JPH0858015A - 耐熱性塗膜を有するステンレス鋼板及びその製造方法 - Google Patents
耐熱性塗膜を有するステンレス鋼板及びその製造方法Info
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- JPH0858015A JPH0858015A JP19689494A JP19689494A JPH0858015A JP H0858015 A JPH0858015 A JP H0858015A JP 19689494 A JP19689494 A JP 19689494A JP 19689494 A JP19689494 A JP 19689494A JP H0858015 A JPH0858015 A JP H0858015A
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- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C22/00—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
- C23C22/73—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals characterised by the process
- C23C22/74—Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals characterised by the process for obtaining burned-in conversion coatings
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 クロメート処理を施さず、シリンダーガスケ
ットのような過酷な環境で使用されてもその密着性が劣
化せず、しかも気密性に優れた耐熱性塗膜を有するステ
ンレス鋼板及びその製造方法を提供する。 【構成】 表面にリン酸とシリカからなる化成処理被膜
を形成し、その被膜上にポリエーテルスルホン樹脂、ポ
リフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂の
少なくとも1種以上とフッ素系樹脂の混合物を主成分と
する耐熱性塗膜を有するステンレス鋼板。前記化成処理
被膜を形成する上で、化成処理液のリン酸とシリカの重
量比を1/10以上5以下とし、かつその被膜付着量を
2mg/m 2 以上200mg/m2 以下とするとより優
れた密着性が得られる。
ットのような過酷な環境で使用されてもその密着性が劣
化せず、しかも気密性に優れた耐熱性塗膜を有するステ
ンレス鋼板及びその製造方法を提供する。 【構成】 表面にリン酸とシリカからなる化成処理被膜
を形成し、その被膜上にポリエーテルスルホン樹脂、ポ
リフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂の
少なくとも1種以上とフッ素系樹脂の混合物を主成分と
する耐熱性塗膜を有するステンレス鋼板。前記化成処理
被膜を形成する上で、化成処理液のリン酸とシリカの重
量比を1/10以上5以下とし、かつその被膜付着量を
2mg/m 2 以上200mg/m2 以下とするとより優
れた密着性が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車エンジン
などのシリンダーガスケットに使用されるステンレス鋼
板に関する。
などのシリンダーガスケットに使用されるステンレス鋼
板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車エンジンなどのシリン
ダーガスケットとしては、アスベストをニトリルゴムや
フェノール樹脂などで固めた積層板が用いられていた
が、アスベスト公害が明らかになるにつれて、金属を素
材としたガスケットに置き換えられるようになってき
た。金属素材としては主にステンレス鋼板が使用されて
いるが、ステンレス鋼板をそのままガスケットに用いる
とシリンダーヘッドやシリンダーブロックとの気密性が
確保できない。そこで特開平3ー227622号公報や
特開平3ー265764号公報などには、クロメート化
成処理被膜形成後耐熱性ゴム層を設けて気密性を向上さ
せたゴムコーティングステンレス鋼板が提案されてい
る。また特開平4ー118079号公報には、クロメー
ト化成処理被膜形成後にポリエーテルスルホン樹脂ある
いはポリエーテルスルホン樹脂と四フッ化エチレン樹脂
の混合物を主成分とする塗膜を設けた耐熱塗装ステンレ
ス鋼板が提案されており、その用途の一つとして自動車
エンジンまわりの部品が挙げられている。
ダーガスケットとしては、アスベストをニトリルゴムや
フェノール樹脂などで固めた積層板が用いられていた
が、アスベスト公害が明らかになるにつれて、金属を素
材としたガスケットに置き換えられるようになってき
た。金属素材としては主にステンレス鋼板が使用されて
いるが、ステンレス鋼板をそのままガスケットに用いる
とシリンダーヘッドやシリンダーブロックとの気密性が
確保できない。そこで特開平3ー227622号公報や
特開平3ー265764号公報などには、クロメート化
成処理被膜形成後耐熱性ゴム層を設けて気密性を向上さ
せたゴムコーティングステンレス鋼板が提案されてい
る。また特開平4ー118079号公報には、クロメー
ト化成処理被膜形成後にポリエーテルスルホン樹脂ある
いはポリエーテルスルホン樹脂と四フッ化エチレン樹脂
の混合物を主成分とする塗膜を設けた耐熱塗装ステンレ
ス鋼板が提案されており、その用途の一つとして自動車
エンジンまわりの部品が挙げられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ゴ
ムコーティングステンレス鋼板および耐熱塗装ステンレ
ス鋼板いずれにおいても、クロメート処理が施されてい
るためクロメートが不凍液中に溶出したり、排気ガスと
して大気中に飛散したりして環境上の問題を引き起こ
す。またゴムコーティングステンレス鋼板では、シリン
ダーガスケットのような過酷な環境で使用されるとクロ
メートが劣化するためステンレス鋼板とゴム層の密着性
が劣化するという問題もある。
ムコーティングステンレス鋼板および耐熱塗装ステンレ
ス鋼板いずれにおいても、クロメート処理が施されてい
るためクロメートが不凍液中に溶出したり、排気ガスと
して大気中に飛散したりして環境上の問題を引き起こ
す。またゴムコーティングステンレス鋼板では、シリン
ダーガスケットのような過酷な環境で使用されるとクロ
メートが劣化するためステンレス鋼板とゴム層の密着性
が劣化するという問題もある。
【0004】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、クロメート処理を施さず、シリンダー
ガスケットのような過酷な環境で使用されてもその密着
性が劣化せず、しかも気密性に優れた耐熱性塗膜を有す
るステンレス鋼板及びその製造方法を提供することを目
的とする。
なされたもので、クロメート処理を施さず、シリンダー
ガスケットのような過酷な環境で使用されてもその密着
性が劣化せず、しかも気密性に優れた耐熱性塗膜を有す
るステンレス鋼板及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は、表面にリン
酸とシリカからなる化成処理皮膜が設けられ、その化成
処理被膜上にポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂の少なくとも
1種類以上とフッ素系樹脂の混合物を主成分とする耐熱
性塗膜を形成されてなる耐熱性塗膜を有するステンレス
鋼板により解決される。上記耐熱性塗膜を有するステン
レス鋼板の製造方法としては、リン酸とシリカの重量比
が1/10以上5以下であり、かつその被膜付着量が2
mg/m 2 以上200mg/m2 以下である化成処理液
を表面に塗布、乾燥して化成処理皮膜を形成し、その被
膜上にポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスル
フィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂の少なくとも1種類
以上とフッ素系樹脂の混合物を主成分とする耐熱性塗膜
を形成する方法が好ましい。
酸とシリカからなる化成処理皮膜が設けられ、その化成
処理被膜上にポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂の少なくとも
1種類以上とフッ素系樹脂の混合物を主成分とする耐熱
性塗膜を形成されてなる耐熱性塗膜を有するステンレス
鋼板により解決される。上記耐熱性塗膜を有するステン
レス鋼板の製造方法としては、リン酸とシリカの重量比
が1/10以上5以下であり、かつその被膜付着量が2
mg/m 2 以上200mg/m2 以下である化成処理液
を表面に塗布、乾燥して化成処理皮膜を形成し、その被
膜上にポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスル
フィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂の少なくとも1種類
以上とフッ素系樹脂の混合物を主成分とする耐熱性塗膜
を形成する方法が好ましい。
【0006】
【作用】ステンレス鋼板と耐熱性塗膜との密着性を確保
するには、ステンレス鋼板上に化成処理を施す必要があ
る。化成処理としてはクロメート処理、シリカカップリ
