JPH08588U - 船外機エンジンの排気通路出口構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】排気通路を案内される排気の流れを円滑かつス
ムーズにするとともに、型費を低減し、排気通路出口の
開口形状の自由度が大きな船外機エンジンの排気通路出
口構造を提供するにある。 【解決手段】シリンダブロック２にシリンダ９を嵌装す
るシリンダボア８が複数個配設されて船外機の縦型エン
ジン１を構成する。各シリンダボア８に排気口１１がそ
れぞれ開口され、各排気口１１は下向き湾曲の排気通路
１２に連通される。この排気通路１２の出口にアンダオ
イルシールハウジング２６等の取付部品が取付け可能に
構成される。前記排気口１１はシリンダボア８の側方下
部に形成されて斜め下向きに開口される一方、前記排気
通路１２の出口２５は、ほぼ直管状下向きに成形され
る。アンダオイルシールハウジング２６等の取付部品に
は、排気通路１２の湾曲面に連続した面形状を有する排
気ガイド２７が設けられ、上記取付部品２６は、この排
気ガイド２７が排気通路１２の直管状出口２５に嵌合可
能に取り付けられるように構成された船外機エンジンの
排気通路出口構造である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は船外機エンジンの排気通路出口構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

船外機のエンジン１は、図３に示すように、シリンダブロック２に図示しない ピストンを収容し、このシリンダブロック２にシリンダヘッドガスケット３、シ リンダヘッド４、シリンダヘッドカバーガスケット５およびシリンダヘッドカバ ー６を順次重ね合せ、これらを図示しないボルトを用いて固定して構成される。 さらに、上記ピストンは、図示しないコンロッド等を介してクランクシャフト（ 図示せず）に連結され、このクランクシャフトがシリンダブロック２およびクラ ンクケース７内に収納される。

【０００３】 図４はシリンダブロック２の図３におけるIV視正面図であり、図５は図４のＶ −Ｖ線に沿う断面図である。

【０００４】 シリンダブロック２には図５に示すように、シリンダボア８が形成され、この シリンダボア８にシリンダ９が嵌装される。シリンダボア８およびシリンダ９に は複数の掃気口１０が開口され、また排気口１１も開口される。掃気口１０はク ランクケース７内に連通されてシリンダ９内へ新気を導く。

【０００５】 排気口１１には、湾曲した排気通路１２が連通される。この排気通路１２は、 シリンダブロック２に形成された排気通路エレメント１３とエキゾーストカバー １４とに囲まれて構成される。エキゾーストカバー１４は、図４に示すエキゾー ストカバー取付面１５にボルト（図示せず）を用いて取り付けられる。符号１６ は、エキゾーストカバー取付ボルトのボルト取付孔である。

【０００６】 図５に示す排気通路１２の出口１７には、図示しないアンダオイルシールハウ ジングを介してエキゾーストチューブ（図示せず）が取り付けられる。図６の符 号２３は、エキゾーストチューブ取付ボルトのボルト取付孔である。図示しない 燃焼室で燃焼した排気は、シリンダ９から排気口１１を経、排気通路１２を通り 、エキゾーストチューブ等を介して外部へ排出される。

【０００７】 上述のような構成のシリンダブロック２は、一般にダイキャスト鋳造によって 製造される。このダイキャスト鋳造においては、排気通路１２の出口１７付近は 、図６に示すウォータジャケット１８や排気バイパス通路１９がメイン中子（図 示せず）を用いて成形される。このメイン中子は、図５の矢印Ａで示すように、 排気通路１２の出口１７が開口するシリンダブロック２の側面２０に対し、垂直 方向に抜き取られる。また、排気通路１２の排気通路エレメント１３を成形する ための中子は、図５の矢印Ｂで示すように、エキゾーストカバー１４の取外し方 向に抜き取られる。

【０００８】 排気通路１２の出口１７は、シリンダブロック２の側面２０に対し斜めに形成 される必要があるので、上記メイン中子にトンネル中子（図示せず）を配設し、 このトンネル中子を図５の矢印Ｃの方向に抜き取って成形される。排気通路１２ の出口１７が側面２０に対し斜めに成形されることにより、排気通路１２内の排 気の流れが滑かになる。

【０００９】 なお、図４の符号２１はサーモスタット挿通孔を示し、図５の符号２２は鋳造 における見切り線を示す。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、ダイキャスト鋳造によってシリンダブロック２を製造する場合、排 気通路１２の出口１７を成形するためにトンネル中子を用いるので、シリンダブ ロック２の成形型が全体的に大きくなり、型費が嵩む。

【００１１】 また、上述のように、排気通路１２の出口１７を成形するのにトンネル中子を 用いるので、排気通路１２の出口１７における開口形状は、図６に示すように矩 形形状に制限され、開口形状の自由度が制限される。

