (ja) ポリウレタンおよびその成形物
JP3684567B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法
JPH07179557A (ja) ポリウレタンおよびその成形物
JP3474300B2 (ja) ポリウレタンおよびそれに用いるポリエステルポリカーボネートジオール
JPH08176264A (ja) ポリウレタンおよびその成形物
JP3366436B2 (ja) ポリウレタンおよびそれからなる成形物の製造方法
JP2020084152A (ja) ポリウレタンエラストマー及びその製造方法
JP5013159B2 (ja) ポリウレタン樹脂の製造方法
JP3324867B2 (ja) ポリウレタンおよびそれからなる成形物の製造方法
JP3357152B2 (ja) ポリウレタン
JP2931373B2 (ja) ポリウレタンおよびポリウレタンの製造方法
JP3324890B2 (ja) ポリウレタンおよびそれに用いるポリエステルジオール
JP3516761B2 (ja) 樹脂組成物
JP3983336B2 (ja) 熱可塑性ポリウレタン組成物およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees