JPH0855333A - 磁気ディスク装置用保護膜及びその製造方法 - Google Patents

磁気ディスク装置用保護膜及びその製造方法

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JPH0855333A
JPH0855333A JP18723194A JP18723194A JPH0855333A JP H0855333 A JPH0855333 A JP H0855333A JP 18723194 A JP18723194 A JP 18723194A JP 18723194 A JP18723194 A JP 18723194A JP H0855333 A JPH0855333 A JP H0855333A
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JP
Japan
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protective film
film
magnetic disk
hydrogen
magnetic
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Withdrawn
Application number
JP18723194A
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English (en)
Inventor
Akira Kikuchi
暁 菊池
Yoshisuki Kitamoto
善透 北本
Makoto Watanabe
真 渡辺
Noriyuki Asakura
紀之 朝倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気ディスク媒体及び磁気ヘッドの保護層と
して、耐磨耗性、絶縁性に優れ、製造安定性のあるもの
を提供する。 【構成】 保護膜をスパッタリング法又はCVDで形成
して炭素及びケイ素より構成し、かつ水素含有ガス(C
4 ,C2 2 ,H2 など)雰囲気中でスパッタリング
又はCVDを行なう。Si量は3〜30at%,H/C比
は0.5以下がよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク装置のデ
ィスク媒体又は磁気ヘッドの保護膜及びその製造方法に
関する。情報処理システムの小型化且つ大容量化に伴
い、磁気ディスク装置の高密度化が要求されている。近
年、磁気ディスク装置においては、磁気抵抗効果素子を
利用したMRヘッドの採用、0.1μm以下の低スペー
シング化が試みられている。これらの技術を実現するた
めには、各技術に適合した磁気記録媒体の開発が重要で
ある。第一にMRヘッドはMR素子に直接電流を流す為
その摺動面(浮上面)には絶縁性の保護膜が必要とさ
れ、媒体保護膜においても絶縁性に優れていることが必
要である。また、低スペーシング化に伴い媒体保護膜の
薄膜化が要求され、従来以上に耐磨耗性及び摩擦特性に
優れた保護膜が必要とされる。
【0002】
【従来の技術】図8は磁気ディスク装置の内部構造の全
容を示す平面図であり、磁気ディスクDが高速回転して
いる状態で、その半径方向に磁気ヘッド1が移動してシ
ーク動作し、情報の記録/再生が行なわれる。図中、2
はスピンドル、3はサスペンジョン、4は駆動アーム、
5はボイスコイルモータである。この磁気ヘッド1の位
置で磁気ディスクD切断し拡大すると、図9のようにな
る。
【0003】薄膜型の磁気ディスクDにおいて、11は
アルミニウムやガラスなどの非磁性体からなる基板であ
り、その表面に、機械的強度を上げるためにNiPめっ
き層12を形成した状態で、Co合金の水平配向性を高
めるためのCr下地層13を1000Å程度スパッタ成
膜してある。そして、CoCrTaまたはCoNiCr
などの磁性材を500Å程度スパッタして薄膜磁性膜1
4を形成した後、保護膜15としてカーボンなどを30
0Å程度スパッタし、最後にパーフロロポリエーテルな
どのようなフッ素系の潤滑層16を数十Å程度塗布し
て、完成する。
【0004】この磁気ディスクDを矢印a1 方向に高速
回転させ、風力によって磁気ヘッドスライダ1が微小量
浮上した状態で、ヘッド素子部18によって、磁気ディ
スクDに情報の記録/再生を行なう。磁気ヘッドのスラ
イダ1は、ジンバル20を介してサスペンジョン(スプ