【００１２】 さらに、トンネル中子を用いないでメイン中子によって排気通路１２の出口１ ７を成形しようとすると、メイン中子は図５矢印Ａの方向に抜き取られる中子で あるため、排気通路１２の出口１７をシリンダブロック２の側面２０に対し斜め の形状に成形できない。このため、排気通路１２を流れる排気の流れが滑かなも のでなくなるという欠点が生ずる。

【００１３】 この考案は、上記事実を考慮してなされたものであり、排気通路を案内される 排気の流れを円滑かつスムーズにするとともに、型費を低減し、排気通路出口の 開口形状の自由度が大きな船外機エンジンの排気通路出口構造を提供することを 目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る船外機エンジンの排気通路出口構造は、上述した目的を達成す るために、船外機の縦型エンジンを構成するシリンダブロックにシリンダを嵌装 するシリンダボアが複数個配設され、上記シリンダボアに排気口がそれぞれ開口 され、これらの排気口に連通して下向きに湾曲した排気通路が形成され、この排 気通路の出口にアンダオイルシールハウジング等の取付部品が取付け可能に構成 された船外機エンジンの排気通路出口構造において、前記排気口はシリンダボア の側方下部に形成されて斜め下向きに開口される一方、前記排気通路の出口は、 ほぼ直管状下向きに成形され、前記取付部品には、排気通路の湾曲面に連続した 面形状を有する排気ガイドが設けられ、上記取付部品は、この排気ガイドが上記 排気通路の直管状出口に嵌合可能に取り付けられるように構成されたものである 。

【００１５】

【作用】

この考案に係る船外機エンジンの排気通路出口構造によれば、縦型エンジンの 各シリンダボアの側方下部に斜め下向きに開口する排気口がそれぞれ形成され、 これらの排気口は下向きに湾曲した排気通路に連通され、各排気口から排気され る排気の向きが湾曲した排気通路の向きとほぼ一致させることができ、排気が円 滑かつスムーズに行なわれる一方、排気通路のほぼ直管状下向きの出口は、シリ ンダブロックの下面に垂直に抜き取られるメイン中子によって成形することが可 能となり、排気通路出口の開口形状に大きな自由度を持たせることができる。

【００１６】 また、シリンダブロックの製造に際し、メイン中子内に収容されるトンネル中 子を用いる必要がないので、シリンダブロック鋳造用の成形型が大きくならず、 型費を低減できる。

【００１７】 さらに、取付部品の排気ガイドによって排気通路出口が排気通路の湾曲面に連 続した面形状に形成されるので、排気通路から排気通路出口に案内される排気の 流れが円滑かつスムーズになる。

【００１８】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１９】 図１はこの考案に係る船外機エンジンの排気通路出口構造の一実施例を示すも ので、この考案を船外機の縦型多気筒エンジンに適用したものである。この縦型 多気筒エンジンは、図５に対応するシリンダブロックを備え、図１はこのシリン ダブロックの断面図である。この実施例において、前記従来例と同様な部分は、 同一の符号を付すことにより説明を省略する。

【００２０】 この船外機エンジンは、図１に示すように２気筒の縦型エンジンを示すもので 、ダイキャスト製のシリンダブロック２に２つのシリンダボア８が形成され、こ れらのシリンダボア８にシリンダ９がそれぞれ嵌装される。各シリンダボア８の 一側方下部に排気口１１が外側方に向って斜め下向きにそれぞれ開口され、これ らの排気口１１は下向きに湾曲した排気通路１２にそれぞれ連通される。

【００２１】 排気通路１２はシリンダブロック２に形成される排気通路エレメント１３とエ キゾーストカバー１４とにより囲まれて構成される。排気通路１２は下側のシリ ンダ９を迂回し、外側に膨らむように湾曲形成される一方、上側のシリンダ９に 形成された排気口１１から下向きに延び、シリンダブロック２の下側面２０に開 口する出口２５に通じている。エキゾーストカバー１４はエキゾーストカバー取 付面（図４参照）にボルト締めにより取り付けられる。

【００２２】 排気通路１２における見切り線２２の先端側は、排気通路１２の出口２５であ る。この出口２５は、図１の矢印Ａ方向に下向きに抜き取られるメイン中子（図 示せず）によって、ほぼ直管形状下向きに成形された直管状出口である。

【００２３】 一方、シリンダブロック２の側面２０には、図示しないエキゾーストチューブ 取付ボルトをボルト取付孔２３に螺合して、取付部品としてのアンダオイルシー ルハウジング２６が取り付けられる。このアンダオイルシールハウジング２６に 、ガイド面２８を有する排気ガイト２７が、一体または一体的に形成される。

