JPH0853661A - シリコーン接着剤組成物 - Google Patents

シリコーン接着剤組成物

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JPH0853661A
JPH0853661A JP15231395A JP15231395A JPH0853661A JP H0853661 A JPH0853661 A JP H0853661A JP 15231395 A JP15231395 A JP 15231395A JP 15231395 A JP15231395 A JP 15231395A JP H0853661 A JPH0853661 A JP H0853661A
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弘直 藤木
Shigeki Shiyudou
重揮 首藤
Toshiaki Takahashi
俊明 高橋
Hiroyasu Hara
寛保 原
Takeshi Miyao
武史 宮尾
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 有機樹脂との接着性に優れ、しかも成形金型
等のシリコーンゴム成形枠からの剥離性に優れた硬化物
を与えるシリコーン接着剤組成物を得る。 【構成】 ジオルガノポリシロキサン、オルガノハイド
ロジェンポリシロキサン、白金又は白金系化合物を配合
してなるシリコーン接着剤組成物に、下記化合物から選
択される化合物を配合する。 (a)一般式Qd3 efSiZ(4-d-e-f)/2(Qは芳香
環を1個以上有する一価の有機基、R3は一価炭化水素
基、Zは酸素原子又は二価炭化水素基から選ばれる基で
あり、少なくとも一つが酸素原子である。d、e、fは
0<d≦2、0≦e、0<f≦1、d+e+f≦3.
0。)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン (b)一分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した
水素原子を有し、(4)又は(5)で示される基を有す
る化合物 〔R4〜R12はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、一価
炭化水素基、又はアルコキシ基であり、XはSi含有
量、R14は炭化水素基。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機樹脂との接着性に
優れ、かつ成形金型等のシリコーンゴム成形枠からの剥
離性に優れた硬化物を与えるシリコーン接着剤組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
付加硬化型シリコーンゴムと有機樹脂とを接着させる方
法は数多く提案され、成形樹脂表面にプライマーを塗布
し、その上から未硬化のシリコーンゴム組成物を塗布・
硬化させて接着させる方法、自己接着性シリコーンゴム
材料を成形樹脂の上から硬化させる方法などが代表的で
あり、とりわけ自己接着性シリコーンゴム組成物につい
ては、その接着成分についての提案が数多い。
【0003】更に、他の接着方法として、オレフィン樹
脂等の有機樹脂に珪素原子に直結した水素原子を30モ
ル%以上含有するオルガノポリシロキサンを添加し、こ
れを付加硬化型シリコーンゴムと接着させる方法(特公
平2−34311号公報記載)、有機樹脂とシリコーン
ゴムとを物理的な嵌合法により一体化させる方法(特公
昭63−45292号公報記載)、脂肪族不飽和基と珪
素原子に結合した加水分解性基とを有する化合物をグラ
フトしたオレフィン樹脂にシリコーンゴムを接着一体化
させる方法(特開昭63−183843号公報記載)等
が提案されている。
【0004】しかしながら、プライマーを用いて接着さ
せる方法は、いったん成形した樹脂成形物を金型等から
取り出してプライマーを塗布しなければならず、手間が
かかるという欠点があった。また、シリコーンゴム自己
接着剤を成形樹脂に塗布して硬化させる方法は、金型で
成形する際に上記シリコーンゴム自身が金型に接着して
しまうという大きい難点があった。
【0005】更に、上記した提案の中でハイドロジェン
ポリシロキサンをオレフィン樹脂等の有機樹脂に添加す
る方法は、シロキサンの添加により樹脂自体の特性が変
化し、本来の特性が損なわれてしまう場合があり、物理
的な嵌合により一体化させる方法は、物理的な力により
嵌合が外れる恐れがあった。また、脂肪族不飽和基と珪
素原子に結合した加水分解性基を有する化合物とをグラ
フトしたオレフィン樹脂を用いる方法は、付加硬化型シ
リコーンゴムを一体化させるのにプライマーが必要であ
り、面倒かつ経済的に不利であるという難点を有してい
た。
【0006】一方、近年、シリコーンゴムは耐候性、耐
熱性、清潔さ、ゴム弾性等の種々の特性に優れているこ
とから、有機樹脂とシリコーンゴムとを短時間の硬化条
件で一体成形させるという需要は高まってきている。こ
のような状況下、短時間での硬化及びシール剤としての