ング剤処理、リン酸塩処理などがあるが、クロメート処
理は前記したようにクロメートが不凍液中に溶出した
り、排気ガスとして大気中に飛散したりして環境上の問
題を引き起こす。またシリカカップリング剤処理やリン
酸塩処理は密着性においてやや劣る。そこで本発明者ら
が鋭意検討した結果、リン酸とシリカからなる化成処理
が最も好ましいことを見出した。理由は必ずしも明確で
はないが、リン酸によりステンレス鋼板表面がエッチン
グされ微細な凹凸が生じることによるアンカー効果と、
析出するリン酸塩とステンレス鋼板表面の間に結合が生
じる化学的効果の両方の効果により密着性が向上すると
考えられる。また化成処理被膜に含まれるシリカは化成
処理被膜を強化するとともに、シリカ中のシラノール基
(SiーOH)がステンレス鋼板と耐熱性塗膜の両方に
化学結合するため、ステンレス鋼板と耐熱性塗膜との密
着性をより向上させると考えられる。
するには、ステンレス鋼板上に化成処理を施す必要があ
る。化成処理としてはクロメート処理、シリカカップリ
ング剤処理、リン酸塩処理などがあるが、クロメート処
理は前記したようにクロメートが不凍液中に溶出した
り、排気ガスとして大気中に飛散したりして環境上の問
題を引き起こす。またシリカカップリング剤処理やリン
酸塩処理は密着性においてやや劣る。そこで本発明者ら
が鋭意検討した結果、リン酸とシリカからなる化成処理
が最も好ましいことを見出した。理由は必ずしも明確で
はないが、リン酸によりステンレス鋼板表面がエッチン
グされ微細な凹凸が生じることによるアンカー効果と、
析出するリン酸塩とステンレス鋼板表面の間に結合が生
じる化学的効果の両方の効果により密着性が向上すると
考えられる。また化成処理被膜に含まれるシリカは化成
処理被膜を強化するとともに、シリカ中のシラノール基
(SiーOH)がステンレス鋼板と耐熱性塗膜の両方に
化学結合するため、ステンレス鋼板と耐熱性塗膜との密
着性をより向上させると考えられる。
【0007】化成処理液中のリン酸とシリカの重量比
は、5を越えるとリン酸含有量が多過ぎて安定な化成処
理被膜ができ難くなり、1/10未満とリン酸含有量が
少な過ぎると化成処理被膜とステンレス鋼板との密着性
が確保できなくなる場合もあるため、1/10以上5以
下であることが望ましい。
は、5を越えるとリン酸含有量が多過ぎて安定な化成処
理被膜ができ難くなり、1/10未満とリン酸含有量が
少な過ぎると化成処理被膜とステンレス鋼板との密着性
が確保できなくなる場合もあるため、1/10以上5以
下であることが望ましい。
【0008】また化成処理被膜の付着量は、2mg/m
2 未満であると被膜が不均一になりやすいため被膜が付
着してない部分が生じる場合があり、200mg/m2
を越えると被膜内部で凝集破壊が起こりやすくなり密着
性を損なう場合もあるので、2mg/m2 以上200m
g/m2 以下の範囲内であることが望ましい。
2 未満であると被膜が不均一になりやすいため被膜が付
着してない部分が生じる場合があり、200mg/m2
を越えると被膜内部で凝集破壊が起こりやすくなり密着
性を損なう場合もあるので、2mg/m2 以上200m
g/m2 以下の範囲内であることが望ましい。
【0009】自動車エンジンなどのシリンダーガスケッ
トに用いられる場合、塗膜としては良好な耐熱性、耐薬
品性および気密性などを具備していることが必要であ
る。そのためにはフッ素系樹脂を用いることが好ましい
ことは良く知られているが、フッ素系樹脂はその非粘着
性のためステンレス鋼板に対する密着性が良くなく、十
分な密着性を備えたフッ素系樹脂をコーティングしたス
テンレス鋼板はこれまでに無かった。そこで本発明者ら
が検討した結果、ステンレス鋼板表面に前記化成処理を
施した後、その上にPES樹脂、PPS樹脂、PAI樹
脂の少なくとも1種類以上とフッ素系樹脂の混合物を塗
布することによりステンレス鋼板に対する密着性に優
れ、しかもその厚みを適当にすれば気密性にも優れる耐
熱性塗膜を見出した。これは、前記樹脂を塗装後、焼付
時にPES樹脂などの耐熱性樹脂とフッ素系樹脂が分離
し二層構造になり、表層には耐熱性や耐薬品性に優れ、
軟質で気密性にも有利なフッ素系樹脂が、また化成処理
被膜側には化成処理被膜との密着性にフッ素系樹脂に比
べてはるかに優れたPES樹脂などの耐熱性樹脂が濃化
するためと考えられる。
トに用いられる場合、塗膜としては良好な耐熱性、耐薬
品性および気密性などを具備していることが必要であ
る。そのためにはフッ素系樹脂を用いることが好ましい
ことは良く知られているが、フッ素系樹脂はその非粘着
性のためステンレス鋼板に対する密着性が良くなく、十
分な密着性を備えたフッ素系樹脂をコーティングしたス
テンレス鋼板はこれまでに無かった。そこで本発明者ら
が検討した結果、ステンレス鋼板表面に前記化成処理を
施した後、その上にPES樹脂、PPS樹脂、PAI樹
