JPH085937B2 - フッ化ビニリデン系共重合体の製造方法 - Google Patents

フッ化ビニリデン系共重合体の製造方法

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JPH085937B2
JPH085937B2 JP7634889A JP7634889A JPH085937B2 JP H085937 B2 JPH085937 B2 JP H085937B2 JP 7634889 A JP7634889 A JP 7634889A JP 7634889 A JP7634889 A JP 7634889A JP H085937 B2 JPH085937 B2 JP H085937B2
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靖 山本
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規なフッ化ビニリデン系共重合体の製造
方法に関する。
〔従来の技術〕
1分子中にビニロキシ基及びケイ素原子に結合したビ
ニル基を有する有機ケイ素化合物と、フッ化ビニリデン
との共重合体は、従来、知られていなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
そこで本発明の目的は、従来知られていなかった新規
なフッ化ビニリデン系共重合体を得ることができる方法
を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕 すなわち、本発明は、 (A)フッ化ビニリデン 50モル%以上 及び (B)1分子中にビニロキシ基及びケイ素原子に結合し
たビニル基を含有する有機ケイ素化合物 0.1モル%以上 を含む単量体混合物をラジカル共重合させる工程を含む
フッ化ビニリデン系共重合体の製造方法を提供するもの
である。
本発明の方法で用いられる(B)成分の有機ケイ素化
合物は、1分子中にビニロキシ基及びケイ素原子に結合
したビニル基をそれぞれ少なくとも1個含有するもので
ある。この有機ケイ素化合物として、例えば、下記一般
式(I): CH2=CH−O−R1−Si(CH3)3-aR2 a 〔ここで、R1はトリメチレン基又は式: −CH2CH2−O−CH2CH2CH2− で表される基を示し、R2はビニル基又は式: −OSi(CH3)2CH=CH2 で表される基を示し、aは1、2又は3である〕 で表される化合物などが挙げられる。
(B)成分の有機ケイ素化合物の具体例として、3−ビ
ニロキシプロピルビニルジメチルシラン、3−ビニロキ
シプロピルジビニルジメチルシラン、3−ビニロキシプ
ロピルトリビニルシラン、3〔2−ビニロキシエトキ
シ〕プロピルビニルジメチルシラン、1−(3−ビニロ
キシプロピル)−3−ビニル−1,1,3,3−デトラメチル
−1,3−ジシロキサン、3−(3−ビニロキシプロピ
ル)−1,5−ジビニル−1,1,3,5,5−ペンタメチル−1,3,
5−トリシロキサン、3−(3−ビニロキシプロピル)
−3−ジメチルビニルシロキシ−1,5−ジビニル−1,1,
5,5−テトラメチル−1,3,5−トリシロキサン、1〔3−
(2−ビニロキシエトキシ)プロピル〕−3−ビニル−
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサン等が挙げら
れる。
本発明の方法において、(A)のフッ化ビニリデンの
使用量は、50モル%以上である。
また、本発明の方法において、(B)の有機ケイ素化
合物の使用量は、0.1モル%以上である。
また、本発明の方法で用いられる単量体混合物は、こ
れらのフッ化ビニリデン及び(B)の有機ケイ素化合物
の他に、フッ化ビニリデン又は(B)の有機ケイ素化合
物と共重合可能な他の単量体を含んでいてもよい。この
他の単量体としては、例えば、テトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエ
チレン等のフッ素系単量体;エチレン、メチルメタクリ
レート等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上
を組み合わせても用いられる。
共重合は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合
等のいずれの重合形式によっても行うことができる。
懸濁重合による場合、使用されるラジカル重合開始剤
は、一般に使用されるものでよく、例えば、ジイソプロ
ピルパーオキシジカーボネート、ジn−プロピルパーオ
キシジカーボネート、イソブチリルパーオキサイド等の
有機過酸化物;ヘプタフルオロブチリルパーオキサイ
ド、トリクロロパーフルオロヘキサノイルパーオキサイ
ド等のフッ素系有機過酸化物;アゾビスイソブチロニト
リル等のアゾ化合物などが挙げられる。重合溶媒として
は、一般に水が用いられるが、トリクロロトリフルオロ
エタン、1,2−ジクロロテトラフルオロエタン等の疎水
性のハロゲン化炭化水素系溶剤を併用することも任意で
ある。また、必要に応じて、アセトン、イソプロピルア
ルコール、t−ブチルアルコール等の連鎖移動剤;pH緩
衝剤;pH調整剤などを使用することも任意である。懸濁
安定剤としては、従来公知のメチルセルロース、ポリビ
ニルアルコール等の水溶性高分子化合物でよい。
乳化重合による場合、用いられる水溶性ラジカル重合
開始剤としては、従来使用されているものでよく、例え
ば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられ
る。乳化剤しては、一般的なパーフルオロオクタン酸ア
ンモニウム等のフルオロカーボン系乳化剤が挙げられ
る。その他、ハロゲン化炭化水素系溶剤、連鎖移動剤、
pH緩衝剤、pH調整剤等については上記懸濁重合の場合と
同様である。
溶液重合による場合、重合媒体としては、前記のハロ
ゲン化炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤及びエステル
系溶剤が挙げられ、その他懸濁重合の場合と同様のもの
が使用できる。
重合温度は、用いられる重合形式によって適宜選択さ
れ、例えば、0〜100℃程度である。
重合の圧力は、重合形式、モノマーの仕込み比率、重
合温度等によって適宜選択され、実用上は1〜100気圧
程度が一般的である。
重合時間も、重合形式、モノマーの仕込み比率、重合
温度等によって適宜選択され、一般に1〜50時間程度で
ある。
また、本発明の方法において、各成分の重合器への仕
込みは、フッ化ビニリデンと有機ケイ素化合物及びその
他必要に応じて使用される各種成分の全量を重合の最初
から仕込む方法、あるいはフッ化ビニリデンと有機ケイ
素化合物のいずれか一方もしくは両方の一部又は全部を
連続的又は不連続的に逐次重合器内に仕込む方法によっ
て行ってもよい。
本発明の方法で得られる共重合体は、通常、ジメチル
ホルムアミドを溶媒として30℃で測定した極限粘度
〔η〕が好ましくは0.05dl/g以上、さらに好ましくは0.