特性を考慮すると付加硬化型シリコーンゴムが最適であ
る。しかし、上述したように従来の方法は、いずれも付
加硬化型シリコーンゴムと有機樹脂とを満足に接着させ
る方法とは言い難いものであった。
【0007】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
上記した各種の問題点がなく、有機樹脂との接着性に優
れ、しかも成形金型等のシリコーンゴム成形枠からの剥
離性に優れた硬化物を与えるシリコーン接着剤組成物を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式
(1) R1 aSiO(4-a)/2 (1) (但し、式中R1は同一又は異種の非置換又は置換の一
価炭化水素基であり、aは1.8≦a≦2.205の正
数である。)で示され、一分子中に脂肪族不飽和基を少
なくとも2個有する25℃における粘度が10〜10,
000,000センチポイズであるジオルガノポリシロ
キサンを100重量部と、下記一般式(2) R2 bcSiO(4-b-c)/2 (2) (但し、式中R2は同一又は異種の非置換又は置換の一
価飽和炭化水素基であり、b、cはそれぞれ0.8<b
<2.2、0.002≦c≦1.0、0.802<b+
c≦3.0を満たす正数である。)で示され、一分子中
に少なくとも3個の珪素原子に結合した水素原子を有す
るオルガノハイドロジェンポリシロキサンを0〜20重
量部と、白金又は白金化合物とを含有する付加硬化型の
シリコーンゴム組成物に対し、(a)下記一般式(3) Qd3 efSiZ(4-d-e-f)/2 (3) (但し、式中Qは芳香環を1個以上有する一価の有機
基、R3は非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Z
は酸素原子又は二価炭化水素基から選ばれる基であり、
少なくとも一つが酸素原子である。d、e、fはそれぞ
れ0<d≦2、0≦e、0<f≦1、d+e+f≦3.
0を満たす正数である。)で示され、一分子中に少なく
とも2個の珪素原子に結合した水素原子を有し、かつ珪
素原子に結合した一価有機基のうち芳香環を有する一価
有機基の含有量が12モル%以上であるオルガノハイド
ロジェンポリシロキサン及び(b)一分子中に少なくと
も1個の珪素原子に結合した水素原子を有し、かつ下記
一般式(4)又は(5)で示される基を有する化合物か
ら選択される化合物0.01〜30重量部を配合するこ
とにより、短時間の硬化条件で速やかに硬化してABS
樹脂等の有機樹脂と十分に接着し得る上、成形金型等の
シリコーンゴム成形枠から十分な実用性を持って剥離し
得る硬化物を与える付加硬化型のシリコーン接着剤組成
物が得られること、それ故、この組成物を用いることに
より、プライマーを使用することなく簡単な操作で経済
的に有利に、しかも有機樹脂の本来の特性を維持して付
加硬化型シリコーンゴム組成物と有機樹脂とを満足に接
着させ得ることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】従って、本発明は、 (1)上記一般式(1)で示され、一分子中に脂肪族不
飽和基を少なくとも2個有する25℃における粘度が1
0〜10,000,000cpであるジオルガノポリシ
ロキサンを100重量部、 (2)上記一般式(2)で示され、一分子中に少なくと
も3個の珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノ
ハイドロジェンポリシロキサンを0〜20重量部、 (3)(a)上記一般式(3)で示され、一分子中に少
なくとも2個の珪素原子に結合した水素原子を有し、か
つ分子中の珪素原子に結合した一価有機基のうち芳香環
を有する一価有機基の含有量が12モル%以上であるオ
ルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(b)一分
子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した水素原子を
有し、かつ上記一般式(4)又は(5)で示される基を
有する化合物から選ばれる化合物を0.01〜30重量
部、 (4)白金又は白金系化合物を触媒量配合してなること
を特徴とするシリコーン接着剤組成物を提供する。
【0012】以下、本発明につき更に詳細に説明する
と、本発明のシリコーン接着剤組成物の第一成分は、下
記一般式(1) R1 aSiO(4-a)/2 (1) (但し、式中R1は同一又は異種の非置換又は置換の一
価炭化水素基であり、aは1.8≦a≦2.205の正
数である。)で示され、一分子中に脂肪族不飽和基を少
なくとも2個有するジオルガノポリシロキサンであり、
この成分は通常付加硬化型シリコーンゴムの主原料とし
て使用されている公知のオルガノポリシロキサンであ
る。
【0013】ここで、上記式中R1としては、好ましく
は炭素数2〜8のビニル基、アリル基、プロペニル基、
ブテニル基等の脂肪族不飽和基、好ましくは炭素数1〜
10のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘ
キシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル
基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル
基、フェニルエチル基等のアラルキル基など、及びこれ
らの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部を
ハロゲン原子等で置換した3,3,3−トリフルオロプ
ロピル基、クロロメチル基などが挙げられる。なお、各
置換基R1は異なっていても同一であってもよい。
【0014】上記式(1)のオルガノポリシロキサン
は、脂肪族不飽和基を少なくとも2個有していることが
必要であり、脂肪族不飽和基としては、特にビニル基、
アリル基等のアルケニル基が好適であり、その他の置換
基としては、特にメチル基、フェニル基が望ましい。な
お、R1中の脂肪族不飽和基の含有量は、置換基R1全体
の0.001〜20モル%、特に0.025〜5モル%
であることが好ましい。また、この脂肪族不飽和基は分
子鎖末端の珪素原子に結合したものでも分子鎖途中の珪
素原子に結合したものであってもよい。また、aは上記
の通り1.8≦a≦2.205の正数であり、より好ま
しくは1.9≦a≦2.2である。
【0015】上記式(1)のオルガノポリシロキサン
は、直鎖状であってもR1SiO3/2単位又はSiO4/2
単位を含んだ分枝状であってもよいが、基本的には直鎖
状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましく、
平均重合度が100〜10,000、特に200〜5,
000の範囲であることが好ましく、また、25℃にお
ける粘度が100〜10,000,000cp、好まし
くは600〜200,000cpの範囲であることが必
要である。
【0016】このようなジオルガノポリシロキサンは、
公知の方法により製造することができ、例えばオルガノ
シクロポリシロキサンとヘキサオルガノジシロキサンと
をアルカリ又は酸触媒の存在下に平衡化重合反応を行う
ことにより得ることができる。次いで、必要に応じて使
用される第2成分としてのオルガノハイドロジェンポリ
シロキサンは、架橋剤として作用するもので、下記平均
組成式(2) R2 bcSiO(4-b-c)/2 (2) (但し、式中R2は同一又は異種の非置換又は置換の一
価飽和炭化水素基であり、b、cはそれぞれ0.8<b
<2.2、0.002≦c≦1.0、0.802<b+
c≦3.0を満たす正数である。)で示され、一分子中
に少なくとも3個の珪素原子に結合した水素原子を有す
るものである。
【0017】ここで、上記式(2)中のR2は、同一又
は異種の非置換又は置換の一価飽和炭化水素基であり、
具体的には上記式(1)中のR1におけるアルキル基、
置換アルキル基と同様の基が例示される。また、b、c
は上記の通りの正数であるが、より好ましくは1≦b≦
2、0.01≦c≦0.5、1<b+c≦2.5を満た
す正数である。
【0018】上記式(2)のオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンは、その分子構造に特に制限はなく、直鎖
状、分枝鎖状、環状構造、三次元網状構造等の各種のも
のが使用可能であるが、平均重合度が300以下、ま
た、25℃における粘度が0.5〜5,000cp、特
に1〜3,000cpの範囲であることが好ましい。
【0019】このような上記式(2)のオルガノハイド
ロジェンポリシロキサンは、公知の方法により製造する
ことができ、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサ
ン及び1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロ
キサンから選ばれる化合物と末端基となり得るヘキサメ
チルジシロキサン又は1,1,3,3−テトラメチルジ
シロキサン単位を含む化合物とを硫酸、トリフルオロメ
タンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に
−10〜+40℃程度の温度で平衡化させることにより
容易に得ることができる。
【0020】上記式(2)のオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンの配合量は、第一成分のジオルガノポリシ
ロキサン100部(重量部、以下同様)に対して0〜2
0部とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜1
0部である。
【0021】本発明では、第三成分として、(a)下記
一般式(3) Qd3 efSiZ(4-d-e-f)/2 (3) (但し、式中Qは芳香環を1個以上有する一価の有機
基、R3は非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Z
は酸素原子又は二価炭化水素基から選ばれる基であり、
少なくとも一つが酸素原子である。d、e、fはそれぞ
れ0<d≦2、0≦e、0<f≦1、d+e+f≦3.