脂の少なくとも1種類以上とフッ素系樹脂の混合物を塗
布することによりステンレス鋼板に対する密着性に優
れ、しかもその厚みを適当にすれば気密性にも優れる耐
熱性塗膜を見出した。これは、前記樹脂を塗装後、焼付
時にPES樹脂などの耐熱性樹脂とフッ素系樹脂が分離
し二層構造になり、表層には耐熱性や耐薬品性に優れ、
軟質で気密性にも有利なフッ素系樹脂が、また化成処理
被膜側には化成処理被膜との密着性にフッ素系樹脂に比
べてはるかに優れたPES樹脂などの耐熱性樹脂が濃化
するためと考えられる。
【0010】
【実施例】厚さ0.25mmのSUS301ステンレス
鋼板表面に、表1に示すリン酸とシリカの組成比が異な
る化成処理液を、その付着量が表1に示すようになるよ
うに塗布し、板温が80℃になる条件で乾燥した。その
上に表1に示すように組成や種類の異なる耐熱性樹脂
(樹脂1)とフッ素系樹脂(樹脂2)の混合物からなる
耐熱性塗膜を、その混合比を表1に示すように変えて、
厚さ1から50μmになるように塗布し、350℃で2
分間の条件で焼き付けを行い、本発明例である試料(N
o.1〜20)を作成した。比較例として、耐熱性樹脂
(樹脂1)に本発明範囲外である表1に示すようなポリ
エステルとメラニン、エポキシとメラニン、アクリルと
イソシアナートの混合物を用いた試料(No.21〜2
3)を作成した。さらに表2に示すような化成処理被膜
と耐熱性塗膜の間に、前記耐熱性塗膜と同様な成分系で
あるが、フッ素系樹脂を含まないあるいはフッ素系樹脂
の含有量の少ない耐熱性塗膜を設けた本発明例である試
料(No.24〜28)も作成した。ここでフッ素系樹
脂としては四フッ化エチレン樹脂(PFTE)、四フッ
化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FE
P)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエ
ーテル共重合樹脂(PFA)を用いた。
鋼板表面に、表1に示すリン酸とシリカの組成比が異な
る化成処理液を、その付着量が表1に示すようになるよ
うに塗布し、板温が80℃になる条件で乾燥した。その
上に表1に示すように組成や種類の異なる耐熱性樹脂
(樹脂1)とフッ素系樹脂(樹脂2)の混合物からなる
耐熱性塗膜を、その混合比を表1に示すように変えて、
厚さ1から50μmになるように塗布し、350℃で2
分間の条件で焼き付けを行い、本発明例である試料(N
o.1〜20)を作成した。比較例として、耐熱性樹脂
(樹脂1)に本発明範囲外である表1に示すようなポリ
エステルとメラニン、エポキシとメラニン、アクリルと
イソシアナートの混合物を用いた試料(No.21〜2
3)を作成した。さらに表2に示すような化成処理被膜
と耐熱性塗膜の間に、前記耐熱性塗膜と同様な成分系で
あるが、フッ素系樹脂を含まないあるいはフッ素系樹脂
の含有量の少ない耐熱性塗膜を設けた本発明例である試
料(No.24〜28)も作成した。ここでフッ素系樹
脂としては四フッ化エチレン樹脂(PFTE)、四フッ
化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FE
P)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエ
ーテル共重合樹脂(PFA)を用いた。
【0011】これらの試料について塗膜密着性と加工部
密着性を調査した。試験条件は以下の通りである。 (1)塗膜密着性 鋭利なカッターで塗膜にステンレス鋼板表面まで達する
1mm角10×10マスの碁盤目傷をつけ、130℃に
加熱した自動車ラジエーター用クーラント液(トヨタ純
正ロングライフクーラント)に200時間浸漬した後、
前記傷部を粘着テープで強制剥離し、塗膜の剥離の程度
を評価した。評価基準は、碁盤目部の残存数が100の
時◎、90〜99の時○、60〜89の時△、59以下
の時×とした。
密着性を調査した。試験条件は以下の通りである。 (1)塗膜密着性 鋭利なカッターで塗膜にステンレス鋼板表面まで達する
1mm角10×10マスの碁盤目傷をつけ、130℃に
加熱した自動車ラジエーター用クーラント液(トヨタ純
正ロングライフクーラント)に200時間浸漬した後、
前記傷部を粘着テープで強制剥離し、塗膜の剥離の程度
を評価した。評価基準は、碁盤目部の残存数が100の
時◎、90〜99の時○、60〜89の時△、59以下
の時×とした。
【0012】(2)加工部密着性 試料に密着曲げ(0T曲げ、Tは試料の板厚)を行い、
150℃で100時間加熱後、曲げ加工部を粘着テープ
で強制剥離し、塗膜の剥離の程度を評価した。評価基準
は、塗膜層の残存面積率が100%の時◎、90〜99
%の時○、60〜89%の時△、59%以下の時×とし
た。
150℃で100時間加熱後、曲げ加工部を粘着テープ