リングアーム)3に取り付けられ、キャリッジ22の駆
動アーム4でシーク動作が行なわれる。このように、機
構の簡便さから、装置の起動・停止時にはコアスライダ
が浮上せず摺動するCSS(Cotact Start
Stop)方式が普及している。
【0005】図10の磁気ヘッドは薄膜磁気ヘッドであ
り、ヘッド素子部24が薄膜技術で形成され、かつAl
2 3 などの保護膜で覆われている。スライダ1は、摺
動面の左右に浮上レール25,26を有しており、その
ヘッド素子部24と反対側に、空気流を取り込む流入斜
面25s,26sが形成されている。図11、図12は
図10に例示するような薄膜磁気ヘッドの量産方法を示
す図であり、図11は基板上に多数のヘッド素子部をマ
トリックス状に形成する方法を示し、図12(A)
(B)は1列のスライダブロックからスライダを1個ず
つ分離し仕上げる方法を示す。
【0006】図11に示すように、フェライトやAl2
3 TiCなどの基板1w上に多数のヘッド素子部24
…をマトリックス状に薄膜技術で一斉に作製した後、最
終的には切断線28,29に示す位置から1個ずつ分離
すると、図のような薄膜磁気ヘッドが完成する。しかし
ながら、作製順序としては、まず横方向の切断線28の
位置で切断分離して、ヘッド素子部24が1列に並んだ
コアスライダブロック30を形成する。
【0007】こうして分離されたコアスライダブロック
30を、1本ずつ研削加工することで、図12(A)に
示すように、浮上レール25,26を形成する。すなわ
ち、左右の浮上レール25,26間の溝31や、隣接す
るスライダ間の溝32を形成する。次いで、溝32の中
心の切断線29の位置で1個ずつ切断分離した状態で、
図12(B)のように治具33に一定間隔で貼り付け、
ゴム定盤34に貼り付けたラッピングテープ35に押し
つけて、 動させ、浮上レール25,26の周縁のエッ
ジを研摩しR面取りする。R面取りの後、治具33から
剥がして、1個ずつ図9のように、スプリングアーム3
先端のジンバル20に接着固定すると、磁気ディスクD
が高速回転したときの風力でスライダ1が微小量Gだけ
浮上した状態で、情報の記録/再生が行なわれる。
【0008】図13は従来の薄膜型の磁気ディスクの製
造方法を工程順に示す断面図であり、本発明の出願人が
先に出願した特願平3−336495号においても開示
されている。工程(1)において、11はアルミニウム
などの非磁性体からなるドーナツ状の基板であり、作製
しようとする磁気ディスクと同じサイズに形成されてい
る。例えば、2.5インチの小径磁気ディスクを製造す
る場合は、非磁性円板11も2.5インチのものを用い
る。
【0009】そして、工程(2)において、非磁性円板
11の両面に、NiPメッキ下地層12を形成し、その
上に工程(3)において、回転している非磁性基板の板
面に研摩テープを押し当てて、円周方向に微細なテクス
チャーTを形成する。次に、工程(4)において、テク
スチャーTの上に、Co合金の水平配向性を高めるため
のCr下地層3を1000Å程度成膜し、その上に工程
(5)において、例えばCo合金などから成る磁性膜1
4が500Å程度成膜される。この磁性膜14の上に、
工程(6)のように、保護膜として水素含有炭素膜15
を300Å程度形成し、最後にフッ素系の潤滑層16が
塗布される。Cr層13、薄膜型の磁性膜14およびカ
ーボン膜15は、スパッタなどの薄膜技術で成膜され
る。
【0010】工程(3)で形成したテクスチャーTは、
情報を記録/再生する際の電磁変換特性が向上するよう
に、磁気異方性を付与するためのものである。また、テ
クスチャーTに沿ってカーボン膜15も凹凸となるた
め、潤滑剤で磁気ヘッドが磁気ディスク面に吸着される
のを抑制でき、かつ磁気ヘッドと磁気ディスク面との間
の摩擦を小さくすることができる。
【0011】上記の如く、従来の磁気記録媒体は、Ni
−Pメッキ処理を施したアルミニウム基板或いはガラス
基板上に数千Å程度の下地層(Cr)、数百Åの記録層
及びカーボン保護層が順次形成された構造となってい
る。しかしながら、近年、高硬度保護膜としてダイヤモ
ンドライクカーボン膜(DLC)の開発が進められてい
る。
【0012】また、特開昭58−179940号公報に
保護膜として非晶質にケイ素炭化物(α−SiC)を用
いることが提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来のカーボン膜で