0を満たす正数である。)で示され、一分子中に少なく
とも2個の珪素原子に結合した水素原子を有し、かつ珪
素原子に結合した一価有機基のうち芳香環を有する一価
有機基の含有量が12モル%以上であるオルガノハイド
ロジェンポリシロキサン、及び(b)一分子中に少なく
とも1個の珪素原子に結合した水素原子を有し、かつ下
記一般式(4)又は(5)で示される基を有する化合物
から選ばれるものを配合する。この第三成分を添加する
ことにより、本発明組成物をABS樹脂等の有機樹脂に
満足に接着させることができると共に、金属型から容易
に脱離し得る性能を付与することが可能である。
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】上記式(3)において、Qは芳香環を1個
以上、好ましくは1〜3個有する一価の有機基である。
Qで示される一価有機基において芳香環が3個を超える
と、シロキサンとの相溶性が全くなくなったり、生成物
が固化する場合には接着性に寄与しなくなる場合があ
る。置換基Qとして具体的には、下記の基を例示するこ
とができる。
【0025】
【化7】 (但し、Rは前記したR1と同様の置換又は非置換の一
価炭化水素基、R’は水素原子又は前記R1と同様の置
換又は非置換の一価炭化水素基である。)
【0026】また、式(3)中のR3は非置換又は置換
一価炭化水素基、特には芳香族炭化水素基を除く非置換
又は置換の一価脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭
素数2〜8のビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテ
ニル基等の脂肪族不飽和基、好ましくは炭素数1〜10
のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシ
ル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、
これらの基の一部又は全部の水素原子をハロゲン原子等
で置換したクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロ
プロピル基、C49CH2CH2−、C817CH2CH2
−等が挙げられる。また、Zは酸素原子又は二価炭化水
素基から選ばれる基であり、そのうち少なくとも一つは
酸素原子である。この二価炭化水素基としては炭素数2
〜8のものが好適に使用され、例えばエチレン基、プロ
ピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、メチ
ルエチレン基等のアルキレン基などが例示される。d、
e、fはそれぞれ0<d≦2、0≦e、0<f≦1、d
+e+f≦3.0を満たす正数である。
【0027】上記式(3)のオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンは、一分子中に少なくとも2個、好ましく
は3個以上の珪素原子に直接結合した水素原子を有する
ことが必要であると共に、分子中の珪素原子に結合した
一価有機基のうち芳香環を有する一価有機基の含有量が
12モル%以上、好ましくは15〜80モル%、より好
ましくは20〜60モル%であることが必要である。こ
の含有量が12モル%に満たないと満足な接着性を得る
ことができない。
【0028】なお、本発明組成物に第二成分としての一
般式(2)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロ
キサンが配合されない場合には、第三成分としての上記
式(3)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキ
サン(a)並びに後述する一般式(4)又は(5)で示
される基を有する化合物(b)のそれぞれにおいて一分
子中の珪素原子に結合した水素原子の数は、第一成分に
おける一分子中の脂肪族不飽和基の数との合計が5以上
となるように適宜選択されるものである。
【0029】上記式(3)のオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンは、その分子構造に特に制限はなく、線
状、環状、分枝状等各種の構造のものが使用可能である
が、25℃における粘度は1〜1,000,000cp
の範囲であることが好適である。