で強制剥離し、塗膜の剥離の程度を評価した。評価基準
は、塗膜層の残存面積率が100%の時◎、90〜99
%の時○、60〜89%の時△、59%以下の時×とし
た。
【0013】試験結果を表1および表2に示す。表1よ
り、本発明範囲内の耐熱性樹脂からなる塗膜を設けた試
料No.1〜20はいずれも良好な密着性を示が、本発
明範囲外の塗膜を設けた試料No.21〜23は著しく
劣った密着性を示す。また本発明例の内、化成処理液の
リン酸とシリカの重量比が1/10以上5以下であり、
かつその被膜の付着量が2mg/m2 以上200mg/
m2 以下である試料では、より優れた密着性が得られ
る。表2より、化成処理被膜と耐熱性塗膜の間に、前記
耐熱性塗膜と同様な成分系であるが、フッ素系樹脂を含
まないあるいはフッ素系樹脂の含有量の少ない耐熱性塗
膜を設けた試料No.24〜28は著しく優れた密着性
を示す。
り、本発明範囲内の耐熱性樹脂からなる塗膜を設けた試
料No.1〜20はいずれも良好な密着性を示が、本発
明範囲外の塗膜を設けた試料No.21〜23は著しく
劣った密着性を示す。また本発明例の内、化成処理液の
リン酸とシリカの重量比が1/10以上5以下であり、
かつその被膜の付着量が2mg/m2 以上200mg/
m2 以下である試料では、より優れた密着性が得られ
る。表2より、化成処理被膜と耐熱性塗膜の間に、前記
耐熱性塗膜と同様な成分系であるが、フッ素系樹脂を含
まないあるいはフッ素系樹脂の含有量の少ない耐熱性塗
膜を設けた試料No.24〜28は著しく優れた密着性
を示す。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】なお化成処理液中のリン酸は、正リン酸、
無水リン酸あるいはこれらの水溶液のいずれでもよい。
またシリカは市販されているものでよく、好ましくは平
均粒径5〜100nmのシリカゾルが適当で、その製法
は乾式法でも湿式法でもよい。化成処理液は、化成処理
被膜の付着量に応じて濃度を調節されたリン酸水溶液と
所定量のシリカとを混合、攪拌し、均一な溶液とするこ
とにより調整することができる。化成処理に際しては、
アルカリや溶剤による原板表面の脱脂後、必要に応じて
アルカリや酸によるエッチングなどの前処理を施しても
よい。化成処理液の塗布には、スプレーの他にロールコ
ート、カーテンフローコート、浸漬、静電塗布などのい
ずれの方法を用いてもよい。その乾燥は水分を蒸発させ
ればよく、その温度は50〜150℃が適当である。
無水リン酸あるいはこれらの水溶液のいずれでもよい。
またシリカは市販されているものでよく、好ましくは平
均粒径5〜100nmのシリカゾルが適当で、その製法
は乾式法でも湿式法でもよい。化成処理液は、化成処理
被膜の付着量に応じて濃度を調節されたリン酸水溶液と
所定量のシリカとを混合、攪拌し、均一な溶液とするこ
とにより調整することができる。化成処理に際しては、
アルカリや溶剤による原板表面の脱脂後、必要に応じて
アルカリや酸によるエッチングなどの前処理を施しても
よい。化成処理液の塗布には、スプレーの他にロールコ
ート、カーテンフローコート、浸漬、静電塗布などのい
ずれの方法を用いてもよい。その乾燥は水分を蒸発させ
ればよく、その温度は50〜150℃が適当である。
【0017】耐熱性塗膜に顔料、充填剤、界面活性剤や
消泡剤などの添加剤、溶剤、分散剤などを要求性能、塗
装作業性などを考慮して適宜調合してもよい。また塗膜
中のフッ素系樹脂としては、前記PTFE樹脂、FEP
樹脂、PFA樹脂の他に、四フッ化エチレン共重合樹脂
(ETFE)などの樹脂を用いてもよい。耐熱性塗膜の
塗布方法は、スプレーの他にロールコート、カーテンフ
ローコート、浸漬、静電塗布などのいずれの方法を用い
てもよい。塗膜の乾燥焼付には熱風加熱炉、赤外線加熱
炉、誘導加熱炉などを用いることができる。塗膜厚は1
〜50μmの範囲にあるのが好ましい。
消泡剤などの添加剤、溶剤、分散剤などを要求性能、塗
装作業性などを考慮して適宜調合してもよい。また塗膜
中のフッ素系樹脂としては、前記PTFE樹脂、FEP
樹脂、PFA樹脂の他に、四フッ化エチレン共重合樹脂
(ETFE)などの樹脂を用いてもよい。耐熱性塗膜の
塗布方法は、スプレーの他にロールコート、カーテンフ
ローコート、浸漬、静電塗布などのいずれの方法を用い
てもよい。塗膜の乾燥焼付には熱風加熱炉、赤外線加熱
炉、誘導加熱炉などを用いることができる。塗膜厚は1
〜50μmの範囲にあるのが好ましい。
【0018】化成処理被膜と耐熱性塗膜の間に設ける耐
熱性塗膜に防錆顔料、酸化防止剤、防水剤などを適宜添
加し、耐蝕性や耐酸化性を向上させることもできる。
熱性塗膜に防錆顔料、酸化防止剤、防水剤などを適宜添
加し、耐蝕性や耐酸化性を向上させることもできる。