【００２４】 排気ガイド２７は、アンダオイルシールハウジング２６がシリンダブロック２の 下側面２０に取り付けられた状態で、排気通路１２のほぼ直管状出口２５に嵌合 可能に設けられる。また、排気ガイド２７のガイド面２８は、排気通路１２を構 成するエキゾーストカバー１４の排気通路曲面２９に連続した形状に設けられる 。

【００２５】 上記実施例によれば、排気通路１２のほぼ直管状下向きの出口２５がシリンダ ブロック２の下側面２０に垂直に抜き取られるメイン中子によって成形されるの で、排気通路１２における直管状出口２５の開口形状の自由度が拡大する。例え ば直管状出口２５の開口形状は、図２に示すように、複数のボルト取付孔２３の 中央位置に半円弧形状を有して構成される。このようにすれば、アンダオイルシ ールハウジング２６に取り付けられるエキゾーストチューブ（図示せず）を複雑 な形状に曲げる必要がなくなり、エンジン出力の向上やエキゾーストチューブの 好適なレイアウト等を達成できる。

【００２６】 また、ダイキャスト鋳造において排気通路１２の直管状出口２５の成形にトン ネル中子を用いずメイン中子を用いるので、シリンダブロック２の成形型が大き くならず、型費を低減できる。

【００２７】 さらに、アンダオイルシールハウジング２６の排気ガイド２７におけるガイド 面２８によって、排気通路１２の出口部分がエキゾーストカバー１４の排気通路 曲面２９に連続した面形状に形成されるので、排気通路１２内における排気の流 れを滑かにすることができる。

【００２８】 なお、上記実施例によれば、アンダオイルシールハウジング２６に排気ガイド ２７を形成する場合につき説明したが、シリンダブロック２の下側面２０にエキ ゾーストチューブが直接取り付けられるような場合には、このエキゾーストチュ ーブに上記実施例の排気ガイド２７を設けてもよい。

【００２９】

【考案の効果】

以上のように、この考案に係る船外機エンジンの排気通路出口構造によれば、 縦型エンジンの各シリンダボアの側方下部に斜め下向きに開口する排気口がそれ ぞれ形成され、これらの排気口は下向きに湾曲した排気通路に連通され、各排気 口から排気される排気の流れを湾曲した排気通路の向きとほぼ一致させることが でき、しかも、排気通路の湾曲部分を流れる排気は遠心力作用を受け、この遠心 力が作用しにくい排気通路の湾曲部の内側に下側シリンダボアの排気口を臨ませ ることが可能となるので、排気が円滑かつスムーズに行なわれる。

【００３０】 また、シリンダブロックの排気通路の出口がほぼ直管状下向きに成形されるの で、ダイキャスト時にトンネル中子を使用する必要がない。さらに、排気通路出 口に取り付けられる取付部品に、排気通路の湾曲面に連続した面形状を有する排 気ガイドが設けられ、上記取付部品は、この排気ガイドが排気通路の直管状出口 に嵌合し得るよう取り付けられたことから、排気通路内における排気の滑かな流 れを確保できるとともに、シリンダブロックの成形型の型費を低減でき、かつ排 気通路出口の開口形状の自由度を拡大できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る船外機エンジンの排気通路出口
構造の一実施例が適用されたシリンダブロックの図５に
対応した断面図。

【図２】図１のII矢視図。

【図３】船外機のエンジンを示す組立斜視図。

【図４】シリンダブロックの図３におけるIV視正面図。

【図５】図４のＶ−Ｖ線に沿う断面図。

【図６】図５のVI矢視図。

【符号の説明】

１ エンジン ２ シリンダブロック ８ シリンダボア １１ 排気孔 １２ 排気通路 １４ エキゾーストカバー ２５ 排気通路の直管状出口 ２６ アンダオイルシールハウジング ２７ 排気ガイド ２８ ガイド面 ２９ 排気通路曲面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 船外機の縦型エンジンを構成するシリン
   ダブロックにシリンダを嵌装するシリンダボアが複数個
   配設され、上記シリンダボアに排気口がそれぞれ開口さ
   れ、これらの排気口に連通して下向きに湾曲した排気通
   路が形成され、この排気通路の出口にアンダオイルシー
   ルハウジング等の取付部品が取付け可能に構成された船
   外機エンジンの排気通路出口構造において、前記排気口
   はシリンダボアの側方下部に形成されて斜め下向きに開
   口される一方、前記排気通路の出口は、ほぼ直管状下向
   きに成形され、前記取付部品には、排気通路の湾曲面に
   連続した面形状を有する排気ガイドが設けられ、上記取
   付部品は、この排気ガイドが上記排気通路の直管状出口
   に嵌合可能に取り付けられるように構成されたことを特
   徴とする船外機エンジンの排気通路出口構造。