【0030】この式(3)のオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンとしては、これに限定されるものではない
が、下記のものを例示することができる。
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
【化10】 (但し、Rは前記したR1と同様の置換又は非置換の一
価炭化水素基、R’は水素原子又は前記R1と同様の置
換又は非置換の一価炭化水素基であり、Yは下記式で示
されるものから選ばれる一価の基である。)
【0034】
【化11】
【0035】一方、一分子中に少なくとも1個の珪素原
子に結合した水素原子を有し、かつ上記式(4)又は
(5)で示される基を有する化合物において、R4〜R
12、R13〜R14並びにその他の分子中に含まれる珪素原
子に結合した置換又は非置換の一価炭化水素基として
は、前記した第一成分におけるR1で説明したものと同
様の炭素数1〜10のものが挙げられ、またR4〜R12
におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10、好
ましくは1〜6ものが、またハロゲン原子としては、フ
ッ素、塩素、ヨウ素などが挙げられる。
【0036】なお、この化合物としては、分子量400
〜100,000、特に400〜50,000のものが
好ましく、また一分子中の珪素原子に結合した水素原子
(SiH基)はより好ましくは2個以上、更に好ましく
は3個以上であり、一分子中の珪素原子の数は3〜10
0、特に5〜50であることが好ましい。更に、この化
合物において、このようなSiH基を含む基として下記
の基を有していることが好ましい。
【0037】
【化12】 (但し、Rは水素原子又は炭素数1〜8の置換もしくは
非置換の一価炭化水素基を示す。nは1〜3である。)
【0038】このような化合物として具体的には、下記
のようなオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物
を例示することができる。
【0039】
【化13】
【0040】
【化14】
【0041】本発明において、第三成分の配合量は、第
一成分のジオルガノポリシロキサン100部に対して
0.01〜30部、特に0.1〜20部の範囲が好まし
い。0.01部より少ないと実用に耐え得るだけの接着
効果が劣り、30部より多いと硬化物の物理的特性が損
なわれる場合がある。
【0042】この場合、組成物全体に含まれる脂肪族不
飽和基1個に対して第二成分のオルガノハイドロジェン
ポリシロキサン及び第三成分中の珪素原子に結合した水
素原子が0.4〜10個、特に0.8〜5個となる範囲
が好適である。添加量が上記値に満たないと硬化が不十
分であったり、また硬化しても硬化物の物理特性に劣る
場合があり、上記値を超えると硬化が不十分であった
り、また硬化しても硬化物の物理特性が経時で変動する
場合がある。
【0043】更に、第四必須成分の白金又は白金系化合
物は、第一成分と第二、三成分との付加硬化反応(ハイ
ドロサイレーション)を促進させるための触媒として使
用されるものである。白金又は白金系化合物としては、
公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金
ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性
物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロ
キサン、アセチレンアルコール類等との錯体等が例示さ
れる。
【0044】なお、白金又は白金系化合物の添加量は、
触媒量で、希望する硬化速度に応じて適宜増減すること
ができるが、通常は白金金属量で1〜2,000pp
m、特に1〜200ppmの範囲とすることが好まし
い。
【0045】また、本発明組成物に強度を付与すること
が必要な場合には、比表面積が50m2/g以上の微粉
末状シリカを添加することが有効である。上記微粉末状
シリカとして具体的には、親水性のシリカとしてAer
osil 130、200、300(日本アエロジル社
製、デグッサ(Degussa)社製)、Cabosi
l MS−5、MS−7(キャボット(Cabot)社
製)、Rheorosil QS−102、103(徳
山曹達社製)、Nipsil LP(日本シリカ社製)
