JP2833025B2 - 磁気記録体 - Google Patents

磁気記録体

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は薄膜型磁気記録体、特にフレキシブル磁気デ
ィスクに関する。
〔従来の技術〕
近年、フレキシブル磁気ディスク装置、オーディオ用
磁気テープ装置、VTR用磁気テープ装置、各種の磁気記
録装置の小型化,高密度化が進めらている。
磁気記録における高密度化は主として磁気記録体の磁
性層の高保磁力化と薄層化とによって実現されている。
従来使用されている媒体は、磁性体微粒子を高分子バ
インダ中に分散させたものをベースフィルム上に塗布し
た、いわゆる塗布型磁気記録媒体である。
最近、これらの記憶密度を1〜2桁ほど向上できる垂
直磁気記録方式が注目されている。ここに用いられる記
録媒体としてスパッタ又は蒸着などによって形成される
CoCr合金薄膜の単層媒体及びCoCr膜/NiFe軟磁性膜の2
層媒体が主に開発されている。
これらの高密度磁気記録用の薄膜型磁気媒体をフレキ
シブル磁気ディスク、磁気テープ等として実用化するた
めには、機械的耐久性、特にパスウェア耐久性を保証す
る必要がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
垂直記録フレキシブル磁気ディスクには、フレキシブ
ルフィルム上にCoCr合金薄膜を形成し、さらに保護膜を
形成した媒体が広く用いられている。
最近、フレキシブル磁気ディスク装置(FDD)の記憶
容量を大容量化するために従来の片面型のFDDからディ
スクの両面を用いる両面型のFDDの検討がなされてい
る。
片面型のFDDのヘッドでは、球面ヘッドが柔らかいパ
ッドを対で用いているが、両面型FDDでは2つのフラッ
トで硬質なスライダーからなるヘッドで媒体を挟んで使
用している。
そのため両面型FDDでは、実際のヘッド摺動に伴うシ
ーク動作に対して硬いスライダー同士が振動することな
どによって、媒体にスクラッチなどが発生することが観
測され、シーク耐久性は片面型FDDを用いたときと較べ
てかなり低かった。
本発明の目的は上記課題を解決した磁気記録体を提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明による磁気記録体においては、第1図に示すよ
うに、可撓性の基体1上にアモルファスシリコン薄膜2
を形成し、該アモルファスシリコン薄膜2上に強磁性薄
膜3及び保護膜4を順次形成し、保護膜4上に潤滑膜5
を施したものである。アモルファスシリコン薄膜2に
は、Cの添加元素を添加している。
強磁性体としては、CoCr膜,CoCrTa膜,CoNi膜,CoCr/Fe
Ni膜,FeCr膜,Co酸化物膜及びこれらに添加元素を含む薄
膜などがある。
保護膜としては、ダイヤモンド状カーボン,グラファ
イト状カーボン,Siもしくはシリコン酸化膜,シリコン
窒化膜などがある。
また、保護膜上には、摩擦摩耗特性を向上させるため
に潤滑膜を形成する。潤滑膜としては、液体潤滑剤,固
体潤滑剤を使用できる。液体潤滑剤としては側鎖パーフ
ロロアルキルエーテル,パーフロロポリエーテル又は極
性終端分子を有するそれぞれの側鎖及び直鎖パーフロロ
アルキルエーテル及びパーフロロポリエーテル,フッ素
オイルなどがある。又、固体潤滑剤としては、フッ素系
固体潤滑剤,硫化モリブデンなどがある。また、塗布法
としては、液体潤滑剤だけを、又は液体潤滑剤と固体潤
滑剤を混合して適当な溶剤に溶解もしくは分散させたも
のを保護膜上に形成する浸漬法,スプレー法,ローラコ
ート法,又はスピンコート法等がある。
〔作用〕
可撓性の基体上にCを含むアモルファスシリコン薄膜
を形成することにより、ヘッドのシークによる摩擦及び
衝撃に対して柔らかいベースフィルム上の強磁性膜を保
持する作用があり、シーク耐久性を向上させる。
〔実施例〕 以上に図に示す実施例について本発明を詳細に説明す
る。
本実施例では、シーク耐久性の評価には、すべて市販
3.5インチ1MB両面型FDD(回転数600rpm)を用いた。シ