は、絶縁性が低く且つ耐磨耗性に関しても十分でない。
そのため、適度な膜厚(>300Å)が必要とされる。
しかしながら、保護膜の膜厚は記録再生特性に大きく影
響し、高密度化を実現するためには保護膜の薄膜化が必
要となる。また、その耐磨耗性の向上を目的として,D
LC膜の開発が進められているが、十分な特性を得るた
めには膜厚を200Å以上の膜厚が必要とされる。ま
た、該保護膜は成膜中の雰囲気(含有水素量)及び成膜
条件に大きく依存し、製造安定性が懸念される。即ち、
今後の高密度記録媒体及び磁気ヘッドには、高い耐磨耗
性(低スペーシング化の促進及びCSS(コンタクト・
スタート・ストップ)に対する信頼性向上)を有し、且
つ高抵抗膜(MRヘッド対応)の開発が必要である。
【0014】従来のDLC膜のラマン分光の結果を図3
に、磨耗特性の結果を図4に示す。図3、図4中、S
i:0%が従来例である。ここで、それぞれの横軸は成
膜時の雰囲気及び成膜条件を下記式で規格化したもので
あり、保護膜中に取り込まれる水素原子濃度に比例する
ものである。(雰囲気中の水素濃度×ガス流量/成膜時
のパワー密度)一般に、スパッタカーボン膜のラマン波
形は1390cm-1(Id),1580cm -1(Ig)付近
にピークを持つ2つの波形に分離でき、その比(Id/
Ig)が低いほどダイヤモンド性の結合量が増加するも
のと考えられている。すなわち、Id/Igの小さいも
のほど硬度が硬く耐磨耗性に優れていることを示唆して
いる。図3、図4でもId/Ig=0.85の時に耐磨
耗性に優れていることを示している。しかしながら、最
も磨耗しにくい膜でも平均で70Å程度磨耗しており、
微小領域ではそれ以上の磨耗が促進されている。この結
果より,十分な耐久性を得るためには200Å以上の膜
が必要となる。また、磨耗に応じて表面が平滑化され、
ヘッド・媒体の吸着が懸念される。すなわち、より微細
な表面形状を持つ媒体(低浮上媒体)ではより優れた保
護膜の開発が必須である。更に、膜抵抗、製造安定性等
を兼ね備えていることが重要である。
【0015】特開昭58−179940号公報の提案は
α−SiCに関するものであるが、本発明はα−Cない
し、DLCを基本とし、これに一定量のSiを混入して
α−CないしDLCの膜質を改良するものであり、α−
SiCとは本質的に異なるものである。本発明の目的
は、上記の問題点に鑑み、耐磨耗性及び絶縁性に優れ及
び製造安定性のある保護膜を有する磁気記録媒体及びそ
の製造方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、磁気ディスク装置におけるディスク媒体
又は磁気ヘッドの摺動部に用いられる保護膜であって、
該摺動部の基体上に炭素及び珪素を主成分として構成さ
れ、珪素含有量が3〜30at%の範囲で形成されてなる
ことを特徴とする磁気ディスク装置用の保護膜及び磁気
ディスク装置におけるディスク媒体又は磁気ヘッドの摺
動部に用いられる保護膜を形成する際に、スパッタリン
グ法又はプラズマCVD法で炭素及び珪素を主成分とし
て構成され、珪素含有量が3〜30at%の範囲内の保護
膜を形成し、前記保護膜は水素含有ガス及び不活性ガス
雰囲気中で形成し、前記水素含有ガスは、Cn m (m
=2n−2,2n,2n+2,m,nは整数)で構成さ
れる組成の内、少なくとも1種類以上の組成で構成され
てなることを特徴とする磁気ディスク装置用の保護膜の
製造方法を提供する。
【0017】図1(A)(B)に本発明を適用した磁気
ディスク媒体と従来例の磁気ディスク媒体の構成例を示
す。(A)が本発明、(B)が従来例である。非磁性基
板(NiP/Al)11、Cr下地層13、Co合金磁
性層14は共通であり、その上の保護層14として、従
来は水素含有炭素膜(DLC)が用いられていたが、本
発明では珪素水素含有炭素膜14′を用い、保護膜15
の上に従来は潤滑層16を設ける場合があったが、本発
明によれば任意に保護層15上層としてフッ素化物膜1
7を潤滑保護層として設けることができる。その上にさ
らに潤滑剤が塗布されるフッ素化膜は、固体で、テフロ
ンコートのような耐腐食性、摺動性、はっ水性を向上さ
せるものであり、プラズマCVDやスパッタリングで成
膜する。潤滑層は、液体潤滑剤であってパーフロロポリ
エーテルのようなもので、スピンコート法や溶剤につけ
て引き上げる引き上げ法で塗布する。
【0018】また、図2に本発明をスライダに適用した