等、疎水性シリカとしてAerosil R−812、
R−812S、R−972、R−974(デグッサ(D
egussa)社製)、Rheorosil MT−1
0(徳山曹達社製)、Nipsil SSシリーズ(日
本シリカ社製)等が例示される。
【0046】これら微粉末シリカの添加量は、硬化物の
特性を向上させる目的で第一成分のジオルガノポリシロ
キサン100部当り0.5〜200部、特に5〜50部
とすることが好適である。
【0047】本発明組成物においては、実用に供するた
めに硬化時間の調整を行う必要がある場合には、制御剤
としてビニルシクロテトラシロキサン等のビニル基含有
オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレー
ト、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類又は
そのシラン、シロキサン変性物、ハイドロパーオキサイ
ド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾー
ル又はこれらの混合物などを添加しても差し支えない。
なお、これら制御剤の添加量は、本発明の効果を妨げな
い範囲で通常量とすることができる。
【0048】更に、本発明では、その他の成分として石
英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム等の準補強性の充填
剤、コバルトブルー等の無機顔料、有機染料などの着色
剤、酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンガ
ラ、酸化チタン、カーボンブラック等の耐熱性、難燃性
向上剤などの添加も可能であり、これらの添加量は本発
明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0049】本発明のシリコーン接着剤組成物は、有機
樹脂成形体との複合体を得る場合に好適に用いることが
でき、この場合、有機樹脂としてはABS樹脂、ポリス
チレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹
脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などを挙げることが
できる。
【0050】本発明のシリコーン接着剤組成物は、加熱
することで付加反応して容易に硬化し得るもので、この
場合硬化条件は特に制限されないが、通常60〜180
℃で1秒〜360分間とすることが好適である。
【0051】
【発明の効果】本発明のシリコーン接着剤組成物は、短
時間の硬化条件で速やかに硬化してABS樹脂、ポリス
チレン樹脂等の汎用樹脂或いは各種エンジニアリングプ
ラスチックス等の有機樹脂と十分に接着し得る上、成形
金型等のシリコーンゴム成形枠から十分な実用性を持っ
て剥離し得る硬化物を与える。それ故、この付加硬化型
のシリコーン接着剤組成物は、プライマーを使用するこ
となく簡単な操作で経済的に有利に、しかも有機樹脂の
本来の特性を維持して有機樹脂と満足に接着し得るもの
で、近年の需要に十分対応できるものである。
【0052】
【実施例】以下、参考例、実施例及び比較例を示して本
発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限
されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量
部である。
【0053】〔参考例〕両末端がジメチルビニルシリル
基で封鎖された25℃における粘度が10000cpの
ジメチルポリシロキサン100部、比表面積が300c
2/gの煙霧質シリカ40部、ヘキサメチルジシラザ
ン8部、水1部をニーダーに仕込み、常温で1時間攪拌
混合した後、150℃に昇温して2時間保温、混合し
た。その後、混合物を常温まで冷却し、両末端がジメチ
ルビニルシリル基で封鎖された25℃における粘度が1
0000cpのジメチルポリシロキサンを更に20部、
下記式で示される常温における粘度が約10cpのハイ
ドロジェンメチルポリシロキサン3部、珪素原子に直結
したビニル基〔−Si(CH3)(CH=CH2)O−単
位として〕を5モル%含有する常温での粘度が1000
cpのビニルメチルポリシロキサン4部、常温における
硬化までの時間を延長させるためアセチレンアルコール