【0019】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、クロメート処理を施さず、シリンダーガスケ
ットのような過酷な環境で使用されてもその密着性が劣
化せず、しかも気密性に優れた耐熱性塗膜を有するステ
ンレス鋼板及びその製造方法を提供することができる。
いるので、クロメート処理を施さず、シリンダーガスケ
ットのような過酷な環境で使用されてもその密着性が劣
化せず、しかも気密性に優れた耐熱性塗膜を有するステ
ンレス鋼板及びその製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秦野 浩 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 大村 雅紀 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 伊藤 三郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 表面にリン酸とシリカからなる化成処理
皮膜が設けられ、その化成処理被膜上にポリエーテルス
ルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミ
ドイミド樹脂の少なくとも1種類以上とフッ素系樹脂の
混合物を主成分とする耐熱性塗膜を形成されてなる耐熱
性塗膜を有するステンレス鋼板。 - 【請求項2】 リン酸とシリカの重量比が1/10以上
5以下であり、かつその被膜付着量が2mg/m2 以上
200mg/m2 以下である化成処理液を表面に塗布、
乾燥して化成処理皮膜を形成し、その被膜上にポリエー
テルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポ
リアミドイミド樹脂の少なくとも1種類以上とフッ素系
樹脂の混合物を主成分とする耐熱性塗膜を形成すること
を特徴とする耐熱性塗膜を有するステンレス鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19689494A JPH0858015A (ja) | 1994-08-22 | 1994-08-22 | 耐熱性塗膜を有するステンレス鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP19689494A JPH0858015A (ja) | 1994-08-22 | 1994-08-22 | 耐熱性塗膜を有するステンレス鋼板及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0858015A true JPH0858015A (ja) | 1996-03-05 |
Family
ID=16365424
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19689494A Withdrawn JPH0858015A (ja) | 1994-08-22 | 1994-08-22 | 耐熱性塗膜を有するステンレス鋼板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0858015A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006265708A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Nichias Corp | 化成処理膜被覆鋼板及びその製造方法 |
JP2007203534A (ja) * | 2006-01-31 | 2007-08-16 | Jfe Steel Kk | プレコート鋼板およびその製造方法 |
-
1994
- 1994-08-22 JP JP19689494A patent/JPH0858015A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006265708A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Nichias Corp | 化成処理膜被覆鋼板及びその製造方法 |
EP1705264B1 (en) * | 2005-03-25 | 2017-03-08 | Nichias Corporation | Steel sheet coated with chemical conversion film and process for producing the same |
JP2007203534A (ja) * | 2006-01-31 | 2007-08-16 | Jfe Steel Kk | プレコート鋼板およびその製造方法 |
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