10dl/g以上のものである。
本発明の方法によって得られる共重合体は、一般にト
リクロロトリフルオロエタン等のフッ素系溶媒、シクロ
ヘキサン、ジメチルポルムアミド等の炭化水素系溶媒な
どに可溶性のものであり、薄膜に成形したり、各種の基
材へのコーティングを容易に行うことができる。
また、本発明の方法においては、(B)成分の有機ケ
イ素化合物におけるケイ素原子に結合したビニル基は、
ラジカル共重合において反応性が低いものであるため、
得られる共重合体中には多少のビニル基が残存する。こ
の残存ビニル基に他のシリコーン系重合体を架橋反応さ
せることが可能であるため、本発明の方法で得られる共
重合体は、各種塗料、コーティング材、ゴム材料等の用
途に使用することができる。
〔実施例〕
次に、本発明の方法を実施例及び比較例により詳細に
説明する。
実施例1 内容積100mlのステンレス製アンプルに、3−ビニロ
キシプロピルビニルジメチルシラン0.5g、n−プロピル
パーオキシジカーボネート0.2g、トリクロロトリフルオ
ロエタン50gを仕込み、窒素置換後、アンプル内を真空
にした。次に、フッ化ビニリデン20gを圧入し、60℃で1
5時間振盪して重合させた。重合終了後、未反応のフッ
化ビニリデンをパージした後、反応混合物をアンプルか
ら取り出し、乾燥して共重合体8.3gを得た。
得られた共重合体は、常温でテトラヒドロフランに可
溶性のものであり、キャスティング法によって均一なフ
ィルムに成形することができた。また、この共重合体の
極限粘度〔η〕を、ジメチルホルムアミドを溶媒として
30℃で測定したところ、0.25であった。
実施例2 3−ビニロキシプロピルビニルジメチルシランの代わ
りに、3−ビニロキシプロピルトリビニルシランを使用
した以外は、実施例1と同様にして共重合体6.2gを得
た。
得られた共重合体は、常温でテトラヒドロフランに可
溶性のものであり、キャスティング法によって均一なフ
ィルムに成形することができた。また、この共重合体の
極限粘度〔η〕を、ジメチルホルムアミドを溶媒として
30℃で測定したところ、0.22であった。
実施例3 3−ビニロキシプロピルビニルジメチルシランの代わ
りに、3〔2−ビニロキシエトキシ〕プロピルビニルジ
メチルシランを使用した以外は、実施例1と同様にして
共重合体8.7gを得た。
得られた共重合体は、常温でシトラヒドロフランに可
溶性のものであり、キャスティング法によって均一なフ
ィルムに成形することができた。また、この共重合体の
極限粘度〔η〕を、ジメチルホルムアミドを溶媒として
30℃で測定したところ、0.25であった。
実施例4 3−ビニロキシプロピルビニルジメチルシランの代わ
りに、1−(3−ビニロキシプロピル)−3−ビニル−
1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサンを使用した
以外は、実施例1と同様にして共重合体6.7gを得た。
得られた共重合体の極限粘度〔η〕を、ジメチルホル
ムアミドを溶媒として30℃で測定したところ、0.18であ
った。
実施例5 内容積1のステンレス製反応器に、純水600g、パー
フルオロオクチルカルボン酸アンモニウム2.3g、3−ビ
ニロキシプロピルビニルジメチルシラン5g、n−プロピ
ルパーオキシジカーボネート2.3gを仕込み、反応器内を
窒素置換した後、真空にした。次に、ヘキサフルオロプ
ロピレン100gを仕込んだ後、フッ化ビニリデン130gを仕
込み、60℃で20時間重合させた。重合終了後、未反応モ
ノマーをパージして反応混合物を反応器から取り出し、
ゴム状の共重合体65gを得た。
得られた共重合体は、常温でテトラヒドロフランに可
溶性のものであり、キャスティング法によって均一で軟
らかいフィルムを得ることができた。また、この共重合
体の極限粘度〔η〕を、ジメチルホルムアミドを溶媒と
して30℃で測定したところ、0.42であった。
〔発明の効果〕
本発明の方法は新規なフッ化ビニリデン系共重合体を
提供するものである。この共重合体は、溶媒などに溶解
して、薄膜に成形したり、各種の基材のコーティングに
使用することができる。また、共重合体に残存するビニ
ル基に他のシリコーン系重合体を架橋反応させることが
可能であり、各種塗料、コーティング材、ゴム材料等の
用途に有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)フッ化ビニリデン 50モル%以上 及び (B)1分子中にビニロキシ基及びケイ素原子に結合し
    たビニル基を含有する有機ケイ素化合物 0.1モル%以上 を含む単量体混合物をラジカル共重合させる工程を含む
    フッ化ビニリデン系共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1のフッ化ビニリデン系共重合体の
    製造方法であって、前記(B)の有機ケイ素化合物が下
    記一般式(I): CH2=CH−O−R1−Si(CH3)3-aR2 a (I) 〔式中、R1はトリメチレン基又は式: −CH2CH2−O−CH2CH2CH2− で表される基を示し、R2はビニル基又は式: −OSi(CH3)2CH=CH2 で表される基を示し、aは1、2又は3である〕 で表される化合物である方法。
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