JPH08508Y2 - エンジンのシリンダヘッド構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、シリンダヘッドにカムシャフトを配したエ
ンジンのシリンダヘッド構造に関する。

（従来技術） エンジンのなかには、カムシャフトをシリンダヘッド
に配したものがあり、この種のエンジンはOHC型と称さ
れている。

ところで、OHC型エンジンのシリンダヘッドには、カ
ムシャフトを回転自在に支えるカムジャーナル部に対応
してヘッドボルトが配置される。すなわち、シリンダヘ
ッドはシリンダブロックに対してヘッドボルトによって
締結されるものであるが、該ヘッドボルトのボス部は、
上記カムジャーナル部の側方において、カムシャフトの
延び方向中間部、つまりジャーナルセンターに設けられ
ている。

しかしながら、カムシャフトの端部を支える端部カム
ジャーナル部に対応するヘッドボルトは、特開昭62-139
953号公報にも見られるように、この端部カムジャーナ
ル部のジャーナルセンターからオフセットして配置され
るのが通例とされる。すなわち、第４図にも示すよう
に、シリンダヘッド１の床面に突設されたカムジャーナ
ル部２と、その側方に設けられるヘッドボルト用ボス部
３のうち、シリンダヘッド１の端部に位置する端部カム
ジャーナル部2aと、これに対応するヘッドボルト用ボス
部3aとは、該ヘッドボルト用ボス部3aが端部カムジャー
ナル部2aのジャーナルセンターｌからシリンダヘッド１
の端部側壁1a側へ大きく偏位して配置されるのが一般的
である。

このため、端部カムジャーナル部2aは、ヘッドボルト
の軸力によって、第５図に示すように、傾きを生じ、こ
のためカムシャフトの焼付きを生じ易いものとなってい
た。尚、同図において、矢印はヘッドボルトの位置とそ
の軸力の方向を表すものである。

そこで、本考案の目的は、ヘッドボルトの軸力による
端部カムジャーナル部の傾きを抑えるようにしたエンジ
ンのシリンダヘッド構造を提供することにある。

（技術的課題を達成するための手段、作用） 上記技術的課題を達成すべく、本考案にあっては、シ
リンダブロックとシリンダヘッドとを締結するヘッドボ
ルトと、 前記シリンダヘッドに配設されたカムシャフトと、 前記シリンダヘッドの床面に突設され、前記カムシャ
フトの端部を支える端部カムジャーナル部と、を備え、 該端部カムジャーナル部の近傍に位置する前記ヘッド
ボルトのボス部が前記端部カムジャーナル部のジャーナ
ルセンターに対してオフセットして配置されたエンジン
を前提として、 前記シリンダヘッドには、前記端部カムジャーナル部
と前記シリンダヘッドの端部側壁とを連結する連結部が
設けられ、 該連結部は前記シリンダヘッドの床面から離れて配置
されている、ような構成としてある。

このような構成とすることにより、上記端部カムジャ
ーナル部の傾きは上記連結部の支えによって抑えられる
ことになる。またこの連結部がシリンダヘッドの床面か
ら離れて設けられているため、当該連結部の存在が、シ
リンダヘッドの床面を伝わって流れるオイルの流れを阻
害することはない。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付した図面に基づいて説明
する。

第１図乃至第３図において、符号10は、OHC型エンジ
ン用のシリンダヘッドで、このシリンダヘッド10には、
カムシャフト（図示省略）の延び方向端部において、シ
リンダヘッド10の床面10aに突設された端部カムジャー
ナル部11と、その近傍に配置されたヘッドボルト用のボ
ス部12と、が形成されている。

上記端部カムジャーナル部11は差込型とされて、この
端部カムジャーナル部11には、カムシャフトが挿入され
る中空の軸受け部11aが形成され、またその上部にはス
ラスト溝11bが形成されて、このスラスト溝11bには、図
示を省略した規制部材が嵌挿されて、この規制部材によ
ってカムシャフトの軸方向の変位の規制が行わるように
なっている。尚、図中13はロッカシャフト（図示省略）
用のジャーナル部である。

上記ボス部12は、上記端部カムジャーナル部11の側方
において、カムシャフトの延び方向中間部からオフセッ
トされて配置されている。

すなわち、上記端部カムジャーナル部11には、上述し
たように、スラスト溝11bが形成されているため、当該
部位のジャーナル剛性が低下している。このため、ボス
部12をジャーナルセンターｌからシリンダヘッド10の端
部側壁10b側へ偏位させることで、ヘッドボルトの締付
けに伴うスラスト溝11bの変形を極力抑えるようにされ
ている。

また、上記ボス部12と上記シリンダヘッド10の端部側
壁10bとの間には、シリンダヘッド10の床面10aにオイル
リターン孔14とブローバイガス通路15とが開口されてい
る。

加えて、上記端部カムジャーナル部11と上記シリンダ
ヘッド10の端部側壁10bとの間は、これら両者11、10bを
結ぶ連結部16によって連結されている。この連結部16
は、丁度、カムシャフトの上半分を覆う形状とされて、
連結部16の上面16aは半円の円弧面とされ、また連結部1
6とシリンダヘッド10の床面10aとの間が空洞17とされて
いる。すなわち、空洞17は、連結部16を挟んで、その両
側に位置する上記オイルリターン孔14側の空間18とブロ
ーバイガス通路15側の空間19とを連通するものとされて
いる。

以上の構成により、ヘッドボルト用ボス部12がジャー
ナルセンターｌからオフセットされていることに伴なう
端部カムジャーナル部11の傾きは、上記連結部16の支え
によって防止されることになる。また、この連結部16の
上面16aが円弧面とされているため、第２図において矢
印20で示すように、オイルの流下が左右均等に、且つ円
滑に行われ、更に上記空間18と19との間は上記空洞17に
よって連通されているため、上記オイルリターン孔14あ
るいはブローバイガス通路15へのオイルリターン性を阻
害することがない。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案によれば、ヘ
ッドボルトが端部カムジャーナル部のジャーナルセンタ
ーからオフセットして配置されていることに伴なう端部
カムジャーナル部の傾きを、オイルリターン性を阻害す
ることなく防止することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案が適用されたシリンダヘッドの端部を
示す部分平面図、 第２図は、第１図に示すII-II線の断面図、 第３図は、第１図に示すIII-III線の断面図、 第４図は、従来技術の一例を示すシリンダヘッドの部分
平面図、 第５図は、従来技術の問題点を表す説明図。 10:シリンダヘッド 10a:シリンダヘッドの床面 10b:シリンダヘッドの端部側壁 11:他部カムジャーナル部 12:ヘッドボルト用のボス部 16:連結部 17:シリンダヘッドの床面と連結部との間の空洞 l:ジャーナルセンター

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダブロックとシリンダヘッドとを締
   結するヘッドボルトと、 前記シリンダヘッドに配設されたカムシャフトと、 前記シリンダヘッドの床面に突設され、前記カムシャフ
   トの端部を支える端部カムジャーナル部と、を備え、 該端部カムジャーナル部の近傍に位置する前記ヘッドボ
   ルトのボス部が前記端部カムジャーナル部のジャーナル
   センターに対してオフセットして配置されたエンジンに
   おいて、 前記シリンダヘッドには、前記端部カムジャーナル部と
   前記シリンダヘッドの端部側壁とを連結する連結部が設
   けられ、 該連結部は前記シリンダヘッドの床面から離れて配置さ
   れている、 ことを特徴とするエンジンのシリンダヘッド構造。