ーク動作は20トラックから50トラック間を繰り返しシー
クさせたモータトルクが異常増大し傷が発生したシーク
回数を調べた。
なお、シーク耐久性は、基体上にCを含むアモルファ
スシリコン膜を形成した磁気記録体の耐久性を、これら
の補強を目的とした下地膜を形成しない磁気記録体のシ
ーク耐久性で規格化した。
第1図において、基体1にはポリイミドフィルム(30
μm厚)を用い、ポリイミドフィルム上にRFバイアス−
100Vを印加し、RFスパッタ法により参考例1,2,3として
それぞれ200Å,500Å,100Å厚のアモルファスシリコン
薄膜2を形成した。該アモルファスシリコン薄膜2上に
は、強磁性薄膜3としてCoCrをターゲットとし、ターゲ
ット上にTaチップをのせてRFスパッタにより3000Å厚の
CoCrTa(17at%Cr,2.5at%Ta)膜を保護膜4として成膜
した。RFスパッタパワーは一定(3W/cm2)とした。
比較例1として本参考例と同一の条件の下でポリイミ
ドフィルム上のアモルファスシリコン薄膜を除いたCOCr
Ta膜を成膜した。
保護層はCoCrTa膜を成膜後、RFスパッタ方式によりカ
ーボンをArガスと水素の混合雰囲気中で厚さ300Å形成
した。また、保護膜4上には、フッ素系潤滑剤をスピン
コートにより塗布して潤滑膜5を形成した。
表1に各参考例と比較例について評価結果を示す。
次に、基体1にポリイミドフィルム(30μm厚)を用
い、ポリイミドフィルム上にRFバイアス−50Vを印加
し、実施例,参考例4として、シリコンターゲット上に
それぞれカーボン片、Geを配置し、RFスパッタ法により
500Å厚のカーボン(C)を1at%含むアモルファスシリ
コン薄膜2(実施例)、又はGeを1at%含むアモルファ
スシリコン薄膜2(参考例4)をそれぞれ形成した。該
アモルファスシリコン薄膜2上には、強磁性薄膜3とし
てCoCrをターゲットとし、ターゲット上にTaチップをの
せてRFスパッタにより3000Å厚のCoCrTa(17at%Cr,2.5
at%Ta)膜を成膜した。
比較例2として実施例及び参考例4と同一の条件の下
でポリイミドフィルム上のアモルファスシリコン薄膜を
除いたCoCrTa膜を成膜した。
保護膜4は強磁性薄膜3を作製後、RFスパッタ方式に
よりシリコン酸化膜をArガス雰囲気中で形成した。ま
た、保護膜4上には、フッ素系潤滑剤をスピンコートに
より塗布して潤滑膜5を形成した。
表2に実施例,参考例4と比較例2について評価結果
を示す。
以上のように、表1,表2から明らかなとおり、実施例
によれば、アモルファスシリコン薄膜の厚さを500Åに
設定しても、比較例1,2に比してシーク耐久性を改善す
ることができ、しかも、Geを含むアモルファスシリコン
薄膜を用いた参考例4と同等までにシーク耐久性を改善
することができる。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、基体のフィルム上に、
C(カーボン)を含むアモルファスシリコン薄膜を形成
し、該アモルファスシリコン薄膜上に強磁性薄膜,保護
膜を形成し、さらに潤滑膜を施すことにより、シーク耐
久性を増大させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のフレキシブル磁気記録体の部分断面
図である。 1……基体 2……アモルファスシリコン薄膜もしくは添加元素を含
むアモルファスシリコン薄膜 3……強磁性薄膜、4……保護膜 5……潤滑膜

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可撓性の基体上に形成されたアモルファス
    シリコン薄膜にCを含む膜と、 該Cを含むアモルファスシリコン薄膜上に形成された強
    磁性薄膜と、 該強磁性薄膜上に形成された保護膜と、 該保護膜上に施した潤滑膜とを有することを特徴とする
    磁気記録体。
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