例を示す。スライダの基体1の摺動面(浮上面)側1a
に、保護層として珪素水素含有炭素膜6が設けられ、さ
らに潤滑層を形成する。必要に応じて潤滑保護層7を設
け、本発明ではフッ素化物膜を設けることができる。炭
素を主成分とする保護層にケイ素を3〜30at%含む
と、グラファイトあるいはダイヤモンド構造の炭素の間
をケイ素が結合し、より高硬度、緻密な膜を得ることが
できる。また、H/Cのモル比として0.5以下の水素
を含むことにより炭素がダイヤモンド構造を作り易くな
り、より高硬度、緻密な膜が得られる。好ましいケイ素
量は3.0〜30at%、好ましいH/C比は0.1〜
0.5である。一般にH量が少ないほどより高硬度であ
るが、少なすぎると電気抵抗が低くなってしまう。
【0019】また、保護膜中の水素含有量が基板側で高
く、保護層上部で低いことが好ましい。基板との密着性
の点では水素含有量が多いことが好ましいが、保護層に
必要な膜の硬度の点で水素含有量が低いことが好ましい
からである。保護層中の水素含有量は基板側から上部へ
向って階段的に変化してもよいし、漸次的に変化しても
よい。例えば、基板側でH/C=0.2以上、上部側で
H/C=0.2以下、あるいは基板側でH/C=0.1
以上、上部側でH/C=0.1以下が好ましい。
【0020】必要な膜特性に応じ、他の元素の添加
(W,Ti,B,Zr,Ta,Mo,Cr)が有効であ
る。これらの元素はカーバイド化し易い材料であり、カ
ーバイド化することにより硬質になり、耐磨耗性を向上
させる効果がある。また、保護膜上にさらにフッ素化膜
を形成すると、更に潤滑保護膜として耐久性の向上が図
られるので好ましい。
【0021】保護膜はスパッタリング法及び蒸着法で形
成し、ターゲット及び蒸着源はC,Siにより構成さ
れ、水素含有ガス(例えばCH4 ,C2 2 ,C
2 4 ,C26 ,C4 10などのCn m (m=2n
−2,2n又は2n+2)その他の炭化水素又はH2
と不活性ガス(例えばAr)を含む雰囲気中で形成す
る。また、該保護膜の水素濃度を初期層で高く且つ上層
で低くなるように形成する。例えば、形成時の雰囲気を
20%以上の量の水素含有ガス、例えばCH4 を含む不
活性ガスとの混合雰囲気、例えばAr−CH4 雰囲気中
で形成し、徐々に不活性ガス(純Arガス)で希釈しな
がら形成するか、または同一濃度の水素雰囲気中で形成
する場合は、一定膜厚以上の達した時点で基板側に負の
直流バイアスを印加し形成する。水素含有ガス量は40
%以下が好ましい。40%以上になると、膜がポリマー
化し、耐摩耗性が低くなる。
【0022】更に、成膜時の基板温度を最適化(例えば
100〜200℃)することで、膜性能の向上が図れ
る。また、基板温度に関しては、スパッタ装置等に保護
膜形成前に冷却を可能とするクーリングチャンバを設け
るとDLC化が更に進む点で有効である。また、雰囲気
ガス中にNe,Kr,Xeを微量含むことも、膜質の制
御に有効である。分子径の大きい不活性ガスを併用する
ことで、大きい活性化エネルギーを得ることができ、よ
り高速に良質な膜を形成できる効果がある。
【0023】保護膜上のフッ素化膜は、保護膜形成後N
3 ,BF3 ,SiF4 ,CF4 等の雰囲気中でプラズ
マ処理を施すか、或いは保護膜形成中の表面層形成時に
雰囲気中に該ガスを適量導入することにより行なうこと
ができる。本発明では、磁気ディスク媒体の保護膜とし
て炭素、ケイ素、水素を主成分とすることで高抵抗且つ
耐磨耗性に優れた保護膜の実現を可能とする。本保護膜
のラマン分光の結果を図3に、磨耗評価の結果を図4に
それぞれ示す。また、Si:10%の場合の膜抵抗を図
5に示す。各評価結果から容易にわかるように、従来の
DLC膜(Si:0%)に比較して優れた保護膜が実現
されている。更に、数MΩ以上の絶縁性は容易に確保で
き、MRヘッドに対しても十分に絶縁性が確保されてい
る。また、従来のDLC膜は成膜条件の影響が大きく、
製造安定性の面では不安がある。しかしながら、本保護
膜は成膜条件の広い範囲で優れた特性を示すため、製造
安定性の面からも極めて良好である。
【0024】更に、膜中の水素濃度を初期層ほど高くす
ることで膜抵抗をより向上させ、磁気ヘッドとの摺動面
は適当量の水素濃度(低め)に調節し耐磨耗性に優れた
保護膜が実現できる。ここで、該保護膜の耐久性はその
表面状態に依存し初期層に左右されるものでないため、
初期層は下部層との密着性が確保されていれば十分であ