0.1部、白金のビニルシロキサン錯体を白金原子とし
て50ppm添加し、これらを均一になるまで良く混合
し、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
【0054】
【化15】
【0055】得られたシリコーン組成物を120℃に保
たれたプレス型中で10分間加熱して硬化させ、シート
を作成した。JIS K6301に準じて測定された機
械特性は以下の通りであった。 硬さ(JIS A):40 伸び:500% 引っ張り強さ:100kgf/cm2 引き裂き強さ:35kgf/cm
【0056】〔実施例1〜12、比較例〕前記参考例で
得られた液状付加硬化型シリコーンゴム組成物100部
に下記構造式の化合物をそれぞれ表1に示す量添加し、
シリコーン接着剤組成物を調製した。
【0057】
【化16】
【0058】〔比較例1〕比較のため、上記構造の化合
物(I)〜(VI)を添加していない液状付加硬化型シ
リコーンゴム組成物をシリコーン接着剤組成物として利
用した。
【0059】得られたシリコーン接着剤組成物の接着
性、離型性を下記方法で評価した。 接着性の評価−No.1:熱可塑性樹脂用射出成形機に
ABS樹脂を投入して230℃で可塑化した後、多数個
取りシート型金型キャビティに射出し(射出条件は、射
出時間6秒、冷却時間20秒、射出圧力100kg/c
2、型締圧力35ton、キャビティ温度80℃)、
厚み2mm、幅25mm、長さ100mmのABS樹脂
シートを数枚得た。
【0060】作成したABS樹脂シート、同寸のクロム
メッキ金属、ニッケルメッキ金属及びアルミ合金(被着
体)をそれぞれ引っ張りせん断接着試験片作成治具に固
定した。
【0061】上記実施例、比較例で得られたシリコーン
組成物を前記治具に適量流し込み、100℃の恒温槽に
て8分加熱して硬化させ、図1に示すように2枚の被着
体1,1が長さ12.5mmの接着部分2でシリコーン
組成物を介して接着してなり、被着体1の片末端に試験
片と同質、同一厚みで長さが38mmの支持体3が積層
してなる試験片4を得た。得られた図1の試験片を用い
て接着性を調べた。結果を表1に示す。
【0062】表1の結果より、本発明のシリコーン接着
性組成物(実施例)は、ABS樹脂との接着性に優れ、
かつクロムメッキ金属、ニッケルメッキ金属、アルミ合
金といった成形金型の成形枠として用いられる金属とは
接着せず、良好な剥離性を有することがわかった。
【0063】
【表1】
【0064】接着性の評価−No.2:下記方法によ
り、上記実施例1〜4のシリコーン接着剤組成物の接着
性を評価した。
【0065】図2に示す2基の射出装置を備えた2色射
出成形装置を使用し、射出成形を行った。この成形装置
は、射出装置のノズル部5及び6が金型に連結し、ノズ
ル部5は金型パーティングラインから、ノズル部6は金
型右側面中央部からそれぞれ射出する。また、金型は、
左側金型片7と右側金型片8とからなり、それぞれの相
対向する面の2箇所には成形凹部が形成されており、該
各成形凹部によりキャビティ部9及び10が形成されて
いる。
【0066】まず、図3に示すようにABS樹脂をノズ
ル部5から該射出成形装置に投入して240℃にて溶融
すると、ABS樹脂がノズル部5からキャビティ部9に
射出され、樹脂シート成形体11が形成される。その条
件は、射出時間6秒、冷却時間35秒、キャビティ部9
及び左側金型片7の温度は60℃であった。
【0067】次に、右側の金型片8を外して型開きを行
うと共に左側の金型片7の凹部に樹脂シート成形体11
を保持したまま金型片7を180°回転させ、右側の金
型片8を合わせて再び型締めし、シリコーンゴムシート
成形体形成用のキャビティ部を樹脂シート成形体11に
形成された面と金型片8の成形凹部面とで形成せしめた
(図4参照)。
【0068】更に、図5に示すようにこの状態で樹脂シ
ート成形体11に形成された面に射出装置のノズル部6
からシリコーン接着剤組成物を射出し、ゴムシート成形
体12を形成させた。その条件は射出時間6秒、硬化時
間100秒、左側金型片7の温度は60℃、右側金型片
8の温度は80℃であった。
【0069】以上の製造工程によって図6に示すような
ABS樹脂シート11とシリコーンゴムシート12から
なる複合体(幅2.5mm、長さ15cm、厚み2mm
−樹脂とシリコーンゴムは同寸)を得た。
【0070】上記の結果より、実施例1〜4のシリコー