る。
【0025】以上の点より、絶縁性且つ耐磨耗性に優れ
た保護膜の実現を図るものである。このことにより、保
護膜の薄膜化に寄与し、高記録密度の実現を可能とする
ものである。
【0026】
【実施例】本発明を実施例を基に、詳細に説明する。図
1(A)に、本発明の磁気ディスク媒体の断面構造図を
示す。Ni−Pメッキを施したアルミ基板上11に、C
r下地層13が200〜1000Å,CoCr系合金の
記録層14が150〜500Å程度Ar雰囲気中でスパ
ッタリング法により形成される。その上部に、保護層1
5′が80〜300Å程度同スパッタリング法により形
成される。ここで、保護層は10〜25%程度のSiを
添加したカーボンターゲットにより、10〜30%程度
のCH4 を混合させたAr雰囲気で形成した。また、各
スパッタリング室は連続に構成され、成膜時のガス圧は
下地・記録層が5〜30mTorr ,保護層は3〜15mTor
r の範囲内で形成した。更に、成膜時の基板温度を下地
・記録層で極力高く、保護層を成膜前に放置冷却し10
0〜200℃の範囲で形成した。
【0027】ここでCr下地膜13、記録層14、珪素
水素含有炭素系保護層15′の成膜は、図6(A)に示
すように基板ホルダー36に円板11を保持させた状態
で、キャリヤ37を図6(B)に示すようなCrターゲ
ットt1 、磁性材ターゲットt2 、珪素水素含有炭素タ
ーゲットt3 ,t4 の前を通過させて、各円板11の両
面に順次積層していく。図6(B)において、スパッタ
室38中の珪素水素含有炭素ターゲットt3 は、珪素水
素含有炭素膜15′の基板側層を形成するためのもの
で、水素含有量が20%以上となるように、スパッタ室
38a中のメタンガス混合比は10%以上に設定され
る。次のスパッタ室38b中の珪素水素含有炭素ターゲ
ットt4 は、珪素水素含有炭素膜15′の上層側を形成
するためのもので、水素含有量が20%未満となるよう
に、スパッタ室38b中のメタンガス混合比は10%未
満に設定される。
【0028】そして、両スパッタ室38a,38b間の
仕切り開口39を可能な限り狭くしておくと、珪素水素
含有炭素膜15′の基板側と上層側との間で水素含有量
の異なった成膜が行なわれる。ここで、成膜条件は図3
〜5の結果より、要求する膜特性に応じ任意に調節でき
る。
【0029】尚、非磁性基板として、ガラス・セラミッ
ク等の基板を用いてもよく、下地・記録層の材料・膜厚
・形成方法はそれぞれの機能を果たすものであれば特に
限定されるものではない。更に、必要に応じ保護層上部
に潤滑層を設けた構造とする。下表に本実施例の磁気記
録媒体のコンタクト・スタート・ストップ(CSS)試
験の結果を示す。磁気ヘッドはAl2 3 −TiCスラ
イダーを用い、CSS後の摩擦係数の変化を測定した。
本結果より、従来のDLC膜ではCSS回数の増加に伴
い摩擦係数が増大するのに対して、本発明の磁気記録媒
体は1.0以下の安定した特性を示す。表1 CSS後の摩擦係数 CSS回数 [回] ─────────────────────────── CSS初期 100 1000 5000 10000 20000 ─────── ─── ── ── ── ─── ─── 従来の DLC膜 0.35 0.71 1.23 1.88 > 2.0 > 2.0 本発明の保護膜 0.26 0.43 0.50 0.63 0.69 0.74 磁気ディスクの回転速度に依存することなく大きな再生
出力が得られる再生専用の磁気抵抗効果型薄膜ヘッド
(以下、MRヘッドと略称する)が注目されている。か
かるMRヘッドとリング磁極誘導型の薄膜磁気ヘッドと
を一体的に構成した複合薄膜磁気ヘッドを用いて説明す
る。
【0030】そこで、図7に、複合薄膜磁気ヘッドを使
用した場合の説明図を示す。図7(A)は切截斜面図、
図7(B)は(X−Xで切断した)断面図である。図7
(A),(B)は、電磁変換ヘッド(記録ヘッド)と磁
気抵抗効果型(MR)ヘッド(再生ヘッド)の複合薄膜
磁気ヘッド40を示したもので、図において、磁気抵抗
効果型ヘッド(MRヘッド)41は、非磁性基板42上
に形成した長方形の磁気抵抗効果素子(MR素子)43
と、MR素子43の引出し導体層44と、上、下磁気シ
ールド層45a,45bとで構成されている。
【0031】引出し導体層44は、MR素子43の長手
方向に対して所定幅で切除されてMR素子43のMR層
(後述する)の両端に接続されている。MR素子33及
び引出し導体層44は磁気シールド素子層45bとの間
にあって非磁性絶縁層36で電気的に接続されている。
一方、磁気ディスクDに情報の記録を行うための電磁変
換型ヘッド(インダクティブヘッド)47は、MRヘッ
ド41の上磁気シールド素子45aを下部磁極(第1磁
極)とし、その上面に順にアルミナ(Al2 3 )を介
在した記録ギャップを介して熱硬化樹脂からなる層間絶
縁層49、薄膜コイル導体層(Cu)50及び上部磁極
51を積層し、上部磁極(第2磁極)51と下部磁極
(上磁気シールド層)45aとで形成した記録ギャップ
48によって情報の水平記録を行う。また、上部磁極5
1上には保護絶縁層52が形成される。これらはスパッ
タ又は真空蒸着メッキ法等により形成される。
【0032】図中、6が珪素水素含有炭素層からなる保
護層であり、その上に任意に潤滑保護層としてフッ素化
物層17が形成され、さらに液体潤滑剤16を塗布す
る。図11、図12は、前記のように図2、図10に例
示するような薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する図で
あり、図11は基板上に多数のヘッド素子部をマトリッ
クス状に形成する方法を示し、図12(A),(B)は
1列のスライダブロックからスライダを1個ずつ分離し
仕上げる方法を示す。
【0033】図11に示すように、フェライトやAl2
3 ,TiCなどの基板1w上に多数のヘッド素子部2
4…をマトリックス状に薄膜技術で一斉に作製した後、
最終的には切断線28,29に示す位置から1個ずつ分
離すると、薄膜磁気ヘッドが完成する。しかしながら、
作製順序としては、まず横方向の切断線28の位置で切
断分離して、ヘッド素子部24が1列に並んだコアスラ
イダブロック30を形成する。
【0034】スライダブロック切りだし後、表面洗浄を
実施し、CVD法にて珪素水素含有炭素層を上記磁気デ
ィスクの場合と同様に成膜した。磁気ヘッドの下地密着
層として、保護膜形成前にSiC膜をCVD法で形成し
ておいてもよい。CVD装置では、焼結熱処理で作成さ
れるため不純物が混入し易いスパッタターゲットを使用
せず、化学反応で行う為、成膜時に腐食をひき起こす物
質が混入するのを防止できる。
【0035】こうして製膜されたコアスライダブロック
30を、1本ずつ研削加工することで、図12(A)に
示すように、浮上レール25,26を形成する。すなわ
ち、左右の浮上レール25,26間や、隣接するスライ
ダ間の溝を形成する。スライダレールはイオンミルで形
成する。次いで、溝の中心の切断線29の位置で1個ず
つ切断分離した状態で、図12(B)のように治具33
に一定間隔で貼り付け、ゴム定盤34に貼り付けたラッ
ピングテープ35に押しつけて移動させ、浮上レール2
5,26の周縁のエッジを研摩しR面取りする。R面取
りの後、治具33からはがして、1個ずつ従来どおり図
9のように、スプリングアーム3先端のジンバル20に
接着固定すると、磁気ディスクDが高速回転したときの
風力でスライダ7が微小量Gだけ浮上した状態で、情報
の記録/再生が行なわれる。
【0036】
【発明の効果】以上説明した様に、磁気ディスク装置用
の保護膜として炭素(C),ケイ素(Si)を主成分で
形成し、水素(H)を混入させることで、膜抵抗且つ耐
磨耗性に優れた特性を得ることができる。このことによ
り、保護膜の薄膜化が可能になり高記録密度の実現が可
能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)(B)は磁気ディスクの断面図である。
【図2】磁気ヘッドの断面図である。
【図3】保護膜のラマン分光(Id/Ig)の結果を示
す。
【図4】保護膜の摩耗特性の結果を示す。
【図5】保護膜の電気抵抗値を示す。
【図6】(A)(B)はスパッタ装置を示す。
【図7】(A)(B)は磁気ヘッドの詳細説明図であ
る。
【図8】磁気ディスク装置の全容図である。
【図9】薄膜磁気ディスクと磁気ヘッドを説明する図で
ある。
【図10】薄膜型磁気ヘッドの全容を示す。
【図11】薄膜磁気ディスクの製造方法を説明する図で
ある。
【図12】(A)(B)はスライダブロックとその加工
を説明する図である。
【図13】薄膜型磁気ディスクの製造工程を説明する図
である。
【符号の説明】