ン接着剤組成物のABS樹脂との複合体は、いずれも強
固に接着したものであり、寸法精度、生産性も良好であ
った。
【0071】また、ABS樹脂の代わりにクロムメッキ
された炭素鋼製金型を使用し、上記と同様にして接着性
を評価したところ、シリコーンゴムシートは、すべて容
易に剥離し、このことから本発明のシリコーン接着剤組
成物は成形金型の成形枠からの剥離性に優れていること
が確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の接着性の評価−No.1で使用した試
験片の説明図で、Aは正面図、Bは平面図である。
【図2】実施例の接着性の評価−No.2で使用した射
出成形装置の概略図である。
【図3】図2の射出成形装置による射出成形工程を示す
概略断面図で、ABS樹脂の射出時の状態を示す。
【図4】図2の射出成形装置による射出成形工程を示す
概略断面図で、左側金型片の反転した状態を示す。
【図5】図2の射出成形装置による射出成形工程を示す
概略断面図で、シリコーン接着剤組成物射出時の状態を
示す。
【図6】実施例の接着性の評価−No.2で使用した複
合体の概略図である。
【符号の説明】
1 被着体 2 接着部分 3 支持体 4 試験片 5 ノズル 6 ノズル 7 左側金型片 8 右側金型片 9 キャビティ 10 キャビティ 11 樹脂シート成形体 12 ゴムシート成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 俊明 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 (72)発明者 原 寛保 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 (72)発明者 宮尾 武史 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)下記一般式(1) R1 aSiO(4-a)/2 (1) (但し、式中R1は同一又は異種の非置換又は置換の一
    価炭化水素基であり、aは1.8≦a≦2.205の正
    数である。)で示され、一分子中に脂肪族不飽和基を少
    なくとも2個有する25℃における粘度が10〜10,
    000,000センチポイズであるジオルガノポリシロ
    キサンを100重量部、 (2)下記一般式(2) R2 bcSiO(4-b-c)/2 (2) (但し、式中R2は同一又は異種の非置換又は置換の一
    価飽和炭化水素基であり、b、cはそれぞれ0.8<b
    <2.2、0.002≦c≦1.0、0.802<b+
    c≦3.0を満たす正数である。)で示され、一分子中
    に少なくとも3個の珪素原子に結合した水素原子を有す
    るオルガノハイドロジェンポリシロキサンを0〜20重
    量部、 (3)下記(a)及び(b)から選択される化合物を
    0.01〜30重量部、(a)下記一般式(3) Qd3 efSiZ(4-d-e-f)/2 (3) (但し、式中Qは芳香環を1個以上有する一価の有機
    基、R3は非置換又は置換の一価炭化水素基であり、Z
    は酸素原子又は二価炭化水素基から選ばれる基であり、
    少なくとも一つが酸素原子である。d、e、fはそれぞ
    れ0<d≦2、0≦e、0<f≦1、d+e+f≦3.
    0を満たす正数である。)で示され、一分子中に少なく
    とも2個の珪素原子に結合した水素原子を有し、かつ珪
    素原子に結合した一価有機基のうち芳香環を有する一価
    有機基の含有量が12モル%以上であるオルガノハイド
    ロジェンポリシロキサン (b)一分子中に少なくとも1個の珪素原子に結合した
    水素原子を有し、かつ下記一般式(4)又は(5)で示
    される基を有する化合物 【化1】 〔但し、式中R4〜R12はそれぞれ水素原子、ハロゲン
    原子、置換もしくは非置換の一価炭化水素基、又はアル
    コキシ基であり、Xは下記の基から選ばれる基である。 【化2】 (R13、R14はそれぞれ置換又は非置換の一価炭化水素
    基である。)〕、及び、 (4)白金又は白金系化合物を触媒量配合してなること
    を特徴とするシリコーン接着剤組成物。
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