1…磁気ヘッド 1a…ヘッド素子部 6…保護層 7…潤滑層 11…基板 12…NiP層 13…Cr下地層 14…磁性層 15,15′…保護膜 16…潤滑層 24…ヘッド素子部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朝倉 紀之 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ディスク装置におけるディスク媒体
    又は磁気ヘッドの摺動部に用いられる保護膜であって、 該摺動部の基体上に炭素及び珪素を主成分として構成さ
    れ、珪素含有量が3〜30at%の範囲で形成されてなる
    ことを特徴とする磁気ディスク装置用の保護膜。
  2. 【請求項2】 水素と炭素のモル比が0.5以下で構成
    されてなることを特徴とする請求項1記載の磁気ディス
    ク装置用の保護膜。
  3. 【請求項3】 水素含有量が前記基体側と保護膜上層と
    で異なって構成されてなることを特徴とする請求項1又
    は2記載の磁気ディスク装置用の保護膜。
  4. 【請求項4】 前記基体側の初期層で水素含有量を20
    %以上とすることを特徴とする請求項3記載の磁気ディ
    スク装置用の保護膜。
  5. 【請求項5】 W,Ti,Zr,Ta,Mo,Crの元
    素の内少なくとも1種類以上の元素を含んでなることを
    特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の磁
    気ディスク装置用の保護膜。
  6. 【請求項6】 前記保護膜上層がフッ素含有膜で構成さ
    れてなることを特徴とする請求項1〜5記載のいずれか
    1項記載の磁気ディスク装置用の保護膜。
  7. 【請求項7】 磁気ディスク装置におけるディスク媒体
    又は磁気ヘッドの摺動部に用いられる保護膜を形成する
    際に、 前記保護膜はスパッタリング法又はプラズマCVD法を
    用い、 水素含有ガス、不活性ガス、保護膜中の珪素含有量が3
    〜30at%になる雰囲気中で形成され、 かつ前記水素含有ガスは、Cn m (m=n,2n,2
    n+2)で構成される組成の内、少なくとも1種類以上
    の組成で構成されてなることを特徴とする磁気ディスク
    装置用の保護膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記雰囲気中の水素含有ガス量が40モ
    ル%以下であることを特徴とする請求項6又は7記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 前記保護膜の形成初期段階から最終段階
    に至る際に、 前記水素含有ガス(Cn m )又は前記不活性ガス量を
    変化させて構成することを特徴とする請求項6,7又は
    8記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記保護膜の初期形成段階で、水素含
    有ガス量を20%以上とし、徐々に前記不活性ガスを減
    少させて形成することを特徴とする請求項6,7,8又
    は9記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記保護膜上層のフッ素含有膜を形成
    する際に、該フッ素含有膜をCF4 ,NF3 ,BF3
    はSiF4 雰囲気中のプラズマ処理で形成する請求項6
    〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記保護膜の成長雰囲気中にNe,K
    r,Xeの1又は2以上のガスを微量混入させる請求項
    6〜11のいずれか1項に記載の方法。
JP18723194A 1994-08-09 1994-08-09 磁気ディスク装置用保護膜及びその製造方法 Withdrawn JPH0855333A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002371809A (ja) * 2001-06-12 2002-12-26 Tdk Corp Dlcを施したロッカーアーム
JP2007026587A (ja) * 2005-07-20 2007-02-01 Fujitsu Ltd 磁気記録媒体、ヘッドスライダーおよび磁気記録装置

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